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#4081 英語短期特訓授業 5th:"Gamification" Games May Save the Word Sep.11, 2019 [78.高校英語教科書を読む]

<最終更新情報>
9/12朝9時追記:pとfの発音について

 高3英語教科書を使った、英語が苦手な高2対象の短期特訓授業は5回目である。前期期末テストがあったので2週間中止し、今日から再開した。
 Lesson 2のGamificationの章だ。
 いままで、本文を10-30回音読し、全文黒板に書いて、文型解説をしていたが、慣れてきたようなので、板書せずに口答で説明していったら、'part 1'と'part 2' を消化できた。速度が倍になったから、残り5回で3章やれるかな。
 数回音読した後、英語が苦手な生徒4人に節単位に区切って文型を訊いてみた。4人束になって正解が半分程度だった。これには苦笑。あまり復習していない様子。1人は高3教科書を第1章から順にやり始めたから、大きな変化が起きた、N君。英語の文法問題集に取り組み始めた生徒はH君。あとの二人はなんとか授業に出席している状態かな。マインド・セットが変わった様子が見えるのはこの4人のうちでは二人。
 音読は、最初はゆっくり、同じ文章を5回10回15回と回数がアップするごとにだんだん速度を上げていく。必死についてきているのがわかる。大きく口を動かすように言っても、実際にはほとんど動かせない者もいるから、ときどき子音の発音で具体的に口の動かし方と息の出し方を注意する。今回はpとfだった。おあつらえ向きにpとfが多く出てくる文があった。

 Participants put the data of their energy comsumption online.
 For example, some cars are equipped with a game function showing fuel effeciency.


 文型と意味解説をした後で、意味を頭に浮かべて5-10回音読する、イメージ音読と名付けている。弊ブログに投稿してくれていたHirosukeさんのメソッドである。30回音読10回書き取りというのは、英語の達人、ハンドルネーム「後志のおじさん」のトレーニング・メソッド。いいとこどりさせてもらっている。「学ぶ」の語源は俗説によると「真似る」ということらしいが、わたしはその通りにやっている。生徒たちの手本になればうれしい。ニムオロ塾の英語授業は日々進化している。(笑)
 いまにして思うことがある。ブログ投稿欄での議論はとっても役に立つことが多い。意見が違うほど学ぶことも増える。時におちゃらかしのあるのはしかたがない。そういう場合でも、議論につきあうことにしている。投稿者の知的レベルが文章に現れていることがある。そういう投稿者に付き合って対話していると、途中からまともな議論に変化することがある。それも愉しい。四国の阿波の国の住人で、面白い人がいた。使う言葉で四国出身者ということはすぐに分かった。だいたいは気真面目な人が多いようだ。たくさん投稿してくれた人ではkoderaさん、Hirosukeさん、後志のおじさんがそうだ。それぞれお得意の分野で一家言のもち主である。

 ゲーミフィケーションというのは聞きなれない言葉だが、たとえば、老人施設で考えられるのは、椅子に座ったり、椅子から立ったりするのを、圧力センサーでキャッチして、パソコンへ伝送し、スクリーン上に木を表示して、やった回数に応じて、木が成長していくというようなことである。ゲーム感覚で、老人の健康促進、あるいは病気予防を愉しくやろうということのようだ。
 電気節約事例では、電気器具ごとの電力消費量を知り、節電の量を競い合うことで、一番節電した人が優勝するというようなこと。
 車の燃費データをオンラインで伝送し、燃費向上を競い合うことも事例に挙げられていた。いまは可能性の話だろうが、そろそろ実現しそうだ。

 音読主体の授業なら、英語が苦手の生徒たちの緊張が切れることはない。2時間ノンストップであっというまに7時になっていた。授業はやりようだね、毎回いい集中力を見せてくれてるが、成績と連動するかどうかは、家での勉強次第だ。わずか2時間×10回=20時間で大きな効果が出るはずがない。1000時間投入できたら、成績は劇的に変わる。学年チップクラスに誰でもなれる。今回の特訓授業サービスの役割は生徒たちの家庭学習のきっかけ作りだ。

<余談:大学入試共通試験>
 生徒たちが、英語の入試制度がどうなるのか不安を口にしていた。
*「柴山文科相に批判の嵐 英語民間試験に異議の学生を強制排除
https://news.livedoor.com/article/detail/16993288/
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 現在、実施されているセンター試験に代わる「英語民間試験」には、高校生や保護者、学校関係者から「不公平」や「不透明」など懸念が噴出し、実施団体「TOEIC」まで離脱。「AERA」が実施した教員、保護者、生徒へのアンケートでは、「中止すべき」が72%、「延期すべき」が23%と圧倒的多数が「ノー」だった。
 ところが、柴山文科相は、16日付のツイッターで〈サイレントマジョリティは賛成です〉と根拠もなく、異論を一蹴。1人の賛成論者を取り上げて〈エキスパートはこう主張しています〉(17日付)と露骨なつまみ食いをした。
 さすがに、〈周りに賛成している人一人もいませんよ〉〈都合のよい声だけを取り上げ、誇張している〉と批判が相次いだ。

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#4067 英語短期特訓授業 the 4th:Steve Jobs Aug. 21, 2019 [78.高校英語教科書を読む]

  毎週水曜日、ニムオロ塾はお休み、でも7月から、長文読解の短期特訓(10回を予定)をしている。
 高2対象の長文読解教材として、高3教科書「Vivid Ⅲ」を使っていることは前回も書いた。ハラリSapiensでも出てきた文例と似たものが、教科書にも載っていたので、紹介する。


 And yet his checkered life tells us that Steve Jobs did live his own life, listening to his own inner voice and following his heart and intuition.

  高校生には意味のとりにくい文章だろう。だが、重文が3個連なっただけの簡単な文である。強意のdidを外してシンプル・センテンスに戻してみる。
 Steve Jobs lived his own life.
 Steve Jobs listened to his own inner voice.
 Steve Jobs  followed his heart and intuition.

  主語が同じ場合は後続の文の方の主語は省略され、動詞は~ing形になり、動詞句になる。これが生成変形文法工程の自然な流れだ。
 受験参考書には判で押したように「分詞構文」が文頭の位置を占めている文例が載っている。しかし実際に出てくるのは、こういう風に、分詞句が後置されるものがほとんどである。後置されるから主語が省略され、分詞句となるのに、文頭に置いて主語を省略されたら、後続の文が出てくるまで、意味上の主語が何か不明となる。そういう文は気持ちが悪い。ジャパンタイムズで、たまに典型的な分詞構文の文が出てくるが、決まって日本人スタッフライターの書いたものだった。
 基本は後置であり、文頭にくるのは強調構文だと理解すべき。
 didはその後にくる事実を強調している。「自分の人災を生き抜いたこと」「内的な声に耳を傾けたこと」「自分の心と直感に忠実だったこと」の三つの事実を強調するために添えられた。
  文頭の接続詞 'and yet' の訳について一言。接続詞は文と文をつなぐ役割を果たしているから、前の文Aと後の文Bの意味内容が分かれば、それに適する日本語語彙を選べばいいだけ。思い浮かばぬ時、そして確認するときにのみ辞書を引けばいい。


(それでもなお、スティーブ・ジョブズの波乱に満ちた生涯は、かれが自分の人生を生き抜き、自分の内なる声に耳を傾け、情熱と直感に従ったことをわたしたちに告げている。)


 授業では文章一つ一つ検討し、何文型であるのか生徒とともに考えている。次の文のアンダーライン部がむずかしかったようだ。


 He must have had some regrets, because he had left much unfinished, still in his prime years as a businessperson.

 第五文型SVOCである。muchは名詞だ。「must+have+pp」は英語が苦手の生徒ばかりだから、だれも知らなかったので、解説した。受験英語では大事な項目だ。
 仮定法でもこの形がよく出てくる。たとえば、「shoud+have+pp」や「could+have+pp」の形で。学校で副教材に使っている分厚い文法書で該当箇所を読んでおいたらいい。
*pp:past participle 過去分詞

(スティーブ・ジョブズは依然として(最後の数年間は)事業家として全盛期にあり、幾ばくかの後悔があったに違いない。多くのことを未完のままにして世を去っている。)

 これで、アップルコンピュータの創業者、スティーブ・ジョブズの章を終わった。
 英語が苦手な生徒だけが対象だから、速度はゆっくり、4回かかった。今回は、ここに書いた部分を含めて、文法上説明しておいた方がいい事項がたくさん(おおよそ3倍)あった。

<余談>
  進研模試なら、この程度の英文がこなせたら、楽に偏差値60を超えることができる。Z会のテストは語彙の範囲も、英文の難易度もかなり上だ。だから、高校教科書程度では対策にならない。
 6月末に実施された進研模試の結果が出たようだ。学年トップの生徒はあいかわらず数英は学年トップ、国語だけが2位だった。本人はできが悪かったと反省しきり、数Aが北海道でNo.1だったことがひとつの成果。ベクトルを終わっており、数列も漸化式がほぼ終了しているので、数Bで模試を受けたかったと言っていた。ベクトルは自信があるようだ。難易度の高い問題をたっぷり解いたからだろう。手ごたえを感じている。
  根室高校は7月初旬に学校祭があり、1か月前から準備作業で生徒たちは大わらわだ。だから、ほとんどの生徒が進研模試の準備勉強時間を十分にとることができず、平均点にも影響する。
 11月の進研模試で、短期特訓授業を受けている生徒たちの英語の点数がどれくらい上がるか楽しみだ。

<余談-2>
 FB友が紹介してくれた本に無料ビジネスという項目があった。その目的は、評判や名声を勝ち取るためのものだそうだ。

 英語が苦手な塾生対象に無料の10回の短期特訓授業を始めた動機は、放っておいたらいつまでたっても英語の勉強をしないからだ。個別指導だから、好きな数学ばかりやって、嫌いな英語は数分の一しかやらない。(笑)
 そういう生徒たちに業を煮やしたことと、いま何とかしないと大学受験に間に合わなくなるので、危機感からの強硬手段が10回の英語読解トレーニングなのである。英文を理解できるようになれば、英文を読むのが愉しくなるし、英作文もできるようになる。そして社会人となってから、いつか英語でしか入手できない情報の多さにも気がつく。割のよい仕事にありつこうと思ったら、最先端の英語の文献やネット情報を読む必要がでてくる、そういう時代なのだ。
 わたしは42年前からそういう道を20年間ほど歩んだ。


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#4044 英語短期特訓授業(the 2nd) July 25, 2019 [78.高校英語教科書を読む]

 英語が苦手の高校2年生対象の2時間×10回の授業を始めたことは前回書いた。高3教科書をテクストに使っている。やっている個所は「Lesson 7」'A lesson form Steve Job's Life'である、アップルの創業者の生涯のダイジェスト版だ。スマホに夢中になっている高校生が対象だから、食いつきのよい話題の章を選んだ。
 4:30から30分間下調べさせてから、5時授業開始は前回と同じである。家でやらせて来るのがいいのだが、まだ無理、だから授業の直前に辞書を引かせている。今回は2回目でPart 2だが、2人新しいメンバーが参加しているので、初回の部分をざっと復習してからPart 2に入った。
 ふだん紙の辞書を使っているのは一人だけ、あとは電子辞書をもっている。忘れてきたのがいたので紙の辞書を貸してあげた。はじめて紙の辞書を引くので、なかなか目的の単語が見つけられない。紙の英和辞典を一度も使ったことのない生徒がほとんどである。このあたりが、30年前とはがらりと変わったところだろう。
 英語の勉強今昔物語とでも言いたくなるほど、変化している。いい方への変化もあれば、そうでは無さげな変化もある。昔と違って中学校の英語授業で英和辞典は使わない。そんなことでいいのだろうかと思うが、文科省の審議会に偉い先生たちが集まって決めたのだろうから、ドンデモないことでも何かそうしなければならない強い理由があるのだろう。専門家が集まるとしばしば世間の常識から大きく外れてトンデモないところへ着地してしまうから、こまったものだ。

 音読30回、書き取り10回は「後志のおじさん流儀」の英語学習法だ。だから、英語が苦手の生徒たち向けの授業では、まず一文ずつ音読を10-30回やってから解説する。長いものや読みにくいものは30回だ。
 第一段落の文章をそれぞれ20回ほど音読してから、冒頭の単語のonceの意味を6人の生徒それぞれに訊いてみた。文章はこのようになっている。
 Once in school, "I really just wanted to do two things," Steve remembered.

  各人にonceの意味を訊いてみる。Aさんは「1回」、Bさんは「一度」、Cさんは「かつて」。
 準備運動を兼ねて、「2回」って英語で何というの?と訊いてみた。誰かがtwiceと答えた。それではと全員に書かせてみる。ついでに「3回」「4回」「5回」、音で知っていても書けない生徒が多い。何しろ英語は苦手でふだん勉強していないからそれがそのまま表れる。すんなり書けたのは半分いたかな。紙を渡して5回書かせる。
 「後に続いている文と関連させて単語の意味を考えよう」そう伝えた。「二つのことがしたかったとスティーブは記憶していた」。二つのことは、その後の文で説明されている。4年生の時のことだとあとに続く文でわかるから、小学校に在学中のときの話だ。意味が分かれば、あとは自分が普段使う日本語に置き換えたらいい。「ずっと前、小学生の時のことだが」「むかし学校に通っていた時に」など、なんでもいい。
 この文は倒置されていることも理解してほしい。なぜ、倒置されるかも。

 Steve remembered "I really just wanted to do two things".

 これが、倒置前の元の文である。倒置されて前に移動した部分が強調されている。新聞英語でもよく出てくる表現である。
 「....., officials said.」「複数の関係筋によれば…」
 情報ソースを補足説明しているだけの機能を担っている。大事なことは情報ソースではなくて、中身の方だよと位置を変えることで書き手がサインを送っている。
 冠詞(と無冠詞)の使い方を列挙するとつぎのようになる。

 once in school
   once in a school

   once in the school
   once in schools
   once in the schools

 それぞれ使われるシーンと意味に違いがある。英文解釈上も英作文上も冠詞や無冠詞が適切に使い分けられたらいいね。日本語には冠詞がないから、こういう風に並べて、意味の違いや使われるシーンの違いについて解説してやらないと生徒には理解できない。10回の授業が終わったときには、生徒たちは冠詞の扱いにずいぶん慣れているだろうな。大学で他の外国語をやるときに効いてくる。それも楽しみの一つ。先を見て仕込んでおく。(笑)

 意味が理解出来たら、日本語の意味を思い浮かべながら、さらに音読10回。これが、ワンセット。日本語で意味をイメージしながら音読するというのは「Hirosukeさん流」だ。彼から学んだ。

 塾へ通っていない生徒たちと、高校を卒業してからずいぶん経って、英語をもう一度勉強してもいいかなと思っている、そういうあなたのために、Part2全文を引用しておく。(笑)
(名詞句にアンダーラインした)


 Once in school, "I really just wanted to do two things," Steve remembered.
 "I wanted to read books because I loved reading books, and Iwanted to go outside and chase butterflies."  What he didn't want to do was follow instructions.
  Somehow he felt different from his classmates at school.  Some of his teachers regarded him more as a troublemaker than as a special kid.


  Then, in the fourth grade, Steve met a wonderful teacher, Imogene Teddy Hill.  Within a few weeks, Mrs. Hill sized up this unusual student.  She even offered Steve a sweet bargain: If he could finish a math workbook on his own and get at least 80% right, she would give him five dollars and a giant lollipop.


  Later Steve recalls, "I'm 100% sure that if it hadn't been for Mrs.Hill in the fourth grade and a few others, I wold absolutoly have ended up in Jail".   Mrs. Hill was indeed "one of the saints" in his life.

  段落ごとに改行を入れた。

 chaseの意味も訊いてみた。「えらぶ」って答えた生徒がいた。それって、choice(名詞)だ。まあ、似ている、かすっているからいいね、ついでに脱線してみよう。動詞はchoose。これって、中2英語の範囲の単語だよと大笑いしたところで、紙を配って基本形、過去形、過去分詞形を5回書いてもらう。「あれ、どうだったけ」なんて言ってるやつがいる。(笑)
 不規則動詞がでてくるたびに5回書かせて方がよさそうだ。
 choose⇒chose⇒chosen
 ところで、chaseはカー・チェイスにもあるように、追いかけるだ。規則動詞だから、過去形は簡単だね、chasedでいい。では最後のdの部分の発音は?[z、d、t]のどれ?正解者なし。(笑)
 いいよ、いま覚えよう。発音が[s,k,p]で終わる動詞は[t]だ。liked、stopped。これら3つの子音で終わる単語、他に知ってたら挙げてみて?
 dressed、danced、kicked
 おう、なかなか反応がいい、うれしいね、ありがと。(笑)

  第一段落の次の文、主語「Some of his teachers」に注意して日本語にしてごらん。
 Some of his teachers regarded him more as a troublemaker than as a special kid.
 「数人の先生が」「何人かの先生が」と誰かが答えてくれた。「そんな日本語使っている?」と訊く。例えば、「何人かの先生がわたしをトラブルメーカだと決めつけた」というだろうか?3分ほど考えさせてから、「先生たちの中にはスティーブを特別な才能のある子どもというよりも、もめごとを起こす厄介な子どもとみなす人がいた」、これくらいがいい。意味をつかんだら、できるだけふだん使っている日本語に言い換えよう。トラブルメーカはマイナスイメージの言葉だから、それと比較されているのはこの場合はプラスイメージである。だから、特別な才能のある子どもと訳した。


 次の文はカッコ内の語を補わないとわたしには理解できない。それともこんな用法でもあるのかしら?寡聞にして知らない、間違いだと思う。

 What he didn't want to do was (to)follow instructions.

 生徒たち6人に、例によって、followの品詞と意味を訊いてみた。「ついていく」と真っ先に言った生徒がいたので、「動詞であるのはいいとして、他動詞の意味は目的語とセットで考えろと言ったはず、もう一度よく考えてごらん」、そう問いかけた。だれかが、「命令に従うだ」と声を上げた。
 「いいね!」、そう受け取って、もう一度要点を繰り返す。「単語を辞書で引くときは、他動詞なら目的語とセットで考える、他の品詞の場合は前後の単語や文脈も考慮して意味を絞り込もう、そして意味がつかめたら、今度はふだん自分がつかっている話し言葉に置き換えてみよう」。
訳:「スティーブがしたくなかったことは他人の指示に従うことだった」
  instructionsには複数を示すsがついている。先生たちはさまざまな場面で生徒に指示を出すから、そのようなシーンをいくつかイメージすればいい。
 聞き分けのない、自我本能の強い子だったわけだ。自我をコントロールする理性の座の発達が弱い子だった。それは生涯にわたって彼の性格を強く制限していたように思える。

 受講生6人に質問してみた。
 「太字にした箇所が二つあるが、あとのほうはなぜスティーブがそう思ったのか考えてごらん?」
 「最初に太字にした文章がじつはとっても大事なんだが、なぜこういう性格になったか想像してごらん?」

 こういうところは生徒たちに議論させたい、行間を読むトレーニングである。
 授業中に本を読みたくなったり、外へ出て蝶々を追いかけたくなる生徒。先生の制止を聞かず勝手な行動をとる、とっても厄介な子ども、それがスティーブ。
 なぜそういう性格になったのか。ポールとクララは結婚して9年間子どもができなかったので、生まれたばかりのスティーブを養子にした。うれしかっただろう、クララは本の読み聞かせに夢中になった。毎日毎日ステーブにたくさんの本を読んで聞かせた。機械工のポールはなんどもなんどもいろんなものを分解して元通りに組み立てて見せた。スティーブがキャッキャと喜ぶ姿が目に浮かぶ。ほしいものは何でも与えただろうことは想像に難くない。そういう育て方をしたら子どもはどうなるか?我慢のできない、わがままな性格が育ってしまう。それが小学生になったスティーブである。
 ヒル先生に巡り合わなかったら、学校でスポイルされて、ワル仲間に入り、ドラッグ、盗みとなんでもやっただろう。同級生にそういう人間が何人かいたに違いない。
 ヒル先生に巡り合わなければ、身を持ち崩して刑務所に入れられただろうとステーブ自身が述べている。

 教訓:よい子は創業社長にはなれない。わがままな奴には、事業を起こし信念を貫いて成功へと導く資質がある。それは他人の意見を聴かずに、己の信ずるところに従ってただまっしぐらに突き進む能力だ。


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#4036 英語短期特訓開始:2時間×10回 July 17, 2019 [78.高校英語教科書を読む]

 高校2年生は数学ができるけど英語のできない生徒が多いので、毎週水曜日に10回長文読みの特訓をしてみることに決めた。放っておいたら苦手だからいつまでたってもやらない、いまやらなければ入試に間に合わない。短期間でいいから本気でやれば力はつく。
 英語が苦手の生徒たちが対象の特訓だから、教材はやさしく短いものがいいので、すぐに手に入る高3の教科書「VIVID Ⅲ」を使うことにした。初回の今日の授業には「第7章 Steve Jobs」を選んだ。中身に興味の持てる章をセレクトした。全員がスマホをもって毎日楽しんでいる。
 スティーブはアップルの創業者である、彼は生まれてすぐに養子になった。
 お母さんのクララがスティーブに毎日本を読んで聞かせている。母親が専業主婦、家にいて毎日読み聞かせをやるというのは、幼児にとって大事なことだ。1950年代は主婦の大半が専業主婦だった。働き方改革なんて言って主婦を労働力市場へ追い立てようとしているが、専業主婦で子どもの教育に力を注ぐことも外に出て働く以上に大切なことだというのが最初のページを読んでわかる。
 お父さんのかかわりも同じくらい大切で、いろんなものを分解してから組み立てて見せたのだそうだ。こんなことができる音央さんは100人に一人もいるだろうか?機械工だったからそういうことが得意だったのだろう。スティーブはこうして本に興味があり、機械いじりの好きな子供に育っていく。小学校の先生がユニークで、スティーブに大きな影響を与えるのだが、そこは来週やることになる。
 高3の教科書は分量が少ないが、若い人たちが興味をもてるような話題がいくつか載っている、昔の教科書は道徳やお説教臭い話が多く、内容に興味を引くようなものがほとんどなかったので、教科書を見て時代の変化を感じる、いい時代になった。でも、それで英語が好きになる生徒が増えたのかというとどうなのだろう。英語が苦手な生徒たちが興味をもてるような美味しいものだけ4つほどやるつもりでいる。どの章に興味があるか、そのうちに生徒たちの意見も聞いてみたい。

 今日は初回だから、ワード・オーダーも文構造も、文型も、代名詞が何を指しているかも、全文解説した。一つの文を10-30回読んでから解説した。そしてもう3度、文章の意味を頭に浮かべながら音読して次の文へと移る。ずいぶん手間のかかる授業だが、慣れたら同じ項目はだんだん説明を短くして、速度アップしていける。「はじめちょろちょろなかぱっぱ、赤子なくとも蓋とるな」、ご飯を炊くのと似た要領でいい。(笑)
 一つの文を10-30回音読させるのは、音読リズムに口と体が慣れてほしいからだ。投稿欄で英語の達人「後志のおじさん」が自分のトレーニング法を教えてくれたので、そのやりかたを踏襲している。ふだんの個別授業でこういうやり方はとれないので、休みにしている水曜日を特訓に充てることにした。文章によっては30回音読しないと英語が苦手な生徒たちはリズムがつかめない。子音の発音もついでにトレーニング、だんだん英語らしくなってくるのがうれしい。5回もやれば全部の子音の発音がスムーズにできるようになるだろう。しばらくは基礎の基礎を叩きこむことに力を注ぐのみ。
 2時間の授業を10回やれば、自分で辞書を引きながら、結構読めるようになるし、ある程度の英文も書けるようになることを期待している。よく読むことは、よく書くことに通じる。

  授業30分前にきて辞書で単語を引かせたのだが、adoptedを「採用する」や「養子」とノートに記入していた生徒がいた。-ed形なのに動詞と気がつかないで、名詞の方の「養子」を選んでいた。辞書を引き、せっかく動詞の項目を見ているのに、先頭のものを何も考えずに書き写した。それもこれもをまだ慣れないからだ。辞書を引く前に、品詞は動詞で、赤ん坊が主語だから、「採用する」は外れ、赤ん坊に関係する意味は何、と探せば、たいていの辞書には2番目にピッタリのものがある。主節のあとに来ている従属節は、主節の先行詞の補足説明だから、そこに「結婚してから9年間子どもが授からなかった」とあれもう辞書を引かずとも、「生まれてすぐに里子に出された」とか。「もらわれた」という意味に気がつく。米国ではこういう養子縁組に関して国家の補助があり、一人につき毎月5万円ほど補助金が支給されるので、ビジネスにしている人もいるらしい。10人引き受けたら補助金は毎月50万円を超える。日本では一人目は倍くらい出るようだ。人数が増えると減額になるのでビジネスにはなりがたい制度設計になっている。興味のある人は検索して、調べて投稿欄へ書き込んでくれたらいい。
 日本語のテクストなら、文脈を読んで意味を考え、その妥当性をチェックしながら読んでいるのに、英語になったとたんに文脈を読まない。日本語のテクストの先読みスキルの高い生徒は、英語を読むときにも自然に文脈のチェックをしながら、意味をとらえて読み進んでいる。だから読む速度も大きい。英文を読むときに「先読み」できるようになれば読書速度と精度が大きくアップできる。
 
 A baby boy was born on February 24, 1955.
  Soon he was adopted by Paul and Clara Jobs, who had been married for nine years but had not had a baby.


「生まれてすぐにジョブズ夫妻にもらわれた、ポールとクララの二人は結婚してから9年たつが子どもがなかった」くらいの日本語がいいだろう。自分が日常使う語彙や日本語の言い回しにまで落としたほうが訳が洗練されていい。

 主節は過去、従属節は過去完了、そのあたりも意識してもらいたいから、時間を表す直線図で解説した。数学の直線図が時間の順序を説明するには便利だ。原点0が現在、マイナス側が過去、プラス側が未来である。
 動詞の意味は主語と目的語があればセットで考えたいもの。同じ単語に名詞・動詞の両方あるものは多いから、まずはその文中でどの位置(主語・動詞・目的語・補語)にあるのか見極めて、品詞を確定してから辞書を引いてもらいたい。この場合は、赤ん坊の話が出てきて、代名詞の he が赤ん坊を指していることが分かれば、「採用された」なんて訳をするはずがない。授業の前に30分間辞書を引かせるので、次第に慣れてくる。10回の授業が終わるころには、わたしが辞書を引くのと同等のスキルになるだろう。具体的な事例を使って、トレーニングするのが一番よいのである。生徒たちは辞書の引き方すら習っていないようす。そもそも中学校で英語の辞書を使わないというのがわたしには理解できない。団塊世代は中学校の英語の授業では辞書を使っていたから、辞書の引き方を知らないという生徒はいなかった。文科省で専門家が集まって中学校の英語授業で辞書を使わない方針をずいぶん前に決めたのだろうが、専門家の議論はどこかピントが外れ、いろんなところに穴が開いてしまうものらしい。原発の専門家が、原発は安全だと言い続けて、世界史上最大の原発事故を招いたのによく似ている。


 She even taught him how to read before he started school.

  このスクールには冠詞がついていない。こういうところに注意して読むと、英語の読解力は格段に強化できる。細部をおろそかにする者は上達が遅い。He goes to school by bike. の文は自転車で「通学している」という意味である。お母さんが昨日学校に行ったは She went to the school yesterday. 行った学校が子どもが通学している学校なら、定冠詞のtheが必要だ。

 冠詞は四つある。「a、an、the、Ф(無冠詞)」、上述の文はФである。機能を表す場合には無冠詞であることに注意。Фは空集合を表す数学記号であるが、英語の授業でも数学のツールは便利がよいものだ。
 学校へは勉強しに行くということ。無冠詞の「 before started to school 」の意味は「就学前に」である。冠詞の理解と扱いは意味に深くかかわるし、英作文にもとても重要性が高い。そして日本語にない機能だから、日本人にはピンとこない。生徒たちには冠詞が精確に使い分けられるようになってもらいたいから、でてきた冠詞類は全部解説する。そこだけでも、きっと面白い授業になる。 

 3年生の教科書だから、途中で一文が5行の長いものがでてきた。こういう長い文の処理に不慣れなのである。アレルギーがあってみただけで身体が逃げているように見える。(笑)
 10回でアレルギー症状がでないように治療してあげる。

 今日来たのは四人、高1と高2の生徒である。全員へ高3の教科書をプレゼントした。もう3人いるが来週くるかな?その中には3年生も一人いる。参加するか否かは生徒自身が決める。わたしにできることは英語の苦手な生徒に短期特訓のスケジュールと目的を通知することのみ。

 ニムオロ塾で英語の特訓は初めてやる、英語のできない生徒対象で参加は自由、自ら進んでやる気のある生徒のみに参加資格を与える。毎週水曜日は休みだが、これから10回だけ生徒たちにお付き合いする。
 今日は30分予習させてから、授業を始めた。次は段落二つくらいは日本語訳を書いてきてもらう。陣の日本語訳と比べると何がまずいのか一目瞭然になるからだ。初回から私語しないで一生懸命に辞書を引いていたのでびっくり、そして嫌いな英語の授業が始まっても集中力がずっと続いていた、このまま走り切ってもらいたい。予習をしてきてしっかりやり通せば効果は小さくない。わたしが高校生なら受けたい授業を頭に描いてやっているから、中身は相当に濃い授業になっている
 体力使い切った感じがして、今夜は酒がことのほかおいしい。(笑)



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#3983 簡単そうで説明がむずかしい英文例 May 4, 2019 [78.高校英語教科書を読む]

 連休中だが、ニムオロ塾はいつも通りやっている。昨日は高2の生徒が3人と中3の生徒が二人来て勉強していた。熱烈歓迎!

Ⅰ. 早い時間にきた中3の生徒は1時間半ほど一人だったので、英語の教科書の音読トレーニングをやった。子音の発音がほとんど日本語なのでp,t,k,thの発音矯正をした。強弱や抑揚もなしの棒読み。他の生徒のいるときはやりにくいので、早い時間にこられるときにトレーニングする旨伝えた。基本はある程度理解できただろうが、家で百回、二百回とやらないと身につかない。中3になって英語が苦手の生徒はこういうタイプが多い。小学校から英語を習ってきたはずだが、どうしてこんなことになるのか。子音発音の基礎トレーニングが欠落しているのではないか。学習指導要領にもこういう項目がないのだろう。
 この生徒は1月から来ているが数学の成績がアップしたので、そろそろ苦手の英語にチャレンジさせようと、一人だったので、教科書を読ませて、どのあたりに弱点があるのかチェックしたのである。こういう生徒は個別指導でないと教えきれない。中3になって学校で子音の発音のしかたとか、音読トレーニングはしないからだ。高校も同じだから、中高の6年間英語が苦手のまま、興味を完全に失ってしまう。いまなんとかしないといけない、ちょっと焦った。
 この生徒は四月の英語学力テストの点数が学年平均点を少し超えている生徒なのだ。高校1年生でも3割はこういう生徒がいるのではないか、どうやって救うのだろう?1学年50人の学校なら、15人はこういう問題を抱えた生徒がいる。すらすら読めたら、学力テストの点数は40点は楽に超えるだろう。
 B中学校の四月の学力テストの英語の平均点は19.4点(60点満点)で、15点以下が66人中28人(42.4%)いる。C中学校は46人中15人(32.6%)が15点以下である。こういう現実をどのように認識し、どのような対応をとるのだろう。生徒に基礎学力を保障するのは義務教育の重要な責務であるはずだが、それを果たすことはとても手間がかかる。現状は放置されていると言ってよい状態である。子音の発音トレーニングや音読トレーニングなしにはこういう生徒たちの英語の学力向上は望むべくもない。すらすら読めなければ、記憶にも残らないし、英文を書けるようにもならない
 すらすら読めるのが41点以上の得点階層だとすると、BC両校合わせて6人しかいない。112人中たった6人である。北海道の学力テストは東京都に比べて難易度が著しく低い、それでも7割以上の得点層が5%しかいない、泣きたくなるような現実がある。

Ⅱ. 高2の生徒のうち一人は宿題の分数式の難問がわからないと問題プリントをもってきた。分母が通分すると(a-b)(b-c)(c-a)となり、通分してから分子を整理して因数分解すると-(a-b)(b-c)(c-a)となり、答えが-1となる問題だった。通分してから分子の因数分解がやっかいだった。
 思い出しながら問題を書いてみる。

     ab/(b-c)(c-a) + bc/(c-a)(a-b) + ca/(a-b)(b-c)

  通分後の分子の整理は1年生の時にやった因数分解で最後のところででてくる比較的難易度の高いものである。

    c^2 a-ca^2+a^2 b-ab^2+b^2c-bc^2...ばらばらにして
  =(b-c)a^2-(b^2-c^2)a +bc(b-c)…aについて降べきの順に整理
  =(b-c){a^2-(b+c)a+bc}…共通因数(b-c)で括る
  =(b-c)(a-b)(a-c)…(a-c)にマイナスをかけて
  =-(a-b)(b-c)(c-a)

 これで、通分した分母と約分ができて、答えは「-1」となる。
  1年前にやったはずだが、ほとんどの生徒が忘れているだろう。この生徒も忘れていた。2月の進研模試で学年五本の指に入る生徒ですらこうだから、あとは何をかいわんやである。いまこのレベルの難易度の問題をやっておけば、3年生になったときにやるセンターレベル問題集がさほどむずかしくなくなっているだろう。このレベルのプリント問題の2年生への配布は昨年度はなかったから新しい試みの様である。根室高校の数学担当の先生たちも生徒の学力低下を食い止めようと頑張っている様子。
 この生徒はそのあと苦手の英語の文法問題集(塾専用『シリウス英文法Ⅰ』)をやっていた。四月からの生徒だが、すでに高1の文法問題集の25ページ目をやってるから、意欲は高い。苦手意識が高校2年までずっとあった生徒が、こういうふうに意欲的にチャレンジするのは珍しい。やっているところを見ながら、数か所解説した。

Ⅲ. もう一人が教科書の文を写して訳文をつくっていた。おやと思う文を素通りしていたので、質問すると意味が分かっていない。簡単そうに見えるが英語の先生も解説に困るような文だった。

 Singns seem to be easy to make, but there are at lesast three points to think about.

  後段は説明を要しないが、前段はむずかしい。SVCの簡単な文に見えているのだが、そうでもないからseemを外して少し簡単に書き直す。

 Signs are easy to make

  こうすると単純な文に見えるがじつは単純ではない。文頭のsignsは主語に見えるが、もともとはmakeの目的語なのである。わかるように書きなおすからaとbの文を見てもらいたい。
 
a. We make signs.
b.   It is easy.
c.   It <we make signs> is easy. 
      ⇒ It <for us to make signs> is easy. 
      ⇒ It is easy for us to make signs. 
  ⇒ It is easy to make signs. 
d.   Signs are easy to make.

  内面構造はaとbの文であり、表面構造がdの文。これらをつないでいるのが文法変形である。文法変形工程が5段階ある。
 dの文にseemを挿入して元の文ができあがる。

 Signs seems to be easy to make.

  文法工程指数が6である、簡単そうに見えるが解説は簡単ではない。解説はチョムスキーの言語学説、生成変形文法による。解説は高校英語の範囲を超えてしまう。生徒から質問があったら高校の先生はどのように処理するのだろう?高校学習指導要領の範囲ではとても説明できそうもない文法工程指数の高い文なのである。解説はできなくても英文をたくさん読んでいる人は、文脈から適切に意味がとれるものだ。たくさん読めということか。ネイティブなら自然に読める文だから、暗記していい文章である。

 <訳文例>
 「標識をつくるのは簡単なようだが、そこには考慮すべき点がすくなくとも三つある」

<5/8追記>
 連休明けで来た生徒の一人(高2)に、この文を読ませたら、すんなり正解してくれた。意識しないでも文脈から判断して読んでいる。読解力が著しくアップしている。うれしかった。この生徒は英検2級は問題なしだ。


Ⅳ. 英語の「任意の宿題プリント」を2名がもってきていた、トルコのカッパドキアがトピックスとなっている長文問題である。世界遺産に1985年に指定されたと書いてあった。宗教の迫害にあった人々が逃避して岩山に穴居生活をはじめてしだいに地下都市を建設、それが現代にまで続いている。テレビで見たことのある人が少なくないだろう。周辺知識があれば、内容の見当がつくので、英文理解は精度を増す。ところどころ解説しておいた。

 面白い表現を見つけたので、生徒に質問してみた。
 tens of thouzands をどのように訳すのか?最低いくつから最大いくつの範囲なのかと。

 冠詞とともに、こういうところもおろそかにしてはいけない。比較のためにいくつか並べておこう。tens of thousands は幅が広いのである、十数万とも数十万とも訳せる。最初にあげたものはかっきり1万、2番目と3番目は数万である。

 ten of thousand
   ten of thousands
   tens of thousand
   tens of thousands
 
 こういう「遊び」が、文章の理解を深くすると同時に英語学習を楽しくするコツの一つなのかもしれない。おおいに遊べ。

*カッパドキア(観光案内)
https://www.club-t.com/special/abroad/turkey/spot.htm#spot_003

**カッパドキア(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/カッパドキア
 

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#3402 高3 Thinking Outside the box (2):本文 Aug. 29, 2016  [78.高校英語教科書を読む]

 'Lesson 11' の全文を転載し、後半部分を解説します。前半の2段落は前回#3401をご覧ください。

  Thinking Outside the box

1□ One morning in 2009, the newspapers above were delivered to households in several cities in Chiba prefecture. What would you do if you found one in your letter box?

2□ The newspaper was in fact an advertisement warning against telephon fraud. At that time, one hundred million yen was stolen every day.  The art directors who coceived this idea, Ajichi Mutsumi and Aoyagi Yumiko, considered that telephone fraud was continuing because people thought that they themselves could not be so easily deceived.

3□ The two designed an advertisement which resembled a newspaper with a ten-thousand-yen bill sticking out of the top.  When readers opened the newspaper, they found a headline proclaiming, "You never know when you may be deceived."  Many people thought the bill was real, but in fact, they had been taken in.

4□ The art directors knew that simply warning people about fraud was not sufficient.  Instead, they wanted readers to experience for themselves that anybody can be deceived.  By altering their approach, Ajichi and Aoyagi created a very effective advertisement.

 2□段落目までは検討がすんでいますから、3□段落目で生徒が引っかかったところを説明しておきます。
 'the two' は二人のアートディレクターですが、生徒は 'The two designed' を一塊の句であると思い込みました。ここでは定冠詞が重要です、前出の 'The two art directors' を指していますから、それさえわかれば文の構造は単純です。
  The two designed an advertisement
  (二人のアートディレクターが詐欺に誰もがかかる可能性のあることを体験させる実験をデザインしました)
 1万円札を挟んだ偽物の新聞を使った詐欺手口をこの二人がデザインしたのです。'with a ten-thousand-yen bill' で、「挟み込んだ」という意味が出ます。 'sticking out of the top' はどこにどのように挟んだのかを補足説明する句です。the top とあるので、定冠詞は新聞の上の部分であることを示しています。四つに折りたたんだ新聞の上部に1万円札が斜めに半分くらい見えて「目立つように」挟んだのです。写真がこのページの上のほうにあるので確認できます。
 stick out 「目立つ、人目を引く」、 「固定する、外側へ」と考えてもいいでしょう。写真にある1万円札はそういう状態になっています。
  stick は「貼り付ける、固定する」

 proclaimはpro(前に)+claim(叫ぶ)です。「世間に公言する」という意味です。claimerの原義は「叫ぶ人」だったのです。

 読者(they)は新聞の見出しに書かれた「だまされる瞬間は、ある日突然やってくる」という文言を見ます。たくさんの人が、紙幣は本物だと思った、しかし実際にはだまされて(had been taken in)しまったのです。

 ◎ "You never know when you may be deceived." 
  (人は自分がいつだまされるかわからないものだ⇒「だまされる瞬間は ある日突然やってくる」)
 この文は従属節ではなくて、主節に否定詞があります。

 ひとつ忘れるところでした。ここではbillは「紙幣」で「お札」を表していますが、billは請求書という意味でよく使われる単語です。
 少し脱線させてください。レストランで請求書にミスがあるときには次のように言います。
 There is a problem with this bill.
 problem は「困った問題」という意味です。文頭にI thinkを付加すると、もっと丁寧な感じが出ます。日本語でも長ったらしくやると丁寧な感じが出るでしょう。
 「申し訳ない」⇒「たいへん申し訳ありませんでした」⇒「ご迷惑をおかけして、たいへん申し訳ございませんでした」
 英語も日本語もこの辺りは共通しています。
 ⇒ I think there is a problem with this bill. Are you sure?(間違いありませんか?)
 言い方も大事です、こういう場面では怒ったようにいうのではなく、請求書を見ながらにこやかに優しく言いましょう。
 

 □4段落目にいきます。
 二人のアートディレクターは単なる警告文だけでは充分ではないとわかっていました。警告文よりも強い作用のある、誰でもがだまされうるという経験を読者にさせようと目論んだのです。

 ◎ The art directors knew that simply warning people about fraud was not sufficient. 

 この文は従属節に否定詞があることに注意。面白いですね。

 やり方を替えることで、味地さんと青柳さんはとても効果的な「アドバタイズメント=詐欺の典型的な手口を用いた周知方法」を創り上げたのです。
 advertisement は「周知方法」くらいがいいのかもしれない。

 第2段落で出てきた advertisement に後志のおじさんがコメントをしてくれた。
------------------------------------
①簡単な方からですが、
an advertisement は、衆知くらいのイメージですか。
電話詐欺に対する警告をしている衆知
訳「オレオレ詐欺に警戒をうながすためのもの」

個人が、営利目的ではなく、多くの人に何かを知らせる行為を表す言葉が日本語には見当たらないので衆知くらいしか思い付かないのですが、行政が行うなら広報ですね。advertisementはこうした行動まで含んでいます。広めること。(営利、非営利は問わない。)
------------------------------------

 慥かに、advertisement に対応する適切な日本語が見当たらないので、自然な和訳するのがむずかしい。周知という語彙は後志のおじさんの案をいただいた。明治時代の文人がやって見せたように、切れる日本語=簡潔な表現を見つけるのは至難の業、どうしても冗長な「説明的和訳」になってしまうのは、漢文の素養がないからだ。日本のインテリ層が漢文の素養を取り戻せる日が来るのだろうか。特に情報関係専門用語の訳語にカタカナ語が氾濫しており危機感を感じている。
(衆知は「多くの人がもっている智慧」ですから、漢字変換ミスでしょう、わたしもよくやっています。アップした後で気がつくたびに直しています。周知は「広く知れ渡っていること。また、広く知らせること」)

< 後志のおじさんへのお願い >
 ◎印をつけた二つの文は、否定詞notがそれぞれ主節と従属節にあります。原則、主節の方に否定詞をつけるように生徒たちは学校で習ったと思いますが、このように実際の文では「なんでもあり」です。
 後志のおじさんが快刀乱麻を断ってくれたらありがたい。わたしも生徒の一人になって解説を聞いてみます。


< タイトルの訳に挑戦してみよう >
 タイトルの訳が残っていた。関係のある文が第一段落にある。
 What would you do if you found one in your letter box?
 (郵便受けに一万円札の挟んである新聞があったらどうする?)

 Thinking Outside the Box

 the box は「郵便受け」のことだが、比喩だろう。小さな箱の中で考えるのではなく、箱の外で考慮中ということ。
 アートディレクターの二人が、だまされないように警告文を何度発信しても、自分はだまされないと思っている人がいるかぎり、だまされ続けるということを詐欺実験をすることで体験させることで一般の人々に知らせようとした。そのことが「箱の外で考慮中」ということ。
 角度を変えてみると、もうひとつの意味が見えてくる。自分はだまされないという小さな箱に閉じこもっていたら、詐欺被害に遭うから、「自分はだまされない」という箱の外、つまり「だれでもだまされかねない」という風に、箱の外で考えるということだろうか。

 「自分もだまされかねないという前提で考えよう」


< 余談: 通貨偽造は殺人罪よりも重罪! >
 右側のページを見ると、二人のアートディレクターがデザインした朝日新聞の偽物の写真が載っている。表側の見出しは、「だまされる瞬間は、ある日突然やってくる」、裏表紙には「こんな電話は、まず疑ってください」とある。どちらも下段に大きな太字で「千葉警察署」と印刷してある。こういうことだったのか。警告用の印刷物をただ配布したって効果がない、体験することで理解してもらいたいというのが二人の企画の要点。
 表の面にはオレオレ詐欺事件の新聞報道がたくさん転載されている、裏面にはオレオレ詐欺の注意事項が7項目箇条書きになっている。なんと素晴らしい企画だろう。
 ついでに言えば、紙幣が表半分だけカラーコピーした偽物であることを書き足してもらいたかった。そうすればもっと内容がよくわかった。紙幣のカラーコピーは表裏をやったら、紙幣の偽造になるので言及を避けたかったのかもしれない。ならば、そう付け足せばよいと思うのだが、罪が極端に重いからリスクを避けたのか?
 通貨偽造の罪刑法148条に規定があり、「無期または懲役3年以上の懲役に処する」となっています、重罪です。
 軽いいたずらでカラーコピーをしても、とんでもない重罪になります。殺人事件並みの重い罪だと考えてください。こういうことをちゃんと知らなければとんでもないことになります。高校時代はしっかり勉強してください。
 職場で不満があり、何度か放火した事件が根室でありました。放火が重罪だとは知らなかったのでしょう、知っていたらやるわけがありません。ちょっとした仕返しのつもりでやったことで、だれも怪我もせず、死ぬ人もいなくても、放火は殺人罪並の重罪です。
 たとえば、刑法108条に定める現住建物等放火罪は「死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役」です。2004年の改定以前は、殺人罪よりも重罪でした。
 これは昔、建物が木造で屋根も薄い板を敷いた柾屋根が多かったからです。風が強ければ町中の建物の半分が焼失するような大火が各地であったためです。
 高校時代に、こういう教材に接したときに、先生たちが通貨偽造や放火の罪について生徒にしっかり説明してほしいと思います。無知は大きな罪を引き起こすことがあります

 そういう観点からみると、英語の教員の採用を英米文学部出身に限定してはいけませんね。それこそ「小さな箱の中で考える」ことになります。英語の教員である先生たちは、こうした刑法に関する知識も必要であることを理解してください。いま知識のない人は、他の専門分野の本をたくさん読んで、一般常識と他の分野の専門知識を獲得してください。生徒たちが知っておかなければならないことはたくさんあります。己の無知でその機会を奪ってはなりません。プロの仕事とはそういうものだと思います。



*#3401 高3 :'Thinking outside the box' を読む(1) Aug. 28, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28


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#3401 高3 :'Thinking outside the box' を読む(1) Aug. 28, 2016 [78.高校英語教科書を読む]

 高3の英語教科書「Big Dipper」から、Lesson 11の標題の文とLesson 12の二つを8/26日に生徒と一緒に読んだが、冒頭の文からあまり見慣れぬ用例があり、そこで最初の頓挫。心配しなくていい、だんだん慣れるから。
 タイトルの和訳は宿題にした。3年生の教科書は和訳するのがむずかしい凝ったタイトルが多いね。

 One morning in 2009, the newspapers above were delivered to households in several cities in Chiba prefecture.

  青字のaboveが曲者である。
 householdsは「家計」と訳していたので、それでは日本語として意味が通らないので、普通の高校生が耳から聞いてわかるような日本語にするように指示。こういうところで普段読んでいる本の量や本の難易度の程度がばれてしまう。同じ文章の中にある単語と関連付けて訳語を考えていないことが明らかだろう。
 主語と動詞句を見つけて、修飾語は省いてまず骨格を訳せば、後はそれから考えたらよい。情報は「Time いつ」「Place どこで」が大切だ、この文は文末に来るはずの「いつ」が冒頭に来ている。場所を示す句が長いことへの配慮かもしれない。

 the newspapers were delivered to households

 「受身&過去」の簡単な文だ。
  「新聞が各家庭に配達された」
 householdsは「世帯」という意味がある。世の中では定期購読の新聞は世帯毎に配達されている。問題はaboveだが、名詞 'the newspapers' の後に置かれているから、機能から判断すると形容詞である。しかし、aboveを辞書で引いても「形容詞」とは書いていない、前置詞か副詞である。このページの上の部分に写真が載っている。17個のレターボックス(郵便受け)からはみ出すように朝日新聞と1万円札が見えるように新聞に斜めに差し込んである。
 だからaboveは副詞で「ページの上部」を指している。、

 ①the nwespapers [is] above were delivered to households
 ②the nwespapers [is] above [this page] were delivered to households

  深層構造を①と考えると副詞だし、②と捉えると前置詞である
  たくさん読めば、こういうイレギュラーな用例でもなんて事がなくなるが、英語が苦手の高3には手ごわかったようだ。多読が良薬である。量があるところを超えないと、頭から読めるようにはならない。どれくらいか?300ページの軽い小説なら、小・中学校時代に日本語の本の濫読を経験している者という条件付で、数冊だろう。

 『英語基本 形容詞・副詞辞典』から、同じ用例を探すとあった。
-------------------------------
above
3. 形容詞用法 通常限定的に用いられ、後置修飾も可能。このaboveを副詞とするものがあるが、ここでは形容詞として扱う。
ⅱA above 上〔階上、上述〕 the court above 上級裁判所
  The cloud above were moving fast. [上空の雲は速く動いていた]
-------------------------------

 GENIUS4版には形容詞用法は載っていない、『英語基本 形容詞・副詞辞典』は優れものだが、価格が15,120円と高いので高校生が買える辞書ではないだろう。先月亡くなった根室出身の翻訳家・著述家、柳瀬尚紀氏が6年前に弊ブログ投稿欄で薦めてくれた。

 表層構造をみると、名詞に後置されているので、名詞を修飾する形容詞と理解するしかないが、一段階文法工程を下げれば、副詞か前置詞であることがわかる。そういう議論は一般の高校生には不要だろう。しかし、将来、柳瀬尚紀さんクラスの大物になる生徒がいるかもしれぬ。
*#3385 柳瀬尚紀さんの訃報  Aug. 3, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-08-03-1

 スラッシュを入れて和訳文を書いておく。
 「2009年のある朝/上の写真にあるように新聞が各世帯に配達された/千葉県の数都市にある(各世帯に)」


 第2段落には3つの文があるが、三つとも解説が必要だった。

 The newspaper was in fact an advertisement warning against telephon fraud. At that time, one hundred million yen was stolen every day. The art directors who coceived this idea, Ajichi Mutsumi and Aoyagi Yumiko, considered that telephone fraud was continuing because people thought that they themselves could not be so easily deceived.

  最初の文からいこう、advertisementを生徒は「広告」と訳したので、どういうことか日本語で敷衍してみてごらん、そう指示した。「広告」と訳した生徒の訳文では日本語として意味が通じないことがすぐに了解できる。そういう「非文」のままで何も感じないのは日本語ののセンスに問題があるということ。
 新聞に電話詐欺(おれおれ詐欺)の「広告」があるわけがないことは一般常識に属しているが、その常識が電子辞書を引いたとたんに消えうせ、辞書の先頭に載っている訳語を充てて訳したつもりになる高校生や大学生は少なくない。

 「夢単」で暗記しても、実際の英文ではその訳語が使えない場合がままある。GENIUS4版には「②好例」という訳語が載っている。文脈をチェックして、「夢単」の訳語で間に合わないときは、簡単な単語でもすなおに辞書を引くべきだ。それでも足りない場合は、意味がイメージできたら、自分の日本語語彙の中から適切な日本語を選択すべきだ。このときに、語彙が貧弱だと適切な訳文にはならない。

 冠詞の重要性はこの文でも際立っているから、最初のtheを見落としたら意味はまったくつかめない。それほど定冠詞のtheはこの文の意味をつかむ際にキーとなっている。'the neswpaper' は写真にある上から斜めに飛び出すように一万円札の挟んである新聞のこと。

 「実際に、(写真にある一万円札の挟んである)その新聞は電話詐欺への警告の典型例であった」

 これがちゃんと日本語にできた生徒は、進研模試の偏差値が60を超えているだろう。わかりやすい単語が並んだ簡単な文にみえるが、そうではなかった。
 文脈が読めない生徒は意味を理解できない。だから、ある程度の難易度の日本語のテクスト(本)をたくさん読まなければいけない(濫読のススメ)。
 先読みしながら音読する、文脈を理解しながら音読トレーニングをして、先読みスキルや文脈把握スキルを上げれば、この程度の英文はやさしい部類に変わるだろう。中学校を卒業するまでに濫読期を経験した者は英文の読解に抜群の強さをはっきする。それは濫読の結果、語彙力が豊富なのと、言語に対するセンスが磨かれたからだろう。

 2番目の文の At that time は、冒頭の文に示された「2009年当時」である。thatは指示代名詞だが、何を指しているかは常に意識すべきだ。「そのときに」なんて訳をしていたら、いつまで経っても英文読解力が上がらないから要注意。
 金額単位は10^3=thousand、 10^6=million、10^9=billion、10^12=billion(兆)であることぐらいは知っておこう。日本は10^4=万、10^8=億、10^12=兆だから4桁ごとである。

 'The art directors' という職種はは解説が必要だ。

美術表現、芸術表現をもちいた総合演出を手がける職務を意味する。 商業活動のなかでは、広告、宣伝、グラフィックデザイン、装幀などにおいて、主に視覚的表現手段を計画し、総括、監督する職務である。」 ウィキペディアより

  The art directors who coceived this idea, Ajichi Mutsumi and Aoyagi Yumiko,  
 
 青字の部分が前の文の訳が適切であることを保障してくれている。ふたりのアート・ディレクターが思いついた「このアイデア」とは、写真の一万円札の挟んである新聞のことだ。味地さんと青柳さんのふたりがこのアイデアを思いついた。

 The art directors [who coceived this idea, Ajichi Mutsumi and Aoyagi Yumiko,] considered that telephone fraud was continuing [because people thought that they themselves could not be so easily deceived].

  動詞だけをピックアップすると、
 conceived, considered, was continuing, thought, could not be
  ずいぶんたくさんあるね、「5つの節+挿入句」から成り立っているということ、こういう文が苦手な生徒が多いのは当たり前だ。新聞英語はインテリの大人向けの書き言葉だからこれくらいの文はごく普通に出現する。
 関係節と言い換えを[ ]で括ると、文の構造がはっきりする。because以下は、「電話詐欺が引きも切らない」のはなぜかという理由を付け足している。後ろの文は常に前の文あるいは単語の補足説明である。これが英語の文の一般原則。

 「電話詐欺がなくならないのは、人は自分がそんなに簡単にはだまされないと思っているからだと、このアイデアを思いついた二人のディレクターは考えた。」
 
 文の中に文がいくつも埋め込まれているので、構造が複雑になっているので、考える材料としてはいい。
 必要な範囲で、深層構造の文にブレイク・ダウンしておく。
1) The art directors coceived this idea.
2) The art directors are Ajichi Mutsumi and Aoyagi Yumiko.
3) The art directors considered something.
4) Telephone fraud was continuing.
5) Because people thought something.
6) they themselves could not be so easily deceived.

 主節は(3)の文である。ネイティブはこの文を頭から読んで理解するが、無意識下で深層構造に分解しながら読み進むのだろう。慣れたらわたしたちにも可能だ。そのためには英文テクストの濫読を経験するのが一番よい。自分が読みたいと思う本がある人は断然有利だ。好奇心の強い者は上達も早い。

 ちょっと気になる箇所があるので、採り上げたい。

 people thought that they themselves could not be so easily deceived.

 この文は次のように書くのが普通だと思う。

 people didn't think that they themselves could be so easily deceived.

 たとえば、レストランのレジで、思いもかけず金額が高かったので、レシートを確認したらオーダーしていないものが含まれていた、そのときに「これは注文していないと思うんですが」という文は次のようになるだろう。
 I don't think I order this.

 従属節に否定詞をおくのではなく、主節に否定詞をおくのが会話文の慣用である。
 このように従属節ではなく主節に否定詞をおくのが自然なのかもしれないが、従属節に否定詞をおいた文もある。一文には否定詞がひとつだけというのが原則だから、どちらもこの点からは原則違反ではなく、ありだとすると、どのように使い分けるのかという問題がある。ここはぜひ後志のおじさんの意見を聴いてみたい。


< 語源知識 >
 conceive と deceive が似た単語であることは気がついただろうか?
  con(しっかり)+ceive(取り込む)⇒ 考えつく、思いつく、妊娠する
  de(外す)+ceive(取る)⇒ 取り間違いさせる、欺く
 語幹が同じで接頭辞の違う単語は、おなじみの re(再び)ceive(取る)⇒「受け取る」がある。conceiveの派生語である conceivable(想像できる)、inconceivable(想像できない)の二つも覚えられたら関連付けて覚えてしまおう。
 GENIUSの大判には各単語に語源が載っているが、値段が17,820円と高い。簡便なものだと『イメージ活用英和辞典』(小学館、2008年初版、2,592円)がある。これくらいなら、高校生にも手が届く、上記の説明はこの辞典から転載した。

 こんな調子で解説していたら、あと3回書かなければならない。第3段落と第4段落はさらに文章が込み入っており、さらなる読解力が試される。これぐらいで切り上げておこう。



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#3387 高2 Further Reading 1 を読む  Aug. 6, 2016 [78.高校英語教科書を読む]

 正午の気温は26.1度、南南西の風5.1m/sec、涼しげに風が吹いている、根室の夏は最高、日本一涼しい!

 高2の生徒が教科書の Lesson 10 を終了して、木曜日(8/4)に付録の短編小説 'A Retrieved Reformation' を読み始めた。これは二つある短編小説の内の最初のもの。2年の教科書をあと2回で読み終わり、3年の教科書を3~4ヶ月間かけて読み切る予定だ。そのころには、長文への苦手意識が消滅して英文に慣れ、長文問題は得点源に変わっているだろう。
 この特訓をはじめたのは学校祭(7月初旬)が終わってから。1ヶ月間ほど読んでいるので、生徒が読めていないところがだいたい見当がつくようになってきた。文構造が多少複雑なものと熟語が苦手なようだから、そこに焦点を絞った解説をすればよい。テーマによっては周辺知識の解説も重要である。
 引っかかるところは共通しているだろうから、長文が苦手だと思っている高校生の役に立つことを願っている。

 156~158ページまで、7箇所引っかかった、そのうち質問があったのは(1)を除く6箇所。

(1) He was a big man, and famous for his skill at solving very difficult and important cases.

(2) He was the only person who knew how Jimmy did the job.

(3) People with safes full of money were glad to hear that Ben Price was at work trying to arrest Mr. Valentine.

(4) Jimmy Valentine looked into her eys, forgot at once what he was and became another man.

(5) Jimmy saw a boy playing on the steps of the bank and began asking him questions about the town.

(6) The clerk was so impressed by Jimmy's clothes and manner that he kindly gave him as much information about the town as he could.

(7) "Mr. Spencer" told the hotel clerk that he would like to stay in the town for a few days and look over the situation.

---------------------------

  最初の文は質問がなかった。カンマがあるのとないのとではどのような違いがでるのだろう?そんなことがわたしは気になる。「カンマの用法」なんてものは関係代名詞の非制限用法にしか出てこない。「, and」用法なんてことを説明している受験参考書はない、だから、受験勉強としては必要ないのだろう。でも、...気になるから、俎板(まないた)に載せるのでお付き合いいただきたい。

 He was a big man and [he was] famous for his skill

 カンマなしでandでつながれていたら、「ビッグマンでかつ有名だった」ということ、これら二つは同格である。 ではカンマがある本文の意図するところはいずこにありや?
  カンマありの文を見よう。

 He was a big man, and famous for his skill

 カンマは本来「区切り」を表している。カンマで切れているから、同格ではない、後ろに続く節は前の名詞句 'a big man' の補足説明である、これが英語の語彙配列に関する一般原則のひとつ
 大学受験英語で唯一カンマのある文が採り上げられているのは関係代名詞の非制限用法である。関係節はカンマの直前にある名詞句の補足説明になっているから、同じ用法だと理解してよい。次のような訳文が適切だろう。

「彼はガタイの大きな男で、むずかしい重大事件を解決する能力があることを誰もが知っていた」

  and以下は付加情報である。

 his skill at solving very difficult and important cases

 at 以下の前置詞句は直前の名詞句 his skill の補足説明であるら、これも語彙配列の一般原則に従っている。
 ちょっと手の込んだ文である。
---------------------------

 2番目の文は生徒から質問があった。how 以下の文意がつかめなかった。
(2) He was the only person who knew how Jimmy did the job.

 onlyがついたら、関係代名詞はthatだと習ったのではないか。『表現のための 実践ロイヤル英文法』270ページ「128c that が比較的好まれる場合」の項に次のように書いてある。

「次のような場合にはthatがよく用いられるが、thatでなくてもよい。 ①先行詞に最上級、first、only、best などがついているとき」

 whoでもthatでもよいのである。江川泰一郎『英文法解説』でも同じ扱いである。学校の定期テストの問題に、onlyの場合は関係代名詞はthatでなければバツにする先生がいるかもしれない。いたら、「thatでなくてもよい」のですと言おう。それは単なる勘違いなのだから。

 さて、意味を明瞭につかむために文を三つに分解してみよう。

① He was the only person (彼が唯一の人)
② He knew somthing (彼は何かを知っている)
③ how did Jimmy do the job. (ジミーが仕事をどのようにやるか)

 「彼(ベン)はジミーの手口を知っている唯一の人間だった」

 ③の文はシンプルセンテンスではないが、意味をつかむためにはここまでで充分、必要以上に分解する必要はない。
---------------------------

 三番目の文は、構文が少し複雑である。動詞がたくさん使われているが、本動詞はどれ?文を見るときには、主語は何か、本動詞は何か、そしてその動詞は「現在か過去か」「進行相か完了相か」「能動態か受動態か」「仮定法かそうでないか」、これらのことを常にチェックしながら読もう。

(3) People (with safes full of money) were glad to hear that Ben Price was at work trying to arrest Mr. Valentine.

 どれが主文の主語と動詞なのかの判断がつけば、簡単である。慣れないとすぐにはわからないから、たくさん読んで慣れよう。

① People were glad to hear something
② Ben Price was at work trying to arrest Mr. Valentine.

 ようするに、「人々が何かを聞いて歓んだ」というだけの文である。括弧でくくった前置詞句を文に書き直すと、
 People have safes. (人々は金庫をもっている)
  They(safes) are full of money. (金庫にはお金がびっしり詰まっている)
 at work [which is] trying to arrest Mr. Valentine

 主語は「金庫の中にお金をびっしり溜め込んでいる人たち」
 「ベン・プライスがバレンタインを逮捕しようと仕事に取り掛かっていると聞いて、金庫にびっしりお金を溜め込んでいる金持ちたちはよろこんだ。」

---------------------------

 意味がつかめない、つまり、シーンが具体的にイメージできないという質問があった。こういう小説を読むときには、シーンがありありと脳内に再生されていなければ理解したとは言えない

(4) Jimmy Valentine looked into her eys, forgot at once what he was and became another man.

 言葉からイメージをつむぎ出せたら、いい場面なのである。この短編小説のタイトルの解釈にも関わる重要なシーンだ。構文的には難しいことは何にもないし、わからない語彙もひとつもないだろう。
 「A, B and C」という構造の単純な重文である。起こった順番そのままに並んでいるだけだから、脳内にイメージができるか否かが勝負の文だ。素直に読んだらいい。
 
① Jimmy Valentain looked into her eyes. (JVは彼女の瞳を覗き込んだ)
② He forgot at once something. (彼はすぐに何かを忘れた)
③ what was he? (彼がどんな仕事をしていたのか)
④ He became another man. (彼は別の人間になった)

 ②の at once は forgot を修飾する副詞である。「瞳を見た瞬間に忘れた」という意味だ。3番目の文が理解できなかったのだろうと推測する。中1で出てくる簡単な文が、こうして埋め込み文で使われると形に惑わされて知っているはずの情報と結びつかない。

 What is he? (彼は何者?=彼の職業は何?)
  Who is he? (彼は誰?⇒個人的な関係は?)

 「ジミーはアナベルに一目惚れしたのだ。恋の力は偉大だ、それまで金庫破りを生業にしてきたが、その技術を頭の中から棄て去って、別の人間になったのである。アナベルに出遭った瞬間の出来事だった。」

 ジミーはアナベルに一目ぼれして、それまでの金庫破りという生業をやめたのであるが、それは改心したからではなく、恋心からだった。作者はこの元金庫破りがすでに改心していることを金庫に閉じ込められた少女を救う場面で示す。金庫破りのジミーはすでに過去のものであり、そこにいるのは別の人間、ラルフ・スペンサーである。ジミーを追っていた探偵のせりふがにくい。短編の題名は含意が深くお洒落だ。生徒はこのタイトルからどういう日本語をつむぎだすのか、楽しみだ。

    A Retrieved Reformation

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 文脈を読みそこなったので、playing の適切な訳語が思い浮かばなかったようだ。

(5) Jimmy saw a boy playing on the steps of the bank and began asking him questions about the town.

 重文構造で最初の文はSVOC、第5文型である。「少年が遊んでいるのを見た」後の文は第3文型なのだが、beganの目的語にaskingという4文型動詞が使われている。動名詞句が目的語になっている。

① Jimmy saw a boy playing on the steps of the bank
①-1 a boy [who is] playing on the steps of the bank
② [Jimmy] began asking him questions about the town
②-1 Jimmy asked the boy questions about the town

  「主格の関係代名詞+be動詞」は省略されるから、名詞を修飾している分詞句が後続する形になる。play the guiter, play soccer, play with dhildren, play a role, etc
 子どもの世界ではplayは「戯れる」がコアイメージであるが、大人の世界ではときに違う意味合いを帯びる。playboy, playgirl は恋の駆け引きの好きな男と女を表す。ここでは a boy と書いてあるから、「戯れる」でいい。
 ②のhimは a boy を指している。

「アナベルの父親の経営する銀行の正面玄関の階段のところで少年が遊んでいるのを見とめると、その少年に町についていくつか尋ねた。」

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 この文も意味がわからないと質問のあった。代名詞が多用されているので、「彼が」「彼に」「彼は」と訳したのでは、訳した生徒自身も意味がつかめない。

(6) The clerk was so impressed by Jimmy's clothes and manner that he kindly gave him as much information about the town as he could.

 この文は構文が多少複雑だが、難しいのはそこではなく、代名詞の多用にある。代名詞を代名詞のまま「彼」と訳出したのでは何がなんだかわからない。英語は代名詞で置き換えることになっているからそうなのであって、日本語に置き換えるときは原則としてもとの名詞を意識しろと生徒には普段から指示している。代名詞は元の名詞を日本語訳に当てはめるようにさせているのだが、それができなければ訳は完成しない。
 ここで登場する人物は二人だけ、元金庫破りのジミー(ラルフと別名を使っている)とホテルのクラークである。
 so~that の解説は不要だろう。as 以下はどれだけ kindly かの程度を表す補足説明である。「as~as」文だから、これも受験参考書の範囲だ。

 he kindly gave him as much information about the town as he could [give him].

  代名詞を識別するために、[ ]書きで元の名詞を挿入すれば文意は簡単だ。

 The clerk was so impressed by Jimmy's clothes and manner that he[the clerk] kindly gave him[Jimmy] as much information about the town as he[the clerk] could.

「ホテルの客室係りはジミーの身なりとマナーのよさに魅了されて、自分が知っているこの町の情報を全部ジミーに話した。」

 日本語の小説をたくさん読んでいる生徒は、こういうときに文脈の読み方が適切だ。濫読期を経験している生徒は、代名詞が指示している名詞を混乱なく理解できることが多い。「文脈把握力」は母語で書かれた文章を多読することで磨かれる能力である。読書量の多寡が文脈把握力を決定している。受験勉強のみでは、英文を読む能力は高(たか)が知れているということ

 クラークがフロントマンか客室係かはわたしにはわからない。ホテルの規模にもよるだろう。客の身なりやマナーで値踏みして、相応の部屋を勧める。そういうプロから見ても、ジミーはちゃんとした身なりで育ちのよさそうな青年に見えた。だから、クラークは警戒心を解除して自分の知りうるこの町の情報を洗いざらいジミーに話したのである。怪しげなところがちょっとでも見えたら、ホテルのクラークがそういう情報を見知らぬ客に与えるはずがない。もし何かあれば自分の信用が根こそぎ失われる。ジミーの身なりとマナーはクラークの警戒心を完全に解除するほど板についていたと作者は言いたいのだろう。
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 次の文も質問があった。look over の意味がわからないという。生徒は電子辞書を利用しているが、紙の辞書はもっていない。近頃こういう生徒がほとんどである。中学校の授業で英和辞典を使わないから、こういう弊害が出る。高校生になるといきなり電子辞書を使い始める。電子辞書では熟語が引けないと生徒は言うが、使い方を知らないだけか、引き方が面倒なだけだろう。

(7) "Mr. Spencer" told the hotel clerk that he[Mr. Spencer] would like to stay in the town for a few days and look over the situation.

 Mr. Spencer が the clerk に言った。

 "Mr. Spencer", the hotel clerk told him[Spencer] that he[Jimmy] would like to ... 

  over の意味、空間的な位置関係がわかれば、lookと組み合わせることで、意味は推測がつく。overは「上を覆っている」「何か障害物があってその向こう側」「高いところから見下ろす」というのがコア・イメージだ。lookと組み合わされて、「高いところから見る⇒調べる」と意味に推測がつけられるようになればいい。ここでは look over the situation だから前置詞である。定冠詞がついているから、「数日滞在して、ホテルのある町の状況をつぶさに調査したい」という意味だ。

「Mr.スペンサーはホテル・クラークに次のように言った。数日間滞在してこの町の状況をつぶさに調査したい。」

 HN「後志のおじさん」は、冠詞類や前置詞・副詞をネイティブ並に使いこなせるようにという、遠大な目標を立てて、修行をいまも怠らない「英語の達人」である。動詞のコアイメージだけでなく、前置詞や副詞が示す空間的な位置関係のイメージとそれが動詞と組み合わさって派生してくる「句動詞」の意味もネイティブ並に理解する修行を積んでいる。そういう努力は高校生だってして悪いわけがない、いや若い人ほど効率的に習得すべきだ。
 夏休みだから、田中茂範著『わかる 覚える 使える 英単語ネットワーク 前置詞・編』に目を通してみたらいい。数冊類書があるが1冊だけを選べといわれたらこれ。日本語にない機能である冠詞についても一冊読んでおきたい。冠詞を解説した本は数冊もっているが、これといったものがない。

 紙の辞書はその項目の全体が一覧できるので便利だし熟語を引くのも簡単。電子辞書は不便なところもある。
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<文の構造のおさらい>
(1) 重文
(2) 埋め込み文×2
(3) 名詞修飾語(前置詞句)、hearの目的語が節構造となっている。
   熟語のat work は「仕事中」
(4) 重文+埋め込み文
(5) 主語の倒置と代名詞の多用+重文
  熟語 look over

 最初の内は、ノートに書いて、必要な程度にシンプル・センテンス(あるいはシンプル・センテンスへといたる途中の文)に分解して文意をつかんだらよい。慣れてくれば、頭から読んでも、自動的にシンプル・センテンスに分解しながら読めるようになる。数をこなして慣れることが大事だ。
 慣れてきたら、英文を頭から読み、先読みしながら、英語を英語のイメージのまま理解するようにステップ・アップすればよい。



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#3384 syntax(統語論)をめぐって(2)  Aug. 3, 2016  [78.高校英語教科書を読む]

 高校生や大学生が「普通の英文」を読むときに、頭から読むのが難しい文がたまに出てくる。どういう種類の文かというと、それは「構文」という観点から見ると二つに分かれる。
 慣用文とか、専門知識の有無とか背景に関する知識の有無なども文を読み解く上で重要な要素ではあるのだが、ここでは「構文」という観点からのみ、読みづらい文を取り上げ、それを読み解く技術を呈示してみたい。

 前回、二つの文例を示した。出展は大野照男『変形文法と英文解釈』千城書房(昭和47年刊)である。1975年(昭和50年)に大学院入試の3週間前にめぐり合った本である。会うべくして出遭った本に思えた。

(1) You who read are the final judge of the value to you of the book you are reading.
(2) A cow is easy to milk.

 どちらの文も難解な単語はひとつもないが、syntaxは複雑である。
 最初の文は新聞英語では頻出する。名詞に修飾節がぶら下がっていて、どれが本動詞かすぐに理解できる高校生は少ないだろう。関係節の埋め込み文が2箇所あるが、わたしが見た限りで、高校教科書で埋め込み文は2箇所以上のものはなかった。新聞英語では3箇所あるものが時々出てくるので、面食らう高校生が多い。
 2番目の文は、1ヶ月ほど教科書の読破トレーニングをしている高校2年生がすんなり読み解いた、これには驚いた。英文を読む感覚がこんなに急によくなるとは予想していなかった。
 (1)の文は文の主要素だけを取り出すと、Ⅱ文型の簡単な文である。

  You are the final judge

 これにごちゃごちゃと飾りがついているだけ。
 著者の大野照男の説明を引用する。

--------------------------------------
 この文は、これといった難解な単語を持っていないが、その文法的技術はかなり複雑で難しい。この短逸文も五つの minimum sentences からなっていることを見抜けなければ、その意味を正確に理解したとは言えないだろう。まずその表面構造を分析しよう。

〔You (who read)1 are <the final judge of《the value>2 to you of the book》3 (you are reading)45

  関係節を( )で示し、文状名詞句を< >で示し、土台文を〔 〕で示した。それらを文に戻してみると、
      1. You are the man.
      2. You read.
      3. You finally judge the value.
      4. The book is valuable to you.
      5. You are reading the book.

 となろう。したがって、この文は例文1の修飾構造(Noun Modification)と、例文3の文状名詞(Nominarization)の双方の文法技法がからみ合って one sentence を形成している。
 したがって、読みにくい文とは、より多くの Clause の連続(例文2のタイプ)の文とうよりも、多くの文がいかに統合されて単一文を形成しているかということにあると言えよう。
        同書11ページ
〔読書をするあなたが、いま読んでいる本があなたにとって価値があるかどうかを最終的に判断する人なのです〕
--------------------------------------

 2番目の文に移ろう。
--------------------------------------
 A cow is easy to milk.

  は、きわめて抽象的な文構造をなしているが、Native speakers には、別に苦労といったものをも感ずることなく、その意味を理解してしまう。しかし、我々にはそれが簡単ではない。ここに考えられることは、この表面構造を形成している'内'なる知識を、母国語話者は無意識のうちに内在化してしまっているが、我々にはそれがないということだろう。この内在化されているもの、つまり、その言語を創造(create)していける言語能力(我々は日本語を生成していく言語能力はすでに有してしまっている)を身につけていくことが、本来の意味での外国語学習ということになろう。
 その概念構造(以後、本論では基底構造と呼ぶ)から、表面構造に至るプロセスを概略しるせば、およそ次のように考えることができるだろう。

 a. We milk a cow.
  b. It is easy.
  c. It <we milk a cow> is easy.
     It <for us to milk a cow> is easy.
     It is easy for us to milk a cow.
     It is easy to milk a cow.
  d. A cow is easy to milk.

 ...
 特に英語を母国語とする者が、reading をしていく場合、そこに生じたさまざまの表面構造を次々に内面構造に戻して読んでいるのであり、その点を考え合わせるならば、我々の英文解釈が、表面に生じた構造のみを追いかけていたのでは、真の理解に達することはないと断言してもよいのではないかと思う。
   同書12ページ
--------------------------------------
 
 とくに付け足すことはない。高校英語の教科書なら、1ページにひとつか数ページにひとつしか変形文法を使って解説すべき箇所が現れない。テクストの難易度が普通の英文よりもずっと低いからである。これが Japan Times クラスのレベルになると13個の段落程度でも、数箇所解説の必要のある文がでてくる。説明するほうがしやすいのと、生徒が理解しやすいという二つの理由で、わたしは変形文法を利用している。

 分詞構文について、安井稔『英文法総覧』では、文末に来る分詞句を等位接続(重文構造)と言い切っているが、従属接続の分詞句の例文が『変形文法と英文解釈』には載っている。この点は後志のおじさんがハリーポッターからの引用文ですでに指摘したことでもある。
 ついでだから8ページにある「例文3」を「文状名詞 nominalization」を紹介しておきたい。

 3. I went home early and brought some more enamel paint --- black time --- and spent the evening, touching up the fender, picture-frames...
 (私は早く家に帰って、もう少しペンキを手に入れた。こんどは黒にした。そして暖炉の囲いや、額縁を塗ったりして夜を過ごした。)   8ページより

 大野は英文解釈上の5つの困難に対応する英文を挙げて論じている。
「以上、五つのタイプのむずかしさを考えてみたが、これらの文から考えられることは、1)歴史的知識、2)社会的知識、3)日常生活、4)慣用表現、5)文の統語論的知識、といった諸相が挙げられる。」 8ページ

 大学受験をする高校生がもし経済学部が志望学部なら、JT紙の経済記事には目をとしておくべきだろう、理科系ならば、健康関連記事、温暖化記事、天体、医学や医療に関する記事など、科学関連記事には目を通しておいたほうがよい。周辺知識やその分野の語彙を知っているといないとでは、英文の理解に関わってくるからである。

 分詞構文について、前回ブログ#3383で後志のおじさんとの議論を紹介したが、高校生・大学生用に書かれた『英文法総覧』では、分詞句の説明に足りないところがあることが判明した。『変形文法と英文解釈』にはちゃんと記述があった。
 受験参考書はある限界の中で書かれたものだから、余力のある生徒は『変形文法と英文解釈』のような専門書にも手を出してみたらよい。最初はピンと来なくても、背伸びして読み進むうちにわかってくる。

 『変形文法と英文解釈』はよい本だが、とっくに絶版になって手に入らない。安井稔氏が変形文法を利用した英文解釈で類似の本を出している。わたしはまだ読んでいないが、紹介だけしておきたい。

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#3380 高1英語教科書読破トレーニング(2) July 30, 2016 [78.高校英語教科書を読む]

 第1段落だけで一回目が終わってしまった。2回目は第2~4段落を扱う。Part 2はとくに新たに解説すべき事項がないのでカットした。

  Now, clean types of energy are becoming popular. For our environment, this way of making electricity is kinder than the use of fossil fuels.

 主語と動詞を見つけ出すように指示してある。動詞の訳は、目的語とセットで考えなければならないことは前回書いた。
 主語を「エネルギーのクリーンタイプ」と訳すと日本語がこなれないので、頭から「クリーン・タイプのエネルギーは」と訳すほうがよい。生徒はpopularを「人気」と訳したが、AKB48ではないのだから、「普通になってきた」くらいがいい。進行相であることはイメージに関わるから押さえておこう。「~している最中である」というのが進行相の共通のイメージ。発電設備が新設されるときには、クリーン・タイプのエネルギーが当たり前になってきているという状況を想定すればよい。

 この段落の2番目の文章は後志のおじさんがよく言っていたもの。たくさんの英文を読んできたからこういう一般化ができたのだろう。

  Adv.P+S+Adv.P

 要するに副詞句は前あるいは後ろに来るということ。副詞句には場所を表すものPlace、時をあらわすものTimeの順序、理由をあらわすものなどがある。要するに、動詞句を修飾している。Ⅲ文型でいうと、次のようになる。

  S+V+O+Place Phrase+time Phrase

  表層構造の文例を集めると副詞句が先頭に来る場合が頻繁に出てくる。しかし、深層構造では副詞句は文末である。「単純なものからより複雑なものへ」というデカルトの「科学の方法」の順序に従えば、副詞句は文末が基本ということになり、文頭に来るのは深層構造に強調変形操作を加えたということ。

 文頭に出された副詞句は、話の焦点がそこにあることを強調している。「わたしたちの環境にとって」どうであるのかというのが焦点である。比較級の説明は要らないだろうから省略する。
 生徒には2番目の文を二つのシンプルセンテンスに書き直して、再びそれを統合してみせた。生成変形文法のやり方だが、数学が得意な生徒はこういう説明が理解しやすい。
 「kind」を「親切な」「種類」とだけしか覚えていなければアウトだ。文脈を常にチェックして、意味が通じないときは、辞書を引くこと。そういう習慣が英語の学力を上げるために重要である。文脈を読むことに慣れてくれば、辞書を引かずとも「環境に・・・やさしい」と読めるようになる。化石燃料の利用よりも、クリーンエナジーのほうが環境にやさしいに決まっている。だから、文章の文脈を読み、つねに次の展開を予測しながら読むとストレスが少なくなり、速度が上がる。

 ここでも日本語のテクストを読むときに使っている技、「文脈読みの技」が応用できる。日本人でありながら日本語テクストの文脈読みができない者に、英文の文脈読みができるだろうか?
 高校生になってから英語の学力の伸びがストップしてしまっている生徒は、国語力をチェックしてみたらいい。日本語の「読み・書き」能力の大きな生徒は高校生になってから、英語のみならず「学力全般の伸び代」が大きいというのは塾先生たちに共通する意見だろう。

 3段落目を取り上げたい。タイトルを読まなかったために、この段落の4番目の文の訳が、次のページを見るまで合点がいかなかった。高1の教科書でも、ちゃんと手順に従って読めということ。

 However, we have some problems to solve. Solar energy generation doesn't work at night. It is also influenced by the weather. But the newest ways to make electricity only need our everyday actions.

①  we have some problems
②  we should solve them.
③  we have some ploblems [which we] should solve.
④  we have some ploblems to solve.

 ①と②の二つのシンプルセンテンスに分解してみた。「意味はシンプルセンテンスにあり」、②のセンテンスが④の文では句構造になって組み込まれている。
 英語だから we have と書くのであって、こういうケースでは日本語にするときには訳出の必要がない。
 「解決すべき問題がある」
 
 2番目の文は単純現在形であることに注意を払おう。生徒はgenerationを「同世代」と訳してしまった。わたしは文脈から判断して「発電」と訳したが、生徒にGENIUS4版を引かせたが適切な訳語がない。
 Solar energy generation doesn't work at night.

 generation: ①同世代の人々。②世代。③出産・生殖;(電気・熱・ガスなどの)発生

 「太陽エネルギーの発生は夜には働かない」では日本語の文章としてはまずいだろう。
 CALDを引くと次の説明が載っている。
generation: ④the production of energy in a paticular form (特定のやり方でなされるエネルギーの生産)
     Erectricity generation from wind and wave power 

 「太陽エネルギー発電は夜間は使えない」

 太陽が出ていなければ、太陽発電ができないことは、今も昔も変わらぬ物理的な事実である、つまり「普遍的な真理」、それゆえ、単純現在形でしか表現するのが英語の作法。 

 三番目の文はalsoの訳しかたを説明しただけ。「同時に~にも」と訳すと格調が高くなる。代名詞itは元の名詞に置き換えて訳そう。
 「同時に、太陽エネルギー発電は天気にも左右される」

 四番目の文が面白い。単純現在形であることに注意して読もう。
But the newest ways to make electricity only need our everyday actions.
 
 主語の'the newest ways' とは to不定詞句が示すように「最新の発電方法」である。それが、「わたしたちの毎日の行動を必要とするのみ」という意味が理解できなかった。何を言っているのか、イメージが浮かばなかった。
 後に続く句やセンテンスは前の語句やセンテンスの説明であるから、次のページを見て納得がいった。地面に敷いてあるパネルを人間が踏むと、その圧力で発電できる装置の写真が載っていた。当然、説明文もあった。橋の下に設置して、車が通るときの振動で発電して、橋に設置されている照明に電力を供給するものもある。化石燃料も要らない、太陽エネルギーや風力などの自然エネルギーも要らない、もっぱら人間の日常活動を利用した発電方式がありうるのである。

 章のタイトルをちゃんと見ておけば、すぐに具体的なイメージがわいただろう。(化石燃料にも、太陽エネルギーにも、風力にも依存しないで)わたしたちの日常活動から電気が起こせると書いてある。canは可能性を言っているのだから、それが具体的に何なのかが、この章のテーマであることがわかる。タイトルおろそかにすべからず。

    'Our Actions Can Make Electricity'
    
 ここまでで、Part 1が終了である。次のページはPart 2であるが、特にあらたに解説すべき事項は見当たらないので解説はこれで終了したい。

 わかりやすい報告書や協議書、稟議書を書ける者は英文の翻訳にもちゃんとした日本語が使えるのではないだろうか。
 生徒から聞いている限りでは、学校の授業では本文の解説があまりなされていないようだ。この十年間で生徒たちの学力が落ちているので、もっと本文の解説と和訳に力を入れてもらえないだろうか。社会人となったときの作文能力の高低は仕事に少なからぬ影響がある。

<余談>
 1990年に出版された 'Global warming The Greenpeace Report' Edited by Jeremy Leggett、Oxford Paperbacks が本棚にあった。もう26年前に買った本だ。このころ地球湯温暖化や環境汚染、生態系に関する本を好んで読んでいたようだが、この本は150ページほど目を通しただけ。554ページの本に文献ノートが63ページもつけられている。 

Global Warming: The Greenpeace Report

Global Warming: The Greenpeace Report

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr (T)
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