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#4045 国と国も「売り手よし、買い手よし、世間よし」で July 26, 2019 [8. 時事評論]

<最終更新日時>
7/27 18:45

 日本人は江戸時代から、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という商道徳を家訓に掲げて商売にいそしむ商家が多かった。少なくはなったが、そういう伝統はいまも生きている。商売に大事なのは「信用」なのである。その信用、つまり信頼関係がなくなれば、三方よしとはいかない。取引停止ということになるのは必然、日本人にはとってもわかる理屈だが、韓国の文大統領にはわからない。
 古代には朝鮮半島に日本人が多数住んでおり、一緒に生活して価値観を共有した時代もあったが、白村江の戦い以降、朝鮮半島と大和の密接な関係が切れてしまい、文化の違いが次第に大きくなっていった。それゆえ、信頼関係の上に商取引関係が成立するという考え方は両国に共通の道徳観ではないようだ。商取引に信頼関係を重視するという、高度の倫理レベルはいまだ普遍的な道徳とはなりえていないのである。自我本能の抑制ができない大きな国の大統領もいる。トランプ大統領のように、自分の国さえよければいいと公言する人もいるのだから、国際的な関係もなかなか難しい。そういう国とは距離を置いて行くしかないのではないか。もちろん、国民同士はまた別である。そういう政治指導者にあおられて、互いを非難し仲たがいする必要はない、冷静にお付き合いを続けたらいいのである。
 以前ブログ「情熱空間」を書いていたFB友のアップした記事が的を射ているので、そのまま貼り付ける。


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あなたは信頼できないので、もうお売りできません…。
そう言われたなら普通は、今までの自分の姿勢を改めるよね。
それなのに「あのやろー、売りやがらないんだよ!ふざけやがって、売りやがれ!」って、周囲に売ってもらえないウサを晴らすべく《罵詈雑言》を吐き続け、そうして売らせようとする…。あのね、品行方正で実直な我が国に商人に対して、そうしたくだらない《脅し》は通用しないんだよ。《売り手よし、買い手よし、世間よし。》これぞ日本の商道徳。商道徳の価値観があなた方とは180度違うんだよ。分かってないなぁ…。
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 文政権は慰安婦問題でも、徴用工問題でも、国と国の約束事をことごとく破り捨て、韓国と日本の信頼関係を土台から壊しておきながら、「ホワイト国から外すな」とWTOでも、米国でも吠えている、そうFB友のザッパーさんが判断した。
 日本の伝統的な商道徳では、信頼のおけない相手とは距離をおくのがあたりまえ、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」にはならぬからだ。

 両国の信頼関係を破壊する反日教育をやめ、日本が戦後賠償をいつそしていくらしたのか、そのお金を韓国はどこにいくら使ったのか、正直に国民に語り、日本との信頼関係を再構築すべきではないのか。
 信頼関係さえ醸成できたら、韓国と日本の関係はいままでよりもずっとよいものにかわる。文政権の次の政権は、韓国・国民に戦後賠償の事実を正直に語ってもらいたい。
 韓国と日本の両国民が和解し、協力したら、世界市場の一角に中国に対抗しうる強力な経済圏が誕生する。

<余談:華夷秩序>
 ようするに中国中心主義である。朝鮮は中国と隣接していて、3000年間朝貢してきた。そんなにたくさん美人を貢いでもらわなくていいよと、断った中国皇帝がいるくらい、王朝が変わる都度、美人や朝鮮人参を山ほど献上してきた。問題なのは、朝鮮がいまだにそういう秩序の中でものごとを考えているということ。
 文明の中心の中華から見ると、朝鮮や日本は周囲の野蛮国の一つである。中国を唯一の文明国として中心に置き、その周りの国を野蛮な国、東夷、南蛮、西戎、北荻と蔑称する。朝鮮と日本は「東夷」である。東の夷(えびす)というわけだ。野蛮な国でも、朝鮮は中国により近いから、日本よりも文明国だというわけだ。実際には、秀吉の朝鮮征伐や近代になってから朝鮮より劣る野蛮な国の日本に植民地化されたということが屈辱なのだ。中国へ朝貢していたことや、属国だったことには何の痛痒も感じない。文明国で宗主国であったから、何をされても批判の声が上がらない、不思議な国だ。北から攻めてきて国を分断されたのに、中国に対しては怨みの声を聞かぬ。巨大世界帝国の元に使役されて、先兵として鎌倉時代に2度も九州沿岸に攻め入ってきて台風で海の藻屑となったのはどこの国の兵士だったのか、お互い様だろう。
 かくして、朝鮮は事実を事実として受け入れられない体質ができあがってしまった。文明国が野蛮人に蹂躙されるわけがないのだから、そういう事実があってはならないのである。戦後の経済復興が、じつは日韓請求金協定で、経済協力という名目で5億ドルが拠出され、そのお金でなされたという事実も否定さるべきものとなる。賠償には使われず鉄道網、水道、道路、電気などインフラの整備や財閥育成に使われた、これらは韓国内部の事情による。そういう事実を韓国民は知らされていないから、独力でやってきたと思っている。
 事実を知っても、3000年間も華夷秩序を大事にしてきたのだから、おいそれと韓国民の意識は変わらないかもしれぬ。大方の韓国民はいまだに、日本は野蛮な国で、文明的に韓国よりも劣る国であってほしいのだろう。
 だが、年間750万人もの韓国人が日本へ旅行する時代になって、そういう華夷秩序意識から脱皮していく国民が増えている。不買運動を声高に叫びながら、日本のアニメも見るし、レクサスも年間4.5万台も売れる(日本では同じ年に韓国車が5台しか売れなかったという)、オムツも日本製品がいい、文具も日本製品が断然いいから使うのをやめない、良いものは良いと認めているのである。日本はそういう韓国民と手を携えたらいいのだろう。
 3000年間続いた華夷秩序は崩れ始め、時代はダイナミックな転換を見せつつある。

<余談-2>
 中学生の時に、I崎という友人がいた。あるときうつむいて「実は俺日本人ではないんだ」と語った。彼にとっては国籍が深刻な問題だった。在日韓国人にはかれのように国籍の問題で悩んでいる人がすくなくないのかもしれぬ。国籍を隠していることで悩める孤独な在日だった。
 ビリヤードのお客さんで、T内さんという人がいた。北鮮系に人で、パチンコ店を営んでいた。東京オリンピックの前後だっただろう、数百万円をもって何度も北朝鮮へ行っていた。店番をしながらオヤジにそういう話をT内さんがしているのを横で聞いていた。あの当時の数百万円はいまとは価値が違う。地元で高卒で就職すれば1.8万円ほどの給料だったから2000~3000万円くらいだろう。大金をもって北朝鮮へいくとVIP待遇されていた。もちろん申告はしないから、外為法違反である。日本の警察はわかっていても取り締まらなかった。おそらく警察庁、いやもっと上の方から取り締まるなと指示があったのだろう。北朝鮮系のパチンコ店主が多額の現金を運んで、「上納」していることは当時公然の事実だった。ご馳走が並び、政権幹部に「お目見え」できるだけでなく「喜び組」がコンパニオンとしてお酌していたのだろう、うれしそうに話していた。何度も行く理由のひとつだったのかもしれぬ。
 T内さんは小太りで血色がよく、人柄は穏やか、よく笑う人だった。出玉を増やして赤字にしているときには、店にいるといらいらするので好きなビリヤードで気晴らしをしていた。いい人なのである。とっくに亡くなっているだろう。思いっきりがよくて、根室の店を畳んで釧路へ進出した。あのときに根室の未来に見切りをつけたのだろうと思う、根室の人口がピークを打った直後ではなかったか。商売人としては抜群のセンスのもち主だった。釧路へ移転してから店舗数も増やしてますます繁盛したと聞いている。たぶん息子が経営しているだろう。T内さんからも反日の発言を聞いたことはなかった。日本に住んで稼いで、北朝鮮に貢いで愉しく暮らしていたようにみえる。こういう人たちは日本人と仲良くありたいと願っている。

*#1153 『日韓がタブーにする半島の歴史』を読んで Aug. 9, 2010
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-09


<抜粋>
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中国皇帝(玄宗)や高官に対して「献女外交」を繰り広げたこと、そして現代においても集団で米国に「売春の出稼ぎ」にいく韓国女子大生の記事(韓国一流紙)を紹介している。オリンピックでの美女集団の応援をみても、とこか昔の「献女外交」と通底するところがありはしないだろうか?著者は戦争で降伏した後に卑怯なだまし討ちを繰り返した歴史をあきらかにしている。歴史的に見れば外交においてはまったく信用がならない国であり、北朝鮮の現体制にも「悪しき伝統」はそのまま引き継がれていると書いている。
 そして韓国及び北朝鮮が不都合な歴史的事実を歪曲する国であることに著者は警告を発している。竹島に関わる領土問題もそうした文脈で韓国の主張を捉えておく必要があるのだろう。両国の国民は相当に異なる価値観をもっているから、こちらの常識で相手の行動を判断してはいけないということのようだ。

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**#2095 おろかな領土紛争:白人支配終焉のチャンス Sep. 28, 2012
 予算面から見た日本の台湾統治
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-28


***#1375 戦時中、もう一つのベトナムと根室 Feb. 7, 2011
 1977年マニラでの国際会議の席上での韓国の日本非難に対する、インドネシア准将の反論
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-02-08

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 中学校の社会科の先生や高校生に読んで欲しい本、『わが愛する孫たちへ伝えたい 戦後歴史の真実』前野徹著(扶桑社文庫)から抜粋。
「1977年、マニラにおける国際会議で、韓国代表が日本を強く非難したときのことです。インドネシア人の大統領内外政治担当特別補佐官兼副長官のアリ・ムルトポ准将が発言を求めて、韓国代表をたしなめました。
「日本はアジアの光である。太平洋戦争はアジアの独立のための戦争であったゆえ、本来ならアジア人が戦うべきであったのに、日本人が敢然と立ち上がって犠牲になった」」 102ページ

 こういう見方をする隣人が少なからずいる。私たちの父の世代の功罪は両方きちんと見ておかなければ申し訳がない。罪ばかり見ていては歴史の真実には迫れぬ。著者はインパール作戦と英国からのインド独立についても、日本人の果たした役割に触れている。
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  1977年から42年たったというのに、まだ同じことを言うのでは、韓国は顰蹙を買い、アジアの国々から孤立する一方だ。大東亜戦争で日本を非難する国は、あの戦争で唯一白人の国(米国)と手を結んだ中国、そして韓国と北朝鮮以外にはない。先の大戦を白人国家の世界支配に対する有色人種の戦いという大きな構図で見ると、中国はアジアの恥だ。白人帝国と手を結び、米国のお先棒を担ぎ、白人国家のアジア支配を継続させようとした。
 日本があの熾烈な戦を戦い抜いて見せてくれたことで、独立があるとインドもインドネシアもベトナムもビルマ(ミャンマー)も感謝している。そういう東南アジアの国々と親日の中国人や韓国人、親日の在日中国人や在日韓国人と、さらに信頼関係を深めつつ、お付き合いしていけばいい。韓国の文政権とは法的対応を粛々とやればいい。



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#4043 参議院選挙で勝利した者 July 22, 2019 [8. 時事評論]

 参院選挙で誰が勝利したのだろう?答えは簡単、山本太郎の「れいわ新選組」である。

 比例区に焦点を絞り、自分は三番目で落選、重度心身障碍をもつ二人の議員を誕生させた。重度心身障碍者と社会の間に大きな橋を掛けつつある、その点だけでも特筆すべきことだろう。あなただって、明日事故に遭い、頚髄損傷によって首から下が麻痺した生活を送ることになるかもしれない。明日のことは誰にもわからないからこそ、重度の心身障害をもった人の社会参加の問題は他人ごとではないのである。末尾に、事故で頚髄損傷をした上村さんが書かれた本を紹介しておくので、ご覧いただきたい。
 米国ではトランプ大統領が様々な壁を築きつつある、日本でも韓国との間に安倍総理は壁を築きつつある、そうした動きがあれば反対の動きもまた生じてほしいと願っていた。時代がそうだからこそ、山本太郎はいろんなところへ橋をかけてくれそうな気がしている。
*#1745 ドキュメンタリー映画「普通に生きる」 (1) Nov. 22, 2011
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22


 選挙は山本太郎の狙い通りの結果になった。二人送り込めたら、政党登録ができる。得票率2%のハードルを越えるからだ。今回の選挙で集めたお金は4億円と言われているが、政党交付金の対象となり次の衆議院選挙では20人でも候補を擁立できるから、候補者発掘に忙しくなる。
 衆議院議員選挙へ立候補するには、供託金を「選挙区」は一人300万円、「比例区」は600万円積まなければならない。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/供託金
 政党交付金には議員割と政党への交付金と二つあるようだが、議員割はwikiの事例で計算すると2300万円/人である。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/政党交付金

 山本太郎が喜んでいるのは、政党党首として党首討論に参加できることと、テレビで政党代表として討論会に参加資格を得たことだ。これからマスコミへの露出が増える、そして言いたいことを言いたいだけ喋る。意見がまったくちがう人の意見を聴けることを、街頭演説の各場所で証明して見せた。「どうぞ、あなたの話も聞きます、話してください」とヤジに応じて見せたのである。ヤジにピリピリする安倍総理が小さく見えてしまった。
*https://johosokuhou.com/2019/07/19/16305/
 かれの消費税廃止論はなかなか説得力がある。街頭での彼の選挙演説映像*をみたらいい。実に上手で説得力がある。自分の論として消化しているし、役者の経験も活きた。消費税を廃止して、所得税の累進税率を消費税以前に戻し、法人税もまたそのようにすれば財源確保ができると主張している。
*https://www.youtube.com/watch?v=oKcZXx0mMu0

 政府は消費税を増税しながら、その分の所得税と法人税を減税し続けているから、山本太郎の政策は現実的で具体的、そして強い実願可能性をもつ。政権にとってはうるさい蠅のようなもの。ド派手、まるで江戸時代の傾奇者。
 NHKの日曜日朝9時からの政党討論会が刺激的なショーになるだろう。視聴率がどれくらいアップするのか見ものだ。
 「れいわ新選組」の政策には、とんでもないものも混じっているから、露出が増えれば時間とともに取捨選択されるのだろう。色物で終わるか、成り上がるか、しばらく注目してみたい。

 わたしは健全な保守主義が日本に根付いてほしいと思っているが、それが育つには現実的で具体的な対案を提示する野党の存在が不可欠である。
 旧民主党は実際に政権交代して、そういう能力がまったくなかったことを披歴してしまった。同じ人たちが分裂して、看板を掛け変えても、中身は変わらぬから、有権者はなかなか騙されてはくれぬ。別の何かが出現することを願っているのである。
 旧民主党が政権を取って大失敗、世論の受け皿がなくなって閉塞感が漂っていたが、面白い受け皿ができつつあるようだ。既成政党にあきたらなかった「支持政党なし」層が、次回の衆議院選挙では動くかもしれぬ。
 「れいわ新選組」はどこか漫画チックな響きがあるが、その戦略はまぎれのない大人のものだ、どの政党も油断がならない存在になれるかは、山本太郎とそのブレーンたちの力量次第。

 次の衆議院選挙では台風の目になるだろう。

<余談:拡大>
 次の衆院選挙では20人の候補者擁立が目標だろう。山本太郎自身が東京都のいずれかの選挙区から立候補して当選を決めるだろう。何人当選するかはまったく未知数だが、そうだからこそ、小選挙区の候補者たちは戦々恐々となる。衆院選にも比例区があるから、「れいわ新選組」が大きくなることは確実。そして、次の参院選挙では今回よりも比例区で今回よりもさらに多くの議員が誕生するだろう。
 数が二けたになることはもう不可避だ、つぎは何をどうやるかだ。今回選挙では重度障碍者を社会の表舞台に引き上げた、こんな発想は既成政党にはない。なにがはじまるのか、常識破りで期待させてくれる、思いっきり戦え!


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投稿欄へコメントいただいたmiopapaさんが書いた本を紹介します。

頸損晩夏―創りつづけた頸髄損傷の35年の生活の記録

頸損晩夏―創りつづけた頸髄損傷の35年の生活の記録

  • 作者: 上村 数洋
  • 出版社/メーカー: シービーアール
  • 発売日: 2017/11/25
  • メディア: 単行本

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#4042 道東のあるローカル企業創業社長の夜逃げ July 21, 2019 [8. 時事評論]

 今日(7/21)参議院議員選挙が行われた。前回を下回る低投票率で組織票がモノを言い、結果はいままで通りだ。一番大きい政党の「指示政党なし」が今回も動かなかったのは、受け皿がなく政治がつまらないからか。
 選挙速報はテレビに任せて、ローカルな話題を提供したい。

 道東にあるユニークな会社が2005年8月18日に設立されたのをご記憶の方がいるだろう。東京本社のK劇場銀行の役員待遇だった男が、事件を起こして依願退職し、地元に戻って独立・起業してつくった会社だった。わけあって、会社名は伏せておく。

 その会社の生産と営業活動の拠点は、北方領土海域での水産業を主軸とするという触れ込みだった。その方面では経営の腕がいいとはご本人の弁、我田引水ではあったが、可愛げがあるのでその言葉を信用してそこそこ社員が集まった。
 ところが8年たっても業績が振るわず、NHKを退職してオヤジの会社に入り仕事していたこのできのよい娘が会社を継ぐものだと思っていたら、娘は提携関係にあった東京本社の準大手企業M主商事へ2013年5月31日に転職した。鼻の利くオヤジは、転職させた企業が解散する前に見切りをつけて、人当たりのよい娘を最大手のAノミクス銀行へまた転職させた。娘可愛さの余りだろう、見ていて滑稽なくらい子煩悩だ。娘はかなり優秀でどの会社でも歓迎された。しかし、娘の活躍とは対照的にあいかわらずオヤジが旗揚げした会社は創業14年目に入っても業績不振にあえいでおり、ついに本人が夜逃げしてしまった。そのニュースがいま全国に流れているから、オヤジ(社長)の名を知らぬ者はいない。
 残された社員は右往左往している、もう、会社はない。根室営業所の社員たちはどうするのだろう?

 社員を置き去りにして夜逃げしたオヤジは、以前はK劇場銀行の役員待遇で大きな権限があったし、そこそこ人気があったから、人がついてきた。だが、いよいよ会社がつぶれるとなったら、なりふり構わず大阪の松井物産と交渉して、今日正式にその会社の幹部社員となったようだ。元社員たちからしたら、社長は夜逃げしたも同然である、卑怯者の誹りをまぬがれまい。
 いま路頭に迷っている元社員がかわいそうだ。オヤジを信じて担いできたのに、自分の身が危なくなったら、さっさと夜逃げしたのだから。
 元社員たちは、底抜けにお人好しなので、黙して根室営業所の後片付けをする。

 ことの顛末を見て、人間、信用がなによりも大事だとつくづく思った次第。死ぬべき時に死ぬ覚悟のない者がこれからどうなるのか、哀れとしか言いようがない。

 夜逃げ社長は1948年1月31日生まれ、苦労人である、そしてやり手ではあったが可愛げがあった。それだからこそ、もっと別の生き方、そして政治家いや実業家としての死にざまがあった気がする。胃癌を克服して長生きしたことが仇となったことになる。年齢が近いこともあり、そしてスキルス胃癌と巨大胃癌を併発して一度は死に損なったわたしには身につまされる。

 西郷隆盛のように、大将に担ぎあげられたら、兵とともに西南の役を戦い抜き、負けを悟ったら潔く死ぬ。西郷さんだからできるのであって、わたしのような凡人にはできない最後。でも、自ら負けを認め、会社を畳むことぐらいはできる。かの社長も潔く負けを認め、自ら会社を畳むことはできただろうに。
 兵を死地に置き去りにし、戦場から離脱して生きながらえてしまった。

 特攻隊による攻撃を提案して、海軍だけでも、とびっきり優秀な少年兵とベテランパイロット2900人を神風特攻隊と称して死地へ赴かせたあの大西中将と何ら変わるところがない。提案した本人はついに特攻機に搭乗することはなかった。十数年前に、大西中将の顕彰碑が計画されていると知って、特攻兵生き残りの市倉宏佑先生は心の底からお怒りになっていた。先生は同期の戦友たちが特攻機に搭乗するのを飛行場の縁路面で何度も何度も見送っている。生きていたらそれぞれの分野で日本を支える人材になっただろう若者たちが無惨に死を選択せざるを得なかった。飛べる飛行機がなく、順番待ちしているうちに敗戦となった。生き残った者の義務という気持ちで、晩年に『特攻の記録 縁路面に座って』の原稿を遺し、数人の弟子にその出版を託した。託された弟子の伊吹克己氏の好意で、弊ブログに遺稿の全文を載せてある。特攻とは実際どういうものだったのか、どのような訓練を受け、そしてどのような心情で飛び立っていったのか、先生が書き残した特攻に関する記録を、弊ブログカテゴリー『特攻の記録 縁路面に座って』にまとめてある。
 実際に特攻を命じた指揮官の中には宇垣中将のように約束通り敗戦の日に飛び立って米国軍艦めがけて突入を試み散華した者もいた。宇垣は軍令違反になるので単機で征(ゆ)くつもりだったが部下が十数機宇垣を一人で死なせまいと運命を共にした。それが日本人のこころだと思う。

 南洲翁が死して142年がたつが、いまだに彼をたたえる国民は多い。兵とともに戦って死んだからだ。「敬天愛人」は南洲翁遺訓の中にある言葉だ。天を敬い人を愛すか、人というのは自分ではなくて自分以外の人ということだ。社長の立場にあるならまずは社員である。「敬天愛人」の反対は「吐唾天愛己」、天に唾を吐いて己を愛す。

 さて、もはや老害となり果てた、あの中小企業のオヤジ殿はどういう言葉を残すのか。

*南洲翁遺訓 wikiより
https://ja.wikipedia.org/wiki/南洲翁遺訓
**ジャンケン遊び
「いちけにかけてさんかけて、しかけてごかけて橋をかけ…」これは西郷隆盛の娘が墓参りに行くという童歌、小さい時に近所の女の子たちをやって遊んだ記憶がある。おふくろが子守歌代わりに唄ってくれたような気もする懐かしい響きのある歌。ユーチューブで見つけたのでURLを貼り付ける。西郷隆盛の鎮魂歌でもあるようだ。歌の最後に、西郷さんの幽霊が出てくるという不思議な歌。
https://www.youtube.com/watch?v=rnbguaKQTpo

*『特攻の記録 縁路面に座って』元特攻隊航空兵生き残り・哲学者市倉宏祐著
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/archive/c2306180343-1


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#4038 安倍首相と山本太郎の政見放送動画が異例の130万回再生 July 20, 2019 [8. 時事評論]

 Aera.comの標記タイトルのニュースが昨日アップされている。
*https://www.msn.com/ja-jp/news/senkyo/安倍首相と山本太郎の政見放送動画が異例の130万回再生-「supernumber消費税廃止」が争点に急浮上/ar-AAEyRex?ocid=spartandhp#page=2

 中身を読んでみると、日本の経済の現状に対する認識が真っ向から対立して、同じ日本について語っているのかと思えるほど相違している。どれほど違いがあるのか一部引用しよう。

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動画の冒頭は、山本氏の訴えから始まる。
「現在の日本、子どもの貧困、約7人に1人高齢者の貧困、5人に1人一人暮らしの女性貧困、3人に1人。このままでは、この国に生きる人々は持ちません」

 ここで、安倍首相と三原氏による政見放送に切り替わる。三原氏は好景気に沸く日本を紹介する。
アベノミクスのもとで、経済は好調ですね。史上初めて47すべての都道府県で、有効求人倍率は1倍を超えています。地方の観光地に、たくさんの外国人の方々が押し寄せ、にぎわっているという話もよく聞きます。消費額にして4兆5000億円の一大産業が生まれ、地方経済も明るさを増しています」

 同じ日本の話なのに、まったく違う世界。

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 どちらの意見も現実に起きている現象をベースに語っている。
 ただ、有効求人倍率が1を超えているのは、2000年当たりから人口減少&高齢化社会に突入して、生産年齢人口が急激に減っているから。アベノミクスのお陰だとは我田引水の誹(そし)りをまぬがれぬ。
 観光客が増えているのは、中身を見ると中国のセレブ層が増えて、手近の海外旅行先として日本を選択していることが主な原因だろう。国内経済で問題が起きたり、貿易や国際政治で摩擦が生ずれば、中国政府の意向次第で激減する可能性があるからリスクも大きい。
 その一方で、海外からの観光客が増えすぎて、京都などは地元住民が日常生活を送るのに迷惑するような状況が生まれている。適正な制限の方法がみつからないというのが現実だろう。

 さて、問題は自分の生活と比べてどちらの意見が実感がもてるかということだ。山本太郎の意見に納得のいく国民もいるし、安倍首相の意見に頷いた人もいるだろう。ではどちらの方が多いのか?

 山本氏の主張は景気をよくするためには消費税を廃止しろということ。財源は、所得税の累進税率と法人税率を以前に戻せということ。消費税が導入されてから、その額とほとんど同額の法人税と所得税が減額されてきたのだから、それを元にもどせば、消費税は廃止できるということだ。現実的で具体的な提案であるから、なるほどと思った。説得力があり面白い論点である。
 相対立する二つの意見・極論をこのように比べることで見えてくるものがある。全文の引用は著作権法に引っかかるので、貼り付けたURLをクリックして、誤解が生じないように元のアエラの記事の全文をお読みいただきたい。

 山本太郎の過激な街頭演説を動画サイトで見つけたので、URLを貼り付けておく。
https://www.youtube.com/watch?v=oKcZXx0mMu0

 消費税廃止と論点がすっきりしているのと、さすが元役者、演説が上手なことで、選挙演説がエンターティンメントとしても成立している。芋じゃなかった、こんなに刺激的な選挙演説ははじめて見た。


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#4037 これって秋刀魚漁獲規制になるの?July 19, 2019 [8. 時事評論]

 太平洋上での秋刀魚の資源管理を話し合う国際会議が行われていたが、55万トンで妥結したと関係者が喜んでいた。国や地域ごとの漁獲規制は来年協議するらしい。55万トンというのは昨年実績を10万トン上回っており、すなおに受け取れば、昨年実績を超える割り当てなら、「規制」ではない、単なる現状追認。なんだかよくわからない話だ。関係者が自分たちの仕事を自画自賛しているだけ。お金かけて大々的に国際会議をしているのだから、何か成果を謳わないわけにはいかぬのだろう。根室の言葉で書くと「みったくなし」だ。このような量の漁獲割り当てを10年も続けたら秋刀魚資源はアウトだ。
 漁獲割り当てで一番困難な仕事は、地域ごと国ごとの割り当てである。うまくいかなけらば、資源が枯渇する、ぜひ合意にこぎつけてもらいたい。

 こちらは本物のグッドニュース。根室水産試験場が根室湾で紅鮭養殖の実証試験に入ったと北海道新聞に載っていた。
 根室の母ちゃんたちは鮭の飯寿司を作る人が多いが、その材料に使われるのは紅い色の濃い紅鮭である、根室では「ベニ」という。ベニを使うとじつにおいしい飯寿司ができる。この数年紅(ベニ)が1本8000円に高騰しているので、ベニの飯寿司をつくるのはやめたという人が増えてきた。10本も使ったら紅だけで8万円だ。10年もこういう状態が続くと、飯寿司づくりに必要な発酵管理技術が世代を超えて伝承できなくなる。根室水産試験場の紅鮭養殖が実証試験段階へ移行した、この先様々な課題が浮かんでくるだろうが、ぜひ突破して養殖を成功させてもらいたい。たくさんの市民が紅鮭の漁獲量が増えることを期待している。

 若い人たちに蟹・イカ・鯖などの根室の水産資源枯渇がどのように起きたのか知っていることを書き残しておく。
 60年前には脚を広げると1m50㎝もあるようなタラバガニがたくさん獲れた。カニ缶詰の加工技術も高くて、根室市に4工場あった日本合同罐詰の製品が欧州まで輸出されていた。昔だってタラバガ二は超高級品だ、値段が高かった。ところが獲りすぎて、根室半島沿岸で資源が枯渇してしまった。儲かる資源から枯渇が始まる。いまあんなに大きなタラバカニがあったら、10万円くらいするだろう。関節の棒肉を一つ食べただけでお腹の足しになった。そういうカニが昭和30年代の中ころまで、根室の子どもたちはおやつ代わりに、そして夜食に食べられた。わたしもたくさん食べた、だから、いま小さい蟹を食べたいと思わぬ。

 船とソナーや漁具の性能が上がれば、資源を枯渇させるほど獲りつくすのは簡単なことだ。最盛期には獲りすぎて罐詰に加工できずに海へ捨てていた。60年前には大型の冷凍設備がなかったからだ。だから、余った蟹は缶詰工場で仕事している人たちへ配られた。棄てるよりはみんなで食べたほうがいい、持ち帰って食べてもらったほうがいい、もったいないからだ。小さなものは海へ捨てていた。資源が枯渇するわけだ。競争で乱獲したのだから。
 昨年の実績を上回る55万トンの秋刀魚漁獲枠なんてことを10年もやったらどういうことになるか想像がつく。秋刀魚はタラバガニの二の舞となる。

 5年前には東京へ送るのに大型の秋刀魚を選ぶと、200g/尾あったが、昨年は140gが大型である。普通のサイズが120gになった。とっくに資源枯渇化のサインがでている。現在の漁獲枠を続けたら秋刀魚も主力資源の座から滑り落ちてしまう。

 昭和30年代半ばころに、イカがひと箱(木箱)で200円なんてことがあったが、スルメイカも資源量が激減して枯渇しかかっている。根室の港にスルメイカが水揚げされること自体が少なくなった。生徒が水産資源の話をしたので、昭和30年代前半のころの鯖のことを伝えた。
 根室に最初に信号がついたのは、大地みらい信金本店前(元緑菓子店・酒井理髪店前の交差点)である。夏の朝、花咲港に鯖が水揚げされると、サバの水煮罐詰用の原料として根室港に配置された工場へトラックで運ばれる。あさ、7時ころに信号で鯖を満載したトラックがブレーキを掛けると、荷台から鯖が滑り落ちる、運転手は「ゴメン、拾って食べてください!」車窓からそういって信号が変わるとともに工場へ向かう。拾っている暇はないのである。30㎝を超える丸々太った鯖が黒いアスファルトで跳ねている。近所の人たちがボールやバケツをもってでてきて、5-6尾ずつ持って帰る。その日はサバの味噌煮、塩焼きがふんだんに食べられた。活きがよいからとってもおいしかった。そんな大型の鯖は花咲港に一尾も上がらなくなった。魚屋でも見かけることはない、ちっちゃいほっそりした鯖ばかりだ。

 羅臼昆布は資源管理が徹底していて、資源が枯渇していない。出汁昆布としての品質は全国一で値段が高いから、高級料亭や出汁に気を遣って羅臼昆布を使うラーメン店ぐらいにしか出回らない。羅臼昆布の出汁は濁らない。一般の消費者にが手に入れるのはなかなか困難だ。
 資源管理を徹底したら、次の世代も、その次の世代も食うのに困らぬことは羅臼昆布が教えてくれている。秋刀魚がどうなるのか、蟹・イカ・鯖などの水産資源を枯渇させてきた水産業の前線都市として、根室市は世界に向かって言うべきことがありそうだ。
 北太平洋上で秋刀魚の漁獲をしている国全部(日本、台湾、韓国、中国)がこのままでは根室市と同じ運命に陥る。漁法、船、機械、ソナーの性能が上がって、資源を採りつくすのは60年前よりもずっと容易になっている。



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#4018 ホルムズ海峡タンカー攻撃の怪 Jun. 14, 2019 [8. 時事評論]

 ホルムズ海峡で日本のタンカー2隻が「飛来物」による攻撃を受けた。何かが飛んできて右舷側に当たったと国華産業のタンカー乗組員が証言している。

*https://www.jiji.com/jc/article?k=2019061300922&g=int
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日本タンカーに攻撃=ホルムズ海峡近く、別の船も-爆発や火災、全員避難
【カイロ時事】中東の原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡近くのオマーン湾で13日、タンカー2隻が攻撃を受けた。報道などによると、砲弾で攻撃されたもようで、船体が大きく損傷した。国土交通省は、このうち1隻は日本の海運会社「国華産業」(東京都千代田区)が運航するケミカルタンカー「KOKUKA Courageous
」(パナマ船籍、総トン数1万9349トン)で、複数回の攻撃を受けたと発表した。
国交省や国華産業によると、同船はサウジアラビアからメタノール2万5000トンをシンガポールとタイに運ぶ途中だった。乗組員はいずれもフィリピン国籍で、全員避難した。船を管理するシンガポールの会社の担当者は取材に「1人は軽傷を負った」と話した。
被害を受けたもう1隻はノルウェーの海運会社が運航するタンカーで、エタノールを積んで台湾に向かっていた。3回の爆発が起き火災となった

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  サウジアラビアでメタノールを積んでタイに運ぶ途中なら、右舷側への被弾はオマーン側の沿岸地域からの攻撃を意味している。イラン沿岸側から砲弾やミサイルで船体右舷に穴をあけることは物理的に不可能だ。
 米国がイランの攻撃だと、イラン革命防衛隊が船に乗って時限機雷を仕掛ける写真を公表した。機雷攻撃なら、「飛来物」はなかったことになるし、右舷側に穴の開いたことも説明がつく。わざわさ右舷側に回り込んで時限装置付きの機雷を仕掛けたという説明である。ではタンカーの乗組員が嘘を言ったのだろうか?
 タンカー乗組員の証言は「飛来物があたった」、それも右舷側である。オマーン沿岸から飛んできたと考えるしかない。そしてもう一つのポイントは、このタンカー攻撃で得をするものは誰かということ。イラン側にメリットはないが米国側にはある。

 思い出したのはベトナム戦争の介入時に米国がやったことである。

*https://ja.wikipedia.org/wiki/ベトナム戦争
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<トンキン湾事件>
その後ジョンソンは、前任者のケネディが増強した「軍事顧問団」の規模を維持するだけにとどめたものの、就任から9か月後の1964年8月2日8月4日
ベトナム沖のトンキン湾で発生した北ベトナム海軍の魚雷艇によるアメリカ海軍駆逐艦マドックス」への魚雷攻撃(トンキン湾事件)が発生し、ジョンソンはこの報復として翌8月5日より北ベトナム軍の魚雷艇基地に対する大規模な軍事行動(ピアス・アロー作戦)を行った。さらにこの軍事行動と合わせて、議会に北ベトナムからの武力攻撃に対する「いっさいの措置を取る」権限を大統領に与えるように求め、8月7日上下両院でこの「トンキン湾決議」が民主党と共和党の議員の圧倒的な支持で承認されて、ジョンソン大統領は実質の戦時大権を得た。

その後1971年6月にニューヨーク・タイムズの記者が、ペンタゴン・ペーパーズと呼ばれるアメリカ政府の機密文書を入手し、8月4日の2回目の攻撃については、ベトナム戦争への本格的介入を目論むアメリカ軍と政府が仕組んだ捏造した事件であったことを暴露し、当時国務長官であったマクナマラも1995年に同様の内容を告白している。捏造は8月4日の事件であり、8月2日に行われた最初の攻撃は、アメリカ海軍の駆逐艦を南ベトナム艦艇と間違えた北ベトナム海軍の魚雷艇によるものであることを北ベトナム側も認めている。 

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 トンキン湾事件では米国駆逐艦を南ベトナム艦艇と誤認して攻撃した北ベトナム海軍の魚雷艇の攻撃を利用して、2回目の事件を捏造したものだ。米国は捏造した事件を口実にベトナム戦争に介入していった。
 米国は安倍総理のイラン外交には期待していなかったということだろう。逆に利用したように見える。イランによる攻撃だという米国に日本政府が反論できなければ、150年間友好関係にあったイランと日本のあいだに楔を打つことができる。イランへはトランプ大統領の要請で行ったのではなかったか。のこのこ出かけて、イスラム教の国イランとキリスト教原理主義の米国との争いにまんまと巻き込まれてしまった。
 米国はじつに戦略思考に長(た)けた国だ。大東亜戦争開戦時にも米国の長期戦略で追い込まれて真珠湾攻撃をして負けたではないか。こちら側の手の内を全部読まれていた。イラク戦争でもイラクが大量破壊兵器をもっているという米国情報に踊らされて、確認もしないままにまんまと乗せられて後方支援を担当した。フセインは血祭りにあげられ遺体すら行方が分からないように「処理」された。日本はいつまでたっても、こうした米国の戦争と外交戦略にはかなわない。
  インテリジェンス機能が弱いから、米国の主張とイラン側の主張のどちらが正しいのか、判断できない。国益を守るために世界各国においている大使館を中心に強固なインテリジェンス網を築く必要がある。毎年数千億円をインテリジェンス網の維持費にかけることになるだろうね。

 こうした事態がありうることを外務省も官邸スタッフも予測すらしていなかったのだろう、間抜けを絵に描いたようなものだ。精度の高いインテリジェンス網も戦略もない外交はいつでも誰かの仕掛けで好いように操られてしまうから危うい
 わたしはいつも健全な保守主義とは何かと考える。ここでは、千年間も続いているイスラム教徒とキリスト教徒の戦いに巻き込まれぬよう、両方の当事国の戦略をシミュレーションして、それを打ち消す戦略を考えだし外交を展開しなければならぬということだろう。安倍外交のいや日本の外交の真価が問われている。いまは脆弱そのもの。



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#4016 老後資金2000万円:なぜいまのタイミングで… Jun. 13, 2019 [8. 時事評論]

 老後資金が2000万円必要だという試算(政府資料)が公表されて世間が騒がしい。質素に生活するとして、それぐらい必要だとわたしも考えているし、多くの国民もそうだろう。
 老健施設で月に15-18万円くらいかかるし、療養型病床群の病院への長期入院なら20万円/月は普通だろう。認知症を発症したらグループホームだが、15万円前後の料金設定になっていたと思う。夫婦二人で3年間そういう施設で療養して亡くなるとしたら、1080~1440万円それだけでかかるから、実際には2000万円ではこころもとないケースがふつうにでてくる。このようなケースではさらに数百万円の追加資金が必要なことぐらい電卓を叩けばすぐにわかる。病院建て替えを頼まれて300ベッド弱の療養型の病院の常務理事を2年間ほどしていたことがあるが、一番長く入院していた人は13年間だった。毎月のように100歳を迎える人のお祝い誕生会があった。施設のケアが丁寧なら胃婁(いろう)とか経管栄養という無理な延命治療をしなくても長生きできる人が増える。
 運よく、夫婦それぞれが1年くらいの療養で逝ければ2000万円の老後資金で間に合う。民間企業の場合と公務員では年金の仕組みも給付金額も大きく違うので、それぞれ計算しないと「安心額」がいくらか判明しない。たとえば、夫が公務員のケースでは亡くなっても遺族年金が大きいから、残された妻は悠々自適できる。民間企業の場合にはそうはいかない。まるで違うのである。だからどのようなケースを想定するかで必要な「老後資金」に大きな違いが出る。
 台東区の「上級公務員」で50歳くらいで亡くなった人を父にもつ人がいた。ebisuよりも10歳くらい年上だったかな。お母さんが100歳近くになって亡くなるまで四十数年間毎月30万円ほどの遺族年金がでていた。民間企業対象の厚生年金ではありえない額である。身近なところでも似たような例がある。道漁連は半官半民なので、手厚い遺族年金があった。50歳くらいで出向し、以後20年間ほど役員だったから、通常より多かったのかもしれぬ。

 麻生財務大臣が報告書を受け取らないと国会で答弁して問題が大きくなった。
 金融庁の金融審議会の報告だというところがポイント。この審議会は金融機関のスポークスマン(利益代弁者)である。狙いがあって絶妙のタイミングでこういう資料をつくったのだろう。お見事!

 GPIF(年金機構)の国内株式保有はその資産の25%ある。日銀保有の株式も激増している。
 GPIFは年金支払いのために保有株式を売却しなければならないが、そうすると株価が大幅に下落するので、日銀が巨額赤字を計上して債務超過になる。円の国際的な信用が消滅しかねない巨大リスクがうまれる。IMFが何か言うだろう、1997年の韓国通貨危機の際のIMFによる救済は厳しい条件がついた。韓国に比べて経済規模も日銀の債務超過額も比較にならぬものとなる。日本国債の格付けも下がるから、国債市場へも影響が及ぶ。あのときIMFは韓国に厳しい財政再建を義務付けた。いまの日本がそういうことになったら、長期にわたって深刻な不況と大量の失業がうまれるだろう。国債の発行は制限され、公務員給与にも手を付けることになる。ボーナス半減、給与3割カットぐらいでは焼け石に水だが、IMF管理下になればやらざるをえないだろう。
*「IMFによる韓国救済」ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/IMF%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E9%9F%93%E5%9B%BD%E6%95%91%E6%B8%88


 GPIFばかりでなく、日銀自体も買い入れしすぎた保有株式を徐々に売却しなければならないから、株価が下がっては困るのだ。売らなくても株式市場が下落したら、巨額債務超過はまぬがれない。金融機関保有の株式も値下がりによって損失が出る。
 だから株式市場に強力な買い手が現れなければならない。高齢者が保有する金融資産(平均2300万円)が狙われている。日銀保有のEFT(上場投資信託)残高は昨年3月末で24兆円ある。
*日銀保有EFT残高
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28903020S8A400C1EE8000/

 GPIF(年金機構)の国内株式運用額は2018年末で35.9兆円ある。
*GPIF運用資産額・構成割合
https://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h30_q3.pdf

 日銀とGPIF保有の国内株式は合計でおよそ60兆円あり、日本の株式市場の株式全体のの10%を占めている。これを売却しなければならないので、強力な買い手を創り出さないといけない。そのために金融機関のスポークスマンたる金融審議会が「老後資金2000万円」という報告書を作成した。

 国民が慌てて預貯金を株式投資に回さなければ、日経平均がどれほど下落するかわからない。GPIFも日銀も打つ手がない。銀行や郵便局にある預貯金が株式投資へ向かえば、それを扱う銀行は息がつける、大歓迎なのである。いまや大手都市銀行ですら、マイナス金利で青息吐息の体たらく。大量の人員整理をやっているが間に合わない、金融審議会の報告書は金融機関の救済案だということ。
 その裏で何が犠牲になるのか、預貯金を取り崩して株式を購入した人たちだろう。銀行と証券会社は売買高が膨らむので手数料で確実に稼げる、わが世の春が来る。それは国民が老後の資産を失うのと裏腹のことだ。トランプゲームでいうと、「ババ抜き」である。下がることが見えている日本株が「ババカード」それは2枚あってGPIFと日銀がつかんでいる。だれにつかませようか、「老後資金2000万円」と言えば飛びつく無知蒙昧な国民が雪崩を打ってつかむだろうということ。

 世の中のルールは騙される奴が悪い、騙した者の勝ち、弱肉強食のジャングルの掟に変わった。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という伝統的な商道徳は政府の財政・金融・経済政策から消えてしまった。

 今日の日経平均は21,129.72円である、さて、5年後にそして10年後にどこまで落ちているだろう、だれにもわからない。

 日本株が暴落したら米国株も連動して暴落を免れぬ、GPIF所有の米国株式は36.7兆円ある。151兆円ある年金基金の運用資産は風前の灯火。こういうリスクの大きい運用をしてはいけないが、もう後の祭りだ。お金がなくなりゃ、年金支給額を減らすしかない。ない袖は振れぬ、簡単なことだ。
 たとえば株価が半分に下落したら、運用資産の1/4がなくなるから、つじつまを合わせるためには年金支給額を25%減らせばいいことになる。ああ、円安になって物価も暴騰するよ。未来を詳細に記述することは誰にもできぬが、はっきりしていることは経験したことのない滅茶苦茶なことが起きるということ。

 真面目で勤勉で正直者だった日本人は平成30年間で、だまされる方が悪いという欧米や中国の価値観にどっぷりつかってしまったようだ。なら、国民は騙されぬ智慧を身につけなければならない。基礎学力と思考力はここでも大事なのだ。教育によって獲得した基礎学力こそが生活を守る最後の武器だ。
 どんなに経済的な混乱と困難があっても、日本人は辛酸をなめつつそれを乗り越えるのだろう。敗戦時の日本と比べたらまだましだ。日本の政治も経済も一から出直したらいい。
 そう考えると、人口減少と経済規模の縮小はメリットだらけだ。日本人は無意識下で困難な時代の到来を感じて人口を減らしているのかもしれぬ。廃屋が増えて、都会やその周辺でも畑を作れる。人口が半減すれば、水産資源量や農耕地がそのままなら、一人当たりは2倍になる。子どもたちや孫たちはうまくやるだろうよ。(笑)

 自分が票を入れた市議や道議会議員、衆議院議員、参議院議員へこの問題を訊いてみよう。納得がいったら、次の選挙でも票を入れてあげたらいい。

*「「老後資金2000万円」に金融機関ニンマリ 「期待」に応えた金融庁の作戦
https://www.j-cast.com/2019/06/09359594.html?p=all


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#4010 言葉の官民格差:事件と事案 May 29, 2019 [8. 時事評論]

 覚せい剤と大麻所持で文科省のキャリア官僚が逮捕された。「逮捕されたのは文部科学省初等中等教育局の参事官補佐 福澤光祐容疑者(44)」、それをうけて柴山正彦文科大臣がテレビで記者会見をした。
*「文科省職員 覚醒剤や大麻 所持の疑いで逮捕
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190528/k10011932731000.html

 文科大臣は記者会見で「事件」ではなく「事案」と言った。いつものことだが、この用語の使い方はおかしい。民間人が覚せい剤所持で逮捕されたら、「覚せい剤所持事件」。「覚せい剤所持事案」だなんて言葉自体が矛盾している、覚せい剤所持は犯罪なのだ。どうして公務員が法律違反を犯した時に当該官庁の大臣は「事件」ではなくて「事案」という用語を使うのか。記者クラブの記者はなぜとがめないのかわからない。

 念のために大辞林で引いてみると次のようになっている。
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事案:問題になっていることがら
事件:①争い・犯罪・騒ぎ・事故など、人々の関心を引く出来事 ②「訴訟事件」の略
---------------------------------------

 事案という言葉には犯罪のニュアンスはない。同じことでも公務員の場合は犯罪ではないと言いたいようだ。(笑)

 言葉の官民格差は願い下げである。NHKさんは「事案」も「事件」も使わず、「逮捕された」と書いている。どの新聞も「事案」という用語は使っていない。
 逮捕したのは厚生労働省麻薬取締部。

 人間の管理は完全にはできないから、こんどは省内宛てに通達を出す必要がある。自覚と自己抑制に期待するしかない。
 健康診断時に検査を義務付けても1か月も休めば検査に引っかからない、いや毛髪検査なら数か月前の使用でもひっかかる。大臣以下全職員に覚せい剤検査を義務付けたらいかが?
 米国では民間企業の中には採用に際して薬物検査を条件としているところがあると、SRL八王子ラボへ見学に来た米国人から1980年代後半に聞いたような気がする。20年もしたらそういうことが必要な日本にならないでほしい。なにやら50年遅れで米国を追いかけているような感じがしてならぬ。

 この通達、いまとなってはいくぶん皮肉に聞こえます。文科省は不祥事続きでショックでしょうね。頭のよい官僚が揃っているですから、なにか有効な対策を考え実施するでしょう。
青少年の覚せい剤等の薬物乱用防止について:文部科学省



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#4009 川崎・登戸児童ら殺傷事件 May 29, 2019 [8. 時事評論]

 ぞっとするような事件がまた起きた。川崎・登戸で児童ら18人が殺傷された。犯人(51歳)は犯行直後に自殺している。
*「川崎・登戸殺傷 児童ら18人襲われ小6女児と男性死亡 確保の男も死亡
https://mainichi.jp/articles/20190528/k00/00m/040/023000c

 登戸駅は大学のある向ケ丘遊園駅の一つ手前の駅であるから、なじみはあるが、一度しか下りたことがない。女房殿が5年ほど通ったプロ用のケーキ教室が登戸にある。いまでも東京へ戻ると顔を出すことがあるようだ。教室は事件現場が見下ろせるビルの3階にある。登戸までは自宅から直線で10㎞ほどしかないから、子どもがカリタスへ通学していたことのある知人もいるようだ。こういう事件はいつどこで起きても不思議でないから、孫がいれば心配になる。もっと安定した穏やかな経済社会であってほしい。

 ブログ「オータムリーフの部屋」さんが「拡大自殺」というタイトルでこの事件の分析をしているのでお読みいただけたら幸いである。
https://blog.goo.ne.jp/autumnleaf100?fm=rss

 犯人の岩崎某氏は幼少期のころに両親の離婚で伯父さんの家に引き取られている。そこには実子が二人いたから複雑な事情があったのだろう。たいていは環境にめげずに真っすぐに生きるのだろうが、なかにはめげてしまう人間もいる。中高時代はちょっとしたことで切れやすい人間だったとは同級生の弁、情緒不安定なかかわりをもちたくない人間だったようで、テレビ報道によれば高校卒業後どこで何をしていたのか知っている同級生がいない。十代後半で伯父の家を出て、最近もどったらしい。こうした周辺の証言からは孤立した生活を送っていたことが窺い知れる。こころの暗部に妬(ねた)み嫉(そね)みを抱えて生きているうちに、それが次第に大きくなってどこかで制御不能になり押しつぶされたのだろう。
 中高生のときに生涯を通じて付き合える友達をつくっておくことは、その後の人生の岐路に、決定的な役割を果たすことがある。孤立してもまっすぐに生きぬける人はよほど強い人で稀(まれ)。ふつうの人は多少なりとも心にエゴという闇を抱えながら、なんとか折り合いをつけて生きている。

 昭和から平成となり、平成の30年間で経済格差が拡大し固定化した。大企業の取締役の報酬は3倍以上にもなったのに、従業員の人件費は増えていない。一人当たり実質賃金でもわずかしか伸びていない。最近数年間は実質賃金が減少している。格差が小さかった日本の経済社会だったが、平成の30年間でゆっくりそして大きく変化してしまった。
*「近年の経済成長率と賃金上昇率の動向 」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000173082_1.pdf


 オータムリーフさんは一人住まいになった老人がしだいに追い詰められていく様子を年人受給額や生活保護基準を提示しながら丁寧に説明している。そういう老人が増えていけば中には拡大自殺するケースが増えることが懸念される。超高齢化社会を迎え、こういう事件が減らないことを示唆しているように読めた。
 令和の時代は老人の孤立化や生活困難化に有効な対策を見つけて実施できないと、都市部のあちこちに地雷が埋まっていていつだれが踏んづけるかわからないような地雷原の中で暮らすようなことになりそうである。
 日本の経済社会は幸福という点からは進歩しているのか、それとも退化しつつあるのか?
 わたしたちはどのような経済社会を理想として国家戦略を描くのか、あるいはどういう生き方を選ぶのかを考える岐路に立っている。

*拡大自殺…ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/拡大自殺

*「上場企業の平均年間給与、606万円で過去最高 18年決算 東京商工リサーチまとめ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45352250Y9A520C1EAF000/?n_cid=DSREA001&fbclid=IwAR3uAmn-OblF1e7tSoE_ma28BdbkjVTVuETCsuXCl6NrhRBANUm_JOcciXk


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#3994 キムリア:一回3349万円の白血病治療薬 May 15, 2019 [8. 時事評論]

 ノバルティスファーマから画期的な白血病治療薬がでているが、このたびめでたく保険収載される。5月22日から適用だという。
*「1回3349万円の白血病治療薬、保険適用を決定 」日経新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44794650U9A510C1MM0000/?n_cid=DSPRM1489&fbclid=IwAR1StVtzaeSj6WYEs2HJiuxDK_U5_FvObVQj5O-VO65zaxt5gCfhoB2o9JA


 中央社会保険医療協議会が審議していたのだが、どういう計算で3349万円の公定価格が決められたのだろう。この協議会の委員の方たちは、医薬品の製造原価について知識はないだろう。製薬メーカの資料をそのままうのみにしていないか、チェックすべきは事務局をしている厚生省の職員だろうか、いや、荷が重すぎる。

 1990年ころのことだが、染色体検査の「公定価格」が原価割れしているので、原価計算資料を送付して価格アップを交渉したことがあった。その結果400点(4000円)ほど値上げできた。当時のSRLは染色体外注市場の8割程度のシェアーがあったのだが、そのSRLですら利益の出せない分野だった。物は試しにやってみようということでやってみたら、OKがでた。値上げすることで、黒字検査になったから、染色体検査分野へ他の会社の参入が容易になった。公定価格は適正な水準に維持されなければならない。
 薬価や臨床検査の審議をしているところはその有効性については強い関心があるが、製造原価について無知であり、関心が薄い。そういうシステムは社会保険財政を危うくしかねない。

 たとえば、キムリアの開発費が1000億円かかったとしよう。10年間で開発費を償却しようと思うと、年額100億円である。
 市場規模が年間100人と10000人では薬剤一回当たりの開発費の償却負担が1億円と100万円の違いが出る。製造コストも年間100人分と10000人分では30:1くらいの差があるだろう。
 
 キムリアはなぜ高いのか、ひとつは希少疾患で患者数が少ないことが理由だ。二つ目の理由は治療薬の製造工程にある。患者から採取した免疫細胞の遺伝子を改変して癌への攻撃力を高める「CAR-T細胞療法」は製造工程が複雑だからである。

 今日(5/15)北海道新聞夕刊に治療薬製造手順が載っているのでかいつまんで説明する。
 日本国内で患者の体内からT細胞を含む白血球を採取、凍結保存し、航空機で米国に輸送する。米国ニュージャージー州にあるノバルティス社の専門施設で、癌細胞を攻撃する遺伝子を導入して改変し、CAR-T細胞を増殖させ、厳しい品質検査を重ねる。いわばテーラーメイドだから高いというのである。

 この薬剤を使う患者が百倍になれば、製造方法は劇的に変わる。価格が下がればこの治療薬を使える患者数が増える。大尉症患者が増えれば高度な熟練技術をもたないものでもやれるように機械化もはかれる。ノバルティスは製薬メーカーの巨人であり、世界中から検体を集め、治療薬を製造できる。日本で社会保険に収載されるということは販売戦略上大きなメリットである。公定価格には交渉の余地があるということだ。

 臨床検査最大手のSRLでは、新規項目は特殊検査部で導入されることが多い。理由は検体が少ないことから、手作業になるので、ルーチン検査部門ではやれないからだ。特殊検査部は検査の種類ごとに3課に分かれていた。手作業だから1検体当たりのコストはべらぼうに高くなり、それに見合う価格はつけないのでこの検査部門は赤字である。百の赤字項目の中から、黒字になる項目がでてくればいいのだ。新規の赤字項目をたくさんやることで、その中から有望な新規項目がみつかる。赤字部門を抱える余裕のない会社はすばらしい新商品を探り当てることができない。
 10-100テスト/日のうちは、手作業での検査となるが、これが数百テストに増えてくるとルーチン検査部門へ移管される。既存のラインへ落とし込むか、数人のグループによる分業化と機械化がなされるので、製造コストは数十分の一になり、ものによっては採算がとれだす。受託数が1年以内に百倍になるような有力な検査項目なら、赤字での販売価格設定がなされる。一年後には市場が独占できるなら、価格破壊戦略をとっても構わない。儲けはあとから、量産体制が整い製造コストが目標通り下がってからでいいのである。

 新聞記事で製造工程を見た限りでは、キムリアはSRLでもライセンス生産できそうだ。3年あれば製造コストは1/10以下にできるだろう。わたしがSRL学術開発部門のスタッフなら、ノバルティスとライセンス生産の話をはじめたい。数年は赤字でいい、新規事業分野が開拓できる。CAR-T細胞治療薬はこれから種類が増えるだろうから、キムリアで橋頭保を築いておくのはSRLの経営戦略上学術開発担当取締役が考えて当たり前。面白そうだから、古巣に戻ってわたしがマネジメントしたいぐらいだ。(笑)

 さて、話を現実のキムリアに戻そう。このような高額治療薬は開発費と需要予測と公定価格決定に関する資料を整理して、毎回公開すべきだろう。それを嫌がる製薬メーカがあれば、保険収載を断ったらいい。

 保険収載すれば、需要は拡大するから、「公定価格」は製薬メーカとの交渉事であるはず。そういう機能を担う部署もないのでは?

 高額医療費は2016年度で年額2兆5579億円となっている。このままでは高額医療費で社会保険制度がつぶれかねない。 



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