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#3953 北構コレクションの常設展示:オホーツク文化 Mar. 15, 2019 [根室の過去・現在・未来]

 根室市の歴史と自然の資料館(花咲港)で北構先生が収集したオホーツク文化の発掘品がようやく常設展示される。わたしはオホーツク文化についてはほとんど知識がない。もう少し暖かくなってから見学に訪れるつもりだ。
 先生は国学院大学院の時代だろうと思うが、文部省の依頼でベトナムの王族に日本語を教えていたことがある。日本語を教えながら、フランス語を覚えたという。フランスの植民地だったベトナム独立を視野に入れた国策だったのだろう。米国と戦って勝利したベトコンは、終戦後にベトナムに残って独立運動を指導した日本人将兵が訓練して育てた。

 北海道新聞3/15朝刊記事を紹介する。
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オホーツク文化期の針入れ、骨角器など60点
根室在住考古学者
 北構氏の発掘品 常設展示

 市歴史と自然の資料館

【根室】市内の考古学者北構保男さん(100)が発掘し、市に寄贈したオホーツク文化期などの埋蔵文化財「北構コレクション」の一部が市歴史と自然資料館(花咲港)で常設展示される。北構さんが長年情熱を傾けてきた研究の成果を知る貴重な資料だ。(今井裕紀)

 北構えさんは1918年(大正7年)根室町(現根室市)生まれ。14歳のころ、根室港の港口にある弁天島で捕鯨の様子が掘られたオホーツク文化期の針入れを発掘。超1級の資料として考古学会を驚かせた。国学院大に進み北千島でオホーツク文化やアイヌ文化の遺跡発掘調査に従事。戦後は根室に戻り印刷会社を創業し、町議や市議を務めながら発掘調査を続けた。「古代蝦夷の研究」で70歳の時に文学博士号を取得。
 2017年2月、「故郷に役立てたい」とこれまで自身が発掘した土器や石器、骨角器などの埋蔵文化財約13万点を市に寄贈し。常設展示に向け、資料館の学芸員らが資料の台帳づくりを進めてきた。
 今回公開されるのはコレクションを代表する役60点。針入れやアザラシなどをかたどった骨角製品といったオホーツク文化期の出土品のほか、17世紀ごろのものとみられる北千島のアイヌ民族の内耳土器など千島関係の資料も含まれている。…
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 膨大なコレクションのほんの一部が公開される、根室の小中高生に見学してもらいたい。

 北構先生は根室商業のご出身。作詞をよくされた歯科医の田塚源太郎先生とは根室商業の同期である。田塚先生は国後島のご出身、「国後の大漁師の息子」と北構先生はおっしゃっていた。田塚先生はビリヤードの常連のお客様だった、男のお子さんがいなかったのでずいぶんかわいがってもらった。二女とは小学校、中学校、高校と同級生だった。北構先生も田塚先生も背の高い人だ、田塚先生には根室商業時代に武勇伝がある。線路に仁王立ちして列車を止め、乗せたもらったことがあるようだ。当時は蒸気機関車である、止まらなければ轢かれる、同級生と度胸試しでもやったのだろうか。「根室商業の生徒」ということでお咎めなし、おおらかな時代だった。根室商業は道東では輝いていたのである。総番長制度もそのころに元気のよい根室商業の生徒がヤクザともめごとを起こして、その収拾のためにできたものだろう。「お控えなすって、手前生国発します所…」という切り口上が5年先輩まで総番長に代々伝わっていた。総番で野球部のキャプテンだった5年先輩から小さく折りたたんだ紙をもらったのだが、机の中にしまったままなくした。そのときにやってみせてくれたよ。ヤクザ屋さんともめごとがあったときは、総番が交渉することになるので、仁義の切り方は知らなきゃ話にならないと云った。話をつけるためには向こうの流儀で挨拶するのが筋、総番は命懸け、責任が重かったのである。だから、金刀比羅神社のお祭りの時は、総番が前を歩き、一歩下がって総番グループが連れだって練り歩いていた。あれは一種の儀式だったのだろう。普段と違っておっかない顔してた。
 北構先生は市議を何期かやったあとに、市長選挙に出たことがある。ebisuが中学生の頃だったと思う。オヤジが応援していたので記憶にある。残念ながら落選した。根室の町は漁師町でインテリが嫌い、歯に衣を着せずにずけずけモノを言う北構先生が煙たかったのだろう。それを境に北構先生は政治の世界から足を洗い、印刷業と考古学研究の二足の草鞋でいくことに決めたのだそうだ。「なにをやっても根室の町は変わらんよ」、ある日印刷会社の応接テーブルで雑談をしていたときに大きな声でそうおっしゃった。「同期はみんな逝っちゃった、昔話ができるのはもう君くらいなものだ」と笑っておっしゃった。先生は40代で政治の世界をあきらめた。
 市長選挙に当選していたら、北構先生が国学院大の文学博士号を取得することはなかったかもしれぬ。市長選挙に敗れ、幸いなるかな。根室のエスタブリッシュメント(=当時の”オール根室”)のアホウどもにかまっていてもしょうがないと達観したのだろう。いまも根室の町は変わらない。
 平成3年にお亡くなりになった歯科医の福井先生は根室新聞に連載小説を書いていた。お亡くなりになる3か月ほど前にたまたま帰省していてビリヤードをしていたら、「トシボー」と呼ばれて誰かと思ったら福井先生だった。周りにいい大人がいた。
 三人の「大人」は皆さんご近所さん、歩いて5分以内の距離。そういえばテニスの大坂ナオミのお母さんの実家も右向かい側にあった。あんな家、高校生の頃にあったかな?記憶にない。
 信金本店の裏に「大坂屋」というアイスクリーム工場があったのは覚えている。小学生のころ、長方形でチョコレートでコーティングされたステックアイスをずいぶん食べた。たまに半分溶けて形が悪くなって売り物にならない製品を安く売ってくれた。味は変わらない、結構喜んで食べていた。中学生のころにはその小さなアイスクリーム工場はなくなっていた。

 根室の町に吹く風もその向きが変わりつつあるようにわたしは感じている。「勉強しなくても船に乗れば飯が食える」、そういう時代ではとっくになくなっている。根室は否応なしに変わらざるを得ない。わたしがブログで発信している具体的な提言の三つに一つは時代の変化でゆっくりと実現することになるかもしれない。直球を投げ続けているうちにバターボックスに立ってみようと思う若者がきっとでてくる。ケセラセラ。

 今日は風がなくて陽射しがとってもあたたかい、11時の気温はマイナス0.2度だが、春が来たようだ。雪解け水が下水溝に落ちていく音が心地いい。

 北構先生は、おおらかにご自分の道を歩かれ満百歳になられたご様子、おめでとうございます。




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#3952 ゲノム編集技術の発展と人類の進化 Mar. 14, 2019 [4. 人工知能]

 #3949と#3950で「SapiensとHomodeus」をとりあげたが、ゲノム編集技術が何をもたらすのか概観しておきたい。

 遺伝子の編集はすでに農産物や遺伝子治療として現実化しているが、次のステップはヒト受精卵のゲノム編集である。ゲノム編集とは部位特異的な酵素を用いて標的遺伝子を改変する操作であるが、現在の技術で受精卵のゲノム編集を行えば、標的遺伝子以外にも改変を起こしてしまう可能性が高い。しかもそうしたミスを検出できない。
 技術は進化を続け、いずれ正確に標的遺伝子を操作できる時代がやってくれば、ゲノム編集の目的が変わる。受精卵の遺伝子をデザインできるようになる。AIでデザインし実際にデザイン通りにゲノム編集された受精卵から人間が誕生する可能性が拓ける。

 たとえば、寿命を決めているテロメア領域を2倍の長さにできたらその人間の寿命は2倍になるかもしれない。いったん2倍にする技術が確立されたら、3倍が可能になるだろう。3倍ができれば4倍に、…そう簡単には行かない、どこかで別の不都合が生じる。

 ゲノム編集で変えられるのは寿命だけではない。ゲノムをデザインしそのデザイン通りにゲノム編集することで、sapiensの亜種が誕生する可能性がある。

 ネアンデルタールはヒト種の亜種であるサピエンスの出現によって滅びたが、同じことがサピエンスに起きる可能性がある。
 人間に技術進化は止められないのはなぜだろう?

*#3949 Sapiens と Homo Deus(1):ハラリの視界  Mar.10, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-03-10

**
#3950 Sapiens と Homo Deus(2):不定冠詞の役割  Mar.13, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-03-13





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#3951 定期テストで学年トップを競ってはいけない Mar.14, 2019 [65. 成績上位層にかかわる問題]

 成績上位層の内でも学年トップレベルの生徒には、定期テストで学年トップはどうでもいいとふだんから言っている。

 難易度の低いテストでトップをとっても意味がないからだ。難易度の低いテストでは成績トップ層の得点分布は高いところで団子状になる。高得点層の分布の範囲が狭くなるのである。500点満点なら450点以上のところに集中する。ケアレスミスがすくない生徒が学年一位となるだけで、学力とはあまり関係がない。「神経戦」で消耗するのは生産的ではない、トップレベルの生徒たちの学力の差は難易度の高い問題をやらせたときにはっきりと点数に現れるから、そういう場裡での戦いに力を注ぐべきだ。
 たとえば、道立高校入試問題で9割得点できても、東京都立高校入試問題では8割程度の得点となる。ましてやさらに難易度の高い有名私立高校入試問題では7割の得点だっておぼつかぬ。だから、ケアレスミスの有無はほとんど関係がなくなる。トップ層の得点分布が広がるから、難易度の高い問題が解けるか否かで勝負がつく。標準問題を高速で解き、新傾向の難易度の高い問題に時間を割く、そういう戦術も大事になってくる。
 英語の問題は道立高校裁量問題の3倍量の長文問題が出題されるのがあたりまえで、語彙の難易度もずっと高くなる。時間内に読み切るためにはしっかりトレーニングを積む必要がある。道立高校入試問題レベルとは世界が違う。
 たとえば、都立高校進学校の入試問題は3000語ほどになっている。道立高校裁量問題の3倍ある。数学については昔、桐朋高校がいい作問をしていた。
 開成や慶応や早稲田高等学院は言うに及ばず、難関大学入試は都立の進学校やこういう私立の有名高校のトップレベルの生徒たちとの競争なのである。

 1月半ばに入塾してきた中1の生徒が、学年2位がチャンピオンデータだと言っていた。入塾の目的は学年トップになりたいからだろう、抜けない生徒が一人いると聞いた。四月の学力テストで学年トップになるために、難易度の高い問題集にチャレンジしている。短期間でも一生懸命に勉強する生徒の学力はアップしてしまうから、学年末テストでは学年トップといい勝負になると踏んでいたら、一昨日表情がよさげなので、結果を訊いてみたが、五科目485点で学年2位、トップとの差は1点。以前抜けなかった生徒を抜いてしまった。学年トップが入れ替わったのだ。
 予想したよりもいいできだ、四月の学力テストでは予定通り学年トップに躍り出るかも。学力テストでは学力差が点数にはっきりでる。(笑)
 なかなか負けん気の強い生徒である。当面の目標は四月の学力テストで450点を超えられるかどうかが勝負どころだ。そこをクリアできたら学年トップ、「ニムオロ塾プログラム」で2年生の内には480点台へ飛躍できるだろう。誰もがやれるプログラムではない、やる気があって基礎力がしっかりした者でなければ登ることのできない険しい山道に挑むのである。最優先すべきは先取り学習である、大学受験の1年前に数英国は終わらせておかねばならない。中学校の内に数ⅠAを終了しておかないと、大学受験がきつくなる。英語は何とでもなる。
 最近は学年によっては学年トップの五科目合計点が400点を超えられないケースがでている。十年前と比べると学力上位層の数が激減して、枯渇化現象を起こしている。根室の市街化地域の3中学校では、いまや学力上位層は絶滅危惧種なのである十数年前の1/10に減ってしまった
 学力テストの五科目合計点が400点以下では学校の定期テストでいくら高得点をとっても、高校生になって受ける進研模試の偏差値は50以下(公立高校普通科の全国平均点)である。

 この生徒も難関大学への進学を考えているので同級生と競っても意味がない。全国区での勝負ができなければならない。高校1年生になって進研模試を受けたときに全国偏差値が75を超えられたらいい。そのあたりを目標にして数学と英語を教えている。負けん気の強い生徒は学力に応じた難易度の問題集をやることで学力が伸びる、わたしは生徒のさまざまな質問にその都度答えることで背中を押すだけ。質問への答えは生徒の好奇心と学力に応じたものとなる。最終目標は独力で学習できるようになることだから、塾への依存心が起きないように注意して教えている

<余談:進研模試偏差値70超の生徒数>
 首都圏と同じように小学4年生から鍛えればの話だが、市街化地域の3中学校だけで、2~6人毎年そういう能力の生徒がいるようだ。同じ中学校で3~5人同時に出現するケースもある。郡部を合わせると3~8人というところだろう。
 今年の高校1年生で見ると全国偏差値70を超えている生徒は2人のみ。2~6人育てそこなった、もったいない気がする。そんなに偏差値70以上の生徒がいれば、医学部に進学する生徒が毎年いても不思議ではない。こういうレベルの学力で心根が真っすぐな根室っ子が東京でしばらく働いてから根室へもどってこれるようになれば、根室の町もずいぶん違ったことになる。
 たとえば、市立根室病院の常勤医不足は長期的にとりくめば解決できる問題なのである。医学部進学の生徒がが毎年でるようになれば、そのなかから戻ってきて地域医療を支える人がかならずでてくるし、優秀な人材が戻ってくれば市役所もまともな総合政策が立案できるようになる。
 子どもたちの学力低下問題や地元企業の経営改革という基本的な問題に目を背け、目先のことばかりに追われていたら市の政策を誤ることになります。現にそうなっているじゃありませんか。




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#3950 Sapiens と Homo Deus(2):不定冠詞の役割  Mar.13, 2019 [44. 本を読む]

 ハラリの著作のタイトルには2冊とも不定冠詞 a がついている、面白そうなのでまな板に挙げてみよう。

 Sapiens  A Brief History of Humankind
 Homo Dedeus  A Brief History of Tomorrow

  邦訳書のタイトルは、『サピエンス全史』『ホモデウス テクノロジーとサピエンスの未来』となっている。
 邦訳書のタイトルのニュアンスからは不定冠詞ではなくて、定冠詞がふさわしい。
 Sapiens  The Brief History of Humankind

 ではどのように違うのか。定冠詞theだとこれが人類史の決定版だという強いメッセージが伝わってくる。不定冠詞 a だと、人類史に言及した本はあまたあるが、これはその中の一つであるというメッセージが伝わってくる。

 ホモデウスのほうは、人類の未来に関する本はあまたあるが、これはその中の一つ、一つの可能性に言及したものであるというニュアンスが伝わる。人類の未来は絶対的でも確定しているわけでもないという著者のメッセージがタイトルの不定冠詞 a に込められているという風に読める。

 ところで、Deusとはなんだろう?辞書CALDを引くと次のようになっている。
 deus ex machina : an artificial or very unlikely end to a story or event, which solves or removes any problems too esily.


 「デウス・エクス・マキナ」、ラテン語である。マキナは機械を意味する。ギリシア劇で機械仕掛けの神がでてきて、人間が抱えている厄介な問題をいとも簡単に、ありえないやりかたで解決してしまう、そういう存在がdeusである。
 人工知能がそういう存在として人類の上に君臨する時代が間もなく来るのだろう。

 ところで、deusとは次のような方法でつくられた語ではないのか?
 devil+zeus=deus …ペケ

 デウスは魔王と全能の神ゼウスの両義性を有した存在のように感じる。うまいタイトルをつけた。AIは全能の神ゼウスなのかそれとも人類にとって悪魔の親玉である魔王なのか。
  でもね、deusはラテン語だから、英語のdevilとの合成語だという解釈は無理がある。ラテン語で悪魔や魔王のことをなんというのか、わたしにはわからない。
 ネットで検索してラテン語のオンライン辞書を引いてみた。魔王はないが悪魔はあった。diabolus、デアボルスと読むのだろうか。
 diabolus+Zeus=deus

 さらに検索したら、ギリシア語の全能の神zeusはラテン表記ではdeusであることがわかった。deusはまぎれのない神であり、魔王の意味はない
 このように、「推論⇒仮説a⇒チェック⇒推論⇒仮説b⇒…」こういう過程を繰り返しながら真実に近づくことが「思考」である。試行錯誤というではないか。(ダジャレ)


 話を元に戻そう。サピエンスは四つのパートからなる。
1.認知革命
2.農業革命
3.人類の統一
4.科学革命

 四つのパートからハリスのサピエンスが構成されているが、三つのパートで人類史を扱うこともありだし、五つもありうるのである。同じ四つでも項目が異なるケースもありうる。不定冠詞の a はそういうことを物語っているのだろう。ここでまた疑問が一つ増えた。1・2・4には「…革命」revolutionがついているが、3番目だけついていない。「人類の統一」ってどういうこと?本文を読めばわかるのだろう。疑問が一つ増えれば楽しみも一つ増える。
随時随所楽しまざるはなし。


 さて、これらを考慮してタイトルをつけるとすれば、『四つの視点から人類史を読み解く』、ちょっと長すぎるか。悪乗りして、ついでだからもう1冊のほうもやってみる、『ホモデウス:AIは神か?ありうる人類の未来』
 
 書き手がイメージした事柄を語彙を選んで文章にする、読み手は文章や語彙から書き手が脳に描いたイメージを自分の脳内に再現し、それを母国語で表現する、それが文章読解の妙である。
 冠詞は日本語にはない機能なので、それを短い日本語にのせるのはかなり厄介、翻訳者も迷ったのだろうか。
 この授業の対象者はいま1年生だが、読み始める7月には高校2年生、不定冠詞、定冠詞、無冠詞についてもこれまでと同じようにニュアンスに気を配って読むことになる。冠詞を的確に理解しないと書き手のイメージの的確な再現ができない。冠詞の理解が進むにつれて文章解釈に冠詞類という奥行きのあることがわかってくる。

*#3952 ゲノム編集技術の発展と人類の進化 Mar. 14, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-03-14

Sapiens: A Brief History of Humankind

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  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 2015/04/30
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Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

  • 作者: Yuval Noah Harari
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 2017/03/23
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21 Lessons for the 21st Century

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  • 作者: Yuval Noah Harari
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 2019/08/22
  • メディア: ペーパーバック



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#3949 Sapiens と Homo Deus(1):ハラリの視界  Mar.10, 2019 [44. 本を読む]

  ハラリの著作 Sapiens を高校生の個別指導英語授業で採り上げると前回#3948で書いた。対象の高校生は現在1年生、英語の進研模試の全国偏差値が75-80の間で、1月に初めて英検を受験している。中学時代は英検受験の経験なし、だからいきなり準2級だったが「英検バンド」(1次:GP+7、2次:GP+4)から判断するとすでに2級合格レベルをクリアしているようす。このペースで勉強していればこの生徒は1年以内に準1級にチャレンジしそうだ、好きにしたらいい。英検準1級なら東大医学部の入試英語でも大丈夫だ。
 英語の指導の仕方については前回書いておいた。
 この生徒は数学のほうが偏差値ははるかに高いが、じきに英語の偏差値も80を超えることになる。文法語法問題とアクセント問題はこの生徒に合うものを、高校の先生が選んでくれることになっている。なにかをきっかけにいろんな先生とコミュニケーションしたほうがいいのである。

 小中高生のいる医師が根室へ赴任してきても、子どもの教育はしばらくは心配いらない状態と言ってよいだろう。都会の進学校や進学塾並の受け皿がある。

 さて、本のタイトルだが、なぜ homo sapiensとせずに、sapiens としたのか、著者に何らかの意図があるはず。好奇心とか何かおかしいという違和感は感覚に属するのだが、同じものを見てもそういう感覚の働く人とそうではない人がいる。ある程度は感覚を磨くことはできる。わたしの違和感がどこから来ているのか追体験しながら読んでもらいたい。

 ハラリの別の著書のタイトルは「Homo Deus」である。こちらは homo という語がついている。homo の対義語は hetero である。卑近な例では、homosexualと heterosexual という語がある。
 homo はラテン語接頭辞で「均質」や「同じ」という意味をもつ。FB上で議論していたら、理化学研究所の職員のSさんが、リンネの学術分類で homo はラテン語で「人(名詞)」だという。
 wikiで引いてみたらなるほどそうなっている。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒト
**https://ja.wikipedia.org/wiki/生物の分類

 生物分類では、「哺乳サルヒトヒトヒトヒト」、ヒト属は homo、ヒト種が sapiens である。ヒト種には亜種があり現生人類は homo sapiens sapiens である。
 そこでハラリのもう一つの本のタイトルとの関係が気になってくる。Homo Deus だが、「機械仕掛けの神のごとき人」という意味だ。deusには神のほかに悪魔という意味もあるから、ホモサピエンスにとって悪魔の出現という意味合いも含まれている。sapiensはwise(賢い)という意味だから、それよりも格上で、悪魔かもしれぬヒト属の新種ということ。
 概念の整理は最初は試行錯誤であり、知識が広くないと方向を間違えて隘路に追い込まれて往きどまってしまうから、広い教養があったほうがよい。読解力はたぶんに読み手の教養の程度に左右される。

 neanderthal(ネアンデルタール人)の学名は「Homo sapiens neanderthalensis」であり、ホモサピエンスの亜種であるが、より優勢な亜種であるホモサピエンスに滅ぼされ絶滅したと言われている。日本人の遺伝子の中にはネアンデルタール人の遺伝子がほかの人種よりも高い割出で含まれているらしい。ホモサピエンスとネアンデルタール人は世界のあちこちで混血したのだろう。ネアンデルタール人は温和で平和的な種族で戦闘的な種族のホモサピエンスに絶滅させられたのかもしれぬ。
 世に戦乱が絶えぬのはsapiensの遺伝子に「他者支配遺伝子」が組み込まれているからというような学術的発見が将来なされたら遺伝子組み換え治療でもやるのだろうか?

 homo Deus はヒト属デウス種、つまりヒト属の亜種ではなくて新種ということになる。ネアンデルタールや現生人類というヒト属ヒト種とは異なるヒト属デウス種という新種の登場によってホモサピエンスが絶滅の危機に追いやられるとハラリは想定しているのか。ネアンデルタールにとってサピエンスの出現よりはるかに大きな影響がおきることは想像に難くない。亜種ではなく新種なのだから。
 AIやサイボーグの登場によって、現人類が大きな変化を受けるだろう。オーダメイドの遺伝子治療や皮膚や器官や臓器の培養技術の進化によって不老不死もある程度は実現できるようになる。技術が人間を進化させてしまう。
*#3952 ゲノム編集技術の発展と人類の進化 Mar. 14, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-03-14

 見方を変えるとホモサピエンスが進化して新人類「ホモデウス」が誕生してしまうということ。進化した homo deus の登場で、進化できない homo sapiens はどういう存在になるのか。新人類の homo deusからみたら、homo sapiens は動物園のチンパンジーや猿やゴリラのようなもの。それが人類の未来だ。
 AIの登場が経済社会のありかたを根底から変えてしまいかねないが、ハラリは旧人類史が終わり、新人類の歴史が始まることを、壮大な構想の中で論証してみせるのだろう。

 この本は480頁、16万語ある。高校3年の英語の教科書は7200語だから、およそ20倍の分量ある。そしてここに書いたような論理的な読解を一貫したやることになるから、英文読解スキルは飛躍的にアップするだろう。

 ハラリの論理構築のたしかさがどの程度のものか見てみたい。彼の本は3冊出ている。生徒と議論しながら読むことになる。
 じつに贅沢な授業だ、…わたしにとって。(笑)


<雑談:amadeus
 amadeusはサリエリがモーツアルトの才能をねたんで毒殺する映画のタイトルである。アマデウスには「神に愛された」という意味があるらしい。モーツアルトはWolfgang Amadeus Mozartと書くが、ミドルネームの中にdeusが含まれている。Deusが神なのか悪魔なのか定かではないが、英語のloveはフランス語ではamour、イタリア語ではamare、スペイン語ではamar、どうやらラテン系の言語ではamaが愛を意味するようだ。
 近江誠著『感動する英語』「第5章抗議する」に映画アマデウスのサリエリの独白が載っている。CDの音声を聴くとじつに迫力がある。サリエリはモーツアルトの才能をねたみ、神が自分ではなくモーツアルトを愛したことに抗議して叫ぶ、「カピスコ!アイノウマイフェイト」。
 Capisco! I know my fate. Now for the first time I feel my emptiness as Adam felt his nakedness...
 (なるほど! わかった!これがわたしの宿命か。アダムが自分の裸に初めて気がついたときのようにわたしは生まれて初めて、自分がいかに無意味で空虚な存在であるかに気がついた。)

 


Sapiens: A Brief History of Humankind

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  • 作者: Yuval Noah Harari
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Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

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  • 作者: Yuval Noah Harari
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