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#1572 学力と語彙力の関係(2): 5科目合計点が高い⇔国語の得点が高い? July 6, 2011 [64. 教育問題]

【中学生1学期期末テストデータ分析】 
 1年生は?
 国語が50点以下のグループと国語が70点以上のグループに分けて5科目合計点を比べたら、次のようになった。

 国語50点以下⇒ 5科目合計平均値 178.6点
 国語70点以上⇒ 5科目合計平均値 380.1点

 実に201.5点も差があった。1科目平均値に置き換えると40点の差である。こんなにはっきりとした差が出るものなのだろうか?
 1年生に関しては国語の得点が5科目合計点を左右しているように見える。理屈から言っても、国語の点数の高い生徒は日本語能力が高く、他の教科の授業をよく聴き、よく理解しているのだろう。この学年は総勢15名、二つにクラスを分けて教えている。
 日本語力強化のために使う音読テキストは、斉藤孝著『読書力』だが、半数の生徒が1ページに5~10個も読めない漢字が出てくる。先読みのできる生徒は3割くらいだ。語彙力不足と日本語の音読が"かなり不得手"の生徒が5人ほどいる。これらの生徒は英語はもっと苦手である。音読がいちばん上手な生徒はお迎えテストよりも順位を12番上げ、学年トップとなった。日本語音読の巧みな生徒は学力のノビシロが大きい。

 2年生はどうだろう?
 国語が50点以下は一人のみである。51から69点が多いから、"中"から"中の上"の成績の者が密集しているようだ。それぞれ問題を抱えているので、指導は面白い。
 このクラスの音読テキストは藤原正彦著『国家の品格』だが、すらすら読める生徒は二人のみ、あとはみな苦労している。
 ときどき450点を越える生徒は音読が上手で、英語は100点、数学は94点。完全予習方式で個別指導、1学年上の授業を受けている。最近、テスト前の復習が上手になってきた。もちろん、問題にマークをつけて復習を効率的にできるように指導している。ケアレスミスにはこだわるな、目先の点数にこだわる者は長期的な学力向上に自ら足枷をはめてしまうと日頃から注意している。自分のスピードで問題を解かせ、質問に答える。ときどき、ノートを覗き込んでこちらから質問をしてみて、解説を試みる。べったり教えて依存心を育てることがあってはならぬ。
 
 国語70点以上⇒ 5科目合計平均値 354.0点

 100点ほど差に過ぎない。2年生のみ50点以下の生徒の数が少なく大きな差が出なかった。

 では3年生は?
 国語50点以下⇒ 5科目合計平均値 188.8点
 国語70点以上⇒ 5科目合計平均値 380.2点

 差は191.4点である。このクラスは学年トップクラスはいないが400点前後の生徒が半数いる。落ち着いて学習のできる生徒たちである。
 このクラスで使っている音読テキストは世阿弥著・林望現代語訳『すらすら読める風姿花伝』(原文対訳)、原文は室町時代の成立で能の奥義書、明治まで門外不出の秘伝書、ebisuは世界最高レベルの芸術書であると思っている。ちょっとレベルが高いが、いくつになっても読むべき価値がある。社会人となってからも何度も何度も読み返して欲しい本。リンボウ先生こと林望の現代語訳も格調高く素晴らしい。

【結論】
 さて、総括である。国語が50点以上のグループと70点以上のグループを比べてみると、70点以上のグループの5科目合計の平均値は354.0~380.2点であり近接していた。二つのグループの5科目合計平均値の差は1、3年生は約200点、2年生は100点であった。1・3年については50点以下の層は70点以上の層の5科目合計点の半分以下。
 2年生は50点以下のデータが一人であるので、除外すべきと判断した。 
 これらの事実から、どうやら日本語能力や語彙力のレベルが5科目合計点の高さを規定しているという推論が成り立つように思える。

 "5科目合計点が高い⇔国語の得点が高い" と言えそうである。

【読書のススメ】
 小学生や中学生のお子さんをもつお母さんたち、子供にすこしレベルの高い本を読ませよう。漢字検定も役に立ちますが、長期的に学力を上げるためにはたくさんの量の読書が必要です。児童書からどうやって大人が読むレベルの高い本へと導くか、仕掛けが必要です。文庫本を買い与えるもよし、古本市で安く仕入れるもよし。古本市にはいい本がでています。東京神田の古書店で買ったら数万円のものが千円で買えます。

【授業を聞いても理解できない生徒の割合はどれくらいいる?】
 ここまで書いて、別のことが見えてきた。国語の点数が50点以下の生徒の学力向上はなかなかたいへんである。40点以下は基礎的語彙力や日本語運用能力が著しく劣るために、コミュニケーション能力に問題があることは想像がつく。40点以下の層は先生たちが説明する授業内容が半分も理解できないだろう。ここを何とかしないといけない。
 では、国語40点以下の層はどれくらいの割合を占めているのか?追ってデータを公開したい。学力向上は適切な情報公開から始まる。

(塾に通う生徒はの学力はさまざまであり、学力も学習スピードも開きが大きい。そのために個別指導をメインにやることになるが、実際には同じレベルの数人を対象に小グループ指導も織り交ぜている。
 クラスによって、集まってくる生徒によって、その日の状態に応じて臨機応変の授業となる。低学年ほど手ごわい。
 高校生が年々増える傾向にあり、その比率が30%を超えた。ニムオロ塾は中学生主体から中・高校生の塾へとシフトしつつあるようだ。まだしばらくは過渡期だろう。
 学年を混ぜた個別指導は10人程度までは可能だから、1クラスの規模はおおむね10人である。大事なお子さんを預るのだから、無理はしない。)

 英語の学力すら母国語の語彙力が関係する具体例をたった一つだけ次のブログで採り上げる。


*#1570  「学力と語彙力の関係(1):総論」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-07-05


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【学力向上の目的】
 私はふるさとを愛するパトリオット*の一人として根室の子供たちの基礎的学力の向上を願っている、そして何が何でも全国最低という根室管内の低学力の現状を変えたい。

 私がいう基礎的学力とは目先のテストの点数ではなく、人生を闘い抜く武器としての学力である。社会人となっても、商品説明を聴いて自分で計算して適切な判断が下せる(日本の不動産担保ローンであるステップローンや米国のサブプライムローンのようなインチキ商品にだまされない)レベルの学力、あるいは仕事で必要な専門書を独力で読み現実の仕事に応用できるようなレベルの学力をさしている。仕事の遂行能力は基礎的学力に支えられている。

 母語の語彙力が貧弱だと、学校の授業の内容が理解できずにこうした基礎的学力を育めないままに社会人となり、こうした商法の餌食となったり、仕事ができずに転職を繰り返し転落する者が増える。
 基礎的学力を高めて、誠実で正直な仕事をして、幸せに暮らしてほしい。自分のためだけでなく世のため人のためになるような仕事をしてほしい。わたしはそうした精神や価値観を日本の商道徳の伝統的な価値観である「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」に見出す。

 学力強者の中には小ずるい者たちが増えている。ライブドア事件や村上ファンド事件は氷山の一角に過ぎない。
 福島第一原発事故は未だに進行中だが、高学歴の原子力安全委員会のメンバー、原子力安全保安院、難関の就職試験を通り抜けてきた東京電力の役員ならびに社員たち、自分たちの利益のためなら、社会の安全・安心などどうでもいいのだろう。自分たちの仕事に対して恐ろしいほど無責任である。国民の健康と命よりも自分たちの政権の維持の方が大事な政府の面々、まことに情けない者たちが多い。

【情報の分析と公開が必要条件】
 基礎学力をしっかり育み、マスコミの流すインチキ情報に惑わされず適切な判断を下す一方で、自分の仕事は責任をもってやり抜き、こうした困難な時代を生き抜かねばならない。釧路の仲間の一人である"合格先生"は「地頭」で考えることのできる人と表現している。

 今回の分析に使ったデータは市内中学校3校の生徒たちの1学期期末テストのデータ分析である。ニムオロ塾に通っている生徒たちが対象であるから、データには偏りがあるが、それでも真実を垣間見ることはできる。国語の能力と総合学力は相関関係が強い。

 根室の市民の皆さんに事実がどうなっているのかを知ってほしい、そして考え、一緒に行動して欲しい。全国一低い北海道の学力、そして全道14支庁で最低という根室の学力の現実は変えられる。事実を知り、対策を考えよう。釧路では私塾と行政と学校などそれぞれ立場を異にする者たちが共通のテーマで集って「釧路の教育を考える会」を結成し教育改革の具体的な提言を準備している。
 わたしもそのメンバーの一人だが、根室にはまだそういう組織がない。若手の地元経済人や市議の中に私欲を棄ててふるさとのために一仕事してみようと手を挙げる人がいずれ出てくるだろう。ebisuはそういう人を応援したい。

*パトリオットについて二つブログ記事を書いているので、興味をもった方は読んで欲しい。
#1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16

#1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17



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<ニムオロ塾で使っている日本語音読テキスト> 

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  • 出版社/メーカー: 新潮社
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  • 発売日: 2003/12/13
  • メディア: 単行本

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ZAPPER

実に興味深いデータですね。ウチのように塾生一人ひとりの履修教科が違い、ましてや担当講師も違う状況下にあってはデータの検証もままなりませんので。

第一にお母さん、第二に小学校教員の方々にこそ、このデータをじっくりとご覧になっていただきたいと思います。「旬」の時期に語彙力を育めなかったなら、年齢なりの文章読解力が大きく劣ったならどういうことになるのか?ということを。

「何度教えても仕事を覚えられない」といった状況どころか、対人関係においての円滑なコミュニケーションにすら支障をきたすようになるものなのですが…
by ZAPPER (2011-07-06 10:22) 

ebisu

ZAPPERさんへ

面白いでしょう、わたしもデータを並べて驚きました。
教育行政に全国学力テストデータを学校別・科目別に公表して欲しいと、市教委へもメールを出してみましたが、とても壁が厚い。

手元にある材料で分析してみたら、瓢箪から駒でした。灯台下暗しを絵に描いたものです。
私もデータをもっていました。
分析すればいいだけ。
「隗より始めよ」ということにようやく気がつきました。
教育行政が愚か者だと思っていましたが、そう思う私自身も手元の材料に気がつかぬほどの大ばか者。
aha!
by ebisu (2011-07-06 11:50) 

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