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#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012 [仕事]

 夜9時半の気温は10.6度、さっむい!そんなに急いで秋にならなくても・・・しっかり床暖房入れてます。
 いずれ大幅な円安の時代が来るのだが、1ドル150円になったら燃料用灯油の値段は2倍になる。北海道では低体温症で亡くなる老人が増えるにちがいない。1980年代に原油値上がりのために英国でそういうことが多発したことがある。年寄りがベッドにはしごをかけてよじ登るイラストがTIMEの表紙に載っていた。床の近くでは温度が低いから、低体温症で危険だという風刺だ。そうした時代の到来に備えて私たちに何ほどのことができるのか?鍵は教育だろう。

  9月16日のジャパンタイムズに"Educating educators"というタイトルで社説が載っていた。日本の学校の先生はフィンランドや米国とどのように違うのだろう、資格の点から見てみたい。


 現在、教職大学院コースには3800人が在籍している、それでも"far from enough"(充分とは言いがたい)と書いてあるのは、一体どういう意味だろう?
 他の先進国に比べると、米国は小学校の教員の49%、中学校の先生の54%がpost-bachelor's degreeをもっていると書いてある。
  Japan's teachers are generally less educated than those in other developed countries. In the United States, 49 percent of elementary school teachers and 54 percent of secondary school teachers held a post-bachelor's degree in 2007.

 post-bachelor's degreeという学位についての説明がないが、一般の大学卒業生が卒業した後で教職の単位を修得すれば降りる学位のようだ。だから、期間も10ヶ月~2年間という設定になっている。日本では、教員養成大学以外は教職の単位を三十数単位余分にとらないと教員資格が降りないから、一般大学卒業者と同じとみていいだろう。米国では一般大学卒業者がこの学位を取得すれば、処遇面で教員養成大学出身者よりも優遇されるようだ。「専門分野+教職単位」が教員養成大学よりも「いい先生」の条件となっている。メディカルスクールへの進学も一般大学卒業が条件、このあたりは文化の違いかな。
 日本では教員のうち3%が修士の学位をもっているが、この部分を拡張しようというのが文科省が教職大学院を設置した狙いである。教員の質が国際的に低いということは文科省はとっくにおみ通しなのだ。
  When MEXT began its push to expand teacher education, only 3 percent of teachers had master's degrees or above, though that number has been increasing steadily.
  Considering teachers as professionals who require specialized, long-term study is an important shift in consciousness. Teaching should be considered a profession like any other.

 PISAの学力調査世界No.1でつとに有名なフィンランドでは小・中学校の先生は全員が修士の学位を取得している。教員は教職とそれ以外の専門についてより高いレベルでのバックグラウンドをもっている。つまり、一般の大卒や教員養成大学出身者よりも学力が格段に高いのである。生徒の学力をあげるには、まず教員の質をあげるべきということだろう。
  In Finland, for example, all primary and secondary teachers hold master's degrees. Having teachers with a higher educational background, both in the field of education and in their areas of specialty, helps to ensure a higher quality of professional work.

 日本企業が国際的な競争力を維持していくために良質な労働力と商品開発力だけでなく、基礎研究などでも世界の最先端を走り続けるために、高度な学力を持った人材層が必要なのである。そういう意味で"far from enough"なのである。

 教員養成大学の一番まずいところは、ほとんど役に立たぬ教職科目が多すぎて、特定の専門分野の研究をしたことがないということにあるのではないだろうか?特定分野の学問を4年間みっちりやっていればそれなりの学力がつく。だが教職科目が専門ではどうしようもない教員養成大学では授業の職人の卵すら育てることができていない。教えている先生たち自身が、小中学校の「授業の職人」ですらないから、見て盗むべきワザもない

 小学校の授業参観をしたことがないのでハッキリしたことは書けないが、教員資格が教員養成大学だけに限定されているから、中学校よりもひどいのではないか?小学校が専門分野をもたぬ教員養成大学の独占市場になっていることがよくない。小学校教員の門戸を一般大学に開き、一般大学出身者と競争させるという教員免許の規制改革を断行すべきだ
 電力事業で市場独占の大きな弊害(=福島第一原発事故)をわたしたちはいま目の前にみている。市場を独占するとお客様のこと(生徒の学力向上)など眼中になくなり、自分たち(日教組や教育行政)の利害が優先してしまうように組織というものはできている。

 学位が先生を偉大にするのではなく、問題はその学力のナカミだと社説は述べている。そして、いい先生とは思いやりの心をもち、忍耐強く、創造性がある先生であり、それは学位で得られるものではないとも書いている。
  That is not to say a degree will automatically make someone a great teacher, or that teachers without degrees are in any way worse. Good teachers have many other qualities such as compassion, patience and creativity that can be developed without formal study. But teachers can develop those qualities and give them greater applicability by studying theories of education and their own subject area in systematic and coherent ways.

 おいおい、学力が足りない言い訳にしか聞こえないぞ、大学を卒業してから読んだ専門書が何冊あるか確認してみたらいい。卒業してからきちんと勉強していれば、授業はぜんぜん違ったものになるが、フリー授業参観でみたのは学習指導要領通り、教師指導用本の通りの類型化された授業だったそれなりに上手な先生もいたが、内容は物足りなさを感じた。教えている科目について不勉強のせいだろう
 学習指導要領は最低限の範囲を示したもので、現場ではそれ以上のことを教えるべきだと文科省は方針を転換したではないか。現場の授業はなんにも変わっていない。具体的なことは授業参観の感想として6本ほどブログを書いた。カテゴリー「フリー授業参観」にまとめてあるので、本欄左側にあるから興味があればクリックして読まれよ。

 「大学院での研究は限定されており、経験こそが最良の教師であるかもしれぬ」というのは牧歌的すぎるし、「(大学院を出てからの)さらなる研鑽によって、教員としての資質を高め経験したことの理解を深めることができる」というのも、分析が足りぬ発言に聞こえる。「授業の職人」としてその技術を高めるために、もっともっとナカミの勉強しろの一言に尽きる
  Graduate study has limitations, and experience may be the best teacher. Further study can enhance the best qualities of teachers and deepen the understanding of their experience.

 それでも「教育制度の質は先生の質に依存しており、先生たちが何を学んだか、そして情熱をもって教えることにかかっている」という結論は受け入れられるが、こうした論説記事の締めの常套句のようで、イージーな感じは否めぬ
  The quality of an educational system depends on the quality of the teachers, and on what they have learned and are ready to teach to others.

 教職大学院は定員割れしている。教員採用に当たって優遇されるわけではないから、学位をとることにメリットがないからだ。法科大学院も大失敗の例だった。文科省はこういう企画がヘタだ、形ばかりでナカミがない。
 教職大学院は単位を修得するだけで修士の学位が付与されるので、修士論文の審査が通らなければ学位がおりない通常の大学院の博士前期課程とは異なる。教職大学院はマスター・デグリーのインフレを招くだけで、これでは教員の質が上がらぬ問題の根源は先進諸外国に比べて教員の学力が相対的に低いことなのである
 文科系の大学院が理系に比べると10倍以上の狭き門になっていることはバランス上、大きな問題がある。優先的に教員採用する道が開ければ、定員を増やす大学院が出てくるだろう。文科系大学院の問題は卒業しても大学の先生になる空きが少ないことだ。小中高で優先的に採用される道が拓かれたら、状況は変えられる。勉強する学生が減っているのでは、思うようにはいかないかもしれぬが、やってみる価値はあるだろう。

 教科書一冊を1月末までに教えきれない教員が普通という状況では、北海道内の小学校の80%、中学校の50%の教員を輩出している北海道教育大学の教育は破綻していると言わざるを得ぬ。プロとはどういうことかというまっとうな仕事観を教員養成大学では教えることができないのだろう。学校で校長や教頭が授業の進捗をきちんと管理するだけでずいぶん改善できるはずだが、こちらも機能不全だ。さて、北海道教育大学は自己改革をできるのだろうか?
 小学校も一般の大学出身者に門戸を開くべきだ。小学校教員資格をとるための1年間くらいのコースがあっていい。競争原理が働いたほうが教育改革がしやすくなる。

【大学進学率向上は大学生の学力低下を招いた】
 教員養成大学の質が下がっているのは、少子化で大学進学率が50%を超えたからだろう。団塊世代の頃は16%前後だった。進学率の向上に伴い、教員養成大学だけでなく、大学生の平均的な学力が低下している。40年前に比べると進学率は3倍になっているから、なにか手を打たないと教員の質の向上を望めないのだが、教職大学院では学歴のインフレを招くだけで、教員の学力向上は望めない
 いっそのこと、修士の学位をもつものには自動的に専攻科目に関連のある科目の小中高一気通貫の教員免許を付与し、年収を120万円から240万円ほど優遇したらいい。修士学位取得者から優先的に教員採用し、管理職への登用条件も緩めたら、優秀な人材が学校教育現場に流れるから、こういう方向で規制改革すべきだ

【授業の民間委託案】
 Hirosukeさんが、前の記事のコメント欄に意見を書いてくれたが、学校の授業を民間委託するという大胆な案もありうる。1月末までできっちり教えられなければ、翌年の契約はナシ、これなら100%だ。学力テストの平均点アップについても目標数値を入れて契約書に書けばいい。こうなると、学校行政や先生たちのきらいな偏差値評価を導入せざるをえなくなる。すべては「根室」の子どもたちの学力を向上させるためだ。「根室」というところを「日本」と置き換えてもいい。学力向上と健全な職人(プロ)仕事観育成が日本経済の行く末を決めるのだろう

【財源考:高校統廃合問題との関連】
 財政負担増をどうするかという問題があった。根室なら6中学校を2校に統合すればいい。小学校は9校を3校に統合する。市内の生徒数は1学年260人~220人だから2校で充分だろう。校長職が10人減らせるだけではない、教頭職も一般教員も統合によって減らすことができる。一学年に在籍がたった一人という学校もある。年間2億円以上コストカットが可能だ。
 現在の学校区域外の生徒は無料のマイクロバスで送迎すればいい、財政収支的にはお釣りがたくさんだせる。

 高校の統廃合問題は北海道庁の財政問題でもあるから、小中学校の統廃合を促進すれば、高校統廃合の必要は財政的には必要がなくなる。小中学校の統廃合をやり、高校は2校体制を維持したほうがいい。
(小中学校の人件費は北海道庁が負担している、市町村ではない。)


http://www.japantimes.co.jp/text/ed20120916a1.html
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Sunday, Sep. 16, 2012

EDITORIAL

Educating educators

A recent survey found that more than half of Japan's graduate schools in education are short of students for the 2012 academic year. More than 40 percent of schools had failed to meet their quotas for the past five years.

Since 2003 when the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) started to expand graduate programs in education throughout the country, nearly 3,800 people have enrolled in graduate teaching schools — far from enough.

The push to better educate teachers is a worthy goal with many potential benefits for teachers and their students, but improving teacher education in Japan will require effort, encouragement and a shift in thinking. After all, those are the basics of education.

Japan's teachers are generally less educated than those in other developed countries. In the United States, 49 percent of elementary school teachers and 54 percent of secondary school teachers held a post-bachelor's degree in 2007.

When MEXT began its push to expand teacher education, only 3 percent of teachers had master's degrees or above, though that number has been increasing steadily.

Considering teachers as professionals who require specialized, long-term study is an important shift in consciousness. Teaching should be considered a profession like any other.

In Finland, for example, all primary and secondary teachers hold master's degrees. Having teachers with a higher educational background, both in the field of education and in their areas of specialty, helps to ensure a higher quality of professional work.

That is not to say a degree will automatically make someone a great teacher, or that teachers without degrees are in any way worse. Good teachers have many other qualities such as compassion, patience and creativity that can be developed without formal study. But teachers can develop those qualities and give them greater applicability by studying theories of education and their own subject area in systematic and coherent ways.

At present, the majority of primary and secondary teachers in Japan have only four years of study at the undergraduate level. As the world becomes more complicated, that no longer seems enough to meet the challenges of current students.

Graduate schools are no simple or easy fix for the nation's educational problems, but they do provide teachers with a professional learning community in which to develop higher skills and greater know-how for an increasingly complex classroom.

For too long, prefectural education boards have relied on passing a paper exam as evidence of being fit for teaching. Pass it and you are deemed a teacher, regardless of what you actually studied, practiced or developed, or for how long.

As with many other exams in Japan, teachers spend time and energy cramming for the exam at the expense of expanding their knowledge base and developing teaching skills. Developing a nationwide program to educate teachers is a complex undertaking compared with setting a once-a-year exam.

MEXT has already started to increase in-service training, which is a step in the right direction.

Most primary and secondary teachers are now required to attend workshops, seminars and training sessions as part of their continuing education. That training is frequently helpful, but sometimes amounts to just another hoop to jump through. Short-term training is different from extensive, consistent and challenging programs in education that require two years of commitment.

Graduate programs in education should be developed in a practical direction, too.

Most education students, or those seeking a teaching license, now spend only a few weeks of practice teaching during their third or fourth year of college.

As with any professional work, a few weeks of practice is only a beginning. Combining practical experience in the classroom with learning theory, teaching methods and other studies strikes the right balance. MEXT and graduate schools around the country should consider degree programs that are workable for current teachers, too.

Many prefectures already allow teachers to take off a year to complete a degree. That should be encouraged, but flexible summer programs in which teachers finish courses toward a degree should also be instituted.

Primary and secondary teachers spend their summers attending meetings or supervising sports activities, but engaging in reading and discussion with specialists and colleagues will have the biggest long-term payoff.

Most teachers make the calculation that a degree is not worth it — certainly not if they don't receive a bonus or additional pay for completing a degree. Many of those teachers, though, would work for a degree if it could fit in with their schedules. Incentives are helpful, too, but most teachers are already motivated to learn.

Teachers tend to naturally be good students, but allowing them time and giving them support would encourage that inclination.

Graduate study has limitations, and experience may be the best teacher. Further study can enhance the best qualities of teachers and deepen the understanding of their experience.

The quality of an educational system depends on the quality of the teachers, and on what they have learned and are ready to teach to others.


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http://www.japantimes.co.jp/text/ed20120907a1.html


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Hirosuke

教育・福祉の世界最先端国フィンランドの制度が、
僕の構想と酷似しているのに驚きました。

日本の教職科目って本当に役立たずですね。

教育心理学を聴講した事がありますが、
あまりの退屈さに辟易して、
「この講師、学生の心理が掴めてないな。」
「何の為の学問なんだろうか。」
と教職課程を取るのを辞めました。

僕の行った大学だけでしょうか。

by Hirosuke (2012-09-26 07:03) 

ebisu

ははは、わたしも教育原理と教育心理学のテキストを見てうんざりした経験があります。
「こんなにつまらない本初めて見た」というのがそのときの印象。通信教育で足りない3科目を履修してみましたが、あまりにつまらなくてレポートを書く気になりませんでしたね。もちろん、数ページ読んだだけでテキストも棄てました。もっとましな学者はいないのか、それともこんな程度なのかとあきれました。
by ebisu (2012-09-26 09:02) 

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