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#3611 作図問題の良問 Sep. 13. 2017 [数学]

 今日は中3年生の学力テスト総合Aの試験日である。昨日、B中学校の生徒が「平成25年度第4回学力テスト」の数学の問題をもってきて、作図問題の質問があった。問題には図が描いてあるが、都合により問題に示された図を描いてもらいたい。

 菱形ABCDがある、頂点Aから反時計回りにABCDと順に番号をつける。菱形の対角線の長さは縦4㎝、横8cmとする。辺CD上にCから3㎝のところに点Pがある。菱形の対角線は直交(直角に交わる)する。

 さて、ここからが問題である。

 頂点Aを辺BC上に折り重ねるとき、Aと重なる点をA'とせよ。折り線がP点を通るときの折り線を作図によって示せ。

 こういうような問題だった。

 紙を折るのだから、点Aと点A'はPを通る対象軸ℓに対して線対象となることがイメージできるか否かがカギである。わたしはこういう要所をつかまえることを「問題のヘソを押さえる」ということがある。
 問題には「ヘソ」がある。
 線対称は中1年生で学ぶが、中3の学力テストの作図問題で複合問題として出題されると、これら二つの分野がなかなか結び付けられない。教科書では、「第5章 平面図形」で、先に「対称移動」が出てきて、そのあとに「第2節 基本の作図」が出てくるので、作図問題に対称移動が結び付けにくいのかもしれぬ。
 作図の基本技術はたったの三つだけだから、何度か練習して完全にマスターしておこう。

① 角の二等分線
② 線分ABの垂直二等分線
③ 点Pから直線ℓへの垂線

 基本はこれら三つだけ、このほかには「線分ABの三等分線作図」があるだけ。学力テスト問題はたったこれだけの基本作図技術で正解できるように作られている。だから、どういう手順でそれらを使うのかという観点から問題文を読み解くこと。
 作図問題は他分野との複合問題になると途端に難易度が上がる、この問題はそういう例だ。

 中学生はここから先を読まずに、自力で解くことをススメます。

 脳にわからない状態を作り出し、しばらく保持することで頭がよくなります。すぐに解答を見るようでは頭はよくなりません。単に記憶の良い頭を作ってしまうだけ。ふだんの勉強のやり方が大事ですよ。
 羽生名人は江戸時代の将棋の難問集2冊、合計200題を、自力で全部解いたそうです。解答を見て勉強していたら、棋界史上初の七冠王は生まれなかったでしょう。



 正解手順を書いておく。

①コンパスの針を点Pにおいて、PAを半径とする半弧を描くと、辺BCとの交点がA'となる。
②半径を変える必要がないのでそのままにして、点Aから点Bのほうへ弧を描き、次に点A'に針を置いて弧を描き、二つの弧の交点をQとする。
③交点Qと点Pを通る直線を引く、これが求める折り線である。

 線対称の軸をℓとして軸上に点Pをとり、軸の左側に点Aをとれば、それと線対称になるA'の作図は誰でもできる。問題文を読み換えるとたったこれだけのこと。問題文の読み換え技術は高校数学では重要だから、意識してやってみたらいい、次第に慣れてくる。
 この問題の良問たる所以(ゆえん)は点Pを辺AD上ではなく、辺CD上にとったことにある。辺AD上にとれば、長方形でよく出題される頂点を折り重ねる問題と同じなので、おおよそ2割の生徒が時間内に正解手順に気がつくだろう。これも自分で作図してやってみるべし。

 さて、今日の学力テスト総合Aではどのような作図問題が出題されたのか、興味津々(しんしん)。


<びっくり仰天の解法>
① 答案用紙を縦折りし、次いで横折する。すると紙の中央に縦と横の折り線ができる。それを利用して四つの角を折り曲げて菱形をつくる。ここまで1分。
② 頂点にABCDを記入していき、点Pも記入する。こうして、折り線が点Pを重なるように点Aを辺BCに重ねてみる。
③AP、A'Pを結ぶ線分をそれぞれ記入する。
④ついた折り線に線を引いて眺める。

 辺の関係や折り線を眺め、作図の仕方に気がつけばOKだ。時間内に解くためだったら何でも利用してやろうという心構えが大事。


<余談:羽生善治と柳瀬尚樹対談>
 柳瀬尚樹氏は夙(つと)に名高い翻訳家である。氏が将棋が好きで羽生名人と親交のあることはよく知られている。柳瀬氏は根室高校の5年先輩のようだ。
 東京のK藤さんが数か月前にこの本『対局する言葉』を面白い本だからと送ってくれた。とっくに読み終わって、数回弊ブログで取り上げるつもりで延び延びにしている。センスということについて、将棋の名人と翻訳の名人の打てば響く記述がいくつもあるので、どうぞお読みください。フルパワーでの脳の駆使と心の問題も興味深い。十代のころにわたしもそうした経験がある。新たなカテゴリー「対局する言葉」を設定して、お二人の対局にコメントを付してみたい。若い皆さんの役に立つものとなることを願って。
 弊ブログで取り上げるのは、まだしばらくあとになります。K藤さん、ありがとう。

対局する言葉―羽生+ジョイス (河出文庫)

対局する言葉―羽生+ジョイス (河出文庫)

  • 作者: 羽生 善治
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#3610 今週のサイクリング Sep. 10, 2017 [サイクリング]

  原野はすっかり秋めいてきた。寒くなるから秋の虫は啼かぬ、啼かぬのではなくいないのだ。ただ風の音が耳を突く。秋だ、初めて秋刀魚の獲れぬ秋が来た。根室は変わり始めた。
 
  牧ノ内T字路までの5150mを9分台で走ることが多くなった。10分で平均時速31kmである。3枚目のギアを使って走っているので、加速がよくなり平均速度がアップした。緩い下り坂は3枚目のギアだと43km/h、トップギアだと48km/hと差がある。平均時速が30kmを超えた走りはスポーツサイクルそのもの。ごうごうとした風の音を聞きながら走ると、たしかに生きている実感がする。

<今週の走行距離>
ロードバイク 66km  (累計3467km)
MTB              4km (累計1289km)

  五月からの走行距離はロードバイクが1131km、MTBが181kmで、合計1312kmになる。頑張りすぎ、乗り手はポンコツだから自転車よりも先に壊れるかも。(笑)
  MTBはこのところ、8の字乗りだけを楽しんでいる。チョークで一周19mのコースを描いて、10cmの幅から前輪を外さずに走るのはなかなか難しい。むずかしいというのは楽しいことと裏腹、自分の技量の変化がよくわかる。自転車はゆっくり走るほうがむずかしい。体重移動がスムーズにできるようになると、時速3km(分速50m)でも大丈夫だ。もはや走っているとは言えないから、アンダンテ(歩くような速さで)走法と呼びたい。
  
 


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#3609 ブカツ : 過労死ライン Sep. 10,2017 [ブカツ]

  ブカツは弊ブログで何度も取り上げている。ある時期からカテゴリー「ブカツ」をセットした。
  9月9日北海道新聞1面と35面に先生たちの勤務実態について道教委の実態調査が載っているので、ブカツ問題をとりあげたい。

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<1面の見出し>
中学教諭47%過労死ライン
  道教委調査 授業準備や部活響く
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 先生の過労深刻
   13時間勤務、土日も部活
 中学校で47%、小学校で23%の教諭が過労死ライン。道教委が行った教職員勤務実態量差では、教諭の過酷な労働状況が浮かび上がった。授業の準備や打ち合わせ、部活動指導などに追われ、現場の教諭からは「休まる時間がない」などと悲鳴が上がっている。
  「休み時間も授業の空き時間もびっしり仕事。給食も5分で食べます。道央の中学校で働く40代の男性教諭はそう苦笑いした。

   休まず働く
 朝7時過ぎに学校に着き、生徒の登校前に打ち合わせや授業の準備を済ませる。休み時間は教室や体育館を見回り、授業の空き時間も、テストの採点や資料の作成などで過ぎていく。放課後は午後6時半まで運動系の部活の副顧問として指導した後、翌日の授業の教材づくりなど、準備に数時間。退勤は午後9時過ぎた。
 学校内での勤務は約13時間。男性教諭は「部活の顧問だと、土日もつぶれる。授業の準備も部活も、子供のためだとおもうと手は抜けません」と話した。

  顧問に負担
今回の調査によると、中学校教諭が部活動を指導する時間は平日が44分、休日が2時間20分と、いずれも全国平均を上回った。今年4月の全国学力・学習状況調査では、道内中3は全国平均と比べて長時間の部活動を行っている実態が判明しており、顧問を務める教諭にも負担がのしかかっている。
  教頭の勤務実態は、より過酷だ。道央の50代の小学校教頭は、朝6時に学校を開け、鍵を掛けて帰るのは午後10時過ぎ。「学校の開け閉めは教頭の仕事。他の先生が残っているのに先に帰るわけにはいかない」と話す。…

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  額面通りに受け取ると、学校はブラック企業ではないかと思えるほどだ。よくみると常識外れ慣行にがんじがらめになり、実務の改善ができないことで長時間労働になっている面もある。道教委の調査は表面的に過ぎる、もっと突っ込んだ分析が必要ではないのか?事例を上げないとわからないだろうからいくつか具体例を上げてみる。

  たとえば、教頭が学校の開け閉めをするので、長時間労働になっていると書いてあるが、民間会社で管理職が開け閉めするなんて話はトンと聞かぬ。朝は当番を決めて一般社員が開錠するのが普通。帰りは一番遅い者がマニュアルに従って施錠する。こんなことは教頭の仕事ではない。教頭の仕事は誰が一番遅くまで残って仕事をしていたのか、それはなぜか、改善の余地はないかと考え、対策を実施することだろう。
 それでも開け閉めが管理職の仕事だというなら校長と交替でやればよい、一般教員は開け閉めは自分の仕事ではないと思っているとしたら阿呆な話だ。固定観念に縛られていないで、民間会社がどのようにやっているか聞いてみたらいい。業務改善が不可能だという視点で物事を見てはいないか?

  わたしは根室の市街化地域の3中学校を念頭に置きながら読んだ。学年3クラスで、クラス当たり25-30人の生徒数。教科担当の先生たちの平均授業時数は、週当たり12時間程度だから、総授業時間の40%にすぎない。数か月間に渡って休んでいる先生の授業フォローに入る場合があるのは承知しているが、それは例外だ。週当たり平均18時間(6割)も空きがあればテストの採点も授業の準備も十分な時間があるように感じる
 それでも時間が足りない、仕事がまっとうできないなら、仕事の能力を疑うのが素直な分析、もともと先生に向いていない人を間違って採用したと考えてみたい。民間会社でもそういう採用のミスは避けられない、2-3割くらいはあるが、そういう人は仕事ができないので賞与の査定が最低になるし、いつまでたっても管理職への昇格もないから、辞めていくか昇格・昇給をあきらめる。年から年中忙しいと言い、長時間の残業をするも仕事の成果は上がらぬ。改善の見込みがなければ上司が他の部署への異動や転職を勧める場合もある。学校と違って、年功で給与が上がるようなシステムの民間会社はほとんどなくなっている。
 テストの採点や文書作成業務などは人によってスキルに大きな差がある。ようするに、要領の善し悪しの影響が大きい。A4版1枚の文書を作成するのに数時間もかかる人は、いつも「忙しい」とか「暇がない」ことになる。民間会社では、仕事のやり方について入社3年間くらいは上司から指導がある。ちゃんと一人前の仕事ができるように育てられなければ、上司は管理能力を疑われ、ラインの管理職から外される。学校にはそういうマネジメントの仕組みがない。新任教員にまかせっきりである。民間会社でOJT(On the Job Training)をやらずに新入社員を放置したら、使い物になるのは半数以下になるだろう。それほど上司による仕事の躾けは重要なのである。
  教科指導は1年回せば、資料もたまるし、3年もやればほとんど予習の時間は要らなくなる。5分程度、ざっと前年度の内容に目を通しただけでほぼ完ぺきな仕事ができるのがプロの技(わざ)というもの。
  道新の取り上げた「実態」が、なんだか話の次元が低いものと感じたのはわたしだけだろうか?

 長時間労働で本当の問題は部活指導だろう。4-6時まで、放課後週に4日間部活指導をするとそれだけで8時間になる。土日に各3時間やれば合計14時間で、本業の授業時間よりも長くなる。これは是正の必要がある。

  一昨日のテレビ番組によれば、静岡県が部活週4日制を導入しつつあるようだ。先生は歓迎だろうが、生徒からは練習時間が短くなるので試合に勝てないと心配する声が上がっている。
 学校教育としては土日を含めて週4日間で十分ではないだろうか?学校の部活は「文武両道」で文が優先武も教育の一環としてある。それ以上を求めるなら、プロになりたきゃ、学校外でお金を払って習えばいい。ピアノだって書道だって、空手だって、柔道だって、剣道だって、お稽古料を支払って習う。なぜ、野球やサッカーの技術指導にお金を支払わぬ。
 上手になりたい生徒、プロを目指す生徒たちには、しっかりした指導技術をもちスポーツ医学に知識のある人が学校外で教えたらいい。そういう受け皿を根室市教委がつくればいい。指導する者はすくなくとも体協の資格ぐらいはもっているべきだ。
  学校の部活動自体が変わるべき時代が来ている。


<余談>
 中学校で部活指導をしている先生たちのほとんどは素人だから、スポーツ医学を知らずに、勝つことを目的に長時間練習や練習試合をやらせがちだ。野球部で肘を痛めて断念する者、バドミントン部で膝関節を痛めてしまう者が出る。決まって運動能力の高い優秀な選手だ。
  スポーツ医学上の注意事項ぐらいは部活指導の先生たち対象に講習会をやってあげたらいい。市立根室病院へ協力要請したらいいだろう
 数年前に甲子園へ行った生徒が「センスがいいからピッチャー以外はどこでも守れる」とテレビで誰かが解説するのを聞いた。小・中と長時間トレーニングをさせ過ぎて、中学校のときに肘の治療をしながら部活していた。元はピッチャーだったのだ。あいつが甲子園で投げるところを見たかった。小学校の野球を指導していた先生と中学校で野球を指導した先生は何を見ていたのか。所詮は素人コーチだから勝つことが至上目的になり、そのために長時間練習を強いることになる。生徒も親もそういう素人指導を歓迎する。悪気はなくても、スポーツ医学に無知なことが優秀な選手を潰す。
 成長期には骨の成長に筋肉や腱の成長が追い付かぬから、そういうことを考慮したトレーニングをしなければならぬ。中学校のブカツは、身体の面からは基礎体力をつくることと、基礎技術を習得することにある。試合に勝つことが至上命題となってはならない。ブカツ指導の先生たちは、生徒たちの選手生命を短くすることがないように、配慮してやってほしい。そのためにも、ブカツは土日を入れて週4日くらいが望ましいし、安全ではないのか。
 現在根室市内で行われている過度な部活はブレーキのない車のようなもの。週4日制を取り入れることで、暴走車にブレーキ装置をつけることができる。



*#3601 長時間の部活は学力を下げる : 全国学力調査アンケート分析 Aug. 31, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-08-31
 

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#3608 秋刀魚はどこへ?& 雨の根室市議選 Sep. 10, 2017 [根室の話題]

  秋刀魚を送りたいので魚屋さんへ行ったが、甘露煮の用のジャミ秋刀魚しかない。70g/尾くらいしかないのではないか?8尾ほどがパック詰めされて200円弱だった。昆布やシイタケを入れて骨まで柔らかく煮つけるととても美味しい。脂のない小さな秋刀魚のほうが脂焼けしないので冷凍保存しても変質が少ない。
  今年は、魚屋さんへ行っても大きな秋刀魚のないことが多い。大きいと言っても、数年前までは180g/尾以上ののものを送りに使っていたが、いまは150g/尾あれば大きい。それもなかなか入らず、待っているうちにシーズンが終わる。送りのタイミングが難しいのである。せっかく送るのだから脂の乗った大きなものを焼いて食べてもらいたいと思う。

  秋刀魚は大衆魚だから、酒は大吟醸酒ではなく、北の勝「大海」が相性がいい。コマイの干物には熱燗が妙にあう、どんなに高い酒よりも地酒の「大海」がしっくりくるのだ。
  そんなわけで、昨日、酒泉館で「大海」を買ってきた。しかし肴(秋刀魚)が手に入らぬ。

  こんなに小さい秋刀魚ばかりでは船主もそこで働く漁船員も収入は激減だろう。水産加工に回る秋刀魚も影響が出るのではないか。秋刀魚の資源量減少は大方の予測を上回って進行しつつあるように見える。

  根室は市議選投票日である。あさからずっと雨が降り続いている。名前だけ連呼していた候補、辻説法を繰り返していた候補者、車から降りて握手した候補者、あいさつにきて政策を語った候補者、それぞれの顔を思い浮かべながら、自分の損得を度外視して故郷のために頑張ってもらいたいという思いを込め、午前中に投票を済ませた。
 
  候補者20名中18名が市議になる。市民の声に耳を傾け、期待に応える市議となったもらいたい。

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#3607 同期音読トレーニング Sep. 6, 2017 [日本語音読トレーニング]

  日本語音読トレーニングについては弊ブログで何度も取り上げてきた。それは「読み・書き・そろばん」のうち、一番重要な技能で、学力全般に大きく影響するからだ。

 中学生に週に一度、良質のテクストを選び音読トレーニングそして来たが、2年前にやめた。やる気のない生徒がいると周りに迷惑だから、希望者だけを対象にやっている。授業料はいただいていないが、長期的に学力を向上させるという観点からは、一番値打ちのある授業だろう。生徒が殺到しないのが不思議だ。首都圏なら行列ができる。

 そういうわけで月に2度1時間半の音読トレーニング授業を希望者を対象にやっている。
 第一と第三水曜日の夜の授業である。現在は中2と中3の生徒二人が一緒の授業、もう一人中3がいるがもう4年間もやっているのでスキルに差がありすぎるから、その生徒は別指導、『福翁自伝』を読み始めた。

 授業が始まって、読みだしたら、ぼそぼそ滑舌が悪いので、早口言葉をわたしが言い、それを5回復唱させた。二人とも口の筋肉をあまり使わないでしゃべる癖がついている。もちろん英文音読にも影響している。
 早口言葉、覚えているだろうか?

◆生麦生米生卵
◆赤巻紙青巻紙黄巻紙
◆京の生鱈奈良生まな鰹
◆隣の客はよく柿食う客だ
◆竹屋に丈高い竹立てかけた
◆特許許可する東京特許許可局
◆坊主が屏風に坊主の上手な絵を描いた
◆小米の生噛み小米の生噛みこん小米の小生噛み
◆蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ
  『声に出して読みたい日本語』p.66


 音読はぼそぼそやったら伝わらない。普段よりもずっと口を動かして読むべし。
 この二人に使っている音読テクスト、斎藤隆著『語彙力こそが教養である』、の中に名作からの引用が随所にでてくる。その部分の読みが初見ではまるでできない。意味や情景が脳内にイメージできていないから棒読みになる。名作は、中学生や高校生が日常会話でまったく使わないは語彙がふんだんに出てくるので、先読みができない。意味が分かっていないから、「試行錯誤読み」になる。文節の塊すら、ひらがなが続くとどこで線引きしていいのかわからなくなり、たびたび途方に暮れている。
 ひとりは野球、もう一人はピアノが上手だ。キャッチボールだって相手のどこにどういう軌跡でボールがとどくかイメージして投げる。バッティングだったそうだ。イメージ通りに球が来てイメージ通りに球が打てたらそりゃ気分がよい。ピアノが上手な生徒はいまモーツアルトのピアノソナタを弾いているが新しい曲でまだうまく弾けないという。ピアノ演奏は楽譜をなぞるだけではないだろう、曲に対する自分の解釈やイメージを載せてこそ、聴く者のこころを震わせることができるのではないのか。音読も同じで、具体的なイメージをつかみながらあるいは先読みしてしっかり意味をつかんで読むのと、そうではないのとでは雲泥の差がうまれる。
 小説の一シーンを読む場合には、そのシーンが脳内に明確なイメージとしてないと聞き手に伝わらない言語というものは、発話者の脳内のイメージを仮託したものだから、言葉からイメージを紡いで読まないと説得力のある読み方ができない。あとで2つばかり例を挙げるが、生徒に読ませた後に読んで聞かせて、同じように読ませる。同じところを5回も読めば情景がありありと浮かぶような読み方になる。今日は166-190ページまで読んだ。最後の30分間は、読めなかった漢字の書き取り練習をさせた。語彙力拡張には「読み」「書き」の両方が必要だ。
 あと2回でこの本の音読トレーニングは終了する。次に予定しているのは同じ著者の『日本人は何を考えてきたのか』(祥伝社 平成28年3月刊)。

 最後の5ページほどは、同期音読を試みた。わたしが読むのと同時に息を合わせて生徒二人が読む。ときどき三人の読みが同期する瞬間がある、息がピタッと合い読みが一つになる。50年前の金刀比羅神社例大祭で水産加工場の男工さんたちの金棒演技はぴたっと音があっていた。30人ほどの金棒隊のカシャンカシャンという音が一つになって聞こえる。腕力のある者たちがトレーニングを積み重ねて技を磨いて到達できる技。同期音読もあれと同じ。集団パフォーマンスは、メンバーたちに同じレベルのスキルを要求する。
 息が続かないところや間の取り方が合わないところは、戻って三回でも五回でも、ぴったり同期するまで一緒に読ませる

 音読を通して、言葉から意味やイメージを紡ぐトレーニングをしている。Hirosukeさんのイメージ音読や「後志のおじさん」の「同調音読30回」がヒントになって日本語音読にこういう方法の導入を思いついたのだろう。今日試してわかったことだが、同期音読は生徒たちの音読スキルを大きく上げる効果があるようだebisuの読みに同期しようと必死になって喰らいついてくるから、集中力がアップし同期頻度が上がってくる

 日本語音読が標準的な生徒の2倍の速度でできるようになれば、深さは2倍以上になるから、普通の生徒の1/4以下の時間で日本語テクストを精確に読みこなせるようになる
 大量の情報を短時間でインプットできるメリットは限りなく大きい。国語の点数がよくなるだけでなく、社会も理科も、教科書を音読しただけで意味を深くとらえて予習できるようになる

 それでは、二つだけ名作からの引用を転載する。声に出して読んでもらいたい。
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 火は別にとらぬから此方(こち)へ寄るがよい、と云いながら重(おもた)げに鉄瓶を摂り下(おろ)して、属輩(めした)にも如才なく愛嬌を汲んで与(や)る桜湯一杯、心に花のある待遇(あしらい)は口に言葉の仇繁(あだしげ)きより懐かしきに、悪い請求(たのみ)をさへすらりと聴いて呉れし上、胸に蟠屈(わだかま)りなく淡然(さっぱり)と平日(つね)の如く仕做(しな)されては、...
 幸田露伴『五重塔』から、『語彙力こそが教養である』p.164
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 隴西(ろうさい)の李徴(りちょう)は博学才穎(さいえい)、天宝の末年、若くして名を虎傍(こぼう)に連ね、ついで江南尉(こうなんい)に補せられたが、性、狷介(けんかい)、水から恃(たの)むところ頗(すこぶ)る厚く、賤吏(せんり)に甘んずるを潔しとしなかった。
 中島敦『山月記』 p.174
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 ルビ(振り仮名)が煩わしいだろうが、本をよほど読む人でなければルビなしには判読しずらいだろう。幸田露伴は和語に漢字を宛てるのが上手だ。この時代の小説家は自由自在に漢字を使う。漢文の素養のなせる業だ。
  大和言葉と漢字への置き換えの二重奏で情景が読み取りやすい。読み手の脳内に言葉が具体的イメージとなっていなければ、棒読みとなり場面が聴き手に伝わらぬ。
 中島敦の文は、漢文調だから、それらしいきりっとした読み方で音読してもらいたい。

 生徒二人は今日から同期音読トレーニングを始めた。身についた音読の技は、高校生になってからこの二人の学力をさらに大きく伸ばすだろう


<余談:もう一人>
 もう一人、中3の希望者がいて音読トレーニングを始めて4年になる。福沢諭吉『福翁自伝』を読み始めたが、明治期の著作だから中3には語彙難易度が高い、いまはとても同期音読できるレベルではない。それでも200ページも読めば「腕力」がついて慣れてくるだろうから、そのあたりから同期音読を試してみる価値はある。音を上げずについてこれるか楽しみ。
 『福翁自伝』をすらすら音読できるのは団塊世代でも3%いるだろうか?そういうスキルをこれから1年かけて身につけることができたら、この生徒の学力全般はさらに一段アップする。受験の範囲をとっくに超えている。ニムオロ塾は「受験勉強」(問題を解くテクニック)だけを教えているのではない、好奇心を育み、視野を広げ、学力の土台づくりに腐心している。だから良質の日本語テクストを選んで音読トレーニング授業をしている学力の土台を強化するには必要なアイテムだから。数学も英語もそういう方針の下に教えている。
 この生徒、中1から中3のいままで、定期テストと学力テスト五科目合計点で学年トップを走り続けている。最難関大学医学部受験をしたいからだ。理系国立大学受験生は国語に弱点をもっている者が多い。それを克服するために4年前から音読トレーニングをやっている。
 長期戦略がないと最難関大学医学部受験はおぼつかぬ。地域医療を支える人材を育てるには理想的には小4から9年間の期間が必要だ。根室からでもチャレンジできるのである。小中高と一貫して教える塾はニムオロ塾だけではない、個別指導で受け入れ可能かどうか聞いてみたらいい。

 全国のお医者さんたち、子供が小4になったら、市立根室病院へ赴任することを考えてみないかい?とりあえず2年間住んで仕事して自然を楽しんで、肌に合わなければ戻ればいいし、いいところだなと思ったら、何年でもいたらいい。
 冬はそれほど寒くないし、雪は少ない、夏は日本一涼しい。子どもたちが勉強するには涼しいところが断然いい。
 湿原を流れる川での釣、漁船に乗って大物釣り、日本のセントアンドリュースと言われる野性味あふれる最東端のゴルフ場もあるから、お父さんもお母さんも楽しめる。車はすいているから、休日には各地の温泉巡りもしたらいい。



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