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#3671 忘年会:釧路の教育を考える会 Dec. 31、2017 [さまざまな視点から教育を考える]

 28日に釧路まで行ってきた。釧路の教育を考える会は昨年は某国立大学教授をお招きして特別講演もしていただいた。バイオと製薬分野のお話だった。SRL学術開発本部で試薬開発や帝人との合弁会社で臨床治験の会社の経営を担当したことがあるので、じつに興味深い話だった。弊ブログで取り上げた。

 今年の特別ゲストは釧路市教育長の岡部さんである。まだ就任して2か月の岡部教育長は釧路の教育を考える会の角田会長の部下だったことがある。角田会長が40代で経済部長だったころのことらしい。角田さんが釧路市の教育長になったのは52歳の時だ。酒を飲んでお互いの人柄を知ることは大切なことだ。

 釧路は歴代の教育長が市役所から出ている。道庁の出向者を教育長に迎えている根室とは大きく異なる。教育長の職に就いて仕事をして、任期が終わってももちろん地元に住み続けている。角田会長は81歳になられたが、歴代教育長がその任期を終わっても根室に住んでいるような町にしたいものだ。
 気さくに酒を飲み、話ができる器の大きい教育長が根室にもほしい。

 2年前に造られた「根室市人口ビジョン」によれば、根室は地元企業が人材不足で困っているようだ。この資料の31頁には1996年と2012年のデータが載っているが、事業所数は16年間で2014から1544に23.3%減少し、従業者数は16,183人から11,031人へ32.8%減少した。これに地元に残る人材の質が劣化したらどうなるかは明らかだろう。この5年くらいで中学生の学力が著しく低下していることは、弊ブログで学力テストの点数の分布を示してなんども説明している。学力上位層が10年前の1/10になり、学力下位層が肥大化している。高校一校体制になり、それがますますひどくなっている。
 地元企業の経営者も、教育行政も学校の先生たちも、市議会文教厚生常任委員会のメンバーたちも、同じテーブルについてオープンに議論しないと、学力低下はとめられない。何もしなければ、2040年には人材難から事業所数は半減しているかもしれない。

 3名の釧路市議が釧路の教育を考える会のメンバーである。釧路は子供たちの学力問題へ関心が強い。教育は30年後の町づくりの人材を育てるものだから、人材を育ててることが未来の町づくりの礎となる。
 根室もそろそろ教育問題に関する議論を職種を超えて同じテーブルについて始めるべきだ。

 会の副会長である月田さんがブログで忘年会のことを書いている。
*第4075回 今年最後の忘年会(元釧路市議会議長・月田さんのブログ)
http://blog.livedoor.jp/gekko946/archives/51852256.html

昨年の忘年会の記事
*#3490 勉強と研究はどうのように違うか:生物物理化学の先端 Jan. 6, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-01-05

根室市人口ビジョン
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/75ea4dccff8db9f849257dd30027c337/$FILE/根室市人口ビジョン(7.31確定).pdf

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#3638 学力テスト総合C:顔で笑って心で泣いて Nov. 11,2017 [さまざまな視点から教育を考える]

<最終更新>
11/17 朝8時 「日本語読解力=読みの正確度×読みの深さ×読む速度」を追記

  木曜日(11/9)に学力テスト総合Cがあった。数学の問題にむずかしくて手が付けられなかったと生徒がいうので、問題を見た。「どの問題ができなかった?」と問うと、大問が6題あり、「大問3」の2次関数の(2)は放物線上の四点を結んでできる正方形1辺ABの長さを出す問題と「大問5」の正三角形とその内部にできた三角形の面積比問題を指さし、「この二つです」と自信喪失の体(てい)
  なぜ「大問5」の図形問題が解けなかったのだろう、どうやったのか聞き、原因を探っておく必要がある、どちらも標準レベルの問題にすぎない、こんなレベルの問題をミスる生徒ではない。五科目合計点で1年生の時からずっと学年トップ、数学でトップをとれなかったことは初めてかもしれぬ。五科目合計点の目標値は270点超だった。3回とも260点台で270点には届いていない、手を伸ばせば届く位置にいたのだが、自分で立てた目標に届かなかった。学年一番だけでは気が済まない、彼にとっては自分が立てた目標値との勝負なのである、それに負けた。精神面の弱さが出たことが原因であることは自分自身が一番よく分かっている。だから顔で笑って心で泣いている、なにより眼がモノを言っていた。悔しくないはずがないし、不甲斐ない自分に腹を立てている。
  悔しくて悔しくて、大泣きするぐらいだと、それはそれで将来がとっても楽しみなのだが…

<できなかった問題は平凡なものだった: なぜ?>
  2次関数は類似問題がシリウスにも載っているし、いま数1問題集の2次関数の最後のほうの問題をやっているから、簡単なはず。問題集はシリウスの標準を使っているから難易度はセンター試験レベルである。中3の問題集も『シリウス』だった。難易度は首都圏で標準レベルだろう。『シリウス発展編』の難易度を知りたくて調べるために取り寄せてみたが、難易度の高い問題のオンパレード。発展編の問題集は無理と判断し、標準問題集を採用した。『シリウス発展編』は数1を始めて勉強するのに難関国公立・私大受験用の『赤チャート問題集』を使うようなもの。出版元の営業マンに電話で聞いてみたら、道内の塾でこの問題集を使っているところはないそうだ。
  ようするに、いままでやってきた問題集のレベルは北海道の学力テストよりもレベルが上のものということ。

  具体的に見ていきたい。「大問3」の2次関数は次のような問題だった。これは標準レベルで、ありきたりのもの。

  大問3: y=1/4 x^2 と y=-1/2 x^2 がある。それぞれの放物線上に左上から反時計回りにABCDと点をとるときに、四角形ABCDが正方形になるとき、線分ABの長さを求めよ。

  B(t、1/4t^2)として縦横の長さを t を用いて表し、等号でつなぐと t に関する2次方程式になるから、お定まりの基本問題である。何の変哲もありゃしない。この生徒は t は解いたのだが、答えが分数になったので間違っているかもしれないと思い、どうしようかと逡巡している間にベルが鳴り、時間切れ。線分ABの長さは放物線が y軸に対して線対称だから、t の値を2倍すればいいだけ、そこに気がつかなかった。
  こういうときは「とりあえず答えを書いてから考える」と指導している。座標平面上に2つの2次関数が描かれているから、そこに正方形になるように3回書きこんでみたらいい。3回目にはだれでも十分な精度で程よい位置に正方形を描くことができるだろう。バイナリーサーチの応用である。システム技術の一つだが、黒板を使えば簡単に説明できる。描けたら点Bのx座標がどれくらいになるか読み取り、答えの分数がそれに近ければ正解と考えてよい。あるいは出た答えに近い点を記入してみる、そこを起点に正方形になればOKだ、こういうやり方は適用範囲が案外広い。計算のし直しではチェックのできないことがある。チェックは違う方法でやるのがいい。ある情報の信頼度を判断するには、まったく異なるソースあるいは経路からの情報とぶつけてみる。一致していたら信頼性が高い。重要な仕事はこういうふうにして確度を上げる。勉強の仕方は社会人になった時に仕事に通じるものだ。

  あまり簡単なので、解説を聞いてショックだっただろう。むずかしい問題ならともかく、典型的な標準問題だし、最近やっていた過去問でも放物線の外側に正方形のできる問題があった。それは一次関数との複合問題だったから、そちらのほうがすこし難易度が高い。

  二つ目の「大問5」は次のような問題である。テスト問題用紙がないので記憶で書いているから、そのままではないが、必要な条件は漏れていない。問題には図がついているが、このエディターでは描けないので読者は自分で作図してほしい。

  大問5: 正三角形ABCがある。辺ACを2対1に分割する点をPとせよ。辺ABに平行に点Pから線を引き、辺BCとの交点をRとせよ。辺AB上にQをとる。Rを通り辺ACと平行な線と辺ABとの交点をQとせよ。∠BPR=∠BPQであるとき、次の問いに答えよ。

 (1) ∠PBR=m度とするとき、∠AQPをmを使った式で表せ。
 (2) Rを通り辺ACと平行な線と辺ABとの交点をQとするとき、△PQRは△ABCの何倍か。

  (1)は∠Aが60度だから、△AQPの注目すれば、∠APQが出れば残りの∠AQPが出せる。∠BPR=∠BPQという条件がついているから、こちらから攻めろというのが、出題者の意図。もちろん、∠RPQのほうから攻める手もあるが、出題者の意図にそって∠QPAのほうから攻めるのが本筋。
  この問題はできたと思ってた、泥臭いやり方でやれる、単に文字式の計算力を問う問題である。特別なひらめきは必要ない。金曜日に別の生徒がやはり大問5が解けなかったというので、黒板でやってみた。もっとスマートな方法があるかもしれないので、思いついたら報告してと伝えた。全部を提示する必要はない、指導の要点は生徒が自らやる余地を残しておくこと。
(11/15 午後七時追記: ハンドルネーム @tさんが投稿欄へ二種類の解法を書きこんでくれましたので、答と解説はそちらを参照してください。)

 さて、(2)だが、この問題は簡単である。AC//QRだから、P点を点Cに移しても面積は変わらないから、等積変形の応用問題とみることができる。辺QRを底辺と考えれば高さは△ABCの1/3であることは見ただけでわかる。底辺は2/3で高さが1/3だから、面積は掛け算で2/9と暗算できる。これが一番スマートな解き方だろう。
  わたしは問題文を読み終わって10秒たらずで解けたので、問題文を読み直して、提示された条件をもう一度じっくり吟味してみるように勧めた。制限時間は10分間。相似な三角形が三つあることに気が付いていないので、ヒントをあげたらできた。平行四辺形に目が行ったようだ。それと∠BPR=∠BPQにも目がいってしまった。この条件は(1)の問題に必要なだけで、(2)には関係がない。一か所に目の焦点があってしまうとそれをリセットするのはなかなかむずかしい、そこにとらわれていたら解けないから、そういうときに先入見をリセットする能力を培うにはふだんの問題演習で試して慣れたらいい。十分に留意して指導していたつもりだが、足りなかった。集中するのは簡単だが、それを解除するのはとっても難しい。意識的にトレーニングするしかない。わたしがそういうことをコントロールできるようになったのは20代になってからだった。でも、適切な指導があれば中学生でもある程度マスターできる。

  等積変形の応用問題と捉えたこの解き方のポイント(わたしは「問題のヘソ」と名付けている)は、斜めの辺QR底辺とし、その底辺に対する高さに注目することにある。底辺PRと辺ABは平行だから、頂点PをCに移動しても面積は変わらない。高さは△BCAの1/3だ。
 底辺QRに対してそれに対応する△ABCの底辺はACだから頂点の位置関係がさかさまになってしまう。頭の中で図形を反転させる操作ができないとむずかしい。女生徒はこういうイメージ操作がなかなかできない。この生徒は図形イメージを脳内で動かすトレーニングはしてきたし、できるようにはなっていたが、パニックに陥ったことで培った技能が使えなかったようだ。不安の心がわくと脳が突然に「金縛り」状態へ移行する。「この問題はむずかしい問題だ、とてもできない」という心の状態が生じたら、もう解けない。
  しかし、等積変形の応用問題だと気が付かなくても別の方法がある。△ABCから△RPCと△BQRの面積を引き算する方法だ。残りは平行四辺形になるが△APQはその半分。△PRCは辺の比が1/3だから面積比は1/9、△BQRは辺の比が2/3だから面積比は4/9、この輪を1から引くと4/9、それが平行四辺形の面積、求める三角形はその半分だから2/9ということ。こちらも単純だから暗算で30秒あれば十分だ。デカルトの『方法序説』には科学の方法の四つの規則が挙げられている。その中に、「必要なだけの小部分に分割する」という項が出てくる。この場合は元の正三角形ABCをその中にある正三角形二つと、平行四辺形の三つに分割すればいい。複雑な問題は必要なだけの小部分に分割することで、単純な問題に還元できる。これも繰り返しトレーニングを積んできた。それが発揮できなかったのはあることがプレッシャーとなったからだろう。半年後にはそういうプレッシャーが常時かかるので、今回試す必要があった。その結果、学力テスト総合Cでメンタル面に課題のあることがはっきりした300点満点で学年2位との差がいつも50点開いているし、五科目全部が学年トップのことも何度もあったが、メンタル面に懸念があったので確認したかった。そういうときに機会が向こうのほうから訪れた。

 なぜこちらの方法が見えなかったのか?それは△ABCと△BQRと△RPCが相似であることに気が付かなかったからだ。一つの問題に3通りくらいは解法があることはふだんの勉強で何度も解説しているからわかっていたはず。だから糸口が見つからない問題なんてめったにないのだ。社会人になったら仕事では糸口の見つからないものがいくらでもある。それを見つけるのはある種のセンスだ。"the 6th sense"
  これからも良問に出喰わしたら、問題集にある解法とそこに載っている別解のほかにスマートな解法を時間をかけて何度も研究してみることだ。
 そういう作業を繰り返すことで十分勉強したから必ず解けるはず、というところへ気持ちの切り替えができたらすばらしい。お化けは出てこなくなる。

<不安がお化けを生む>
  なぜこういう見落としミスが続けて起きたのか?心に不安があったからだと思う。「シリウスと学力テストは問題傾向が違う」と言った。ふだんからそう感じていたようで言い出しにくかったのだろう。遠慮は無用なのだよ。学力テストで問題傾向が違っているからできない問題があり、そのせいで数学満点が取れないと思い込んでいたようだ。(それでも学力テストでは一度だけ数学満点を取ったかな、もちろん難易度の低い定期テストでは何度も100点をとっている。)
  こうした勘違いの思い込みは怖い。心の不安は、その不安が種となり、芽を出し、現実となる、それが心の作用の怖いところ。

  使っているシリウスの標準問題集は都立高校(進学校=毎年10人前後の東大合格のレベル)受験でも十分対応できる難易度だから、これを消化して北海道の学力テスト問題でできない問題はない。それでも同じ問題集を3ラウンドやらなければ「わかる」から「できる」状態にならない。標準問題は考えなくてもできるところまで練習しておけば、新傾向の問題に遭遇した時に考える時間的余裕がもてる。そういう「糊代(のりしろ)」を確保しておくことが受験には重要なのだ。2ラウンド目はマークを付けた1/10から1/20くらいの問題をやればいだけ、3ランド目は1/30くらいの問題にしかマークがついていないから、初回の1/30の時間で消化できる。初回に1年かかった問題集なら、2ランド目は1か月でやれる、3ラウンド目は2週間だが、それをやっていなかったということ。なぜやれなかったかは理由がある。この生徒固有の問題が潜んでいるので、あとでちょっとだけ触れるつもりだ。
 不安があるから「お化け」を見てしまい、パニックになる。じつは簡単な問題がトレーニング不足から解けないだけ。出題傾向が違うせいではない。今回の2次関数の問題も図形の問題もありきたりで、標準的な難易度の問題に過ぎないことはいままでの解説で明らか。納得いくように繰り返しテスト問題の具体例で説明してやればいい。

 ところで、この生徒の場合、不安が起きるとすぐに体が反応し体調に現れる。昨日来たときは、寒気がして抜けない様子、免疫が下がって風邪をひいたのだろうか、ストレスに敏感な質(たち)だ、神経が繊細なのは長所と考えよう。長所を維持しながら、ストレスに強くなれたらいい。

<心のコントロールはどうやればいい?>
  心を心でコントロールはできない。体と呼吸を整えたら、心は自然に平常心へ回帰するもの。もっているスキルがそのまま自由自在に使える。呼吸を数えながら歩くもよし、短い木刀を毎日100回振るもよし。歩きながらやるなら、吸気しながら3歩あるき、息を吐きながら5歩あゆむ。それに慣れたら、歩数を増やしていく。5歩あるきながら吸い、10歩あるきながら吐く、息は流れるようよどみなくする。とくに吐く息に注意し、全部吐き切る、そうすれば吸気は自然に起きるから、新鮮な外気が肺を満たす感覚を味わう。呼吸に意識を置くことで雑念が消え、平常心になる。慣れると、教室で数回ゆっくり深呼吸するだけで平常心を取り戻せるようになる。心は呼吸でコントロールする
  「家にある短い木刀を毎日100回無心に振れば精神が強くなる」と伝えたが、笑って相手にしない。「そんなことありえないよ、先生」と生徒。言ってもわからない時があるから時期が訪れるまで待つだけ。受け入れる準備ができたらもう一度話してみたい。
 頑固なところがあるのはいいことだ、あはは。

<不安の種を探る>
 不安が兆す原因はわたしの診るところではもう一つある。この生徒は1年先行学習をしている、つまり、中3で高校1年の数1・Aや高校英語教科書を使って勉強している。数学はセンター試験レベルだし、英語は高校教科書は使っているが、単なる材料で大学受験を超えた精読をしている最中だ。
(中3のシリウス英語問題集をやり終わって、9月から始めたが、予定通り3か月で1年生の教科書を終わりそうだ。2年と3年の教科書はそれぞれ4か月かける。11か月で高校教科書を終わった後は、ジャパンタイムズ記事を教材に取り上げる。ついでといってはなんだが、大学院入試レベルが到達目標である。あ~あ、わたしが中学生になってニムオロ塾に通いたい。)
  そういうわけで、学力テスト範囲は1年前に終了しているから、テスト2週間前から問題集に印をつけてある問題だけをもう一度やっている。3回やれといっているが時間が不足してやれていない。テストの前だけテスト範囲のみをやる。どうしてこういうことになるのか理由がある。土日は基本的に勉強時間が取れないからだ。平日の毎日3時間勉強するとして、土日を8時間ずつやれば、週に31時間である。土日ができなければ半分の15時間しかできない。これでは先行学習して印をつけた分の復習が十分にやれない。印がついているのは1/10から1/20程度だ。学年トップをとりたければ他の科目もやらなければならないから、平日の勉強はそちらに割かれる。時間に無理があるのだが、土日に勉強時間が取れないのは家庭の方針だから、それはそれでいい、失うものがあるが得るものもある。しかし、そうした生活習慣を変えない限りこの生徒の不安の種は尽きない。変わるときが来れば、自然に変わるものだから、無理はしない。そこいらあたりはebisuはとってもルース(緩い)なのだ。型にはめられるのが嫌いだから、生徒を型にはめるのもいや。

<心の不安を消すには?>
  中学生になってから最初のテスト2回は500点満点の五科目合計点で2位との差が1点、2点だった。あのころに比べたらこの生徒はずいぶんと学力を伸ばした。弱点だった国語や社会も学年一位のことが多くなっている。3年生になってからは300点満点で学年2位との差が50点に拡大している。これらは100%本人の努力のたまもの、立派な実績である。
  そういう過程を経ていまがあるのだが、ステージが上がって次の問題が見えてきたことも事実である。テスト範囲の相似の章は自力で予習しながらやったが、何とか理解できただけ。複合問題になると相似は難問がつくりやすいから、センスが働かなければ糸口が見つけられずまったくお手上げになることがあることがわかった。理解した後、標準問題を軽々と解けるようになるには、トレーニングが必要だが、その時間が十分にはとれない。だから、心の奥底に不安が芽生えてしまう。時間が足りないことは本人が一番よく分かっているから、お化けはそこから出てくる。
  心の弱さは誰にでもあるから、大学受験に合わせてその欠点をカバーするつもりで教えている。高校2年中ころまでに、センターレベルの数1Aと数ⅡB、そして数Ⅲを終わっておき、2年生の秋ころから印をつけた問題を3ラウンドやると同時に、難関大学向けの問題集を3ラウンドやり切ったら盤石の自信が生まれる。そこに焦点を合わせて指導をしていた。だから、「中学時代は学年1位にこだわるな」と言いつづけてきたが、よい意味で頑固者だから先生の言うことは聞かぬ。自分の我を押し通すが、思春期をまっとうに通過しているだけだからそれでいい。心の成長にはこういう過程が必要だ。この時期に親の言うことも先生の言うことにも素直に従って育ったのでは、弱い心のまま大人になる。真っ当に育っている。
 よく東大理Ⅲに子どもを3人とも入れましたという母親がテレビに出ているが、分刻みでのスケジュール作成・管理でがんじがらめにする育て方はわたしには阿呆にしか見えない。社会に出てから大丈夫か?長年やっていたことは習慣となり性格の一部になってしまっている。社会人になってから仕事のスケジューリングや管理をできるのか、やったことがないことはなかなかできないもの。そして習慣化したものや性格の一部になってしまったものを取り除くのは容易なことではない。

  昨日は中3シリウス問題集をもってきた。2週間後に定期テストがあるから万全の準備をしておきたいと主張するから、納得がいくまで徹底的にやったらいい、それまで高校数学は中止でいいと伝えた。大学受験に焦点を合わせて欠点を克服する戦略が崩れるリスクはあるがここは辛抱だ、臨機応変に手を考えたらいいだけ。ふんわり受け止めてやるのみ。さて、いままでの勉強のスタイルでは限界がはっきりした。生活習慣も含めてどうやって乗り越えるか、ここから先は本人の問題、成長が楽しみだ。

<それぞれの悩み:学年トップでも学力に関する悩みはある>
  学年トップが勉強に悩みなんかあるはずがないと思っている人が多いだろう、そうではないのだ、悩みのない人間はいない。学力に優れていてもそれはそれで悩みがあり、ときに深い。他の学校の学年トップもそれぞれの悩みを抱え、自分と闘いながら日々勉強しているのだろう。
  学校の授業は低学力層に焦点が当たっているから、学力上位層はスポイルされている。したがって、独力で勉強するしかないから、他の学校のトップレベルがどの程度の点数を取り、どういうことで悩み、どのような学習の仕方をしているのかを知ることでさらなる学力アップへの道を切り拓くことができれば幸いである。
  ブログを書きながら、そういう人たちが大学を卒業して十数年都会で能力を磨き根室に戻って来れるようになったらいいなと、夢見ている。


<2年生の数学の問題がむずかしかった>
  中2の生徒が数学の問題がむずかしかったと言っていた。テストはまだ返却されていないので見ていないが、学年トップが60点(百点満点)だという。この生徒はB中学校。 英語が苦手で点数がとれなくなって1年生の12月に入塾した生徒M君だが、すっかり弱点を克服した、いやそれどころか得意科目に変えた。英語は学年トップのことがある。部活が忙しいので勉強時間が確保できないのが悩み。
  本を読む時間的余裕もない。本は時間の余裕のある時に読むべきものなのか、本を読む時間を様々なことよりも優先させて時間を作るべきものなのかは、個々人の生活スタイルや価値観に依存している。
 ニムオロ塾では月に2回(90分×2)日本語音読トレーニングしているが、最近ずいぶん上手になった手ごたえがあったM君は結果を出した。そして課題も具体的な形をとって現れた。他の人たちへの参考になるだろうから、その課題については稿を改めて書くつもりだ。M君は学力テストの国語の点数が60点台から初めて80点台へアップしている。日本語読解力が強化されたことによるので、他の科目へもきっとよい影響が出る。国語も数学も社会も理科も英語も教科書を予習するときに必要な力は日本語読解力である。
   日本語読解力=読みの正確度×読みの深さ×読む速度
  日本語音読トレーニングは、読みの正確さをチェックしながら読む速度をアップするトレーニングである。ときどき解説を入れて、読みに深さの違いを体感させている。

<急成長中の3年生の生徒>
  C中学校の中3数学は、7月半ばから来ている生徒がどうやら数学だけ学年トップだったようだ。四月学力テストと比較すると数学と英語はそれぞれ10点以上アップしている。ここまではわたしの予想した通りの展開。ここから先のステージは自分で切り開かなければならないから本人次第、塾先生にやれるところはほとんどない(笑)。苦手科目の理社から逃げているが、そろそろ問題集1冊選んでやらなければ、五科目合計点の伸びが頭打ちになる。さて、苦手科目から逃げる怠惰な自分とどう向き合って成長するか楽しみだ。K君、期待に応えてもらいたい。

  ニムオロ塾では生徒それぞれの問題点や課題そしてチャレンジの具体的なやり方については、授業の合間に対話している。もちろん進捗状況もチェックする。


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#3517 授業進捗管理の陥穽 Mar. 4, 2017 [さまざまな視点から教育を考える]

<更新情報>
3/6 午前0時 投稿欄から転載
3/6 23時  < B中2年生の過去3回の学力テスト数学の平均点の推移 >


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陥穽:①おとしあな。わな。「人もわれも尤も忌み嫌へる死は、ついに忘する可からざる永劫の陥穽なることを知る/虞美人草 漱石」・・・大辞林より
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 特定の学校の特定の教科を採りあげ、担当教員と学校管理職の仕事のありようの問題を分析してみます。こういうことは根室市内の中学校ではごく普通にあると受け取ってくださって結構です。2校を採りあげていますが、1校はデータがないので書いていないだけで、状況が2校より良いかどうかはわかりません。
 特定の先生をつるし上げる意図はないので、その点は誤解のないようにお読みください。授業内容のチェックや授業の進捗管理にシステマティックな問題があることに注目していただきたい。同じ問題が来年再び起きないことを願いつつ書きます。

 C中学校は1・2年生の学年末テストを3/3に終了し、B中学校は3/7・8に実施される。
 C中は2年生数学のテスト範囲から、最後の章「第6章 確率」が除かれていた。156-174ページまで19ページ。B中もC中も2月末で教科書を終わっていない。
 4月から2月末まで11ヶ月だが、夏休みと冬休みを合計2ヶ月とすると賞味9ヶ月で、8-155ページの148ページをやったことになるから、月平均16.4ページである。確率の章は19ページだから、比例計算すると1.2ヶ月かかるのだが、そこをたったの「3時間」でやったことにしてしまうのがB中学校の先生。C中学校の先生は年度末テストが終わってからやるのだろう、2週間ほどだ。かくして、2年の総復習期間はゼロ。四月の学力テストで1次関数や確率の問題の正答率が低くなるのは当然である。そこだけで終わればいいが、根室高校普通科1年生の数Aで「順列・場合の数・確率」が再度でてくるが、中学校の授業の進捗管理がいい加減なので、ほとんど全員が苦手科目となっている。理由はもうおわかりだろう。中学校の授業の進捗管理の拙(つたな)さと手抜き授業が主要な原因である。

 B中では数学担当の先生が確率の章を3時間でやると生徒に伝え、月曜日に予定されている1時間で計3時間で19ページをやるようだ。すでに2時間やっているが、定期テストが90点を越えている生徒でも、学校の準拠問題集にある解説を読んでも理解できない問題がいくつも出てくる。最近行われた学力テストで80点に近い得点の生徒(80点以上は学年にたった5人)も同様である。わずか3時間で終了と聞き、理解できるわけがないので生徒を呼んで今日(3/4土曜日)補習した。確率は教えるのがむずかしい章です。成績上位生には数Aの内容まで踏み込んで教えます。その方が理解が慥かですから。
 
(3月6日13時45分追記:B中学校の数学担当の先生は確率の章の前半部分156-164ページを3時間でやり、残りは試験が終わってから消化するつもりのようです。)

 数学の授業がこんなことになっているなんて、教頭先生も校長先生もご存じないというのが学校というところ。民間会社なら上司へ報連相があり、適切に処理されるから、このような事態はあまり起きない。B中学校の管理職はテスト範囲表に「確率の章」が入っているから、まさか19ページを3時間でやったことにするなんてことは知りようがない。C中学校は範囲表をちゃんと見ていたら気がつくはずだが、気がついた気配がない。事前に気がついたら、教頭先生や校長先生から教科担当に叱責があるはずで、放課後補習を組んでもちゃんと年度末テスト範囲に確率の章を入れたはず。それが学校管理職としてかれらの重要な仕事、それが機能していない、わたしの言っていること間違っていますかね?言っている事はきついですが、言わないと来年も同じことになるので、あえて書いています。本音はこんなことは書きたくない。
 
 ついでだから、どこの学校とは言わぬが英語についても書いておきます。2年生の「プログラム8」が冬休みに宿題にされた。「新しい文法事項が出てこないので」という理由で宿題にしただけで、すっ飛ばした。2年の教科書には「Extensive Reading」が4ページ載っているが、やらないようだ。英語はたくさんの文を読むことで力がつくから、授業で端折ってはいけないところだとわたしは思う。
 3年生の教科書には同じものが3本、11ページ載っている。ページ数は1割だが、ボリウムは2割ほどある。どの学校もここをやらない。10年前はちゃんとやっていた。いつのまにかルーズになっている。どうして英語授業がこんなにルーズになったのだろう。道立高校入試英語問題がこの4年間ほど難易度が急低下したことと相関がありそうな気がしてならない。ルーズな授業でも入試問題が解けてしまう。水と同じでは困る、教育は高い方に向かって流れるべき。

 年間授業スケジュールを作成して管理職がチェックしているのではないかと思うが、現実はその後のチェックが有効になされず、教科担当に任されっぱなしになっているのではないか。民間企業では簡単にできることが学校ではひどくむずかしいようだ。どうすれば学校で内部牽制がシステマティックにできるのだろう。

 授業の進捗管理や授業内容が教科担当に全面的にまかされて、学校管理職が管理していないように見えること、あるいは管理のしようがないことの他に、勤労観が大きく影響しているように思えてならぬ。
 教師が「教育労働者」だと定義すると、自分を労働力商品として時間で売っていることになる。授業の手を抜けば抜くほど、時間当たりの賃金が相対的に高くなるのは、インテリの先生たちは先刻ご存知だろう。無意識にそうしている。このような不健全な勤労観をもっていたら、まじめに、精魂こめて授業をすればするほど、損をするような気がするのではないか?どれほど一生懸命にやっても給料やボーナスが同じだから、手を抜けば抜くほど得になるような気がするのは自然なことだ。
 日本人には本来、「労働」という概念はない、あるのは「仕事」である。労働はイコール苦役である。苦しいだけで楽しくないし、なるべくしたくないことというのが労働。江戸時代の文献に「労働」という用語は見つからないと思う。
 斉藤秀三郎著『熟語本位英和辞典』は84年前、1933年が初版である。そこにlabourの訳語が載っている。
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labour:<名詞>労働。労力。労役。(より)労力を要する事業。骨の折れる仕事 ②資本に対する労働 ③生みの苦しみ。分娩。陣痛。いきみ。
<動詞>労働する。②働く。尽力する。労力する。骨を折る。努める。勤労する。 ③苦しむ。悩む。憂うる。辛苦する。
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 何が言いたいかというと、「労働」なる語は、labourの訳語として生まれたということ。その原意は「苦役」である。「教育労働者」と自己限定すると、授業は苦役であり、楽しくないもの、忌むべきものになる。
 日教組や北教組のいう「教育労働者」という教員の定義はまことに罪が深い。
 仕事は「職人仕事」にみられるように、自己の持つ最高の技倆を発揮することで成し遂げられる。授業の職人であるという自覚と仕事観をもっていたら、こういうルーズな仕事ができるだろうか?

 根室の先生たちのおよそ半数は「教育労働者」として労働しているから授業内容や授業の進捗管理がルーズになるのではないかというのがわたしの假説だ。もちろんちゃんとした授業、進捗管理をしている先生はいる(たとえばC中学校、別海中央中学校長(学力テスト全国平均クリア)、もちろん他にも何人もいらっしゃるだろう)のだが、とても半数にはならない。市街化地域の3中学校で授業参観を8回したわたしの感想だ。
 B校とC校は学力テストの平均点が下がっている、その低さは「危機的」と言ってよい。具体的なデータは弊ブログをググれば出てきますので、関心のある方はご覧ください。

 反論があればどうぞ投稿欄へ書き込んでください。オープンな議論を歓迎します。

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仕事:①するべきこと。しなければならないこと。②生計を立てるために従事する勤め。
  ・・・大辞林より
------------------------------------

 学校の先生とは「教育の職人」である。
 日々自分が教える科目の専門知識の更新を怠らず、広い教養を身につけ、生徒の指導に当たる、なかなかたいへんな仕事です。初心はそうだった先生が少なくないのでは?

     「初心忘るべからず」

 いい言葉です。

*<この記事の閲覧期間は3月6日午後10時までと今のところ考えています。必要な方はコピーをとってください。再アップは一ヵ月後の4月4日を予定しています。>

 閲覧停止措置の必要がなくなりましたので、このままにしておきます:3月6日22時53分追記

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< 3/6 午前0時 投稿欄から転載 >
 もう14本も投稿がありました。気がついたことがあり、データも一緒に書き込んだので本欄へ転載します。(一部加筆)
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2年生だと多項式の加減乗除、連立方程式の計算問題のあたりに時間を掛けすぎるのは、生徒たちの基礎計算能力が低いからなのでしょう。時間をかけざるをえない。そのあとは連立方程式の応用問題、1次関数、三角形の合同、平行線と多角形、確率と内容がずっと難しくなります。生徒の学力が低くて教えきれなくなるのでしょう。学力テストの得点分布をみると、そうした傾向が読み取れます。

2月の学力テストの数学の平均点はB中が51.3点、C中が36.8点ですから、平均点で14.5点も差があります。五科目合計点ではB中250.3点、C中216.1点、差が34点も開いています。B中は数学と国語が顕著にあがりましたC中は30点以下が48人中17人で、3人に1人の割合でいます。B中は56人中9人のみ
B中がテスト範囲に確率の章が入っていて、C中はテスト範囲から除外となったのは、こういうことも影響しているようです。

学力テスト数学の平均点が40点以下だと生徒の学力が低すぎて、部活を停止して強制的に放課後補習でもしない限り、教科書の内容を2月末までにすべて消化するのは無理だということかもしれません。

それならそうと学力テスト結果をモニターして、それなりの対策を打てばよいだけです。

普段の学力テストデータすらモニターしていない根室市教委の仕事に対する甘さ、怠慢が対策を遅らせています。モニターすべきでしょう。
平均点が40点を下回ったら、学校と市教委が具体策を協議すべきかもしれませんよ。

根室の町の発展はの鍵は教育です。根室に残る子どもたちの学力が長期にわたって低迷していたら、地元企業は生き残りが困難になります。
by ebisu (2017-03-05 23:54)
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 < B中2年生の過去3回の学力テスト数学の平均点の推移 >

 4月  34.8
 11月 43.1
 2月  51.3

 初任2年目の先生だそうですが、根室に戻って開塾してから15年目、1年間でこれほど平均点を上昇させた先生は初めてです、ほめたいと思います。来年は年度末テストの前に教科書全部を終わらせてください。やれるでしょう。


< 必見! >
*#3519 数学の授業時間数を増やせ!:B中学校とC中学校2年生学力テストデータ比較 Mar.8, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-07


#3510 学力は道徳心や郷土愛と一体であれ! Feb. 21, 2017 [さまざまな視点から教育を考える]

 2月19日に「釧路の教育を考える会」(角田憲治会長(元釧路教育長))の集まりがあった。FMくしろの教育ラジオ番組「ストップ・ザ・学力低下」のタイトル変更がメインテーマだった。今日(2月21日)が第122回目、いままでは「釧路の教育を考える会」のメンバーが交代で出演してきた。順番が回ってきてわたしも2度出演したことがある。
 2012年12月に基礎学力保障基本条例が制定されて5年目に入ったし、学力も低下傾向は脱したようにも見えるので、タイトルを変更し、市教委やJCの協力を得て、一緒にやっていこうということになって、調整を進めている。
 FB上の掲示板で番組タイトル案がいくつか示され、会議で4つの案を並べて話し合った。「気分上々!学力向上!」の案に賛成が多かったので、それを俎板に載せた。口ずさんでみて、順序を逆にした「学力向上!気分上々!」がいいだろうということになった。

 市教委とは「学力向上」でいいのだが、JCさんがやりたいテーマは「道徳心や郷土愛」なのだから、JCさんとすりあわせをするということで話が決まった。

 学力が高いということは一つの武器で、それが私的利害や悪意に利用されると害悪も大きくなる。学力は善良な心に支えられなければならない。
 基礎的学力である「読み・書き・算盤」や高度に専門的な学力は大和心に支えられてこそのものである。日本人は「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という商道徳を世代を超えて伝えてきた。学力を上げると共に、私的利害に拘泥せず、世間とか郷土という公的なものへ貢献するという心も育て、鍛えるべきなのだろう。
 そうして考えると、学力は道徳心や郷土愛とセットではじめて十全なものになると考えられるのである。このことは釧路市基礎学力保障条例にある「教育目標」そのもの。

 ○ふるさと釧路を愛し、活力あるまちに奉仕する人づくり
 ○伝統と文化を大切にし、主体的に学びつづける人づくり
 
 学力向上に心の充実が視野に入ってくるというのはまことに喜ばしい、四月からの新番組に期待したい。

 FMねむろは10年ほど前には教育に関する番組をやっていたことがある。
 釧路に比べて根室市議会は教育に関する関心や議論に乏しい、しかし、教育と道徳は地域繁栄の礎(いしずえ)である。

 根室人は現状打破する意思ありや?


*「第3763回 学力向上!気分上々!」 釧路市議会議長月田さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/gekko946/archives/51833813.html

*基礎学力保障条例
https://www.city.kushiro.lg.jp/common/000043831.pdf

*「次のステージへ(地域を愛し、国を愛す)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8755210.html


〈 余談:ナショナリズムとパトリオティズム 〉2月22日夜追記
 弊ブログ#1030で採りあげたので、そちらをごらんください。
*#1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』May 17, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17

*#1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳 May 16, 2010
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16




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#3490 勉強と研究はどうのように違うか:生物物理化学の先端 Jan. 6, 2016 [さまざまな視点から教育を考える]

 明けましておめでとうございます。平素は弊ブログをお読みくだりありがとうございます。今年もよろしくごお付き合いください。

 「釧路の教育を考える会」で12月28日に会員限定の講演会がありました。
 講師は九州大学大学院農学研究院教授の角田佳充(かくたよしみつ)氏です。生命機能科学部門生物機能分子化学講座生物物理化学研究室がご担当。
 いまご自分が取り組んでいる研究テーマを専門外である「釧路の教育を考える会」会員にわかるように説明してくれましたが、どの程度理解できたのか不安です、しかし生命化学分野の研究が楽しいことは聴いていた人たちによく伝わりました。

 遺伝子操作した蚕をつかって生糸の代わりに目的蛋白質を作らせ、それを沈殿させて結晶化する。ついで、その結晶構造をX線回折(X‐ray diffraction、XRD)を利用して調べ、基質の結合部位の構造にぴったりの反応物質を見つけるのだそうです。話題になっていたのは真菌でした。たとえば水虫です。真菌とはカビのことです。細胞膜の糖鎖に結合する部位を埋めてしまえば真菌でもウィルスでも細胞への感染をブロックできます。細胞内に進入できなければウィルスは増殖できません。
 ネットで関連する学術論文を記事を見つけたので、貼り付けます、こちらをご覧いただけばわたしの下手な説明よりもずっとわかりやすいでしょう。
 
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<ウィルス感染における糖鎖の役割>
一方、宿主細胞膜上の糖鎖は、極めて多様であると同時に、極めて高い種特異性を持っている。また、全てのウイルスは、宿主細胞中でのみ増殖するため、必ず宿主(細胞)域、宿主特異性を持っている。ウイルスが宿主特異性を発揮する機構を調べていくと、それが、宿主細胞膜糖鎖の特異性、多様性を反映している場合が極めて多いことに気付く。我々は、その表現系として、多くのエンベロープウイルスが宿主細胞膜の糖鎖を特異的受容体として認識・結合する事実を明らかにしてきた1-6。さらに、極めて抗原決定領域の変異が起こりやすい、例えば、インフルエンザウイルスの場合でも、受容体糖鎖への結合に関わるスパイクタンパク質上の受容体結合ポケット内の変異は起こりにくいことも見いだしてきた7。これらの事実は、受容体糖鎖の疑似化合物による受容体結合ポケットのブロックは、変異を克服出来る画期的抗ウイルス薬のシーズとなり得ることを意味している。従って、様々なウイルス感染において、糖鎖の役割は極めて大きく、且つ多様であり、糖鎖を標的とした抗ウイルス薬の開発は非常に有効であると位置づけられる。

<糖鎖ウィルス学>より引用
http://glycoforum.gr.jp/science/glycomicrobiology/GM01/GM01J.html#III
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 目的真菌や病原ウィルスの構造の解析までが大学でやる基礎研究で、そこから先は製薬メーカの仕事になります。
 農学はバイオの先端分野を含んでいます。生命科学分野を志望する高校生諸君は農学部も視野に入れていいのです。この分野は医学部と農学部と工学部のどこからでも入り込める研究分野です。

 X線は波長が短いので、X線回折データを利用して原子レベルの結晶構造を3次元画像として表示できます。これが驚きでした。コンピュータの性能向上があったからこのようなX線回折データから3次元画像処理が可能になったわけでして、DNAの螺旋構造もそのまま見れます。X線電子顕微鏡の分解能は原子レベルなのです。
 鞭毛の根元のところに生物モータがあって、歯車の構造をしており、それが回転することで鞭毛が動く、そういう構造の稼働状況を3次元画像で見ることができる時代なのです。生物物理化学とはそういう分野なのです。高校生がこういうことを知ったら、理系に進もうという生徒が増えるに違いありません。
 釧路湖陵高校出身ですから、母校から要請があれば、角田教授は1時間の講演に応じてくれるでしょう。「釧路の教育を考える会」の角田会長のご子息です。

 ebsuは1984年に国内最大手の臨床検査センターに上場準備要員として入社して、統合会計情報システム開発をやる傍ら、2年間は300億円の予算編成統括業務と予算管理業務、固定資産管理台帳の整備および上場要件を満たす固定資産管理システム開発を担当していました。全固定資産チェックのために八王子ラボの検査機器を全点実地棚卸ししました。プリントアウトした固定資産台帳の厚さは8cmほどもありました。何しろ日本一の特殊検査ラボですから、置いてある機器の総額は当時でも百億円を超えていました。丸々三日がかりです。質量分析器、液体シンチレーションカウンター、原子吸光光度計、液クロ、ガンマーカウンター、日立製血液自動分析機、カールツァイスの蛍光顕微鏡、レーザラマンなどさまざまな道具の中に、タイプの異なる電子顕微鏡が2台ありました。そのうちの一台がX線電子顕微鏡でした。こんなチャンスは滅多にあるものではありません。現物を全部、仕事で見られるんですから。開発に2000万円も掛けたけど、ブルーシートが掛けられている機器があったので、現場の担当者に質問すると、「ラボ副所長がやりました、使い物になりません」というので、「わかった、年度末に廃棄処分届けを出してください、上場準備のために不良固定資産は処分するので、経理部長とY専務には問題にしないように根回ししておきます」、そう伝えたら、ほっとした顔をしていました。入社したばかりですが、固定資産の整理は全部任されていましたから、自分の一存で決定できたのです。あとは部長と専務に報告しておけばいいだけでした。本社管理部門はラボの機器開発の稟議書を見たって判断がつかないのです。稟議書にメクラ判を押していました。固定資産の管理業務を任されてからは、購入協議書は全部わたしが目を通し、現場と調整しました。統合システム開発も、固定資産台帳の整理と投資案件を結合させた固定資産管理システムを開発して1年間運用を済ませたので、入社2年後にはラボの購買課へ異動して検査試薬(材料費)のコストカットとラボ固定資産管理業務の改善と購買在庫管理システムの改良2年半担当しました。新しい業務デザインをしてシステム化する都度、マニュアルを作成、引継ぎができるようにしてありましたから、学術開発本部への異動がスムーズに行きました。ひょんなことからそういう成り行きになりました。仕事が暇なのでチョムスキーの『Kowledge of Language』を読んでいたら、通りかかった学術開発本簿担当取締役のI神さんから、「何読んでいるんだ?」と問われて答えると、翌日電話がかかってきて応接室で話がしたいというので、行くと「俺のところに来ないか?」と誘いがかかったのです。原価計算システムの改善がらみで購買在庫管理システムの関連部分の仕事も終わっていたし、改善した業務は全部その都度マニュアルを作成してあるので、引継ぎは1日で済みます。わからないところがあれば、同じラボにいますから、マニュアルを持って訊きに来ればいいのです。そういう経緯で異動しました。
 業種の異なる会社、さらに同じ会社で異質な部門を渡り歩いて、日本資本主義の労働の現実を体験し、西欧経済社会と日本の経済社会はどこがどのように違うのか、スミスやマルクスの労働観は日本にも通用する普遍性があるのか、確かめたかったのです。
 海外製薬メーカのラボ見学対応と開発部の検査試薬開発業務とPERTチャートによる作業手順とスケジュール管理標準化、精度保証部のCAPライセンス(米国臨床病理学会精度管理基準によるチェック=世界一厳しい品質管理基準)対応業務、沖縄米軍要請による出生前診断検査に関わるシステム構築(2週間)、慶応大学産婦人科教室との出生前診断検査(3項目の検査による多変量解析検査MoM値)に関わる日本人標準値共同研究のラボ側コーディネイト業務、臨床病理学会と大手6社の日本標準臨床検査項目コード協同研究*への参加、これらが在籍した2年間の主たる業務でした。
(*これは「臨床診断支援システム開発事情」の10項目のジョブの内のひとつ、コードの標準化ができなければ、臨床診断支援システム事業化ができません。大手六社の協同検討会の第1回会議のときに、臨床病理学会項目コード検討委員会との共同検討会を提案し委員長の櫻林郁乃介先(当時SRL顧問)を巻き込みました。85年に櫻林先生から臨床病理学会項目コード検討委員会の仕事のお手伝いを頼まれたことがあったのです。だから、先生は二つ返事で喜んで了承してくれました。なにしろ、大手六社のシステム部門と学術部門が実作業で全面的にバックアップすることになったのですから。櫻林先生もebisuもラッキーでした。いま全国の病院でその臨床検査コードが使われています。もちろん、市立根室病院でも、わたしの主治医の医院でも使われています。保険点数が改定されるたびに、SRLがコード管理事務局になっているので、新コードと保険点数がセットになったファイルがネットで配信されているはずです。2年毎の保険点数改定の都度、全国の病院で入力作業が生じていましたが、それがなくなりました。1993年ころからそうなったはずです。社内公募のあった関係会社管理部への異動は、副社長のY口さんがラボまで来て、硬く口止めを言い渡されていたので、I神取締役に話ができず、異動が発表になったときに、えらく叱られました。Y口さん、「この話はI神さんへ報告したらなくなる、だから話すな」、そう言ったのです。新設される部門にとってはわたしのスキルが不可欠だったので、わざわざ副社長がラボまで出向いて来たのです。関係会社管理部で、子会社および関係会社6社の経営分析と、新システム導入支援、取引先である臨床検査ラボの経営改善支援業務および買収交渉業務を担当し、そのうちのひとつである福島県の臨床検査会社へ黒字転換のために3年間役員出向することになります。経常利益率が15%を超えるようなドラスティックな経営改善案をつくり、親会社へ最終承認をもらいに説明に行くと、創業社長のF田さんとY口副社長が二人そろって待ち受けていて実行ストップを命じられて、15ヶ月で親会社へ帰還命令がだされました。グループ会社で業績ナンバーワンになってしまうので、不都合だったのです。F田さんとY口さんは、赤字が黒字になるはずがないから、2年くらいで更なる資金応援要請がでて、役員を入れ替えて子会社化できると踏んでいたのでしょう。だったら、子会社の千葉ラボの黒字化に重要な役割を果たして実績をあげたわたしを役員として派遣したのは間違いでした。まったく別の方法で黒字転換する案でした。ラボのシステム入れ替えで生産性を2倍に上げることは簡単でした。出向1年前にやった仕事でしたから、造作もないこと。それではつまらないので、まったく別な黒字化案をつくりました。染色体検査分野に鍵がありました。)
 1984年に導入した富士通の国内最大規模の大型電子計算機でもMM(メインメモリー)はメガ単位でした。3メガ増設するのに5000万円かかった時代です。
 いまパソコンに4ギガバイトのMM増設をするのに5000円ですから、MMの価格は1/130万に低下したことになります。この30年間のコンピュータの性能向上と価格低下はすさまじいものがありました。1984年当時はX線電子顕微鏡のデータを画像処理できるコンピュータなど存在していませんでした。1984年に日本国内で動いていた汎用大型機のMMの合計と現在のパソコン1台のMMの大きさとほぼ一緒でしょう。

 構造解析された基質の結晶画像が何枚も映っていました、これだけでもわたしには感動ものです。結晶構造を解析すると、基質の構造にあわせた阻害剤の構造がわかります。その穴を埋めてしまえば、細胞膜にあるレセプター糖鎖に接合できなくなります。接合できなければ細胞内に入り込めませんから増殖できません。レセプターを他の物質で塞いでしまえば真菌も病原ウィルスも細胞内に侵入できません。
  ウィルス感染症にも目的ウィルスの基質の糖鎖結合部位を埋める物質=阻害剤が開発できれば特効薬がつくれます。そこをブロックしてしまえば、細胞に感染できません、面白いでしょ。

 構造的にマッチングする物質を探すのが次の作業になります。世界の巨大製薬メーカ各社がしのぎを削って化学物質や酵素の構造データ情報を検索可能なライブラリーとして蓄積しています。スーパーコンピュータでマッチングを行うことで、ターゲット物質のスクリーニングができます。候補を絞り込んだ上で実際に実験しますから、新薬開発効率が格段によくなります。鍵と鍵穴の構造がぴったり同じならOKですから、目的菌やウィルスの蛋白質の構造解析データが重要なのです。

 構造が似ているものは働きも似ています。「収束進化」といいます。魚類であるサメのヒレと哺乳類であるイルカのヒレの形態が似ているのは水の中で同じ機能を果たすからです。構造が似ているものは働きも似ているのです。収束進化に対して発散進化があります。酵素や遺伝子の進化をイメージしてください、動物の進化の先端にさまざまな生物がいますが、人間もその中のひとつです。

 赤外分光光度計で測定した物質が何であるかは、ライブラリーがあってそれと測定データをぶつけて判定します。だから、赤外分光光度計を選択するときにはライブラリーの網羅性の大きさが問題になります。ライブラリー情報はメーカの財産です。
 ウィルス阻害剤や真菌阻害剤などの新薬の開発に直結するので、大手製薬メーカはさまざまな酵素や化学物質の構造解析データを競って集積しています。だから感染症を引き起こすウィルスや真菌の基質の構造解析データが欲しいのです。その分野は基礎研究分野です。基礎研究と応用研究がうまくつながると大型新薬の開発が可能になります。大学の基礎研究は製薬メーカーと結びつきやすいのです。
 ebisuはSRL学術開発本部スタッフとして仕事をした時期があります。1989年ころでしたが、開発部の仕事で製薬メーカ2社と検査試薬の共同開発をしました。膵癌マーカとⅣ型コラーゲンでしたが、そのときに製薬メーカの担当者は農学博士が数人いました。名刺に学位が印刷してありました。

 世界中の誰もが見たことのない景色を見る、誰もやったことのないことをやるのが研究。先人のやったことを学ぶのが勉強です。
 受験勉強は答えのわかっている問題を解くトレーニングですが、研究は誰もが見たことのない景色を見るのですから、研究者は夢中になって努力します。1日24時間起きている間、うとうとしている間、とにかく考え続けます。何日も何ヶ月も何年も考え続けます。楽しくてとめられないのです。

 理解が不十分で、講演会の楽しさを1/10くらいしかお伝えできません。
 角田教授の研究分野は生物物理化学、ebisuのそれは経済学ですが、わたしも世界中で誰も見たことのない景色を見ています。『資本論』の公理系です。公理を入れ替えることで、日本発の職人主義経済学が誕生します。グローバリズムを滅ぼす武器です。

<文系と理系の大学院進学率格差>
 九大農学部の大学院進学率は7割だそうです。ずいぶん高率なのにびっくりしました。高専5年卒の生徒たちが3年次編入試験を受けて進学する科学技術大学(全国に3箇所)の大学院進学率が3割だと聞いたのは1980年ころのことです。エレクトロニクスの輸入商社に勤務したときに、学生の採用で豊橋の科学技術大学を訪問したことがあります。その前に行った名古屋大学理工学部よりもずっと綺麗で立派な建物でした。まるで北海道の牧場地帯ような景色の中にぽつんと科学技術大学建物がありました。

 文系の大学院進学率は千人に2人くらいです。たとえば、商学部会計学科の優秀な学生は研究者になるよりは公認会計士になった方が年収が高いので、大学院へ進学する生徒はほとんどいません。優秀な学生は大学院商学研究科へは進学しないのが普通です。経済学部はそういうことはありませんが、やはり千人に2-5人くらいでした。1970年代の話です。
 文系では早稲田大学大学院が院生が多かったように聞いています。世界史のどの分野か忘れましたが、同じ進学教室で専任講師をしていたオーバードクターのK沢さんがローズウッドのパイプに煙草を詰めてマッチで火をつけ、煙をくゆらせてぼやいていました。同じ研究室に4人のオーバードクターがいて、みなさん席が空くのを待っているのだそうです。大学に残れるのは一人だけ、誰もが母校の先生になりたいのです。切ないですね。
 わたしが籍を置いた大学院は50人ほどの受験者に、合格は二人だけでした。大学院を設置してから10年間合格者なしで、文部省からお咎めがあり、前年に初めて合格者4人をだしましたが、また門戸を狭くしたのかもしれません。文系の大学院は就職が難しいので、合格者を絞らざるをえないのです。修士の学位証の番号は5番でした。大学院を開設してから5人目ということ。

 研究者になりたいのなら、文系よりも理系の方が確率が100倍高いということは知っておいたほうがいい。
  やりたいテーマが見つかってしまったら、好奇心と探究心の塊ですから、確率なんてどうでもよいものに変わります。無我夢中でやりぬくまでです。とめられやしませんよ。それが研究者魂というものです。(笑)


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#3473 頑なな人ほどストライクゾーンが狭くなる Dec. 4, 2016 [さまざまな視点から教育を考える]

 ごく最近の話である。中2の生徒が「第4章3節合同な図形」の予習をしており、合同条件が憶えにくそうなので、昔は四文字で覚えたものだと、次の説明をした。

三辺相等 
       ⇒3組の辺がそれぞれ等しい
二辺夾角(がそれぞれ等しい)
       ⇒2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
二角夾辺(がそれぞれ等しい)
       ⇒1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい

 左側(青太字)は団塊世代のころの教科書に載っていた合同条件で、右側が教科書に載っている合同条件である。日本語としてはどちらも意味が同じだ。右側が憶えにくければ、四字熟語の左側で憶えたらよい、そう生徒に告げた。左側ならほとんどの生徒が10回唱えて、3回書けば憶えられる(「夾」の字が常用漢字にはないかもしれない)。昔のほうが字数が少なく合理的である。
 はてさて、学校で先生がノートを見て曰った。
 「左側の合同条件はダメ、定期テストでそういう答えを書いたらバツをつける」
 なぜと生徒に理由を聞かれたらどうするのだろう?傲岸不遜を絵に描いたような指導に絶句。曰(のたまわ)くのは孔子様だけにしてもらいたい。
   「子曰く、學則不固(学べばすなわち固ならず)」『論語』

 学力が大幅に低下して、下位層が大きく膨らんでいるのに、現場はこのように教え方が硬直化している。
  自分が教えること以外は認めない、そういう先生にわたしは高校現代国語と古典の授業で出遭っている。この先生は1年生のときにわたしの担任だった。自分の解釈以外は一切認めないのである。こういう授業が生徒に教えることは、「考えるな、わたしの教えた通りに書け、憶えるだけでよい」、そういうこと。生徒を思考停止に導く。言われたことだけやればよいという指示待ち人間の製造に適した指導法である。多くの生徒は従順に従う。自分の信念に基づいた答案を書けば50点くらいしか得点できないが、1年間貫いた。古典は解釈の幅が狭いから、問題がなかったがクラスで1番でも成績は50をつけた。ほとんどの科目がクラストップだから、反抗するのがよほど面白くなかったのだろう。翌年のクラス替えで放り出された。拾ってくれたT岡先生が、
「お前何をしたんだ、クラストップは残すルールになっているがお前は例外だった、担任のN先生に嫌われていた」
「以心伝心でしょう、わたしも嫌いでした、T岡先生、拾ってくれてありがとう」
 莞爾(にっこり)と微笑んでお礼を述べた。そのT岡先生は昨年亡くなられた。癌が転移して数回手術されたが、20年ほどお元気だった。東京でやる同期会に恩師はT岡先生お一人だけいつも出席して元気な顔を見せてくれた、人気者だった。

 「先生」と呼ばれて数年たつと感覚がおかしくなる人がいる。もちろんこのような「先生」は根室市内にだって滅多にいるものではない。わたしが根室で育った18年間でたった一人だけ。いまもそういう先生がいることに驚いている。
 この生徒は塾へ来てから1年と3ヶ月がたつ。嫌いだった数学が大好きになって、定期テストの点数が3回続けて90点を超えており、「数学の勉強が楽しい」と飛躍的に点数を上げた生徒である。
 数学担当の「先生」、あなたの理不尽な説明で生徒がどういう気持ちになったか想像がつきますか?
 最近、『残念な教員 学校教育の失敗学』というタイトルの本をぱらぱらめくり読みした気がします。第1章に「学ばない教員」「学べない教員」という節がありました。

 別の学校ですが、ストライクゾーンの狭い英語の先生の例を書きます。2年生の期末テストに自由英作文が出ました。友達と話しているという状況設定で、札幌に行ったらどこへ行くという質問に対する答えの文をある生徒が次のように書きました。

 I will go to the park.

 1点減点されたのですが、生徒は減点が不満なのです。

T:「君はどの公園のつもりで書いたんだ?」
 そう訊いてみました。
S:「大通公園」
T:「そういうことなら正解だ」
 
 減点した説明が振るっています。

「theは特定のものを指すからダメだ、初めて出てきたときはaをつける、次に出てきたときにtheをつける」

 たしかに、高校受験レベルの参考書や問題集にはそういう説明や解答・解説例が載っています。中学生が中学生に説明するならそれでもいいでしょう。
  根室の中学生が友達同士での会話で、札幌で「公園へ行く」と言ったら、それは「大通公園」へ行くということです。ほかの公園名などほとんどの生徒が知りません。こういう場合には初めて出てきても、発話者と受話者の間に共通な公園が了解されているから、定冠詞のtheを使うのが当たり前です。
 冠詞は日本語にはないものなので、扱いがむずかしいことは認めます。27年前なら冠詞に関する解説書は洋書(1989年刊'THREE LITTLE WORDS A, An, The')を読むしかありませんでした、わたしは冠詞がわからなくて、25年ほど前にこの本で学習しました。この十数年で国内で5冊ほど出ていますから、英語を教えているなら読むべきでしょう。どれも帯に短し襷に長しの感はあります。でも、冠詞がわからなければ、英文の意味が精確に伝わるはずがありません。書き手がイメージしたものとは異なるイメージをつくってしまいます。
  次の英文はそれぞれあらわしているシーンが異なります、違いがわかりますか?

 He ate a chicken.
  He ate the chicken.
  He ate chicken.

 最初の文は、たとえばHe(飼い犬のドーベルマン)が、鶏小屋に入り込んで鶏に噛み付いて一匹丸ごと食べてしまった光景が伝わります。口の周りは血だらけで、辺りには血がこびりついた鶏の白い羽が散乱しています。2番目の文は昨晩食べ残した鶏肉を今朝食べてたシーンが想像できます。あるいは値の張る知床地鶏を買ってあったのかもしれません、その鶏肉を香辛料をまぶして焼いて食べた。要するに頭の中で「例のもの」という感覚です。3番目の文が普通に鶏肉を食べているシーンです。不定冠詞・定冠詞・無冠詞はそれぞれ英文解釈にかくも大事なものなのです。

 ニムオロ塾は個別指導ですから、わたしは成績上位生たちには疑問に答える形で、冠詞の説明を普段の授業でしています。
 その生徒にとっては、そこがマルなら中学生になってから1年半、初めて英語が満点でした。いつも2-3個出てしまうケアレス・ミスを出さないようにがんばったのですから、誉めどころでした

「文句なしに満点だよ、わたしが満点と認める、それでいいだろう」
「・・・」

 こんなに浅い知識しかない教員へ生徒が抗弁したところでムダ、冠詞の使い方を知らないのですから生徒は黙るしかありませんが、心の中では憤(いきどお)っています。生徒よりも先生のほうが知識が常に上だと勘違いしていますから、受け止められないし、自分のミスにすら気がつかない。
 たまさか悔しい思いをするのは人間を鍛える効果があります。しかし、こういうことがあると生徒は理不尽さを感じて先生の学力に不審を抱きます。日々の鍛錬を怠った結果、指導教科に関する知識の底が浅いことをこの教員は露呈してしまったのです。もう信用されません。信頼を回復するには自分の採点ミスを素直に認めることですが、ミスにすら気がつかぬほど、冠詞の知識がない。このブログを読んだら早急に訂正されたらよろしい。最初に挙げたのとは別の件ですが、数学の先生は気がつくのに1年かかりましたが、ちゃんと訂正しました。自然数のnを numberのnだと勘違いなさって説明していたんです。'natural number' のnaturalのnです。知らないことは知らないというべきで、「numberのnだと思うが、調べて次回の授業のときに確認します」、くらいの応答が無難です。
 知るを知ると為し、知らざるを知らざると為す、これ知るなり (論語・為政)
  
子曰、由、誨女知之乎、
   知之為知之、不知為不知、是知也


 「隠れたカリキュラム(意図しない教育)」って怖いですね。誰にでも間違いはありますが、自分の間違いに気づく人は少ないのでしょう。さて、自分は大丈夫だろうか?やはり危ないのです
 物を教えるというのは怖いものです。不勉強を棚に上げて、この先生のようにわたしだっていつとんでもない間違いをしでかすかわかりません。だから、日々本を読み、ラジオを聴きます
 タイムトライアルというラジオ番組が結構楽しい。ニュース英語の解説もラジオ番組でやっています。
 経済学は自分の専門ですから、英語で書かれた専門書を読むのに苦労はありません。ほどほどに読んでいますから。同様に仕事で米国の管理会計の先端の本を読んで経営改善に生かしていたことがあるので、管理会計に関する専門書もスムーズに読めます。最大手の臨床検査センターで開発部に2年間いたので、医学専門雑誌が20種類以上そして科学雑誌のネイチャーやサイエンスも、好奇心に任せてだいぶ読みました。コンピュータシステム開発をしていたので、半分くらいは専門書を洋書で読みました。時代の先端を行く仕事だったので、国内に参考になる本がなかったためです。言語学関係もチョムスキーの著作を中心に読んでいます。米国の高校数学教科書を2冊読んでいます。『Math A』『Math B』ですが、あとでamazonのURLを貼り付けておきます。この本は楽でした、内容が簡単なんです。米国では高校数学でプログラマブル・カリュキュレーターを使用するので、38年前にHP-67を使っていたわたしには計算機も含めてやりやすかった。昔、400ページほどの英文マニュアルを2冊、1週間ほどで読み、使い方とプログラマーをマスターしました。米国では大学入試に持込が認められています。要するに米国の高校生は筆算での計算力が著しく劣るのです。もう、全員に教育するのは不可能ということなんでしょう。数学は能力に優れた1/20の生徒をピックアップしてエリート教育を施せばいいと割り切っているように見えます。世界をリードしているIT産業は足りない分を海外から集めています。
 専門書はその分野で使われる専門用語を1000くらいずつ憶えてしまえば、不慣れな文学作品を読むよりもずっと楽なんです。上に例示した分野は5分野ですから、合計で5000語の専門用語を憶えればいいだけ、繰り返し出てくるので、本を読んでいたらいつのまにか憶えられます。
 このように学問研究と好奇心の赴くままに、そして仕事に関連した専門書を読むことで英語のスキルを磨いたので、音読トレーニングやリスニング・スキルが貧弱なことを自覚しています、だから遅ればせながらラジオを聴いています。HirosukeさんとHN「後志のおじさん」が投稿欄での対話(ときにコメントバトルへ発展)を通じて音読トレーニングの仕方を教えてくれました。仮定法では延々とやっていました。本欄へ一部はアップしてあるので、「仮定法」とキーを入力してブログ内検索をすればヒットします。
 英語のブラッシュ・アップと同時に数学も同じことをしています。暇に飽かせて数Ⅲの教科書と青チャートの問題を毎日数題解いています。さまざまな学年が混在したクラス編成になっているので、生徒たちは学力に合わせて個別に異なる問題集を使っています、質問があれば瞬時に答える必要があります。授業では普段の練磨がモノを言います。生徒たちと保護者の皆さんの期待に応えたいからです。
 教えている限りは学び続けます、それに飽きたら塾稼業は卒業です、自ら学んでいなければ生徒に教える資格がありません。自分に課しているルールです。
 もちろんブログもこうしてせっせと書いてアップしています。頻度が大きいのと長文のアップが多いので、一日中ブログを書いているのではと勘違いをされる方がたまにいます。文章を書くのがとても速いのです。標準の3倍くらいの速度を想定していただければ大体当たっています。頭の中に文章が浮かぶのとタイピングの速度が同調していると心地よいのです。商工会議所珠算能力検定1級(全珠連3段相当)ですから、タイピングも20代のころに教本通りにトレーニングしました。修士論文でドイツ語の文献を引用する必要があったからです。機械式のタイプライターに比べると、ワープロ機能は百倍便利です。後編集機能があることと小指の圧力を加減しなくていいですから。だから、弊ブログ記事のアップにはそれほど時間がかかっていません。(笑)
 手書きに比べ5~10倍の生産性があります。

 話題に上がった数学と英語の先生、この次は上手に対応してください

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 過ちを改めざるこれを過ちという (論語・衛霊公)
  子曰、過而不改、是謂過矣

 君子は重かざれば威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすることなかれ。過ちては則ち改むるに憚ることなかれ (論語・学而)
  子曰。君子不重則不威。學則不固。主忠信。無友不如己者。過則勿憚改

 これを知る者はこれを好む者にしかず、これを好む者はこれを楽しむ者にしかず。(論語・雍也)
  知之者、不如好之者。好之者、不如楽之者

 知るを知ると為し、知らざるを知らざると為す、これ知るなり (論語・為政)
  子曰、由、誨女知之乎、
   知之為知之、不知為不知、是知也

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Let's Review: Math B

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  • 作者: Lawrence S. Leff
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  • 発売日: 2002/04/30
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#3471 定期テスト範囲短縮を安易に考えてはいませんか? Dec. 1, 2016 [さまざまな視点から教育を考える]

 市街化地域の3校のうち、A中は情報がないので知りませんが、B中とC中は先週末と今週初めに行われた定期テストで、一部の科目が追いつかず試験範囲の短縮がなされました。よくあることですが、いけませんね。これだけしか書かなければ、「何が悪いの?」と思う先生たちが少なくないでしょう。
 民間会社で納期直前に「来週、間に合いません、再来週になります」なんて客先に通告したら、1回目は渋々受け入れてくれても、2回目には取引停止や損害賠償問題になりかねません。年に何度かそんなことをしたら、信用を失っていつの間にか仕事が来なくなり会社がつぶれます。だから、仕事が間に合わないというのは、重大なことで、その仕事を担う資格がないということです。懲戒処分の対象になります。民間企業は社員がやる仕事に対してお金を払っています。公務員だって同じことではありませんか?
 労働時間に対してお金が支払われているという考えはマルクス経済学の考え方ですが、そこには仕事に対する責任というものがありません。労働者は管理職の指示に従って仕事をしていればいいのであって、仕事の責任は管理職が負います。そういう考え方は欧米の企業に共通しています。だから、ロシアや中国のような共産主義の国でも資本主義の国でも、一般労働者は仕事に対する責任がないのです。
 日本では昔から仕事は報酬と権限と責任がセットになっています。日本人にとって仕事とは他人に言われてやるようなものではないのでしょう。仕事は神聖なもの、神々がご覧になっているから手を抜いてはいけないもの、あるいは神々へのささげ物をつくるという意味があります。新年の刀鍛冶の仕事始めには禊(みそぎ)があります。そして最初につくったものを神へささげるという行為の中に、日本人の仕事に対する本質的な考え方が象徴的に現れています。「教師は労働者」という考えは日本人の心にはなじまぬ価値観です。
 日教組や北教組に所属している先生たちにお聞きします、「教師は労働者」という考え方に心の奥のほうで違和感がありませんか?あなたたちも日本人ですから、縄文時代以来1万2千年もの長い時をかけてご先祖たちが守り伝えてきた価値観を受け継いでいます。他人の言動に惑わされずに、自分の心の中を覗いてください。自ずと仕事へ崇敬の心が生まれその責任を自覚できませんか?自分の心に素直にそして謙虚に仕事しようじゃありませんか。

 試験範囲の短縮は仕事に対する基本的な姿勢の表れですから、こういうことが積み重なると、授業の進捗管理がルーズになり、翌年2月になってから大慌てでスピードアップして間に合ったことにしてしまうのです。難易度の高い後半部分を2倍以上の「高速授業」でやったらほとんどの生徒が理解できません。どの学年も後半1/3はむずかしい章が複数詰まっています。科目担当の先生にまかせっきりにせずに、学校としてマネジメントしてほしいと思います。管理職(校長と教頭)はそのためにいるはずです。
 テスト範囲の短縮を宣言した先生たちはこういういい加減な仕事をすることで生徒たちに何を教えているのか考えてください。教育用語に「隠れたカリキュラム(意図しない教育)」というのがありますが、生徒たちに何を教えてしまったのでしょう。

 データが入手できてからあらためて紹介しますが、教科書準拠問題集から試験の全問題をそのままコピーして出題した先生がいらっしゃるようです。平均点が80点を超え百点続出、他の学校へも噂が広まっています。信じられません、噂の真偽は来週にはわかります。何か事情があるのでしょうが、典型的な仕事の手抜きです。今後は決してこのようなことをやらないように、あるいはならないようにお願いします。
  こういうことは根室市教委の指導主事は関知していないのでしょうね。データ見て仕事してますか?していないでしょうね。市教委は普段の学力テストデータすらモニターしていないのですから、ましてや定期テストデータや問題用紙など見るはずがありません。根室市教委という教育行政の看板はかかっていてもこれでは中身がありません。
 なぜ、この問題を取り上げたかは、あとで回を改めて説明をします。他の学校でも起きる可能性があるので、ケーススタディとして採りあげる意味があります。これは防止できた「事故」でした。「報・連・相」に問題があります、学校と教育行政が苦手とする分野です。
 悪いことばかりではありません、作問実務を改善している先生もいらっしゃいましたので紹介します。同じ学校の数学担当の先生は、教科書準拠問題集の文章題(長方形を点pが動いてできる三角形に関する「動点問題」)を丁寧に改作して出題していましたから、数学は平均点が中間テスト(66.8)よりもはっきり下がるでしょう。問題集のほうがむずかしいのですが、それを外して基本問題に置き換えましたから、ほどほどに平均点が下がることが期待できます。憶えただけの生徒はこの問題に正解できません。ちゃんと理解している生徒だけが正解できます。問題の一部を差し替えて難易度を下げながら、平均点を下げる、なかなかのものです。教えている生徒の学力レベルを診てそれにあわせた仕事しています。このようにちゃんとした狙いをもって仕事をしている先生もいらっしゃいます。定期テストの平均点が学力テストの平均点(4月34.8、11月43.1)の2倍弱だったので、難易度を調整したようです。いい対応ですね、ますますいい仕事をして生徒の学力向上に努めてください。この先生には敬意を表したいと思います。
 中間層の学力を上げるには、予習をさせるというのがとっても有効な方法なんですが、「教科書を読んで予習して来い、わかってもわからなくてもいいからとにかく読んで来い」と先週指示した先生もいます。繰り返し、予習の大切さを伝えてほしいですね。根室高校普通科の生徒は教科書を予習していかないと半数ていどはところどころしか理解できないでしょう。中学生のうちに予習の習慣を育むことはとっても重要なんです。
 長期的にみれば、一人ひとりの先生が仕事の手を抜かないことが生徒の学力アップに寄与します。そのまま出題したら、理解していなくても答えを覚えているだけでいいよと生徒にメッセージを送ることになり、生徒は(理解していなくても)暗記するだけで点数が取れることを学習してしまいます。定期試験は生徒の理解度を測定するものであってほしい。

 ブログ「情熱空間」が釧路の中学校でなされた試験範囲短縮問題を取り上げているので紹介します。

ブログ「情熱空間」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8663506.html
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2016年11月30日

あと出しじゃんけんさながらの試験範囲

配布された定期試験出題範囲表。
予定していた出題範囲まで「終わらない」と見るや、悪びれた様子もなく短くしてしまう。

それが普通のことになっていますが、はたしてそんなことって許されるのでしょうかね?
そもそも出題範囲など、年度当初に示すべきものなのではありませんかね?
だって、「年間授業カリキュラム」がすでに定まっているわけですから。

あろうことか、(そうした批判を恐れてのことなのか)試験出題範囲表を配布しない中学校まで存在しています。
掲示したそれを生徒に書き写させ、しかし毎度毎度、範囲まで終わらないとしてカットに次ぐカット。
それってまさしく、ご都合主義の「あと出しじゃんけん」なのではありませんかね?
非常識、極まりなし。

自分のせいで、予定した箇所まで終了できなかった。
ならば「責任をとる」べきものでしょう。
納期に間に合わなかった。
民間企業では、絶対に許されないことですよ。
取引中止は当然のこととして、これまた当然ながら賠償責任が発生しますからね。
(塾ならば、補習を組んで挽回することになりますが、あたりまえのことですね)

懲戒処分ののち、降格か左遷。
良くて譴責、普通は始末書提出か出勤停止か減給処分。
常習性が認められたならば、懲戒解雇でしょう。
お咎めなしはあり得ません。
労務管理上、あたりまえのこと、常識ですね常識。
だって、服務規律違反そのものですから。

予定通りできなければ、自分の都合で変えてしまえばいいんだ。
また今回も終わらないで、それでやっぱりカットになるんだ。
自分が悪くても、変えちゃえばいいんだ。
スケジュールや時間って、自分の都合で変えちゃえばいいものなんだ。


子ども達は、その「隠れたカリキュラム」から、そうしたことを学んでしまっているのではありませんか?
およそ人様の子どもにものを教える立場にある人間は、特にその部分を厳しく律しなければならないのではありませんか?

いくらなんでも、だらしなさすぎです。
教育行政が、出題範囲を上意下達で定めるべきかも知れませんね。
子ども達は、その「だらしない行為」から何を学んでいるのでしょうか?
学校とは、子ども達に「仕事の手の抜き方・ごまかし方」を教える場なんですか?
本当にいいんですか、そんなことで?

いいですか。
それは社会一般に「絶対にやってはいけないこと」なんですよ。 
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#3453 3人×5本か5本×3人か?: 単位の計算が潜んでいる Nov. 11, 2016 [さまざまな視点から教育を考える]

 ブログ「情熱空間」が面白い問題を提起してくれました。先ほどまでに寄せられた投稿は23個あります。わたしも何個か投稿したので、一緒に紹介します。耳に痛いことも書かれていますが、釧路と根室の小学校と中学校の先生たちに読んでもらいたい、きっと生徒のためになります。

 (投稿のebisuの項は、タイプミス訂正と一部加筆をしています。)

http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8633534.html?1478917201#comment-form
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2016年11月04日

ため息が止まりません(小学校算数の学習指導)

リボンを5人に3本ずつくばります。
リボンは、ぜんぶで何本いりますか。


小学校2年生のテスト問題です。
「式・答 各10点」 のテストですが、ここで驚愕の実態が!

式: 5×3=15

これは、バツだそうです。
もう一度言いますね、これはバツだそうです。

式: 3×5=15

でなければ、丸にはならない。 
その理由。
「3本のカタマリ」が5つあるから。

あの〜、すみません。

「5人」が3本ずつ持っているから。
それ、ダメなんですか?

世も末です。
そうとしか言えませんね。

ため息が止まりません…。 

小中連携が急がれる理由でもあります。
中学校の先生・高校の先生が聞いても、卒倒寸前になるでしょうね。 
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<投稿欄からピックアップ>

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1. Posted by 鳴かないスズメ   2016年11月04日 23:15
親になって、我が子に教える側になると、「どっちでも良いじゃん」って内心思いましたが、40年近く前の釧路の小学校でも、教え方は同じでした。答えにつける単位の方の数が計算の先に来ると(笑)。
3本×5人=15本だけが正解になる理由までは覚えていませんが。
しかし、割り算を習ってからは、文章問題を読んで×か÷かを悩んだとき等は、「答えの単位と同じ単位の数字が式の先に来る」という決まりは、大きなヒントになりましたよ。

ちなみに我が子に中1程度の数学を教えたりする私ですが、割り算の概念が、未だによくわかりません(笑笑)

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2. Posted by ebisu   2016年11月05日 01:13
面白い考え方ですね。
「答えの単位と同じ単位の数字が式の先に来る」

「乗法には交換法則が成り立つ」ということを無視した教え方で、そういう奇妙奇天烈な教え方をする先生は中学校や高校には一人もいないでしょうね。

ところで、割り算で「答えの単位と同じ単位の数字が式の先に来る」というルールが成り立つそしてヒントになったと書いてありますが、そのルールに合う例と反例を挙げておきます

12個のりんごを3人で分ける⇒12個÷3人=4 個 ・・・合う例(本当の単位は(個/人)です)

なんだかそういうルールがあってもよさそうですが、わたしにはびっくりポンです。

距離と時間と速さの問題では、
 距離km÷時間=速さkm/時・・・反例
 距離km÷速さkm/時=時間・・・反例
 速さkm/時×時間=距離km・・・反例

単位が全部違ってくる内包量の問題では論外の教え方です。乗法と除法では単位も計算に入っています。

例:たて2cm、よこ3cmの長方形の面積
 2cm×3cm=6cm^2⇒ cm×cm=cm^2・・・反例
 たて2cm、よこ3cm、高さ5cmの直方体の体積・・・反例
 2cm×3cm×5cm=30cm^3 ⇒cm×cm×cm=cm^3・・・反例

その都度へんてこりんなルールを適用するような拡張性の無い教え方は視野を狭くすることがおわかりでしょうか。

少ないルールでたくさん解けるのがベストではないですか?
公式なんかたくさん覚える必要はないでしょう。1分で導出できれば暗記する必要がありません。基本公式から派生的に導き出せる公式は暗記の必要がありません、拡張できるからです。高校三角関数の公式群なんかその典型ですね。

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3. Posted by ebisu   2016年11月05日 09:19
鳴かないスズメさん

「割り算の概念が未だによくわかりません」とお書きになっていますが、書いている内容からは掛け算の概念もあやふやなのです。乗法の交換法則、「a×b=b×a」は掛け算という演算の基本原則ですから。

掛け算の初歩のところで、ZAPPERさんが取り上げたやり方を採る余地はあると思っています。数学的な概念をつかまえる前に、とにかく日本語で書かれた文章題を数式にしなければなりません。だから、「日本語⇒数式」変換をするための方便としては理解できるのですが、やりかたは感心しません。すぐに、行き詰るからです。
中1のお子さんがいらっしゃるようですから、正負の数の減法のところで、こういうやり方が教科書に載っていたことを覚えていますか?

-------------------------
正負の数の減法を加法になおして計算しよう。
例1 (1) (+3)-(+7)=(+3)+(-7)=-4
-------------------------

中1の教科書24ページに載っています。
あとで、乗法の符号規則が出てきます。
(+)×(+)=(+)
(+)×(-)=(-)
(-)×(+)=(-)
(-)×(-)=(+)
これを習った後では上記の計算は次のようにやります。

(+3)-(+7)=3-7=-4

マイナス記号を括弧の中に掛けて括弧を外します。最初からこれでいいのです。
「減法を加法になおして」やるやり方を習った翌週には廃棄してしまいます。
北海道で中程度以下の子どもたちはここで混乱を起こしてしまいます。次々に別な方法を覚えるのは頭のよい子だけです。
14年前のことですが、チャレンジが別の方法を指示していました。ある生徒がやっているので気がつきました。その生徒は3通りの方法を使い分けていました。学校用、チャレンジ教材用、塾用と。
罪ですよ、こんな教え方。この場合は、最初から最終形で教えて問題ありません。

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4. Posted by ebisu   2016年11月05日 09:31
鳴かないスズメさん (2)

割り算は入り口のところでは、何かを分ける(割り切れる)問題として教えて、それが分数で表せること示し、最後は掛け算の逆演算として定義すれば、小学生でも真ん中程度の学力があれば十分理解できます。教え方しだいです。(笑)

概念の拡張を意識して教えたら良いのです。
手順は次のようになります。

整数の割り切れる割り算⇒(数の拡張)分数表示⇒乗法の逆演算での定義

こうした手順を踏んで指導すれば、掛け算が理解できた生徒は、割り算もちゃんと理解できます。へんなルールを導入すると、すぐに行き詰ることはもうお分かりでしょう。

具体例(自然数数字を使って)で教えてやれば数学の諸概念はぐんと易しくなります。

-----------------
<補足>
 a×b=c
 a=c÷b あるいは a=c×(1/b)

具体的な数字で示せば小学生でも納得できます。

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5. Posted by ZAPPER   2016年11月05日 11:24
5×3 と書いたその子は、5人の子が手に3本ずつ鉛筆を持っている姿を明確にイメージできています。また3本が5つのカタマリある考えもまた、完全に理解できています。

「被」乗数×乗数

それを貫きたい理由(その後の割り算の教え方とのつながり)も分からないではありませんが、それはまさに「指導法の画一化」だと思いますね。あまりにも配慮を欠いています。

結局、どちらを「被」と捉えるかという単にそれだけの問題ですね。こうした教え方は相対的なものの見方をも損なうものだと私は思います。きっと、中学高校の先生もまた絶句することでしょう…。

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6. Posted by ZAPPER   2016年11月05日 11:34
面白いもので、そうしたすばらしい教え方をされた子(笑)ですが、中学に入るとその多くは壊滅的なまでに文章題ができません。

でも、自分なりに絵や図、表にあらわすように指導すると、何のことはなくてスラスラできるようになるものだったりします。結局、変な「縛り」から解放されたということ。私はそう思っています。

===============
7. Posted by ebisu   2016年11月05日 14:13
ZAPPERさんが一つ前のコメントで書いていますが、その通りですね。

>自分なりに絵や図、表にあらわすように指導すると、何のことはなくてスラスラできるようになるものだったりします。

文章題の教え方、40年前に東京で教えていたときの方法を参考に供します。もちろん、いまでもそのまま使って教えています。ただし、中学生用です。
--------------------------
<文章題の解き方>
1.簡単な数字に置き換える。
2.文章を線分図やポンチ絵にしてみる。
3.表を使う⇒①速度に関わる問題、②食塩水の濃度に関わる問題、③平均値の問題
4.「1~3」を組み合わせて使う。
--------------------------
これら四つの方法で、方程式に関わる高校入試の文章題は全部解けます。

問題文を図に落とせたら内容が具体的になるので、式を作るのがずっと楽になります。

文章⇒図⇒式

文章からいきなり式を作ろうとするから難しくなるのです。2段階でやれば簡単になります。

ビリヤードの台の調整も同じでして、木枠の段階で水平の調整をします。そのあと石のスレートを載せてから2度目の調整をします。これを第一段階をやらずにいきなり第2段階からはじめると、こちらを上げたらあちらが下がる。下がっているスレートを上げるといままで水平だったところが高くなる・・・ということになります。
2段階でやらないと、碌な調整にならないのです。

一部の臨床検査も前処理が大事です。たとえば液体クロマトグラフィーがそうです。
前処理はなんによらず、きちっとやらないと結果がいい加減になるということです。

文章から図に落とすのは、前処理作業です。そのあとの立式が第二段階の作業、ものごとは共通項が多いですね。(笑)

===============
8. Posted by ebisu   2016年11月05日 15:05
当たり前すぎて肝心なことを説明し忘れていました。3番目の「表を使って解く」というやつです。

a 合計 食塩  距離
b 人数 食塩水 時間
c 平均 濃度  速度

この順で並べてください。そうすれば、これら三つの文章題がじつはみな同じ仲間であることに気がつきます。平均も濃度も速度も同じなんです、比で表された量なんです、つまり内包量。
 a=bc
 b=a/c
 c=a/b

だからどれかひとつちゃんと覚えたら、これら三つの種類の問題は同じ(同型)だから全部解けます。同じなんです。ZAPPERさんがどこか(仕事のできる人のところ)で「共通項でくくる」と書いていますが、一見異なるように見える現象に、同じパターンを見つけけてしまうのです。ずいぶん簡単になっちゃいます

単位の計算もそうです。上から順番にやって見ます。
 km=h×(km/h)
 h=km÷(km/h)=km×(h/km)
 km/h=km÷h

食塩水では、
 食塩g=食塩水g×濃度%(g/g)
 食塩水g=食塩÷濃度%(g/g)
 濃度%=食塩g÷食塩水g×100

平均値では、
 合計(点)=人数(人)×平均点(点/人数)
 人数(人)=合計(点)÷平均点(点/人数)
 平均点(点/人数)=合計(点)÷人数(人)

速度の問題は教科書に表を使う解き方が載っていましたが、この順序になっていないのです。
だから、先生たちはこれら三つを種類の異なる問題だと思って、別々に教えています。

ひどい例はこういうのがあります。速度の問題を終わったところで、「食塩水の問題は難しいからテストに出さないのでパス」と宣言してしまうのです。あるいは宣言はしないが説明も出題もしない。

看護師志望の生徒は将来液状の薬剤の希釈計算に困ることになります。
10年前に、スキルス胃癌で入院したときに、現場の看護師さんが、言ってました。

「最近の若い看護師さんたちは希釈計算もできない人がいるのよね」

点滴薬の希釈間違えないでください、単位を一桁間違えたら、とんでもないことになります。

===============
9. Posted by amanda   2016年11月05日 15:35
あえてバツにする必要はないと私も思っていますが・・・
教科書の掛け算の最初のところで、
1つ分の数×いくつ分

という説明なので、小2のその部分のテストならば仕方ないのかなとも思います。直後に2×3も3×2も答えは同じと習うので、交換法則も同時にイメージできるように教えればいいのに。後のことを考えてないのかなぁ。

>自分なりに絵や図、表にあらわすように指導すると、何のことはなくてスラスラできるようになるものだったりします。

すべてはこれが徹底されていないためだと思います。
文章の意味を理解せず「出てきた数字の順に式にする」子がいるので、5x3では○にできないのです。
怖ろしいことに、文章題は「出てきた数字の順に式にしろ」と教えていた先生が数年前にいらっしゃいまして・・・
今度はそれを修正するために、

>「答えの単位と同じ単位の数字が式の先に来る」
なんてルールを作ったのでしょうか?


ebisuさんが書かれていた


--------------------------
<文章題の解き方>
1.簡単な数字に置き換える。
2.文章を線分図やポンチ絵にしてみる。
3.表を使う⇒①速度に関わる問題、②食塩水の濃度に関わる問題、③平均値の問題
4.「1~3」を組み合わせて使う。
--------------------------
これら四つの方法で、方程式に関わる高校入試の文章題は全部解けます。

問題文を図に落とせたら内容が具体的になるので、式を作るのがずっと楽になります。

文章⇒図⇒式

文章からいきなり式を作ろうとするから難しくなるのです。2段階でやれば簡単になります。
---

これ、私は小学生にもやっています。
低学年は具体物(おはじきや積み木など)で、
高学年からは、図表で
説明します。学年によらず、その子の理解度によって絵だったり、図だったり、表だったりしますが、
中高生には「図描け!グラフ描け!」とうるさいおばさんです(笑)

===============
10. Posted by 鳴かないスズメ   2016年11月05日 16:19
ebisuさん、zapperさん。色々教えて頂き、ありがとうございます。

短い文章で何かを伝えようとするとき、思いもよらぬ所で言葉や説明が不足してしまう事が多々あり、本意を伝えられなかったならば私の力不足です。

5人×3本の式は間違い、という現実は昔から存在していて
単位に頼って式を作るというやり方は、割り算の式をたてる際にはとても役にたった、ということを皮肉を込めて書いたつもりでした。

①今、割り算を習っているから、目の前のこの問題は割り算で解く

②何本ですか?と聞かれているから【本】が付いている数字を先に書けば良い

と考える子供は少なからずいるのです。

割り算を習っている最中のテストの点数はそこそこ取れたけど、総合問題やまとめの問題になると点数が取れなくなるという一因でもある、と思います。

割り算の概念に関しては、
掛け算や割り算が混在しているまとめテストを教える際に、
小学生のレベルに合わせて
なぜ割り算を使うのか?なぜ掛け算を使うのか?を上手に説明してあげられなかった為、
教え方を調べたという経験を、
いい歳した大人が、割り算ひとつまともに教えられなかった!
という自戒を込めて書きました。
私自身が問題を解くことが出来たのかに関していえば、全部解けたという事を念のため付け加えておきますね。

コメント欄にも、有意義な情報や意見が書いてあるため好んで読んでいますが、時折勃発する論争のようなやり取りに、感心したり辟易したりしています。
私はただの保護者であり、学テの点数公表には感謝しておりますので、
どうかお手柔らかにお願いします。

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11. Posted by 鳴かないスズメ   2016年11月05日 16:28
ついでに…という言い方が失礼なのは十分承知なのですが

中1、中2の学テの平均点の公表は難しいのでしょうか?
資料提供の協力は惜しみません(笑)
子供にも学校にも危機感を持ってもらうためにも、是非実現していただきたいです。

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12. Posted by ebisu   2016年11月05日 16:52
鳴かないスズメさん

わたしは論を楽しんでいるだけです。面白いオブジェクションがアップされたので、それに触発されました。(笑)

短い文章ではなかなか書き手の意図が読めないものですね。

>単位に頼って式を作るというやり方は、割り算の式をたてる際にはとても役にたった、ということを皮肉を込めて書いたつもりでした。

後段部分のご意見も率直で楽しい。よくわかります。

>時折勃発する論争のようなやり取りに、感心したり辟易したりしています。

辟易の方に重心を感じました。

それでまた挑発的な問題提起をしてくれています。

>①今、割り算を習っているから、目の前のこの問題は割り算で解く

>と考える子供は少なからずいるのです。

塾ではこういう生徒が厄介なのです。問題文を読み、数字を拾って、足し算?引き算?掛け算?割り算?なんて次々にあてずっぽうでやる生徒は、それが習慣になっているので直すのに半年程度はかかります。
「いま割り算習っているから割り算ね」という生徒はいます。

先生が図を使って教えなかったのか、教えたけど考え事していて覚えていないのか、面倒くさいので考えないのか、個別に観察し質問してみないと原因がわかりません。
原因なんかどうでもよくて、解き方を知らないのだから、簡単な数字への置き換えの仕方や、図の描き方、表の組み立て方から教えればいいだけのことです。「なーんだ、先生、簡単だね」、そう言ってくれたら大丈夫です。

喧々囂々、投稿欄を読んでいる人たちが面白ければいい。自分の書いたものを読むと、「辟易」というのもわかる気がします。(笑)
せっかくのご指摘ですから、ちょっと考えます。出現頻度を落とすことがいいようです。


amandaさん

おっしゃるとおり、小学生でも同じですね。
>中高生には「図描け!グラフ描け!」とうるさいおばさんです(笑)

授業の様子が目に見えるようです。

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13. Posted by 鳴かないスズメ   2016年11月05日 20:47
ebisuさん、お返事ありがとうございます。

>塾ではこういう生徒が厄介なのです

この言葉に、ホッとしました。

塾の先生ですら厄介と感じるのなら
私が、マイッタ!と思うのも無理はなかったのだと(笑)

今後習うだろう先の単元のことを考えると、今のやり方考え方ではマズイことになる、と感じながらも
「先生が言った」やり方で必死に学習する子供を見ていると、
(別の方法を提示しても混乱させるだけだ)と判断し、学校の教え方に沿って家庭学習を行うことを繰り返してきました。
それほど勉強が得意な子ではないので、自分が出来るような簡単な方法や、たまたま出来た方法に固執しやすかったのも、一因だったと思います。
テスト直しの間違ったやり方や
丸付けの間違った方法などは半年どころか数年かけて直させました。

本当に、いろいろ厄介でした(笑)

〜〜

私はこのブログが好きなので、ママ友に紹介することもありますが、コメント欄が過激になると、紹介しづらくて…

出過ぎた意見を書いてしまいました。ごめんなさい。

ebisuさんの出現回数が減ることを望んでいません。むしろ上の方のコメントで書いていただいたようないろいろなことを教えてほしいと思っています。
ebisuさんのブログも時々読んでいます。私にとっては難解な内容が多いのですが、遡って読んだりして、引き出しを増やしたり、昔からある違和感の正体に気付いたりしています。

これからも楽しみにしています。
たくさんのお話をありがとうございました。

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14. Posted by ebusu   2016年11月06日 08:57
鳴かないスズメさんへ

おやおや、ご迷惑ではなかったのですか?

>私はこのブログが好きなので、ママ友に紹介することもありますが、コメント欄が過激になると、紹介しづらくて…

ママ友ということは鳴かないスズメさんは女性でしたか。ZAPPERさんも同じです、女性には優しい。
私のブログも読んでくれているというのはうれしいことです。今朝も400字詰め原稿用紙換算40枚ほど、「ニムオロ塾の授業日数縮小」についてアップしています。総生徒数12-18名に縮小、ようやく理想の塾に近づきつつありますが、ビジネスとしてはとっくになりたっていません。年金があるので年よりは強い。(笑)

脳の質量の性差の問題があるので、女性が数学を教えるのはなかなかたいへんです。物理学者や数学者には女性が少ないのです。マダム・キューリーは例外ですね。

ところで、本題ですが、文章題が苦手なのはじつ読解力の問題が潜んでいるケースが多いのです。
わずか数行の問題文を一気に読んで頭の中にイメージを作ることができないケースが多いのですが、どうですか?
そういう場合は、良質の音読テキストを選んで、音読トレーニングをする必要があります。

(字数制限があるので2回に分けます)

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15. Posted by ebisu   2016年11月06日 09:05
鳴かないスズメさん(2)

塾を始めて2年目か3年目に、小学6年生が来たんです。その生徒が文章題を解くときに、「掛け算かな?」といいながら文章中にあるいくつかの数字で式を作って答えを出してしまうことに気がつきました。文はほとんど読んでいません、数字を拾うだけです。それでもたまにはあっていますから、正解すると鼻の穴を広げて「やった!」と歓びます。いい顔して歓ぶのでメンコイ生徒でした。

中学生になりました。国語が30点台から抜け出せないのです。それで読むスキルを育てるために斉藤孝『読書力』岩波新書の音読トレーニングを始めました。読めなかった漢字と、書けないと思った漢字を、それぞれ10回ノートに書いてくるように指示しました。意味のわからない漢字は辞書を引いて意味を書き取らせるのも宿題にしました。3ヶ月ほどあとの試験でしたが、75点取りました。
もちろん、数学の文章題も嫌がらなくなりました、意味がわかるようになったからです。音読トレーニングと併行して「文章題の解き方」四項目も徹底的にトレーニングしました。
その生徒は薬科大学へ進学し、そろそろ卒業です。

生徒の潜在力は大きい、眠っているものを掘り起こすのはプロの役割です。もちろんお母さんたちだってやれる人はいます。
困ったときは具体的に書いてくだされば、惜しみなく知識と経験を公開します。
あ、鳴かないスズメさんだけではありません、他の方でもそうします。もちろん弊ブログ「ニムオロ塾の」愛読者である必要はありません。(笑)

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16. Posted by ZAPPER   2016年11月06日 12:58
昨夜は帰宅が遅かったので、すっかり出遅れてしまいました(笑)。

今日も某所でこの話の議論になったのですが、はやり前提条件は「絵や図」に書く(描く)ことだと確信しています。こうした教え方は、「(被)乗数×乗数」で教えきり、数字が2つ出てきたなら(掛け算の文章題では)単にその数字を掛けてしまえばいいとする子を少なくしようとの配慮があるのでしょうけれど、でもそれは国語を無視しています。

子どもを「主」としたなら、子どもは手に3本のリボンを持っているので、「5人×3カタマリ」はストライク。リボンを「主」としたなら、その子どもは5人いるので、「3カタマリ×5人」はストライク。まさしく国語力にかかわる部分ですから、絵を描かせてみればその子の思考は一目瞭然です。

画一的な管理教育に反対!などと言いながら、一方の思考パターンをバツにする教え方には、疑問を持たざるを得ません。鳴かないスズメさんもご苦労なさっているみたいですね。ebisuさんがおっしゃっているように、実は我々もまた苦労している部分です(笑)。

amandaさんのご指摘の通り、「書け!」「描け!」と何度も何度も繰り返し言うのですが、頑としてそうしないない子が多いわけです(苦笑)。書くことが今、驚くほど軽視されています。この教え方もまたそうでして、それを徹する以前、子どもたちにきっちりルールを伝えているわけでもありません。ノートを確認しましたが、その約束事自体、書かせていませんでした…。

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17. Posted by ZAPPER   2016年11月06日 13:07
追記です。
時に荒れ気味になること、ごめんなさい。
ただこれだけはご理解いただきたいのは、北海道に巣食う魔物の退治もまた弊ブログは兼ねているということです。

クミアイ批判をすると荒れます。
特定の学校にまつわる問題を取り上げると荒れます。

触れられると即座に過剰反応を起こす方がそれだけいるということです。

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18. Posted by 鳴かないスズメ   2016年11月07日 21:12
ebisuさん、お察しのとおり読解力には不安があります。

幼い頃から絵本や童話を読んでいた為、物語をフワッと読んでフワフワっと浸るのは好きなのですが

数学の文章題には浸るような隙間が無く(笑)、
「なんとなく、わかった」ような気にもなれないようです(当然ですが)

国語の学力テストは勉強しなくても60から70点を取るため、本人的には[国語=得意科目]を自負していますが、
私が見ている限り、
なんとなーく文章を読んで、
フワッと感じて、
なんとか記入したら、
正答だった…
というように感じます。

当然のことながら、説明文のようなものは苦手です。

音読トレーニングについては、
覚悟を決めて取り組む必要を感じています。

テストや受験対策も気になりますが(中2です)、
「読んで、考える」事をしっかりと身に付けなければ、社会生活のなかで苦しむのは本人です。

「そのための訓練が数学なんだよ」と、本人には言って聞かせるのですが…。

いろいろなことを考える機会を与えて下さり、ありがとうございました。

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19. Posted by ZAPPER   2016年11月07日 21:43
鳴かないスズメさん
論理エンジンの中学生版もあるようです。ご参考まで。
http://www.ronri.jp/contents/other/faq.html

本当は、ある時期に集中して乱読期を過ごすのがベストですが、日々の学習指導を通してなかなかそうは持っていけないことを痛感しております(苦笑)…。

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20. Posted by TDJ   2016年11月12日 06:34
物理化学から逃げた元落ちこぼれに、このような教え方をする輩が多いと思います。
3本x5人=15本 なんていう時点で、単位系を無視した愚か者のたわごとであり、物理化学を学ぶにあたっては、害悪でしかないです。
1人あたり3本(3本/人)なので、正しくは
3本/人x5人=15本 または 5人x3本/人=15本  です。
中高の理数系教師には、物理化学から逃げるようなものはほとんどいませんので、このような愚かな行為はなくなるのでしょう。

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21. Posted by ZAPPER   2016年11月12日 09:36
TDJさん
まったくもっておっしゃる通りです。ここで重要なのは子どもがどのように捉えているか。それを確認するために絵や図で書かせることだと思います。しかしそれがまったくなされていません。子どもの思考を確認しない。実に不思議です。

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22. Posted by ebisu   2016年11月12日 10:54
TDJさん

単位系を計算から除外して教えているというよりも、そこに意識が無いのが釧路と根室の小・中の算数および数学授業の実態です。

>中高の理数系教師には、物理化学から逃げるようなものはほとんどいませんので、このような愚かな行為はなくなるのでしょう。

教員免許の関係から、物理・数学系の学部でないと数学教員免許が下りないので、高校ではありえませんね。
ところが中学校は教育大出身者が多いので、高い頻度であるのです。

たとえば、面積の単位であるcm^2や体積の単位のcm^3の説明は小・中ではなされていません。

たてcm×よこcm=面積cm^2
たてcm×よこcm×高さcm=体積cm^3

こう黒板に書いて説明すると、根室の中学生の反応は、

「ああ、そういうことだったんですか」

いままで単位も計算式に入っているのだと授業で説明を聞いたという中学生にでくわしたことがありません。

知っている先生がいたとしても、教えている先生がいません、それが釧路と根室の現実の授業です。
単位系の計算は高校化学と物理でなければ出てこないのです。物理は選択科目ですから、(たとえば、根室高校の)生徒の1~2割程度しかとっていません。しかし、化学は必修ですから、知っていて当たり前。

なお、単位の計算例についてはこの投稿欄の#2と#8で取り上げました。
---------------------------------
距離と時間と速さの問題では、
 距離km÷時間=速さkm/時
 距離km÷速さkm/時=時間
 速さkm/時×時間=距離km

単位が全部違ってくる内包量の問題では論外の教え方です。乗法と除法では単位も計算に入っています。

例:たて2cm、よこ3cmの長方形の面積
 2cm×3cm=6cm^2⇒ cm×cm=cm^2
 たて2cm、よこ3cm、高さ5cmの直方体の体積
 2cm×3cm×5cm=30cm^3 ⇒cm×cm×cm=cm^3
---------------------------------

中学校では指数が出てくるので、少なくとも中学校の数学では単位の計算も教えてもらいたい。
釧路と根室で中学校数学を担当している先生たちへのお願いです。

ではなぜ、単位の計算が式から除外されて教えられているのでしょう?
ここに大きな問題が潜んでいます。
字数制限から稿を改めます。

===============
23. Posted by ebisu   2016年11月12日 11:19
ではなぜ、単位の計算が式から除外されて教えられているのでしょう?

ここに大きな問題が潜んでいます。
学習指導要領の範囲内しか教えないという授業形態に問題があります。

cm×cm=cm^2

学習指導要領に忠実にやると、この計算を教えることができるのは中2の「単項式の乗法と除法」のところです。東京書籍「新しい数学」の16ページに計算例が説明されていますた、これが初出です。

2a×3a^2=6a^3

だから、小学校の先生も、中1で速度や食塩水の濃度を教えている先生も、善意に考えると単位計算を式から除外して教えているのでしょう。

では、中2からは単位系の計算を考慮に入れて教えているかというと、ノーです。中2や中3の学力テスト問題の先生たちが書いた過去問の解答例を見ていますが、単位系を意識した計算式をみたことはありません。
これらの事実から推測すると、根室の中学校の先生たちは、単位系を除外して教えているのではなく、単位系に無頓着であるようです。
先生たちは物理を選択しなくても、化学では単位が絡む計算を授業で習っていますから、知識として走っているんです。ところが分野が違うと、応用できない、そこに問題があります。教えている先生たちも算数や数学では単位系を計算式に含めて教えられた経験がありません。だから、教えられたやり方をそのまま踏襲しているのでしょう。思考停止になっているということです。

TDJさんの言葉を借りると、

>物理化学から逃げた元落ちこぼれに、このような教え方をする輩が多いと思います。

文科省は数年前に学習指導要領は授業でやる最低基準を示したものだというように、方針を変えました。その方針に沿って、教科書は「発展問題」や「発展的な内容」に関する記述が載るようになりました。
単位が関わるところは、中1は言うに及ばず、小学校でも発展内容として説明してしまえばよいのです。

わたしは東京の進学教室での3年間とぶるさと根室に戻って13年間、合計16年間教えた経験がありますが、一貫して成績上位層には小学生にも単位系の計算を教えてきました。
教えて問題ありませんから、どうぞ小学校の先生たちもおやりになってください。(笑)

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#3450 ニムオロ塾 授業日数の短縮:来年4月から Nov. 6, 2016 [さまざまな視点から教育を考える]

<更新情報>
 11/6 夜7時半 <余談-3:学問と仕事>追記
 11/7 朝11:20 余談-3 へ追記
 11/8 朝10時 余談ー3へ追記 50億円の債務超過の病院

ー余談タイトルー
<余談-1:部活と家庭学習習慣の躾(しつけ)>
<余談-2:米国の所得格差の現状と未来>
<余談-3:学問と仕事>


 ニムオロ塾は(月、木)、(火、金)、(水、土)の3つに分けて授業をしてきましたが、来年4月から土日を休日にすることに決めました。したがって、週当たりの授業日数は2/3に縮小します。土曜日も天気がよければ趣味のサイクリングができますから、気が向いたら四股を踏む、1.4kgの素振り用木刀を振る、気分がよければ散歩、そして週に一度くらいの頻度でサイクリング、体力は十分維持できます。
 好きなタイミングで適度な運動をして、気力と体力を充実させ、勉強したい、成績を上げたいという生徒だけを対象にじっくり個別指導します。
 当然のことですが、受け入れ人数には制限が生じます。12~18人までの間で調整するつもりです一度に教えるのは最大7人まで。手間のかかる生徒もいますから、生徒に応じて、人数調整します。
 ようやく理想とする塾の形に手が届きそうです、自分が中高生なら来て勉強したいと思う塾が目標でした。

 3ヶ月間様子を見て、授業中に私語が多い生徒や指導に従って家庭学習をしない生徒は、効果がないのでお断りすることがある旨昨年から入塾時に申し渡しています。3ヶ月間は試用期間というわけです。静かな環境の中で、じっくり勉強したい生徒だけ来て下さい。方針を転換したわけではないのですが、この1年間を掛けて自然に切り替わってしまいました。学力不振の生徒から学年トップまでじつに学力差の大きい生徒たちが同じ時間に学んでいますが、個別指導だから可能です。
 授業中に頻繁に注意するのはひどく疲れます。10年前にスキルス胃癌で胃の全摘、大腸の一部切除、胆嚢切除手術をしているので、健常人に比べると体力が半分くらいかな、体力が落ちれば気力も萎えます。ようするに体力に合わせて縮小して少数の生徒たちにじっくり教えたいのです。考えようによっては、ずいぶんと贅沢な塾になります。(笑)
 赤塚不二夫風にいうと、なってしまうのだからそれでいいのだ。
  学習意欲の無い子どもにお金を掛けて塾へ通わせても無駄、学習意欲がわいてから塾へ通わせましょう、それからでいいのです。
 にぎやかで楽しい授業の塾もあってよいのですが、ニムオロ塾はそうではないというだけ。根室にタイプの異なる塾が5つくらいあれば、生徒たちの選択肢が広がっていい。塾の運営方針や先生との相性の問題があります。

 高校生を教えている塾は根室にはすでに二つしかありません。この12年間で中高生が6割弱に減少したことと、それに輪を掛けて学力上位層が激減したので、大学進学用の塾は1学年10名以下のニーズしかありません。
 中学校の学力テストで五科目合計点が400点を越える生徒が根室市内に1学年10人前後になっています。少ない学年は6人くらいかもしれません。半数は塾に通わずとも自力で勉強できます。10年前は400点超の生徒が各学校に1学年十数人いましたから、根室市内では40人を越えていたはずです。学力上位層が1/4以下に激減しました。
 中学校の学力テストで400点は進研ゼミ主催の全国模試では偏差値48くらいですから、真ん中以上の大学へ合格できる生徒がそれくらいということです。

 生徒の絶対数の激減と学力低下があるので、他の地域から根室へ進出してくる学習塾がありません。たんに需給のバランスの関係で、採算が合わないからです。大学進学のための学習塾のニーズが小さく(1/5くらいに)なったといえるのでしょう。

 根室の生徒たちは遠くない未来に、そうですね、10年から15年の間に、インターネット塾で勉強することになるのでしょうね。競争で品質が改善され、単価も安くなっているので、心配要りません。
 生身の先生が教える塾が根室からも、他の小都市からも消えていきます。採算度外視でもやっていける小さな塾が生き残ります。オーソドックスな教育、あるいはとってもユニークな教育をして欲しいと思います。
 ニムオロ塾は縮小しながらebisuの体力の許す限りしばらく続けます、そのために14年前に35年ぶりにふるさとに戻ってきたのですから。

 そういうわけで、昨年、日専連ビルから自宅へ教室を移して、さらに縮小です。どなたにもご迷惑はかからないと思います。(笑)


<余談-1:部活と家庭学習習慣の躾(しつけ)>
 文武両道とは言いますが、部活と勉強を両立できている生徒は10人中2人くらいなものです。部活が6時半まであると、「今日は疲れたから塾へ行かなくていい?」と子どもが親に問うと、「いいよ」と許可する親が多い。明日試合があって朝6時出発だと親も「明日早いから今日は塾行かなくていいよ」と許可します。子どもも保護者も甘いのです。小中学生は勉強が優先です。
 そういうことが何度もあると、授業料が無駄になります。2/3ほどしか授業に来ていないのに授業料をいただくのは気分がよくありません。業を煮やして「しばらくは部活に専念していい、ちゃんと塾に通う気持ちになったら受け入れるので当分休塾してはどうですか?」と本人と保護者に相談したケースが昨年は数例ありました。
 小学校では少年団活動、中学校では部活に熱心な生徒の多くが、家庭学習習慣を持っていないのは、ほとんど毎日、それも6時半頃までやっているからで、普通の体力の子どもは疲れてしまって、ご飯を食べてお風呂に入ったらもう勉強する気力など残っていないのです。スマホをいじったりゲームをして一日が終わりとなります。そういう生活を数年続けたらどういうことになるか、大半の生徒がご想像の通りになります。わがまま、我慢ができない、やりたいことはやるが必要でもやりたくないことはやらない、あるいはできない性格になってしまいます。
 そういう生徒は部活で疲れていて集中力が無いから、塾に来ても授業中の私語が多くなります。誰かが私語するとすぐに反応し、それが連鎖します。注意しても3分もたないのです、すぐに元の木阿弥ですから、だんだん注意する声を大きくしなければならないので、エネルギーの大半を授業内容ではなくて制御に使い果たすことになります。まるで小学生低学年に教えているような状態になります。学校の授業もそうなっています。3年生で学力テスト総合ABCで130点(300点満点)以下の学校は多かれ少なかれそういうクラスが存在しています。最近では五科目平均点が100点台の学校が現れるようになりました。数年のうちに100点を切る学校がでます。
 セルフコントロールができないのですから、ほとんど学習障害といってよいでしょう。そういう生徒が3人いたら学級崩壊状態になります。授業中に一人が私語すると連鎖反応が起きます。学校では授業中に立ち歩く生徒も出現しています。小学校低学年の生徒のように幼児化していますから、先生の制止が利かないのです。そういう学年は五科目平均点が30点満点で30点ほど落ちてしまいます。110点前後だったら2つのクラスのうちひとつは学級崩壊状態を呈しています。
 精神的な成長がストップして幼児化したままの生徒の存在は低学力化に強力に作用していますが、市教委はふだんの学力テストデータを見ていないので知らないのです。弊ブログでは何度もデータを挙げて説明しています。背伸びした大人の本を読むことで精神的な成長を遂げる者が多いのですが、過度な部活ゲーム、スマホ相乗効果読書習慣のない生徒が増えました
 そういう生徒たちは部活をしている限り、生活時間が変わらないので、家庭学習習慣を躾けることも精神的な成長を促すようなレベルの高い読書週間を育むこともほとんどできません。家庭学習習慣を躾けるためには生活習慣を全体をデザインし直して変えなければいけないのです
 全国学力テストのときのアンケート調査分析資料中に生活時間を記入する帯グラフがあります。あれに、一週間の実際の記録を記入してみたらいい。道教委のサイトにも載っていたし、ブログ「情熱空間」が帯状のチャートをアップしていたことがあります。あれを記入すれば、部活やスマホやゲームがどれほど勉強時間を奪い、読書時間を奪っているか誰にでもわかります。幅3cmで長さ24cmの長方形を作り、「1cm=1時間」でやったことを記入すればいいだけです。ぜひ試して生活時間のチェックを一度してみてください。そしてどのように改善したらよいのか、同じ部活をしているママ友が集まって相談してください。
 本を読む習慣が無いので、語彙が少なくて、文章題の文意が読み取れない生徒が増えていますが、語彙力が貧弱だと全教科の成績に影響します。語彙力は学力に著しい影響があります。先生が授業で使う語彙がわからなくて、授業内容が理解できない生徒が増えています。
 啓雲中学校の社会科のN先生は、授業で語彙解説をしています。熟語を漢字一字ずつの意味にさかのぼって教えています。授業参観したときに「温暖湿潤」の語彙説明をしたのが印象に残っています。何度か見ましたが、毎回語彙解説を丁寧にしていました。高校の授業ではそんなことはしてくれません。中学校の先生の語彙解説に頼りきっていたら、高校でアウトになること必定です。国語辞典や漢和辞典を引いて自分で調べましょう。
 高校の教科書は中学校に比べてどの教科も分厚くなっています。それだけではありません、使用語彙数が比較にならないほど増えます。読書週間のない生徒は国語教科書「精選現代文B」(大修館書店、391ページ)の収載小説や評論を読むのに困難を感じるでしょう。中学校とは比較にならないほど文章も語彙レベルも上がっておりボリウムも増えています。
 過度な部活をして、文武両道を貫けなければ塾通いは無駄になります。もう一度書きますが、部活と勉強の両立ができる生徒2割程度です、3割という例はほとんどないでしょう。部活のやり方が釧路や根室は異常なんです。そのことを生徒自身も保護者も先生たちも自覚していません。
 2~3年ほど前からだったかな、啓雲中学校の校長先生が学校通信で文武両道と繰り返し取り上げました。部活の先生たちも協力して文武両道を口にするようになり、だいぶ変わってきたように感じています。道教委は大谷翔平をを起用して「文武両道」のポスターを制作し2年前に全道の中学校に配布しました。各学校には廊下にそのポスターが貼られているはずです、見てください。
 このように文武両道を無視した過度な部活の現状は変えようと思えば変えられるのです。オバマ米国大統領の"Yes, we can change"です。

 毎日繰り返すことは習慣となり、習慣は数年継続することで性格の一部分を形作ります。根室の親たちはじつに家庭学習習慣の躾が下手です。
 たかが小学校や中学校で地区大会に勝つために異常な情熱を燃やし、長時間の練習をさせて、家庭学習習慣を育てることをないがしろにしています
 成長期に特定の関節や腱、筋肉を酷使するとスポーツ障害が出やすいのですが、生徒にも親にも先生にもそういうことへの配慮がありません。過度なトレーニングを奨励してしまっています。野球やバドミントン、サッカーはスポーツ障害を起こしやすいので気をつけましょう。14年間で、優秀な選手が何人もスポーツ障害を起こした例を見ています。
 先生たちだって大半はそんなに長時間部活指導なんてしたくないのです。でも指導技術が無いから、地区大会に勝つには長時間のトレーニングを課すしか方法が無いのです。保護者がブレーキを掛けないととまらないのです。部活は一週間に3~4回まで、最大6時までと根室のルールを決めたらいい。保護者がPTAで決められないなら、市議会で部活指導についての市条例を作ればいい。このままでは、低学力化の負のスパイラルから抜け出せません。

  長時間トレーニングを強いると子どもたちは手抜きを覚えます、そして毎日繰り返すことでそれが習慣になり、性格になります社会人になったときに副作用が出ます。手抜きがすっかり習慣になり性格になっていますから、長時間仕事しないと一人前分をこなせないのです。短時間で効果の上げられるトレーニングメニューを工夫してこなかったから、効率的に仕事をすることができません仕事の工夫、効率を上げる工夫のできない人間にすっかりなってしまいます。非正規雇用低賃金で働くしかなくなるんです。どういうことになるか、次の余談-2に米国の例を書きます。


<余談-2:米国の所得格差の現状と未来>
 11月6日のNHKスペシャル「揺らぐアメリカどこへどうなる?大統領選挙」という番組がありました。所得格差が拡大して、米国には1%の富裕層と99%の低所得層(年収345万円以下)になってしまいました。白人中産階級が下層階級に転落してしまったのです。こんなナレーションが流れました。
 no education
  no Job
  no future
  満足な教育も受けていないし、仕事も無いから、未来に希望が無い、行き着くところは・・・社会の最底辺への転落しかない。
 グローバリズムで生産拠点が海外へ流出し、製造業の職が1/10になってしまったのだそうです。鉄鋼業に従事していた白人男性(50歳くらい)が涙を流しながら職がなくなったことを話していました。次のような内容だったと思います。
仕事は家族を養うものだった、それだけではない、困った友人を助けるためにも仕事は必要なんだ。仕事は誇りだった、生きがいでもあった。この仕事(鉄鋼業)をずっと続けてきたがいまはもうない。」

 生産拠点が海外へ流出して、製造業の職がなくなってしまったのです。だから白人中産階級は下層階級へ転落してしまいました。こうしてこの20年間で所得格差が劇的に拡大したのです。
 次の25年間では、人工知能の性能が指数関数的に向上してホワイトカラーの職を1/10に減らしてしまうでしょう

 米国はどこへ行くなんて暢気なことを言っていられません、日本もそうなります。製造業が海外へ流出しているのは日本も同じですから、製造業の職が急激に減少しています。いまやサービス産業のほうが従事している人数がずっと多いのです。

 製造業の職がなくなるという状況から脱出するには新しい経済学に基づいた経済社会を創りだすしか方法がありません。弊ブログのカテゴリー「資本論と21世紀の経済学」にその答えがあります。マルクスの資本論や西欧経済学とは異なる公理で経済学を組み立てることができます。それはグローバリズムへのアンチテーゼとなっています。日本的価値観、仕事観に基づく新しい経済学の生誕です。


<余談-3:学問と仕事>
 根室高校卒業まで根室で育ちました。高卒で公認会計士になるつもりで、高校2年生の夏から中央経済社の公認会計士2次試験講座を使って勉強し始めましたが、ひょんなことから3年生の12月に進学することになりました。そういう行きがかりから公認会計士で一番合格者を出していた中央大商学部会計学科に入りたかったのですが、大学受験勉強の仕方がわかりません、結局不合格でした。第二志望の専修大学商学部会計学科で学んだ後、3年間働いてから東京経済大学大学院経済学研究科で経済学的諸概念の構成に関する研究をしました、理論経済学です。専修大学商学部会計学科4年の10月に大学院の学内入試がありましたが、合格者なし。経済学研究科を受験して会計学科のわたしがトップでした30名ほどの教授陣を前にして口頭試問がありましたが、その場で一悶着ありました。答案の内容で指導教授になるNo.2の教授と論争になったのです。「君は経済学を知らんね」と高飛車に言うので、「答案を見ておっしゃっているのでしょうか田、どうぞ具体的におっしゃってください」、そのあとが大恥でした。会計学科の学生だから、理論経済学の専門知識が薄いと勝手に思い込んでいたのでしょう。100%の勝ちでした、会計学科の一学生に貨幣論でコテンパにやっつけられたのですから、顔を真っ赤にしていました。大学院長の内田義彦先生からゼミの指導教授の市倉宏祐先生(哲学)にその晩電話がありました。3月の入試にもう一度トライしろということでした。3月に受けましたがまた合格者なしです。専修大学大学院経済学研究科では合格者なしというのは異例のことです。東経大大学院を受験したときにも母校も受験していましたが、やはり合格者なしでした。よほど嫌われたのでしょうね。
 ところで、当時の東経大大学院は、開設してから10年間合格者なしで、文部省からお叱りを受けていました。10年も院生がいないなら必要ないから設置許可を取り消すとほのめかされたようでした。それで前年に初めて4名の合格者を出しました。大学としては不本意だったのでしょう。私の年は50名ほど受験して合格は2名です。院生をなるべくとりたくなかったのでしょう、当時の難易度は慶応大学大学院経済学研究科と同程度でした。
 院生が少ないのでいいこともありました。図書館の書庫の中に出入りができて、その中にボックス型の机がおいてありそこで勉強できるというような特別待遇がありました。授業はどれも2-6人でした。
 1978-83年までは、産業用エレクトロニクス輸入商社で統合システム開発と経営改革をやり(利益構造と財務体質を強化したこの会社は、その後店頭公開しています。私が中途入社したときにはスタンフォード大学出の創業者の名前を関して関商事、英語名は Seki & Co でした。店頭公開後の社名をセキテクノトロンと変更しました。ヒューレットやパッカードと同級生だった縁で、発足当初はHP社の日本総代理店だったのです。その後、YHPができて、合弁会社に社員の半数ほどを移し、HP社とは縁が切れています。十分計算してYHP社に人を移して人件費を減らし難局を切り抜けたのだろうと思います。わたしが入社したときには創業者はすでに亡くなっており2代目の関周さんが40代半ばで社長でした。慶応大学大学院経済学研究科で経済史を学んだ方でした。中途入社の私を、役員中心の7つの委員会を立ち上げ、5つの委員会で存分に使ってくれました。企業経営のノウハウや、システム開発技術やさまざまな経営改善スキルはこの会社で働いた5年間に得たものが大きかった、感謝しています。
 入社してすぐに立ち上げてくれた委員会の名前を挙げておきます。社長が委員長である財務委員会の下に6つの委員会を設置しました。為替対策委員会、利益重点営業委員会、収益見通し分析委員会、長期経営計画委員会、電算化推進委員会、資金投資計画委員会。このうち利益重点営業委員会だけはメンバーではありませんでした、仕事は回ってきました。ほかの6委員会はすべて入社したばかりのわたしが実務をやることになったのです。中途採用した入社したての30歳前の社員にこんなに重要な仕事のほとんどを任せるのは無茶ですが、経営状況は切羽詰っていました。
 輸入商社であるために、利幅が薄く、為替変動の影響を受けて業績が極端に上下するので、為替変動の影響を回避する手段を見つけ、同時に10%以上利幅を上げる方法を考案して、自己資本比率を充実させるというのが目標でした。社長をそれを「利益構造を変え、財務体質を強化する」という短い言葉で示したのです。指示を具体的なレベルにブレイクダウンして、目標を設定しました。
 粗利益率は5年間で15%ほど上げることができましたし、1年半後には納期の異なる受注実績と予測データから外貨決済額を月別に計算して、それにあわせて為替予約をすることで、つねに2%ほどの為替差益が出せるような仕組みを受注残・納期管理コンピュータシステムを開発することで実現しました。利益重点営業委員会だけはメンバーではなかったのですが、優秀な営業課長のE藤さんがいて、円定価システムを考え、わたしに相談してきたので一緒にやりました。気が合うので、たまに二人で朝まで飲み歩きました。それまで営業マンの仕事の半分以上が為替がどう変化するかを織り込んで見積書を作成することだったのですが、このシステム導入以後は営業マンが見積書を作成するのに値引率を営業補助の女子社員に指示するだけでよくなりました。使用する受注レートはある計算式でそれまでの実績為替レートの移動平均値を使っていました。受注レートと仕入れレート、決済レートをリンクさせて為替予約をしたのです。これでNEC府中工場(東京営業所担当)と横浜工場(横浜営業所担当)で見積もり金額に違いが起きるというクレームがなくなりました、各営業所長にとっては頭の痛い問題でした。円定価システムは四半期ごとに更新しました。このシステムで粗利益率を10%アップしました。28%が38%になったのですから、毎年大きな黒字がでました。業績のアップダウンがなくなり、ボーナスが安定してたくさん出るので、社員は住宅ローンが組めると歓んでいました。粗利益率を上げることができたのは、取扱商品が欧米50社でそれぞれ世界市場でユニークな製品を開発・販売していたので、競合が少なかったからです。営業マンを見積書作成業務から解放することで、一人当たりの売上が3割ほと伸びました。同じ社員数で売上高が3割アップして粗利益率が10%アップしたら、粗利益の額は1.7倍になりますから、社員へのボーナス支払いを増やしても、内部留保が十分にできます。予算編成と予算管理もわたしがやっていたので、財務委員会で社長に利益は社員へ1/3、財務体質強化のために内部留保に1/3、配当へ1/3でどうですかと具体的なシミュレーションデータで示したら、「それで行こう」とOKしてくれました。いい人なんです。
 ところが、統合コンピュータシステム開発に関して関社長とある件で意見が合わないことがわかり、電算処理推進委員会のほうから社内に開発を任せてくれるように申し入れ、トラブルは一度目は解消しました。
  輸入商社の統合システムは、経理システム、給与支払い計算システム、受注残および納期管理システム、外貨決済管理システム、円定価システムから構成されていました。実務設計と外部設計がわたしの役目で、NEC情報システムから事務系のシステムではナンバーワンのSEであるT島さんが担当でした。これは関社長の申し入れによるものでした。三菱のオフコン3台からNECの汎用小型機2台導入へ切り替える条件でした。三菱のオフコンを使っていたときにはオービックのS沢SEが担当でした。この人もスキルが高かった。一緒に仕事したので、彼からスキルを学べました。13年前にオービックのホームページを見たら、開発担当取締役になっていました。

 社長の慶応大学時代の同級生であるMさんがユニバックだったかな、50歳くらいでリストラで失業してやむなく独立していましたから、やさしい社長はおそらく仕事をあげたかったのです。ところが、この人は輸入商社の業務にも経営にも理解力がからっきしありませんでした。1ヶ月かけて各部門の管理者からヒアリングしてレポートが出たのですが、電算処理委員会のメンバー全員が読んで、仕事の能力に失望しました。足手まといになるのでコンサル必要なしとの全員一致の結論だったのです。SE経験も無い人に当時最先端である統合システムのコンサルタント業務なんてできっこありません。そういうことを見事に証明するレポートでした。社長のお友達だということは社内に知れ渡っていましたので、課長数名から、ebisuさんとMさんといったいどちらが統合システム開発を担うのですかという声が出始め、やりにくかったのです。電算処理推進委員会の総意を社長に伝えて手を引いてもらいました。委員長のK藤早苗常務がポルトガルで会議中に脳出血を起こし療養中の出来事でした。リハビリを兼ねて会社に毎日数時間来ていました。通勤電車の混雑は無理でしたので1時間ほどずらして出勤していました。早稲田の理工学部出の温厚な人でした。わたしをかわいがってくれました。辞めるときに「ebisu君、申し訳ない、体がこうでは何にもできない、すまない」、リハビリ中のK藤さんが仰ったんです。申し訳ない気持ちで一杯でした。K藤さんはついに業務を担当できるようにはなりませんでした。申し訳なかっです。もう一人防衛庁から来ていたF田特定営業担当取締役もずいぶん面倒見のよい人だったのですが、辞職する2年前に50歳代で亡くなりました。工業英語に堪能な方で、日本語にしにくい available の訳し方はこの人が教えてくれました。茅ヶ崎の方のお住まいで、帰りの電車ではワンカップ大関を二つ飲みながら電車を楽しむほどお酒好きな人でした。営業系の二人の取締役がわたしの能力を買ってくれていました。83年に、社長の関さんはトイレットペーパーで有名なスコッティ社から大学同期の友人を引き取り、取締役管理部長に据えました。それまでわたしの上司であった取締役管理部長は営業担当取締役に変わりました。当時わたしは管理部と新設された電算室の兼務でしたが、この人を好きになれませんでした。でも仕事は別です。なんとなく古くからいる役員と社長とその友人の役員という対立軸ができていたようです。
 1983年の12月のことでした、業務課長のYさんから、「ebisuさんまたMさんが社長室に来ていたよ」というので、建物が別だったので社長に社内電話で「Mさんが昨日来ていたのですね」と尋ねたら、「・・・」、言葉が出てきません、困った感じが伝わってきました。建物が別だったのでわからないと思っていたのでしょう。業務課長がわたしに知らせるとは思わなかった。「任せてもらえるなら統合システム開発は責任を持ってやりますが、Mさんとでは仕事を教えながらやらなければならないので短期間の開発は無理です、統合システムはまったく新しい技術で、SE経験もなくコンピュータメーカの営業をやっていたくらいの知識では無理です、どうしますかMさんに任せるならわたしは手を引きます」、終始無言でした。「お返事がないということは、お友達を大事にしたいということのようですね、わかりました、辞表は上司に出しておきます」、それで終わりでした。
 ちゃんと引き継いだつもりでしたが、システム専門知識がまったく無い業務課の社員でしたから、その後統合システム開発は失敗に終わります。私が作った二つのシステムと経理のパッケージシステムがそのまま使われていたようです。
 この事件の前にもう実はひとつ信頼関係を傷つける伏線があったのです。わたしより半年ぐらい後で中途入社した2歳年上の総務課長が関わっていました。よく飲みに行って仲良く仕事していましたが、曲者でした。気分の悪い件が二つ続いたので、天意を感じたのです。ここを離れろと天が兆候をみせてくれたような気がしました。だから迷いがありませんでした。年の暮れの12月初旬に辞表をだしたはいいですが、次の宛てはまったくありません、年が明けてから考えよう、いまは引継ぎに専念しようという気持ちでした。
 引継ぎに1月末までかかりました。送別会は東京営業所の女子社員と一緒でしたから、大阪営業所からも来てくれました。社長だけが来なくて、他の役員や部長職は皆さん来てくれました。懸案だった利益構造も財務安定性も5年間でがっちり確保したので、心置きなく飛び立つことができました
 2月に営業部長のSさんから、帝人エレクトロニクスに友人がいるから、課長で転職しないかと声がかかりましたが、そのときにはもうSRLで働いていましたのでその旨伝えました。「そうだろうな」と一言、ありがたかった。帝人エレクトロニクスはシステム部門を別会社にしてできたようですが、消滅しています。どこかと合弁会社形態をとって経営がうまくいかず、帝人側で引き取って処理したと、帝人本社の常務取締役I川さんから聞いたような気がします。後で私が帝人と臨床治験の合弁会社の経営を任されるとは夢にも思いませんでした。なぜ帝人の合弁会社の経営がうまくいかないのかも、合弁会社をやってみて気が付くところがありました。帝人の本社エリートは東大と一ツ橋大の出身者がほとんどです。だから、東大や一ツ橋の部長職に子会社や合弁会社の経営を任せてしまうのです。おおむね頭が固くて学力が低く、腹の据わっていないことが共通しています、上を見て仕事しているのです。企業経営では常に足元を見ている必要があります、能力が普通では上を見ていたら足元が見えません、失敗するのはあたりまえです。
 日商岩井から来ていた総務部長からも連絡があり、紹介したい会社があるのでどうかとお誘いを受けましたが、これも「ありがとうございます、仕事するところが見つかりました、もう働いています」と伝えました。
 セキテクノトロンは私が辞めた年に1浪して東大に入学した三代目がその後経営を引き継いだようですが、2008年に業績悪化で上場廃止・吸収合併されています。磐石な経営基盤を造りましたが、25年しかもたなかった、その間にいろいろ準備することはできたはず、経営者の責任は重い。社員持株会で株を持っていた社員がかわいそうです。東大入学程度の学力では企業経営はとても難しいのです。もっともっと高いレベルを要求します

 引継ぎ中の1月にリクルートのSPIテストと面接を受けて、偏差値72で7段階の最高ランクに位置づけられ、優良企業10社ほどからきている求人ファイルがオープンになりました。34歳でした。
(「SPI試験は頭の柔軟性を見ているものだから、実務を十年間やっていたら、偏差値は下がります、5年たったら転職希望が無くてももう一度来てください、興味があります」、そのときに経歴書を見ながら面接を担当した人に言われました。)
 その中から業種が違って面白そうな会社を選びました。過去五年間の損益計算書と貸借対照表も資料の中にありました。専門家ですから、ざっと見ただけで要点がチェックできます。SRLは売上高経常利益率が5年間連続して12%を超えていました。売上高成長率が毎年20-30%もありました。典型的な成長企業でした。本社は都庁が移転してくる前の新宿西口、NSビル22階と23階でした。まだ東京に超高層ビルが少なかった時代です。超高層ビルで働くのも悪くないな、そう思いました。じつは、このファイルの中にフェアチャイルド・セミコンダクター・ジャパン(半導体製造会社)がありました。世界的な財閥フェアチャイルドの子会社でした。管理職で年俸850万円(1984年大卒の初任給は135,800円でした)で、一番給料が高かったのです。業種がまったく異なる臨床検査業のほうに興味がわきました。五年分の損益計算書と貸借対照表をみたからでしょう。FCSJ社のほうを選んでいたら、まったく違った人生だったのでしょう。人生はいつもどこかで分岐していきます。

 仕事がしたかったので、3日程度の気分転換休みを経て、2月の第1週目からSRLへ出社しました。このような経緯を経て東証Ⅱ部上場準備中の国内最大手の臨床検査会社へ上場準備要員の最後の一人として転職しました。当時西新宿のビルの中では一番家賃の高いビルでした。窓の下には新宿西口公園が見えます、快適この上なしです。その後SRLは東証Ⅱ部、ついで東証Ⅰ部上場を果します。
 この会社では入社して2ヵ月後に上場準備のための統合システム開発と半年後に予算編成統括担当となって財務部門で2年9ヶ月仕事をしました。
 輸入商社の統合システムを途中で放棄せざるを得なかったので、フラストレーションがたまっていました。それを吐き出すように仕事をしました。当時富士通製の一番大きなメインフレームを必要とした統合システムでした。関商事の汎用小型機2台のシステムとは規模も投資額も比較になりません。ソフト開発費用だけで7億円くらいかかったはずです。結果から見ると、輸入商社を辞職しなければこの開発にタッチできませんでした。やはり、天の意思が働いたのです。面白いことに、このシステムを一緒に開発したNCD社のM山さんもその後取締役になっています。わたしと仕事したSEは皆さん優秀なんです。(笑) そんなSEでもお手上げのことが一度だけありました。支払い管理システムの残高以降ができないと本稼動後の半期決算で問題が生じたのです。3名のSEがお手上げというので、話を具体的に聞きたいのでどこがダメなのか明日ファイル・フロー図をもってきてくださいとお願いしました。翌日、1m四方くらいもあるチャートに百数十個のファイルが流れ図として描かれてありました。それを広げて処理を追いかけながら説明を聴きました。聴き終わったところで、あるファイルを指差し、このファイルを使って、こういう処理をしてくださいと伝えました。「どうですか?まだ不可能ですか?」、「え、・・・できます」、それからは扱いがガラッと変わりました。ようやくスキルをお分かりいただいたんです。実務設計図や外部設計だけ見たって技術レベルがわかりそうなものですが、ユーザー部門でSEと匹敵するほどのスキルを持った顧客がいなかったのでしょう。「面白そうだから、わたしが内部設計やプログラミングもしましょうか?」、そう申し入れると、「仕様書だけにしてください、あとはわたしたちがやります」とあせっていました。ジョークだったのですが、マジにとられました。コンピュータシステム設計で一番難しいのは実務設計なんです。いままでにない実務を具体的に想定しながら、破綻をきたさないようにデザインするのです。しかも、システム化以前よりも精度は10倍以上、人は1/10以下か、ゼロにしてしまうのですから、ここがコンピュータシステム設計の要なんです。システム化を上手にやると、生産性が数倍になりますから人件費が大きく浮きます、そして精度が比較にならぬほど上がってしまいます。そういう現実を見て仕事をしてきました。
 市立根室病院は電子カルテの実務設計をせずに建物の建築仕様を決めてしまいましたが、あれは大失敗なのです。電子カルテの実務設計をすれば建築仕様が大幅に変わるんです。外来診療レイアウトがまるで変わってきます。たぶん今頃やっているのでしょう。建物レイアウトはもう変えられません。わたしのところに相談に来たらよかったのに、ふるさとですからボランティア、タダです。根室の町のエスタブリッシュメントは根室の外に出たことが無い人が多くて視野が狭く排他的で偏屈です、人材がいても使い方を知らない。これでは世の中にあまたいる優秀な人材から見放されます。類は友を呼ぶっていうのはほんとうのようです、オール根室のメンバーをみたらよろしい

 閑話休題、統合システム(販売会計(請求)システム、購買在庫管理システム、原価計算システム、財務・支払い管理システム、投資および固定資産管理システム)の核である財務・支払い管理システムと各システムとのインターフェイスを8ヶ月で終わってノートラブルで本稼動してから、投資および固定資産管理システムのデザインと開発を半年掛けてやりとげ、退屈になったので、86年8月に「臨床診断支援システム共同開発計画」案を作成して、創業社長の承認をもらっています。総事業費200億円でした。NTTデータ通信事業本部と事業化案の検討をしましたが、当時のコンピュータの性能と通信速度が要求仕様を満たしていませでした。20年後でも無理だという判断になり、中止しました。しかし、その中に含まれていた10個ほどのプロジェクトのうち、臨床検査項目コードの標準化は、臨床病理学会の臨床検査項目コード検討委員会の櫻林郁之介委員長と業界大手6社の項目コード共同研究会をつないで、数年をかけて日本標準臨床検査項目コードが決まりました。いま全国の病院のシステムがその標準コードで動いています。もちろん市立根室病院もその臨床検査項目コードで動いています。保険点数の改定や新規項目ができるたびにメンテナンスされて、インターネットで配信されて全国の病院が利用できるようになっています。病院のパッケージシステムが、このコードを前提にできています。保険点数の改定データの配信事務局はたぶんいまでもSRLでしょう。企画案の1/10だけは実際の役に立ったのです。保険点数が変更になっても、臨床検査項目については全国の各病院でコードと保険点数の入力作業が要らなくなりました。本当は臨床検査項目コードの世界標準を作る企画でした。システム部門と学術情報部門が協力して日本標準コードを作る体制を社内に構築したので、途中でわたしは手を引きました。櫻林先生、世界標準まで持っていけませんでしたね、ターゲットについて櫻林先生に話しはしてあったので日本初の世界標準コードをつくるチャンスでした。櫻林先生は河合先生(臨床病理学会の国際学会長)の一番弟子自治医大の助教授でしたが、産学協同による日本標準コードは大きな業績ですから、この仕事で教授になったのでしょう。名前は郁乃介と刀を差して歩いているようなイメージですが、ebisuよりも2歳ぐらい年上ですから、お元気だったらまだ現役かもしれません。楽しい仕事でした、快く協力してくれた櫻林先生と臨床検査業界大手六社の学術部門とシステム部門の関係者の皆さんにありがとうと言いたい。SRLのシステム開発部課長だった栗原さんと立ち上げ当初は臨床化学部長でその後学術情報部長になって一貫してSRL側でこの仕事を支えてくれた川尻さんにも感謝です。SRL社内にこの二人がいなければ実現できなかったでしょう。とくに栗原さんはシステム開発部長の大反対を押し切って、「馬鹿いってんじゃないよ、ebisuさん俺やるよ」と勇ましかったな。臨床診断支援システム開発とその共同事業化構想では栗原さんがNTTデータ通信事業本部に仲介してくれました。

 上場準備要員として中途入社し、財務部で予算の統括管理と統合システム開発をしていましたが、統合システム開発は8ヶ月で完了、上場用件クリアのために減価償却費の予定計算精度を上げなければならず、固定資産台帳システムを「投資および固定資産管理システムへ改良」しました。個別の投資案件を入力できるようにして投資計画と既存の固定資産の両方のデータから減価償却予定学を計算できるように作り直したんです。予算管理もしていたので、一番大きなターゲットである検査試薬のコスト削減(目標値10億円)を提言したら、本社の方から八王子ラボ購買課へ出向してお前が担当しろということで購買部門へ2ヶ月の社内出向、それが満了になると成果を評価されて購買課へ異動、システムと検査機器担当を3年間やりました。
 仕事中にチョムスキーの "Knowledge of Language" を読んでいたら、そこへ学術・開発・精度管理部門の担当役員のI神さんが通りかかって、「何を読んでいるんだ」と問われて本をチェックされました。後で呼び出しがあり、「俺のところへ来い、学術開発本部スタッフとして、開発部と学術情報部と精度保証部の仕事をしてもらいたい」と誘われて異動、学術開発本部スタッフとなり、製薬メーカと検査試薬の開発部業務や出生前診断検査システムの開発を担当し、慶応大学病院産婦人科教室と国内MoM値共同研究を担当。学術情報部の仕事ではラボ見学希望者の案内(学術情報部に専属の3人)のうち海外製薬メーカ分を担当、3000項目の臨床検査があるので、ラボは検査部門が9部門あり、案内と解説は専門知識が必要でした。検査機器に関しては基本構成はどれも同じだったから、説明だけなら簡単で楽しかった。普通は1-2年間ほどトレーニングが必要です。私は一度、学術情報部のラボ見担当スタッフ三人についてやり方を一度見せてもらっただけですが、その翌日には大学病院のドクターを案内していました。検査機器についてはSRL社内では一番詳しかった。
 精度保証部の仕事はCAPライセンスの準備のお手伝い。3000項目の標準作業手順書を日本語と英語の二通りの電子ファイル化作業が進行中でした。CAPライセンスは世界一厳しい米国の品質管理基準ですから、米国から査察に来ます。資料は全部英文で用意する必要がありました。2年に一度やってました。

 購買課で3年間の機器担当したいたときにラボ内の検査機械は全部見ました。理化学機器のデパートでしたよ。原子吸光光度計、日立の血液自動分析器、染色体画像解析装置、電子顕微鏡、カールツァイス蛍光顕微鏡、赤外分光光度計へかける前の結石前処理ロボット、HP社のガスマス、液クロ、遺伝子増幅器、ガンマカウンタ、LX3000、2次元電気泳動装置、マイナス150度の冷凍庫、メトラー社製電子天秤(ラボ内の電子天秤はメトラーに統一)、PⅢ仕様のエイズ検査室・・・。
 共同開発もいくつかやりました。偶然がいくつも重なって栄研化学のLX3000という酵素標識の大型自動分析器が開発中であることがわかりました。契約書を作成したいと担当営業から相談があったので、契約書を整備するのは東証Ⅱ部上場要件ですから、ピンときました。「上場準備中だろう」というと顔色を変えて「どうして知っているんですか、外部に漏らしてはいけないって難く口止めされているんです」とあせっていました。上場準備のある件で困っていたので営業マンを通じて相談に載ってあげました、その見返りに開発中の酵素系の大型自動分析器の話が舞い込んだのです。市販する前にSRLで最終インスタレーションテストをやってあげるよ、そうすれば問題は全部つぶせる、完璧な製品として売り出せるだろう。その代わりに、1年間の独占使用契約を結びました。酵素標識の検査はRI標識に比べて3桁、1000倍も測定精度が上がるのです。この大型自動分析器にはずいぶんたくさんの項目が載りました。設置してすぐに午前中の2時間ぐらいデータの再現性が悪いことがわかり、現場とメーカでもめていましたので、間に入って調整をしています。2時間前からプレヒートで切るように細工をして凌いでもらいました。原因はじっくり見つけたらいいと伝えて、問題は解消です。なぜ文系の私のそういうメカの調整ができるのか不思議でしょう?産業用エレクトロニクスの輸入専門商社に5年間いたので、毎月東北大の助教授が来てマイクロ波計測器についての勉強会がありました。営業は全員理系大卒ですから営業マンと技術部門の人間が参加していました。その勉強会に管理部門から参加したのです。コンピュータ・プログラミングは3言語できたし、コンピュータの内部動作についても専門書で勉強していたので、マイクロ波計測器は理解できたのです。ディテクターとデータ処理部とインターフェイスの3つに分かれるので、測定原理はどんな計測器でも同じなんです。ディテクターの周波数やチャンネルがひとつかマルチであるかの違いがあるだけで、データ処理部はコンピュータですから、講習に出ていても理解できるのです。営業マンからも技術部の人間からもとっても信頼されました。欧米の50社と総代理店契約をやっていましたが、オシロクォーツ社の周波数標準機(時間計測)が取り扱い品目にありました。営業マンの話だと、設置してから火を入れて(電気を入れることを「火を入れる」と彼らは言います)、一ヶ月しないと規定の精度が出ないのです。水晶、ルビジウム、水素メーザなどの種類がありました。そういう知識があったので、トラブルの原因もその対処法も見当がつきました。
 欧州の製薬メーカであるファルマシア社と試薬の価格交渉時に値引きを要求したら、頑として応じる姿勢が無いのです。試薬の日本国内の販売戦略を変えたら、3倍くらいは売れるよと説得して、値引きをしてもらいました。製品が良いのだから、定価販売しかしないという方針だったのです。日本では定価販売を通すとストレスがかかります。仕入れ担当者が関西人なら値引き交渉は挨拶のようなものです。郷に入りては郷に従え、見事に図に当たりました。日本支社長ご栄転でした。だから、たいがいのことは協力してくれました。液体シンチレーションカウンターはバイアル(ガラスのビン)に検体が入ってベルトコンベアで次々に流れてガチャガチャ音を立てながら測定するのですが、検査需要が膨らんで検査室は天井までバイアルが並んで危険な状態でした。ファルマシアLKBが96穴の紙フィルター方式のマルチチャンネルの液体シンチレーションカウンターをSRL用に開発してくれたんです。分注はSRL側で自動化したので一気に96検体の検査ができます。一台でそれまでの液体シンチレーションカウンター96台分ですが、実際には測定時間が延びたので10倍程度検査効率が上がりました。バイアル96個分がたった一枚の紙フィルターですから保管場所はがらがらになりました。スカスカになった検査室で検査担当者が「これで地震が来ても安全だ」と歓んでいました。2台で間に合うようになりました。LKBは相談を持ちかけたら、ガンマカウンターもSRL仕様で製品開発をしてくれたんです。カタログにSRL仕様とうたえば日本国内の大学病院の検査室や大手臨床検査センター6社にが一気に買い換えるだろうとススメました。SRL仕様が日本では標準ですから、カタログに載せれば全国で販売できます。ウィン・ウィンでした。真っ白で生活観あふれるすっきりしたデザインの製品でした。デザイナーが製品開発に関わっているようです。テストで1台入れてラボを離れましたが、数年後に見たら、全部ファルマシアLKB製に変わっていました。

 学術開発本部へ異動してから、各自ばらばらにやっていた製薬メーカの検査試薬開発業務の標準化をPERT chartを利用してやり遂げ、進捗具合が見えるようにしました。学術営業部門で暗礁に乗り上げていた沖縄米軍の以来の出生前診断と慶応大学産婦人科教室との出生前診断共同研究などを次々に問題解決して軌道に乗せたので、頼りにされていました。
 あるとき、子会社管理部門が新設されるので社内公募があり応募したのですが、副社長の谷口さんがラボにわざわざ来て、異動の件は上司の担当役員に話すなと口止めされてしまったのです。話したら今回の異動はつぶれるというのです。I神取締役が承知するわけが無いというのです。決まって事例が出るまで黙っていろと言われて、あの時は困りました。I神さんから叱られましたよ。本部のマネジメント業務で頼りにされていましたから。青山学院で有機化学を教えていた方で、住友金属の検査子会社のラボ所長をしていましたが、見切りをつけてSRLに転職した人でした。住金の検査子会社もその後買収しています。
 異動して数ヶ月たったころ、上司のI神さんは、「数年したら、ebisuに使われているかもしれないな」、そう言いました。開発部にも学術情報部にも精度保証部にもわたしのようなマルチで仕事を担当して同時にマネジメントのできる人材がいなかったのです。

 子会社管理部門に異動して、25項目のレーダチャートと線型分析を利用して総合偏差値による子会社経営分析ツールを開発しました。これも産業用エレクトロニクス輸入商社でHP-96を使って独自開発したシステムをEXCELに載せただけですから、数日で完成。
 三井物産から買い取った千葉の臨床検査子会社の検査および業務系システム開発を親会社の方から参加して担当しました。システム稼動後の損益のシミュレーション資料も稟議書に添付しました。半分くらい進んでいたので途中からタッチしましたが、稟議資料の大半はわたしが作成。同じ人数で4倍量の業務量がターゲットでしたが、予定通りに稼動し、4月以降の健診受託が数倍に跳ね上がり、一気に黒字転換しました。これで、一般臨床検査会社を黒字にするノウハウが得られました。ラボシステムの作り方しだいで生産性が4倍に跳ね上がるのですから、臨床検査会社の経営改善は簡単でした。
 そうした知識と経験をベースに営業から持ち込まれた二つの臨床検査会社の経営分析と経営改善提案を担当して、北陸の臨床検査会社1社の買収と福島県郡山市の臨床検査会社への資本提携交渉を担当、両方の交渉が終わったところで、どちらか選べといわれて福島県の臨床検査会社を選び取締役経営管理担当役員として出向。1年間で染色体検査に関わる具体的な目標値をもった経営改善案を作成し、実行しようとしたところで、出向解除、本社に呼び戻されてしまいました。15ヶ月の出向でした。SRL本体の2倍の経常利益率が実現できる劇的な経営改善案だったために親会社創業社長のF田さんからストップがかかってしまいました。そんなによくなったら、本社役員として郡山の会社の社長を迎えなければならなくなります、そして業績はグループ企業ナンバーワンになりますから発言権も強いものになってしまいます、それが嫌だったのでしょう。赤字企業に1億円出資して、行き詰ったら役員を全員追い出して子会社化するつもりだったのです。わたしは、F田社長から郡山の赤字の会社に出向して3年で経営改善しろと言われてましたから、ラボを現地調査して、素直に経営改善案をつくったのです。読みが浅かったのかもしれません。創業社長はわたしが出向しても3年間で行き詰ると読んでいたのでしょう、わたしは余計なことをしたわけです。 
 その後本社に戻り異例の3部門(社長室、管理会計課、購買部)の兼務、つまらないので、問題山積みの一番古い一般臨床検査子会社SRL東京ラボへ出向、親会社を含めてグループ全体のラボ配置を変える構想で動いていました。具体案を固めてから親会社へ相談するつもりでした。150メートルの平面ラインのラボをつくる構想をまとめて、子会社社長のM輪さんを説得したところで、本社社長から帝人との合弁事業である治験検査会社の立ち上げが暗礁に乗り上げたので何とかしろとの指示があり、呼び戻されてしまいました。東京ラボのM輪社長から話があると社長室に呼ばれたら、下を向いてしばらく間がありました。雰囲気が普通ではなかったので、「どうしたんですか」と訊くと、帝人との合弁会社の立ち上げが暗礁に乗り上げているので、ebisuを担当させると親会社社長のK藤さんからの直接の指示だから、もうどうにもできないというのです。
 合弁会社立ち上げのプロジェクトは半年ほど前からスタートしていました。11月頃だったか、新聞発表した1月スタートの予定が間に合わないというのです。期日までに合弁会社を立ち上げられるのは社内ではebisuさんしかいないと主張したのでそういうことになってしまったのです。プロジェクトメンバーの半数は帝人の臨床検査子会社の社員でした、調整と決定に忙しい目に遭いました。
 プロジェクトの最初の打ち合わせに本社へ着いてエレベータを降りたところで外出しようとしていた社長のK藤さんに偶然遭って、立ち話、やれるかと問うので、経営の全権をわたしに任せてくれるならKさんが期待している仕事は期限内に全部クリアしますと返答したら、目標三つと期限の提示がありました。目標であった三項目は①臨床治験検査受託事業の黒字化、②帝人の持ち株の引き取りによる合弁解消、③帝人の臨床検査子会社の買収、これらを3年間でやってもらいたいということでした。合弁企業をスタートさせる前から、業績改善と合弁解消を考えていました。臨床治験検査受託事業はどちらの企業でも赤字の部門でした。2年9ヶ月で三つとも仕事をやり終え、1999年に9月末で退職。そのままいれば本社役員のポストぐらいはありました。でももうあとは簡単でどきどきしなくなっていました。臨床検査に関しては経常利益率20%くらいはやり方しだいで可能です。わたしがK藤社長の下で参謀として采配を振るえたとしても、利益の額が2倍に増えるだけです。
 帝人から出向していた社長のHさんは、まったく縁のない臨床検査子会社経営を任されてうまくいかず精神的におかしくなっていました。臨床検査子会社の方の大阪営業所があるときHさんに呼び出されました。大声で怒鳴り散らしていたのを他の社員が聞いています。翌日自殺しました。このときに計画を早くしないとまた何か起きかねない、と判断したのです。
 一ツ橋大学出身のHさんは臨床治験の合弁会社の社長も兼務していました。その子会社で赤字部門だった臨床治験検査受託事業を、これからどういう風に事業展開するのかHさんの説明では合点がいかなかった帝人の専務と常務が「Hに訊いてもわからん、どうなっているのかebisuさん一度来て説明して欲しい」と帝人本社に呼び出されました。常務と専務の前で緊張してHさんしどろもどろでした。震えていました。データ管理業務でパッケージシステムを作ってそちらの売上を事業全体の半分程度に増やして、赤字経営から黒字経営に改革するという案でした。「ああ、そういうことか、わかった、その案を承認するからその通りにやってください」と本社役員お二人のお墨付きをいただきました。
 準備に1年かかり、スタートするとデータ管理事業の売上が急拡大、それと一緒に臨床治験検査も受託できるので相乗効果が働きました。3年目に黒字の計画でした。
 精神的におかしくなったHさんを飛ばして、帝人本社のI常務と、株の引き取りや臨床検査子会社の買収交渉を始めました。合弁会社・社長のHさんは抜きでの交渉でした。帝人はあっさり認めてくれました。こう言ったんです、「合弁会社はいつも赤字でどうしようもなくなり、帝人側で引き取って処理してました、こんなケースは初めてです」そう言って35年やっていた臨床検査子会社もSRLへ売却を了承してくれました。I常務は「新社長はebisuさんやってください、社長だったHは帝人本社に引き取ってそれなりに処遇したいので認めてください」と言いました。ニッコリ笑って了承しましたが、これを機会にSRLを辞めようかと考えていました。

 仕事が暇になると、ナンバーツーの会社を買収する具体案も練っていました。公正取引委員会がノーというでしょうから、叩き潰す案になってしまいます。ナンバーツー企業が他の臨床検査会社の草刈場になるだけのことですから、路頭に迷う社員がかわいそうです。ナンバースリーの三菱BCLをナンバーワンにする戦略もシミュレーションしていました。頭の中でおおよそのところができてしまえば、あとは現実に移すだけで、そう困難はありません。段取りするとことが面白いのです。具体案があれば、仕事のできる人ならなんとかやれます。

 かねてから話が持ち込まれていた、郡山の臨床検査会社の社長のT橋さんの仲介で、2000年に首都圏で300ベッド弱の病院で常務理事として病棟建て替えをやりました。
 なぜ、転職したかを書いておきます。郡山の臨床検査会社へ役員出向した平成5年にオヤジが亡くなりました。郡山の会社は地域の臨床検査会社と合併を繰り返して大きくなりました。その中の一人の息子さんが事故で亡くなりました。ちょうど葬儀が重なってしまったのです。社長のTさん、東京から栃木県まで遺体を運ぶ段取りをして、そちらの葬儀には出席せずに、根室まで夫婦できてくれたんです。あの覚悟に惚れました。いつか無理難題を聞いてやろうとそのときに思いました。一度はSRLのF社長と無茶な交渉を頼まれました。もちろんやってあげましたが、いろいろ経緯があり15ヶ月で出向解除になりました。SRLを辞めて郡山の会社に転職することを恐れたのでしょう。千葉ラボのシステム開発で同じ人数で業務量を4倍にする方法を知っていましたから、正攻法でも赤字会社を黒字にすることは簡単だったのです。染色体検査とシステム開発による黒字化という二段構えでした。SRLで仕事をしている方が大きな仕事ができるので、SRL創業社長のF田さんの帰還命令に従いました。
 T社長は90年代はじめころに首都圏のある病院が負債50億円で倒産した件で、理事長を救ったことがありました。ヤクザが絡んで理事長は命まで狙われるようになったのです。新宿のヤクザの事務所で話をつけたそうです。警察に空手を教えていたこともある人ですから、勇ましいのです。大型病院を買収して経営に乗り出したのですが、医者ですからマネジメントができないのであっというまに50億円の負債を抱えて倒産しました。小規模病院である市立根室病院を考えても、3年間の累積赤字が50億円ですから、400ベッドクラスの大病院ではあっというまに債務超過額が膨らみ倒産します。結局、理事長のお父さんが一部上場企業のオーナでしたから、その持ち株を全部処分してケリをつけました。だから、兄弟姉妹の仲が決定的に悪くなりました。その後、特例許可老人病院を経営していました。建物が古いので建て替えの必要があったのですが、病院スタッフでは県との交渉がたいへんですし、建て替えのゼネコンとの交渉も無理でした。郡山の社長が相談を受けていたのです。
 相談を受けて何度か会いました。建て替えするだけでなく、療養型病床の病院を核にして、老健施設やグループホーム、訪問介護事業などを展開してシームレスなケアをできるビジネスモデルを展開するつもりでした。一つ作れば金太郎飴方式で30個くらいは全国展開できます。事業規模は1000億円以上に拡大できそうでした。熨斗をつけて100億円くらいは兄弟姉妹にわけてやればいいのです。
 これは目論見が失敗しました。職員がなついてしまって、理事長が不安になったのです。病院を自分のものにするつもりなんてこれっぽちも無かったのですがね。それどころが、十倍にも百倍にもしてあげるつもりでした。
 無欲は時に疑心暗鬼を呼びます。理事長の運転で1200万円のベンツの助手席に乗っている時の事でした、「ebisuさんこの車あげる」っていうんです。まだ購入して1年ほどでした。「常務理事として給料いただいているのでそれで十分ですからいりません」と断りました。それから一月ほどすると、「病院近くに6000万円で中古の建売住宅の売り物が出たので、それを買ってあげる」というのです。「十分報酬はいただいてますから」とそれも断りました。そうしたら、こう言いました。「常務の職に就きたいと思う人が多いけど、ebisuさんはあまりそういうことを思わない人のようだね」と。あげるという物をもらわないと疑心暗鬼になる人がいるということを初めて知りました。理事長の個人的事情は仲介者からある程度聞いてはいたのですが、わたしは配慮に欠けていました。無邪気に仕事をちゃんとすればよいだけと思っていたのです。個人的な関係のほうが大事でした。
 建て替えはあるゼネコンと話が進んでいましたが、当初計画の10億円が仕様変更で15億円まで膨らみ、おまけにキャッシュバックの話まで出ていたので、常務理事に就任するなり最初の仕事はそこと手を切ることでした。知っている職員がいましたから、労務問題で何かあったら補助金を返済しなければならないような事態が起きかねません。だから、中止の必要がありました。曹洞宗の本山である総持寺所有の病院にも手を出そうとしました。一般病院で、職員ともめて裁判係争中でしたのでこれもとめました。横浜の港未来地区に病院を出さないかという「おいしい」話もありました、これは企業舎弟が絡んでいたので、手を引かせました。懲りないのです。
 実務をデザインして、各担当職員に確認し、仕様を取りまとめて知り合いのいる新日鉄のゼネコン部隊と交渉しました。療養型病床の病院ですから、総合病院とはだいぶ違いますが、RC造で11億円で建て替えました。ちゃんと仕事をすると、建築コストはこんなに減らせます。藤原市長へ会談を申し入れたら、担当の二人にあってくださいというので、建築設計書を取り寄せては道庁から出向していた総合政策部長のK山さんと、病院側で担当していたK池さんへ渡しています。2000年で坪単価65万円でした。130万円が道の基準だとそのとき説明がありました、民間ではよほどずさんな仕事をしない限り、130万円なんてかからない、坪単価130万円なら大理石の病院が建ちますと伝えました。結局市立根室病院は建て替えに坪単価130万円かかったようです。
 ベンツと中古住宅を買ってあげるという話を断り、その後ギクシャクしたので、神奈川県や横浜市との建て替え補助金申請書類ができあがり、工事が始まったところで、手を引きました。常務理事を引き受けるときに10年間で1.8億円の報酬契約書を締結していましたが、契約は解除しました。得したと思ったかもしれませんが、理事長は大損したのです。わたしに任せておけば、1000億円規模の事業のオーナーになれました、個人資産も20年ほどでそれくらいにはなったでしょう。社会的にも有意義な事業でした、もったいない。
 そのあとは、就職斡旋会社の紹介で経営企画次長職で、ある外食産業の上場準備のお手伝いを1年間して、ふるさとに戻って小さな塾を開いたといった一風変わった経歴の持ち主です。
 やりたいことをやりたいときにやりたい仕方でやる、それが楽しみです。



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#3443 根室の高校統合:具体策の用意はあるのか? Oct. 22, 2016 [さまざまな視点から教育を考える]

 午後七時の気温は6.1度、めっきり寒くなり、庭のもみじは紅く染まっている。北の勝「祭り」を飲みながら、皿にのった焼き秋刀魚を突っつく。根室の秋はおいしい。ふるさとは酒も肴もありがたや。

 統合後の名前は現在のままだと新聞で知った。古い名前をそのまま維持するのが当たり前だから、その点では褒めておきたい。弊ブログでも名前を変えてはいけないと何度も書いてきた。小学校は道内3番目に古い花咲小学校の名称を残せばよい。まもなく統合が予定されている中学校は、元の根室中学という名称を復活させればいい。

 ところで、塾生たちから統合後の根室高校について断片的な情報が入ってくる。噂によれば全科が単位制になるらしい。商業科も普通科も両方共に「単位制」である。自分でプログラムして単位を選択できるらしいが、科目選択には授業時間の割り振りの関係からさまざまな制約が生ずるのは当たり前で仕方がない。単位制でないときよりも選択がいくぶん自由になるくらいの感覚だろう。

 驚き桃の木山椒の木だったのは普通科に定員40名の「特進コース」ができること。入試の得点で上位40名を拾い上げるらしいが、大学進学の意志の有無を確認するという。まさか、就職を希望する生徒は特進コースには入れないということではないだろうな。そんなことをすれば、成績優秀で、地元に残る貴重な人材の芽を摘むことになる。
 商工会議所や中小企業家同友会などに説明を行ったようだが、異論は出なかったのが不思議だ、自分たちの首を絞めたことにすら気がつかぬ。理由は本稿で次第に明らかになる。
 根室はこういうところが閉鎖的で愚かである。一般市民の預かり知らぬところで町の未来に関わる重要問題を決めてしまい、仕事はチョンボだらけになる。そういうやり方が根室をダメにしていることに地元経済界は気が付くべきだ。

 さて問題はいろいろあるが、特進コースの入れ替えはあるのだろうか、あればどういうタイミングで何回あるのか、そんな疑問もわく、生徒たちにとっては大事な情報である。
 特進コースに40人だが、中学時代の学力テストで5科目合計点で400点以上の生徒は、市内全部で一学年あたり4-10人程度しかいなくなり、成績上位層が絶滅しかかっている。10年前の1/4以下だろう。
 特進コースの対象は中学時代学力テストで五科目合計点が400点以上の学力の生徒が最低限の学力とすると、特進コースの本来の定員は10名で十分ということができる。あとの30人は「お客様」で足を引っ張ることになる。
 具体的にいうと、教科書準拠問題のB問題まで特進コースの授業ではやることになるだろうが、これを自力で解ける生徒は10名ほどしかいないということで、あとの30名はオチコボレルことになる。オチコボサナイためには授業の難易度も定期試験のそれも下げざるをえない。せっかく「特進コース」を設定しても、すでにそういう学力の中学生が絶滅しかかっているのである。だから、そこに手を入れなければ、根室高校特進コースは裁量問題同様に有名無実となるだろう。
 最初の1年間が勝負である。それで特進コースの中身が決まってしまう。レベル低下を防ぐには特進コースは7時間授業とする手がある、指導技術のない部活顧問の常套手段である長時間練習である、急場しのぎに過ぎないが、ことここにいたっては他の妙案はわたしにはない。

 だいたい、偏差値42-45の高校に裁量問題などまったく必要ない。道立高校の80%が定員割れの状態である。裁量問題は定員割れを起こしていない高校が実施すべきものだ。
 根室高校は入試で裁量問題を課しているが単なるミエだろう。市内の中学校の数学の授業で裁量問題対応しているところはひとつもない。それはふだんの授業が基本のA問題に限定され、定期テスト問題もA問題のみから構成されていることからも言いうる。7回の授業参観で確認したが、そのことは市街化地域の3中学校に共通している。
 中学校の先生たちはとっても苦労しながらやっているのだろうと思うが、結果は厳しいものといわざるを得ない。

 特進コースを設定することで大きなマイナスが生じることは考慮したのだろうか?残りの普通科クラスが学力水準が極端に落ち、学級崩壊状態になりかねないのである。その中には高卒で根室で就職する者や専門学校へ進学して根室へ戻ってくるものが多い。地元企業経営にとって一番大事なところなのである。
 小学校の学級崩壊の後遺症や中学校での学級崩壊状態の現出によって、その学年の学力テストの平均点が顕著に低下することはこの13年間の道文協学力テストデータから知られた症状である。それが、根室高校へ「感染」することになる。
 仕事は「段取り8分」と言われるが、そこに重大な瑕疵があったのではないか?
 有効な対策を考えずに、決めてしまったのだから、もう行くところまで行くしかない。元仕事人のebisuの見るところでは、事態の収拾は大ごとになりつつある。仕事のできない者が権限を振り回して仕事をしようとすると、得てしてこういうことが起こる。
 
 現在の根室高校普通科は、定員割れすると偏差値42、定員オーバのときで45である。これがさらに下がって、学級崩壊すれば、「教育困難校」に転落しかねない。現在の中学校の状態を見るとじつに危ういのだ。高校生は「大人」ですから、先生たちが抑えきれると思いますか?小学校や中学校だって抑え切れていませんよ。学級崩壊や教育困難校への転落が現実にならずに杞憂であって欲しい。もう祈るだけです。

*教育困難校 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E6%A0%A1

<余談>
 釧路の15中学校の学力テストAの結果を#3442に載せました。釧路15中学校最下位は学区内に児童養護施設を抱える地区にある桜ヶ丘中学校ですが、根室のC中学校の五科目平均点は、その中学校よりも10点よいだけで、他の釧路の14中学校を下回っています。教える先生たちのたいへんさがわかります。自制できない生徒や小学校で家庭学習習慣の躾けに失敗した生徒たちが多いのです。それでも何とかしなけりゃいけないのが先生たちの仕事。
 数学については桜ヶ丘よりも平均点が3.1点も低かった。総合BでもC中学校の数学の平均点は16点で動かず。
 60点満点の学力テストで12点(2割)以下が49人中19人、38.8%もいます。18点(3割)以下は30人、61.2%。百点満点に換算すると30点以下が61.2%いますが、この得点層で一人でも現在根室高校普通科で使っている問題集のB問題をこなせる生徒を想像することができません。A問題すら半分も解けない生徒が大半です。B問題にチャレンジできるのは得点が7割以上の生徒ですが、49人中2人のみ、わずか4%。
 これだけ学力差があれば、同じ単位制の普通科といっても、同じ教科書は使えません。無理を通したら道理が引っ込むので、ここにも大きな問題があります。教科書を別にするために科を分けることを考えるか、何か別の代替案を検討すべきだった。閉鎖的な検討をするからこういうことになる、「後の祭り」です。
 普通科定員160人、商業科定員80人だから、普通科が66.7%を占めることになる。学力テストで数学の得点が半分以下という生徒がC中学校では9割を占めている。大雑把に見て、特進コースの半数弱の生徒が数学の学力テストで5割以下の得点ということ、残りの普通科は数学の得点が5割以下の生徒ばかり、3割得点層が主体ということです。現行の教科書は学力に比してレベルが高すぎて不適です。これがどれほど深刻な問題かお分かりいただけますか?
 とにかく、数学の点数が1割以下でも、要するに零点でも全員が根室高校へ入学可能なのです。五科目合計点が100点未満(300点満点)は不合格でよいのです。勉強しなおしてから再度受験すればよい。それくらい厳しくてよい。総合Aで判定すると、C中学校の生徒49人中、25人(51.0%)が不合格です。合格ラインが示されたら、残りの期間は死に物狂いで勉強するでしょう。

 他の2校がC中学校よりも上なのか下なのか、データを持ち合わせていないのでわかりません。大きな差はないでしょう。C中学校は一昨年と昨年度と2年続けて全国学力テストで全国平均を達成していますが、来年も再来年も現在以下の学力水準になります。そういうことはふだんの学力テストの結果から、先生たちはよくご存知です。だから、今後三年間は苦難の道を歩むことになることも覚悟しているでしょう。実に厳しい学力状況が待ち受けています。
 C中学校の現在の三年生に限っては根室高校普通科特進コースの数学の授業になんとかついていけるのは得点7割超の階層(43-48点)の二人だけ
 先生たちにしてみれば他にもいくつか理由を挙げたくなるだろうが、A問題のみの授業とA問題のみの定期試験を三年間続けるとこういうことになる学力テストで点数が取れなくなることがデータではっきりしている。だから、特進コースの授業がどういうものになるか、わたしには想像がつきます。

 統合検討委員会はこうした具体的なデータに基づいて議論したのだろうかデータを見ずに、検討を重ね結論を出したのではないことを祈ります。
 
閉鎖的なやり方をさまざまな問題で繰り返し、そのことで根室の町が蝕まれ、衰退が加速する
。いつものパターンです、市立病院建て替え、明治公園再開発、そして高校統合問題、どれをとっても同じ。
 若い人たちが異を唱え、ふるさとを住みよい町に変えたらよい。


*統合委員会活動報告書
http://www.nemuro.hokkaido-c.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=1448


*#3442 学力テスト総合A:釧路と根室の比較  Oct. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-10-21



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