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#3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017 [数学のセンス]

 「数学のセンス」について4回にわたって帰納的分析を試みてきた。前回は空間図形とイメージ操作を採りあげたので、今回は角度を変えて空間図形と論理的思考について解説してみようと思う。

 具体的な問題に即して説明した方がわかりいいから、中2の授業で先週やった空間図形問題を例にしようと思う。「三平方の定理のまとめ B問題」から正四角錐の問題をとりあげる。

=======================
問題5:図のように、すべての長さが6cmの正四角錐OーABCDがある。辺OB、OCの中点をそれぞれPQとするとき、次の問に答えなさい。
(1)△ODPの面積を求めなさい。
(2)四角形APQDの面積を求めなさい。
(3)Oから面APQDにひいた垂線の長さを求めなさい。
   『シリウス21 数学 Vol.3』p.207
=======================

< 視点変換:虫の目から鳥の目へ>
 生徒は(1)の問題を10分ほど考えていたが、手がかりを見つけられなかった。この手の問題は初見だから目が△ODPに集中してしまったらアウトである。大局の目、換言すると虫の目でなく鳥の目で見なくてはいけない。
 △ODPはどういう三角形だろう。図を指定どおりに描いて眺めてもらいたい。OとDがそれぞれ正四角錐の頂点だが、Pが辺OBの中点となっている。OD=6、OP=3は見ただけでわかるが、DPの長さがわからない。
 三角形の面積は(底辺×高さ)/2だが、どこを底辺にとっても高さは厄介そうだ。角度がわかればいいが、不明だ。虫の目で見ていても埒(らち)が明かない。モードチェンジが必要だ。

< 意識モードの切り換え:集中から分散へ>
 決め手がないので、フォーカスを△ODPから外してみる。集中から分散へ意識モードを変えてみる。人間の目はあるところにフォーカスを当てると、その周辺がぼやけてしまう。周辺を見るためにフォーカスを外す。この意識の分散の方がフォーカスよりもむずかしい。要は脳の使い方の問題で、意識的に集中と分散を繰り返しやっていると自然にできるようになる。
(たとえば、結跏趺坐して半眼で呼吸に意識をおいてゆっくり出息し、吐ききったら入息する、ゆっくりゆっくりやることで頭の中の雑念が消え、空っぽになると物自体が見えてくる。意識の集中が外せるのである。歩いていても椅子に座っていてもできるようになる。)

< 思考手順:どのように考えていくか >
 △ODPは△ODBに含まれている、つまり同一平面上にある。辺DBは正方形の対角線だから6√2であることは暗算できる。すると、△ODBの辺は(6,6,6√2)だから、辺の比からこれも直角二等辺三角形であることがわかる。したがって、∠DOP=90度。
 △ODPは底辺が3cm高さが6cmの直角三角形、したがって、面積は9cm^2。

 わたしは、暗算でざっとやってみてから、図を描いて数字を書き込み計算チエックしている。全部暗算だと、たまに考え違い、思い込み、計算ミスが発生するから、ケアレスミスを少なくするために中学生のころからこういうやり方をしている。50分の半分25分で全問題をやって10分ほど見直しに費やす。見直しやすいように計算のメモを残しておく。それを利用するから見直しは早くて正確だ。前にも書いたが、プログラミングはあとで自分が読みやすく、自分以外の人が読んでもすらすら論理の筋が読めるように書くのがベスト。仕事で作成する文書も試験問題を解くときのメモも同じことで、読みやすさの考慮は案外普遍的な広がりをもつ。

< 論理的推論:理詰めで形状を推理する >
 (2)は四角形の面積であるが、計算するためにはどういう形の四角形かがわからないといけない。ここで必要なのは論理的推論である。
 四角形APRQは図をみるとAP=DQ=3√3、DPは中点連結定理から3cm、これらから上底3cm、下底6cm、脚の長さが3√3cmの等脚台形であることがわかる。等脚台形だと形がわかれば、左右対称に直角三角形があるから、脚の長さと底辺の長さから三平方の定理で高さが求められる。
 h^2=(3√3)^2-(3/2)^2=99/4だから、h=3√11/2cm

 ∴面積は (27√11)/4 cm^2

< 論理的推論による攻略:正攻法で攻めてダメなら迂回せよ >
 次は(3)の問題だ。Oから面APQDに垂線を引くとどこに落ちるのか?PQがBCに重なっているときは底面の正方形の対角線の交点だろう、上がってくるにしたがってOとの距離が小さくなり、極限はOと重なる。どうやら辺PQの垂直二等分線上にありそうだが、辺OB、OCそれぞれの中点にPQがあるときに垂線がどこに落ちるかよくわからない。一方向からの攻めにこだわると隘路になることはある。そういうときは攻める角度を変えてみたらよい。
 この手の問題は高校の空間図形問題でも出てくる。垂線の足がどこに落ちるかわからなければ長さは計算できない。こういうときは体積から逆算するのが定石だ。底面積と高さを別の場所に換えて体積が別の計算式で算出できれば、四角形APQDを底面積としたときの高さが逆算できる。
 問が三つ並んでいる場合は、前の二つを利用して解くという問題パターンが多いから、ひとまずそっちから考えるのも手である。(1)で△ODPの面積を求めたからこれを利用し、(2)で四角形APRQの面積を求めたから、両方使うとするとどうなるか?△ODPを底面とする三角錐2個に分割すると体積計算が可能になる。デカルトの「科学の方法その2」にある「必要なだけの小部分に分割する」ということ。この線が正解への経路だとすると、それぞれの三角錐の高さが求められなければならない。△ODPは△ODPと同一平面上にあるから、辺ACの中点が高さになる。暗算で3√2。三角錐O-DPQの高さは中点連結定理からさらにその半分であることがわかる。どうやら三角錐2つに分割すれば変形四角錐O-APQDの体積が計算できるらしい。あとは計算だけ。
 体積が計算できたら、面APQDの面積は(2)で求めてあるから、次の式で垂線の長さが計算できる。

 1/3×四角形APQD×h=変形四角錐O-APQDの体積

 この問題は、体積から高さを逆算するというパターンの問題をやったことがなければ難問になる。この問題をやっていたのは中2の生徒で、もちろんこの手の問題は初見だから解説が必要だった

 2月27日に『シリウス 数Ⅰ』と『シリウス 数A』を渡した。3月2日が期末テストだが、中3の問題集をやり終わって、テスト範囲も復習したので退屈していた。

< まとめ >
 意識を図の一部に集中すると全体が見えなくなるのは「虫の目」で見るからで、「鳥の目」に切り替えて図の全体を見よう。先入見を排除し、どこにも焦点を絞らず虚心に問題文を読み図をみる。余計な線を抜いて単純化してみるのもよし、切断面を含む面だけをとりだして描いてみるもよし。
 問題の条件から論理的推論で正解への経路をつけてみる。学校でやる問題は正解のある問題だから、既習事項の何を使えばいいのかという方向から正解への経路を探索できる。問が3個あれば、問3は問1と問2を利用して解くパターンが多いのでその線からも考える。
 だが、これに慣れすぎると受験はいいが、社会人になってからは危うい。現実の困難な問題には利用するツールが受験問題のように限定されていないから、こういう思考パターンが鋳型にまでなってしまうと頭が固くて使い物にならぬ。
 受験勉強の徹底は得点アップのメリットと同時に、壊せないほどの強固な思考の鋳型を作って頭を固くしてしまうというリスクもある。大事なのは柔軟な頭の使い方。

 さて、数学の問題を解くのに必要な論理的思考を2題の空間図形問題を通して2度にわたって説明したが、そのことと数学的センスがどう関係しているのかと問われると、わたしにも定かではない。だが、こういう柔軟な思考が数学的なセンスにどこかでつながっているような気がするのである。

 先入見、思い込みを消すことで問題が解ける具体例を次回は高校入試英語問題をとりあげて説明して帰納的分析に一段落をつけ、7回目は帰納的分析によって得られたものから総合を試みます。しばらくの間考えが熟成してくるのを待ちます。数学的センスがどのようなものであるのかどこまで迫れるか楽しみです。

 
<答>
(1)9cm^2
(2)(27√11)/4 cm^2
(3)(6√22)/11 cm


*#3507 数学のセンス(1):数字に表れる美への感動がセンスを育てる Feb. 16, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1

 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-19

 #3511 数学のセンス(3):授業時間数減少、数量、平面図形 Feb. 24, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23

 #3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26

  #3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-02



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*#2734 イメージの力(4):言葉のイメージ化トレーニング July 16, 2014より抜粋
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 #2597 イメージの力(3):Aとnon-A型について  Feb. 16, 2014 
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*#2595 イメージの力(2): 6タイプに分類 Feb.16, 2014 
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*#2593 イメージの力(1):ピアニスト&作曲家加古隆の原風景 Feb.14, 2014 
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 #2749 記数法とn進数についての質問あり July 27, 2014
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#3296 統一模試の数学過去問にトライ:のんびりしている根室の高校生  May 20, 2016 
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#3513 『転生したらスライムだった件①』 Feb, 28, 2017 [本を読む]

<更新情報>
3/2朝8時半 市倉先生の思い出追記


 なんともへんてこりんなタイトルである。主人公の三上悟は37歳独身、大手ゼネコンに努めている。包丁をもって走ってくる人がいたので、とっさに後輩の恋人をかばって替わりに刺されて死ぬ。そしてスライムに転生するというお話。あのどろどろした粘着性のある液状のスライムである。
 転生した世界の様子が少しずつ明らかになってくる。魔術で「無間牢獄」に閉じ込められた龍を捕食することで、その能力を取り込むことになる。スライムは強い者を捕食することでさまざまな能力を獲得し、強大な能力をもつようになり、彼の周りに人々が集まり町をつくりはじめる。

 捕食による被捕食者の能力獲得は、よく考えたら人間社会で日常的に起きていることだ。人と議論したり、指導を受けたりすると、その人の考え方や指導に影響される。議論することで相手の思考パタンを読み取り、相手の思考パタンである程度考えることができる。
 そう考えると、商学部会計学科の学生だったわたしが、哲学者の市倉宏祐教授の一般教養ゼミに参加できたことは僥倖(ギョウコウ=思いがけない幸運)だったということになる。姉の結婚式に出席するので1週間休んだそのときに原価計算ゼミの応募締め切りが過ぎてしまった。それで掲示板に張り紙のあった市倉ゼミに天啓を感じて応募条件の小論を書いて提出し、ゼミの一員に加えていただいた。大学院で経済史の泰斗増田四郎先生に教えたいただいたことも偶然というにはあまりにもうまくできていた。あのタイミングでなければかなわなかった。わずか三人の院生で1年間指導を仰いだ。
 北海道にも大学はいくつもあるが、哲学と経済史でこのお二人に匹敵する先生はいない。塾生たちにかなうことなら東京の大学へ進学しろというのは、各分野で全国トップレベルの先生が東京にいるからだ。

 スライムの場合は「捕食」は自分の体内に相手のすべてを取り込んでしまうのだが、現実の人間はごく些細(ささい)な一部を取り込めるだけである。自我硬すぎたら一部ですら取り込めないから、器の大きさや柔軟さが取り込み量を決めてしまうようだ。

 何かを教わると、指導してくれる人の知識や思考パタンや話しっぷりや挙措の微小な部分を自然に取り込んでいる。微小だと思っていたが年月をかけて案外大きなものに育っているようだ。10年(1983年ころ)ほどたってから先輩の戸塚さんと市倉先生のお宅を訪ねて似たようなことをしていることがわかりビックしりたことがある。わたしは当時輸入商社で先端的な統合システム開発をしていたのだが、先生はプロローグというプログラミング言語でパソコンを楽しんでおられた。哲学者で数学者でもあるパスカルの研究論文も何本か発表されていた。師と似たようなことをしている自分に気がついたのである。六十歳をすぎても新しいことにチャレンジできる、自分が同じ年齢になったときが楽しみだとそのときに思った。増田先生の実証研究へのこだわりも物事を分析する際に自然とそうしている自分に気がつく。
 人と接触するということは相手の一部を何らかの形で取り込むこと、あるいは排除することである。

 スライムに転生なんて荒唐無稽な話だが、「捕食」による被捕食者の能力取り込みと似たようなことが、日常生活で起きている。この本の著者の感性は意外に鋭いのかもしれぬ。

 この本は1-5巻を生徒が貸してくれた、その翌日に今度は漫画版を3冊持ってきた。
 興味がわいた方のために、本の情報を貼り付けておきます。

 本の語彙レベルや日本語表現レベルはおおよそ小学校高学年から中学生が対象と考えられる。生徒が読んでみたらという本は、読んでみることにしています。
 同じ生徒が貸してくれたSAOの19巻目は先週読みました。18巻がVRのアリスがリアルワールドで心をもった高度な人工知能搭載のロボットとして登場したのに対して、VRの世界のファンタジーとして書かれていました。わたしには18巻のほうが面白かった。きわめて近未来的な含意があったからです。
 少し大人の本も読むようにと、昨年4月に羽田で買って飛行機の中で読んだ東野圭吾『夢幻花』をあげました。プロフェッショナルがどういうものか、東野の作品はさまざまな職業を採りあげてドキッとするような現実味を感じさせてくれます。『マスカエレード・ホテル』『マスカレード・イブ』もそういう作品でした。ホテルマンと刑事の職業がどういうものか、管理職の判断がどういうものかよく描けてました。

*#3052 東野圭吾『マスカレード・ホテル』を読む  May 31, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-05-31-1

 #3093 安保法制と軍需産業と成長路線は一体のもの:東野圭吾『禁断の魔術』を読む  July 25, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-25-1
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*#2784 百年後のコンピュータの性能 Aug. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22

 #2779 『ソードアートオンライン 9 』:量子コンピュータ・オンラインゲームと心  Aug. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-17-1

 #2804 『ソードアート・オンライン14』  Sep. 12, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13

 #2882 ソードアートオンライン007 マザーズロザリオ Nov. 26, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-26

 #3051 『ソードアートオンライン・プログレッシブ』001~003を読む May 31 2015
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 #3105 『ソードアートオンライン16』:アリシゼーション・エクスプローディング Aug.16, 2015 
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#3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017 [数学のセンス]

 湾中(根室湾中部漁業協同組合を略してワンチュウ)の牡蠣は癖がなくておいしいから高級レストラン用の材料にふさわしい。ところが生産量が少ないから根室の外へ出せるだけの量がない、かくして根室市民は湾中産のおいしい牡蠣を食べられる。産地でしか味わえない逸品である。フライ用のものは滅多に売っていないので生食用をフライにしてくれた。数回食べたがフライ用のもののほうがずっとおいしい。今日は湾中の牡蠣フライを肴に北の勝「搾りたて」を飲んだ。
 地元産の肴よし酒よし、ふるさと根室最高!

 数学のセンスはこれこれだと定義して、そこから演繹的に展開するのはとても難しそうなので、具体例を取り上げてさまざまな角度から「数学のセンス」に迫ってみたいと思い、3回にわたって帰納的分析を試みています。
 今回は中2の生徒に先週やらせた中3の空間図形の問題を例に採りあげて、空間図形に関する数学のセンスの一端を解説します。イメージ操作がテーマです。イメージ操作が自在にできれば空間図形の問題が容易に解けるようになることは同意いただけるのではないでしょうか。空間図形問題を解くときにイメージ操作が出来れば問題を単純化して正確にとくことができますから、何らかの数学的センスがイメージ操作に含まれていると考えていいのでしょう。
 では問題文を紹介します。数学が嫌いな生徒さんや、学生時代嫌いだった人も辛抱してお読みください、だんだん楽しくなれば幸いです。

-------------------------------------------------
問題5:1辺が6cmの立方体ABCD-EFGHの辺BF、DHをそれぞれ1:2に分ける点をP,Qとし、辺CGを2:1に分ける点をRとする。次の問に答えなさい。
(1)点A、P、R、Qを結んでできる四角形APQRの名称を答えなさい。
(2)四角形APQRの面積を求めなさい。
(3)立体ABP-DCRQの体積を求めなさい。
  『シリウス21 数学 Vol.3』p.207
-------------------------------------------------

 問題には立方体の図が描いてあります。ここでは図を提示できないので、各自描いてみてください。問題文を丁寧に読み精確に図を描くことができれば問題を精確に理解し単純化することができます。は簡単になります。複雑な問題を簡単な問題に還元していくという操作自体が数学的センスであるとわたしは考えています。
 生徒は(1)を四辺が同じだから正方形であると判断して次の問題にかかりました。(2)の計算が終わったところで、質問をします。どのように考えたらよいのか、ポイントごとに道筋を明らかにしていきます。

「三平方の定理から判断して四辺が等しいと考えたところまではよかった、四辺の等しい四角形には何があるかね?」

 そこで気がつきました。菱形です、正方形は菱形で対角線が等しいグループです。思い込んでしまったのでしょう。先入見が生じるとそれを脳から消すのはなかなか困難です。座禅やヨガの瞑想でトレーニングすることはできます。集中と弛緩(意識の分散)を交互にトレーニングしてみたらいい。少し楽になる程度ではありますが・・・、鉛筆を左手でもってみるのもいい。大人は少しアルコールをいただくのもいい。

「四角形の片方の頂点を、点Aに固定して、辺CG上にもう片方の頂点Rを下へ向かって移動していったら、菱形はどのように変形していく?」

 ピンと来ないようです。

「RがGの位置に来たときに対角線ARがいくつになるか計算してみたら?」

 PとQはそれぞれBP=DQの関係を維持しながら下に降りていくので距離が変わりません。立方体の底面の対角線と同じです。ところが対角線ARは伸びていきます。スタート地点のR=Cのときは、正方形の1辺が6cmですから、「√6^2+6^2=6√2」ですが、R=Gのときは立方体の対角線となるので、「√6^2+6^2+6^2=6√3」です。こういうことが頭の中で動画イメージで切断面を動かしていけるということと、始点と終点の距離が暗算で瞬時に計算できることは強力な武器になりますわたしはイメージ処理と計算での確認を同時にやっています、よく考えたら並列処理です。無意識にやっていますから勝手に連動するようです。イメージ操作は問題攻略の強力なアイテムではありますが、センスとはすこし違う気がします。数学的センスの全体像が間で見えてきませんが、強力なアイテム(武器)優れたセンスがあれば鬼に金棒と言えそうです。
 三平方の定理を習い立てで、口頭で説明しただけでこれが呑み込める生徒は根室の市街化地域の中学校では、学年トップクラスの学力があると判断してよいでしょう。
 この生徒は理解できたようです。始点と終点がわかれば途中はその間を動いていると考えたらよいのですから、変化する量を扱うときは抑えるべきポイントは始点と終点です。ここまでわかったら、(2)の面積計算はすっとできました。
 (3)はノーヒントでやりきりました。Rを含む平面で立方体を水平にカットしたら、(左右の側面を底面とすると)底面が上と下で対称になることに気がついたのです。これにはちょっと驚きでした。上面と下面の形が対称になっているなら、体積はRを含む水平面でカットした体積の半分です。中2の生徒ですから、この手の問題は初見でしたから、アッパレです。9回裏の逆転ホームラン、センスのよさを褒めてやりました。

 空間図形の切断面は立方体が基本で、そこから直方体、円柱、直方体以外の角柱、正四面体、角錐、円錐と拡張していけばよいのですが、中学校で出てくる切断面は立方体とそれ以外の角柱、正四面体、角錐の四種類のみ。
(切断の問題ではありませんが、複雑な形状の空間図形が過去15年間で一度だけ道立高校で出題されたことがあります。)

 立方体を基本に角度を変えて切断面の変化をイメージできるようにしておけばよい。イメージできなければ、大根を立方体に切って、スライスしていけば変化がよくわかります。それを脳に刻み込めば、図を見ただけで切断面がどのような形状になるのかイメージできるようになるでしょう。動画イメージで形状の変化を追えるようになります。女生徒はこれがなかなかできません。脳の性差に関係があるのでしょう。
 道立高校入試問題は最後の問題が空間図形ですから、95%の得点を狙うには、空間図形の攻略が必須です。高校生になってから、空間ベクトル(数B)で空間図形問題がまたでてきます中3の空間図形問題が苦手だと、空間ベクトルはさらに苦手の度が進みますだから中学生の皆さんは空間図形の章をしっかり学んでおきましょう。入試の過去問をやって、最後の問題は難問だし配点も大きくないからとパスしている生徒は高校2年生になってからツケが回ってきます。勉強はやるべきときにしっかりやらなければいけないのです。

 まとめです。空間図形の切断というイメージ操作を自在にできれば、切断面の形状や面積計算が簡便にそして正確にできます。空間図形のイメージ操作が数学的センスに関係があることがおわかりいただけたのではないでしょうか問題文を図や表に展開することや複雑な問題を簡単な問題に還元していくという操作自体も数学的センスであるとわたしは考えています。


 次回は空間図形の切断面の問題を採りあげて、数学的なセンスを論理的思考の面から分析してみるつもりです。1辺が6cmの正四角錐の切断問題です。


〈答〉
(1)菱形
(2)12√11 cm^2
(3)72cm^3



*#3507 数学のセンス(1):数字に表れる美への感動がセンスを育てる Feb. 16, 2017 
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 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
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 #3511 数学のセンス(3):授業時間数減少、数量、平面図形 Feb. 24, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23

 #3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017
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  #3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017
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*#2734 イメージの力(4):言葉のイメージ化トレーニング July 16, 2014より抜粋
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 #2597 イメージの力(3):Aとnon-A型について  Feb. 16, 2014 
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*#2595 イメージの力(2): 6タイプに分類 Feb.16, 2014 
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 #2749 記数法とn進数についての質問あり July 27, 2014
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#3296 統一模試の数学過去問にトライ:のんびりしている根室の高校生  May 20, 2016 
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#3511 数学のセンス(3):授業時間減少、数量、平面図形 Feb. 24, 2017 [数学のセンス]

<更新情報>
2月26日22時40分<まとめ>追記

 ブログ「情熱空間」の「要するに練習不足ってこと」という記事へ考えているところを投稿したので、それに加筆修正してアップします。「数字のセンス」の育て方に関する議論です。
*http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8755588.html#comments

1.〈 問題演習量が減っている 〉
 これは合格先生とZAPPERさんの問題提起です。
 わたしもそう思うので、合格先生とは角度を変えて制度変更に焦点をあててみます。
 授業で問題演習に割ける時間が足りなくなっているんです。
 40代後半の世代が小中学校のときは土曜日も4時間授業をしていました。国語と算数(数学)がそれぞれ週1時間多かったのです。時間数が減ったことで「読み・書き・そろばん(計算)」の3つの技能がそろって落ちています。それに輪をかけて、家庭学習時間や読書時間減少しています。ゲームのプラットホームもソフトも高性能化が進み中毒症状を呈する生徒が増えています。そして10年前までなかったスマホの使用も生徒たちの生活時間を確実に侵食しています。そういうわけでこの10年間で読書量が大幅に落ちました。小学4年生程度の語彙力の生徒はいまや中学生の20%を超えています。この層は社員として働くことはほとんどできそうにありません。仕事に必要な専門書を読み、必要な資格をとることができないでしょう。
  第2土曜日休みの始まったのが1992年から、ついで第4土曜日の休みが1993年からです。学校完全週休2日制(土曜日休み)の実施は2002年4月からです。減った時間をカバーするには学習指導要領記載事項を教えることに注力して問題演習を減らすことしかなかったのでしょう。それが無理だったということです。
 北海道の教員の平均的なスキルでは、学校の授業で十分な問題演習時間がとれない、それが実態です。家庭学習時間や読書時間も減少しています。どくに読書習慣のない生徒が増え続けています。語彙力不足と読解力不足で文章題の問題文が読みきれない生徒が激増した、この10年間の大きな変化です。

 それでも、昔もいまも、家庭学習でしっかり計算トレーニングを積んでいる子は20%くらいはいるのでしょう。そういう子たちは「数字のセンス」がいいし計算も速い。たくさんやるから工夫をする機会も多くなります。
 珠算塾が流行らなくなったことも基礎的計算力の育成にはダメージでした。
 「読み・書き・算盤」の基礎的技能がそろって低下していることが、数字へのセンス低下につながっているようにみえます。
 家庭学習が足りないだけでなく、学校の算数・数学授業時間数も2割程度は減っていますから、学習指導要領で規定された事項の解説を優先することになるので、必然的に問題演習時間がカットされているという現実が見えてきます。

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*投稿欄をご覧ください・・・24日夜10時半追記
 ZAPPERさんが文科省の資料が載っているURLを教えてくれたので、資料から数字を拾って中学校の数学の授業時数の推移を書き込みました。中学3年間で団塊世代は420時間、50歳代の世代は385時間、20歳代前半までの人は315時間です。授業時数は1時間が50分計算になっています。
 いま気がついたのですが、国語の授業時数がひどいことになっています。団塊世代は3年間で525時間ですが、現在の中学生はたった350時間(3割減)です。これでは名品を一斉音読する暇なんてないでしょう。

*投稿欄から・・・25日12時追記
   だんだん見えてきました。
 ゆとり教育(=授業時間量削減)は昭和55年(1980年)から始まったのですね。総授業時間数が減ると同時に、国語や算数・数学などの教科授業時間が削られて「総合的な学習等」の時間が210-335時間も新設されました。
 平成10年(1998年)の改正のあと、さらに2012年から「脱ゆとり教育」が完全実施され、「総合的学習等」の時間が削られて、各教科へ割り当てられました。

 文科省の下段URL資料の「現行」というのは2012年以降のことで、「旧」というのは1998年の改正のことを指していると理解してよいのでしょう。
 国語と数学は現在は385時間になっているということ。
 団塊世代に比べて国語は140時間、数学は35時間減っています。
 国語が3年間毎週1時間少ないのですから、現在の中学生の日本語運用能力、語彙力、読む本のレベル低下が起きて当然です。

 官僚と専門家に教育制度を審議させていると、こういうことになるのですね。
日本人の日本語能力が著しく低下していけば、日本的情緒をもたぬ日本人が増えていきます。こころの芯が削られていくような心地がします。

「弱いものイジメをしてはいけない」
「卑怯なことをしてはいけない」

 千年以上も受け継がれてきた日本的な価値観や情緒が失われていくのはぞっとします。もののあわれ、和、大和魂・・・。
正規雇用を減らし、非正規雇用を増やすことで利益を上げ、役員報酬を増やして恬として恥じない経営者が増えています。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という商道徳も大企業経営者のこころにはなくなりつつあるのでしょう。

 惻隠の情も日本人のこころから失われつつあるようです。
イジメがはびこり、イジメを見ても敢然と身体を張ってとめる子どもがいなくなってしまった
子どもだけではない、大人がおかしい。大人が背中で教えなくてどうする?

 日本人の価値観や情緒は、古典文学や明治期の名品にたくさん書かれています。近いところでは山本周五郎や池波正太郎が江戸情緒を伝えています。幸田露伴『五重塔』も職人気質をしっかり書き込んでいます。そういう日本的情緒をたっぷり含んだ作品群を読み、その中に含まれている滋養を十分に吸収して大人になってもらいたい。
 国語の授業時間を525時間に増やすべきです。
by ebisu (2017-02-25 12:03) 
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2.〈 おおよその答えを想定して問題を解く 〉
 数学の得意な生徒は答えを予想して問題を解きますから、想定の範囲からずれると黄色信号がともるんです。それが違和感の正体。英語は別です。たくさん読み書きした結果、正しい語彙と用例がインプットされ、それが脳内にライブラリーとなって違和感を産み出します。

「なんだかヘン」

 これがないのがセンスの悪い人。どんな答えを出しても気がつかない。廊下の幅に関する問題の答えが2cmでも単位の間違いに気がつかないのは違和感が沸かないからでしょう。

 1をかけても1で割っても元のまま、1より大きい数(たとえば2)を書けたらもとより大きくなり、1より大きい数(たとえば2)で割ったら、答えは小さくなる(2で割ると半分になる)。
1より小さい数を書けたら、元の数よりも小さくなり、(0.5や1/2で)割ったら元の数よりも大きく(2倍に)なる。

 これだけでも、小数や分数の計算間違いをずいぶん減らせます。
 1より小さい数で割ったのに、
「あれ、元の数より小さくなっちゃった」
となるのでしょう。

 昨日中3の空間図形の問題(難易度Bクラス)をやってました。答えが整数なら、図形を見れば数秒でおおよそ見当がつきます。それから計算したらいい。分数で答えが出ても予想した整数に近ければ正解です。計算結果が予測値と離れていたら立式と計算過程をチェックします。これが標準手順になっているのがセンスのよい者。

 数日前の中2の生徒とのやり取りを例にとって説明します。

 「シリウス21 数学 Vol.3」207ページの平面図形と立体図形の問題をやっていました。
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問題3:図の四角形ABCDは、1辺の長さが15cmの正方形である。辺BC上に、BE=8cmとなる点Eをとり、∠DAEの二等分線と辺CDとの交点をFとする。FからAEにおろした垂線をFHとするとき、次の線分の長さを求めなさい。
(1)AH
(2)DF
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 (1)は△ADFと△AHFが2辺とその間の角がそれぞれ等しいので合同ですから、AH=AD=15cm。三角形の合同を利用すると問題が解けると気がつくこともセンスです。条件から、利用できる定理を考えればいい。中学数学で習った狭い範囲内でサーチすればいいだけですから、問題ごとに2-5個くらいに限定されます。
 (2)は図を描いてみたらわかりますが、DFはBEよりは少し長く、CFが7cmよりも少し短いので、答えが整数なら9だということが推測できます
 ここまでわかれば、DF=HF=xとして

  △ABE+△AEF+△AFD=15^2

とやれば、xが計算できます。三平方の定理でAEの長さを計算しておきます。あとは三角形の面積の立式ですから簡単です。
 推測値は9cmですが、ドンぴしゃり。これが20になったりしたときは、ありえない数字なのでどこかにミスがあるはず、立式と計算過程をチェックします。
 だから、途中計算はメモを残してチェックできるようにしておきます。暗算は厳禁、こうすると見直しが高速でやれます
 アッセンブリー言語でプログラミングすると見づらいので、1980年頃からストラクチャード・コーディングが普及しました。わたしが見たのはストラクチャードCOBOLでしたが、これでシステムを開発時の担当プログラマーと数年後にメンテナンスに携わるシステムエンジニアが別の人でも容易に読めるようになりました。すぐに簡易言語で高速のもの(EASYTRIEVE)が開発され、事務系のプログラミング環境は格段によくなりました。
 プログラミングに限らず、整理して後から見やすい形に書くことがいいのです

 文章題では「答えに当たりをつける」ことがとっても大切です結果が出たらあらかじめ予測した数値と突合してみる、突合すべき数字をもたないものはどこかにミスがあっても気がつきません。何よりまずいのは自分が出した答えに確信がもてないことです。
 「答えに当たりをつける」生徒は、ミスが少ない。ミスが減らせるのですから、センスがよいと言っていいのでしょう

 あと一つお付き合い願います。
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問題4:半径が2cmの円の円周上に3点A,B,Cがあり、△ABCは正三角形である。辺BCの中点をDとし、ADの延長と円との交点をEとする。次の問に答えなさい。
(1)ABの長さを求めなさい。
(2)DEの長さを求めなさい。
(3)BDEで囲まれた面の面積を求めなさい。
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 最初の問題は円に内接する正三角形の一辺を求める基本レベルの問題です。円の中心からBとCに補助線を引けば二等辺三角形ができます。∠BACが60度ですから、その中心角である∠BOCは120度、したがって、△BODは30度と60度の直角三角形です。これが見えるかどうかは「センス」でしょう
 この手の問題が初見で見つけられる生徒は高校生になったら、進研模試の数学偏差値が80を超えるでしょう。一度やったことがあればできて当然です。この生徒は優秀ですが初見でしたからギブアップでした。補助線さえ引けたら計算は簡単です、慣れですね。半径は2ですから、BCは2√3、暗算ででます。
 AEが直径で4cmですから、ADを引けばDEが求められます。BDEで囲まれた部分の面積は、図を描いて鳥瞰すればすぐにわかります。円の面積から内接する正三角形の面積を引いて1/6をかければいい。こういう手順がすぐに出るようになるには、問題演習量をある程度こなさないと無理です。この中2の生徒は中3の問題集を一冊やり終えつつあるところですから、不慣れなんです。なるべく答えを見ないで自力で解くように指導しています問題が解けないときはその生徒にとって最小限のヒントをあげます。この問題の場合は、

「円の問題で一番出てくるのは円周角と中心角の関係です、そのままで解けないなら、補助線を考えたらいい、特徴のある三角形が隠れています」

ヒントはこれだけ。
 いきなり答えの解説はいたしません。それだけでちゃんと最後まで解き切りました。ヒントが少なければ少ないほど達成感があります。それを味あわせるのが目的です。解くことが楽しくなります。「これを知る者はこれを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず」と言います。問題演習を通じて、問題を自力で解く楽しみを体験させます。
 円に内接する三角形の問題は数Ⅰの三角比で出てきますから、この手の問題を中学校でしっかり勉強しておくと、三角比でまごつくことがないでしょう。中学校の数学は高校の数学の布石の部分が多いのです。いい加減にすませた人は高校生になってからたまったツケを払うことになります。それでもいいのです。短期間、死に物狂いで努力して得意分野に変えてしまう生徒はいつでもいます。小数ですが。

 < まとめ >
 中学校三年間の数学の授業時間数が420⇒385時間(ゆとり時代は315時間)になり、学校の数学授業で問題演習量が足りなくなっています基礎計算能力の育成にはかなりの問題演習が必要ですから、問題演習量の不足は何らかの形で数学のセンス、とくに計算や数量関係のセンス低下をもたらしていると考えれれます
 数量に関する文章題は答えにアタリをつける生徒とそうでない生徒では正解率に大きな差異が生じると考えられます。アタリをつけた範囲からずれていたら、立式と計算過程をチェックします。その際に、チェックしやすいようにメモを書きながら計算してあると、高速で見直しができます。そういう一つ一つにこだわることも数学的なセンスを磨くことになります
 平面図形では補助線が見えるかどうかが、正解への鍵となっていることが多いので、必要な線を書き入れることができるというのも重要な数学的センスです
 正三角形の半分や、直角二等辺三角形は辺の比が既知ですから、そこに持ち込むと問題が解ける場合が多いので、そういう観点から問題を眺めることができるというのも数学的なセンスです。これらの数学的なセンスはトレーニングによって磨きをかけられます。わたしは個別指導でそういうことに配慮した指導をしています。一度に10人くらいまでなら個別指導が可能です。

 もう2題具体例で解説したいのですが、長くなったので次回へまわします。


 社会人になったときにこういう「当たりをつける」という勉強の仕方が役に立ちます。ドンぴしゃり出なくても、ストライクゾーンに入っていればほとんどの仕事はOKです。どの辺りがストライクゾーンかがわかっていれば、シミュレーションの結果がその付近ならOKなのです。

 じつはビリヤードも同じことなんです。キャロムゲームですが、撞いた後の球の配置がアバウト半径15cmくらいの想定したゾーンに入っていれば十分です。あとはそれをこなす技術をしっかりトレーニングしておけばよい。それでセミプロの腕前です。自在にそういうことができるのはトッププロ。スリークッション世界チャンピオン小林先生かアーティスティックビリヤード世界2位の町田正さんクラスです。町田さんはボークライン日本チャンピオン。3ゲームだけお付き合いいただいたことがありますが、それはそれは見事なものです。球の動きとキュー捌きが美しい。あのキュー切れは、鉄のキューで素振りを繰り返したからでしょう、類を見ません。町田さんのお父さんの方のビリヤード店に鉄のキューがありました。

<答え>
問題3:(1)15cm   (2)9cm
問題4:(1)2√3    (2)1cm   (3)2/3π-√3/2 (cm^2)

*#3507 数学のセンス(1):数字に表れる美への感動がセンスを育てる Feb. 16, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1

 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-19

 #3511 数学のセンス(3):授業時間数減少、数量、平面図形 Feb. 24, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23

 #3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26


 #3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-02




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#3510 学力は道徳心や郷土愛と一体であれ! Feb. 21, 2017 [さまざまな視点から教育を考える]

 2月19日に「釧路の教育を考える会」(角田憲治会長(元釧路教育長))の集まりがあった。FMくしろの教育ラジオ番組「ストップ・ザ・学力低下」のタイトル変更がメインテーマだった。今日(2月21日)が第122回目、いままでは「釧路の教育を考える会」のメンバーが交代で出演してきた。順番が回ってきてわたしも2度出演したことがある。
 2012年12月に基礎学力保障基本条例が制定されて5年目に入ったし、学力も低下傾向は脱したようにも見えるので、タイトルを変更し、市教委やJCの協力を得て、一緒にやっていこうということになって、調整を進めている。
 FB上の掲示板で番組タイトル案がいくつか示され、会議で4つの案を並べて話し合った。「気分上々!学力向上!」の案に賛成が多かったので、それを俎板に載せた。口ずさんでみて、順序を逆にした「学力向上!気分上々!」がいいだろうということになった。

 市教委とは「学力向上」でいいのだが、JCさんがやりたいテーマは「道徳心や郷土愛」なのだから、JCさんとすりあわせをするということで話が決まった。

 学力が高いということは一つの武器で、それが私的利害や悪意に利用されると害悪も大きくなる。学力は善良な心に支えられなければならない。
 基礎的学力である「読み・書き・算盤」や高度に専門的な学力は大和心に支えられてこそのものである。日本人は「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という商道徳を世代を超えて伝えてきた。学力を上げると共に、私的利害に拘泥せず、世間とか郷土という公的なものへ貢献するという心も育て、鍛えるべきなのだろう。
 そうして考えると、学力は道徳心や郷土愛とセットではじめて十全なものになると考えられるのである。このことは釧路市基礎学力保障条例にある「教育目標」そのもの。

 ○ふるさと釧路を愛し、活力あるまちに奉仕する人づくり
 ○伝統と文化を大切にし、主体的に学びつづける人づくり
 
 学力向上に心の充実が視野に入ってくるというのはまことに喜ばしい、四月からの新番組に期待したい。

 FMねむろは10年ほど前には教育に関する番組をやっていたことがある。
 釧路に比べて根室市議会は教育に関する関心や議論に乏しい、しかし、教育と道徳は地域繁栄の礎(いしずえ)である。

 根室人は現状打破する意思ありや?


*「第3763回 学力向上!気分上々!」 釧路市議会議長月田さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/gekko946/archives/51833813.html

*基礎学力保障条例
https://www.city.kushiro.lg.jp/common/000043831.pdf

*「次のステージへ(地域を愛し、国を愛す)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8755210.html


〈 余談:ナショナリズムとパトリオティズム 〉2月22日夜追記
 弊ブログ#1030で採りあげたので、そちらをごらんください。
*#1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』May 17, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17

*#1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳 May 16, 2010
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16




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