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語彙力と「読み・書き・そろばん」 ブログトップ
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#3651 中学生の読解力: 国立情報学研究所調査より Dec. 1, 2017 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

  11/28の北海道新聞第3社会面には「国立情報学研究所が調査 中高生の読解力に不安」という見出しで、記事が掲載されている。似た文章を比べ、意味が同じかどうかを問う問題が転載されているので紹介する。

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「幕府は、1636年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」
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 この二文は特別な知識がなくても、基礎的な文法を踏まえていれば意味が同じかどうか答えられる問題である。
 最初の文は中学校教科書からの引用である、この文を43%の中学生が「同じ意味」と誤答したということは、予習して教科書を読んだとしても、字面を追っているだけで、正しい意味をつかんでいないということ。「命じた」と「命じられた」では意味が正反対になるがこういう基本的な国文法すら理解していないなら、英文法の能動態と受動態の意味の違いも43%がわかっていないとみるべきなのだろう。この問題に高校生の28%が誤答している。こういう貧弱な日本語読解力の生徒たちが高校の標準的な教科書を独力で読んで理解することは、不可能と言わざるを得ない。
  中学校で朝読書をやっているところが多いが、43%の生徒たちはこういう文すら正確に理解できないから、字面を追っているだけ、意味がつかめていない、おまけに国語辞典も漢和辞典も引かないから語彙力すらアップしない。読めない語彙や意味の分からない語彙は飛ばして読んでいるのである。読解力アップという観点から「朝読書」を点検してみると読書指導の意味はない。
  素読や音読トレーニングをすれば、小・中学生の日本語読解力を確実に、そして大幅にアップできる。日本語読解力は主要五教科すべての学力の基礎である。
  要は指導の手間をかけること。中学校は週に一日だけ、部活を停止して、日本語音読授業をやるべきだろう。小学校も英語の授業はやめて日本語音読授業をやるべきだ。ニムオロ塾では月に2回、希望者限定の日本語音読授業をやっている。90分間、格闘技のようなもの、生徒はへとへと。
  国立情報学研究所の今回の調査データはやるべき教育施策がなんであるかを明確に指し示している。

  北海道新聞にはもう一つ事例が載っている。
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「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている」

  これを読んで、オセアニアに広がっている宗教を、「キリスト教」と答えられなかった中学生は約38%、高校生は約28%だった。
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 問題を二つに分割できそうだ。ひとつは一時記憶域が狭いということ、もうひとつは、脳内に意味のイメージができていないということ。この段落でとりあげられているは三つ、仏教、キリスト教、イスラム教である。そしてそれらの地域的な広がり。世界地図を脳内に展開できれば、ユーラシア大陸の西の端が外の向こう側のアメリカ大陸がキリスト教、東側が仏教、その間に広がるのがイスラム教である。オセアニアと書いてあるから、オセアニアの定義を知らなくても理解できる。オセアニアは広い定義では環太平洋の島々、狭義ではオーストラリア、ニュージーランドとその周辺の島国を含む。

  出題された問題を別のサイトで見つけたので、さらに紹介と解説を続けたい。
*https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171128-00000005-resemom-life
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 また、文章から図表への対応付けが正しくできるかを問うイメージ同定の問題では、「メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国がもっとも多くおよそ35%である」という中学校社会科の教科書から引用された文章を読み、メジャーリーグ選手の出身国の内訳を表す図を選択肢でたずねたところ、正答できたのは中学生が12.3%、高校生が27.8%だった。
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  この文章から、メジャーリーグの選手でアメリカ出身者が何%いて、ドミニカ共和国出身者が何%いるか計算しながら読んで頭の中に円グラフを描くことのできる中学生は10人に1人の割合しかいないということ。
  メジャーリーグの選手で米国出身者は72%(100%-28%=72%)で、28%の外国選手のうちの35%は全体の9.8%(28%×35%=9.8%)にあたる。
  中1の正答率が9.0%、中2は12.0%、中3は15.1%となっている。高校生になったらそれが4人に1人の割合に倍増している。高校三年間の勉強の成果だ。それでも、この文章を正確に読み取れない者が高校三年生で64.3%も存在することは驚き。子どもたちの日本語読解力はこれほど落ちている。

  日本語読解力の著しい低下は日本人の仕事のレベルを低下させているのではないか?
  大野晋が戦後駐留軍の機関が日本語の使用を禁止しローマ字を導入しようとして、日本人の国語力の全国調査をしたことがあった。そのレベルの高さに驚き、米国はもちろん、日本人の国語学者たちが多数ローマ字の国字化に賛成していたが、鳴りを潜めた。弊ブログでも数度とりあげている。出題された問題は現在の大学生にやらせても難易度が高い。そういうテストで「国民の平均点」が7割をはるかに超えた。戦争直後のころの日本人の国語力はいまと比べてはるかに高いものだったのである。それが前後の経済復興と高度経済成長につながっている。



<<戦争直後の国語力はいまとは比較にならぬほど高かった>>
*#3405より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
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< 余談:国語力の著しい低下 >
 戦後直後に行われたCIEによる全国民対象の無作為抽出による国語テストの平均点は78.3点で、識字率は97.9%であった。国語の問題文はいま中学生に行われている学力テストとは比較にならぬほど難解な文章が並んでいる。満点が6.2%もいたのである。国民の国語力は60年間で半分以下になったのではないだろうか。
 データは大野晋『日本語の教室』(岩波新書)より

#3088 公民・歴史・地理から見た安保法制論議:憲法第九条と自衛隊 July 21, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21

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<敗戦処理と憲法第九条:70年前になにがあったのか>
 次は歴史からのアプローチだ。この条文は日本が白人との戦いにおいて負けた結果、戦勝国である最強の白人帝国(米国)が占領政策上天皇制の存続を認めたほうが統治しやすいと判断し、天皇の戦争責任を問わない代わりに世界に例のない第九条の条文をいれて他の国々を黙らせたという当時の事情はあるのだろう。米国は何が何でも、つまり天皇制維持を認めてさえも日本を統治して自分の支配下に組み入れる必要があった。アジアでの日本の力を無視できなかったのである。ほうっておけば、日本はいずれアジア諸国のリーダとなり、白人帝国と衝突することになる可能性が大きいから、米国の国益上、日本の天皇制を利用しつつ、米国文化へ取り込むために日本文化の破壊を目論んだ。
 たとえば文字政策を具体例に挙げたい。昭和21年当用漢字(1850字)が告示され、漢字制限が行われた。これは文人の国語力を下げただけではない、一般国民の国語力も著しく低下させてしまった。序(つい)で米国は日本独自の文化破壊を目的として漢字廃止を画策CIEによる国語テストを実施した。当時の人口7755万人から、戸籍簿に基づき無作為に17100人を選び16820人について国語力テストが行われた。該当者の年寄りを山の中まで迎えに行って、町役場や村役場につれてきて国語のテストを受けさせるというほど厳格なものだった。結果は予想とは大違い、平均点は78.3点、満点が6.2%、識字率が97.9%だった
 これだけ厳密な識字力調査は世界に類例がない。漢字や短歌の読み書き能力の高さや識字率の高さに驚いて米軍は漢字廃止政策を取りやめた。こんなに文化程度の高い国とでは次に戦争になったときにはやっかいなことになると思っただろう。
 驚くべきはその後の日本側の調査委員会の対応であった。6.2%の満点を強調せずに、漢字の読み書き能力が足りないという結論を下し、漢字制限へと動くのである。そして国語審議会が中学3年生までに学習すべき漢字を881字に制限してしまう。(大野晋『日本語の教室』(岩波新書)より)
 その後の経緯は明らかだ、文部省と国語審議会が漢字制限をし続け、日本の文化を根底から破壊し続けている。
 進駐軍が漢字を廃止するには日本国民を納得させるために、具体的な調査とデータが必要だったのだろう。世界に類例がないほど国語力のレベルが高いことが分かり、それで米国は漢字廃止をあきらめたのである。データの裏づけのない暴挙(漢字廃止)をしたら、日本人の国民感情を著しく傷つけ、米国への反感が一気に巨大なうねりとなりかねないと読んだのだろう。愚かだったのは日本の歴代の文部官僚と国語審議会のメンバーである
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*#3650 子どもの想像力と語彙力拡張:3歳9か月児 Nov.30, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-11-30

 #3649 全国学力テスト管内別平均正答率分析
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-11-29

 #2067 同時通訳 『米原万里の愛の法則』を読む Aug. 26, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-27

*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13


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#3640 心情を表す語彙が課題 Nov. 18, 2017 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

  11月9日に中学1・2・3年生の学力テストが実施されたが、2年生のある生徒の国語試験問題と答案を見比べて気が付いたことがある。

  何に気が付いたかというと、「押し黙った」とか「口をつぐんだ」というような、人の心の状態を表す句の意味を問う問題が3題出題されていたが、三つとも間違っていたこと。出題形式は四択だった。前後を読めばわかりそうなものだが、そういうジャンル語彙を知らなかったのである。
  音読トレーニングで取り上げたのは2冊とも「論説文」である。論説文には人間の感情や心の揺れを表す語彙はほとんど出てこない。そうした語彙は万葉集や『源氏物語』の時代から文学作品にふんだんに出てくる。心情表現の語彙の大きさの順に並べると次のようになるだろう。

   論説文 < 小説 < 文学作品

  随筆は論説文と小説の間に入るだろうし、短歌や俳句はもちろん文学作品に含まれる。芭蕉の句に「枯れ枝に 烏の止まりたるや 秋の暮」があるが、夕日に暮れなずむ景色の中に一点烏の黒が全とぃの風景を引き締める役割を果たしているのことに気が付くだけでなく、読み手がその時どのような心境だったのかについても伝わってくる。こういう風景に託した心情表現という高等技術は外国の文学作品では見たことがない。表現として短歌や俳句は語彙の問題の地平をを超えているところにある。
  この句は、数学者の藤原正彦が『国家の品格』109ページで採りあげて論じているので、興味がもてたら新潮新書で200ページ足らずの本なのでお読みいただきたい。

  ところで、この生徒は日本語音読授業を4月からやっている。月2回のペースでいま2冊目をやっており、 一つ目は斎藤隆著『語彙力こそが教養である』(角川新書)、二つ目は『日本人は何を考えてきたのか』を取り上げ、今週127ページまで読み進んだ。90分の音読授業で毎回40ページのペースで読んでいる。贅沢な話だが、二人か三人での輪読あるいは同期音読トレーニングだから、60分を過ぎたあたりからヘロヘロになり、呂律が回らなくなってくると助詞や名詞の誤読も増えてくる。90分間気を緩めずに先読みをしながらの音読は、集中力と気力の維持が必要なのだ。集中力が切れた瞬間に誤読が起きるから指導する側にはとてもわかりやすい。だから、60分でやめたこともある。集中が切れた状態で続けると、だらだら読みが癖になりかねないから、そういう状態になったと感じた瞬間に中止、残りの時間は読めなかった漢字の書き取りをやらせる。読めない漢字や誤読した漢字が出て来たときは、音読をストップしてルビを振らせている。「細かい」と「「細い」は送り仮名で読み方を判断しなればならないがこういう類のものや、何通りかの読みがあるが文脈との調和からどの読みがベストか判断しなければならないものもある。読み方には読み手の教養の範囲やスキルの程度が明瞭に出るもの。だから、半年、一年と続けていくと、そのあたりに変化が生じてくるので、聴いていると腕の上がったことが伝わってくる。そこに音読トレーニングの醍醐味がある。そういうわけで、毎月2回水曜日の音読トレーニングは楽しいからやっている。本気で取り組む生徒は必ず上達するし、上達させることができなければ指導する側の問題で、それはそれでその都度考え、効果的な方法を考えて試してみればいい。指導する側も指導技術が上がっていくからキリなく楽しめる。音読トレーニングは楽しい。
  英語もこういうスタイルの朗読授業は効果が大きいだろう。

  この生徒が学力テストで90点台の得点をするためには、文学作品を読まなければならない。だが、部活が忙しくて、そういう時間の余裕がない。80点台から90点台の得点へと踏み込むためには、間違えた個所のうちどこで点数をとるのか検討しなければならない。検討した結果、M君には課題がはっきり見えた。心情を表す表現の多い文学作品を濫読すれば、国語は90点以上とれるようになる。古典も課題だ。
  部活や自主トレを優先し続ければ、文学作品や古典を読む時間など取れるはずもないから国語の点数は頭打ちになる。どうするかは本人の選択。学力テストで国語80点台ならそれで十分という選択もある。私はもったいない気がするが、本人の選択の問題だから、点数をアップする具体的な方法を旨告げるだけで、どうしろとは言わない。
  文武両道はそのバランスがなかなかむずかしい、一部(10-20%)の人間ができるのみ。どうしてよいかわからぬ時は、より困難な道を歩め。

#3539 落葉樹の対義語は? Nov.12, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-11-12

#3607 同期音読トレーニング Sep. 6, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06

 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-19


〈 音読リスト:#3405より 〉
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< 国語力アップのための音読トレーニング >
 中2のトップクラスのある生徒の国語力を上げるために、いままで音読指導をしてきた。読んだ本のリストを書き出してみると、
○『声に出して読みたい日本語』
○『声に出して読みたい日本語②』
○『坊ちゃん』夏目漱石
○『羅生門』芥川龍之介
○『走れメロス』太宰治
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
 『五重塔』幸田露伴
 『山月記』中島敦
●『読書力』斉藤隆
●『国家の品格』藤原正彦
 『日本人は何を考えてきたのか』斉藤隆
 『語彙力こそが教養である』斉藤隆 ⇒現在音読中、2017年3月中旬読了予定

 これから読むものをどうしようかいま考えている。
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳
 『福翁自伝』福沢諭吉
 『善の研究』西田幾多郎
 『古寺巡礼』和辻哲郎
 『風土』和辻哲郎
 『司馬遼太郎対話選集2 日本語の本質』文春文庫
 『伊勢物語』

(○印は、ふつうの学力の小学生と中学生の一部の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本はふつうの学力の中学生の音読トレーニング教材として授業で十数年使用した実績がある。音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが2年前から希望者のみに限定している。)
・・・
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#3639 落葉樹の対義語は? Nov.12, 2017 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

  中3の学力テストに落葉樹の対義語を問う問題があったが、「できなかった、習っていない」とある生徒、なにやら不満顔。ああ、意識の差があるんだと気がついたしだい、今回はそれについて書いてみる。

  試験には習ったことしか出ないものだと思っている様子、なるほどそう思い込んでもしかたのないような状況が根室市内の中学校にあるのも事実。定期テスト問題には教えたことしか出題しない先生がほとんどだろう。国語を教えている先生が最近、定期テストで半分くらい初見の問題を出題したが、その先生は例外、見上げたもの。他の教科でもそういう先生が一人いらっしゃる、教え方に自信がなければそういうテスト問題はつくれない。ebisuが知りうるのは狭い範囲だから、他の学校でもそういう先生が10-20%くらいいるのかもしれぬ。しかし、ほとんどの先生が教えたことだけを出題している。しかも教科書準拠問題集からそのまんまのケースが散見される。これでは成績上位層の生徒はつまらない。
  だが、学力テストは教えている先生が出題するわけではないから、習っていないことが出るのは当たり前と考えるのが普通ではないか。

  団塊世代が中学3年生の時に全国一斉学力テストがあった。社会の問題で国際機関名が略号で6個ぐらい出題されたが習っていなかった。北海道新聞を読み、これらの略号が出てくるつど元の正式名称を辞書で確認していたから全部正解できた。だから、1学年550人中で社会の点数が一番高かったことがある。習っていない問題で差がついただけ。参考書や問題集をいくら消化しても、同じ学年に550人もいれば、学年一位はまぐれでしか取れない。実力差でもぎ取るには、そういうレベルと超える勉強をふだんからしておけばよい。それが北海道新聞を読み、国語辞典と漢和辞典と英和辞書を引くことだった。試験の成績を上げたくてやっていたわけではない、面白いからやっていただけ。新聞を読めば地図帳で場所を確認もする歴史も地理も公民も国語も英語も計算も科学も、ひとつの新聞記事でつながってしまう教科横断的な思索あるいは各教科のクロスオーバがしょっちゅう生じる。役に立たない勉強はない。世の中で何かが起きたら、それを総合的に理解するには中学・高校で習うすべての教科の知識が必要になる

  落葉樹の対義語は常緑樹であるが、迷った生徒が多かったのではないか。たとえば、「針葉樹・広葉樹・落葉樹」と並べると、頭一文字だけが違っているから、同じものを三つに分類したようにも見える。
  漢字の字義から判断すると、落葉樹とは葉っぱが落ちる樹種をいう。乾燥期を生き残るために葉っぱの大きい樹種は葉を落とし休眠状態になる。そうしないと枯れてしまうからだ。自然とはじつに精妙にできているものだと感心する。針葉樹の葉っぱはとがって面積が小さいから、乾燥期でも葉っぱからの蒸散量が少ないから、葉を落とす必要がない。しかし、針葉樹でもカラマツのように葉っぱを落とすものがあるからこれらの用語の相互関係はややこしい。用語を整理すると次のようになるだろう。

  ① 常緑樹 ⇔ 落葉樹
  ② 針葉樹 ⇔ 広葉樹

 葉っぱが落ちるか落ちないかを基準に分類すると①になり、葉っぱの形状に注目すると②の分類ができる。
 そして、この両方の分類には関係がある。落葉樹は広葉樹の真部分集合である。数学記号を使うと紛れがない。

  落葉樹 ⊂ 広葉樹

  ややこしいのは、針葉樹の一部にカラマツのように落葉樹があること。専門用語や概念は対義語を一緒に覚え、別の基準での分類や上位・下位概念との関係もしっかり押さえておきたい。これがごちゃごちゃだと論理的な議論が成り立たない。中学生になったら、用語の定義とか概念についてはこういう整理を常日頃から心がけたいもの。

  国語の問題として出題されたが、わたしが社会科の教師なら、針葉樹林帯や広葉樹林帯の地図記号が出てきた時に、常緑樹や落葉樹の説明もついでにしておく。理科の教師なら裸子植物と被子植物のあたりで言及するかもしれない。
  生徒たちのボキャブラリーが貧困化している。教科書を独力で読み、予習できない生徒が国立情報研究所の最近の調査でも25%いる。根室の中学校では20-35%である。学校学年によってばらつきがあるのは当然だが、小学6年生用の語彙力テストで50点以下がそれくらいいるということ。

<朗読授業のススメ>
  学力の基礎は「読み・書き・そろばん(計算)」にあり、三つの技能は重要な順序に並べられている。
  小学校で朗読授業を週に1時間でいいからやってもらいたい。朗読は語彙力を拡張するのに役立ち、日本語読解力を大きく伸ばす。朗読は小学校の時期が旬である。『赤毛のアン』を読んでいたら、隔週金曜日に小学校で朗読授業のあることが書いてあった。

「それから金曜日は、一週間おきに、暗唱の授業があって、みんなで詩を吟唱したり、芝居や小説の対話劇を演じたりするんですって。ああ、考えると華やかな気持ちになるわ。」 p.274

  Every other Friday afternoon she has recitations and everybody has to say a piece or take part in a dialogue.  Oh, it's just glorious to think of it.      p.153

  松本侑子訳は日本語の格調が高く原文のもちあじと釣り合っているように感じた。原文は小学生が読むような語彙レベルのものではなく、大人の読み物である。

  週一ぐらいで、英語の朗誦授業があってもいいのではないか。例えば、小学生ならマザーグースを、中学生なら1500語レベルぐらいの短編小説や詩という風に。

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#3493 英語の語彙力の問題:中2年生 Jan. 21, 2017 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 中2の生徒が中3の英語の問題集をやっているのだが、文法がわからないところがあって不安だという。習った範囲の英文法はほとんど理解しており、学力テストで英語はいつも9割を超えているのだが、それでも文法に不安があるという。話が曖昧模糊としていてどこに問題を感じているのかチェックしたくなった。

 内容語と機能語の説明と音読の話をしようか、五文型を説明しようか、語順の話をしようか、冠詞の話をしようかとメニューをいくつか提示してから、最初の項の説明をはじめた。文法専門用語が中学生には不案内であるから、限定詞とは何か、たとえばthisは名詞を修飾する限定詞と「これ」や「上述のこと」を意味する指示代名詞の二通りの機能があるが、機能の違い、文法用語の概説もしなければならない。説明を途中でやめた。テーマごとにレジュメを渡してやるべきだと気づいた。こういうときは方向を変えたほうがよい。

 何か具体的な質問があるかと訊いた。そこから探ればよい。英作文で手も足も出ない問題があるというので、問題文を見た。

 「太陽は東から昇り西に沈む」

 中学校の教科書にはこういう文は出てこない。太陽がsunであることは知っていたが、定冠詞をつけなければならないことは知らない。「地球人」が太陽といったら、それは毎日見ている太陽だから、定冠詞がつく。冠詞の知識が足りないことがわかった。まだ中2だからあたりまえだ。
 東から上って西に沈むのは毎日繰り返されることだから、単純現在形で表現する。もっと高級な言葉で言うと「普遍的な真理」を高校では習う。これも文法事項だろう。
 「水は百度で沸騰する」"Water boils 100 degrees Celsius."

 「昇る」はrise、これは自動詞で、「持ち上げる」はraise、「raise the Taytanic」という映画があった。沈没した豪華客船を「浮上させる」という意味だ。climbも「のぼる」だが、こっちは「登る」ほうでclimb the mountain 、句をセットで覚えるといい。句とは何か、節とは何か、文とは何か、これも文法用語の定義が必要になる。
 「沈む」はsinkではなくてset。sinkもsetも頻出動詞だから不規則変化である。「(東に)昇るは」 from the east ではなくて、in the east だ。「東の空に昇る」くらいの意味だろうが、これは知らないとできない。こういう語彙や用法を知っていないと「太陽は東から昇り西に沈む」という簡単な日本文も英文にできない。

 学校の教科書を読むだけではインプットがあまりにも貧弱だから、英語の力はたいしてつかぬ。たくさんの英文を読めば語彙力は拡張できる。「読み・書き・ソロバン」である。この生徒はいま斉藤隆著『語彙力こそが教養である』を音読テキストにしてトレーニング中なので、日本語・語彙力の重要性はよく承知しているから話は簡単だ。英語も同じことなのだ。
 日本語で書かれた優れた文をたくさん読めば読解力が育つ。そしてたくさんの文をインプットすることで、用例が蓄積され、書けるようになる。見て書く「視写」のようなトレーニングもやる必要がある。3回英文を読んで、それを書くトレーニングが効果が大きい。日本語も英語もスキルアップの仕方は似たようなものだ。
 「太陽は東から昇り西に沈む」という短い文ですら、中2程度の語彙力では手も足も出ない。
 
 The sun rises in the east and sets in the west.

 「高速道路を時速60マイルで車が走っていた」という問題にもてこずっていた。熟考の末に次のように書いた。

 Car drived on the highway.

 おいおい無冠詞のcarでは具体的なイメージがわかないので困る。ここでは a car だが、carを主語にしたら「車が運転している」というヘンな文になってしまう。driveは不規則動詞で過去形はdroveだが、ここは過去進行形を使う。進行相を使うということがわかっていないようだ。どういう場合に単純現在形を使い、どういう場合に過去形を使い、どういう場合に過去進行形を使うのかという判断があいまいだ。だしかにこれらは文法に関連してはいるが、実はインプット不足が一番の原因だ。正解は次の文だ。

 A car was running on the highway 60 miles an hour.

 解答には along the highway となっていた。along の本義は「(長さのあるものの)最初から最後まで、全体の」が基本義*。along the river では「川沿いに」となるが、along the highway だと「高速道路上を」という意味になる。どちらでもよい。

 「走る」が人間が走るrunningのも車が走るのも同じ単語だというのも語彙知識。日本語でも、「人が走る」「犬が走る」「車が走る」「電車が走る」「川が走っている」とみな同じ「走る」である。

 「何が足りないと思う?」とその生徒に訊いてみた。
 「単語を知らない、そして文法がわかっていないのだと思います」
 「どうすればよいかもうわかっただろう。、たくさん読み、書くことだ。大事なのは「読み・書き・そろばん」、インプットが不足しているから語彙力が貧弱で教科書以外の語彙を使う英作文ができない」

 ハンドルネーム後志のおじさんが、NHKラジオ基礎英語の利用を推奨しているので受け売りしてみた。30回同調音読と書き取りトレーニングである。
 中2だから「NHK基礎英語2」がいい。簡単だったら「NHK基礎英語3」をやればいい。1年間音読トレーニングを積めば内容語や機能語を意識して上手に読めるようになる。
 「数学は楽しいのでいくらでもやれるが、英語のトレーニングは続けられる自信がありません」
 「いいんだ、3ヶ月でもやればやっただけ効果は出るから心配要らない。そして少し期間をおいてまたやったらいい。」
 音読が上手になったら、高校教科書3年分を9ヶ月くらいかけて塾の授業で読む。並行して" Grammar in use Intermediate" か 『マーフィのケンブリッジ英文法』のどちらかをやる。その次のステップは英字新聞ジャパンタイムズの記事だ。
 これくらいで日本国内の難関大学英語二次試験はクリアできる。

 毎日15分間のラジオ講座を録音して、繰り返し音読トレーニングを30分間やり続けるのは男の生徒にとっては結構辛い。男子生徒はこういう単純な繰り返し作業に向いていない者が多い。3ヶ月やっても効果はあるから、1年ではなくてとりあえず3ヶ月がんばってみたらいい。音読のコツがつかめたら、読むものを増やせばいい。とにかく、大量にインプットして、語彙力を拡張することが肝要だ。

 録音装置は最近はいいものがでているので、ネットで調べたらいい。ソニーのレコーダ付きラジオとMP3プレイヤーがよさそうだ。わたしは5年ほど前に買ったサンヨー製のラジオレコーダーICR-RS110Mを大事に使っている。
 ジャパンタイムズの購読をやめたので、NHKラジオ「ニュースで英会話」を聴いている。読むのとは違っていて楽しい。語彙の収集が自然にできて便利この上なし。


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#3441 音読トレーニングと中2の語彙力 Oct. 20, 2016 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 音読トレーニング授業をしているとおもしろいことに気がつきます、大人と丁々発止会話できる生徒でも、日常使わない語彙が文章に出てくると、読めなかったり、会話で出てくる語彙に置き換わったりすることがよくあります。読みを急がせると読み違いが増えます。
 先週、斉藤孝著『日本人は何を考えてきたのか―日本の思想1300年をみなおす』(2016年3月初版)を読み終わり、『語彙力こそが教養である』(2015年12月初版)を読み始めました。

 20例ご覧にいれます。
*********************************
 1.思慮深い 
 2.苦痛や根性をったり 
 3.古典・名著からミステリー・・・
 4.語彙力低下の一途を辿(たど)
 5.感嘆詞 
 6.レポートの末尾
 7.紋切り型のメールしか送ってこない取引先 
 8.「部長はどうも言うことが浅い」とんじられる
 9.先人のぎだした言葉や 
 10.語彙力アップは、一朝一夕にかなうものではありません
 11.言い回しやフレーズなどの文章も含んだ知識の集合体と「語彙」としています
 12.性根を据えてかかるしかないな
 13.校則で、的確で、小気味がいい
 14.語彙がしい
 15.こうした評価をされるのは、部下としても不本意でしょう
 16.寺子屋では年端も行かない子どもたちが
 17.後述しますが・・・
 18.高層ビルのレストランで年配の取引先を接待しているとき。「すばらしい眺めだなあ」といわれて、とっさに「値万両ですね」と返せるのも引用力です。
 19.絶景かな、絶景かな。春の眺めは値千金とは小せえ、小せえ。この五右衛門には値万両、もはやも西に傾き、誠に春の夕暮れに花の盛りもまた一入(ひとしお)、はて、うららかな眺めじゃなぁ
 20.先人の知識を吸収できること請け合いです
*********************************

 『語彙力こそが教養である』から採録しました。33ページまででこれだけつっかえた箇所がありました。読み直して正解だったものも含まれています。目次や空白のページなどを除くと26ページですから、1ページに1つ弱ですから、中2としては誤読も含めて読めない字が少ないほうです。
 標準よりもかなり読めていますが、会話に出てこない文章語が苦手なんです。それから、自分の知っている語彙に置き換わってしまうこともよくあります。たとえば、荒療治⇒荒治療という具合に。治療という語彙は知っているのですが、「荒療治」という語彙は初見だったので、とっさに知っている語彙に入れ替わってしまったというわけです。
 折り返し部分の先読みはずいぶんと上手になりましたが、いまの読み方では読み違いが頻発するので、読む速度を落とさせました。
「速度を落としてよいから、しっかり先読みして完璧に読め、「てにをは」の読み違いや思い込みでの読むのを極力避けてやってみろ」
と指示して、正確な読み重視に切り替えました。しばらくはじっくり読ませて精度を上げます。誤読がいまよりも3割くらいに減ったら、速度アップ・トレーニングへ切り替えます。

 中学生は会話に文章語を混ぜると意味がわからなくなります。たとえば、
 「めいじだいがくで、きょうべんをとってきました」
 と話したとします。「教鞭」と「執って」を漢字に置き換えられなけらば意味が理解できません。文章で見ても、「教鞭」は中学生には死語ですから意味がわからないでしょう。「鞭」は「むち」とも読みます。昔は先生が生徒を叩くための細い棒(本来は黒板に書いたことや、掛けた地図の指示棒です)をもっていたのです。それが「教鞭」です。だから生徒に教えることを「教鞭を執る」といいます。
(英国の古い映画では教師が鞭をもって教室に入ってきます。そして悪さをしたり、宿題をやってこない生徒のお尻を思いっきり引っぱたくんです。とっても痛そうです。細い竹ですから腫れ上がります。教師の言うことは絶対です、そう躾けるんです。ハリーポッターにそういう先生が出てきませんでしたか?わたしの母校の光洋中学校には細い竹の棒を教室にもって来る先生がお一人だけいらっしゃいました。なにしろ1クラスが55人、1学年10クラスでしたから、先生たちも百人ほどもいたのではなかったかと思います。残念ながらその先生には習う機会がありませんでした。(笑)
⇒後志のおじさんから投稿あり。あれは魔法使い(wizard)の杖(wand)だそうです。)
 
 こういう文章語の語彙をたくさん知らないと、国語の問題文を読むときに自分の知っている語彙への読み替えが起きます。授業を聞いているときにも文章語を使って説明されると、とたんに話がわからなくなります。
 語彙をたくさん知るということは教養を深めることでもあります。本を読めば自然に語彙が増えますが、意識して読む本のレベルを上げていかないと、語彙は増えません
 会話に自然に文章語を交えることができるようになれば、相手には教養がにじみ出て見えます。レベルの高い大人の話を聞くときに、言葉がわからずに何度も訊くようでは、次回から敬遠されます、話の途中で語彙説明をするのは面倒くさいですから。
 音読トレーニングの「実験台」になってもらった生徒は、年齢から判断すると、大人とのコミュニケーションレベルは偏差値65*(上位7%)を超えていますが、本を読むのが好きではありませんから、読む絶対量が不足し、それが音読したとき如実に出てしまいます。どんなにコミュニケーションスキルが高くても本を読まなければ文章語の語彙力はつかないのです。このまま読書を遠ざけていたら、高校現代国語をやるときには語彙力が決定的に不足するでしょうから、国語の得点が平均点付近まで下がります。
 もっと先のことを考えると、語彙力を貧弱なままに放置したら、将来、知的レベルの高い人との会話の機会が失われます。上場企業に勤務したときには仕事にも影響します。重要なことは文書で処理するので、書いたものを見れば語彙力レベルと教養の程度は一目瞭然で、ゴマカシが利かないのです。
 
 この本にはさまざまな語彙の増やし方が載っています。斉藤隆先生は東大法学部を卒業し、大学院で教育学を学んだ人ですから、語彙の増やし方もまるで受験勉強そのまんまです。中高の時代に身につけた学習習慣、スタイルはいくつになっても抜けないもののようです。こういうのを「病膏盲(やまいこうもう)に入(い)」といいます。(笑)
 ふつうはこんなことせずに、ある時期に興味のわいた本を片っ端から濫読して語彙を爆発的に増やすんです。それが語彙を増やす王道です。

 文章を書くスキルは『読書力』(2002年9月初版)よりも数段磨かれたようです。あのころは生徒と読みながら斉藤先生の文章を添削していました。たくさん本を出していたので雑だったのです。いや文章力が貧弱でした。この本は立派なものです、13年間の語彙力増大努力と文章力の鍛錬の成果がよく出ています。
 両方を読み比べてください、別人が書いたものではないかというぐらい差があります。こうありたいですね。斉藤先生の13年間の精進に乾杯!

(この本の次に、福沢諭吉著『福翁自伝』にするか、和辻哲郎著『古寺巡礼』にするか迷っています。和辻の本なら、間の取り方や緩急の付け方、聞き手が情景を頭に描きやすい読み方を指導するつもりです。両方とも中2にはとっても難しい、語彙レベルも今まで読んできた本とは格段に差があります。高校現代国語ではこれ以上の難易度のものは出てこないでしょう。しかし、日本語の美しさを基準にするなら、いくらでもあります。トップレベルの人たちに優劣は付け難い、個性の違いが文章表現に出てきますから、最後は好き嫌いの問題に落ち着きます。)

(その後に予定しているのは、どちらも高校レベルを超えています。和辻の『風土』と西田幾多郎『善の研究』です。この2冊は普通の学力の理系大学生の手には負えないでしょう。中3でここまで音読トレーニングをやれば、あとはほとんどの本を独力で読むことができます。読むか読まないかは本人の好奇心しだいです。)


〈 余談:音読の履歴 〉
 この生徒が2年半に読んだ音読テクストを紹介します(#3295に載っています)。

 斉藤隆『声に出して読みたい日本語①』
     『声に出して読みたい日本語②』
 音読破シリーズ: 斉藤孝のこのシリーズはルビが振ってあります!ぜひ、お子さんに買ってあげてください。(小学館 本体800円です)
   『坊ちゃん』
   『走れメロス』
   『銀河鉄道の夜』
   『羅生門』
   『山月記』
   『五重塔』
 斉藤隆『読書力』(岩波新書)、
 藤原正彦『国家の品格


 言葉から風景や読んだ人の心をイメージするためのトレーニング・テクストとして昨日『日本の古典を読む④万葉集』(小学館)を1ヶ月間預けた。
 毎日ひとつだけ意味を理解して繰り返し声に出して読み、言葉から風景や心象イメージをつむぐトレーニングを課した。
 採録した歌にはすべて現代語訳や注釈がついているから、それを読めば意味はわかる。
 詠物歌は季節の風物を読んだものだが、情景がイメージできるようになってほしい。相聞歌は恋の歌だから、恋心がまだ芽生えていない中学生にはわかりにくいし、共感をもって読むことはかなわないだろう。それでも大人の恋がどういうものであるのか短歌を通して知っておくことは無駄ではない。(笑)
 この時代は、気の利いた歌も読めないような男は教養がある美女には相手にしてもらえないのである。
 1ヶ月のトレーニングで、言葉から具体的なイメージをすこしは脳につむぐことができるようになるだろうか?




*#2709 偏差値と「100人(百校)中の順位」対応表 June 22, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-22

 #3111 記憶の構造と学力 Aug.21, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-20

 #3155 日本語読み・書きトレーニング(2):総論 「読み」と「書き」 Oct. 12, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-12

 #3156 日本語読み・書きトレーニング(3):先読みの技 Oct. 14, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-14

 #3157 日本語読み・書きトレーニング(4):「書き」の「守・破・離」」 Oct. 15, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-14-1

 #3158 日本語読み・書きトレーニング(5):数学と「読み」のスキル Oct. 16, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-15

 #3159 日本語読み・書きトレーニング(6):数学と「読み」のスキル-2 Oct. 19, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-19

 #3195 家庭学習習慣の躾は小学1・2年生のうちにやるべし Dec. 4, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-04

 #3248 本を読まない大学生は何%いるのか Feb. 28, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-28-1

 #3254 音読は面白い!:脳は並列処理をしている  Mar. 10, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-10

 #3268 日本語力と数学の能力:実例 Apr. 8, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

 #3395 Z会Vテストで全国レベルを知る  Aug. 20, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-08-20

日本人は何を考えてきたのか――日本の思想1300年を読みなおす

日本人は何を考えてきたのか――日本の思想1300年を読みなおす

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2016/03/01
  • メディア: 単行本


語彙力こそが教養である (角川新書)

語彙力こそが教養である (角川新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: 新書
読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/09/20
  • メディア: 新書

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新訂 福翁自伝 (岩波文庫)

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)

  • 作者: 福沢 諭吉
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1978/10
  • メディア: 文庫
古寺巡礼 (岩波文庫)

古寺巡礼 (岩波文庫)

  • 作者: 和辻 哲郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/03/16
  • メディア: 文庫
善の研究 (1979年) (岩波文庫)

善の研究 (1979年) (岩波文庫)

  • 作者: 西田 幾多郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/10
  • メディア: 文庫
風土―人間学的考察 (岩波文庫)

風土―人間学的考察 (岩波文庫)

  • 作者: 和辻 哲郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/05/16
  • メディア: 文庫

#3423 スーパー・アンカー英和辞典 Sep. 27, 2016 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 先週土曜日にツタヤで英和辞典を買った。
 『スーパー・アンカー英和辞典第5版』ミッキーマウス版

 ミッキーマウス版は内容はまったく同じなのだが、100円高い。生徒が喜んで手にしそうなので、こちらを選んだ。

 GINIUSの版が変わるたびに購入していたのだが、書店で手にとって見てもなぜか第5版は買う気が起きないので、棚にある辞書を数冊引き比べたのである。活字が変更になったようで、見辛くなった。引きやすさよりも、収載語数を優先した結果だろうから、これはこれ、しかたがない。
(『E-Gate』の説明が図を多用していてとってもよかったのだが、絶版になっている。current のコア・イメージを三本の波線であらわした図はシンプルで、なるほどと感心した次第。)

 any と some をどう説明してあるか、語義の見易さ、collocationは載っているか、と確認しながら見たら、これが一番使いやすそうだった。
 any を引いてみたら、紛れの小さい説明が載っていた。GINIUS4版よりはずっとわかりやすい。any の用法や用例、解説については辞書よりも『表現のための実践ロイヤル英文法』のほうが詳しいが、高校生が学習用に使う分にはこの辞書の説明で十分。
 説明が一番惹かれたのは、諺(ことわざ)が載っているところである。具体例を書いたほうがわかりいいから3つぐらい挙げてみる。

 loaf の項
 ● Half loaf is better than none [ no bread] (at all).
    パン半分でもないよりはまし

 live の項
 ● Live and learn.
   長生きして学べ

 bread の項
 ● Man does not live by bread alone. 
    人はパンのみにて生くるにあらず

 短いものばかりだが、それぞれの用例には使うシーンを英語で説明してある。こんな遊びがあって「引くのが楽しい辞書」なのである。


 「頻出表現メニュー」というのも便利である。break を見よう。

 break a bone [hip]  骨折する〔腰の骨を折る〕(→ 3)
 break the silence  静寂を破る(→ 5)
  break a habit  (悪い)癖を断つ(→ 5)
  break a promise  約束を破る(→ 6)
  break a rule  規則を破る(→ 6)
  break a record  記録を破る(→ 7)
  break the news  (悪い)ニュースを知らせる(→ 8)
  break a code  暗号を解読する(→ 10)
  break ~'s heart  ~をひどく悲しませる(→ 14)
  break for lunch  (作業を中断して)昼食にする(→ 自3)

 解説の項目番号まで示してあるので便利がいい。

 「日・英比較」という解説がある。たとえば、brush を引くと、6種類のブラシの絵が載っている。その中に、paint brush があるが、これは日本語では「ブラシ」とは言わない、「筆」という。
 「英語文化のキーワード」には宗教の相違による言葉の定義の違いやイメージに言及している。 conscience の項を引いてみたら具体例が載っている。
----------------------------------
conscience とは「(個人における)善悪感」、「善悪の判断力」という意味であり、キリスト教徒として生活する際の言動の判断基準となるものである。悪を避け善を行わなければならないとする気持ち、すなわち「良心」はこれに付随する感覚である。したがって、 conscience は即「良心」ではない。」
----------------------------------

  巻末に付録として載っている17ページの「英単語と英文の文化を読む」は大変参考になった。
 12ページある「語源で覚える英単語」は量がほどほどで、高校生が知っておいていい知識だ。語源は突っ込んで学習しても高校生や大学生にはあまり役には立たないから、ほどほどでよいのである。
 付録に「和英小辞典」がついているのを書き忘れるところでした。高校生の学習用辞典には必須項目ですね。

 収載語数は7.2万語で、GINIUSは10万を超えていたはずだから、英字新聞を読むには不足している。だが、高校生の学習辞典としてはなかなかの優れものと判断した。辞書も進化しています。

スーパー・アンカー英和辞典 第5版 ミッキーマウス版

スーパー・アンカー英和辞典 第5版 ミッキーマウス版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2015/12/15
  • メディア: 単行本

スーパー・アンカー英和辞典 第5版

スーパー・アンカー英和辞典 第5版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2015/12/15
  • メディア: 単行本


〈 電子辞書について 〉
 カシオとシャープが市場を二分しているが、両方の製品のいいとこ取りをした製品が出たらすぐにも買いたい。どちらも、まだ「帯に短し襷に長し」に思える。技術進歩は速いから、期待してまとう。
 高校生は待てないから買うしかないね。


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#3410 怪談牡丹灯篭 白石加代子朗読  Sep. 13. 2016 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 朝早く目覚め、NHKラジオ第一放送をつけた。明け方の深夜放送にゲストとして女優の白石加代子が出演していた。インタビュアーに促されて、怪談牡丹灯篭の冒頭を読むことになった。
 ナレータとして読む部分、登場人物の部分と、それぞれ声音(こわね)を巧みに使い分けている。抑揚、声の強弱、リズム、間の取り方、変幻自在だ。朗読しながら読み手が酔いしれるところがないから、しらけずに物語の中へ入っていける。

 父親を早く亡くし、長女として家計を助けるために高校を卒業して、港区役所税務課へ勤める。そしてそこを退職して早稲田小劇場へ入団、みっちり修行している。正真正銘の女優、プロフェッショナル。
 
 こういう朗読を中高生に聞かせたい。とくに根室高校放送局のメンバーにはぜひ聴いてもらいたい。プロの技を味わうのは何より勉強になるだろう。

 生徒に音読指導している自分が恥ずかしくなる。論説文がほとんどだから、幸いにして声音の使い分けはいらない、これからも自在に速度を変えながら精確に読むことを心がけたい。


*白石加代子 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E7%9F%B3%E5%8A%A0%E4%BB%A3%E5%AD%90

*百物語・・・ブログ「劇場の日々」より
http://natsumedate.at.webry.info/201406/article_2.html


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#3408 ノートをとらないプリント授業の副作用は社会人になってから現れる Sep. 9, 2016  [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 深夜から雨が降り続いて25mmの降雨量、朝9時の気温は15.5度、寒いので床暖房を入れている。秋だなあ。
  根室高校は今日で前期期末テストが終了する。英語嫌いが4人、自ら英語の勉強に挑んでいたから、手応えがしっかりある。

 弊ブログ「#3407 ノートをとる必要がないプリント主体授業増殖中」でプリント授業に言及した。
 教科書をちゃんと使ってその上でプリント問題を補充している先生もいる。問題なのは教科書を使わないでプリントのみ、生徒が板書をノートにとる必要のない授業スタイルである。

 昨日、中2の生徒が英語のプリントをやっていた。「if節+主節」の構造の文章のトレーニングだが、その中に仮定法の文が混ざっていた。
 If I got one million yen, I would go on a trip.
  If I were you, I could choose a rich man.

 文例を見て苦笑してしまった、ずいぶんと即物的な文である。こういう感覚の先生が当たり前になってきたのだろう。人間は豊かになればなるほど、拝金思考が強くなるようで、嘆かわしい。日本人が培ってきた伝統的な価値観も危うい。「武士は喰わねど高楊枝」なんて言葉を知らないのだろう。

 これら二つの文は「仮定法過去」といわれる文で、過去形を使っているが意味は過去ではなく現実の状況に反する仮定で、言っていることは現在だと説明してその形式の特異性を説明して板書し、文例を補足した。ニムオロ塾は個別指導だから、この事例では質問をした生徒一人に解説をしている。説明が終わったら、次の問題を解き始めた。ノートをとる様子がない。
「あなたの説明に応えた。高校1年生の後期に習う範囲だが、大事なところだから仮定法の説明書いた。なぜノートにとらないのか?」

 言われたらしぶしぶノートを出して書いた。

 その前に、別の質問があった。「aとanの使い分け」に関する質問である。
 語源的なことを言うと、もともとはanはoneの意味で、不定冠詞の基本はanの方、そのnが脱落してaになった。「アン」と「ワン」、音が似てるでしょ?
 不定冠詞の次の名詞がaeiouの母音で始まる単語ならanが付き、子音字ならaをつけると説明して、具体例を板書した。
 an apple, an egg, an island, an orange, an umbrella 
 子音字は、bcdfghjklmnpqrstvwxyz
(a、an、the、無冠詞の四つの用法だけで一週間集中授業をしてもいいくらい。受験参考書の受け売りじゃなくて、こういうテーマで発展学習用の強力なプリントを作成してほしいね。)

  板書したのにノートに書かないのである。大事なポイントをノートに書くという習慣がない、これはこの生徒に限ったことではない。ほとんどの生徒に共通している。この学校の英語の授業では毎回たくさんのプリントを生徒に渡して宿題にしている。

 大事なことをノートに書く習慣がない生徒が、高校生になったらちゃんとノートが取れるか?苦労しながらノートをとっている生徒が多い。根室高校でノートがとれない生徒はまだ一部である。高校統廃合がなされる来年4月以降は、ノートがとれない生徒が1/4になるだろう。書く速度が標準に達しない生徒が25%を超えることが予想される。聞いてもわからないしノートに要点を書き取ることもできない生徒たちが増えれば授業が荒れ、生徒の平均的な学力は低下する。
 高校もまた少しずつ教科書軽視、プリント主体の授業が増えざるを得ない。
 そして生徒たちは高校を卒業して、地元企業に勤める。そこで何が起きているのか、ブログ「情熱空間」の記事(青太字部分)をご覧いただきたい。
 前回同様に具体策を引用の後に書いておきます。

ttp://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8567810.html
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2016年09月07日

書かない子を量産する北海道

我が子に、きちんとした学力を身につけさせたい。

ならば、こうすればいいんです。書かせましょう。とにかく書かせるようにすればいいんです。勉強が壊滅的な子の特徴があります。これ、百発百中です。書かないんです。とにかく書かない、書こうとしない。ただ黙って問題を見つめているんです。「何やってるの?」と尋ねると、「今、考えているの…」との返答が返ってきます。おいおいおい、算数・数学の計算式をじっと見つめていたって、炙り出しじゃないんだから(笑)、答えなんか浮き出てくるわけないべって!とまぁ、そんな感じですね。

新規高卒者を採用したある企業、その経営者の悲鳴。「何度教えても、仕事を覚えないんですよ…」「書かないんですよ。メモを取るように何度言っても、それに従おうとしないんです」「言い続けていたら、そのうちふてくされちゃって…」分かります。だって言っちゃ悪いけれど、北海道の場合、義務教育というトンネルをくぐってくる中において、多くの場合、書かないことをしつけられてしまっているんですから…。書かないということが、その若者には完全に習慣になっているんです。

話は一つ前の記事、切った貼ったのノート作り、プリント授業に重なります。よくよくお考えいただきたいのはこの部分なんです。人の話を聞きながら書く。小中学生ならば、先生の授業を聞きながら、黒板に書かれたことをノートにとる。その作業、単純そうでいて、しかしそうじゃないんですよね。

ちゃんと話を聞きながら、それでいて一方では書かれたことを書き写す作業を進める。その場合、短期記憶メモリーが働くんですよ。書き写す作業には、瞬間的記憶力が伴いますよね。書かれていることを瞬間的に記憶し、そしてそれをノートに書いて再現するという。板書が多いということはつまり、それだけ短期記憶メモリーが、すなわち脳が鍛えられることに他なりません。

よく、「書きながら考える」とか「書き出して考える」とか言われますが、多くの子ども達は今、それができません。理由は単純明快。書かないから。書くトレーニングなされていないから。だから自力でまとめることができない。ゆえに学力が低いまま。手と脳はつながっていると言いますが、まさにその通り。学力が高い子はまた、例外なく書くことを苦にしないものです。しかしこの部分、北海道では猛烈なまでに軽視されている。そうとしか言いようがありません。

釧路の子は(文章を)書くことが苦手。(文章を)要約することもまた苦手。全国学力テストの分析ですが、そんなもんあたりまえだってーの(笑)!だって、書かせないんですからね。作文以前、文章以前、そもそも文字を書かせないんだもん。ちょっと多めなくらい板書をして、そしてそれをノートに書かせるべきなんです。効用は学力面だけじゃありませんよ、集中力の持続が求められるわけだから、授業もまた静かになる。作業をさせるわけだから、授業時間が短いと子どもは感じる。まさにいいことづくめ。

教える側の技量もまた高まります。話しながら子どもを引きつける。手早く板書をする。書き写している様子を確かめ、また話に戻る。その繰り返し。それってつまりは「間(ま)」ですよ、「間(ま)」。黒板を用いて板書をし、それをノートに書き写させる。そのためには、「間(ま)」を上手にコントロールできることが必要。ところがプリント授業にはそれが不要なんです。答え(穴埋め部分)のみを板書して終了。教師も児童生徒も手を動かすのは最小限。そうしてやがて手を動かすのが億劫になってしまう。「間(ま)」どころか「魔(ま)」になっちゃうんですよ、板書で授業ができなければね。

書かせましょう。どんどんどんどん書かせましょう。書くことを苦にしない子だらけになったなら、全国学力テストなんてすぐに上位になっちゃいますってば。義務教育というトンネルを抜けたならば、書かない子、書こうとしない子だらけ。実におかしいって思います。9年間の義務教育を終えても、自力でノートにまとめることができる子、我が北海道では本当に少ないですからね。教育は自立のための営みのはず。それなのに自立を阻害するかの如く手を動かせないって、おかしい、実に実におかしいって思いますね。

最後にかっこよくまとめてみましょう(笑)。北海道の子ども達に驚くほど不足している力、それはこれですよ。【視写】ですよ、ししゃ。プリント授業が蔓延していて、より一層それに拍車をかけてしまっています。視(み)ながら書き写すこと。読んで字のごとくですが、それが今、驚くほどに軽視され続けています。はっきり言いましょう。だからいつまで経ってもダメのままなんです。

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《「読み・書き・そろばん(計算)」における標準速度の確保》
 学校教育で12年間続けてすっかり「ノートをとらない病」に罹った子供たちは社会人になってからまことにやっかいな存在になるのです。ノートをとらない生徒は、高い確率で「メモをとらない社会人」になります。大事なことをメモにとるという習慣は、小中高で板書をノートに書き取ることで育ちます。その大事なところを端折ってはいけません。
 「読み・書き・そろばん(計算)」スキルは、学年ごとの標準速度(量と制限時間)を示して指導しませんか?中学生の書き取りの標準速度はニムオロ塾では16分間で600字と決めています。北海道新聞の「卓上四季」がそれくらいの分量です。計算速度は同じクラスの速い生徒と遅い生徒で1:30の差がありました。計算スキルに秀でた生徒が10分間でやり終わる問題に、計算が遅い生徒たちは30倍の300分、6時間もかかります。速度の差は大きな学力差を生み出します。読みの技能が一番基本ですが、これは音読指導をしなければチェックできません。手間のかかることですが、ニムオロ塾ではやっています。音読指導は授業料をいただきませんから、最近は希望者のみ。日本語の読みの正確さと速度チェックだけはいまでも全員に実施しています。「先読み技術」は音読指導をしないとなかなか身につけることができなくなりました。読む本の分量が少なすぎたら、「先読み技術」は自然には身につきません



*#3407 ノートをとる必要がないプリント主体授業増殖中
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-09-07

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#3407 ノートをとる必要がないプリント主体授業増殖中  Sep. 8, 2016 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 ブログ「情熱空間」の記事を転載して紹介します。
 同じ事情は根室でもあります。生徒が分厚いプリント・ファイルを鞄に入れて持ち歩いているようになってから、もう7年になるかな、最初はB中学校1校だけでした。
 プリント授業が行き過ぎると、教科書をほとんど使わなくなりますから、いま教科書のどこをやっているのかわからない生徒が増えます。授業で教科書を軽視するのが常態になるので、生徒は教科書を読まなくなります。教科書のどこをやっているのか知らない生徒が増えたのですから、予習をする生徒が激減したのも当たり前で、学力テストの得点分布に影響しています。学校・学年によりばらつきが大きいのですが、学力上位層が激減し、下方にシフト、学力下位層が肥大化しているということは言えそうです。
 学力テストで400点以上が激減(各学校の学年で1-3名、10年前は5-15名)したのは、スマホの普及だけではなくて、教科書を読み、予習する生徒が激減したことも原因に数え挙げられるのではではないかと疑っています

(各学校では少なくとも12年分程度のデータは残してあるでしょうから、EXCELで加工して得点分布の変化を追って、(生徒たちやPTAや地域住民へ)学校ホームページ上で公開して議論してみたらいかがですか?データ公開を恐れる必要はありません、それどころか学力向上へ向けて具体的な協力が得られるでしょう。とってもデータがよい年度があります、そこから学ぶべきものがあるはずです。)

 中学校で板書をノートにとらなければ、高校生になってもやはり板書をちゃんとノートにとることはむずかしいのです、当たり前ですね。まだそれほどでもありませんが、この10年間で根室高校もプリント授業が増えました。生徒たちがノートを取るのが下手になったからそうしているのか、先生の都合でプリントを多用しているのか、直接お訊きしたことがないのでどちらとも判断がつきませんが、プリント授業が増えています。
 数学は宿題にプリントを多用しているだけのようですが、英語でプリント主体の授業をやっているケースが見受けられます。生徒のノートを見たり、時おり生徒に質問して確認しているわたしの個人的な感想ですが、英語は教科書を使っていても内容の解説が簡略すぎる嫌いがあります。
 こういうのを「負の連鎖」というのでしょうね。小学校でノート指導がちゃんとできていないと、中高で問題がどんどん大きくなります。そして社会人になったときには、・・・
 小・中・高で一貫してノートをとるトレーニングを積まなかった生徒たちが、高校を卒業してからどうなるのか想像したことがありますか?
 罪が深いのです。
 次のブログで「なぜ罪が深いのか」理由を紹介します。「読み・書き・そろばん(計算)」トレーニングはたくさんやらせないといけません。
 批判だけではつまらないので、具体的な《処方箋》を末尾に書いておきます。

ブログ「情熱空間」より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8567315.html
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2016年09月06日

釧路という異国(ノートをとらせない学校)

釧路という異国。そう書かれたおしゃれなポスターがありましたっけ。たしか釧路空港の喫煙所の壁に張っていましたね。異国情緒漂う釧路に、ぜひお越しください。観光客誘致のためのツールなのでしょう。(でも、貼りっぱなしはよくないなぁ。破けているし黄ばんじゃっているしさ)

話は変わり、釧路の中学校。最近では小学校も同様に「毒されて」きました。何度かアップしておりますが、児童生徒にノートをとらせないという、異国情緒漂う不思議な学校の授業についてです。プリントを配り、それをノートに切った貼ったさせ、なにやら得体の知れないものを作成させる。かと思えば、ノートをまったく作らせずにただそれを綴らせるという100%完全なプリントオンリーの授業。というわけで、まずはご覧ください。

社会科。地理的分野ですが、公民的分野もまったく同じ、100%プリントオンリーの授業。そしてそのプリントを、折って畳んで綴るように言われ、こうしてファイルを作成するように指示されるんですね。で、これが釧路においての【ノート指導】だそうです。プリントにはまた「評価(ABC)」の欄があるので、これを提出させて眺めることを称して、【ノート検査】と言うのでしょうね、きっと。

IMG_0265




















お次は英語。これまた100%のプリント授業。で、折りたたんでノートに貼り付ける。ええ、これが【ノート指導】なんですね。驚きです。まさに、釧路という異国…。試験前には、これを開いて見直しなさいとの指示。ええ、それがこの地における試験勉強なのでしょう。自分で調べ自力でノートにまとめる。そうした勉強の仕方の指示は一切なしとか。

IMG_0266




















ちなみにこの中学校。国語は板書を写したノート(ってか、普通はそれがノートですよね、普通は)があり、授業で使ったプリントは別に綴られていました。というわけで合格ですね。数学は基本的に板書を写したノート。グラフや図形等、一部に関してはプリントを切った貼ったしていましたが、それは許容範囲でしょう。こちらも合格。理科もまた板書とプリントの切り貼りの合体といった感じですが、そこはやはり、すでに「やられちゃっている」のでしょう。切り貼りが多すぎでこちらは不合格。というわけで5教科中、まともに【ノート作り】がなされていたと判断できるのは2教科のみ。

(ただし、この中学校の名誉のために申し添えますが、この中学校の学力総合ABCの平均点は低いものではありません。市内・町内平均よりも上です。でも、これはいただけませんね、どう考えてもね。公立中学校なのであって、点数を上げるためには夜討ち朝駆けなんでもござれの塾なんかとは違いますよね。それなのにまるでどこかの塾のようですね、これは)

例によって繰り返し述べます。我が釧路では、こうしたプリントオンリーの授業や、プリントを切った貼ったさせてノートにぺったんこさせることを称して、【ノート作り】【ノート指導】というらしいです。これまた何度でも何度でも繰り返します。異常ですね、異常。こんな「ありえない授業」が普通のこととして確立してしまっているのです。釧路の常識は日本の非常識。しかしまぁ、なんという…。

狙いは2点ですね。きっと無意識なのだろうけれど。

この地の子ども達の多くは、幼少期より書くことに慣れていないので多めに板書をすると、つまりは文字をノートに書かせたなら、すぐにブーたれるんです。「手が痛い!」「やだ、書きたくない!」などと。しまいにゃイライラ不機嫌になって、ため息の果てに机に突っ伏してフリーズしたり、鉛筆をへし折ったり。ええ、まずもってその時点からして異常なんです、異常。

でもって、書かせても書くのが実にトロい。そりゃそうなんです、書かせる絶対量が低学年のうちから少ないので、だから書かせようとすると抵抗するし、書くスピードもまた実に遅くなる。そしてもう一つ。授業の進度が遅いんですよ。多くの場合、教師の側の授業の進め方が実にスローモー。教育行政がまた「ゆっくり丁寧に、分かりやすく教えましょう!」などのたまっているので、さらにトロさに拍車がかかっているんです。教科書が進まない、終わらない。ええ、だからこうしたプリント授業が(進度を稼げるとして)脚光を浴びる(?)と、そういうことなんです。

最後にもう一度。釧路という異国。ガラパゴスですよ、ガラパゴス。他地域、少なくとも道外ではこんな授業の進め方など非常識の極みでしょう、非常識。しかしそれがまかり通っているという我が釧路。こともあろうに、近隣町村の小中学校を束ねる教育センターだかなんだかからして、こうした切った貼っただの綴らせるだのを奨励しているという我が釧路。恥ずかしいったらありゃしない。まさに異国であります。

この部分、いつまで経ってもメスが入りません。ならばそれが入るまで延々と同じことを指摘し続けることにしましょう。大いに笑われ、大いに恥をかけばよろしい。後ろ指を指され、それに耐えられなくなるまで、ずっとこのバカな方式の授業とやらを続ければよろしい。釧路という異国。しかしまぁ、ひどいものです。

学校って、ノートをとらせないんですね…。愛する我が釧路が笑われています。

●板書をしない、ノートを使わない授業の実際
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8304762.html
●それは「授業」ではない!
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8325648.html
●「校内ノート展」で学力向上!
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8326617.html
●ここから先、この3つをやればいい
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8328468.html
●狂った学習指導(しかしそれが釧路スタンダード)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8386860.html
●「狂った授業」の生い立ち(釧路はガラパゴス)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8386989.html
●日付が書かれていないノート
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8387086.html
●非常識な釧路スタンダードを一掃せよ!
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8398760.html
●全道・全国平均クリアのために!(お次の3つの課題)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8400409.html

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《処方箋》
 教科書を使った授業をやって、生徒に板書をノートに写させたらいいと思います。ええ、そうなんです、昔からやっている当たり前の授業スタイルがいいんです。プリントは難易度の高い問題の補充と発展学習内容の解説に限定して使用します。
 発展学習内容とは、たとえば、順列と組み合わせのところでは、パーミュティーション記号やコンビネーション記号を使った式の解説とそれに関わる計算演習問題。2次関数では一般式と頂点座標まで、因数分解では「たすき掛け法」と片側が多項式になるものまで。中学校の教科書には載っていないが、理解を深めるために必要な情報は追加・解説し計算練習をさせておきましょう。成績上位の1割の生徒は消化できます。
 英語では、be going toと will の意味と使うシーンの違い、mustとhave toの意味と使うシーンの違い、someとanyの用法の説明、現在完了進行形の解説、aとanとtheの用法と意味解説、前置詞(あるいは副詞)の空間的な位置関係の解説など、学校の教科書には載っていないが、知っておいたほうがよいものはたくさんあります。
 成績上位層の好奇心をくすぐる工夫をして、彼ら・彼女たちの学力を伸ばしましょう。根室という教育僻地にいても、都会の子どもたちが私立の進学校で受けているものに比べてすこしはギャップを埋める授業を演出しましょう。
 根室で小中高の時代を過ごすことが学力の大きなハンディキャップとならないように、先生たちは授業のやり方をぜひ工夫してください。

 ZAPPERさん、ありがとう、いい記事でした。「情熱空間」から続けてもう一本紹介します。


*ゲーム・ネット・スマホ依存症 専用外来
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%9B%E4%BE%9D%E5%AD%98%E7%97%87%E5%A4%96%E6%9D%A5&rls=com.microsoft:ja:IE-SearchBox&ie=UTF-8&oe=UTF-8&sourceid=ie7&rlz=1I7SUNA_jaJP310&gws_rd=ssl

**「子供のネット依存、治療に当たる久里浜医療センター院長が「生易しい問題ではない」と警告」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20130729/1051122/?rt=nocnt

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#3374 小学2年生の算数:足し算・引き算の教え方 July 23, 2016 [語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 小2の子どもの居るお母さんから相談がありました。算数の○cm△mmというような単位付の計算ができないというのです。
 小2は教えていないのですが、相談に応じますからいらしてくださいと電話で告げて来ていただきました。できなかった算数の問題をもって来てもらって、状況をうかがいました。具体的なものがないと要領の得ない相談になりますから。
 親子だとなかなか教えるのが難しい場合があります、親は「何でこんなのわかんないの!」と叱ることになるし、子どもも親へ甘えが出るから喧嘩になって、教えられないと、まあ、こういったことです。じつはわたしにも身に覚えがあります。仕方ないので、友達二人連れておいで、一緒に教えるから、その代わり授業中はお父さんではなくて先生だからね、そのつもりで。しばらく、近所の子ども二人と一緒に教えました。東京暮らしのときの話です。

 単位のつかない問題からチェックしてみました。桁上げや桁下げが理解できていない子どもが案外多いものです。簡単にチェックできるので、こんな問題をやってもらいました。

 「5+9=?」

 「13」、即答でした。
 「ブー!もう一度考えてみて」
 30秒ほどたってから、
 「14」
 「ピンポーン!正解」
 今度は引き算です、桁下げがスムーズに行くかチェックです。

 「14-9=?」

 1分ほどかかりました。桁上げ、桁下げを伴う問題は、とたんに速度が落ちてしまうようです。これは大きな問題です。放置してはいけません。なぜなら、次の問題には桁上げが含まれる場合があるからです。最初は桁上げのない単純な問題から。

 2cm3mm+3cm5mm=

 「cmはcmのついている数字同士を足せばいいんだ、2+3はいくつかな?」
 「5」
 「5cmだね、では3+5はいくつだろう?」
 「8です」
 「そう8だ、だから、5cm8mmと単位をつけて答えを書けばいいだけだよ、できそうかな」
 
 問題5題をそれぞれ単位ごとに足し算と引き算の答えを訊いて、口頭でそれぞれcmとmmをつけて答えを確認しました。

 「じゃあ、5題、今度は一人でやってご覧」

 あっという間に答えを書きました。覚えたから当たり前です。でも、本人は「わかった、できた」と自信が生まれています。表情にちょっと元気がでています。
 次にやるべきは、桁上げ、桁下げを伴う問題です。
 
 5cm8mm+2cm4mm=

 こういう問題は桁上げ操作がスムーズにできない生徒はつっかえてしまいます。そこで最初の問題「5+9=」に戻ります。
 10の補数を覚えてもらいます。

 1の補数は9
 2の補数は8
 3の補数は7
 4の補数は6
 5の補数は5
 6の補数は4
 7の補数は3
 8の補数は2
 9の補数は1

 以上で終わりです。足すと10ですから、簡単に覚えることができるでしょう。ランダムに一桁の数字を言って、10の補数を言わせるゲームをしたらいい。間髪をいれずに補数を言うトレーニングです。面倒なら、電話帳を開いて、下4桁を次々に言えばよい。
 4⇒?
 8⇒?
 5⇒?
 ・・・

 さて、今度は補数を利用した桁上げの計算例を挙げます。
 「5+9」は10を足して9の補数の1を引きます。こういう計算になります。
 「5+9=5+10-1=15-1=14」
 こういう風に2段階入れて計算します。書くと長くて面倒なようですが、慣れてくると機械的な操作ですから、考えなくてもできるようになります。「桁上げの生じる足し算は簡単な引き算に」なります。

 足し算の次にやるべきは桁下げの生じる引き算です。1分間ほどかかった「14-9」は次のようにやります。

 「14-9=14-10+1=4+1=5」

 桁下げのある引き算が補数の足し算に替わりました。お母さんが問題を作ってもよいし、桁上げ・桁下げのある計算ドリルを選んで買ってきて、繰り返しやらせましょう。百題、千題やらせればいいのです。
 じつはこれはソロバンのやりかたなんです。「14-9」は10を引いてから1を足します。小学生2年生には1年間ソロバンを習わせたいですね。こういう計算にまごつく生徒が中学1年生で4人に一人ぐらい居ます。昔に比べたらおそらく4倍です。お母さんたちが珠算塾に子どもを通わせなくなりました。小学生に英語なんか習わせるよりは2年間珠算を習わせたらいい。根室は5段以上の名手が何人も居ます。十段位を取得した人が過去に一人居たはずです。根室は一時期、北海道ではソロバンの先進地域でした。曙町にあった珠算塾、高橋尚美先生が根室の珠算のレベルを上げてくれました。すばらしい先生でした。根室高校から初めて東大へ現役合格したYさんが一番弟子で、その次が2年先輩の澤山さん(岬町で珠算塾と学習塾を経営しています)、そして3番目の不肖の弟子がebisuです。わたしは高校時代に高橋先生にビリヤードを教えてちょっとだけ恩返しをしました。(笑)

 九九がもうすぐ出てきますが、九九の練習を大きな声でさせてください。暗誦できるようになったら、2段階目はストップウォッチを使って高速でやらせます。スマホの機能にありませんか?
 3段階目は逆九九の暗誦トレーニングです。次のようにやります。
 9×9 81
 9x8 72
 9x7 63
 ・・・
 8x9 72
 8x8 64
 8x7 56
 ・・・
 ・・・
 1x1 1
 
 これもストップウォッチで時間を計ってやらせてください。「読み書きソロバン(計算)」は速度が大事なのです。速度が2倍の子どもは同じ時簡に2倍の問題を消化してしまいますから、速度の大小が問題消化量の多寡に直接影響します。速度の大きい子は1時間の勉強で速度の遅い生徒の10倍もやることができます。学力に圧倒的な差が出るのは当たり前です。

 割り算の商を立てるのに、逆九九ができるのとできないのとでは速度に倍の差がつきます。こういうトレーニングを小2のときにおろそかにすると、中学校になってから計算速度が標準の3倍もかかるようになってしまいます。3時間勉強しても標準速度の生徒の1時間分しか問題を消化できません。

 30人のクラスでトップ3人と下位3人では、速度に30倍の差があります。計算速度が遅いと脳の働きも遅くなります。遅いことに脳が慣れてしまうからです。毎日やることこそ、長い期間の内にとんでもない学力差を生みますから、おろそかにしないでいただきたい。

 次に問題になるのは文章題です。これは日本語の文章を正確にそして速く読むことのできる生徒が圧倒的に有利なことは言うまでもありません。
 音読が有効です。この次にやり方を書きます。小学2年生のお子さんの居るお母さん、必らず読んでください。

 ちなみに、この生徒は月に一度ほど、お母さんに教え方のフォローをしてあげます。小学生低学年での漢字や短文章トレーニングのやり方しだいで学力に大きな差がつきます。
 困ったときは誰かが相談に乗るとか、助けてくれる、そういうあったかい古里でありたい


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