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#3518 加速する病院崩壊:星槎大教授上昌広 Mar. 6, 2017 [医療四方山話]

<更新情報>
3/11 午後7時追記 < 民間総合病院の採算悪化の事実はあるか? > 


 標題は3月3日にNHKラジオ番組「社会の見方・わたしの視点」で放送された。上先生は血液内科医で医療ガバナンスの専門家である。
 彼の意見によれば、病院問題は地方だけでなく、首都圏の私大付属病院が赤字になりつつあり、このまま放置すれば次々に経営破綻していくという。日医大や東京女子医大の附属病院の採算が悪化していると具体例を挙げる。
 他方、日本の病院の1割が医師一人で365日やって地域医療を支えており、院長が死亡すると廃院になるクリニックが増えている。これも今後10-20年ぐらいの間に医療環境をがらりと変えかねない変化である。
 人口減少が急速に進んでいる地方の病院が患者数の減少によって経営が成り立たなくなるというのはよくわかるが、首都圏の私大付属の大病院までが経営が成り立たなくなるというのはわたしには驚きだ。
 病院はコストカットのために常勤医や常勤看護師を減らして対応しているから、労働が長時間となり、効率化も求められるからきつくなっている

 たとえば、市立根室病院は135ベッドで、毎年15-17億円の赤字を出しているが、一般会計から繰り出し金で赤字の補填をして何とか維持している。私大付属病院ではそういうことができないから、赤字が続けば経営破綻=廃院となる。

 病院崩壊の原因が八つ挙げられている、黒丸は首都圏と地方共通、白丸は首都圏固有のもの。

●人口減少による患者数の減少
●2年に一度行われる診療報酬改定(切り下げ)
●消費税が8%になりその負担が病院経営を圧迫している。今後も消費税は増税されていく。
○首都圏では看護師が少なく人件費が高騰している
○私大附属総合病院や民間の総合病院の経営が圧迫されているのは採算が悪い診療科もそろえなければならないから
○土地が高いから不動産への投資の金額が大きくなり、それも経営を圧迫する⇒過大投資
○高額の最新設備の導入も大きな負担になっている⇒過大投資になりがち
○産科や小児科のように患者数が減少している診療科はやっていけない
  聖路加病院が赤字になっている。

 私大付属病院ではコスト削減のために医師給与を下げている。40歳代の医師の給与は手取り30万円あるかなしかで、アルバイトして稼がないと食べていけない。労働強化と労働時間が長くなることで医師は疲れている。そうした背景事情が製薬メーカと医師の癒着や医療事故増大の一因となっている。
 診療報酬は全国一律だから、コストの高い首都圏は経営上不利になる。
 首都圏の医大附属病院が赤字なのに対して、たとえば岩手医大附属病院は利益率が高い。


<上教授の処方箋>
 このままだと首都圏の期間病院の多くが崩壊し、高齢化社会が破綻してしまうから、コスト削減と患者の負担増の両方を同時にやる必要がある。
くる
(1)遠隔診療や人工知能を用いた新技術の導入
(2)海外で育成された医師の導入
  フィリピンの看護師の給与は月収6万円、医師は20万円。手術室や検査室は患者とのコミュニケーションの必要がないから、フィリピン看護師や検査技師をいれても大丈夫な領域と考える。
(3)患者負担は、一律にやるのか、金持ちに負担してもらうのか国民的コンセンサスをつくる必要がある。

< ebisuの意見 >
 首都圏の機関病院である民間総合病院や私大附属病院が相次いで経営破たんで閉院になれば、首都圏では医師が失業するような事態が起きる。地方の自治体病院は低コストで医師確保のできる時代が来るということか。
 民間企業の経営管理手法を導入しても採算が成り立たないということだろう。総合病院で診療科別損益計算をすると、不採算診療部門から切っていくことになるが、それでは総合病院の機能を維持できぬ。赤字の診療科はそれぞれいくらの赤字が出ているのかがわかれば、診療科の組合せで大雑把な損益シミュレーションができる。総合病院における診療科別の損益シミュレーション用標準モデルもつくることができるだろう。それと比較することで、各総合病院は経営改善がどの程度できるか計測可能になる。

 市立根室病院は135ベッドだが、赤字補填のための国基準の繰入金は約10億円である。実際の赤字額は年額15-18億円。すべて根室市の一般会計予算の繰り出し金で穴埋めしている。民間総合病院にこのような補助はないから、競争条件をそろえるためにも民間病院への国からの補助金制度があるべきなのだろう。だが、やりかたを間違えると、病院経営者が私腹を肥やすことに使われる。補助金制度を設けるとしても、どういう基準でやるのが公正か、なかなかむずかしそうだ。
 議論の前提にどの診療科の外来で、そしてどの診療科の入院病棟でどれくらいの損失が出ているのか、実データを検討しなければならない。
 こういう作業は厚生労働省では無理で、ワンクッションおいた機関で大病院や中小病院の診療科別損益計算データを集めて、規模別に議論する必要がある。民間企業では常識だが、部門別損益計算システムをもっている病院はあるのだろうか、そしてそうしたデータを集められるのはどこ?

 KさんがNPO法人VHJ機構の専務理事であることを最近知った。VHJ機構は会員の民間総合病院が経営情報データベース構築に参加し、相互にそれらの情報を利用するプラットホームを提供しているようだ。
 Kさんは医師で元厚生省のお役人、そして一部上場会社の社長をやり、ある県の医局長を数年やっていた。こうして並べると華麗で稀な職歴である。(笑)
 久々にメールをいただき、近々、会ってお酒を飲むことになっている。首都圏の民間総合病院の経営の現況と未来について話を聴いてみたい。時間があっというまに過ぎそうだ。
 左側のカテゴリー欄に「養老牛温泉夜話」があるが、Kさんと地域医療や教育について2009年11月に養老牛温泉で語り合ったことが載せてある。


*VHJ機構
http://vhj.jp/


< 経営情報統合データベース >
 診療科別損益計算は、間接費や共通事務部門費などの配賦基準は各総合病院で独自にやれるようにしておき、経営情報統合データベース上では「その都度の統一配賦基準」で配賦処理できるような柔軟なデザインが望ましそうだ。臨床病理学会と臨床検査大手六社で数年にわたって共同作業をして実現した日本臨床検査項目標準コードはそういう設計思想でつくった。VHJがどういう設計思想で統合データベースをつくっているのか興味津々。 


< 余談:ごちそう >
 隣の人から大きな鰈を2尾いただいた。ひとつは腹の周囲に黄色い色がついたもので、とってもおいしい鰈だそうだ。さっそく黄色い方を煮付けにして食べた。箸で突くと厚い身が割れる、煮汁をつけて口にほおると鰈の濃い味が広がった。こんなにおいしい鰈を食べるのは7年ぶりくらいだろうか。ふるさと根室の魚はとってもおいしい。もう片方は内臓を処理して冷凍した。

< 民間総合病院の採算悪化の事実はあるか? > 3/11追記
 民間総合病院は決算を外部へ公開していないから、上教授の論は一部の私大附属病院の経営悪化を根拠に民間総合病院全体の経営悪化が進行していると類推したもののように見える。首都圏の専門家に意見を訊いたら、首都圏の民間総合病院の経営が悪化している事実はないという。東京女子医大については経営悪化の理由が別のところにあるという。
 民間総合病院では、診療科別の損益計算制度を導入しているところがない、そういうパッケージシステムすら存在しないらしい。民間総合病院は丼勘定で十分経営していける状況にある。経営が悪化すれば、経営改善のために診療科別・入院病棟別損益計算制度が導入されるだろう。そうしたパッケージソフトすら国内に存在しないようでは、民間総合病院の経営悪化を主張するのは無理があるだろう。


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#1769 日米医療保険事情比較 Dec. 11,2011 [医療四方山話]

  前回の#1768「あるドクターの米国での入院体験記:日米医療事情比較」の続きである。
  病院からの請求に対して保険会社は支払を「値切る」のが常識らしい、しかも半端な値切り方ではないから驚きだ。

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後半の医療保険の話は重要です。何故なら、今度TPPにより更にアメリカの保険会社の日本での営業活動が解禁されると予想されます。アメリカの保険会社は顧客に受診する病院の制約を掛けます。(勿論医療費が安い病院を指定)。つまり患者は今までのように自由に病院を選べなく成ります。更に医療保険だけでなく、安易なロースクールで量産され食い扶持の無い弁護士どもが日本に押し寄せてくるでしょう。これまで法律の駆け引きに慣れていない日本人(特に病院などの医療関係者)は真っ先に餌食になるでしょうね。
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日本の医療は公共サービスなんです。

投稿者:  中小病院経営者 閲覧人数 232 賛成数 11 反対数 1 適切数 0 
  
欧米諸外国、そしてアジアなど 世界各国で、医療サービスは「贅沢行為」なんでしょうね。
それこそお金持ちならいいサービスが受けられるエステや高級ペットの獣医科みたいに、人間の疾患や外傷に対する医療行為が
「贅沢行為」という位置づけなんだと思います。

一方日本は、国道や県道を無料で通過する、公立の美術館や博物館に数百円で入場する・・・ みたいな公共サービスと同じだと医療サービスが位置づけられているんです。 ですから贅沢は禁物。 患者さんはすべて平等。技術料も中央医療審議会から買い叩かれ、
診察料・検査料・・・・・どんどん値下げさせられ、 ついには11円。
この技術を取得するのに、いったいどれだけの投資をしてきたことか!! それが11円だなんて。
駄菓子屋でガキの頃によく買った風船ガムと 医者の技術が同じ値段だなんて、悲しいにもほどがあります。
子供の頃から予備校に通い、激しい受験競争に勝つために10代のすべてを犠牲にし、 やっとの思いで医学部に入学しても進級のための試験試験の連続で、 世間一般の華やかなキャンパスライフなんかとは程遠い生活を送り、いじわるな教授の気分しだいな口頭試問に運命を左右され、医師国家試験に必死で合格した後も 「国家資格を持った奴隷」として、 休日もなく帰宅も許さず、決死の思いで自宅に帰っても、 容赦なく携帯電話が鳴り続け、 挙句の果てには‘今すぐ駆けつけろ‘!と呼び出され・・・
他職種に比べれば高給取りだと世間からは非難されるけど、 時給で割り算したら状況しだいで最低賃金以下じゃないかという現実なのに、 そういった苦労や努力に対する対価をまったく考慮せず、 ひたすら「公共サービス」として低賃金で長時間労働を強いられているのが、
日本の医療業界だということが 国際比較を通じて 本当によくわかりました。
手術すれば230万円

投稿者:  kene 閲覧人数 149 賛成数 3 反対数 0 不適切数 0 
 
アメリカで手術されたり、入院するととんでもない金額を請求されるという話ですがこれは本当でもあり、嘘でもあります。
アメリカの病院は二重価格が当たり前になっています。 つまり、正規の治療費は100万円でそれを保険会社に請求しても、
保険会社は20万円しか払わん、と正規よりはるかに低い金額しか払いません。
アメリカの保険を持っている人が虫垂炎になって治療をした場合病院は230万円を保険会社に請求しますが、実際に支払われるのはおそらく30万円程度でしょう。
歯科や個人医院の場合は残りの金額を患者に請求することもありますが、病院ではありえません。
だから病院にとっては自費診療や、海外旅行保険の患者は神様です。なにせ正規料金を払ってくれるのですから。
国際線の飛行機の運賃みたいですね。
よく日本から心臓移植をしに米国の病院へ入院して何千万円が必要、という報道がありますが、あれも病院にとってはドル箱なのでしょう。
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*#1768 あるドクターの米国での入院体験記:日米医療事情比較 Dec. 11,2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-11


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#1768 あるドクターの米国での入院体験記:日米医療事情比較 Dec. 11,2011 [医療四方山話]

  さて、日曜日ですから、ちょっと毛色の変わった話題をアップします。
 ある方から、米国と日本の医療を比べてみるのにいい材料を提供戴きました。米国に留学中の医師の入院体験記です。専門用語に()で解説をつけて送ってくれました。
 海外へ長期間行く機会のある人が増えていますので、参考になるでしょう。
 日米の医療事情を比較することで、守るべきものが何かもわかるのではないでしょうか。最近話題になっているTPPでは医療も影響を受けます。米国の保険制度と日本の皆保険制度も比べながら読んでいただけたら幸いです。

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米国で虫垂炎+腹膜炎になりました。

… 
 
時折m3を読ませて頂いてます。日本での医療訴訟の報道が余りにもひどいと思い、今回初めて投稿させて頂きました。自分自身に起きたエピソードを通して、日本の医療が他国 と比べていかに恵まれているか、少しでも多くの人に伝われば幸甚です。以下は渾身のノンフィクションです。当時書いてあった文章をそのまま貼った方が臨場感が伝わると考え 、あえて丁寧語ではなく口語文のまま掲載させて頂きます。

*******************************

10年以上日本で消化器内科として働き、現在米国に留学中ですが、2年前に虫垂炎+腹膜炎になりました。

土曜夕食後に急に結構強い心窩部痛を認めましたが、放置。
日曜朝、パンを食べただけで増悪し、痛みが下腹部に移動し、圧痛とそこそこの反張痛、39℃台の発熱もあったので、appeを疑い、20時に夜間診療所(Night time care)に行く。本当はそこで抗生剤を点滴してもらって、月曜に消化器の医者に見てもらいたいと簡単に考えてました。そんなに人が待っているようには見えなかったが、2 2時にもう一回来いとのことで、その時間にもう一度行く。iPadほどの大きさの機械の面倒くさい問診票を手渡され、30分かかって腹を抱えながら何とか記入。

その後もしばらく診療室で待たされ、入って来た看護婦さんが友人と並んでいる私を見て微笑みながら「どっちが患者なの?」と軽いジャブを。一見してわかるでしょうが…。そ の後尿検査したあと小一時間待たされ。どう見ても混んでるようには見えないんですが…。やっと医者が来て。

米「どんな痛み?」
日「colic pain.(疝痛)」
米「(ちょっと驚いた顔で)面白い表現をするねぇ…。」
日「日本で医者やってました。」
米「専門は?」
日「消化器。」
米「じゃあ診断は?」
日「たぶんappe。(虫垂炎:盲腸炎)」
米「じゃあそこで跳んでみて。痛い?」
日「響きます。」

何て感じで。触診とdigitalやったあと(採血、エコーなどはせず)、

米「ビンゴ。」「じゃあope。(手術)」

えっ…

(採血、エコー、レントゲン無しで診断です。診断できたこと自体は驚きませんが、問診、触診だけで言い切ってしまう辺りに感服しました。自分なら虫垂炎の「疑い」があるの で救急病院へ紹介しますと言いますが…少なくとも自分なら見えなかったとしてもエコーはやりたいと思います。)

いきなり!?点滴で散らすんじゃあないの?
(このときperforation(破裂)してるとは思ってませんでした)

米「ope。救急病院に行ってもらうから。紹介状書くから」
日「今から行くんですか?」
米「今。」
日「じゃあ友人の車で行きます」
米「ABSOLUTELY NO!!!!!!!!(絶対に駄目)」

日「…だって救急車代が高いから…」
米「診療所からは只だから」

ということで日米通じての救急車デビュー。今まで患者の付き添いはありましたが、自分が横たわって行くのは行きでは初めてでした(患者が降りた帰りに救急車内で寝て貰った ことは何度かありましたが)。

日が変わって月曜0時に救急病院のER(救急治療室)に行くと
「CT撮るからこれ飲んで」と言われ、目の前にガストロ(ガストログラフィン:経口造影剤)1ℓ。皆様ガストロ1ℓ飲んだことおありでしょうか?まずいです。造影剤は静注だけでいい だろうと(自己)判断し、100ml飲んだ後はガストロ放置。

一時間後、技師らしき人が来て

「何で飲んでないんだ!」
「おなかが痛いから(本当はまずいから)。」
「痛み止め静注するから飲め!」

泣く泣く全部飲みました。そんなことせずにさっさとOpeしてくれたらいいのに。静注(造影剤の血管注射)だけでわかるじゃん!
結局運ばれて4時間後にCT撮影。遅っ。perforation(破裂)してるのに。その後Opeは朝6時からということに。
外科医…太ってました。彼のズボンは私2人入ります。自分のappeはどうするんだろうかと心配です。

ムンテラ手術を受ける前にムンテラ(患者への説明)とか全くなし。一言「laparo(腹腔鏡)でやるから。今日夕方には帰れるよ。」今日夕方?ちょっとオツムが弱いかなーアメリカ人。本当か?

「かみさん呼んだ方がいい?」
「お前で十分。お前が判断能力ある訳だから」

いいなぁアメリカ。この日米の違いはなんなんだ。
ていうか、俺に事故があったらどうするんだろうか。

先生の言う通り、ムンテラの代わりに、契約書にサインをさせられました。英語なので読まずにサインしようとしたら、友人が「先生、一応読みましょうよ」

ごもっとも。

でも読んでも、手技に関する記載は一切なし。それこそ、「私、訴えません」って感じのヤツ。これでいいのか!?

サインする前後(Ope前)に、さっき撮ったCTを見せてくれとお願い。すると「フィルムは上の階にあるので持って来れない」

それ通用するのか?

「ここのPCでみるか?」
ええ、そうします。

さぁーっと見ましたが(さぁーっとしか見れませんでしたが)、周囲脂肪織の上昇はすぐわかったけど、free air(自由空気:消化管が破れている)は大きいのはなし。abscess(膿瘍)はよう分からんかった。このときperforation(破裂)しているようだと説明あり。

まぁappeは自分で診断ついてたし、Opeは不可避だってわかってたし。この年で発症ということが受け入れられなかっただけで。まぁ腹膜炎なしでもOpeは妥当かなと思 っていたので、サインしてお願いすることに。

その後麻酔医のほんの2~3分のムンテラ(というより家族に悪性症候群の人がいないかどうかの簡単な問診のみ)後…意識が戻ったのはOpe後2時間後。
いつ麻酔を打ったんだ?
自分の中ではOpe室に入って少ししてから麻酔がかけられると思ったのに…ショック。Ope室見たかった…
極端な話、局麻下のもと一通り見たかったです。

主治医「思ったよりabscess(膿瘍)がひどかったから退院は明後日水曜日ね。」痛い訳だ。
というか、そもそも同日夕方退院って最初から無理だろ。

かみさんからは入院前に「わたしは痛みに慣れているけど」と言われ、「生理痛と一緒にすんじゃねえっ!」と言ったら「生理痛をバカにすんじゃねぇっ!!」と怒られたが…ど う考えてもappeの腹膜炎>>生理痛だろう。一応WBCも17,000だったらしいし。

ちなみにCRPは一回も測ってないようでした。ここら辺はアメリカの医療に同意。高いに決まってんもんね。

さあここからが大変。

2人部屋の廊下側のベッドに寝せられて。トイレは反対の窓側。
腹が痛い。切る前より痛い。どう考えてもOpe前より痛い。一時間のOpeだったのでバルーン(膀胱留置カテーテル)は入ってない。

看護婦「トイレに入ったら力まないように。」

力めるかっっていうの。

正直に言います。バルーン入ってたほうが楽だと思う。
最初の一滴を出すのが辛い。トイレに入ってしばらくしゃがんで我慢しつつ用を足してると、外からノックが。

看「Are you O.K.??」
O.K.……なわけないだろっっっっ!

やっとの思いでトイレから出てくると
看「お前はいつもこんなにトイレが長いのか?」

お前…日本に来てappeで緊急入院したら復讐してやる。どうしてくれよう。

点滴台を支えにして、体を引きずるようにベッドへ。ベッド上に乗るのも痛みとの孤独な闘い。

飯はorderするシステムで、メニューは豊富。当然粥なんてなし。また、何食べちゃ駄目という説明全くなし。
元気なら術後一日目にしてステーキ食っても良し。

…とても食べれません。もう寝るだけ。水もいらん。

二日目。

夜普通に39℃台。でも熱は平気。痛いのが辛い。この痛さ、例えるなら下腹部に鉛の放射線プロテクターが折り畳んで入ってる感覚。

看「今日は歩いてみよう。」
もう好きにして下さい。

まぁOpe日に比べたらましなので、一応歩ける。歩くのはいい。排泄が苦痛。

三日目。

夜普通に39℃台。
看「何でこんなに熱が高いのかわからないわ。」

洗い方足んなかったんじゃあないの?こちらはドレーンは入れないのが当たり前だとか。
それはいいけど、abcsessがひどかったのにlaparoで終わらせて、ドレーン(排液管)留置せずに終わって「何でこんなに熱が高いのかわからない。」

普通は洗い方足んなかったと思うでしょう。当然(?)退院は延期に。この日も病棟内を歩く。
部屋の外には部屋番号の下に"low"のシールが。
聞くと、lowは軽症の患者だとか。確かに扱いは一部lowだったかも。看護婦さんは総じて良かったけど。

四日目。

夜は38℃台に。でも早朝にculture-up.ワンテンポ遅くない?
もう使ってないルートを抜いてくれというと(抗生剤が内服に切り替わったので)使うかもしれないから駄目だって。
アメリカ大した事ないなぁ。も一回入れりゃあいいじゃん。因みに入っていた場所は右肘の正中。他にもあるだろうに。

採血は毎日。でも結果は聞かないと教えてくれない。
朝CT撮るとの事。またガストロか?と震えたが、結局単純のみ。

いつも夕方5時前後に4~5分来る主治医はこの日昼に来て、fluid collection(液体貯留)があるからpuncture(穿刺排液)すると言う。もちろん本人ではなく放射線医が。
看護婦さんにいつ頃?と聞くと分からないが呼ばれたら知らせるとのこと。その日、結局呼ばれず就寝。

五日目。

早朝
看「punctureはどうだった?」
…やってません。
「Really!?(本当?)」
別にこちらは驚きません。アメリカに一年住んで、慣れました。約束の日に事が済むと奇跡だと友人は言ってたし。朝7時に透視室に(慌てて?)呼ばれ、punctureする ことに。もう熱は解熱傾向だったけど。

何か英語でいろいろ言ってるけど、要はまずpunctureして、場合によってはドレーンを留置するという事。
まぁappeについてある程度の知識はあったので、何とも思わなかったけど。
エコーで20mlぐらいのfluid(液体:浸出液?)を確認して(簡単そうな場所。傍結腸ですね。)アルコール(?)で消毒して…

ブスゥッ!

いっってぇ。そのあと、十字切開。

吸った液は濁ってなかったのでドレーンなしで終了(結局十字切開は必要なかった)。
また腹が痛くなった。歩くのがまた辛い。
それより、頭が痒い。清拭はないし。
自分で勝手に行きましたよシャワー室に。当然バスタブなし。
シャワーぬるいし。おまけにシャワーヘッドとれるし。

右腕はルートが入っていて、テガダームなどのprotectionはなかったので片手で頭を洗うはめに。

入院生活は日本に限ります。

術後6日目にしてようやく退院。いい経験でした。

******************************

こんな文章を載せて我ながらしょうがないと思う反面、アメリカでの一連の診療をお伝えすることで、少しでも日本の臨床現場が素晴らしいことと再認識される日を願ってやみま せん。

ご清聴ありがとうございました。
 

読んで頂きありがとうございます。

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#1418 「ワイドショーの功罪」(m3.comより) Mar. 14, 2011 [医療四方山話]

  11日午後2時46分に地震が起きてから3日がたった。救命時間の72時間がすぎた。高台にある学校の中学生がまだ両親にあっていないという姿がテレビに映っていた。土台だけを残して崩壊した家の残骸が木片になってあっちに一塊、こっちに一塊、いったいどれほどの人間が亡くなったのか想像もつかない。テレビ画面を見ながら何度も涙がでてしまった。

 あるドクターが医者の側からみた同意書を取り上げてくれている。わたしは患者として手術の同意書にサインをしたことがある。両方の目で見た同意書を採り上げることで、医療にまつわる問題を考える材料にしていただければ幸いである。今回はコメント欄へ書いた私の意見も併記する。

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「ワイドショーの功罪」(m3.comより)
最近、民放TV各社のワイドショーで医学的な話題がよく見られます。そしていわゆる著名なコメンテーター(弁護士、マスコミ崩れ、検事、各新聞社や放送局の編集長や論説主幹、スポーツマン上がり、たまに日本中のまともな医師からはクズ扱いの女医も、etc)などの連中が、もう好き勝手な事をほざいています。しかし、事が医学の話と成るとNHKも黙ってはいません。拙い事に視聴者は民放なら最初から話半分で見ていても、NHKと成ればもう少し真面目に考えるから、或る意味NHKの方が悪辣な時があります。とにかくマスコミが医療を取り上げる時には、もう事実などはどうでも良く、ただひたすら面白く視聴率を稼げれば良い!

J-CAST テレビウォッチ ワイドショー通信簿
 医者の承諾書」書かされてても泣き寝入りするな!
《医療ミス逃げられない》
医療ミスやトラブルの絶えない昨今だが、「病院などで、このような書類を書いたことはありませんか?」と赤江珠緒キャスターが視聴者に問いかけ、大きなパネルに書かれた「手術承諾書」が映し出される。そこには、万が一の不可抗力の事態に対しては、一切の異議申し立てをいたしません、との一文がある。
コメンテイターで経験者の鳥越俊太郎によれば、「医療の現場では、それは何枚も何枚も、イヤというほど、同意書を書かされます」という。もし、そういう書類に同意してしまった場合、医療ミスがあっても
患者は泣き寝入りするしかないのか――という法律相談コーナーである。
《患者の無知につけ込む》
医学部でも教えているという回答者の大沢孝征弁護士によれば、医者はとかくこういった書類を書かせたがるという。しかし、実際は医者の気休めにしかならない。あきらかな過 失があった場合に、責任を免れることはできない。過失を事前に放棄させる取り決めは、公序良俗に反していて無効と考えられるんだそうで。「これを書かせたことで、(法律に)無知な患者さんが(責任追及を)諦めてくれる場合がありうる、という以上の意味はない」とまで言う。

ここで何時ものようにm3の掲示板の中から平均的な
書き込みを一つ載せておきます。この方は多少言葉がキツイですが、それだけ頭に来ている事を理解してあげてください。

「誰のための手術か、考えろ 」
>何枚も何枚も、イヤというほど、同意書を書かされ>ます

書かされますって、、、結局、馬鹿な患者が不条理な要求をし、マスゴミがそれに油を注いだ結果、こういった事態にならざるを得なくなったんだとの認識もなく、ようもこう、ぬけぬけとほざけるもの だ。自動車保険の契約書ごときやちょっとしたリース契約でも、小さな字で、何ページにもわたって、ごちゃごちゃ詳細を書いてあり、基本的に、それを読んだ上で、承諾して契約す ることになっているんですよ。ましてや、手術ですよ。それを、読んで承諾できるならサインをなんてことなく、細かく細部にわたって説明し、承諾のサインをもらう、そこまでして、この言い草ですか。別に必要ない車やテレビを売ろうなんて言ってるわけじゃないんですよ。車やテレビなら、売り手の利益って話でしょうが、手術なんて、100%患者の利益のためなのに、、、そこまで、文句あるなら、
他の回答者先生もおっしゃってられるように、こういう状況だから、どうする、、、手術してやってもいいよって話で、本人が頭を下げてくるのを待てばいんですよ。 ばかばかしい

生命保険や損害保険などには御存知の細かい契約事項が記載された契約書が付いて回ります。そして契約が成立したと言う事は、我々がその記載内容を理解し納得したと看做されます。それらの内容をよく読んで見ると、かなり会社側に有利な項目が並んでいます。時には「これじゃあ何のための保険なんだ?」と腹が立つような免責条項も見られます。しかし、このワイドショーでは、病院の各説明・承諾書には文句を付けても社会一般に溢れている各種の説明書や契約書に対しては何も言いません。最近多い外資系の生命保険会社のCMなど、「あの補償はあの程度の保険料では無理だ。笑しい」と思ってよく画面を見ると小さな文字で(一口)などと申し訳のように書いて有ります。しかしそれらの会社は今や放送局にとっては大口のスポンサーだからか、折角法律家がスタジオに居ても全く問題にしません。しかし医者叩き・病院叩きは続きます。
何故今時の病院では検査や手術に際して面倒くさい説明・同意書が多くなったのか、皆さんご自身でお考えに成ってください。これは付け足しですが、この同意書に対する医師の考えは様々で、例えば小生などはその手の書類に患者さんや家族の印鑑を貰うのは好きではありません。「きちっと誠意を持って接すれば、そんな責任逃れのような書類は不要だ」ですが、しかし病院として「そんな患者性善説は甘い。リスクマネージメントに徹するべき」と言う考え方を採っている場合は、個人の考えは通りません。病院によっては患者・家族の同意書が無いと手術場にも入れません。
by 医療四方山裏話 (2011-03-14 01:32)

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どんな医療を受けるか受けないかは本人の権利だから、患者や家族の同意書は当然だと思いますよ。手術って不安ですから。やってみたけど手に負えなかったと手術する前より悪くなることだって起きうるでしょうし。医療費だって見積もりもらった方が覚悟もできるし
故意ではなく疲労による過失まで罪に問われるのは行き過ぎだとは思うけれど、事前の同意はやっぱり必要でしょう
事故だとかで緊急に手術必要なこともあるでしょうから、一般人も日ごろからどうするかを事前に考えうるように医療現場の情報が周知されていれば良いのですが。
by もやしさんま (2011-03-14 20:34) 

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医療四方山裏話さんへ

医療裁判が増えたから防衛措置として同意書が必要になったように記憶します。
同意書に判を突かないと手術していただけませんから、もちろんサインし、
印鑑を押します。
その前の手術の説明が結構ストレートでたいへんです。
胃の全摘、胆嚢の摘出、もし膵臓に癒着していれば膵臓、脾臓も同様だったら脾臓も、もちろん大腸も・・・
おいおいそんなに摘出して命があるのかい?(笑い)なんて思いながら説明を聞いていました。

確率は小さくても、そういうリスクがあるのだなあ・・・と説明を聞いているうちに、だんだんそうなりそうな不安な気がしてきたりします。少しの間気持ちは揺れます。
最後はこの先生と術場の看護師さんたちがベストを尽くしてくれるんだから、安心して全部お任せしよう。生死は天が決めると納得するまで1日かかりました。
ありがたい、救ってもらえる、そしてこの先生なら万が一のことがあっても、スキルを上げる糧になっていい、そういう気持ちがわきあがりました。不安が消えていました。
お陰様で、安心してゆったりした気持ちで、術場で麻酔がかかってまぶたが重くなっていくのを感じていました。

ベストを尽くしていただければそれで十分なんです。信頼が置けなかったら、病院を変えるしかないでしょうね。
患者から言わせてもらえば、信頼するに足るドクターにめぐり合えるかどうかです。
同意書にどのような文言が書いてあっても関係ありません。100%信頼して命をお預けするのですから。

術後4年8ヶ月、執刀医や術場の看護師さんに感謝しております。診断をつけてくれた内科2名の先生にも。
by ebisu (2011-03-14 22:41) 

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もやしさんまさんへ

契約関係は基本的には欧米の流儀のような気がします。
日本人は「よろしくお願いします」「よし、まかせとけ」が本来の姿。
まかせとけと言ったからにはその言に外科の職人として責任をもち、いい仕事をする。
結果については人事を尽くしたのだからお互いに天命と受け止める。

医者も患者も家族もこの30年ほどでずいぶん変わってしまったのではないでしょうか。
医療裁判事例を見ると、ひどく好い加減なお医者様もいらっしゃるようです。
同じ数だけ理不尽な主張をする患者家族も。
いずれかの当事者の魂のレベルが下劣なら、トラブルが起きるのは当然です。
私は確かな技術と信頼関係で結ばれる社会の住人でありたいと思います。
by ebisu (2011-03-14 22:47) 


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#1416  「救われないM新聞」(m3.comより)  Mar.12, 2011 [医療四方山話]

 東北地方太平洋沖地震から1日たち、その被害の大きさに驚く。まだその全貌が明らかではない。太平洋海底の断層が400㌔から500㌔も崩れたようで、震源地と言うよりも「震源域」と解説していた。復旧に数兆円単位のお金を投じなければならないだろう。普段から無駄遣いをつつしみ、貯蓄を積み上げておけばこういうときに惜しみなく使えるのだが、国の借金だけでも900兆円、ただ呆然。
 広範囲に地盤沈下を起こし、津波の水が退かない地域が多いので、復旧用の工事車両が入れない。「家は流された」と避難場所でお年寄りの被災者が語る。建て替える資力がない人が多いのではないだろうか、被災者の今後の生活が心配である。
 株価や円相場にはどの程度の影響が出るのだろう。

  今回は具体例を挙げての医療裁判に係わる報道批判。「呼吸器」という用語にまつわる新聞記者らしからぬ初歩的ミスを指摘している。
 こうした健全な批判があり、それに耳を傾ける姿勢があれば、新聞記事もずいぶんとよくなるような気がする。医学辞典をちょっと引くだけでミスは防げただろう。上司がチェッカーだが、そこもすり抜けた。
 私も気をつけなければいけない。


「救われないM新聞」(m3.comより)

昨日、帯広の厚生病院でトラブル?が起きました。それに関する新聞記事を複数の報道機関の記事で比較してみましょう。

呼吸器のバルブ閉まり患者死亡 北海道・帯広の病院
2011年3月8日 提供:毎日新聞社
患者死亡:呼吸器のバルブ閉まり--北海道・帯広の病院

7日午後2時10分ごろ、北海道帯広市の帯広厚生病院の精神科病棟7階の病室で、入院していた女性患者(59)=音更町=の呼吸器のバルブが閉じているのを看護師が見つけ た。女性は心肺停止状態で集中治療室に運ばれたが、翌8日午前6時50分ごろ、死亡が確認された。低酸素脳症とみられる。道警帯広署は何者かが故意にバルブを閉めた可能性 もあるとみて、事件・事故の両面で捜査している。【金子淳】

次いで共同通信社

酸素吸入器閉まり患者死亡 北海道の帯広厚生病院
2011年3月8日 提供:共同通信社

北海道警は8日、帯広市の帯広厚生病院の精神科病棟で、女性入院患者(59)の酸素吸入器のバルブが閉まり、低酸素脳症で死亡したと発表した。帯広署が事件と事故の両面で 調べている。
 道警や病院関係者によると、女性は肺炎のため、酸素吸入マスクを装着。看護師が7日午後2時すぎ、バルブが閉まっているのを発見したが、心肺停止状態で、病院が110番し た。女性は8日朝、死亡した。
 女性の病室は相部屋。発見時、部屋には別の患者と面会者ら計3人がいた。女性に目立った外傷はなかった。道警は、関係者から事情を聴き、バルブが閉まった原因を調べている 。

皆さんお気付きでしょうか。問題のバルブが閉まっていたのは、毎日では”呼吸器”、共同通信では”酸素吸入器”です。

先ず”呼吸器”の意味ですが、これは肺や気管、気管支などの生体のシステムを言います。ここに閉めるバルブなど有りません(笑)。そのシステムを外部からコントロールするのが御馴染みの人工呼吸器で、これは通常は気管挿管した患者の気管チューブに繋いで使います。
いずれにしても”呼吸器”と言う単語の意味すら知らない(調べない)小学生以下?の新聞記者ですね。

では共同通信の”酸素吸入器”ですが、これは皆さんもよく目にしている筈です。患者さんのベッドの頭部分に設置された昔の牛乳瓶のような物です。あれは部屋に引き込まれた酸素の出口で、真ん中のネジを回す事で吹き出る空気の酸素濃度を調節できます。瓶の上に細いチューブが立っていて、その中に丸い玉が浮いています。玉が上に上るほど酸素濃度が高いことに成ります。
そうです。今回問題に成っているのは、この”酸素吸入器”なんです。バルブを一杯に閉めると酸素が出てきません。しかし酸素マスクは或る意味適当な代物で(口にフィットしない)結構脇から空気が漏れます。ですからマスク内に酸素が来ていなくても或る程度は自然な呼吸は可能です。しかし肺炎状態で肺の酸素交換能が低下している場合は部屋の空気を吸っているだけでは当然酸素飽和度が低く、補助的な酸素の補充が
必要です。その補充の酸素が来ないわけですから低酸素状態と成ったのでしょう。

”酸素吸入器”の事すら間違えて、せっせと医療機関を攻撃し続ける毎日新聞・・・皆さんはどう思われますか。
by 医療四方山裏話 (2011-03-09 17:06)


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#1412 「絶句・・・」(m3.comより) Mar. 10, 2011 [医療四方山話]

  今回も前回に引き続き特別養護老人ホームでの医療事故裁判事例です。親切なドクターが誤嚥事故に関わる解説をしてくれています。(コメント欄への投稿記事より)

「絶句・・・」(m3.comより)
ホームで誤嚥し死亡、和解金1400万円

昨年9月に傍聴し、先日和解が出ていた事件です。事件番号は東京地裁平成21年(ワ)第18816号です。

特別養護老人ホームにショートステイしていた、推定90代(尋問中に「100まで生きると頑張っていた」
との発言があった)の女性が、誤嚥で死亡した事例。原告は息子(推 定70代)、被告は老人ホーム。
まずは亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
傍聴から推察された事件概要:
亡くなられた推定90代の方は、認知症あり、声上げ(意味不明の奇声を上げる)あり。平成19年12月と平成20年1月に、別の老人ホームで誤嚥事故を2回繰り返したため、その老人ホームから預かりを断られたところ、被告老人ホームで受け入れOKとされ、 利用することとなった。
平成20年8月に、介護士(推定)が通常通りに朝食を食べさせていた。普通なら飲み込んだあとに声上げをすることから、ちゃんと飲み込めていることを確認していたのだが、あるとき、口に入れたあとに声上げがなく、顔色が白くなっていくので、何かがおかしいと思って他の人を呼んだ。看護師などが集まって、看護師が吸引で誤嚥物吸引を試みたが奏効せず、救急車を呼んだが、結局亡くなられた。
原告側は、誤嚥物は吸引器では吸引できないのであって、ただちに救急車を呼ぶべきだった、とか主張している模様。原告本人尋問の最後に、裁判長から最後の一言を求められて 、「今日は9月9日で救急の日。なぜすぐ救急車を呼んでくれなかったのか。救急体制の不備を感じた。そういうことを知り合いには話している。」と言うようなことを述べてい ましたが、なんだかなぁと思いました。しかも奥さんは元看護師だそうです。
原告代理人は看護師に対して、他にも、ハイムリック法をやったのかとか、マウストゥーマウスはやった
のか、とかも聞いていました。で、最終的に和解金が1400万円となったものです。
誤嚥事故を起こしたことがある人を受け入れることは、大変なリスクがあると感じましたのでご紹介する次第です。

このケースも医師から見れば滅茶苦茶な話です。因みに”ハイムリッヒ”と言うのは喉を詰まらせた際の対処法で、患者を背部から抱き組んだ両手の拳で鳩尾部を突き上げる行為です。一般的には固形物の誤嚥の際に有効な方法とされています。しかし老人に下手に行えば肋骨ボキボキですよ。またマウス ツー マウスは御存知のように無呼吸の患者の肺に空気を送り込む処置ですが、気道閉塞がある時にはそれを解除しないで行うと、閉塞物を更に奥に送り込む事に成り禁忌です。「真っ先に救急車を呼べ!」との仰せですが、救急車が到着するまでに恐らく早くても5~6分は掛かるでしょう。その間何もしなければ、救急車が着く頃にはもう万事休すなんですがね。そして救急車が辿りついてもやる事は同じです。この事から原告側代理人が如何に医療に疎いかが容易に想像できます。

ここで何時ものように、この件に対して書き込んだ医師のコメントを1人だけ載せておきます。

90過ぎの方にハイムリッヒやら、逆さ吊るしやら、背部叩くのって、できますかね。私なら恐くてできません 、骨が折れそうで。 やはり吸引をする程度かな。
後は輪状軟骨穿刺でしたっけ、それをするのでしょうけどね。
何度も誤嚥があって断られていたのを引き受けたのが間違いでしたね。このホームの失敗はそこでしょう
それにしても、やっと受けてくれたホームを訴えるとは、誤嚥による事故を狙っていたのでしょうかね?

(付け足し)因みに”輪状軟骨穿刺”と言うのは、気管切開が必要な際にメス等の切開道具が無い場合(或いは経験が無い場合)に、とにかく少しでも早く肺に空気を送り込むために気管切開部に注射針を刺す事です。実際には慣れていないと刺すには度胸が要ります。
これは余談ですが、先日終了したアメリカの人気TVドラマ「LOST」の第1話にこの話が出てきます。主人公達の乗った飛行機が浜辺に墜落。そこには地獄さながらの修羅場が展開されています。心肺停止状態の黒人女性に対して若い救急救命士が蘇生を試みている所へ外科医である主人公のJackが近寄り、見かねて自分が蘇生を始めます。むっと成った救命士が自分の身分を告げるとJackは「それなら免許を返せ」と怒ります。そこで救命士が「じゃあペンを探してくる」とその場から立ち去ります。これはペン(ボールペン)が有れば芯を抜いたケースで喉を刺して注射針の代わりに出来るんだ、と言う意味です。またこれも有名なアメリカのTVドラマに「グレーズアナトミー」が有ります。途中から主人公達に陸軍の軍医が合流しますが、この軍医が登場する場面で、救急車で運ばれてきた患者の喉にペンが刺さっていてそれを見た主人公達は「何て医者だ!」と呆れます。勿論その軍医は何も無い現場でペンを注射針の代わりに輪状軟骨を刺して命を救った訳です。

老人が誤嚥などで気管を閉塞した場合一刻を争いますが、固形物などは背中を叩く事で結構効果があります。しかし餅の様な物は掃除機のような吸引機が(何処にでも有り)役に立ちます。
by 医療四方山裏話 (2011-03-09 11:35)


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#1411 「氷山の一角」(m3.comより)  Mar.10, 2011 [医療四方山話]

  あるドクターが医療裁判の具体例を次々に挙げてコメント欄で解説してくれている。専門家のコメント付だから、その批評はきびしい。老人医療に関しては、考えさせられることが多い。今回の被告は特別養護老人ホーム、訴えたのは家族である。
 医療裁判を担当する裁判官もそれを報道する記者も医療の専門知識を勉強しないと仕事をまっとうできない。

「氷山の一角」(m3.comより)
認知症女性死亡で賠償命令 1770万、特養ホームに 11/02/07 記事:共同通信社提供:共同通信社

 埼玉県久喜市の特別養護老人ホームで2005年、入所者の認知症の女性=当時(78)=が紙おむつを破って喉に詰まらせ窒息死したのは注意義務違反が原因として、遺族が施設を運営する社会福祉法人「恒寿会(こうじゅかい)」(同市)側に約2460万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁は4日、施設側に1770万円の支払いを命じた。
 加藤正男(かとう・まさお)裁判長は判決理由で、口に異物を入れる癖のあった女性に対して紙おむつを使ったことについて「床擦れやかぶれの症状があり、(吸水性の低い)布おむつだけを使用すべきだったとは言えない」と容認。
 その上で、癖を予防するため紙おむつの上に着用していた、ほぼ全身を覆う「介護服」の状態について、「股のファスナーが壊れていたり、閉め方が不十分だったりしたか、生地が劣化していて破れた可能性がある。使用方法が不適切だったと推認できる」として、注意義務違反を認定した。
 判決によると、女性は05年6月20日、着用していた紙おむつを自ら破って飲み込み窒息死した。
 恒寿会は「女性が亡くなられたことに対し、深くおわび申しあげる」としている。

このネタに対して大方の医師は家族を弁護士に唆された「当たり屋」に擬えて憤慨しています。その中で比較的冷静な方の書き込みを紹介致します。参考にされてください。

特養で個室も少ないタイプのようですから、支払金額は月10万円を切っていると推定されます。余程規模の大きな施設でない限り、年間数百万でも黒字が出れば、御の字でしょう。
そんな低賃金で自分が看ない親を入れておいて、介護服を着せれば拘束したと怒って訴え、異食で窒息したら訴えて1700万円なんて、世の中狂っている。そんなんで儲けては いけません。
そうなれば、自宅介護困難例を引受ける所はなくなってしまい、後に続く他の家族にどれだけ迷惑をかけることになるか。なんてことを考えられる人なら訴えないはずです。
こんなんがまかり通ったら、まともな者は介護施設経営に関わらなくなってしまう。既に、介護施設の一部はやーさん達の経営になっているところも結構あるが、今後はその比率が増えてくるだろう。そんな所の提携医だけは引受けたくないねえ。

この方の書き込みの最後の部分に、実は非常に危険な爆弾が仕掛けられています。今まで美容整形などを突破口に医療の世界に進出して来たその筋の組織が、全国の経営破綻した病院を買い取り新たな医師を掻き集め介護関係の医療施設を再開。もはや医療法人〇〇会=(実は)××組系〇〇会がどんどん水面下で広がっている。信じられないかも知れませんが、これは法務省関係に詳しい医師から聞いた紛れも無い事実です。
by 医療四方山裏話 (2011-03-09 00:22)

【ebisuのコメント】
 経営困難に陥った病院に全国組織の暴力団の手が伸びつつあるという現状は怖いものがある。医療は命を扱う場所だから、放置して十年二十年とたったら取り返しのつかないことになりはしないだろうか。彼らは静かに医療業界に入り込み始めているようだ。
 二十年ほど前からそういう兆候があったことは個人的にも承知している。関東で500ベッドのある病院が50億円以上の負債を抱えて倒産したことがあったので、マスコミ報道で知った。たまたま関係者の一人からその当時の後始末の事情を聞くことができた。後始末は修羅場で命がけです。
 2000年ごろ病院の買収や新病院開設を検討していたことがあり、理事長が美味しい話しを戴いたことがあったが、その手の筋の企業だったので計画をとめた。彼らはその筋のプロだから、とてもお誘いがうまい。そしてどこもやり方は同じ、基本的な手口が同じだから引っ掛かる人がいる。「近道反応」はダメ、事業は信用を旨として、額に汗してまっとうに自分で育てるのが一番いい。
 小欲知足の人は大丈夫だが、自我の強い大欲の人が引っ掛かる。触らぬ神に祟りなし。

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#1410 「もはや狂った日本の裁判」(m3.comより) Mar. 9, 2011 [医療四方山話]

  医療裁判に関する具体的な事例研究シリーズを呈してきたような・・・50年前ならこういう日本人は稀だっただろうな。日本人全体のあまりの変質に驚く。弁護士の数が数倍になりつつあるのと機を一にして欧米のような訴訟社会になりつつあるのはなぜだろう?倫理水準が低下し、かくも小ずるい人間が増えたのはなぜか?弱い者いじめをして卑怯を恥とも思わない人間が増えたのはなぜか?
 いくつも具体的事例をコメント欄で紹介してくれる親切なドクターに感謝。
 さあ、お読みください。

「もはや狂った日本の裁判」(m3.comより)
自動ドア事故で認知症進行 コープ側に賠償命令
11/02/04 記事:共同通信社 提供:共同通信社
 東京都小平市で2006年、日常生活に支障のない認知症の80代女性=09年に死亡=がスーパーの自動ドアに接触して転倒し、症状が進んだとして、遺族が「生活協同組合コ ープとうきょう」に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、1175万円の支払いを命じた。
 湯川克彦(ゆかわ・かつひこ)裁判官は、現場の自動ドアについて「高齢者らが利用することを前提とした安全性を備えていたとはいえない」と指摘。その上で「女性の筋力低下 や認知症の進行には、事故による骨折が影響している」として因果関係を認めた。
 判決によると、女性は06年8月28日午後3時すぎ、前方の客に続いて店に入ろうとした際、閉まりかけた自動ドアに接触して転倒、右大腿(だいたい)骨を骨折した。その後 、歩けなくなり、認知症の症状も進んだ。女性は09年4月、急性心不全で死亡した。
 コープとうきょうは「判決をよく検討しておらず、現段階ではコメントは差し控える」としている。

もう日本の裁判には愛想が尽きているので何も論評致しません。これをご覧になられた皆さんがご自身でお考えください。
ただ一言申し上げておきます。もしこの判決が妥当だとお考えに成るのであれば、貴方のお宅に知り合いの老人が遊びに来て玄関先のタイルで滑って転倒骨折→入院→認知症が進行。「お宅が玄関のタイルを磨いていたから、うちの親が滑って骨折した。来客には老人もいるだろう。何故滑りやすく磨いたのだ。慰謝料を出せ!」とヤクザ紛いの滅茶苦茶な脅しを掛けられても文句は言えませんよ。

このケースはたまたまスーパーで起こりました。しかし病院や老人施設の医療機関では頻繁に起きています。そしてその中の一部は医療施設側の管理の手落ちとして裁判沙汰に成っています。そして判決は押しなべて医療機関の負けで、老人には不相応な逸失利益が計算され賠償金となります。そしてその事がマスコミにより広く世間に周知され、乗り遅れまいと我も我も戸と押し寄せます。残念ながら今の日本人にはもう公徳心が無い(自分さえ良ければ良い)ようです。

かってこんな事件がありました。札幌の元町にある西友で、肉売り場で産地を偽った表示が問題化し、店の方針で領収書無しに返金(申し出額をそのまま!)し始めたところ、携帯など口コミであっと言う間に広がり店の前に多くの人間(特に若者)が集結。最初は言うがままに返金に応じていた店側も途中で返還予定額を超えてしまったために返金作業を中止。すると集まった群衆は口々に「俺にも金返せ!」の怒号。勿論各マスコミも現場に居ながらどの社もきちんと取材しません。あの時札幌の西友で問題に成ったのは、確か皆があまり食べないレバーの類だったと記憶しています。ですから元々そんなに売れていた筈は無いと思います。しかし最初に駆け付けた者の中には10数万も貰ったと言う話に涎を垂らして集まった連中は収まりません。あの時ずっとcameraに写っていたメタボ体型の若者が「俺見ての通りだから肉食うし・・・」と取材に非常に歯切れ悪く答えていたのが印象に残っています。マスコミもマスコミで、一言「どちらの肉売り場で何の肉をどれ位買われたんですか」とでも聞けば、殆どの人間が噂を聞いて金欲しさに集まった事が分かった筈です。あの事件は、その晩そのメタボな若者とその横に居た柄の悪い若い女性の絵とともに日本中を駆け巡りました。そして大方の人が西友の店長を馬鹿呼ばわりして嘲笑いました。しかしあれには西友の事情が有ったようです。
実は小生は当時札幌の手稲に住んでおりました。手稲駅前にも大きな西友があり、そこの広大な駐車場には一応検問所が有ったのですが、当時検問所のゲートは空きっ放しでした。ですから西友に用事が無い人間にとっては正に「ラッキー!」です。自宅から手稲駅までやって来て車を西友の駐車場に置いて手稲駅からJRに乗って職場へ。何せ手稲駅と西友の駐車場は歩いて1~2分なのですから。勿論西友の駐車場は無関係な車で一日中満車状態。本当に西友に買い物に来たお客が留めるスペースが有りません。しかし最初からきちんと管理していたのならばともかく、やはり途中から厳しくするのは難しいのでしょうね。中々西友側が駐車場のゲートを閉めません。そんな時に本町店でのあの事件が起きた訳です。では何故西友はそんな経営方針だったのか。
実はアメリカなどでは、お客を信じて領収書無しに言い値を返金する考えがあり、西友もそれを社是にしていたんですね。「お客様を信じる」。それで手稲店では駐車場を開け放し、元町店では領収書無しに返金を行ったわけです。しかしその結果、西友側のみならず日本中の人間が「如何に日本人は公徳心が無い情け無い国民性か」を目の当たりにすることに成りました。
もっとも宗教心に裏打ちされ公徳心に篤いとされているアメリカでも、「あまりに美味いから食べ過ぎて太ってしまったのは、お宅のせいだ!」とジャンクフード会社を訴えて高額の賠償金をせしめるメタボ男が居るくらいですから(もっともこれは絶妙な弁護士の作戦のような気がします)。

随分長い一言に成ってしまいました(笑)。お許しを!

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%8F%8B%E5%81%BD%E8%A3%85%E8%82%89%E8%BF%94%E9%87%91%E4%BA%8B%E4%BB%B6
by 医療四方山裏話 番外編 (2011-03-08

【ebisuのコメント】
 冒頭に書いた疑問を私なりに考えてみたい。
 日本人は本を読まなくなった。小・中・高の生徒たちを見ていると猛烈日本を読んでいるのは1学年に数人、ゲームだインターネットだメールだと固い本をまったく読まない者たちが増えている。
 アムンゼンは南極へ行くのに冬に窓を開け放って寝たという彼の伝記を読んで、冬に真似をしたことがあった。小学校高学年はさまざまな伝記を読む時期だったような気がする。それと先生に薦められて『リア王』など少しレベルの高い物を読んだ。
 中学生はミステリーやSFを片っ端から読み漁った。『海底2万里』や『白鯨』など光洋中学校にあったSF小説を片っ端から読んだ。高校生になると自然に哲学書や経済学書へ興味が移っていった。マルクスの著作数冊とヘーゲルやニーチェ、ハイデッカーなどずいぶん背伸びした読書をした。並行して公認会計士二次試験参考書を読んでいたことも読解力を伸ばしたのだろうと思う。このころ『車輪の下』や『大地』なども読んだ。毎日家業を2時間ほどは手伝い、生徒会活動もし、珠算塾も頼まれて1年ほど生徒をみた。時間というのは案外つくれるものだ。
 夏目漱石は『ぼっちゃん』を読んだら、源氏鶏太『三等重役』になにやら匂いが似ていて、嫌だった。漱石と源氏鶏太が同じに見えたのだから、言うのも恥ずかしいぐらい目がなかったのだ。背伸びはしていても、そんな程度だった。中学・高校と漫画の本もずいぶん読んだ。高校の時には週刊誌3冊を読んでいた。少年マガジン、少年サンデー、少年キングだ。50半ばまでいろいろな漫画の本を読んだ。最後はヤングジャンプだった。4年半前に入院したときには読んでいたが、退院してから読みたくなくなり、漫画週刊誌から足を洗った。若い原作者たちと感覚が合わなくなったのだろう。それにしても漫画はずいぶん読んだものだ。同級生のTがとても漫画を描くのが上手だった。プロの劇画家の神田猛も同級生だが、彼をTら数人の同級生が手伝っていたときなかなかいい絵に仕上がっていたものだ。Tはプロにはならなかった。プロになっていたら石の森章太郎風の漫画家になっていただろう。うらやましいぐらい絵の才能に恵まれた奴だった。
 大学時代は週刊誌や月刊誌もよく読んだ。『エコノミスト』『朝日ジャーナル』『思想』『現代思想』『情況』などを定期購読していたら、堅い単行本を読むヒマが足りなくなり、時間の節約のためにざっと目を通すような読み方が身についた。大学院ではあまり読めなかった。研究テーマに属するもの以外は授業で読むテキストが多かった。余裕がなかったのだろう。授業で使ったテキストの中で、増田四郎先生の授業で使ったリストの『国民経済学体系』は読み応えがあった。たった3人で先生の授業を受けたが、きつかった。木原先生の授業はリカード『経済学及び課税の原理』だった。この授業のお陰で、国際経済論に関する論文が一つ書けた。
 卒業してからは、これまた業種を変えて会社を移るたびに仕事が違うので仕事に関連する本を片っ端から読んだ。紳士服の製造卸の小企業で仕事したときにはドイツのファッション雑誌、軍事用・産業用エレクトロニクスの輸入商社時代はコンピュータシステム開発技術に関する本や経営や管理会計会計、原価計算に関する本が多かった。エレクトロニクス関係の本も読んだ。その後はやはり仕事で医学関係の国際専門雑誌(Science、Nature、Oncology等々 )や暇を見つけて言語学の専門書、とくにチョムスキー関係を原書で何冊か読んだ。人工知能にすこし興味があったからかもしれない。この時代はシステム開発関係の仕事で身につけた専門スキルが他の分野の仕事に応用が利いてずいぶんスムーズに仕事ができた。
 30代から東洋思想に関するものを読むようになっていた。西洋思想にどこかで違和感や行き詰まりを感じるようになっていたからだろう。初期仏教経典『阿含経』全6巻や初期仏教関係の本を好んで読んだ。呼吸法についても。日本の古典を読むようになったのは30歳をすぎてからだった。道元の『正法眼蔵』だけは読んでもほとんどわからなかった。いまだに『正法眼蔵』を読むのは辛い、ひどく難解な書物だ。
 『徒然草』は人生訓であると同時に哲学書だ。高校生相手にはおもしろいけど解説しにくい本もある。和泉式部は大人になってから読むとよくわかるだろう。

 団塊世代よりも一世代上の世代は読むものが違っている。明治の文豪は漢詩の素養があるが、昭和になるとそれがなくなる。世代を経るごとに読む本の精神的なレベルが低下しているのではないかという気がする。そういう假説をベースにすると、日本人の倫理観の劣化もむべなるかなという気がする。極端な話、小学1・2年生は算数と論語の素読だけでいいのではないだろうか。
 絶対的な宗教をもたない日本人は精神的なレベルの高い本を幼いころから読むことによって自己の精神性を高めていたのだろう。食べ物と同じで、何を読むかで人間の精神がある程度つくられるものなのだろう。
 小中高生に言いたい、良書を読めと。濫読の果てに目を肥やし精神性の高い本へと行き着け。書棚にみるべき本がないのは恥ずかしいことだと心得よ。

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#1408 「人の記憶も75日!」 Mar. 7, 2011 [医療四方山話]

  全国の産婦人科医に衝撃を与えた福島県立大野病院産婦人科医逮捕事件の続編である。今回の話はオチがついている。笑えない話だが、最後まで読み、オチのところで視点の斬新さににんまりしてしまった。

「人の記憶も75日!」(m3.comより)

福島県立大野病院の新名称は「ふたば中央厚生病院」 病院統合 11/02/22 記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社 ID:1573023

病院統合:県立大野病院の新名称は「ふたば中央厚生病院」 /福島

 JA福島厚生連は21日、県立大野病院(大熊町)と双葉厚生病院(双葉町)の経営統合後の新名称について、県立大野は「ふたば中央厚生病院」、双葉厚生は「ふたば地域医療センター」に決まったと発表した。地元住民や病院職員による公募で、地域医療の中核を担うイメージや両病院の機能分担が分かる名称を選んだという。

 両病院は4月1日付で統合。同厚生連が県立大野の土地と建物を無償で借り、両病院の経営を担う。主にふたば中央厚生病院で救急医療や入院患者、地域医療センターで外来患者を受け付ける。【関雄輔】

ご存知”聖地”福島の「福島県立大野病院」がこの度他院と合併し、その名前も消えることに成ったようです。このニュースに対しては多くの医師から書き込みが有り、その大半は日本の産科医療破壊の震源地なのだからどうしても名前を変えるなら「医療崩壊記念病院」にでもしろと言うような感じです。また「病院の玄関先にK医師の銅像を建てろ」「わざわわざマスコミを呼び患者の前で産婦人科医に手錠を掛けた福島県警の刑事の銅像を建てろ」「もう大野病院の名前では医師を呼べないから変えたんだろう」「県警と県がマスコミをバックに日本の産科医療を潰した」「それにしてもさすがに毎日だ。あの大野病院の事件に全く触れずにつらーっと名前が変わったことだけ書いている」
中に一つ面白い書き込みが有りました。何時もm3.comの掲示板に書き込まれる精神科の医師(当人はそう言っている)ですが、「チェルノブイリは日本語では”にがよもぎ”で、あのアウシュビッツは日本語では”ふたば”なんだってね」・・・。

by NO NAME (2011-03-07 01:02)

*福島県立大野病院産婦人科医逮捕事件(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E9%87%8E%E7%97%85%E9%99%A2%E7%94%A3%E7%A7%91%E5%8C%BB%E9%80%AE%E6%8D%95%E4%BA%8B%E4%BB%B6


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#1407 「マスコミの功罪」 &余談の蕎麦談義 Mar. 6, 2011 [医療四方山話]

 新聞記者もいろいろ。今回は裏を取らずに取材先の発表をそのまま記事にする記者もいるという具体例をあげて解説している。場所は福島県、例の産婦人科医の訴訟が起きた県だ(それ以来産婦人科医志望の医学生が減ってしまったという、きっかけになった事件である)。
 なお、アンダーラインはebisuがつけた。


「マスコミの功罪」(m3.comより)

福島県立医大、医師を“玉突き”派遣 移動短く診察長く
 へき地医療支援システム
11/03/03記事:毎日新聞社提供:毎日新聞社

 福島県立医大(福島市)から2病院を通して医師を“玉突き”で医療過疎地の診療所に派遣する「へき地医療支援システム」が注目を集めている。都市部の大学病院から直接診療所に派遣する仕組みが一般的だが、県立医大方式は医師の移動時間が短くて済み、診療にじっくり取り組める利点がある。11日に開かれる文部科学省の医学部定員に関する検討会で、菊地臣一学長が全国的にも先進的な「福島モデル」として概要を発表する
 システムは04年度に開始。
(1)県立医大の助手15人を県立会津総合病院に週1回派遣
(2)会津総合は助手受け入れで診療時間が空く医師を県立宮下と県立南会津の両病院に派遣
(3)同じく余裕ができた宮下から柳津町と金山町の国保診療所に、南会津から只見町国保朝日 診   療所に医師を派遣する。

 これにより、柳津町で毎週月曜▽金山町で毎週火~金曜▽只見町で隔週木曜--に内科医と整形外科医の応援が受けられるようになった。 玉突きの元となる助手は、臨床研修が終わったばかりで、県立医大で研究しながら診療に当たる。県が1人当たり年間800万~1000万円の人件費を負担する。安くはないが、立場が不安定になりがちな臨床研修終了直後の助手を好待遇で迎えることで医師確保ができる。県立医大は助手枠を90人に増やし、別事業では地域の拠点病院に定期的に派遣するなど、地域医療再生に取り組んでいる。【種市房子】

以上が日本中の医師の間で毎度お馴染み”医師の敵”な毎日新聞の記事です。それに対して次のような書き込みがありました。

「こんなのうそです」
 当方は、この情報にある地域側に勤務する医師です。県からの補助が出て大学にお金が入り、大学からは県立会津に毎週派遣がありますが、県立会津はそもそも人的余裕がないので、応援は受けますが玉は突きません。 玉突き方式が県民に公表される前から、(玉突きがないころから)宮下病院から金山診療所・柳津診療所の応援は行われていたし、只見診療所ががたがたのときは県立会津から応 援はありませんでしたが、県立南会津病院から只見診療所への応援がなされていました。県および福島県立医大が地域医療に貢献しているような書き方ですが、事実は大きく違い ます。県立南会津病院・宮下病院・只見診療所は自治医大卒の医師で成り立っており、その病院間で助け合っているのが現状です。県立医大から月何回が応援が来ていますが、玉 が衝かれる以上にもっと田舎の診療所への応援が自治医大卒の医師によってなされ、玉が衝かれない分、南会津病院および宮下病院の自治卒の医師ががんばっている事実があるこ とを真実どおり
公表していただきたいです。

毎日新聞の記事と、この医師の書き込みを比べて戴きたい。皆さんはどのように理解されたでしょうか。

本来最初から大学から末端の診療所にワンステップで医師を送れば済む話を、何故に3ステップで? 
それぞれのステップで動くのは勿論常勤医ではなくアルバイト医です。勘の良い方はもうお気付きでしょう。時間当たりの給料が高いアルバイト医がA→B→C→Dと玉突き状態で動けば、1人で済むところを3人が動く事に成り、それぞれの移動で交通費、アルバイト代などの経費の増大が生じます。勿論事務的な手間暇も掛かります。 更に医師を送り出すA、B、Cの病院では、そのスケデュールに依ってはその医師が診ていた患者さんを他の医師が診なければ成らないケースも考えられます。何故こんなシステムを考えたのか・・・思うにA大学病院の医師はプライドが高いので僻地の診療所などには行かない。しかしせめてB県立病院なら我慢して行く。同様なドミノ倒しがB、Cについても起きるなら「末端のD診療所にも医師が来る」と言う理屈です。

しかし実際には、投稿された該当地域の医師のお話では違っている。確かにA→Bまでは有ってもそこから先は無い。C病院やD診療所は自治医大OBの医師が頑張って支えている・・・つまり福島県の発表は事実とは違う。もしその医師の言う通りだとすると、毎日新聞は何時ものように全く調べずに(裏を取らずに)意味も分からず提灯記事を書いていることに成ります

因みに、医師の世界に(主にネットで)”聖域”と言う言葉が有ります。つまり”禁断の地”ですから「行ってはならない場所」と言うわけです。福島県はかって「大野病院」事件で”聖域”の仲間入りを果たしている地域です。あの時福島県当局は大野病院に対して不利に動きました。その事を日本中の医師たちは何時までも忘れません。(実際あれ以降産婦人科医たちの”お産離れ”が加速しています)

by 医療四方山裏話 (2011-03-04 13:32)

*福島県立大野病院産婦人科医逮捕事件(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E9%87%8E%E7%97%85%E9%99%A2%E7%94%A3%E7%A7%91%E5%8C%BB%E9%80%AE%E6%8D%95%E4%BA%8B%E4%BB%B6


【余談】
 只見という地名が出てくるが新潟県と福島県の県境ではなかったか。確かダムがあった。奥只見へ行く途中会津に花泉*という酒造がある。美味い酒だ、銘酒のひとつだろう。この蔵元の酒は地元でもなかなか手に入らない。何本か飲んだ。経営分析をし、出資交渉を担当して出向した会社の専務と2時間ほどで花泉を2本あけたことがあった。お互いにコップで一杯ずつさしつさされつ、楽しい酒だった。3本目を飲み始めたところで、店を変えて今度はバーボンのストレート。常務が来て専務が帰り3時過ぎまで飲んでから、常務と二人で屋台のラーメンを食べた。へべれけ、よく飲み、ほどほどに仕事した。社長も専務も常務もそれぞれに癖がありいいやつらだった、どうしているのかな。
*花泉酒造
http://www.hanaizumi.ne.jp/top.html

 記事中に出てくる柳津という地名はヤナイヅと読む。
 会津には竹田総合病院という1000ベッドの大病院があると記憶する。50キロほど離れた郡山には800ベッドの大田総合病院がある。会津、郡山共に民間の大病院がしっかりあるというのがこの地域の医療の特徴だ。
*竹田総合病院
http://www.takeda.or.jp/3_index/3_zaidangaiyo.html

 会津も郡山もどこを掘削しても温泉が出る。米は美味いし、水もいいから当然のごとく酒も美味い。お蕎麦は郡山市内に何軒かいい店があるが、市内はあえて天麩羅専門店の"奈良木"を挙げておきたい。いい店だ。天麩羅を揚げるオヤジがいい、そしてモンペ姿の奥方の漬けた漬物も絶品である。
 郡山から会津に向かう途中に磐梯熱海があるが、そこに美味しい蕎麦屋が二軒ある。3時には売り切れで店終いだ。店の名前はなんといったかな、思い出した、"石筵"である。国道沿いにあるからすぐにわかる。途中の猪苗代湖の近くには爺さんと婆さんが経営する素朴な蕎麦店"磐梯そば道場"があり、会津には"桐屋"という名店がある。どの店もそれぞれに個性的で、挽きたて・打ちたて・茹でたての蕎麦はどれも美味い。それぞれの店主がとことんこだわりぬいてつくる蕎麦である。
 職人技。

 根室にこれほど蕎麦作りにこだわり抜く店があれば楽しいのだが・・・どの店も石臼をもち、朝5時ころから粉を挽いて蕎麦を打つ。選び抜いた新鮮な材料と磨きぬかれた蕎麦打ちの技術、美味いはずだ。生徒たちに教え、味あわせてやりたい、これが日本の物づくりの原点のひとつだと。
 本物の職人仕事と出会うことが大事なのである。出遭えばわかる。仕事とはここまでやるものなのかということが。そうすることが楽しいのだ。不徹底な仕事は、それをする人も味わう人もどこか気持ちがよくない、引っ掛かりを感じてしまうもの。日本人はそういう微妙で繊細な感覚を大切にしてきたのではないだろうか。


*天麩羅 奈良木
http://www.fukulabo.net/shop/shop.shtml?s=356

*「石筵」⇒写真が載っていました
http://plaza.rakuten.co.jp/junko23/diary/201002250001/

*磐梯そば道場ホームページ
http://www.aizu-soba.com/bandai/

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