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#3503 融けて固まった核燃料瓦礫撤去はできるか? Feb. 10, 2016 [原子力発電]

 昨日のニュースによれば、福島第一原発2号基の融けて固まった核燃料デブリの撮影ができたが、ロボットは650Sv/hの強烈な放射線で停止。2号ロボットも画面が暗くなって撮影続行不能になった。
 東京電力はメルトダウンを起こしたデブリを撮影するだけで6年を費やした。既成の機器がないため配管を伝ってデブリに近づくロボット開発に時間がかかったからだ。
 最終目標は原子炉の鉄やコンクリートと溶けて固まった核燃料デブリを取り出すことである。そのためにはデブリのところまで通路を開かなくてはならない。650Sv/hの強い放射線下では電子機器が壊れるから、30年たっても必要な機器を開発できるかどうかすらおぼつかない。
 融けて固まったデブリを切り取り小さくして持ち出す重機の開発も必要になる。650Sv/hの放射線を放つ核燃料デブリ周辺は人間が立ち入ることができない。
 結局、数百年間は融けて固まった核燃料デブリの撤去作業できないことになりそう。監視と保守点検には一日6000~9000人の要員が必要になる。チェルノブイリでは3000人が壊れた1基の原子炉の保守管理に当たっているが、福島第一原発は3基の原子炉がメルトダウンを起こした

 仮に、300年間取り出し作業ができずに保守管理するとしたら、どれだけの費用がかかるのだろう?人件費を計算してみる。

 30,000円/人 × 6000人 × 365日 × 300年 
  = 1.971×10^13

 19.7兆円である。

 人件費だけでこれだけ。実際の作業には人件費の5割程度の物件費がかかるとすると、29.5兆円である。地下水の浸入を防ぐために凍土壁をつくったが、年間の電気代はどれほどかかるのだろう。ほとんど効果のないことも明らかになり始めた。より深いところから海へ流れ出るだけ。
 これらに撤去費用+保管に適当な形態に加工する費用が数兆円かかる。そして撤去した後どこかで保管しなければならない。プルトニウムの半減期は2.3万年だから、11.5万年安全に保管すれば放射能は1/32に減らせる。
 日本列島は火山列島でもある。なぜ火山列島なのかというと、日本列島周辺で二つの大陸プレートと二つの海洋プレート合計4つのプレート(ユーラシア、北米、フィリピン海、太平洋、)がぶつかり合っているからだ。こんな地形的特長を有するのは地球上で日本列島のみだだから地震も火山噴火も多い。11.5万年間安全に保管できる場所などないということは火山学者でなくてもわかる理屈だ。

 すでにできてしまっている使用済み核燃料を一箇所に集めて保管するのに毎日1000人の人間が必要だとしよう。11.5万年でどれほどの費用がかかるのか大雑把な試算をしてみる

 30,000円/人 × 1000人 × 365日 × 115000年 × 1.5
 = 1.889×10^15

 なんと1889兆円である。

 国内50基が産み出した使用済み核燃料の11.5万年間の保管費用が1900兆円とすれば、保管費用の引き当て計上を原発の稼動期間に割り振ってしなければならない。稼動期間を40年とすると1年間に引き当て計上すべき金額は

 1900兆円 ÷ 40年 = 47.5兆円

 計算してみるのもばかばかしいほど巨額のコストがかかる。原子力発電は民間事業として採算に合うはずがないのである。原発1基あたり年間1兆円の再処理済み核燃料保管コスト引当金計上が必要になる

 使用済み核燃料はそのまま保管できるわけではなく、保管するための濃縮再処理に莫大なコストがかかる。ウラン鉱石を掘り出し核燃料に加工するまでにかかる費用の10倍以上が再処理コストの現実である。
 原発災害で地域住民への補償費用が数兆円かかるとも言われ始めた。お金で補償できても元には戻せない。山林の除染は膨大なコストがかかるので東京電力はやるつもりすらないから、年寄りはふるさとに戻れても、放射能に感受性の高い孫たちは戻れない。年寄りだけの町や村は30年をかけて消滅していく。

 原子炉一基がメルトダウンを起こすと、百兆円を超える事故処理費用がかかり、そして核燃料デブリ撤去は数百年間不可能であることが次第に明らかになり始めている

 仮に1機の原発事故処理費用に100兆円かかるとしたら、耐用年数40年の稼動期間の間に毎年事故対策引当金を積み立てなければならない。年間2.5兆円である。東京電力の年間売上げは6兆円。

 事故処理コストを引き当て計上しただけで、国内の電力会社は全部債務超過になる。だから東京電力はいまだに事故処理費用の総額がわからないと主張して、引当計上を先延ばししている。一部でも確定すれば、その金額で残りの原発について引当計上義務が生じ、原子力発電がとんでもない高コストであることが白日の下に曝(さら)される。

 一般企業は企業会計原則や会社法に準拠して会計処理をしなければならない。上場企業はさらに証券取引法にも準拠しなければならない。ところが電力事業は「電気事業会計規則」というのがあって、それに準拠すればいいことになっている。福島第一原発事故以降これを政府は次々に改変している。原発事故処理費用を電力料金に上乗せできるように変えた。これで東京電力は事故費用がどれほど巨額になっても電気料金を値上げすればよく、負担しなくて済む。
 こんなことをやっているから、経営者にモラルハザードが起きる。日本人が数百年間培ってきた商道徳、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」は東京電力の経営者の頭の中にはない。

 言いたいことは、原子力発電は途方もなく高コストだということ、そして11.5万年の保管管理が必要だから、民間事業としても国家事業としても成り立たないものだということ。それでも維持を図る姿は、経営者のモラルハザードそのものだ。原発事業は日本の伝統的な商道徳と真っ向から対立する。
 11.5万年の歴史を誇る国家は存在しないのだから、政府が保証できるわけがない

 小学生でも理解できる単純な理屈が、利害が絡むとわからなくなるという人間の愚かしさにあきれるばかり。


*#3501 ドイツと日本:発電政策の違い Feb. 8, 2017  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08

*#3499 ドイツと日本:生産性比較 Feb. 6, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-06


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#3501 ドイツと日本:発電政策の違い Feb. 8, 2017 [原子力発電]

 原子力発電はコストが安い、再生可能エネルギーは発電コストが高い

 NHKラジオ朝6時43分ころから10分ほどの番組を時々聞いている。昨日(2/7)は「再生可能エネルギーは高いのか?ドイツの政策を検証する」と題して、京都大学大学院経済学研究科教授諸富徹が解説していた。
 要点は三つ。
①再生可能エネルギーは天候に左右される
②再生可能エネルギーは発電コストが高い
③産業経済にとってマイナス

 再生可能エネルギーへの批判はおおよそこの三つに代表される。ところが、この批判はドイツの現状を客観的データで見る限り正しくないと諸富は主張する。
 2015年は30%が再生可能エネルギーで、電力消費量で見ると32.5%を占めている。ドイツで発電に利用されている再生可能エネルギーは太陽光、風力、水力の三つである。ドイツは福島第一原発事故をみて原発廃止を決めて再生可能エネルギーへの切り替えを決め、その後その方針を貫いて比率を増大しつつあるが、3基の原発が同時にメルトダウン事故を起こした日本は6年たっても5-6%が再生可能エネルギーに過ぎない。
 このペースでいくと、ドイツは2025年には40-45%、2035年には55-60%が再生可能エネルギーになる。

 ドイツはフランスから電力を輸入しているからそういう切り替えが可能だという批判があるが、2014年の実績では、
 ドイツからフランスへの電力輸出 13.27テラワット
 フランスからドイツへの電力輸入  3.84テラワット
   差し引き              9.43テラワット

 ドイツの方が10テラワット弱の輸出超過になっている。フランスでは原発部品に不具合が見つかり、1/3が停止している。原発は不安定でリスクが大きいのである。 
 なぜドイツがこれほど電力を輸出できるのか?ドイツは再生可能エネルギーを増やしているので、電力供給の総量が増えているからである。
 ドイツの電力需要は企業が稼動している昼間にピークが来るが、それは太陽光発電がピークになるときでもある。地域によっては風の強いところがあるから、そこは風力発電、雪解け水で水力発電と三種類の発電で全体に安定している。地域間で電力の融通ができるネットワークが強化されているので、問題が生じていない。

 発電コストの問題があるが、電力需要の大きい企業には再生エネルギーに関わる賦課金を免除している。企業を国内にとどまらせることで雇用を維持するためである。家計で賦課金を負担しているが市民は受け入れている。再生可能エネルギーコストのピークは2023年で、それ以降は低下していく。
  再生可能エネルギー全体と石炭・ガス・原子力発電コストを比較するとすでに生成可能エネルギーコストの方が安い。一番高い太陽光は1980年代の登場してから、年率20%弱で低下を続けている。2015年の太陽光発電コストは5-8セント/(kw/h)、っこれが2025年には4-6セントに低下する予定だ。化石燃料と原発のコストが5-10セントだから、太陽光もこれらの発電コストを下回ることになる。産業経済への影響も大きい。

 ドイツのフランホーファ研究所の試算によると、2040年までの40年間のコストでは、原発や化石燃料に依存するよりも300億€も下回るという結果が出ている。その影響で2030年にはGDPが3.1%高くなる
 以上が諸富教授の主張である。


〈余談〉
 日本の原発発電コストには巨額の事故処理費用や事故処理に備える引当金、使用済み核燃料の廃棄コストが算入されていない。これらを入れると、原発の発電コストは数倍になるだろう。
 日本では原発事故処理コストが「賦課金」として国民負担となっている。それだけではない、事故に備える原発事故災害処理引当金計上がいまだになされていない。これを適正に計上すれば、年間数兆円になり、原発コストが数倍に膨らみ、電力各社は債務超過になる。適正な会計処理がなされていない。


*#3499 ドイツと日本:生産性比較 Feb. 6, 2017 
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#3430 検証:東京電力が原発事故の廃炉費用計上で債務超過になる  Oct. 7, 2016 [原子力発電]

 ついに最低気温が10度を切った。昨日(10/7)の最低気温は8.9度、今朝4時に7.0度を記録した。
 このごろわたしは若い人たちに向けてブログを書くことが多くなった、今回もそうである。あなたたちの未来に大きく関わることだから、読んで考えて欲しい。

 10月5日に廃炉費用の一括計上で債務超過になるので、電気事業会計規則を変更して欲しいと、東京電力広瀬社長から政府に要請があった。
 債務超過になるならなればいい、そして経営者が責任を取ればいいだけのことだろう。一民間企業が債務超過の恐れがあるからと、会計規則を変えた例はリーマンショックの銀行救済策としてあった。損失の繰り延べを5年から7年に延長したのである。その7年間に銀行は膨大な利益を上げながら、法人税を一円も払わず繰り延べされた損失を税金で償却している。
 こういうでたらめをやるからまた付け込まれるのである。食品に含まれる放射生物質の放射能を放射性廃棄物としての管理基準の100ベクレル/kg以下としたのもそういうでたらめの好例であった。
 こういうでたらめを次々にやっていたら日本という国は芯から腐ってしまう。

 事実がどうなっているのか、公表資料である東京電力の決算書で確認してみたい。「平成27年度貸借対照表」では、自己資本額は1.8兆円ある。一括計上しなければならない廃炉費用は8兆円とされているから、一括計上すれば6.2兆円の債務超過となる。

 債務超過になったらどうなるのだろう。株価はゼロ、現行の株を100%減資してから8兆円の増資を行わなければならない。原発再稼動を目指す経営方針を掲げたら、リスクが大きすぎて応募する投資家はいない。増資新株の引き受け手がいなければ清算手続きに入る。その前に会社更生法の適用になるのだろう。管財人が指名されて再建案を作ることになる。役員も部長職も解雇されるだろう。当たり前の話である。
 東電の大株主は銀行である、東電が債務超過になり経営破綻すれば減資するから銀行保有の東電株はゼロになり損失が発生する。普通の民間会社の破綻処理は株主も責任を取ることになる、そんなことは当たり前のことだ。

 3基の原発がメルトダウンを起こすという史上最大の原発事故を起こしながら、誰も責任を取っておらずぬくぬくと席を暖め続けている。東電は事故処理費用を電力料金に載せて、料金値上によって事故処理費用をカバーして、27年度も巨額の黒字を計上している。

 直近の平成27年度決算書で何がどうなっているのか確認してみたい。( )内は平成26年度のデータを示す。

  売上高 6.0兆円
  営業利益 3722億円 (3165億円)
  経常利益 3293億円 (2080億円)
 <特別利益>
  原子力損害賠償・廃炉等支援機構資金交付金 
         6997億円 (8685億円)

  純資産 1兆8005億円 (1兆6579億円)

 <固定負債>
  社債      3.4兆円 (2.9兆円)
  長期借入金 2.5兆円 (1.8兆円)
  原子力損害賠償引当金 1.06兆円 (8378兆円)

*東京電力平成27年度決算書
http://www.google.co.jp/url?url=http://www.tepco.co.jp/press/release/2016/1280244_8626.html&rct=j&frm=1&q=&esrc=s&sa=U&ved=0ahUKEwj35L2X0cfPAhUGGJQKHYv7D5sQFggUMAA&usg=AFQjCNHxU6L8H2fSpLc1aQ1QTdXbIxCBgg

 決算書から、東京電力が経営破綻して困るのは長期貸付をして、社債や株を保有している大手銀行である。
 国から平成26年度は8378億円、27年度は1兆600億円の交付金を受け取って、さらに料金値上げで原発事故関連費用をカバーしながら、それぞれ2080億円、3293億円もの利益を上げている。

 原発事故の後処理費用は料金値上げで消費者にかぶせ、そのうえ国からは二年間だけで1.9兆円もの交付金を得ているのである。そして役員は一人も原発事故の責任を取らない。もちろん、銀行も貸手責任を負わないし、株主も出資責任を負わない。役員・銀行・株主が三者とも責任をとらない、重大なモラルハザードが起きている。

 東京電力は破綻すべきだ。役員も銀行も株主もそれぞれの責任を取ればよい。一民間企業の債務超過を救うために会計規則を絶対に曲げてはいけない。


< 余談:原発コストに関わる会計処理は適切か? >
 原子力損害賠償引当金の残高が1.06兆円しかない。固定負債を調べても「廃炉引当金」が存在しない、だから原発重大事故があると一括計上しなければならなくなるのである。それが8兆円といわれている。膨らむことはあっても、この金額ですむことはないだろう。使用済み核燃料も再処理して使用すると、元のウランを輸入して燃料にするときの数十倍のコストに膨れ上がる。再処理費用が莫大なのである。中間貯蔵施設での使用済み核燃料保管費用も引当金がないし、最終処分場での保管コストについても引当金がない。かならずかかる費用だから、核燃料の使用期間に按分して引き当て計上すべきだ。
 こうした必要不可欠な引当金や積立金を考慮に入れたら、原発のKW/h当たりの発電コストは十倍以上に膨れ上がるだろう。会計規則どおりにやっているのだとしたら、実情にまったく合わない電気事業会計規則を原発事故を前提に見直す必要がある。政府は絶対にやらない、理由は簡単、原発の発電コストが他の方式に比べて圧倒的に高いことが明らかになるからだ。
 なぜこんなに原発を稼動させたがるのか?


*#3428 東電広瀬社長発言:廃炉費用計上で債務超過になる Oct. 5, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05


*
諸悪の根源:食品放射能基準値100ベクレル/kg
http://www.sting-wl.com/yagasakikatsuma10.html

「矢ケ崎克馬教授が話されたドイツ放射線防護協会は科学者の団体ですが、その勧告…セシウム137なら大人は8ベクレル、子供は4ベクレル…は世界的に見ても非常に厳しい基準です。この基準…私の知る限り世界一厳しいんじゃないでしょうか。」


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#3428 東電広瀬社長発言:廃炉費用計上で債務超過になる Oct. 5, 2016 [原子力発電]

 東京電力社長の広瀬氏が、廃炉費用を一括計上したら債務超過になるので、電気事業会計規則を変更要請を政府に要請しました。東電が債務超過になるから会計規則を変更しようという発想自体がおかしい。
 放射性廃棄物の基準だった100ベクレル/kgを福島第一原発事故後に食品に含まれる放射能の強さの基準値にしました。放射性廃棄物を取り扱うには、国家資格である放射線取扱主任者の資格が必要です。原発事故があったからといって、食品の含まれる放射能の上限が、放射性廃棄物の基準値と同じになっていいはずがありません、会計規則の変更はこれと同じゴマカシです。
 10~100ベクレル/kgも汚染された食品をあなたは子どもや孫に食べさせますか?放射能の感受性が高い子どもたちにそういう食品を食べさせたら内部被爆しますから、児童虐待です。基準を甘くしてはいけなかったのです。ドイツの基準値上限は大人が8ベクレル/kg、子どもは4ベクレル/kgだそうです。食品放射能基準値についての専門家が解説したサイトのURLを末尾に書いておきます。


MSNニュースより
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/%E5%BA%83%E7%80%AC%E6%9D%B1%E9%9B%BB%E5%8A%9B%EF%BD%88%EF%BD%84%E7%A4%BE%E9%95%B7%E5%BB%83%E7%82%89%E8%B2%BB%E7%94%A8%E3%80%81%E5%88%B6%E5%BA%A6%E7%9A%84%E6%8E%AA%E7%BD%AE%E3%82%92%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%AB%E8%A6%81%E6%9C%9B/ar-BBx0P6h
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広瀬東電力HD社長:廃炉費用、制度的措置を政府に要望
 財界人や学識者らで構成する「東京電力改革・1F問題委員会」(略称・東電委員会)に出席した東京電力ホールディングス(HD)〈9501〉の広瀬直己社長は5日、委員会後に記者団の取材に応じ、東電福島第1原発の廃炉費用が今後膨らんだ場合、「東電が債務超過で倒れてしまう可能性がある」との認識を示し、「制度的措置を作り、そのリスクを取り除いてほしいと(政府に)お願いした」と述べた。
 
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  原稿電気事業会計規則どおりに廃炉費用を一括計上すべきで、それによって東京電力が債務超過に陥るなら、そうなればよいのです。
 原子炉が3基もメルトダウン事故を起こして、東京電力はだれも責任を取っていません。その上に、会計規則を変更して東京電力を救済しろというのですから、開いた口がふさがりません。
 あれだけの深刻な重大事故を起こし、大変な放射能汚染をもたらしたのですから、東京電力が原発事故で債務超過になるならなればいいのです。そして役員全員が潔く債務超過の責任を取ればよい。
 原発で深刻な事故を起こしたら、役員全員辞任や電力会社がつぶれるくらいのことがあって当然です


 だいたい廃炉費用を一括計上しただけで債務超過になるなら、原発事故にかかわる保険と廃炉積立金が過小だということ。原発事故による廃炉費用をカバーできるほど巨額の廃炉積立金を毎年積み、リスクをカバーできるだけの保険料を支払ってリスクをヘッジすべきなのです。

 東京電力が債務超過になるから会計規則を変更して欲しいというのは本末転倒です。債務超過になればよいのです。そしてすべての電力会社は原発事故による廃炉リスクに備えるような保険に入るべきです。保険が設定できないなら、保険でリスクをカバーできない原子力発電を事業としてやってはいけないということです

(国土の放射能汚染はいかなる保険でもリスクヘッジができません。森林の除染ができないことが今回の事故で判明しました。もちろん、雨が降るたびに陸地に撒き散らされた放射性物質が川を通じて太平洋を持続的に汚染しています。水産物を通じて人間の口に入ることになるのです。内部被爆は体内に取り込まれた放射性物質が崩壊するたびに放射線を体内で出すのですから、遺伝子が確実に傷害されます。)


*諸悪の根源:食品放射能基準値100ベクレル/kg
http://www.sting-wl.com/yagasakikatsuma10.html

「矢ケ崎克馬教授が話されたドイツ放射線防護協会は科学者の団体ですが、その勧告…セシウム137なら大人は8ベクレル、子供は4ベクレル…は世界的に見ても非常に厳しい基準です。この基準…私の知る限り世界一厳しいんじゃないでしょうか。」


*#3430 検証:東京電力が原発事故の廃炉費用計上で債務超過になる  Oct. 7, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-10-07


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#3171 高速増殖炉「もんじゅ」とアベノミクスの類似点 Nov. 6, 2015 [原子力発電]

 夢の高速増殖炉、燃やしたプルトニウムよりももっと多くのプルトニウムを生成できると謳っていたが、20年間で8ヶ月しか稼動せず、実用化の見通しを断念している。
 ■1995年に冷却材のナトリウム漏洩による火災事故。
 ■2010年9月い起きた原子炉内部へ33tの中継装置(クレーン)落下事故を起こし、その回収に9ヶ月かかった。その間、燃料棒の取出しが不可能となり、温度上昇による原子炉暴走を回避するために、ナトリウムでの冷却をとめられなくなった。あのときにナトリウム漏洩事故が起きたら、原子炉がどうなっていたか、想像するだに恐ろしい。長崎原爆の100倍ものプルトニウムが使われていたという。

 最近は用途変更が検討され、高速増殖炉ではなく、ゴミ(使用済み核燃料)の焼却炉として使うことを計画中。
 すでに1兆円が投入され、高速増殖炉実用化の見通しがなくなった。繰り返し起きる点検ミスに原子力規制委員会は事業主の日本原子力開発機構に三行半をたたきつけた。半年以内に新たな事業主体を見つけなければならないが、見通しが立たないという。原子力規制委員会ははじめてちゃんとした判断を下したようだ。

 高速増殖炉は他のタイプの原子炉とは異なり、冷却に水ではなく、98度のナトリウムを使う。未稼働でも電気を使ってナトリウムを暖めて原子炉内を循環させていなければ危険。温度が下がればナトリウムは固体になってしまい冷却材としての役割を果たせなくなる。そのときに原子炉を冷やす代替手段がない、だから危険なのである。
 英国は火災事故の後に、危険すぎると開発を断念している。事故があっても、爆発するから水をかけるわけにはいかない。フクシマ第一原発事故のときのことを思い出してほしい。ポンプで原子炉に海水を注入していたが、あんなことを高速増殖炉でやったら、大爆発を起こして一環の終わり。
 そういう危険な高速増殖炉を世界で一番地震の多い国の日本だけが開発を続行している
 一日5500万円、年間200億円の維持費をかけても、この20年間一度も発電できない。

 夢の核燃料サイクルという当初の用途が実現できずに、原発維持のために別の用途=ゴミ(使用済み核燃料)焼却炉への転用を計画しているところは、アベノミクスの成長路線と似ている。具体的な成長路線を示せずに、新三本の矢をだして矛先をかわそうとしているところがそっくり。高速増殖炉「もんじゅ」とアベノミクス成長路線は双子の兄弟のように同型である。

 フクシマ第一原発事故でわたしたちが目の当たりにしたものは何か?
■関係者が誰も責任を取らなかったということ、
■5年たっても事故処理終息の見通しすら立たないこと、
■原発周辺の市町村に住む地域住民が古里を失ったこと、
■すでに百人を超える子どもたちに甲状腺癌が見つかっていること
■小児甲状腺癌の多発があっても、フクシマ第一原発放射能汚染との因果関係を科学的に立証するのは不可能なこと
■汚染放射能の影響は小児甲状腺癌だけにとどまらぬこと⇒周辺に住む住民の遺伝子を傷害し続けている
■台風や豪雨の都度、集積された汚染土の袋が破れて周辺と川と海を汚染していること⇒放射能汚染は止まらない
■原爆30発分もの放射能がばら撒かれてしまったこと
■いまも地下水の放射能汚染と海洋流出がとまっていないこと⇒遮断壁をつくればさらにその下から、そして沖の方で湧出するだけ
■増え続ける汚染水のタンクが林立して、最終処分が決まっていないこと⇒アルプスで処理した後は結局海洋放出となるだろう
■放射性トリチウムは回収装置で取り除くには莫大なコストがかかるために全量放出されていること

 官の計画はいったん走り出すと、どれほど巨額の費用がかかろうと、なかなかとめられないもののようだ。
 アベノミクスも引っ込みがつかぬ。どちらも人為的大災害を引き起こして幕引きとなるのだろうか。それではあまりにも情けない。

 国土と豊かな自然を守る健全な保守主義が自民党の中に誕生してもらいたい。美しい日本をこれ以上放射能で汚染してはならぬし、政府の借金(すでに1200兆円)をこれ以上増やして財政破綻を招来させてはならない。
 大災害に喘(あえ)ぐことになるのは安倍総理や政府や政権与党ではなく、国民である。子や孫たちにツケを回してはいけない。
 日本と人類を救う経済学は「資本論と21世紀の経済学」で今年1月に明らかにした。


* #2501 フクシマ原発周辺住民Mikoさんのビデオ証言 Nov. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-2


 #2438 ひどい作業実態: 福島第一原発で4ヶ月作業―がん併発 Oct. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-06-1
 
 #1485 作業員の被曝管理を強化せよ:追跡調査ができるような体制をとれ Apr. 24, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-24

 #1434 原発事故テレビ報道についての基礎的疑問 Mar. 20, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-03-20


 #3097 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版) <目次>  Aug. 2, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-15

 #3121 既成経済理論での経済政策論議の限界 Sep. 1, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-09-01-1

 #3148 日本の安全保障と経済学  Oct. 1, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01

 #3162 絵空事の介護離職ゼロ:健全な保守主義はどこへ? Oct, 24, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-23



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#3104 法の下の平等はどこに?:東芝粉飾決算と原発 Aug. 14, 2015 [原子力発電]

 朝のNHKラジオ番組(10分間)に「社会の見方、わたしの視点」というのがある。今日は森永卓郎氏の番だった。採りあげたのは東芝粉飾決算。

 東芝は8年にわたって1500億円もの粉飾決算をやっていた。こんなに粉飾を続けていて監査法人が知らないわけがない。監査法人の責任も追及されてしかるべきだ。東芝の担当していたのは新日本有限責任監査法人である。2010年の資料によれば、担当していた被監査会社は4103社、業界最大手である。東芝が監査会社をだましたのか、監査会社が意図的に見逃していたのかということを問題にする人もいるようだが、このようなレベルの経理操作をベテランの監査人が通常の監査手続きで見破れないなんてことは実務上ありえないから、このままでは日本の監査法人の監査への国際的信頼性が失われかねない。
 ずいぶん昔(1965年)に山陽特殊鋼の粉飾決算と経営破綻があったが、取締役7人と監査法人は責任を問われた。いまに比べると昔はちゃんとしていたように見えてしまう。

*山陽特殊鋼倒産事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E9%99%BD%E7%89%B9%E6%AE%8A%E8%A3%BD%E9%8B%BC%E5%80%92%E7%94%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 山陽特殊鋼粉飾決算事件は70億円の粉飾である。ライブドアも十数億円の粉飾決算をやって社長は実刑判決が出た。近くはオリンパス事件がある。
 今回の東芝の1500億円もの粉飾決算事件にマスコミは「不適切な会計処理」という言葉を選び、「粉飾」という言葉を使っていない。8年にわたる意図的な利益操作は会計学上も会社法上も証券取引法上もまぎれのない粉飾決算である。

 森永卓郎氏はなぜマスコミが粉飾という用語を使わないのかを鮮やかに解説して見せた。
 東芝は原子力発電所にとってなくてはならない重要企業で、国策会社であるというのだ。東芝が粉飾決算でつぶれたら、政府の原子力政策の土台が揺らぐというのである。原発を順次再稼動したい政府の意図を東証とマスコミが斟酌したとも読める。最近のマスコミの報道姿勢は、戦時中に軍部の意向を読み取り、自主規制していったのに酷似してきているようで、気持ちが悪い。

 これだけの粉飾をやったら、ただちに管理ポストへ移行するのがいままでの東京証券取引所のやり方である。上場廃止がただちに検討される。今回のケースだと、上場廃止が当然だ。
 東京証券取引所自主規制法人理事長は佐藤隆文、元大蔵官僚である、うまくできている。政権としてはここのポストに影響力をもっておけば匙加減ができる。
 「阿吽の呼吸」「以心伝心」「魚心あれば水心あり」、日本語は便利だ、事態を適切に表現できる語彙がいくつもある。日銀総裁もそういう風にして政府が操る。

 法の恣意的な適用を許してはならぬ。日本の原子力発電を支える国策企業だからといって、別扱いが許されるのかというのが森永卓郎氏の論点である。わたしの耳には至極まともな意見に聞こえた。


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#2862 原発をめぐる詐欺的会計基準(2):不良資産と簿外債務 Nov. 9, 2014  [原子力発電]

 11月7日の北海道新聞一面に載った記事を紹介して若干の解説を付け足してみた。原発をめぐる会計処理には企業会計原則から見るとはなはだしい逸脱があり、粉飾に該当するような処理が電気事業会計規則で認められている。世の中には信じられないことがままある。
 2回目は会計基準に焦点を当てたい、まず、細野氏の論をみよう。

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 地域の電力を考える③

・・・
 北電は「原発は運転コストが安いので泊を再稼動すれば値下げできる」という。だが、「安い」のにはからくりがある。たとえば使用済み核燃料を利用する核燃料サイクル計画は事実上破綻しているが、それが動く前提で使用済み燃料を資産に計上している。また原発はいつか廃炉にしないといけないが、廃炉や放射性廃棄物の処分費用がきちんと見積もられていない。
 このように原発の会計には膨大な「不良資産」と「簿外債務」がある。こうした将来重くのしかかる負担や事故の危険性、今回のように過度に依存した原発の運転が停止した影響に、誰が責任を負うのか。
 株主は株価の下落や無配当で一定程度負担したと言えるかもしれないが、電力会社に巨額のカネを貸して利益をあげてきた金融機関の貸し手責任は追及されていない。金融のプロなら電力会社の財務諸表を見て原発のコストが高いことは見抜けたはずだ。
 日本の電力料金は、電気をつくるのにかかった費用「原価」に電力会社の利潤を上乗せする「総原価方式」を採用している。もともと原発の会計はおかしな点だらけだったが、さらに国は昨年、廃炉会計基準を変更し、何でもかんでも原価に算入し、原発で事故が起きても電気料金で回収できるように道筋をつけた。会計上こういう手口を粉飾と呼ぶ。原発については国と電力会社ぐるみの粉飾決算がまかり通っているのだ。
 国も電力会社も金融機関も、誰も責任を負わないまま、請求書だけが電気を使う人たちに届く。なぜ道民だけが重い負担を強いられるのか。専門家も一般市民も、「何かおかしい」という当たり前の感覚を忘れてはいけない。

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 ― 解説 ―

<幻の核燃料サイクル計画:40年かけてもメドすら立たない>
 「核燃料サイクル計画」とは、使用済み核燃料からプルトニウムを精製して高速増殖炉の燃料とするものだが、技術的に難しくて米国、英国、ドイツ、フランスはすでに撤退している。世界中でやっているのは日本だけで、40年やっても実用のメドがたたない。
 冷却材にナトリウムを使う危険な原子炉であるから、何か事故があった場合に水で冷やすことができない、水をかけたらナトリウムが爆発してしまう物騒な原子炉である。火災事故も起きている。英国では火災事故を起こしてそれを契機に計画をやめた。危険すぎるのである。
 高速増殖炉は東海村の実験炉「常陽」、そして福井県の「文殊」があるが、未だに稼動していないし、実用のメドも立たない、「幻」である。文殊は点検管理の杜撰さが何度も指摘されている。今年も点検整備の態勢が整わないことを理由に半年間(来年3月まで)定期点検整備が延期されている。現場の管理はゆるみきっている、こんな管理しかできないのに、軽水炉に比べて格段に危険なタイプの高速増殖炉の管理を任せていいのだろうか。
■ 2012年11月 9679個の点検漏れ
■ 2014年4月 監視カメラ180台のうち、50余台が故障していた
*「文殊改革 半年延長 機器点検体制整わず」 朝日デジタルニュース
http://www.asahi.com/articles/ASG9T4RDDG9TULBJ00D.html


<使用済み核燃料から精製された半減期2.3万年のプルトニウム>
 高速増殖炉用にフランスへ送り、精製・再処理されたプルトニウムがすでに43トン六ヶ所村に保管されている。人間が近づけないほどの高線量の放射線を放出している。
 このプルトニウムを燃料に使って高速増殖炉を稼動させることができても、ウラン238がプルトニウムに変るから、使用済み燃料棒にはまた半減期2.3万年のプルトニウムが含まれることになる。高速増殖炉が稼動しても、またプルトニウムが生成されるから高濃度の放射性廃棄物はなくならない。
 国内唯一の使用済み核燃料再処理施設(日本原燃)が青森県六ヶ所村にあるが、試験中に何度も事故を起こしいまだに稼動していない。燃料の再処理も再処理後の高速増殖炉も動いていないのである。

 プルトニウムの半減期は2.3万年だから、半永久的に保管しなければならない。千年・二千年後に東京電力や北海道電力があるわけもないし、ひょっとしたら日本という国すらないかもしれない、後は野となれ山となれ式の無責任な話だ。

<不良資産と簿外債務について>
 細野氏は原発には「不良資産」と「簿外債務」があるという。不良資産というのは資産計上されている使用済み核燃料のことだ。固定資産の部に「装荷核燃料1296億円」(P.75)が計上されている。仕入原価よりも評価額は低いだろうから、この金額の10倍も再処理費用がかかる可能性がある。仮に10倍としたら1.2兆円の簿外債務があることになる。純資産は929億円しかないから、1.1兆円の債務超過会社だ。
 使用済み核燃料の再処理費用とブルトニウムを含む高濃度放射性廃棄物の20万年の保管費用が「簿外負債」となる。簿外債務はこれだけに留まらない、事故が起きた場合の補償金も保険をかけなければならないが、500兆円という試算のなされている除染費用一つとっても現在の保険システムではまかなえないので簿外債務となっている。原子力災害に保険をかけたら、保険料が莫大になり、採算が合わない。1000年に一回の確率で事故が起きると仮定しても、年間5000億円を越す保険料になるのではないか?保険料負担だけでも原発コストは3倍ほどに膨らむだろう。負担すべき原子力災害保険料を年間5000億円と見積もると、先ほどの再処理費用とあわせて1.6兆円の債務超過会社だ。
 原発を維持する限り、他の民間企業が準拠している企業会計原則通りに会計処理をしたら、電気料金を2倍に引き上げても採算がとれない。それが原子力発電コストの真実の姿。
 そして、いま原発を止めても、すでにできてしまった使用済み核燃料の再処理と再処理後の保管に千年単位の時間と保管コストがかかるのである。毎年どれほどのコストがかかるのか、調査研究してデータを公表すべきだ。
 原発は北海道の止まりだけではない。事故を起こした福島第一原発の4基を含めて、国内に54基ある。孫子そしてひ孫たちのために、そして日本列島に住み続ける未来の日本人のために、これ以上原子力発電所を増やすのはやめてもらいたい。

<守るべき伝統の商道徳>
 企業の存続期間を考慮すると、百年以上も管理が必要な廃棄物の生成を認めてはいけない。当該企業が消滅していたら、保管は国がせざるを得なくなる。特定の企業が数十年間濡れ手に粟で利潤を手にして、株主に配当し、カネを貸した金融機関が膨大な利益を手にする。そのうちに経営破綻してツケは国民に回ってくることになる。こんなことを許してはいけない。

 自分だけよければいい、いまだけよければいい、儲かるなら何をやってもいい、そういう欧米流の価値観に汚染されてはならぬ。日本人が400年間守り続けた商道徳がある。いや、縄文時代から日本人は環境や周りの生物との共生を心がけてきた。そうした古来から連綿と伝わる価値観に回帰すべきだ。
 江戸時代から伝わる普遍的な商道徳を守るべきだ。

 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

 電力会社と金融機関がぼろもうけし、電気を買う利用者にツケを回すようなあくどい商売のやり方を矢ってはいけないし、許してもいけない。

<総原価方式批判>
 細野氏は「総原価方式」にも批判を加えている。電気を生み出すためにかかった費用に電力会社の利潤を上乗せして電気料金を決めている。こういう方式をとる限り、いくらでも電気料金値上げで利用者へツケ回しをすることができる。
 廃炉会計基準が昨年変更されて、廃炉に関わる一切合財の費用を廃炉後に電気料金に上乗せできるのである。
 原価に算入していなかった再処理費用や引き当て計上していなかった高濃度放射性廃棄物の保管費用も廃炉後の電力原価に算入することができる。
 火力発電や水力発電、太陽光発電、地熱発電などと比較するときには減資六発電の廃炉コストや核燃料の再処理コスト、高濃度放射性廃棄物の保管コストを原価算入せずに現実からお菊かけ離れたインチキのコストを提示して原発が安いといい、結局、算入していなかったコストはあとから電気料金値上げで利用者に転嫁する、ズルくて姑息なやりかたである。

<1kw時の発電方式ごとの原価比較>
原子力   8.9円以上
石炭火力  9.5円
水力    10.6円
LNG火力 10.7円
*原子力  9.4~11.6円(『原発のコスト』(岩波新書)立命館大大島堅一教授による試算)

 データは11月7日北海道新聞第2面の「崩れた「安価神話」」から転載した。
 大島教授の試算には原発関連でばら撒かれている補助金が算入されているが、福島第一原発事故処理費用が算入されていない。千年に一度の事故確率で保険料を計算すると北電の保険料負担は年間5000億円。原子力の発電コストはおおよそ3倍ほどになるだろう。しかし、これも過小評価で、使用済み核燃料の再処理費用と10万年の高濃度放射能汚染物質の保管費用が除外されている。誰も見積った人はいない、前提条件が少し違うだけでもかかる費用には大きな違いがでるし、20万年先に人類が生き残っている可能性は小さいし、ましてや日本という国が残っている可能性か限りなく小さく、東京電力や北海道電力が存在する可能性はゼロだからだろう。

<高濃度廃棄物保管コストと廃炉コストはいくらか?> 
 ここからはお遊びにお付き合いいただきたい。
 1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故から28年が過ぎたが、廃炉になった原子炉の維持管理に常時3000人が従事しているという。
 日本列島で7箇所に分散して高濃度放射性廃棄物を管理するとしよう。要員は2.1万人である。一人当たりの人件費を公務員の650万円プラス危険手当150万円とし、人件費以外に人件費相当額の設備費や維持費がかかるとすると、総額は次の式で計算できる。

 (6.5+1.5)1o^6 x 21000 x 2 x 200,000
  =8x2.1 x 10^10 x 2 x 2x10^5
  =67.2 x 10^15

  67京2000兆円である。これを原子炉の耐用年数40年で割ると、負担すべき費用の年額が決まる。
 67.2x10^15/40=1.68x10^15

  日本の電力会社が負担すべき放射性廃棄物管理コストは年額負担は1京6800億円となった。
 北海道電力の売上を600億円として北海道の人口(550万人)と日本の総人口(1億2300万人)で比例計算すると、おおよそ1兆3428億円。

  1.68x10^15 / 1.34x10^12 =1.254x10^3

  現行の電気料金を1254倍に値上げしないと原発の真のコストをまかなえないという計算になった。
 
 もう少し現実的な計算をしよう。原発の廃炉に50年かかるとして、1基当たり3000人の工数がかかると前提してその費用を見積もってみたい。他の前提はさっきと同様とする。

 (6.5+1.5)1o^6 x 3000 x 2 x 54 x 50
 =8x3x5.4x5x2x 10^11
 =129.6x10^12

  日本にある54基の原発の廃炉に129兆6000億円の費用がかかることになる。これは先の計算に比べるとはるかに現実的な試算である。この廃炉費用はこれから50年間に渡り電気料金に加算される、そういうことができるように電気事業法会計規則が変更されてしまった。マスコミは大々的に報じるべきだ、日本経済の息の根を止めかねない負担なのである。これから50年間人口が8000万人以下に減少していくなかで、利用者にこれだけの負担を強いることになる。
 できてしまったことは仕方がないとして、廃炉事業とはこんなにお金のかかるものなのである。これを40年間の耐用年数にわたって廃炉積立金を計上するとすると、原発1基当たりの廃炉積立金は年額次のようになる。

 =129.6x10^12/40/54
  =129.6/2.16 x 10^9
  =600 x 10^8

  原発1基辺り、廃炉費用を年間600億円積立しなければならない。北電を例にとると、泊原発1基で年間売上の10% 600億円の積み立てが必要ということ。原発の発電コストは廃炉費用を入れるとおおよそ2割高くなるだろう。原子力災害を千年に一度と計算して、その保険料を追加したら原発の発電コストはおおよそ2.5倍。

 自分達の世代だけよければいいという考えを棄てよう、未来の子孫のために放射能汚染の元をできうるかぎり潰しておこう。さあ、あなたにもできることがあるはずだ、それぞれの立場でやれることをはじめよう。
 

<おまけ>
 ジャパンタイムズに9・10・11月三つ社説が載っていたので紹介する。高校生や大学生はクリックして、プリントアウトしてゆっくり読んだらいい。

Economic realities of old reactors | The Japan Times

www.japantimes.co.jp/opinion/2014/.../economic-realities-of-old-reactors/
14 Sep 2014 ... Reported moves by power companies to consider decommissioning their older
nuclear power reactors indicate that they are beginning to selectively evaluate
their nuclear power plants by weighing the costs of meeting safety ...



Aging nuclear power plants | The Japan Times
www.japantimes.co.jp/opinion/2014/10/30/.../aging-nuclear-power-plants/
30 Oct 2014 ... The government is weighing measures to aid power companies that
decommission aging nuclear power plants and host municipalities that will lose
nuclear power-related revenue. To facilitate the moves to scrap aging plants, ...


Too soon for a nuclear restart | The Japan Times
www.japantimes.co.jp/opinion/2014/11/02/.../too-soon-for-a-nuclear-restart/
2 Nov 2014 ... The city assembly and the mayor of Satsumasendai, Kagoshima Prefecture, have
given their nod to the restart of Kyushu Electric Power Co.'s Sendai nuclear
power plant, whose Nos. 1 and 2 pressurized light-water reactors, ...




*#2861 原発をめぐる詐欺的会計基準(1):モラルハザード Nov. 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-08-1


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#2861 原発をめぐる詐欺的会計基準(1):モラルハザード Nov. 9, 2014 [原子力発電]

 11月7日付の北海道新聞一面に「地域の電力を考える③」が載っている。
 北電の料金値上げはなすべきことをせずに利用者に安易に損失転嫁するものであり、粉飾決算に該当する会計処理が堂々と電力会社に認められているヘンな状況を告発している。

<ダブルスタンダード:人材が少ない会計学と経済的な学際的な領域>
 原発は電気事業会計規則によって、企業会計原則の適用外となっているのである。絵に描いたようなダブルスタンダードだが、ほとんど報道されることがないから知らない人が多いだろう。知っていて批判を展開しない会計学会は社会の一員としての意識レベルが低いし、経済学者は簿記理論や会計基準を知らない者がほとんどだ。現実の企業は複式簿記で動いているのだから、経済システムの根幹を支えている技術を理解せずして現実の経済を理解できるわけがない。経済学者は会計基準が企業行動や業績評価に重大な影響を及ぼしていることを知るべきで、その変更がなされたら背後に隠された意図を見抜いて警鐘を鳴らすべきだ。
 複式簿記や会計理論そして経済学の間に横たわる学際的な領域をこなせる学者が増えてほしい。一つの分野しか理解できないのでは現実の問題解決に非力たらざるをえないのである。そういう間隙をついて原発誕生のときに詐欺的会計規則が定められ、国民を欺く変更を重ねてきた。専門家である会計学者や経済学者が議論の俎板に載せて明るみに出そう。

<企業会計実務専門家の主張>
 一般の民間企業と同じ会計基準を適用したら、6電力会社は全部経営破綻している。元公認会計士細野祐二氏の意見に耳を傾けてみよう。

11月7日北海道新聞より
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 地域の電力を考える③

 多くの人が「何か変だな」と感じることがある。専門家が見れば「明らかにおかしい」とわかることがある。北電の電気料金歳値上げや原発をめぐる会計基準は、その典型ではないか。
 値上げの理由は経営悪化だ。北電の今年3月期の経常損失は953億円。しかし、経営が行き詰ったから値上げするという理屈が通るのは電力会社だけだ。
 たとえば北電の有価証券報告書を見ると金融機関などに払う「支払利息」が163億円ある。北電の財務状況を考えれば、債権放棄や債権カットを申し出て当然だが、金利の減免を求めた形跡さえない。
 北電は泊原発停止に伴う火力発電の燃料費増加が経営悪化の要因と説明しているが、現在は原油価格の下落で、円安を考慮しても燃料費は下がっている。私の試算では、燃料費の減少分を引き、支払利息(利息であって借金そのものではない)をゼロにし、他業種に比べ依然高い給与、手ある医退職金を含む福利厚生費を下げ、他の経費も17%ほど削れば赤字は充分解消できる。こうした努力をせず、値上げで負担を道民に丸投げしたのだ。
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 ― 解説 ―
<問題は二つ>
 北電の売上規模は6303億円である、経常損失は953億円。売上の15%の経常損失を出している。従業員数は11069人で5年前(H22年3月末)の7802人から3267人(41.9%)増加している。売上は5年前に5493億円だったから、14.7%増加した。一人当たり売上高は5年前の7040万円からH26年は5690万円に低下している。生産性が19.2%低下した。どういう人員計画をしているのだろう?一人当たり生産性を意識して5年間やってきたらこんなに低下しなかったはず。北電は相当ルーズな経営をやっているのではないか?
  問題を限定して、次の二つに分けて考えてみたい。
①経営悪化は誰が責任をとるべきなのか
②経営悪化の原因がなにか

<貸手の金融機関の責任>
 お金を貸している金融機関は借手が経営悪化すれば利息を減免したり、債権を一部カットして貸しての責任を負うのが当たり前であり、一般企業への融資に当たってはそういう風に対処している。
 これだけ経営悪化しているのに、金融機関は貸し手責任をとっていない。長期借入金は4486億円あるから、現経営陣が経営悪化の責任を明確にし、2割の債権カットを要求すれば経常損失はゼロにできる。もう20年ほど前になるがゼネコンのフジタが経営悪化したときにメインバンクは2000億円の債権カットをして貸手責任を負った。北電のメインバンクも相応の貸手責任を負うべきではないのか。

<株主の責任:減資>
  自己資本額は929億円、もう一回同じ経常損失を出せば債務超過となる。そうなったときには減資という手がある。株主が責任をとる番だ。
 貸手の金融機関が責任をとらず、株主が責任をとらず、役員や従業員も給与や退職金引き下げなどで責任をとらず、安易な値上げで利用者に損失を転嫁する、経営のひどいモラルハザードがここにある。

<火力発電用の燃料費増大が経営悪化の原因ではない>
 有価証券報告書13ページによれば、火力発電用重油は受入量が前年同期比77.6%、払出量が81.9%でどちらも減少しているから、経営悪化を火力発電用燃料重油に帰すことはできない。

*北電有価証券報告書
http://www.hepco.co.jp/corporate/ir/ir_lib/pdf/90securities.pdf

 電源別設備投資総額4293億円の内、原発は2383億円(P.75)で55.5%を占めている。


<原発廃止は電気事業会計規則を改正すれば実現できる>
 固定資産に「装荷核燃料1296億円」(P.75)とある、「装荷核燃料」とは燃料棒に制御棒を差し込み対角線上に燃料を装填した状態の物をいうが、これは原子炉内に収められたものと使用済み燃料プールに保管されているものを指す。
*原子炉への燃料棒の装荷
http://www.tiikinokai.jp/meeting/PDF/81data_06.pdf

 使用済み核燃料をMOX燃料に加工するのに新燃料の価格の3~5倍の精製費がかかり、その際に元の8割以上の高濃度汚染廃棄物がでる。MOX燃料を使用した後でもさらに高濃度の廃棄物が生成される。使用済みMOX燃料も冷やしながら保管しなければならない。その期間が千年なのか万年なのかとにかく線量が下がるまで安全に保管する費用を使用済みとなった時点で損失に計上するのが健全な企業会計原則の指示するところである。
 企業会計原則では多額の処理費用がかかる廃棄物に資産計上は認められないし、使用するときに将来かかるであろう処理費を見積もり原価算入することが要求される。当たり前のそういう会計処理をしたら、原発のコストは百倍にもなるだろう。こういうインチキを積み重ねて水力や火力や太陽光発電に比べて、原発発電コストが安いと嘘を言っている。
 国会も政府も電力会社に電気事業会計規則でこのような粉飾決算といえる会計処理を認めている。会計原則は企業会計原則一つでいい、公的会計基準とか電気事業会計規則とか企業会計原則の適用除外を認める会計基準はすべからくダブルスタンダート(インチキ)、いや三つだからトリプルスタンダードか。
 国民はこのようなインチキを廃するために、国会議員に働きかけて電気事業会計規則を改正すべきだ。電力会社の会計処理はすべからく企業会計原則に準拠すべきことを明記し、企業会計原則に具体的な定めのない事項についてのみ、電気事業会計規則で規定すべきだ。
 この会計規則を改正してしまえば、採算が合わないから電力会社は経営破綻し清算処理、金融機関も株主もそれぞれ相応の負担をすればいい。そのあとで発電と送電を分離したあらたな電力事業を立ち上げればいい。電気事業会計規則を改正すればほうっておいても原発は日本からなくなる。

 次回は使用済み核燃料も含めて、原発会計処理基準について細野氏の論に耳を傾けてみたい。
 
<電気事業会計規則>
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40F03801000057.html


*#2862 原発をめぐる詐欺的会計基準(2):不良資産と簿外債務 Nov. 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09


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