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#3558 1学期期末テストに変化の兆しあり June 21, 2017 [データに基づく教育論議]

  前期中間テストのC中学校は先週金曜日、1学期期末テストのB中学校は木曜日と金曜日の2日間だった。

  答案が生徒に戻されたので点数と問題を確認したら、C中学校数学の難易度が少し上がっているように感じた。出題は教科書準拠問題集からだけでなさそうだ。最後の証明問題は正方形をくりぬいた面積と、くりぬいた部分の中心線でできる正方形の周囲の長さに関する証明問題だった。準拠問題集には穴埋め問題として載っていたが、穴埋めではなく証明全部を書かせる出題が望ましい、同じことを数学担当の先生も考えたようだ。成績「中の上」クラスの生徒は何度か書いて理解しておかなければできない問題。その前にあった「5.5^2-4.5^2」の問題も、「この種の問題は大概の先生が出すよ」と生徒に予告してあった問題の一つ。「和と差と積」の乗法公式応用問題。共通因数3.14を括りだす問題もあった。たしか、「76^2*3.14-24^2*3.14」という出題だった。どちらも「標準問題レベル」だが、定期テストは基礎問題がほとんどというのが実態だった。少し良い方向に変化の兆しが見える。百点をとった生徒の評価だと理科の問題も学力テストレベル。
  国語が記述式問題の解き方の実践的トレーニングを授業でやって来たので、出題された記述式問題が解けるようになった生徒が増えたようだ。6月から入塾した生徒が90点獲れたと喜んでいた。記述式問題が確実に解けるようになるのはうれしいものだ。国語の先生は出口の「論トレ方式」を教えているのだろう。本当に成果が出ているかどうかは九月の学力テストの平均点に現れる、楽しみだ。

  先週実施された定期テストの得点通知表が出たら、昨年の3年生のテストと平均点を比べることで難易度の変化が測定できるかもしれぬ。四月の学力テストの平均点も参考に分析してみたい。チャレンジしている先生たちも少なくない。


< 余談 >
 ① 通塾4年目の中3生が初めて五科目合計490点を超えた、三科目が満点だった。いままでの最高点は480点台だったから大きな達成感があっただろう。その一方で難易度の低いテストで493点をとっても、大学進学という観点からはさしたる意味はない。定期テストよりは難易度が上の学力テストで数英二科目同時満点がとれていない。北海道が実施している学力テストの難易度は、東京都のそれに比べて格段に低いのである。だから、この生徒に対する授業の照準は普段の定期テストや学力テストには合わせていない。それよりも難易度の高い問題へのチャレンジと基礎力アップ、1年前倒しで数学と英語をやりきることを目標として個別指導している。小手先の点数アップは一切排除してきた。
  そういう狙いで日本語テクストの音読指導も4年目に入った。先週、斎藤隆『語彙力こそが教養である』(角川新書 を読み終え、12冊目である福沢諭吉緒『福翁自伝』(岩波文庫)の音読トレーニングを昨日から始めた。漢文調の文体で、読めない漢字が多い。中学3年生にはかなり背伸びした読書である。医学部進学予定だが、国語も手を抜かず日本語読解の底力を養う。将来必要となるどのようなレベルの日本語テクストも、そして英語で書かれた専門書も読みこなせるだけの語彙力と読解力を養成したい。
  音読トレーニングは中学生全員に強制していたが、やる気のない生徒が数名でたので、2年前にやめた。やる気のある生徒だけ「補習音読トレーニング」をしている。体力の衰えもあって、やる気のない生徒へのおつきあいは負荷が大きすぎるのでやめにした。

②  6月初めから中3女生徒2人が入塾して、苦手の数学に懸命に取り組んでいたので、部活が休みの月曜日に補習体制を敷いた。集中力が大きいので「モノになる」と感じたからだ。一人は前回期末テストよりも50点アップ、もう一人は40点アップだった。よく頑張った、次の前期期末テストと学力テスト総合Aが楽しみだ。どちらのテストも九月に実施される。手を抜かずにこのまま突っ走ってほしい。勢いで90点ラインを越えてくれたらうれしい。

③  昨年12月に入塾した生徒は2年生だが、4月の学力テストで大幅にアップして学年2位、数学と英語は学年トップに躍り出たのだが、今回はかなり順位を落としそうだ。それでも入塾直前の2学期・期末テストよりも五科目合計点で83点アップしていた。数学と英語は点数が高いが、国語と社会と理科の三科目に課題が見つかった、長期戦で取り組む必要あり。
  数学は連立方程式の問題を2週間前からやっているが、まだ塾用問題集の計算問題が終わらない。やっている個所を確認しているが、前回に塾でやり終わったところから進んでいない、部活が忙しくて必要な勉強時間がとれていないからだ。念のために本人に口頭で確認をしたら推測通りだった。普段は6時半まで、土日もやるきつい部活は文科省の方針にも道教委の方針にも反しているが、根室市教委は何をしているのか?「過度な部活」は生徒たちから文武両道を貫く体力と時間を奪っている。この生徒は上手になりたくて部活が終わってから自主トレもやっている。この生徒の体力では「過度な部活」と勉強の両立は困難にみえる。
 本も読まなければ国語の点数は上がらない。語彙力や文章読解力は普段読んでいる本の質と量に比例する。このままでは本を読む習慣がつかないので今日(隔週水曜日)、日本語音読補習に呼んである。
  音読テクストは『語彙力こそが教養である』。音読させれば理解力が測定できる。適切に先読みして意味をつかんでいないと、よどみのない音読はできないもの。塾で音読トレーニングをしても、家で繰り返さないと効果は期待できない。もちろん、読めない漢字や意味の理解できない漢字は、国語辞典や漢和辞典を引かなければならない。自主的に取り組む領域のあることが大事である、それと塾でのトレーニングが車の両輪となって語彙力や読解力を押し上げる。

6/21追記:
< 音読トレーニングの実際 >

  中学生全員対象だった日本語テクスト音読(輪読)授業は2年前からやる気がある生徒に限定して実施していることはすでに書いた。中学2年生のある生徒に実施している音読授業の実際を書いておく。
  この生徒の場合は月に2度の補習授業で1対1で指導している。昨日の補習授業では『語彙力こそが教養である』P.43からP.58まで15ページ読むのに50分かかった。ヘトヘトになってしまったのでこれ以上は無理と判断して50分で中止した。全員を対象としなくなったので、一人一人の生徒に合わせて指導できる。スキルアップのための音読トレーニングは全神経を集中させる「格闘技」である。
 読めない漢字や意味が分からずに読んだ箇所、助詞の読み違えや余計な語を付け加えて読んだ箇所はすべて再読させる。おかしい読みはどこがおかしいか指摘し、読んで見せる。そして意味が伝わるようにすんなり読めるまで何回でも読ませる。そうしないとスキルがアップできないし、文例とともに語彙が身につかないからだ。だから、最初のうちは新書版15ページの音読トレーニングに50分もかかるが、スキルがアップしてくれば消化速度も上がる。声の出し方や抑揚のつけ方、舌の動かし方もうるさく指導している。流れるように読めるようになったらうれしい。生徒は一人一人抱えている課題が違うので、指導の仕方も生徒によってかなり違ったものになる。集団の輪読による指導から、個人指導に切り替えてから自分の指導の仕方が生徒によって異なっていることに気が付いた。よく考えたら、数学も英語も個別指導だから指導の仕方は生徒に寄ってニュアンスが異なる、自然なことだ。

  音読の速度が2倍になれば、文の理解度は4倍以上にアップする。読解速度と読解力アップは学力全般に影響する。標準速度の倍の速度で(半分の時間で)各教科の教科書や参考書を4倍の理解力で読めたら、学力が飛躍的にアップしないはずがない

  質よいテクストを選んで音読することで、文例ごと語彙を大量にインプットすれば、アウトプット技術(作文)もよくなる。貧弱な語彙では様々なニュアンスを書き分けたり、意味の明確な文を書くことはほとんど不可能であることは諒解いただけるのではないか。作文が苦手という生徒で本をよく読んでいるという例を知らないし、作文が好きな生徒に訊いてみると(いままでのところ)例外なく普段から本をよく読んでいる。読書が生活習慣の一部になっている。当人の意識では読書がエンターティンメント(娯楽)化しており、読まずにはいられないのだろう。
  語彙力や読解力が学力に与える影響を考えると、小中高のいずれかの時代に濫読期を通過すべきで、読書に耽溺する時期が1~2年あってよい。人の2倍の速度でそして4倍の理解力で教科書や参考書や専門書を読み切れるという学力の土台がその時に出来上がる


<付録:日本語音読トレーニング教材>
  中3のある生徒にいままで3年間で消化した音読教材をリストアップしておきますので、参考にしてください。

 斉藤隆   『声に出して読みたい日本語①』
     『声に出して読みたい日本語②』
 音読破シリーズ: 斉藤孝のこのシリーズはルビが振ってあります!ぜひ、お子さんに買ってあげてください。(小学館 本体800円です)
   『坊ちゃん』
   『走れメロス』
   『銀河鉄道の夜』
   『羅生門』
   『山月記』
   『五重塔』
 斉藤隆『読書力』(岩波新書)、
 藤原正彦『国家の品格

  
斉藤孝著『日本人は何を考えてきたのか―日本の思想1300年をみなおす』(2016年3月初版)
   斎藤隆著『語彙力こそが教養である』(2015年12月初版)
 以上、12冊がいままでに音読トレーニング教材として授業でとりあげた本です。

   福沢諭吉『福翁自伝』岩波文庫 (現在音読授業で読んでいる本)

   このほかに、家で読むようにと日本の古典を読む④万葉集(小学館)を預けてある。この生徒は学力テストの国語の点数がいつも90点前後である。塾では国語の授業はしていない。



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新訂 福翁自伝 (岩波文庫)

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  • 作者: 福沢 諭吉
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1978/10
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語彙力こそが教養である (角川新書)

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  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: 新書

#3554 定期試験範囲でみる授業の進捗状況 June 12, 2017 [データに基づく教育論議]

 根室市内の市街化地域の3中学校では今週定期試験が実施される。B中とC中3年生の数学試験範囲は教科書p.48までである。「2章平方根 第1節平方根」までということ。「第2節根号をふくむ式の計算」(p.49-57)は試験範囲に入っていない。
  試験範囲は「第1章多項式」と第2章第1節だけだから、多項式の展開と因数分解、素因数分解が試験範囲。

  中3の数学教科書は巻末問題や巻末課題編を除くと8-209ページである。1月末で教科書を終了するとしたら、正味202ページを8か月で消化しなければならない
  4月から1月末まで10か月あるがその間には夏休みと冬休み、そして修学旅行や学校際準備、体育祭準備で授業が2か月つぶれるから、8か月で消化しきる必要がある。

  202ページ÷8か月=25.25ページ/月...月平均実消化ページ

  月平均25ページというのが最低速度である。教科書は後半部分が「第4章 2次関数」「第5章 相似な図形」「第6章 円」「第7章 三平方の定理」「第8章 標本調査」と関数や図形の章が並んでいて、第1章や第2章に比べて難易度が格段に上がるから、後半は速度を落とさなければならないという事情がある。だが、根室の中学校では難易度の上がる後半部分に入るや時間数が足りなくなり速度を上げざるを得ない難しい章で速度が上がるのだから、成績下位層の生徒たちは這い上がることができない

 ではどれくらい成績下位層がいるのだろうか、成績下位層を60点満点の学力テストで20点以下と考えると、

  B中学校 34人/55人  61.8% (平均点18.3点)  
  C中学校 40人/59人  67.8% (平均点16点)

  10点以下は、
  B中学校 12人/55人  21.8%
  C中学校 23人/59人  39.0%

  成績上位層が枯渇化現象を起こし、成績下位層の肥大化がこの5年ほどでずいぶん進んだように感じている。51点以上は2校でたった一人である。41-50点の層は2校114人中わずか2人である。

  百点満点換算で33点以下が6割を超えている百点満点換算で17点以下は両校合計で3割存在しているこれらの生徒たちは後半部分をスピードアップされたらたまったものではない。ちんぷんかんぷんとなり、這い上がることができない
  成績上位層の一部が道内の他校へ進学し、大部分は統合された根室高校へ入学となる。「数学の戦場」で「落武者」となった生徒たちが大挙して統合後の根室高校へ実質無試験で入学する。根室市長選挙や根室市議会選挙と妙な相似形をなしているところが気になる。数日前の北海道新聞の報道によれば、9月の市議選挙で出馬を表明したのはまだ4名しかいないそうだ。競争のない状態が長く続くとあきらめと腐食がはじまるから、危機感を抱く市民が少なくない。なぜ、立候補者が少ないのだろう?

(根室高校生の学力低下は目を覆うばかり。根室高校普通科1年生は学力別にアルファ、ベータ、ガンマーの3段階に分けられ、今年からそれぞれ試験問題が違う。昨年までは試験問題がどのクラスも同じだった。7月の進研模試の数学(百点満点)の平均点が10点台に落ちるだろう。)

  では、計算上の単純平均ではどこまでが試験範囲であればいいのだろう比例計算すればいいだけ。

  25.25ページ/月 × 2.5か月 = 63ページ
  8ページ + 63ページ = 71ページ

  「第3章 2次方程式 第1章 2次方程式とその解き方」を授業でやっていなければならない。
  6月半ばで授業の遅れは

    72-48=24ページ

  こういうペースで1月末までやったらどういうことになるのか。これも簡単に推計できる。

    (48-8)ページ ÷ 2.5か月 = 16ページ/月 … 実際の速度
     16ページ/月 × 8.5か月 = 136ページ
      202ページ - 136ページ = 66ページ...積み残し

  現在の「巡航速度」を前提にすると、単純計算では、なんと66ページのやり残しが生ずることになる。そして巻末問題編も巻末課題編もスルーしてしまうことになりそうだ。

  こんな簡単な計算ができない数学の先生はいないだろう、比例計算だから小学6年生だってできる。では、なぜかくも授業の進捗が毎年毎年遅いのだろう?

< 権限があって仕事の責任がない不思議 >
  授業の進捗管理は現場の先生に任せっぱなしになっているのか?
  そんなことはないはずだ、学校管理職の教頭先生と校長先生がいる。現にB中学校は教頭先生が授業進捗管理に気配りしているようだ。それでもこういう状況だから、この速度とスケジュールが根室のスタンダードなのだろうか。わたしには理解できない。
  26年間民間企業で働いてきた経験から言うと、部下の仕事の進捗にこのような遅れが生じたら、早い段階で上司のチェックが入るのが当たり前。仕事の遅れは大きな問題に発展しかねない。それが適切にマネジメントできない管理職がいたとしたら、部下の仕事の失敗の責任を問われる。だから、部下に任せた仕事の責任は他人事ではないのである。ラインの管理職から外されることになるが、学校管理職が教科担当の先生の授業進捗管理の責任を問われて処分されたという話を聞いたことがない。権限があって責任がないというのが学校経営の実情に見える。改めるべきはこのあたりかもしれぬ。



< 余談: 教え方の問題もある >
  試験範囲が48ページまでの学校は1月末までに教科書を終わるためには、難易度の高い問題をやらずに後半部分を「スピード違反」の授業をしてつじつまを合わせることになる。そんなことをしているから、C中の昨年の3年生は最後の模試を除いて数学学力テストの平均点が16点で動かなかったこの点数は根室の市街化地域の2校と釧路市の14校中で最低であった今年も四月の学力テストで平均点が16点、同じ轍を踏んでいると思わざるを得ない
  もちろん進捗管理の稚拙さだけが生徒の平均的な学力を押し下げたのではないだろう。教え方の問題がある。一例を挙げる。多項式の展開公式のところで「2乗2倍2乗」という教え方はやめてもらいたい。(2x-3y)^2という問題の時に、多くの生徒がミスをすることになっているが、気が付いていないようだ。教科書18ページの例題に載っている。「2乗2倍2乗」と教えたらXとYに係数がついたとたんに生徒たちの半数以上が「拡張」ができない。
  二ケタの掛け算はできるが3ケタ同士の掛け算のできない中学生が少なくないが、計算方式の拡張ができないからだろう。生徒たちは真ん中の項を4xyとしたり6xyとする者が多く出てくる。「2乗2倍2乗」では生徒は何を2倍するのかがわからない。誤解が生じないように、わたしは「中身を掛けて2倍する」と教えている。学校でヘンな教え方をされると、それを直すのはとっても手間がかかる。1学期の範囲でいうと、素因数分解でも類似の問題がある。「サクランボ方式」というやつだ。基礎基本をスルーして特異な方式で教えると生徒たちが高校生になってから副作用を生む。高校数学まで考えて指導法を点検してもらいたい。

  こういうことは書きたくないのが本音、いくら故郷の未来のためでも気分がよくない。書かなければいいだろうという方がいるだろう、その通りだ。
  このごろサイクリングの話が増えている。

< 拡張性と計算の仕組みの共通性を意識した教え方 >
  ①(a+b)^2=(a+b)(a+b)=a^2+ab+ab+b^2=a^2+2ab+b^2
  ②(2x-3y)^2=(2x+3y)(2x+3y)=(2x)^2-2x3y+2x3y+(3y)^2=4x^2-2(2x3y)+9y^2
  ③(x+a)(x+b)=X^2+ax+bx+b^2=x^2+(a+b)x+ab

  ①②③は2番目の展開式を内項同士を小さな弧でそして外項同士を大きな弧で結んで見せてやれば、視覚的に同じルールであることが生徒に伝わる。
 だから①と②は「真ん中の項が中身を掛けて2倍」であると教えたらいい。公式を暗記することも大切だが計算の仕組みをちゃんと伝えることはもっと大切なのだ。男子の脳には「大小二つの弧」という視覚的な情報がスーッと頭に入りやすい。
  同じ原理で、③も真ん中の項が (a+b)x であることが容易に理解されよう。同じ仕組みだから、個別に暗記の必要がなくなる。①で符号が変わる場合 (a-b)^2 の場合には、真ん中の項の符号をマイナスに変えればいいだけだということもすぐに了解できる。
  高校数学を視野に入れ、社会人となった時に「どのような能力が要求されるのかまで考慮して、計算の仕組みを拡張性を意識して教えることが肝要なのだ。
 


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#3548 心意気-2 Jun. 1, 2017 [データに基づく教育論議]

  前回#3547でブログ情熱空間の記事を紹介した。成績下位層の約半分は救えるという主張にわたしも同感である。そこで、四月に実施された3年生学力テスト数学のデータを挙げて根室の中学校の状況を解説してみる。
 テストは60点満点である。市街化地域の中学校は3校だが、そのうちの2校、B校とC校のデータを挙げる。

< 6割の生徒が60点満点で20点以下の得点 >
 百点満点換算では33点以下が64.9%もいる。


 < 10点以下 >
  B中学校 12人(55人)   21.8%
  C中学校 23人(59人)   39.0%
     合計   35人(114人) 30.7%

 < 11点以上20点以下 >
  B中学校 22人  40.0%
  C中学校 17人  28.8%
     合計   39人  34.2%

 < 0点-20点 >
  B中学校 34人  61.8%
  C中学校 40人  67.8%
     合計   74人  64.9%

 10点以下は百点満点に換算すると17点以下であるから、いわゆる「箸にも棒にもかからない」というような学力と考えてよい。絶対評価で1をつけるべき学力層であるが、それが30.7%もいる。三人に一人の割合である。「学力下位層の肥大化」が進んでいる。14年前なら十人に一人だっただろう。
 20点以下は百点満点だと33点である。この階層も数学の学力に関しては高校普通科の標準的な教科書はとても無理である高校普通科の標準的な授業についていけるのは30点以上だがこの学力階層はB中で4人、C中で5人、2校でわずか9人(7.9%)しかいない。40点以上は2校で3人しかいない

< 高校1校体制でさらに学力低下が進む危惧あり >
 根室西高校が廃校になり、根室には高校1校になり、普通科に「特別進学コース」が設置された。ところがその対象と考えられる数学50点以上の高学力層が、2校で1人のみ。A校と郡部を合わせても根室市内で2人だろう市街化地域の中学校で学年トップが50点とれない状況、40点以上が根室市内の同学年に10人いないというびっくり仰天の状況が生まれている
 「高学力層の枯渇現象」がこの14年間で進んだ、「浜焼け」した海に魚がいなくなったような光景だ。根室では高学力層の枯渇化現象低学力層の肥大化現象同時進行している。高校1校体制になったことで、全員入学が保障され、低学力層が勉強をしなくなった。高校2校体制の時には「根室高校へ入学したい」とボーダーラインの生徒たちの多くが必死に勉強していた。インセンティブがなくなったのである。
  なくなって分かったことがある。高校2校体制は根室の中学3年生の学力アップに役立つ装置だった、いまやそれがなくなり、低学力層が「底抜け」してしまっている。だから、根室の中学生と根室高校生の低学力化はさらに進行することになるだろう。

< 学力を挙げる手段はある: 低学力層の半数は救える >
  生徒たちの学力を挙げるのは不可能か?この問いにはノーと答えたい。低学力層の生徒の半数以上は救えるのである。手間はかかるよ。自力救済は無理、大人が手間をかけなきゃ救えないということ。
  我田引水になるが具体例を書く。ニムオロ塾では個別指導をしており、入塾して数学の学力が低い生徒には2-3か月ほど補習体制を組んでいる。低学力層の生徒の3割ほどは生活習慣の改善ができずに成績が上がらないが、7割は学力が上がる。低学力層の生徒でも30-40点くらいなら、3か月の個別補習と普段の授業でアップする。
  過度な部活が癌だ、生活習慣を変えられずに家庭学習時間や補習時間がとれないと無理だ。生活習慣に問題がある場合でも、勉強1時間を最優先することで何とかなる場合が多い。1時間勉強してからスマホやゲームをやる、やらなければスマホを取り上げる。だから、家庭の協力がいる。

< 生徒の力を信じよう >
 教える側が低学力層の生徒たちを見放してはいけない。中高生の学力は突然に、飛躍的に向上することがある。
 ずいぶん前のことだが、2年生11月の学力テストで0点だったので慌てて入塾した生徒が、1か月弱の毎日の補習で88点取った。10点台の成績の生徒が2-3か月後に80点台というのは何度も見ている。定期テストで英語35点の生徒が入塾して半年後に学力テストで90点超をたたき出す。生徒の努力と指導の仕方次第でなんとかなるケースが少なくない。百点満点のテストで0-30点しか取れなかった生徒でも、半年くらいかけて数学と英語両方の科目をそれぞれ30-50点程度成績を挙げてくるのが普通だ。ほとんどの低学力層の生徒たちは自力で這い上がれない、だから教える側の協力、個別補習体制が必要となる。

< まとめ:データから言えること >
  根室の中学生の数学の学力は、いわゆる「箸にも棒にも掛からぬ」者が3割もいる、低学力層は6割を超えている。しかし、その半数以上は救えるのである。根室の未来を担う人材が低学力でいいはずがない、子どもたちの学力と素直な心は地域の未来を変える力だ

<学校の先生たちと保護者の心意気>
  いまはまだ何人かの先生たちが頑張っているのみだが、いつの日か、根室の中学校がこぞって低学力層の生徒たちに救済の手を差し伸べるようになることを祈っている。そのためには過度な部活に手を打ち、当該教科を教えている先生たちが自ら放課後個別補習をする必要がある。それが可能な環境は先生自身と保護者が協力してつくりあげなければならない。

< 根室の大人たちの心意気 >
 市教委や市議会も仕事を通じてやるべきことがあるだろう。
 市議会議員選挙が9月にあるようだ。文教厚生常任委員会の委員長は共産党の鈴木氏だったが、昨年の市議会報告会で名刺を渡して、データに基づく議論をしたいので連絡くれるように伝えたがなしのつぶてだった。市民との対話を拒否する姿勢は長谷川市政と変わるところがないのは残念だ。もっとオープンに市民と議論するようになれば支持が広がるだろう。
  先週土曜日に行われた年にたった一度の市議会報告会では市民から厳しい意見が相次いだと北海道新聞に載っていた。市議たちもまた閉鎖的に見える。
 立候補者が少ないから、9月の選挙でも引退する者を除いて現市議が全員再選される。市議選でも競争がないから、幾度(いくたび)選挙があろうとも根室は変わらない。

 学力問題を取り上げない経済団体も同様だ。人材の劣化が進めば地元企業に未来はない。経営改革ができない水産加工業界は外国人を雇用せざるを得なくなっている。この現象は昭和30年代後半の根室の水産加工業の状況に似ている。道内各地および青森県から女工さんが来なくなり、男工さんたちが根室の企業に見切りをつけ始めたころに似ている。働き手の不足は、経営改革がなされないから生ずる。地元の若い人たちが就職したいと思うような処遇ができる働きがいのある企業に変わらなければじり貧となる。この話は水産加工業界に限らない。

 (経理規程や退職金規程の制定、社員持ち株会の設立、決算の公表、予算制度の導入などオープン経営への切り替え、全国標準レベルの企業になるためにやるべきことはいくらでもある。わからなければ訊きに来ればいい。ebisuは店頭公開、東証2部上場、東証1部上場、業界の異なる企業でそれぞれ上場実務経験があるから、経営改革のやりかたと上場作業手順を知っている。3社4回、こんな実務経験を有する者はおそらく北海道には一人だけ。
 経営改革をした企業は優秀な人材を必要なだけ集められる。)

 それでも根室の大人たちは変わろうとしない。
 心ある大人たちがもっと現れてもらいたい。   

*3547 心意気
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-05-31

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#3539 授業進捗管理状況(英語) May 11, 2017 [データに基づく教育論議]

  五月連休明けの時点で進度に問題を生じている学校がある。市街化地域の3校のうち、遅れを生じているⅠ校の英語授業を例に取り上げる。もちろん、ちゃんと管理がなされている学校も1校確認できている。学校によって授業進捗管理がしっかりなされているところとそうでないところがあるということ。もちろん生徒の学力へ影響がある。

  まず、最もシビアに授業進捗管理をしなければならない3年生をとりあげたい。3年生は1月末までに教科書を終わらなければ、2月からはじまる私立高校受験に間に合わないし、道立高校受験も二月1か月間の復習期間が必要である。

  一月末終了を前提に考え、夏休みと冬休みを考慮に入れると、実質的には八か月で教科書を終了しなければならない。教科書は8章あり、「power-up」×7と「英語のしくみ」×4があり、最後に「Extensive Reading」が12ページある。

  章に換算すると5章分あるから、全部で13章を8か月でやらなければならない。月平均1.6章消化しなければならないから、第2章の①を終わっていればOKである。
  五月連休終了時点で第1章を終了していない中学校があるが、この学校は1月末時点で教科書を終えることができないだろう。月に1章の消化速度では教科書全部を終わることができない。長分読解力を養成する「Extensive Reader」はやれない。最近はこの章を授業でやらない学校が増えた。10年前はほとんどの学校がやっていたのだが・・・
  こうして、英語長文問題に弱い根室っ子が量産されている。

  二年生の教科書は12章あり、「power-up」×9と「英語のしくみ」×5があり、最後に「Extensive Reading」が4ページある。章に換算すると4.5章分あるから、全部で16.5章である。二月末で終わると仮定すると、「16.5章÷9か月=1.8章/月」、平均1.8章分を一月に消化しなければならない。二年生で昨日までまだ第1章を終わっていない学校があった。始動1か月ですでに1章の遅れである。いうべき言葉さえ見つからぬ。
  いまからならまだ救える、挽回できる。このまま夏休みを迎えたら取り返しがつかない。


  道教委は授業の進捗管理の徹底を各中学校に通達でも指示している。担当の先生が授業進捗管理にルーズでも、教頭や校長職がチェックすれば済むが、授業に口出しを嫌う風土がある。迷惑するのはちゃんと勉強したい生徒たち。

  根室市教委や市議会文教厚生常任委員会メンバーは、根室の子供たちの学力に関心があるのだろうか?調べたらすぐにわかること。

<余談>
 地域の皆さんが教育に関心が低いというのは、町の未来に大きな影響がある。
 具体的に説明しよう。
 C中学校3年生の4月の学力テストで10点以下(60点満点)の生徒が23人/59人 いる。約4割の生徒が10点以下である。こういう低学力の生徒たちは都会で働くことができるだろうか?この階層の生徒たちのほとんどが高校卒業時点で小6の算数の計算問題で50点以下の得点しか取れないだろう。
  いまや非正規労働が40%あり、その年収は100-150万円である。非正規雇用では自立して生活するのは困難だ。だから、専門学校や大学を卒業しても仕送りを続けている親が増えている。そうせざるを得ないからだ。女の子なら手っ取り早く収入を増やせるのは風俗産業である。
  自分の子供や孫、友人の子供たちが学力が低いために非正規雇用や風俗産業で働かざるを得ない状況に追い込まれるということを想像してもらいたい根室で育てばみんな根室っ子、他人事とは思わないでいただきたい
  非正規雇用はいつまでやってもキャリアが積めないし、年収も増えないから、食べていけなくなり、親元に戻り寄生せざるを得なくなる。根室に戻ってきても自立して生活ができる正規雇用職はほとんどない。多くが非正規雇用か非正規雇用並みの給与の正規雇用職に就くしかない。非正規雇用では独力で生活するのもむずかしいから、結婚をあきらめるか、結婚してもなかなか生活を維持できない。経済的理由から離婚も増える。
(この15年ほどで根室の小・中学生の数は4割減、総人口は6000人減、おおよそ2割減だから、15歳以下の層が激減したことがわかる。日本に学制が敷かれて二年後に設立された花咲小学校の今年の新入生は17人だ。団塊世代のころは1学年360人のマンモス校だった。)

  四月学力テスト(数学)の得点階層別データを書いておく。

 51-60点   1人
 41-50点   1人
 31-40点   3人
 21-30点  14人
 11-20点  17人
 0-10点    23人
   合計      59人

  この学校の数学の平均点は16.0で、昨年の学力テスト総合ABCが3回連続して16点だった。昨年の釧路の14中学校で数学の平均点の最低は18点だったかな。
  高校数学がこなせるのは59人中41点以上の二人のみ。成績上位層の枯渇がこんなにはっきり数字に表れている。
数学の平均点が低いだけではない、この学校の三年生の五科目合計平均点が112.6点である。
  B中学校の数学の平均点は18.3点、五科目合計平均点は108.7点。10点以下は21.8%(12人/55人)、41点以上は1人のみ、この14年間でみるとB中は160点を超えたこともあった。根室市内の中学生の学力低下に気が付いている先生たち、市議会議員、教育行政関係者が何人いるのだろう?
  教育行政や学校管理職は、過去10年間の学力テスト・データを見て教育を語れ。


<余談-2>
 上述の得点階層別のデータで、10点以下の生徒は放課後個別補習をするしか救う手がない。道教委は放課後補習に退職教員を充当しているようだが、本筋から外れている。失礼ながら、集団指導でたくさんの生徒を落ちこぼして放置してきたベテラン教員の何人に、10点以下の生徒たちを救う指導技量があるのだろう?
 教科担当の先生がやるしかない。それには過度な部活指導が邪魔だ。Ⅰ学年60人以下の規模の学校では部活指導負担が大きすぎる。こんなに学力が低いのだから、部活は週に4回までに制限すべきだ。そうすれば1日は放課後補習に充当できる。成績不振の生徒の多くが生活習慣にも問題を抱えているから、簡単ではない。それに個別補習は生徒の観察がベースだから集団指導とはかなり趣が違う。そしてとっても手間がかかる。
  部活制限の問題が関わるので、PTAも協力しないと現状は変えられない。
  同じ学区内の小学校にも大きな問題があるから、そこにもメスを入れる必要がある。学力向上を目的にした小中連携が必要だ。
  小学校の算数や国語は教科担任制にしたほうがよさそうだ。そうすることで、担任の先生の空き時間も作れる。郡部校を市街化地域の学校に統合すれば簡単に余剰人員がつくれるのは全道のほとんどの地域に共通しているだろう。


#3532 統合後の根室高校普通科の学力低下を憂う Apr. 22, 2017 [データに基づく教育論議]

 四月に根室西高校と根室高校が統合された。根室高校普通科の生徒たちの学力はどうなっただろう?
 数学の習熟度別振り分けテスト結果から判断してみたい。

クラス別平均点
 Aクラス           72点
 B~Dクラス 41-43点

  問題の難易度はとても低い。合格書類と一緒に渡されたスタディサポートの数学の問題は30ぺージほどあったはずだが、それを一通りやっていたら80点以上取れる代物。一番最後の問題は、高さ24cm、底面の半径10cmの円錐の表面積を求める問題だった。問題集そのまま。


  Aクラスは「特進コース」であるが、それぞれの事情で特進コースを辞退した生徒数人いる。数学のクラス分けは、合宿研修時のテストと入試の点数から振り分けがなされ、次のようになった。

 ガンマ1       20人
 ガンマ2       15人
 ベータ1       40人
 ベータ2       35人
 アルファ1    25人
 アルファ2    20人
    合計       155人

  特進コースのA組がガンマクラス、BCD組はその下に位置づけられている。

 数年前までは普通科全体の平均点が70-75点であった。平均点から判断すると、A組が数年前の普通科全体の学力分布とほぼ同じと言えそうである。ベータ2以下は根室西高の学力レベルと判断して間違いがない。
 根室高校普通科は今年の新入生から数学の教科書を変更した。2年生と3年生は数研出版の教科書で、新1年生は東京書籍「数1 Standard」とその準拠問題集を使用している。教科書会社は学力レベル別に数種類の教科書とそれに対応する問題集を制作しており、今回採用された教科書はわかりやすく編集されている。準拠問題集の難易度レベルは格段に低下した。最初の因数分解の箇所だけチェックしたが、難易度の高い問題は全く載っていない。中3の生徒に「数1 シリウス」をやらせているが、問題の難易度が比較にならない。
 準拠問題集を数回繰り返しても、進研模試の問題のほとんど(80%)が解けないだろう。

 ベータ1クラスの生徒によれば、問題集をもう一冊購入することに決まったらしい。難易度が低すぎるので、学校ではもう少し難易度の高い問題集で補完するようだ。
 学力差が大きいので、同じ教科書や同じ問題集を使うのは無理だと弊ブログで何度も書いてきたが、高校問題検討委員会はそういう学力差を無視して統合後の高校の姿を決めてしまった。具体的なデータに基づかぬ議論は誤りを犯すと警告したが無駄だった。

 中学校の学力テストで、五科目500点満点で400点を超える生徒が市街化地域の3校で十年前には、それぞれ十数人いた。いま、各校では学年に一人のところが増えている。この数年間に学力トップ層が激減しているのである。学校の授業は高学力層にまるで対応できていない。授業のレベルは低いところに照準を合わせて、高学力層がスポイルされている。この状況は釧路も同じで、釧路湖陵高校の学力が低下している原因の一つと、釧路の学校教育行政が考えている。

 4月13日に中学校で学力テストが行われた。C中学校の数学の平均点は16点だが、前年4月の同じテストは19点だった。これは釧路市内の14中学校の最底辺校(19点)よりも低い。60点満点で31点以上は59人中5名のみ。普通に勉強していれば中3学力テストの数学は、学力が低くても30点以上とれるはず。4月13日実施の学力テストでC中は10点以下が59人中23人、20点以下は40人(67.8%)である。B中も61.8%が20点以下である。この学力層の生徒たちは昨年まで根室高校普通科で採用されていた問題集は消化できないし、授業内容も理解不能である。
 高学力層は60点満点で51点以上だが、C中学校では学年トップのみ、B中学校はゼロという情けない状況だ。60点満点の学力テストで30点以上の生徒の振り分けテストの平均点は80点を超えただろう。

-----------------------------------------------------
新高校1年生の生徒たちの中3の時の数学の平均点を、4月学力テスト・総合ABCの順に並べる。
 光洋中学校 23.9⇒19.2⇒18.4⇒17.6
 柏陵中学校 23.1⇒19.7⇒20.6⇒17.7
 啓雲中学校  19  ⇒  16 ⇒ 16 ⇒ 16

 どの中学校もこの数年間の学力低下が著しいが、釧路の14中学校の最低レベルかそれ以下というのが実態である。釧路の平均値ぐらいはクリアしてもらいたい。5年ほど前はそれくらいだったのだから。
-----------------------------------------------------


 同じ教科書でやるのは無理だから、普通科は2クラスか1クラスで十分で、2-3クラスは科を変えるべきだ。統合によって学力差が拡大してしまったので、普通科に準じた科を併設するしかないのである。
 このままでは、根室高校普通科が「学力崩壊」を起こす。教育行政と学校関係者は、根室の子供たちと町の未来のために、学力データに基づいたあるべき姿をもう一度議論すべきだ。

 地元の経済団体は教育問題にもっと発言したほうがいよ。あなたたちが経営する企業の未来に直接かかわる問題だから。

<余談>
 問題なのは数学よりも国語かもしれない。読書習慣のない生徒が増えている、読書習慣があってもアニメのノベライズもの程度の本にとどまっているものが多い。そういう子供たちが高校現代国語に載っている文章を理解すののは甚だしく困難である。語彙力が貧弱だから、耳で聞いても頭の中で漢字に変換できない。それができなければ、授業は外国語でなされているのと変わらない。数学も英語も世界史も理解科目も授業は日本語でなされている。普通科の1/4は日本語語彙力が著しく劣り、授業内容が理解できないだろう。C中学校社会担当のN先生がやっていたように、語彙解説をしながら授業をせざるを得なくなる。根室高校の先生たちの戸惑いは始まったばかりだ。
*#1475 お迎えテスト :〔人災〕全道14支庁管内最低の学力はこうして造られる Apr. 14, 2011 

#3519 数学の授業時間数を増やせ!:B中学校とC中学校2年生学力テストデータ比較 Mar.8, 2017 [データに基づく教育論議]

<更新情報>
3月8日午前11時15分 <結論>追記

<修理記録>3月10日午後
 内容:11月28日のC中のテストデータは学力テストではなくて2
学期期末テストです、B中はOKです。削除して数字を出しなおして、本文を書き改めます、少しお待ちください。(3/10午後4時半)
 
午後5時、表は修正済み
 午後5時10分、本文数値修正完了

 今回は#3517「授業進捗管理の陥穽」の続編である。B中とC中の1年間の学力テストデータを比較することで見えてくるものがある。たとえば、B中の学力向上策とその成果や「読み・書き・計算」という基礎学力三要素が学力の伸び代に大きく影響するということなど。
 整理したデータをご覧いただこう。


2016年度2年生学力テスト学年平均点の推移
C中2年
科目4月13日8月26日11月9日2月2日sumaverage
国語47.855.453.059.10 215.353.8
社会41.835.740.736.60 154.838.7
数学30.037.930.336.80 135.033.8
理科49.443.945.838.30 177.444.4
英語56.552.550.047.00 206.051.5
五科目計225.5225.4219.8217.80 888.5222.1
B中2年
科目4月13日8月26日11月9日2月2日sumaverage
国語58.2 62.769.90 190.863.6
社会36.4 51.447.30 135.145.0
数学34.8 43.151.30 129.243.1
理科46.5 42.636.90 126.042.0
英語49.1 46.444.90 140.446.8
五科目計225.0 0246.2250.30 721.5240.5
       

 
 B中とC中は国語の平均点に大きな開きがある「読み・書き」の基本三技能のうち2つがB中の生徒のほうが高いと見ていいのだろう。この2技能は数学の文章題の読解にも関係してくるから数学の点数にも年間平均値で見て4.9点9.3差が出ている。「読み・書き」能力が低ければ、「基礎計算」能力も低くなる傾向がると仮定してデータをみるとうなずける。
 B中の数学の点数が、回を追うごとにアップしている。これは年間105時間の割り当てに対して、15時間増やしたことが関係している。そして毎回授業のときに前回の復習を入れるという工夫の相乗効果と見てよい。何より授業時間数増量という「物量」が決定的に大事な要素だということ。1年間でこれだけ学力テストの平均点を上げる先生は珍しい。15年間データを見ているが数学でははじめてみた。4月の学力テストでは、C中が30点、B中が34.8点で差が4.8点だが、2月の学力テストではそれぞれ36.8点、51.3点、差が14.5へと大きく開いた。

 年度末テスト前に確率の章を半分しかやれなかったことはミスだが、点数アップの工夫と努力は評価すべきだ。B中の来年の課題は2月中に教科書を全部終了し、復習を入れることだろう。

 C中の数学の平均点の低迷は、この学年の生徒たちの「読み・書き・計算」能力が低いことや、工夫が足りなかったことが関係しているように見える。「読み・書き・計算」の基本技能に問題のある生徒が多い場合には、授業時間数を増やすというのは効果のある対策である。「特別活動」35時間、「総合学習」70時間から20時間ほど振り替えたら学力下位層の半数を救えるのではないか?
 2月学力テストデータでみると、C中は30点以下が50人中20人(40%)が30点以下である。B中は56人中9人(16.1%)のみ。高校なら30点以下は赤点、高校統廃合で根室高校1校になるから、そういう生徒が全員根室高校へ合格できる。根室高校の数学の授業レベル低下は避けようがない。12年前には1月21日から1年生は授業で数Ⅱを開始していたが、今年の1年生はまだ数Ⅰをやっている。すでにレベル低下は起きており、それがもう一段後退するということ。

 4月と2月の学力テストデータを比較することで、さらにはっきりするものがある。

 4月13日C中対B中比較
科目C中B中
国語47.858.210.4
社会41.836.4-5.4
数学30.034.84.8
理科49.446.5-2.9
英語56.549.1-7.4
五科目計225.5225.0 -0.5
2月2日C中対B中比較
科目C中B中
国語59.10 69.90 10.8
社会36.60 47.30 10.7
数学36.80 51.30 14.5
理科38.30 36.90 -1.4
英語47.00 44.90 -2.1
五科目計217.80 250.30 32.5
<年平均値比較>
科目C中B中
国語53.83 63.60 9.8
社会38.70 45.03 6.3
数学33.75 43.07 9.3
理科44.35 42.00 -2.4
英語51.50 46.80 -4.7
五科目計222.13 240.50 18.4


 
 4月の学力テストでは、B中のほうが平均点の高かったのは国語と数学だけだった。五科目合計点では差が1点未満だ。ところが2月の学力テストではB中のほうが高い科目が3科目に増えた。理科と英語はB中の追い上げがあり、差が縮まっている。数学の差が4.8点から14.5点に拡大した

 年間平均点比較では、国語の差が13.2 9.8点と大きい

 これらの結果から、「読み・書き・計算」の基礎技能の高い方が学力テストの平均点が高くなると共に、点数の伸び代が大きいことが言えそうだ。そして、数学の配当時間数を年間15時間増やすことは、数学の平均点アップに有効だということも言える。
 「読み・書き・計算」能力が低いというのは、国語指導の力量の差が反映していることのほかに、C中の同じ学区の小学校に問題があることを示唆している。根室市教育長は元花咲小学校長のようだから、このデータをみてマネジメント上の責任を感じるのではないか。校長の仕事には権限と責任が伴っている。今度は教育長としてこのデータを生かす政策を立案して実行に移してもらいたい。
 花咲小学校は道東では歴史が一番古い、わたしの母校でもある。当時は1学年6クラス360人、全校生徒数は約2000人。ここ数年新入生が30人前後のようだ。このような規模の学校では、校長は職員室に机を置いてマネジメントするのが当然だ。「校長室」は「応接室」に変えたらよい。

< 学力上位層の枯渇現象 >
 どちらの学校も五科目合計点で450点超の生徒は一人しかいない。400-450点の階層がゼロである。五科目合計点が400点というのは高学力層には入らない。高校で受ける進研模試で偏差値48相当である。
 どちらの中学校も学力上位層の枯渇現象が起きている

< 結論 >
 データを並べて論じて最後に気がついたが、B中学校は年度当初から学力向上戦略があったと考えられる。初任2年目の教科担当だけで数学の年間配当時間数を15時間も増やせるわけがないから、教頭や校長が一緒になって取り組んだのだろう。
 B中もC中も教頭は数学を教えていた先生、数学の学力向上に取り組むには好都合だ。来年これら2校がどのような学力向上戦略を立案しどれほどの成果を挙げるか注目したい。
 同じ学区の小学校に変化が現れるだろうか?「読み・書き・計算」能力が低いままだと、中学校の先生たちがたいへんだ。国語と算数の時間数増量を含めて具体的な取り組みを望む。


*#3617 授業進捗管理の陥穽 Mar. 4, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-04


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#3508 中学数学授業の進捗管理について Feb. 18, 2017 [データに基づく教育論議]

 中2の生徒に訊いてみた。
T:「第6章確率」に入ったか?
S:まだ「5章三角形と四角形」をやってます。確率は期末テストの範囲に入らないと説明がありました。

 C中学校である。B中学校の生徒にも同じ質問をしたが、まだ確率の章に入っていなかった。A中学校は不明である。

 最後の章である「第6章確率」は2月になって時間数が残り少なくなり、すっ飛ばしされるのが常態にみえる。4月になってからやった学校もあった。
 高校生になってから副作用が出る。高1の数Aで確率を学ぶが、ほとんどの生徒が苦手の分野である。中学校で時間数が足りなくなり、数時間でやったことにしてしまい、理解が浅くわけがわからぬまま通過してしまうからだろう。
 本来なら、2月中旬には教科書の全部の章をやり終わって、復習にはいっているはず。復習せずに新学期に突入したら、四月のお迎えテストの平均点がいいはずがない。

 できれば発展学習でパーミュテーション記号のnPrやコンビネーション記号のnCrを利用した計算法も説明して理解を深めてもらいたい。樹形図と記号による計算を並べて見せてあげたら、理解はずっと深いものになる。

 民間企業で仕事のスケジュールを、続けて2年間守れなければ、賞与の査定は下がるし、昇給にも差し障る。なにより客が離れていくので、そういう社員には叱責が飛ぶし、何度言ってもスケジュール管理ができなければクビにせざるをえない。会社の存続が危うくなるからである。
 学校というのは一般社会とはまったく違う基準と常識で動いているようだ。学校には教頭職と校長職の管理職がいるが、実情から推察すると授業の進捗管理はなかなか難しいようだ。民間企業人から見ると不思議だ。

 最近、授業参観があったようだが、あいかわらず保護者はほとんど来ていないそうだ。子どもが中学生のときに東京郊外の学校で授業参観したが1クラスに20人以上保護者がいた。入りきれなくて廊下から眺めている人もいた。根室は1クラス数人だけだそうだ。異常に見える根室の保護者たちの教育への関心の低さも、こういうルーズな授業進捗管理がはびこる遠因に挙げられる。学校の授業がどういう状態でもクレームを言う保護者はほとんどいない。もちろん塾の先生も。
 自分のふるさと、そして自分の子どもが通う学校をよくしようと思ったら、授業参観はすべきだし、参観のあとでなされる保護者会でも忌憚のない発言をした方がよい。

 授業があまりに騒がしいのでびっくりする保護者がすくなくない。学級崩壊状態を目撃して心配している保護者がいても、学校にはものを言わないケースが多い。揉め事は誰でも嫌なものだし、何か言うことで自分の子どもが不利益を受けることも嫌だ。世のため人のためと思っても、なかなか言いにくいというのが実情ではないだろうか。
 わたしもこのごろはあまりこうしたことを書かなくなっています。何度も何度も書いたので、あきれています。道教委は授業の進捗管理がルーズなことが学力を下げている実情を心配して全道の中学校へ通達を出したことがありますが、笛吹けど根室市教委は踊らず。やはり嫌なんですね、学校の先生たちへモノを言うのが。
 それぞれの人が、自分の仕事をきちんとやれば、子どもたちの学力は大きく上昇します。

 中3なら学力テスト平均点が120点以下(五科目300点満点)、中1と中2なら230点以下(五科目500点満点)の学年には学級崩壊状態があると判断しておおよそ当たっている。時々先生の説明が聞こえなくなるだけで、3年生なら平均点が20-30点下がり、1・2年生なら50点以上も下がる。
 釧路の14中学校で学力テスト総合B(10月実施)で五科目平均点が120点以下なのは鳥取西中学校の116.8点のみ。13位の共栄中学校は127点です。

 根室の市街化地域の3校は、
        総合A 総合B 総合C 模試1 模試2
 A中学校 127.6 130.2点
 B中学校 118.2 129.8 116.0
 C中学校 112   119  109  108  120点

 3校とも釧路の中学校の底辺レベルの平均点です。
 教育こそが町づくりの礎(いしずえ)、ふるさとの町をよくするには教育からではありませんか?

*学力テスト総合B 釧路の中学校の五科目平均点
http://www.kitamon.com/cpek/datas/1609a.shtml


〈 余談:英語授業の進捗管理 〉 2月20日夜10時10分追記
 中2の英語教科書の中の「Program 8」を飛ばした先生がいる。理由は新たな文法事項が出てこないからという。冬休みの宿題にして生徒の自主学習に任せて飛ばした。そして最後の章の「Program 12」はやるつもりがないようだ。もちろん年度末テスト範囲にも入っていない。p116~119まで「Extnsive Reading」があるが、これもやるつもりがない。
 その学校では1年生も「Program 10」までが学年末テスト範囲である。「program 11」はテストが終わってからやるつもりだろうか?
  「Program 8」を飛ばしたことを学校管理職が知らないのは現在の仕組み上仕方がないのでしょうが、学年末テストの範囲表はすでに生徒に配られているので、それを利用して授業の進捗チェックをするのが当たり前のはずですが、外側から見る限りなされていません。なぜやらないのでしょう?学校管理職と教科担当の先生たちが仲良く楽しくやるためですか?
 社会科のある先生のようにちゃんとしている教科もあることは書いておきます。

 2年前の11月に釧路で開かれた教育に関する全国シンポジウムの際に西日本から参加した先生たちと酒を飲みながら歓談する機会があった。何人かに聞いたが、1月末で教科書を全部終了して2月は1年間の既習事項の復習に充てるのがスタンダードだと言っていた。
 どうやら根室は、年度末テストの前までに教科書は全部やらずともかまわないと理解している先生が多いようだ。教頭も校長もチェックしている気配がない。だから毎年同じことが繰り返される。
 考え違いをしているのは担当教員だけではなく、学校管理職もそういう人が多いのだろうか?
 根室スタンダードは日本のスタンダードとかけ離れている、学力向上のためにはこういうところから改める必要がある。


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<進捗状況> 2/26追記
 そのごだいぶ急いだようで、数学は教科書を終了する学年が増えました。英語はプログラム8をはしょった学年がありました。一部の学校学年を除いて、付録のリーダーはやっていません。ちゃんとやるべきです。それでなくても教科書の分量が少なく長文読解問題が苦手の生徒が多いのですから。


#3495 根室高校出願状況 Jan. 27, 2017 [データに基づく教育論議]

 道教委から道立高校の出願状況が公表になった。

 根室高校
         出願数  定員
  普通科    161 (160)
  商業科     35    (40)
  事務情報科 25    (40)
       合計   221  (240)

 普通科が1名定員オーバーなだけ、商業化は5名、事務情報科は15名の定員割れ。
  札幌の私立高校受験者が根室高校も滑り止めに出願するから、実際には普通科も数名定員割れすることになる。

 まったく勉強をする気のない生徒も根室高校へ入学できることになる。そういう生徒は授業を聴く気もないから、授業中の私語が私語が増えて、授業崩壊の頻度を大きくする。まじめに勉強をするつもりで高校進学する生徒たちにとっては迷惑である。
 たびたび弊ブログで述べてきたが、五科目合計点で3割・90点以下は不合格とすべきとわたしは思う。この点数に満たなくてなお高校に入学したい生徒は1年間自宅で勉強してから再受験させるべきだ。
 
*道教委 根室管内出願状況
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/kki/h29tousyonemuro.pdf

<余談>
 昨日中3の生徒が一人来た。学年末テストの数学の点数が3年間で最高点、五科目合計点も最高点だったと大喜びしていた。
 サッカー部に入っていて、文武両道はそっちのけ、昨年10月ころにフットサルの練習があるので、週に1日だけ来たいというので、統合される根室高校はほぼ全入になるので実質無試験、文武両道ができないなら、来なくてよいと言い渡した。勉強で困ったときには助けてやるから、そのときに来いと伝えてあった。11月半ばに「数学がやばい」と駆け込んできた。前とは違って一生懸命に勉強するようになっていた。
 この出願状況を見たら、せっかく勉強に熱が入り始めたのにさめてしまいそうだ。(苦笑)


*#3460 根室高校入試倍率はどうなる? Nov. 19,2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-11-19-1




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#3492 基礎計算トレーニング開始:C中学校 Jan. 18, 2017 [データに基づく教育論議]

 C中学校の理科と数学の先生が相談して、基礎計算トレーニング補習を始めた。
  理科の計算問題には、小数や分数が混じる計算が多いが、分数計算や小数の乗除算の位取りが怪しい生徒が少なくない。基礎計算力が脆弱では理科の計算問題をいくら教えてもできるはずがない。分数や小数の基礎計算力がアップできれば理科の計算問題の正解が増える。
 10問中、8問正解できれば合格だそうだ。
 授業前の朝やっているのか放課後やっているのか確認していないが、生徒が教えあえるし、たった10問だから短時間でできる、いい取り組みだと思う。

 そこで、わたしも2題問題をつくり、その日に来た7人の中学生にやらせてみた。
 作成した2題の問題は分数の乗除算と小数乗除算の位取りを理解していれば小6年生でも正解できる簡単なもの、それでも市街化地域の中学校でこの2題の問題で両方正解できるのは2~3割程度だろう。それほどお寒い数学の学力の現実がある。放置しておいたら、根室高校ではこういう基礎計算はいままで教えたことがないので、赤点でもお目こぼしで高校を「形式卒業」させることになる。自分の担当する科目で、生徒が落第あるいは退学するのは大きな心の負担になるから、進級・卒業させてしまうのが常だ。
 しかし、こんな簡単な計算もできないまま高校を卒業してどういう社会人になるのだろう?高校を卒業した時点で就職がおぼつかないから、専門学校へ「進学」することになる。企業では専門学校の成績証明はあてにならないので、高校の成績証明書提出を義務付けているところが増えている。
 職業選択の幅が極端に狭く、きつい人生がまっていることはまちがいない。

 ①1/2÷0.3-0.3÷1/2
 ②2÷0.1-0.3×0.2

 ①は小数を分数に直してから計算すればよいだけ。割り算は除数を逆数にすれば掛け算になる。②は小数位取りの問題だ。2を0.1で割ると、10倍になる。0.3と0.2を掛けると0.06になるが、この計算で躓く生徒が多い。20-0.06も、苦手な生徒が多い。ゼロがいくつも入ると引き算をミスする者が多くなる。小学校2年生の範囲の計算があやしい。[100-15]はできても、[1000-15]やさらにゼロを増やして[10000-15]になると計算を間違える生徒が増える。小学校での計算トレーニングが十分でないからだ。
 3桁×3桁の乗算を加えてもらいたい。小学校でやっていないので、できない生徒が3割くらいいるかもしれない。桁数が増えてもやり方は同じなのだが、違うものに見えてできない生徒がいる。桁数が増えることで計算が複雑になり正解できない者も増える。やったことがなければ、不器用な生徒は案外できない。

 7人の中学生にやらせて、できなかったのは一人だけ、あとの6人は2題とも正解。
 ミスしたのは中3の生徒だが、学力テストの数学の得点は30点前後だから、平均の16点よりはずっとよい。ミスはしたが、すぐにやり方を習得したから、問題なしだ。
 7人中、数学の成績が現在5あるいは5だったことのある者が4人いる。基礎計算力に瑕(きず)があれば5は取れない。
 

 平均点の2倍近くの得点の生徒ですら2題正解はきついのが実情。だから、学校でこの問題を生徒全員にやらせたら、2題正解できるのはC中学校では2割程度だろう。
 7割の生徒が、分数と少数の混合算が不得意だが、何度か計算練習を繰り返せば、7割の生徒はマスターできる。7割の内の7割だから、およそ全体の半分が何度か補習を繰り返すことで、基礎計算力をアップできる。
 願わくば10問全部が正解できるまでやらせてもらいたい。簡単な基礎計算だから、10問全問正解で当たり前。市街化地域の3中学校全部がこういう取り組みをやったら、根室高校の授業のレベル低下を防ぐ効果があるだろう。

  高校数学には分数計算が頻出する。確率、ベクトル、数列、積分など、分数計算を素早く精確にやらなければいけない。高校数学では基礎計算力が問われる。


 C中学校の学力テスト総合Cの数学の得点階層別度数分布表が#3485に載っている。60点満点のテストで、52人中33人が20点以下である。簡単な文章題と計算問題で35点ほどあるから、6割の生徒が基礎計算能力に問題を抱えているとみなしてよい。


*#3485 数学の学力別クラス編成は機能しているか? Dec. 20, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19

 #3484 学校別学力テストデータ比較分析 Dec. 19, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-18

 #3483 学力テスト教科別分析 Dec. 18, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17-1

 #3482 問題消化スピードの差の現実 Dec. 17, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17

 #3477 負の相乗効果と学習権の侵害 Dec.9, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

 #3476 学力崩壊危惧ラインは学力テスト平均点でどの辺りか?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06


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#3487 宿題と仕事の責任 Dec. 22, 2016 [データに基づく教育論議]

1. < 宿題と仕事の責任 >
2. < 根室の中学生の数学の学力 >
3. < 変わった教え方 >

  < 余談-1:配慮の足りない教え方の事例 >
   < 余談-2:投稿欄から紹介 >
  < 余談-3:本の紹介>
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 雪が降っています。真夜中0時で積雪16cmです。北風に乗って雪が流れています。気温は-0.2度、北東の風10.4m/sです。明日午後7時まで吹雪くようですから、積雪量は40cmくらいかもしれません。湿って重い雪です。

1. < 宿題と仕事の責任 >
 根室市内の中学校と高校は21日が終業式で、今日から冬休みに入りました。
 数学の宿題プリントが中高ともに渡されています。高校生は量が少ない、自分で自主的にやるのが当たり前だから、当然です。
 中学生はそこそこ量がありました。宿題を出さないと勉強しないと思っているようですね。そういう生徒が多いことは事実です。宿題がないと、スマホでユーチューブの音楽を聴いたり、ゲームをしたり、ラインをやったり、ツィッターでつぶやいたり、デジタル作画ソフトでお絵かきしたりといくらでも時間がつぶせます。そうはさせじと宿題を出すのでしょう。
 でも、いつまでも宿題を出すと、いつまでたっても自らやるようにはなりません。子どもから大人への成長は、宿題を出されなくても自ら計画を立てて勉強できるようになることも含まれていませんか?そういう機会がほとんどの中学生にないとしたら、深刻な問題ですね。スマホの普及で大人にならないまま、高校を卒業する若者が激増しています。中高の時代にやらなければならないことをすっ飛ばして、スマホに振り回される中高生が増えているのです。

 ある中学校の3年生の数学の宿題を見ました。プリントはA問題とB問題に分かれており、A問題プリントには解答がついていましたがB問題には解答がついていませんでした。
 6割を超える生徒が60点満点の学力テストで20点以下ですから、B問題が文章題だったら、独力で半分やれる生徒は10%を切ります。
 わたしはこういう宿題の出し方が理解できません。生徒の6割が1/3しか正答できなければ、休みを返上して教えるのが仕事の責任と考えるからです。
 おおよそ1/3は分数や少数の四則演算ができないことはテストの採点からわかっているはずですが、どうして冬休みを利用して教えてやらないのでしょう?
 生徒は冬休みでも、教員は休みではなく、毎日出勤しているはずですから、手間を惜しまなければいくらでも冬休みの間の補習は可能です。

 3年生の担任をしている先生は、5教科の教材を作って冬季補習を生徒に宣言しています。EXCELで作成した社会科のプリントがなかなか優れものでした。冬休み明けの学力アップに寄与するでしょう。3年生は学年末試験と模試が冬休み明けに立て続けにあります。
 2年生の理科の先生は、理科の計算問題ができない生徒たちに「算数クリニック」を予定しているようです。それが冬休みに実施されるのか、冬休みが終わってから実施されるのかは知りませんが、意欲的ですね。仕事に対する責任感と情熱がひしひしと伝わってきます。
 小数の分数計算トレーニングをやらなければ、理科の計算問題を授業で教えても、生徒たちの大半がそれを理解できないし、立式ができても、6割の生徒が計算できないか計算でまごつく姿を見たからでしょう。
 こういう現実を踏まえた対応は生徒も保護者も地域住民の皆さんも地元企業の経営者たちも歓迎するでしょう。根室の未来は子どもたちの教育にかかっています。

2. < 根室の中学生の数学の学力 >
 釧路市と釧路町の14中学校の学力テスト総合Bの科目別平均点一覧表が公表されています。14校で数学の点数が一番低かったのは、鳥取西中と景雲中でした。平均点は19.7点です。あとは20点以上です。URLを書いておくのでクリックしてご覧ください。
 わが町の中学校の学力テスト総合Bの数学の平均点は、啓雲中が16点、柏陵中が20.6点でした。光洋中学校の平均点は知りません。根室は釧路市の中学校の最底辺と同じレベルで、じつに厳しい結果です。有効な手立てを講じて、自分が教えている生徒たちの学力をアップして、平均点を上げましょう。
 
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  釧路市と釧路町の中学校14校の学力テスト総合Bの集計が出ています。平均点が20点以下の学校は鳥取西中学校と景雲中学校の2校(19.7点)のみです。あとの12校は20点を超えています。数学に関しては根室市内の3中学校は釧路の最底辺の学校並(B中)かそれよりもさらに低いことがわかります。学力テストの平均点は数学を担当している先生たちの勤務評定とも言われています。
(12/21 追記)
*釧路教育活性化会議
http://www.kitamon.com/cpek/datas/1610b.shtml
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3. < 変わった教え方 >
 数学の素因数分解の指導の仕方で、変わったやり方で指導している例があります。108の素因数分解で説明してみます。
              3
        
×
 108⇒6⇒2
      ×   
    18⇒2
             ×
       9⇒3
         × 
          3

  108=3×2×2×3×3=2^2×3^3

 元の数字を2項の積に分解します、次々に2項の積に分解していくと最後は素数の積になります。「さくらんぼ方式」と称しています。
  二つに分解するところがひとつの枝から分かれて二つ並んださくらんぼに似ているのでそういう名前がついたのでしょう。どなたの作かわかりませんが、面白いやりかたであることは認めます。
 たぶんこんな教え方(変法)をするのは、中高時代に数学が苦手だった人でしょう。こういう指導をする先生は他にも基本を外した指導を無意識にしています。これはいくつか気になったもののひとつ*(<余談-1>で取り上げます)です。

 「普通の教え方」を紹介します。

  2)108
    2) 54
    3) 27
    3) 9
        3

  108=2^2×3^3

 素数の小さいもので順に割っていくのが普通のやり方です。2、3、5、7、11、13、17、・・・、と素数を小さい順から割り算の除数に使っていきます。割り算を機械的に繰り返すことで、素因数が小さい順にちゃんと並びます。このように方法にはそれなりに意味があります。整理整頓されていて気持ちがいいでしょ?
 二つ方法があったら、シンプルで美しい方が断然いいのです。これが数学の価値観です。さまざまな問題を解くことや指導を通して、そういう(シンプルで美しいものが善い)ことを学ぶのが数学という学問です。

 生徒が「さくらんぼ方式」という変法に慣れてしまえば、治すのがたいへんです。癖がついてしまって標準方式が覚えられない生徒が続出します。並びも小汚いし美しくありません。
 中学校では基本に忠実に教えるべきです。そして繰り返しやらせて、基本技をしっかり身につけるべきです。そうすると高校数学に自然につながります。

 高校数学でも素因数分解は出てきますが、もちろん高校の先生は「さくらんぼ方式」で板書はしません。中高の数学指導の継続性ということを考慮に入れて仕事しましょう



< 余談-1:配慮の足りない教え方の事例 >
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*たとえば、この先生は乗法公式の1番目

[(a+b)^2=a^2+2ab+b^2]

を「2乗、2倍、2乗」と教えていますが、生徒たちが混乱を起こすもとになっています。生徒たちは第1項を2倍してしまいます。「(x+2)^2」という問題のときに真ん中の項を「2x」としてしまう生徒が続出します。ただ「2倍」では何を2倍するのかあいまいです。ですが、展開式の真ん中の項(第2項)は第1項の2倍と理解してもこの式なら整合性があります。だから、そういう誤解を防ぐために、わたしは真ん中の項を「中身を掛けて2倍」と教えています。
 あいまいな教え方をすると、生徒の64%が学力テストで20点以下ですから、少なからぬ生徒が誤解してしまいます。こういうことが学年全体の平均点を下げる原因のひとつになります。学校というシステムのまずいところは、こういう教え方をしていてもチェックがなされないということ。学校管理職はノータッチ。市教委には指導主事がいますが、こういうことにはまったく機能していません。無理なんでしょうね。ここには授業の品質管理は誰がするのかという根本的な問題があります
 話を元に戻しますが、なぜ「中身を掛けて2倍」なのかも、数字をいくつか入れ替えて解説しておけば、意味と一緒に憶えてくれます。こういう大事なところを手抜きしてはいけません。何が大事(エッセンシャル)で何がどうでもよい(トリビアルな)ことなのか見分けがつかないのだと思います。教員には担当教科に関わる専門知識と幅の広い教養が必要です。現役の間は研鑽を積みましょう。
 去年よりは今年、今年よりは来年、教える側も少しずつ成長すればいいのですから、それがプロフェッショナルだとわたしは思います。
(生徒に影響が出ているので精進の速度をもっとアップすべきです。管理職に「報連相」してみるのもいいかもしれません。ここまでブログで書かなければならないのは、学校管理職のマネジメントにも小さくはない問題があるからです。そんなにむずかしいですか?目配りがたりません。)
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 さて、明日は雪掻きに精を出します。雪はやまないようですが、午前中に1回、午後またやります。
 中高生の皆さん、親に言われなくても、雪掻きを手伝いましょう。
 (積雪は24cmでした、ebisuはゆっくり2時間かけて除雪しました)
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*#3485 数学の学力別クラス編成は機能しているか? Dec. 20, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19

 #3480 宿題:「隠れたカリキュラム」  Dec. 15, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14

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  < 余談-2:投稿欄から紹介 >
 ハンドルネーム amandaさんは女子大数学科を卒業した方です。大学へ入学してから数学は苦手でしたと言ってますが、数学科の履修単位には数学の諸分野がひろく含まれています。「数学の教養」という点で、ebisuは敬意を表したいと思います。なお、引用は抜粋です。
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素因数分解=自然数を素数の積の形にあらわすこと
(2以上の自然数はすべて素数の積で表せる)
なので、一番小さい素数(一番簡単な2)から割り算を試していくのは自然な流れだと思っていましたが、その部分すっぽり抜けてたのかな?

by amanda (2016-12-23 15:42) 
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< 余談-3:本の紹介>
 人間の知的活動の土台は国語と数学です。この本を読めば素数(数論)に興味がわきます。受験数学なんて実に狭い世界なんです。そこから広い数学の世界へ羽ばたくために中高生に読んでもらいたい本です。この本が数字に秘められた神秘の世界へ通じる扉の役割を果たしてくれるでしょう。
 数論の専門書を読むのはたいへんです。高校数学が得意ぐらいではとても歯が立たない分野です。この辺りから数学のセンスが必要になります。
 『フェルマーの最終定理』も数論の面白い本ですが、こちらは門外漢でも楽しめます。
  フェルマーの最終定理とは、3以上の自然数について、次の方程式の解が存在しないというものです。

   x^n+y^n=z^n

 シンプル極まりない方程式でしょう。
  「n=2」のときは三平方の定理でおなじみです。「5^2=3^2+4^2」、「13^2=5^2+12^2」がすぐに思い浮かぶでしょう。ところが「n=3」になったとたんに見つからなくなります。見つからないのは「n=3」だけなのか、nが特別な数の場合に解のあるケースがひとつくらいあるのではないか。

  この単純な方程式に解があるのかないのかということを証明するのに360年かかっています。栄誉を手にしたのはアンドリュー・ワイルズという数学者です。
 この本を読んだ塾生はいままで一人だけ。中学生のときに学力テストで英語と数学の両方同時に満点の生徒でした。高校1年生の11月に日商簿記2級(全商簿記1級相当)に合格しています(簿記は特殊数学です)。できのよい生徒でした。去年大学を卒業したはずです。

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 藤原 正彦・小川洋子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/04/06
  • メディア: 新書


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