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#2637 落石漁協の係長8000万円着服事件:監査および経理業務のあり方 Apr. 9 2014 [仕事]

 また漁協関係で横領事件が発生した。「また」というのは2009年に根釧漁船保健組合(根室)で先例があったからである。弊ブログ#427や#513で予防措置まで含めてオーソドックスな方法をとりあげて解説している。
 事件を報じた北海道新聞根室地域版の記事を紹介してから、辛口のコメントをしたい。通常の経理業務のやり方や初歩的な監査業務の知識があればおきるはずのない事件である。監査業務も経理業務も実にお粗末であったといわざるをえない。あとでその根拠を述べる。

4月9日北海道新聞根室地域版より転載
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 落石漁協の係長8000万円着服
  漁業者「なぜ起きた」
【根室】落石漁業で信用部門を担当していた男性係長が漁協の積立金などから約8000万円を着服した問題が、漁業者らに波紋を広げている。15日に日本200海里内の小型サケ・マス流し網漁が解禁になるなど、今後、漁業シーズンが本格化することから、落石地区の漁業者からは早期の健全化を求める声が上がっている。
 「漁協にしっかりしてもらわなければ、漁業者の生活も立ちゆかなくなる。50代の組合員は不安を漏らした。同漁協は7日夕、50人の漁業者を集め、今回の問題について報告した。組合員からは「どうして起きたのか」「なぜ発覚までに時間がかかったのか」などと激しい声が飛んだという。
 同漁協によると、係長は2006年から今年3月までの約9年間、架空の取引を仕立て、自分の預金口座に不正送金した。また、金庫にあった融資目的の積立金から繰り返し現金を着服し、電算処理の操作を駆使して貸借対照表を偽造するなどし、発覚を防いでいたという。
 7日に記者会見した同漁協の浄土昭雄専務理事は「漁協の財務状況を示す貸借対照表に食い違いはなく、不正を見抜くのに時間がかかった」と説明した。
 一方、道内の漁協、農協などの財務状況を検査する道総務部法人団体課も2010年6月、同漁協を調査したが、不正を見抜けなかった。同課は「漁協業務は多岐にわたり、一般的に貸借対照表自体に改竄を加えられた場合、見つけるのは非常に難しい」と指摘した。
 落石地区の70代の漁業者は「漁業者を納得させるためにも、調査は警察の手に委ねてもらいたい。漁協は、二度と同じことが起こらない体制を整えることが大切だ」と話した。
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 なぜこのような事件が繰り返されるのか、それは経理業務や監査業務の基本に忠実でないからである。経理業務は内部統制を考えて担当業務を別々の人にやらせなければならない。お金を出し入れするものが伝票も操作でき、経理システムへの入力もやりうるという体制はじつに危険だ。
 報道記事の文面から読めることは、係長は金庫からのお金の出し入れ、伝票起票、入力すべてを日常的に行っていたようにみえる。そして上司はそれを適切にチェックしていないと推測できる。
 経理規程のチェックからやるべきだ。内部統制を考慮した経理規程になっているかどうかがポイントだ。
 たとえ係長が伝票を起票してこっそり入力しても、伝票に上位者の承認印があるかどうかや、月次で課長が試算表の合計金額と伝票の合計金額を突合すれば簡単に防ぐことができたはず。伝票の再鑑と月次試算表との合計金額突合を怠っていたということではないのか。おざなりな実務が透けて見える。

 不正はチェックが一つ外れただけでは生じないものだから、監査人の仕事にも問題があるはず。このケースでは監査人も伝票再鑑と伝票合計と月次試算表合計金額突合の証跡を確認していないようにみえる。お粗末な実務が幾重にも重なっているから、何年にも渡って「ゆうゆうと」不正を続けられえたのだろう。
 ここでも根釧漁船保険組合事件と同じ構造がみえる。経理実務に関する内部統制制度が無視され、監査が専門知識のない者に委ねられて実質的な監査がなされていないという共通項がある。
 監査業務をする者は、全商簿記1級程度の知識はあったほうがいいし、監査手続きについての専門書を2冊くらいは読んでおくべきだ。

 道の総務部団体法人課も言い訳に終始している。半日調査すれば内部統制に問題があることは簡単に指摘できたはずで、そういう視点でチェックをしていないということだろう。じつにお粗末な調査のようだ。これでは基本から逸脱した実務が全道の漁協で行われていてもさっぱり改善ができない。団体法人課の担当者は会計監査の専門書を読むべきだ。
 道庁総務部団体法人課は念のために全道の農協と漁協の内部統制と実際の監査手続きがどうなっているか早急に調査すべきだね。危ないところは具体的な改善指導をすべきだ。危ない事例がいくらでもあると思うよ。

 根室の子供たちの学力が低くいということも事件の遠因である。子どもたちは大人になり、成績上位5%の者たちはほとんどが大学へ進学し地元へもどってこない。地元を支えるのは5%を除いた者たちだ。
 根室の子供たちの学力がどの程度かというと、昨年度の全国学力テストで根室管内は小学校で全国偏差値で37、中学校で44である。いまや市街化地域の3中学校ですら学年3番目が高校へ入学して最初の全国模試で偏差値が50(成績中位=平均値)に届かない、(根室市内は別海よりも低かったという情報があるが)こういうことも事件の遠因だ。学力の低い子どもたちは大人になってもほとんどが低いままで、仕事に必要な専門書を読む学力が不足してしまう。全国レベルで平均以下での学力では会計監査論の専門書を読みこなすのは無理だろう。
 経理業務を担当していても必要な専門知識が足りないとか、応用力がないとか、関連業務についての専門書を読みこなす学力がないとか、そういうことがルーズな仕事につながっているとebisuは考えている。

*#2492 (1) 根室管内版解説 : RC-1と偏差値 難易度の高い問題を授業でやるべし 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-12

■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】
#2485 (小・中対比)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09


 経理業務の責任者や監査業務をやっている者は深く反省し、必要な専門書(監査論)を読む努力をし内部統制を確立して、基本に忠実な日常業務を早急に確立すべきだ。専門書を読んでもわからないところや実務への応用で判断に迷うところがあったら専門家に聞くといい。真摯に反省し、基本的な専門知識を習得すれば好いだけである。
 生まれ育ったふるさとへのご恩返しのつもりで12年前にもどって私塾を開いたのだから、わたしにできることはするつもりだからわからなければebisuのところに聞きに来てもいいよ。いっしょにこういう不祥事が起きない町にしようじゃないか。ニムオロ塾がどこにあり、ebisuが誰かは根室ならすぐにわかる。



 ↓ 以下、弊ブログより関連記事の抜粋

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*427「漁船保険組合の元専務逮捕」より抜粋
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-12-03
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 《コメント》
 12月3日北海道新聞朝刊25面の記事を転載した。監査役の責任も問われて当然だと考える。通常の監査手続きをきちんとやっていれば、簡単に見つけられたはずである。監査役が有名無実の名誉職化しているから、このような不正を長年見過ごすことになる。監査がきちんとなされていたら、足立元専務は魔が差すことがなかっただろう。不心得者ではあるが、晩節を汚して気の毒なとしか言いようがない。犯罪が起きてからでは遅い、人の心には魔物が棲んでいるという前提で犯罪の起きる余地を小さくしておくべきだろう。
 根室には市の関連団体をはじめ各種団体がたくさんある。予算額が1千万を超える団体は、監査役とその業務執行状況についてきちんと点検すべきだ監査役を名誉職化してはならないと同時に理事職も名誉職化しないために定年制を導入すべきだ
 根釧漁船保険組合専務理事、根室漁業組合長の事故保険金搾取問題、湾中漁業組合長(当時)のカニ密漁事件及び漁船員のロシア国境警備艇による銃撃死亡事件など、根室の漁業組合に関連して不祥事が相次いでいる。
 こうした不祥事を防ぐにはなにより見識や志の低い人を組合長に選出しないことである。それから規程を設けて理事は62~63歳を定年とすべきだ。上場会社でも役員定年制を設けている会社がある。長くその職にとどまることで時に弊害が大きいからだ。
 監査役は会計知識があり監査業務ができる人を選ぶべきだろう。就任の際に、監査業務についての専門知識を有していること、監査業務に瑕疵があった場合は監査役報酬の全額返還と法的責任を問われることになる旨の確認書に署名を求める。そうすれば好い加減な気持ちで監査役には就けないし、監査業務も現在よりも適正に行われることになるだろう。個人企業ではないのだから、最低限それぐらいのことは速やかに実行すべきだ。


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**#513「漁船組合横領 元専務を追送検(北海道新聞)」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-02-01

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 公職にあるものはお金に汚くなってはいけない。他にも類似の事件が数件あった。公職にあるものはつまらないことで職を失ったり、世間を騒がせない。
 この事件は5年間にわたり着服していたわけだから、組合長の監督責任や監査役の職務怠慢の責任が追及されなければならない。形式だけの監査役は言語道断である。道義的責任は容疑者と同じくらい重いものがあることを肝に銘ずべきだ。
・・・

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***#256「根室漁船保険組合専務、数千万円着服事件のその後」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-08-15
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 下世話な話である。「根室漁船保険組合 専務、数千万円着服か(北海道新聞)」というタイトルで5月25日にブログを書いたが、先ほど午前7時のFMラジオニュースで水産庁の調査結果が報じられた。
 要点は二つである。組合のチェック体制が甘いことと組織全体に不適切な支出のあることが指摘されている。具体例としてH17年に予算の2倍の接待交際費のあることを挙げている。金額は70万円余だった。ラジオのニュースだったから漁船保険組合への監督官庁の調査だったか漁業協同組合への調査だったか聞き漏らした。

 いずれにせよ根室漁船保険組合は根室漁業協同組合の下部組織のようなものである。組合長が兼務している。実態から判断して同じ組織、同じ基準で動いていると見てよいだろう。
 根室の経済・政治の中で根室漁業協同組合の役割は決して軽くはない。戦後63年間、根室の経済が衰退の一途を辿ってきたのはここがしっかりしてこなかったことも一因だろう。。「昆布しょうゆ」「舞いサンマ」「フコダイン」と新商品開発が続いている歯舞組合の革新性と斬新さと比べてみるとよくわかるだろう。無為無策の63年間が横たわっている。
 先のブログで私は根室の悪弊として、名誉職をたらいまわしにすることや職位にふさわしい見識・能力がないにも関わらず、名誉職を簡単に引き受ける人の多いことを書いた。結果として、その職務は機能しないことになる。これは根室漁業協同組合に限った話しではない。いたるところにある、それゆえ「悪弊」と書いた。そして組合長や組合の監査役をその具体例として挙げ、その職能と職責を説明したが、水産庁の調査結果は私の主張を裏付けてしまったようだ。残念である。詳しくは前のブログを見てほしい。文末にアドレスを貼り付けておいた。
 悪弊はやめるしかない。よりよい根室を作るためにはそうすべきだ。しかし、人口3万人の町になかなか適当な人材の見つからないことも事実だろう。さて、どうしたものだろうか。
 言うは易し行うは難し。根室組合に本当に人材はいないのか?自浄努力はできないのだろうか?情けない組織が根室経済の核を構成している。
 このところサイクリングや祭りやサンマなど楽しい話題が続いたのに、こんな残念な結果を後追い報告会しなければならないのは残念だ。

 根室の漁業関係者の子供で北大水産学部へ入学するものが大勢出てほしい。一人や二人ではだめだ。二桁必要だ。そうすれば根室は変わる。北大水産学部はたかが代ゼミ偏差値54である。それほど難しい大学ではない。
  根室の町にとって必要なのは、重要な組織の長としてその職責をまっとうできる見識と教養を兼ね備えた人材だろう。
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****#191「根室漁船保険組合 専務、数千万円着服か(北海道新聞)」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-05-25-1
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 《コメント》
 事実関係はこれから警察や検察の手で明らかにされるのだろう。この保険組合は専務理事一人で経理業務をしていたのだろうか?他に担当者がいるとすれば、その人は着服の事実をうすうすあるいはしっかり承知していたと推測する。実務を考えるとそうなる。これらの業務を専務理事一人に任せっきりにしていたなら、組合長の責任問題である。
 保険組合には監査役も2名いるはずだが、「名誉職」のようで、実質的に監査が機能していない。
 1996年からだから、2年の任期としても6期・12回の監査が行われている。保険会社そして保険菌支払先の個別の金額を突合するだけで簡単に不正が見抜ける。どちらも、預金口座へ振込みだろうから通常の簡単な監査で露見するはずだが、それすら行われなかったのだろうか。常識的な監査手続きすら実施されていなければ、監査役は責任を問われる。
 経理知識や監査知識のない者が監査役を引き受ける事例がある。不正がないときは良いが、不正があった場合には見抜けない。実質的に監査役不在の状況が生まれる
 (保険会社に対する過剰請求で保険金詐欺で立件されるか、業務上横領罪で立件されるか、あるいはその両方かによって、保険組合に実質的な損害が発生するか否か微妙なところがあるので、推移を見守る必要はある。)
 今回の事件では組合長に管理能力のなかったことも問題だ。そういう人が無責任にいくつもの団体の長を兼務すること自体が問題を起こす元凶である。
 日本人の美的感覚には潔さということがある。おりしも千島桜は満開であり、今日の雨に打たれて散りつつある。公的な職にあるものは襟を正して職責を全うすべきで、職責を全うできないときは退け時と心得るべきだ。保険組合長がそのまま居座ったら「みったくなし」だ。

 株式会社なら、取締役は善管注意義務違反となり、会社法違反で刑事訴追の対象となる。会社役員と同等の責任があるとすれば、理事は組合に対して生じた損害を連帯して賠償する義務がある。当然、保険組合は理事全員を相手取り損害賠償請求を出すのだろう(株式会社でこうした事態が生じたら、総務部は取締役を相手取って損害賠償訴訟を起こさないと、株主代表訴訟の対象となる)。今後の事件発生を防ぐためにも必要な措置だ。それぞれの責任をうやむやにしてはいけない。
 それにしても裁判所の判決が出るまでは容疑者や被告人であっても犯人ではない。結論を急がず、事態を見守るべきだろう。報道にあるように本人が事実を認めたのなら、直ちに理事職を解任し、刑事告発の手続きがとられる。今はその段階のようだ。
 
 いろんな団体があり、その中には熱意も能力もない人がその団体の長を務めているケースが他にもある。名誉職のたらいまわしのようなことはやめるべきだ。根室市が関係している団体だけでもずいぶんな数があるのではないだろうか。補助金を出している団体の長を名誉職的な感覚で選ぶことは今後はやめたいものだ。

 人口3万人の町にはそれぞれの仕事に必要な専門知識を有した人材がすくない。根室市の予算審議や市議会のやりとりをたまにラジオで聞くが、適確な質問をするためにも経理の専門知識をもった議員が一人はいて欲しいと思う。市議もまた名誉職化しているのだろうか?
 市財政と病院事業の赤字について何度かこのブログで採り上げたが、経理業務に多少の経験がある程度の私は何度も勘違いを起こしたし、行政のわかりにくい経理処理を整理して内容をつかむのに努力を要した。民間と同じ言葉を使いながら、実質がまったく違うことがしばしばであり、実にわかりにくくできているのである。
  市民にわかりやすい予算書や決算書を市役所に作らせるのは市議の役割である。

 地域社会としての根室を良くするためには、各自が担っている職務を誠実に果たすべきで、そのために職務を果たすための専門知識や管理能力はもっているべきであり、日々磨いていくべきものである。 
 社会的に責任の重い職務にある人は、仕事をきちんとすべきだ。仕事をする能力や管理能力をもち合わせていないのなら、その仕事(役職)を引き受けてはいけない。ましてや、その仕事に熱意のない人は論外である。 

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