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#1753 教育再考 根室の未来 シリーズ第4部②朝読書:ブログ4周年 Nov. 25, 2011 [64. 教育問題]

 今日(11/27)でブログをはじめてから4年目である。アクセス数は2ヶ月前に百万を超えた、読者の皆様に感謝申し上げる。

 今朝は昨日の北海道新聞根室地域版に載った教育シリーズを紹介したい。さすがに取材はプロ、具体的で詳しいが、結論は??誤解のないように全文を転載する。
 教育問題を新聞が採り上げてくれるのはうれしいし素直に喜びたい。今回の記事は私たち釧路の教育を考える会のメンバーが効果に首をかしげる朝読書を学力向上に効果ありとする内容にみえるので、両論併記で皆さんに判断の材料を供したい。メンバーの間では朝読書は概して評判が悪いのである。理由は後で書く。
 以下、全文転載
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 教育再考 根室の未来
  朝読書・朝学習
   習慣化し学力向上狙う

 根室・歯舞中(永谷隆夫校長、生徒73人)の学習は、登校直後から始まる。
 「準備いいか。よーいスタート」。17日午前8時10分、2年担任の久保田竜平教諭(29)が合図すると、生徒28人は一斉に英語のプリントに向かった。英文和訳など表と裏に各10問。多くは13問前後を終えたところで制限時間の6分が来た。すると生徒は両方の人差し指を目の前に立て、右、左と眼球を6秒間動かし始めた。動体視力を高めるトレーニングだ。神経を研ぎ澄まし読書の移り、小説「白鯨」やサッカー日本代表の長谷部誠著「心を整える」などを真剣な表情で10分読んだ。

もう日常の一部
 毎朝、朝の会の前に計20分間行われる同校の朝の学習・読書。各学年で工夫しながら、国語、数学、英語の問題を解き、好きな本に集中する。2年の鍋島春華さん(13)は「もう日常の一部。プリントの残りは家で復習するから、苦手な数学は10点くらい増えた」と笑顔。朝学習で習慣を身につけ月に30冊読破する生徒もいる。
 もともと歯舞中では本に親しもうと朝読書に取り組んできた。現在の朝学習とセット化したのは2007年度。きっかけは06年度に生徒減少で1学年1学級になったことだった。
 その2年前から勤務する桜井隆教諭(46)は「以前は授業を抜け出す生徒もいたが、1学級になって教師の目が届くようになり、学校が落ち着いてきた。『学力向上のチャンス』と全校挙げて取り組んだ」と話す。

取り組み全校で
 学習と読書双方に担任らが付いて毎朝20分かけて取り組むのは市内では歯舞中だけ。ただ、他の小学12校、中学6校とも、読書、学習のいずれかを、曜日ごとに割り当てるなどして実施している。古くから取り組む学校もあるが、全校19校がそろい踏みするのは、本年度が始めてだ。
 これには、市教委が朝読書を奨励したことに加え、「ゆとり教育」から転換した新学習指導要領で基礎・基本の徹底が重視されたことが背景にある。授業時間やコマ数の増加を迫られる中、各校は授業前の時間の有効活用に動いた。
 本年度から全校一斉の活動として朝読書を始めた啓雲中(生徒186人)は4月、8時25分だった登校時間を10分繰り上げ、その分を読書に充てた。田中彰校長(58)は「本を読むことの意義はもちろん、読書後の落ち着いた状態で1校時目に臨める効果は大きい」と生徒の変化を語る。
 このほか、落石中では朝学習の正答率を学年別に競う試みも。活動時間は10分が大半の中、花咲、落石、共和、温根元の4小は担任が付いてドリル学習などを行う時間を15分間確保する。

週5回2コマ分
 学力アップへ各校が活路を見いだす朝の時間。1日20分だと週5日間で授業2コマ分に値する。それを続けてきた歯舞中はいま、学力テスト(国語・数学)で根室が位置する全道最低レベルを超え、全道平均正答率を上回る実力をつけている。
 
 ・・・引用終了
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【ebisuの辛口コメント】
  朝読書と朝ドリルの二つが取り上げられている。時間を制限したドリルはスピードアップと集中力の養成に効果があるだろう。珠算と同じトレーニング法である。だが、分数や小数の四則計算がおぼつかない生徒が中1で三人に一人はいる。こういう生徒たちにはどのように対応しているのだろう?記事を読む限りではやり方を説明する時間があるようには思えない。つまりはやらせっぱなし。

 朝読書に関しては批判がいくつかあるので紹介しておきたい。
 一つは何を読んでいるかだが、先生たちは生徒が読んでいるものを知っているのだろうか?
 もう一つは、音読トレーニングをするわけでもなく、ただ生徒に黙読させるだけだということ、これでは読書スピードが上がるわけがないし、正確に読んでいるかどうかすらチェックできない。
 ニムオロ塾では中学生や小学生に週1度、授業の前に20~30分間音読トレーニングを課しているが、私は生徒たちに輪読させてチェックしている。"てにをは"の読み違え、漢字の読み違え、読めない漢字は学力の低い生徒ほど増える。そして学力が低い生徒ほど読むスピードも遅くなる。音読で速く読めない者が黙読で速く正確に読めるなどというのは幻想である。音読トレーニングをやらない限り、朝読書にどれほどの効果があるというのだ。
 なれない生徒はルビを振った本でも平仮名が長いとどこで切ったらよいかわからず戸惑うこともしばしばだ。ましてや、ルビを振っていない本を勝手に選ばせて、辞書も引かずに読んだところで、読書スピードも、正確な読書の技も身につくはずがない。音読トレーニングはバスケットボールならドリブルの練習と同じことだ。トレーニングもせずに巧くなる筈がない。
 朝早く登校させて、手間をかけずに黙読させて生徒の読書力が本当に上がるなら、学力を上げるのは簡単なことだろう。仕事の手を抜きたい怠け者の言訳にすぎぬ。どんな言い訳もいらぬ、仕事はひたすら正直に誠実にやればいい。教育の職人としてプロの仕事を全力でやってみせればいい。

 実際のところは、11月2日に行われた学力テストで市街化地域の3校の中学2年生222人中、400点(500点満点)を越えた生徒がたったの4人、根室はじまって以来ともいうべき最低記録を更新しているのだ。7年前には市街化地域の3校で50人を超えていた。400点以上が4人いたB中学校で中1の400点超はたった2人しかいない
(歯舞中学は生徒数が少なく、学年によって成績のアップダウンが激しい学校だから評価が難しいことは知っておくべきだろう。では2.5倍の生徒数を擁する啓雲中では朝読書が生徒の学力向上に効果があっただろうか?学力テスト結果は正直だ。)

 そういうわけで、朝読書が生徒の学力向上に効果があるという主張には私には何の根拠もないように思う。

 そもそも問題の立てかたが間違ってはいないか「朝読書を何年もやっているにも関わらず、なぜこれほどまでに根室の生徒たちの学力が落ち続けるのだろう、あるいはなぜこれほどまでに生徒たちの日本語のボキャブラリーが貧困なのだろうか」という疑問に答える取材を期待したい問を正しく立てるということが取材で一番大切なことではないのか?
 記事を読んでいると、このままやっていれば根室の子どもたちの学力が上がってくると錯覚しそうである。本気でそういう主張をしたいわけではあるまい。
 木を見て森を見ないと往々にしてこういうことになる。新聞記者には地べたを這って取材をする虫の眼と、大空から全体の景色を俯瞰する鳥の眼の両方が要求される。矛盾したものを同時に身体の中に住まわせるのはなかなか至難の業ではある。
 実際は急激な学力低下というまったく逆のことが起きている。シリーズ第4部後半は事実を直視した分析と批判精神に富んだ道新らしい取材を望みたい

 小4から五十数年来の道新愛読者であり、生涯道新を読み続ける覚悟の読者の一人ebisuより道新根室支局に辛口のエールを送ることをお許しいただきたい。道新根室支局は永遠に根室の町のオピニオンリーダーであってほしいと願っている。
(北海道新聞をとっていない人は根室駅のキオスクで売っているから、このシリーズ連載中は買って読んでほしい)

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【メンバーの朝読書に関する見解】
*釧路の教育を考える会のメンバー二人(副代表と合格先生)が朝読書に関する意見をブログにアップしているので、お読みいただきたい。
 ○ 「朝読書に苦言を呈す」ブログ"情熱空間"11月28日
 ①「国語力といじめ問題」9月3日、ブログ"情熱空間" 
 ②「読書ではなく字眺め(釧路の学校の朝読書)」9月2日
 ③「朝読書への疑問」7月11日
 下記のURLをクリックして順次スクロールしてご覧戴きたい。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/search?q=%E6%9C%9D%E8%AA%AD%E6%9B%B8


【関連記事のリスト】
*「#1750 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部連載開始(北海道新聞) Nov. 25, 2011 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-25

 「#1733 "クサレン"って何?:日本語ボキャブラリー Nov.16, 2011」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16-1

 「英語教育論:数学者藤原正彦『国家の品格より抜粋 #753 Oct. 8, 2009」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-10-08

 「フィールズ賞受賞数学者小平邦彦と藤原正彦の教育論 #749 Oct. 4, 2009 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-10-04

 「#1171 具体的なデータによる根室の子どもたちの学力 Aug. 23, 2010 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-23

 「#1573 学力と語彙力の関係(3): 英英辞書と母語の語彙 July 7, 2011 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-07-07

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*◎は高校統廃合について論じた記事、無印は関連記事である。


 #1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

 #1305 根室高 資格取得で成果:5科目1級取得者はK君
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-17-1

 #1306 教育再考 根室の未来 第2部 低学力③:若手多く指導に苦戦も
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19

  #1304 教育再考 根室の未来 第2部 低学力②:「学ぶ意味」尊重されず 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-17

  ◎#1253 教育再考 根室の未来(5):第1部⑤高校統廃合(北海道新聞)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-24

  ◎#1251 教育再考 根室の未来(4):第1部④高校統廃合(北海道新聞) 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-22

 ◎#1250 「教育再考 根室の未来(3):第1部③高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21

 ◎#1249 「教育再考 根室の未来(2):第1部②高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-20

 ◎#1248 「教育再考 根室の未来(1):第1部①高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19

 #1152 「教育における投資対効果を考える」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-08

 #1127 「限度を超えた部活動の実例(釧路)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23

 #1125 「公教育の充実へ予算を増強して」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-21

 ◎#1124 「高校2校体制を5年延長する現実的な提案」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-20

 ◎#1122 「高校統廃合問題:商業科と事務情報科は歴史的使命を終えたのでは?」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-19

 #1119 「地域経済と地域医療を支えるために:学力向上への提案(釧路商工会議所青年部で行われた講演会から)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-18

 ◎#1113 「道教委による公立高配置計画説明会(7/13)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-15

 ◎#1111 「根室の高校統廃合問題について「異見」あり(1)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-14 


 


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ZAPPER

うーん、甘いですね。失礼ながら、前任の記者さんとは大違いですね…。

まず第一に、その朝読書で「好きな本を持ってきなさい」ってのはどうなんでしょうね。お母さんが思わず赤面してしまうような内容のケータイ小説を、小学生の女子が朝読書で堂々と読んでいる。いいんですかそれで?

次に、ただの黙読で何をどうやって効果を計測するのでしょうか?そんなものは、ただの「やったふり」で何も効果なし。もう何年も朝読書に取り組んでいる釧路の有名な某国立小学校の国語力は、年々確実に低下の一途を辿る一方です。

計算練習と漢字の読み書きにこそ、朝の貴重な時間を費やすべきでしょう。きちんとした指導力がある小学校教員ならばそういった発想になるものでしょうけれど。朝読書はその次の段階でしょう。音読をさせる。美しい日本語を読んで聞かせる。そうするべきだと思うし、我々ならそうしますが。
by ZAPPER (2011-11-28 00:06) 

ebisu

ZAPPERさんへ

前任のKH記者と比べたらお気の毒です。あなたの豪胆さと合格先生の緻密さを兼ね備えたような記者でした。
学力問題と病院建て替え問題で道新らしい批判精神に富んだいい記事をたくさん書いて、根室のオピニオンリーダーでした。1部、2部と4部を比べて読むと力量の違いが歴然としてしまいます。

支局長はいい仕事をしてませんね。本来なら、彼がチェックして、こういうケースの場合は取材構想を具体的に指示すべきです。私が上司ならそうします。
部下の力量を見極め、記事のレベルを高いところに引き上げるのは上司の役割です。
正直に誠実に仕事をすれば、スキルは上がり、記事は他紙の追随を許さない優れたものになります。
手を抜けば抜いたものにならざるを得ない。恐るべきは普段の仕事で、その一つ一つをけっしておろそかにしてはなりません。
by ebisu (2011-11-28 10:36) 

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