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1. ある物理学者との対話 ブログトップ

#3754 世界最高性能の時間周波数標準機開発とビジネスチャンス Jun. 14, 2018 [1. ある物理学者との対話]

 6月10日に千葉大学で「世界の標準時と原子時計最先端」をテーマにシンポジウムがありました。それに参加した物理学者N先生がFBに内容をアップしていたので、閲覧して、思うところをコメント欄に書き込みました。N先生からタイムラインのほうに書き込むように要請があり、そちらに書き込んだので、ここに転載します。

 ④の比喩がわかりやすいので、セシウム光格子原子時計の精度がどれくらいかご覧ください。むずかしい話が中学生でもわかるように3種類の比喩を提示してくれているところにお人柄が現れているようです。
 どうやら世界ナンバーワンの精度の時間周波数標準機が誕生しそうです。

(先生のお名前をイニシャルで表記する必要はないのだろうと思いますが、いまはイニシャルにしておきます。)
 なお、⑧は本稿のために追記しました。

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①<ebisu>
この分野でわたしが知っているのは
1983年までです。

当時はルビジウムやセシウム、水素メーザの周波数標準機を扱う輸入商社で仕事してました。その会社は産業用エレクトロニクス・メーカ欧米50社の日本総代理店でその中にオシロクォーツ社がありました。元々は初代がスタンフォード大学出でHP社の創業者二人と一緒に学んでいたから、戦後HP社の総代理店からスタートした会社でした。
(わたしは経営管理と統合システム開発を担当していました。経済学の専門家ではあっても理系の専門家ではありませんので、あらかじめお断りしておきます。)
千葉大学でのシンポジウムに関するN先生のFB記事を読んで驚きました。日本製の世界最高性能の原子時計が誕生しそうです。オシロクォーツやHP社の製品をしのぐ日本製品をぜひメーカを選定してタイアップし開発・発売してもらいたい。
SEIKO
社は興味があるでしょうね。10^-17の時間周波数標準機はアカデミックな世界だけでなく産業界にも需要が大きいと思います。

 

時間周波数標準機の分野は世界市場をオシロクォーツ社HPが世界市場を2分してきました。ここに日本企業が割り込めたら、たいへんなことです。国策で、補助金を出して製品化してもらいたいくらいですが、米国からもEUからもすぐにクレームがつきそうです。
TPP
ISD条項で縛られているから、オシロクォーツ社から巨額賠償請求訴訟が起こされます。


TPP
は先に世界市場を2分して支配している巨大企業2社にとっては、競争相手の芽を摘み取る便利な装置です。日本は参加してはいけなかった。
すでに手遅れのようですから、補助金なしで、開発・製品化する必要があります。

 

ああ、大事なことを思い出しました。SEIKO社は亀戸駅前に広い工場跡地をもっていました。1988年ころのことですが、臨床検査最大手のSRLで機器担当をしていた時のことですが、SEIKO社の腕時計の組み立て工場を見学したことがあります。結石分析の前処理工程にアームロボットを使いたくて、SEIKO社に見学をお願いしました。精密な作業になるので、当時はSEIKOのアームロボットが予定される作業に向いていたからです。1年ほどで開発したので、いまでもSRL八王子ラボで結石分析前処理専用ロボットが動いているでしょう。
腕時計の組み立てにアームロボット十数台が1ラインになっている完全自動化工場でした。パーツフィードに工夫がありました。4ラインくらいあったかな。工場に行く途中で、亀江戸駅前の工場跡地の話を聞きました。いまでも所有しているのでは?あれを処分すれば、増資せずとも製品化するぐらいの資金は用意できるはずです。それくらいの覚悟があれば、世界の最先端を走る巨大企業が生まれる可能性があります。(笑)
産学共同で世界市場を支配している2社にチャレンジしてもらいたい。


産学協同と言えば、SRLの学術営業部長をしていた窪田氏が、ペプチドリームというベンチャーを立ち上げ、東証1部に上場しています。日本ナンバーワンのベンチャー企業に成長しました。あの会社は東大の先生と一緒に興したベンチャーでした。
(わたしは2年間ほどSRL学術開発本部で仕事していたことがあり、学術営業部(担当S君)と研究部(多変量解析担当F君)そしてRI検査部と共同して、ある大学産婦人科のドクターと産学協同研究プロジェクトに携わったことがあります。SRL側でプロジェクト全体の調整・キックオフそしてコントロール役をしてました。)

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②<N先生>

貴重なご意見を伺えました。香取さんの「光格子時計」のノーベル物理学賞受賞はいつ頃かな?という物理屋的な呑気な考えより、ずっと大変な問題があるようです。経済学・世界戦略に強い皆さんからのコメントをいただけますと幸いです。


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③<N先生>

10^-17の時間周波数標準というのは「新しい物理学世界が広がる」というアカデミックなテーマだけではなく、先端技術そのものへの貢献が大きいという認識は必要と思います。


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④<N先生>
16桁から17桁の精度というのは、宇宙年齢136億年に対して、ミリ秒を相手にするようなものです。
長さで言うと、地球を一回り(4万km)してきて,水分子一個分を相手にするようなものです。
経済ネタだと日本の総資産は8000兆円だそうなので、その議論の精度を1円でしようと言うようなもの。ランチ的話題です。

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⑤<ebisu>
産学協同の一例を挙げておきます。
臨床検査大手6社でスタートしたコード標準化委員会へ臨床病理学会の臨床検査項目コード検討委員会の櫻林委員長(当時)に出席いただいて、四年間の産学共同検討作業を経て学会のほうから臨床検査項目コードを発表いただきました。
現在全国の病院で使われている臨床検査項目コードはその時の産学協同プロジェクトの成果です。いまでもSRLが事務局となって新規臨床検査項目コードのメンテナンスと、インターネットを通じた配信をしています。2年に一度、保険点数の改定があるからです。

産学協同はそれぞれ単独ではなしえない大きな成果を生みます。産と学とをまとめる人材が見つかると話は速い、見つからなければこれはと思う企業に持ち込めばいいのです。話くらいは聞いてくれます。
一番有力なところから話してみるべきです。

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⑥<ebisu>
SEIKO社がメリットを感じるとしたら、時間周波数標準機分野への進出は、消費者市場から産業用機器市場への橋頭堡が築けるということでしょうね。大化けする可能性があるということです。製品になるときには用途に応じて何タイプにも分かれることになります。そして、その販売チャンネルから、製品の改良や次の開発テーマに関する情報が流れ込みます。新規事業のチャンスです。
現在産業用向け製品でもっているのはアームロボットだけかな、他にもなにかあるかもしれません。何しろあれから30年たっています。
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⑦<ebisu>
産学協同の一例を挙げておきます。
臨床検査大手6社でスタートしたコード標準化委員会へ臨床病理学会の臨床検査項目コード検討委員会の櫻林委員長(当時)に出席いただいて、四年間の産学共同検討作業を経て学会のほうから臨床検査項目コードを発表いただきました。
現在全国の病院で使われている臨床検査項目コードはその時の産学協同プロジェクトの成果です。いまでもSRLが事務局となって新規臨床検査項目コードのメンテナンスと、インターネットを通じた配信をしています。2年に一度、保険点数の改定があるからです。

産学協同はそれぞれ単独ではなしえない大きな成果を生みます。産と学とをまとめる人材が見つかると話は速い、見つからなければこれはと思う企業に持ち込めばいいのです。話くらいは聞いてくれます。
一番有力なところから話してみるべきです。

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⑧<ebisu>
 セシウム光格子時間周波数標準機は産業用の応用範囲の広い機器なのです。いままで想像すらできなかったようなアプリケーションが生まれます。いわば高性能エンジンのようなものなのでそれを載せるアプリケーションを考えだせばいい。
 でもエンジン専用メーカという選択肢もあります。30年前でも国内の電機メーカなどに周波数標準機が売れていました。どういう種類の製品の製造や品質管理に使われているのか専門家ではないわたしにはそのあたりのことはわかりません。

 東大の研究所や理化学研究所では製造技術をもっていません。だから、民間企業で製造技術をもったところとタイアップすれば、いまは予想もできない製品群がうまれる可能性があります。
 試作段階ではマッピング、見通しがつくとプリント基板製作が通常の電子機器の「試作⇒製造ライン」ですが、そんなに簡単にはいきそうもありません。カスタムIC開発も必要になるのでしょうね。そうすると回路設計能力がある程度あって仕様書ぐらいは書けないといけませんね。そうした技能があれば製造に必要な部品の外注ができます。振動が影響するかどうかわかりませんが、あるとしたら載せる台は大理石でしょうね、何か仕掛けがいるのかもしれません。
 必要なカスタムICの開発という点から考えると、富士通、東芝、日本電気、日立製作所などもタイアップの相手に数えられます。日本の先端産業にとってビジネスチャンスです。日本人の様々な分野の技術者が協力して、ドキドキワクワクしてもらいたい。

 (
香取教授のインタビュー記事のURLを貼り付けておきますので、興味があればお読みください。少し長いですがとっても面白くて内容の濃いインタビューですから、ぜひ1ページ目から全文をお読みいただきたい。)
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*「研究の醍醐味は未踏の荒野を探し当てること」東大香取教授
https://www.adcom-media.co.jp/remark/2013/04/25/12320/4/

 抜粋引用

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 “時空のゆがみ”の探索については,東大と理化学研究所(理研)で開発する18桁の光格子時計を,設置し2地点を光ファイバーでつなぎ,計測時間が比較できるように準備を進めています。18桁の時間比較では,東大の時計の高さと理研の時計の高さを1?単位まで測定することができます。逆に,15?も離れた時計の高さを1?の精度で,従来手法で測量する方が大変です。例えば,東大付近の水準点から東大の地下の実験室まで三角測量をしていかないといけないでしょう。そんなことをするよりは,時計の進む速さの差を見る方が簡単そうです。こうして光格子時計は“高さを決めるツール”に進化します。これまでの時計は皆で同じ時間を共有するためのツールでしたが,光格子時計はこんな用途を想定すると “時空計”となるわけです。
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<ebisu注記>
 「1?単位」「15?」「1?」は距離の単位ですが、元資料が文字化けしているのでそのまま表示いたします。
 ピコ(pico) 10^-12
 フェムト(femto)10^-15
 アト(アト)10^-18
 
 東大の時計の高さと理研の時計の高さを「1atto」単位で…
 東大と理研(埼玉県和光市)の距離は約「15km」


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