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#3498 see, look, watch (1) : 『英語基本動詞辞典』より  Feb. 5, 2017 [辞典の紹介]

 「#1243 英語基本動詞辞典」へハンドルネームみゆきさんという方から投稿があった。価格が高いので買おうかどうか迷っている、この辞書の中身が知りたいので教えてほしいというものだった。
 この辞書は基本動詞388を選んで1785ページ(総ページ数1862)を費やして解説している。わたしはこの辞書の存在を投稿欄で知った。最上級を修飾する副詞についてブログで議論していたときに、『英語基本形容詞副詞辞典』(308項目)と一緒にこの辞書を紹介してくれたのは、「根室出身の英語の専門家」というハンドル名での投稿だったが、昨年亡くなられた柳瀬尚紀さんだったではないかと推測している。根室高校6年先輩の彼はジェームズ・ジョイスの作品の翻訳で知られている英文学者である。
 この辞書の編集をしている小西友七先生は基本動詞辞典を1980年に、基本形容詞副詞辞典を1989年に出している。小西はジーニアスの編集主幹の一人で、ジーニアス初版は1988年だから、基本動詞辞典という労作がジーニアスの背後にある。大御所だから他のいくつかの辞書の編集もしておられる。

 さて、英語の興味があり、とくに基本動詞をマスターしたいという「みゆき」さんや、基本動詞を徹底的に学習したいという高校生や大学生のためにこの辞書の中から、seeとlookとwatchの項を紹介する。それぞれ14ページ、7ページ、5ページもあるので全部を載せるつもりはないが、抜粋して紹介したい。今回はseeの項だけである。

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see
1.概説 この語は、基本的に、「光・色などの外界の対象物やその動きを目で知覚する、見える」という意を表す無意志動詞で、意志動詞のlookと対照をなす(⇒look)。このような肉体的な直接近くのほか精神的知覚「わかる」の意も表す。また、この語は、以上の中核的意味から種々の意味を発展させ、「確かめる」「考える」「見物する」「取り計らう」「会う」「見送る」などの意志動詞としても用いられる。
 構文面では、他の近く動詞と同様、'see O doing [do, done]' の型、さらにthat節を取るほか、「取り計らう」の意で'see to O', 'see (to it) that...' 「確かめる」の意で'see if...' の型も用いられる。さらに、「送り届ける」意では、方向の副詞(句)を伴って 'see O M' の型をとる。

NB 1 他の知覚動詞(hear, feelなど)と比較して、seeの場合には、直接知覚と精神的知覚は二分法では割り切れず、両者の間に連続性が感じられる。 通例、that節を伴う型は精神的知覚を表す場合に用いられるが、seeでは直接知覚に近い意でも用いられることがある(⇒NB 28)。また逆に、 'see O do [doing]' が間接知覚を表すこともある。[渡辺『英語教育』1979.1.Q.B.]。

Ⅱ. 構文 知覚動詞として用いられる場合、つまり、無意志動詞では、命令形、進行形は不可(⇒NB 26、39)。その他の意志動詞として用いられる場合は可能。受身形は一般に可能。特に構文6の場合に注意(⇒NB 63)。『見える』の意では様態副詞と、他の意図的な意味では様態・程度・意志の副詞と共起する。
1a. S see (M) S<人[動物]>)が目に見える;目がきく;見える《Mは場所などの副詞(句)》
 It is dark; I cannot see.---JED 暗くて見えない/ Cats can see in the dark.---RHDS 猫は暗闇でも目が見える/ On a clear day we can see (for) miles and miles from this hill-top.---OALD 晴れた日にはこの頂上から何マイルも見わたせる/ When one drinks too much, sometimes one sees double.---LD あまり酒を飲みすぎると、時々物が二重に見えることがあるものだ/ I wonder how much he [i.e. the fish] sees at the old man thought.---Hemingway, Old Man あの魚はあんなに深いところでどれくらい目が見えるのだろうと老人は思った/ Then all ato once everything went black before their eyes, and they couldn't see.---Dale, Finger それから突然彼らの目の前が真っ暗になり、何も見えなくなった/ From where he stood, he could see over a low fence into the next garden....---Dahl, Machine 彼の立っているところから低い垣根越しに隣の庭が見えた。

NB 2 条例のようにしばしば can、could、を伴って用いられる。[OALD;cf. OED]。
NB 3  Mには不定詞がくることもある:
 It was getting dark and I couldn't see to read.---OSD 暗くなってきたので字が見えなくなった。
NB 4 look (at) の意味で次のように命令形で用いられることがある : See! Here comes the train.---LD ほら、汽車が来たよ/ "The whales are back!" "See! They're just hanging around, waiting to be captured," Campbell said cofidently.---Herzog, Orca 「オルカ達がもどってきたわ」「それみろ!奴らはそこいらをうろついてつかまえられるのを待っているんだ」キャンベルは自信たっぷりにいった。
NB 5 進行形は通例用いないが、一般的状態を表す場合には可能。(c.f. NB 26):Something is wrong with my eyes. I'm seeing double.---Close 目がどこかおかしい。物が二重に見える。
NB 6 as far as one [the eye] can see 「見わたす限り」という表現でもよく用いられる。

1b. S see (M)  S〈人〉がわかる;理解する
Now do you see?
---Larousse  わかりましたか/ "Do you see what I meant?" "Yes: now I see." ---LD  「わたしの言うことがわかりますか」「ええ、わかりました」/ I think I'll be able to help, but I'll have to see.---OALD  お力添えできると思うのですが、もう少し事情がわかるまで待ってください/ I can't give you an answer yet, but we shall see.---Web. 3  まだ答えることはできないが、今にわかるだろう。

NB 7  構文1aが肉体的な直接的知覚を表すのに対し、この構文では精神的知覚が表される。
NB 8 成句表現に I see. と You see. がある。I see. は「なるほど;わかりました」の意。: Oh, I see, I see.---Hanson  なるほど、わかった。この表現は I see, it's very interesting. のように挿入的にも用いられる(⇒NB 43)。
 一方、 You see は文頭、文中、文尾のいずれでも用いられるが、文頭では、話しては聞き手に好意的に発言しており、聞き手もそのつもりで聞いてほしいといったことが含意され、一般に表現を和らげる機能をもつ。たとえば There's another side to what you've been saying. (あなたの言われることには別の側面もあります)とするよりも You see, there's another side ... の方が唐突さや強い響きがやわらげられる。あるいは異なった意見を述べる場合のように一種のためらい表現としての機能も見られる。

 文中文尾では、それまでの発言の要約を示す機能をもち「私の述べたことがおわかりなら」のような含みをもつ〔cf. I'm very pleased, you see, that John decided to come. だからジョンが来ることに決めてくれてとても喜んでいます〕。あるいは話し手が一旦発言を切って聞き手に発言の機会を与えるいわば合図としての機能ももつ。
 いずれも you see のように強勢が(seeに)置かれ、テンポの速い発話ではyouが落ちる。こともある。 このほかに硬い表現に do you see, don't you see があり、文のいずれの場所にも置かれるが、一般に語調が強くなる[以上 Crystal & Davy, pp.95-97].

NB 9  このほか成句表現としては、 as for as I can see---OALD 「私の理解する限りでは」がある(cf. NB-6)。

NB 10  'see through O' は「O〈人[動機など]〉を見抜く」意:Jack thinks I believe his story, but I can see through him.---Seidl & McMordie ジャックは私が彼の話を信じていると思っているが、私には彼の正体が見抜ける。
 受身形でも用いられる: HIs story was seen through at once.---Wood 彼の作り話はすぐ見破られた。ただし、このように比喩的な意味では次のようにseeとthroughを分離すると不自然になる。 [Palmer, Verb 2 , p.232]: ? the deception through which they could see / the glass through which they could see.

・・・
1c. S see (M) S〈人〉が(M)を確かめる; 調べる《Mは 'into+O(事)'》
The police are seeing into the matter.---McArthur & Atkins 警察はその問題を調べている/ If you don't believe me, go and see for yourself!---OALD もし自分が信じられないのなら自分で行ってたしかめなさい・・・
・・・
NB 13 Mには into のほか over もくる。この場合にはOは通例〈建物〉: 'I shall need to see over the house and grounds before I can make you any kind of offer.'---Cowie & Mackin 「家屋敷を検分してからでないと値段については言えません」
 ただし、この see over は英国語法、受身形はまれだが可能[Wood, Verbal
...

2. S see M  S〈人〉がMをうまく取り計らう; 修理する《Mは 'to+O(仕事[物など])';Oは名詞・動名詞》
I will see to everything.---Hornby 私が万事取り計らいましょう/ You needn't trouble to wash the dishes; I'll see to those.---Wood わざわざ皿を洗っていただかなくて結構です。私がやりますから。・・・
NB 15 この意では進行形が可能: Who is seeing to the arrengements for the next meeting?---Hornby  誰が次の会合の準備をする[している]のですか。
・・・
3a. S see O  S〈人など〉がO〈人[物など]〉を見る; Oが見える[目に入る]
I see two birds.---NWDY 2羽の鳥が見える/ I can't see the blackboard.---RHDS  黒板が見えません/ Can you see the ship on the horizon.---OALD  水平線のあの船が見えますか・・・

NB 23 しばしばcan, could と共に用いられ、、通例、見ようとする努力が示される[OALD]: I looked for her but I couldn't see her in the crowd.
---LD  彼女を捜してみたが、人ごみの中ではみつけることができなかった。
 なお、Leech[Meaning, pp.20-21]は、別の角度からこれを比較して 'I see O' は「瞬間的な知覚」を表し、'I can see O' は「知覚している状態」を表すとしている。たとえば、I see a bird ! 〔感嘆符に注意〕は瞬間的な知覚のみを表し、ほぼ I can sight of a bird ! に近い。一方 I can see a bird.では「鳥が見える」という状態が表される。〔cf. hear/ can hear〕(⇒HEAR NB 7)

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 こんな調子でseeの項は「NB 71」まで典拠を挙げて用例と解説が続く。[NB-1][NB-71]まで71項目にわたっているのだが、こんなに憶えられるわけがない。増えれば増えるほど、その中核的なイメージは何かと問うことが大切になる。
 seeの中核的なイメージは「自然に視野に入っている」ということのようで、「意識せずとも見えている」や「見えているから事を取り計らう」という派生的・抽象的な意味が生ずる。副詞(名詞を伴うときは前置詞)through(見抜く)やinto(調べる)、over+建物(調べる) などと組み合わされて発展的な意味をもつ。知覚動詞は無意識か意識して知覚しているかという視点で使い分けが生ずるということが共通しているようだ(例:hearとlisten)。

 seeはlookやwatchの項と並べてみることで理解が深くなる。それぞれ単語ごとに分けて採りあげるつもりだ。seeはとりあえずこれでアップするが、あとで暇なときに追加していくので、気が向いたときにチェックしてほしい。

 わたしは何か疑問がわいたときに調べるためにこの辞典を使っている。編集者の小西氏は前書きで次のように書いている。

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 以上述べてきたように、辞典に求められている理想の姿というものがあるが、本辞典では、個々の語のもつ統語的素性を意味との関連から可能な限り明らかにするため、次のような点に留意した。

(1) 本辞典の対象者は大学生・教師・一般社会人とするが、英語学を専攻していない人にも理解できるように記述は平明を旨とする。なお、興味ある言語事実や経験的事実は全体のプロポーションを破っても、詳細かつ徹底的に扱う。
・・・
(3) 各語の記述の構成は、「概説」、「構文」、「関連事項」よりなり、適宜NBを設ける
 (ⅰ) 「概説」では、語の全体的把握を目指し、中核的ないし基本的意味、語義どうしの関係、歴史的事実、統語上の制約などについて概略的説明を行う。
 (ⅱ) 「構文」では、最初に全般的に命令形、受身形、進行形の可否、副詞との共起関係に触れ、次いで可能な構文を視覚的に掲げ、それぞれについて多数の実例を付す。その際、主語、目的語・補語・修飾語の統語素性(義務的または任意的副詞(句)、不定詞、動名詞、that節、wh-節、whether-節の区別)および意味素性(人・動物・物・事などの区別)を明記する。
 (ⅲ) 「関連事項」では、分詞の前置修飾の可否、副詞との共起関係、当該語の派生名詞、名詞化などの名詞表現、類語、日英比較などについて扱う。
 (ⅳ) NBでは、さらにくわしく知りたい読者のために、各語の個別的な記述、敷衍的説明を行う。ここにおもに取り上げたものは、各語義の詳しい記述や日本人の陥りやすい表現、口語表現、成句、言い換え、派生的意味用法、他構文との関連性、命令形、受身形、進行形の可否とその理由、相互参照などである。その他、資料から導き出された見解も、客観性があると考えた場合は、取り入れたものもある。
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*#3385 柳瀬尚紀さんの訃報  Aug. 3, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-08-03-1

 #1243 英語基本動詞辞典 Oct. 16, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-16


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