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#3448 日銀保有の国債を政府債務と相殺すればゼロ? Nov. 3, 2016 [増え続ける国債残高]

 ときどき面白いトピックスがあるので、朝の10分間のNHKラジオ番組「社会の見方・わたしの意見」を聞いている。6時42分頃から始まるのでベッドの中、今朝(11/3)は森永卓郎氏の番だった。
 かれは日本のB/S(貸借対照表)を取り上げていた。1100兆円の政府の借金があっても、債権債務を相殺すれば債務超過にはなっていないから健全だというのである。この人はまともなことを言うこともあるのだが、ときにこういうめちゃくちゃなことも言うので、聞き手としては要注意である。
 政府の債務(国債)の増加は国民の債権の増加だから、相殺すればゼロ、いくら国債を発行しても問題ないと主張する人は巷にうようよいる。複式簿記の基本を知らぬたわごとである。

 かれはアナリストを自認しているようだが、元々は経済学者。日本の経済学者は世界中の株式会社が採用している簿記の基本的知識すらないケースがよくある、経済のインフラ技術である複式簿記を知らずしてよく経済が語れるなと思う。今回の主張もそういう類の論だ。

(具体例を二つ挙げておこう。会計基準が変更されただけで、日本の上場株の1/3以上が外資の手に渡った。株式の評価基準が原価法のままだったら、日本の上場株がこれほど大量に外資の手に渡ることはなかっただろう。株価もこんなに高くはなっていないだろう。東芝やソニーがこんなに巨額の赤字を出すことは無かっただろうし、シャープが外資の手に渡ることもあるいは防ぎえたかも知れぬ。
 原子力発電に関する常識を外れた会計基準も原発が生き延びるために役に立っている。事故に対する積立をちゃんとやるような義務を課していたら、東京電力が原発に手を出すことは無かっただろう。コストが高すぎて割に合わないことがはっきりするからである。)

 日銀は370兆円の国債を保有しているが、これを政府の借金と相殺したらどうなるか?日銀は370兆円の損失を損益計算書に計上することになる。平成27年3月期の日銀の純資産は3.5兆円しかないから366.5兆円の債務超過になる。(H27年3月期の日銀B/Sは#3382参照)
 主要国際通貨のひとつである円への信任が失われ、金融市場で円投売りが起き、どれほどの円安になるか誰にも予測できない。中央銀行が債務超過で経営破綻するのである。
 この相殺を簿記取引として見ると、日銀は債権(資産)の減少と損失の発生、政府側は債務の減少と収益の発生となる。根室高校商業科の生徒なら1年生の4月に習う事項だ。
 「債権と債務を相殺すれば問題が無い」論にはあきれてものが言えない。全世界の株式会社が採用している簿記の基礎知識もありませんと公言しているようなもの。

 ネットを検索すれば、この手の戯言を発信しているアナリストや経済学者、中小企業診断士がいる。聞くも愚かな論である。
 
 そうした立論が愚論であるとすれば、これだけ膨らんだ既発行国債はどうやって返済するのか?すでに返済できっこない規模なのである。財務省はそんなこと(返済)はとっくに放棄している。実にイージーな別途の方法があるからだ。物価を10倍にすれば借金は実質1/10にできる、そういうことになるのだろう。つまり国民の負担で贖(あがなう)うことになる。
 政府と日銀は血眼になって通貨発行量を増やしてみたがインフレが起きなかった、日本は縄文時代以来はじめての長期的人口縮小、経済規模の縮小期に入っていて資金需要が無いからだ。

 簡単な話だ。10倍のインフレが起きれば、国民が持っている預金の実質的価値は1/10となる。5000万円の預金が実質500万円になってしまう。年金受給額もいまの計算方式では1/10になる。
 他に、預金封鎖による財産没収という手段も政府はもってる。論より証拠、日本では過去2回預金封鎖が起きている。戦後の預金封鎖では「第二封鎖預金」が切捨てになった。そういうことを政府(財務省)は平気でやるのである。

*預金封鎖 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%90%E9%87%91%E5%B0%81%E9%8E%96
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日本では1944年日本国債の発行残高が国内総生産の2倍に達したために償還が不可能となり[3]、財産税の新設と共に実施された。
また1946年第二次世界大戦後のインフレの中、幣原内閣において新円切替が施行されると同時に実施された。この封鎖は封鎖預金と呼ばれ、第一封鎖預金と第二封鎖預金に分けられ、引き出しが完全にできなくなるのではなく、預金者による引き出し通貨量の制限や給与の一部が強制的に預金させられるなど、利用条件が設けられた。封鎖預金からの新円での引き出し可能な月額は、世帯主で300円、世帯員は1人各100円であった。1946年の国家公務員大卒初任給が540円であり、それを元に現在の貨幣価値に換算すると、世帯主が約12万〜15万、世帯員が1人各4万弱まで引き出せる。学校の授業料は旧円での支払いが認められていたが、生活費には新円を使うこととなった[4]。最終的に第二封鎖預金は切り捨てられる形となった。
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 借金は返さなければならないものである。政府の借金(国債)と日銀保有の国債を相殺すればいくら国債を発行してもかまわないという説は、トンデモナイ説である。たとえ話をひとつ書けばだれでも理屈は呑み込める。

 あなたが住宅ローンを3000万円抱えているとしよう、銀行は貸付金という債権をもっている。これを相殺処理すれば、あなたの借金が無くなると主張しているようなものだ。相殺処理があったとしよう、実際にはあなたは3000万円得をし、銀行には3000万円の損失が発生する。
 どれくらいばかげた論か、この例で理解できるだろう。どれほどもっともらしく見えようとも、たとえノーベル経済学賞受賞者が言おうとも、インチキ学説はどこまでいってもインチキ。


<自民党国会議員の皆さんへ>
 このように、アベノミクスに浮かれていたらとんでもないことになります。何のために国会議員になったのですか。世のため人のためという初志がどの議員にもあったはずです。
 自分の利害損得は脇にひとまずおいて考えてみてください、あなたたちの子どもや孫のためにいま何をするべきかを。いま国会議員なのですから、どれほどの不利益を被ろうがまっすぐに初志を貫かれたらどうですか?
 全員が生活のために国会議員をやっているなら、反逆者や反骨の人は一人も出てこないでしょう。そのときはもうしかたがありません、国民の財産で贖うことになります。


*#3382 日銀B/S : 発行銀行券勘定を負債区分に計上するのは間違い July 31, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31


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#3382 日銀B/S : 発行銀行券勘定を負債区分に計上するのは間違い July 31, 2016 [増え続ける国債残高]

 日銀貸借対照表の負債欄に発行銀行券が349兆円計上されているが、これは資本区分に計上すべきというのが本稿のテーマである。

 政府が無制限に国債を発行し、それを全部日銀が買い取り、大型予算を毎年組んでばら撒くことを「ヘリコプター・マネー」というが、国債がどんなに積みあがっても、当座預金勘定と発行銀行券勘定を相殺処理すれば、なんら損失を出すことなく、累積された1000兆円の国債残高をチャラにできるという無茶苦茶な議論が、会計学の基礎的知識すらわきまえない一部の米国の経済学者とそれに付和雷同する日本の経済学者が主張しているので、複式簿記の原理原則に還って問題を整理したい。

<複式簿記の原理は経済学より古く、シンプルで美しい>
 経済学より複式簿記理論のほうがその成立はずっと古い。複式簿記理論は15世紀のイタリアの高利貸しの帳簿記帳にはじまるから、仮にA.スミスの『諸国民の富』1776年を経済学の成立と考えると、それよりも250年ほど古い。システムとしてもシンプルで美しいもので、諸々の経済理論の比ではない。
 目の前にあるのに、人はその単純で美しいものに気がつかない。日本の伝統的な価値観に基づく経済学もそうしたもののひとつである。わたしはそれに気がついてしまった。当初は経済学の体系構成にこだわって二十数年間さまよい考えていたが、新しい経済学を生み出すことは簡単なことだった。気がつけばよかったのだ。
 インドの高卒の数学の大天才ラマヌジャン*(1887-1920)は、その短い生涯の内に、3500もの数学の美しい公式を発見した。人が何か重要なことを発見するときは情緒のあり方があるレベルを超えなければならない。偏差値や知能指数ではない別のもの、美的感覚とか情緒が問題なのだ。そして空っぽになったときに突然目が開いたように見えるのである。自我の作用が停止ししたときと言い換えても間違いないだろう。赤字の会社を黒字にするのも、目の前にあるものに気がつくだけでよい、見えてしまう。知能指数や偏差値はまったく関係がない、それらとは異質のものが作用する。ラマヌジャンは夢の中で女神がナーマギリ教えてくれると言っていたそうだ。何かを創り出すのではなく、ただ見つけ出すだけ。
*ラマヌジャンについては、藤原正彦著『国家の品格』新潮新書、165ページ以降参照

 複式簿記は戦国時代にキリスト教とともに入ってきた。宣教師がキリシタン大名や信者の有力な商人に伝えたのではないかと推測する。その両方が数学の特殊理論である複式簿記理論の原理を理解した。そして大福帳という日本独自の形式を生み出してすぐに仕事に使った。こんなことができたのはアジアでは日本人だけだった。イタリアの横書きのノートを縦書きの大福帳にアレンジできたのは日本人の異文化受容度の高さを示している。携帯用の墨壷まであったから、半紙を閉じた大福帳にいつでもどこでも書き込めたのである。こうして納品された物品の検品も正確に証跡まで残してやれた。机に向かってでないとできなかったイタリアの記帳技術が、いつでもどこでもやれるように進化したのである。複式簿記の原理を理解して広く実務に利用できたのは、世界中で日本人だけだった。教えた宣教師のほうがびっくりしただろう。特殊数学をアジアの東の端の日本人があっというまに理解し、進化させて利用したのだから。こんな異例な国、文化受容度の高い国を植民地にはできないと思っただろう。日本人は何かをコピーするときに、オリジナルに何かを付け加えて、日本化して受け入れるのである。漢字や仏教の伝来以来そうしたことを繰り返してきたのだろう。鉄砲の伝来でも起きた。明治になって西洋文化を受け入れたときにもそうしたことが無数に起きた。それは敗戦後にもたくさん起きた。なぜ日本は異文化を受け入れるときにそういう結果を生むのかわからないが、事実としてそういう受け入れ方を繰り返している。まるで日本人の遺伝子に組み込まれたプログラムが発動するようにそうなる。

 創業百年を超える世界中の企業の90%が日本にある。複式簿記の原理を理解して実務に直ちに応用できたからこそ、組織が大きくなって遠隔地に支店を出しても、ガバナンスが効いたのである。江戸時代に起源をもつ豪商や企業は大福帳という複式簿記技術があったから、数百年間続く超優良企業が多い
 江戸時代の日本が世界一識字率が高かったことと、商人が算盤を扱えたので計算能力でもダントツに世界一だったことが日本で複式簿記が普及した理由である。識字率と計算能力の高さという「知的インフラ」が整備されていたのは世界中で日本だけだった。
 為替の仕組みや米相場先物取引なども、世界に先駆けて日本で発明され普及したが、複式簿記の記帳技術に支えられていた。
 複式簿記は近代資本主義社会、中でも株式会社を根底で支えている理論であり、複式簿記なくして株式会社は機能できない。
 そういう会計技術の発達史を概観するときに、日本がなぜ世界の会計学をリードできなかったのか不思議である。20世紀に米国の覇権が成立したとしても、会計学や国際会計基準への日本人会計学者の貢献がまったく見られないのはなんとも解しがたい。日本人が自らの伝統と文化と技術を省みずに、なぜ米国経済学をかくも崇めるのか、わたしには理由がさっぱり理解できない

<会計基準が経済のあり方や企業行動を決定している>
 会計学の基本を知らない一部の経済学者たちは「ヘリコプターマネー」をばら撒けば問題が解決するなんて白日夢を見ている。会計理論とはそんなに脆弱なものではない。会計基準は企業と経済の在り様を決定する強い作用をもつ
 保有株式の評価基準を低価法から時価法に変えただけで、東京証券取引所Ⅰ部上場企業株の3割以上が外資のものになった。それだけでなく、東京証券市場の株式相場は為替レートに連動するものになってしまった。
 会計基準はこのように日本経済や経営者の判断、そして企業行動に甚大な影響を与えている。「ヘリコプター・マネー」に関する議論を会計学の観点から見直し、問題点を整理することは無駄ではない。

<日銀貸借対照表のなにが問題なのか?>
 日銀の貸借対照表を例にとって、会計学上なにが問題なのかを取り出してご覧に入れたい。


  日銀貸借対照表
平成27年3月末日     金額単位:兆円
   (資産の部)   (負債・資本の部)
国債349.1発行銀行券95.5
その他資産56.5当座預金275.4
  その他負債31.2
    
  資本3.5
資産合計405.6負債・資本合計405.6


*第131回事業年度(平成27年度)決算等について(日本銀行)
http://www.boj.or.jp/about/account/zai1605a.htm/


<貸借対照表表示区分と負債の定義>
 発行銀行券勘定が負債の部に計上されているが、この勘定は本当に負債なのか、負債の定義を確認してみよう。
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 負債とは企業が後日他人に対して金銭を支払う義務またはある給付を行う義務をいう。大部分の負債は金銭の支払い義務であり、これを金銭債務という。負債とはこのように企業が外部者に対して支払いまたは給付を行う義務をいい、これが負債の常識的・一般的意義であり、これがまた法律上の債務の概念ともほぼ一致する。しかし、会計上の負債は、このように必ずしも法律上の債務と一致するものではない。
 沼田嘉穂著『体系簿記会計問題精説』中央経済社、昭和53年新版、221ページ
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 沼田は黒澤企業会計原則を批判した一橋大学の教授である。昭和30年代後半から50年代にかけて簿記理論においては東大教授だった黒澤清と双璧をなして、論争を繰り返していた。黒澤が、米国のローカルな会計原則を日本に移植したのに対して、理論研究においては沼田が断然優れていた。その沼田の本が一冊書棚に残っていた。
 沼田の定義では負債には二種類のものがある。負債の筆頭に上げられているのは金銭債務である。当然債権者が想定されている。法律上の金銭債務が第一番目に定義された負債である。その他の負債として具体的な勘定科目が挙げられている。
 債務法律上の負債ではないが会計上の負債として計上すべきものとして、損益の期間計算上生ずる未払家賃などの繰延負債負債性引当金を例に挙げている。負債性引当金は修繕引当金や退職給与引当金を挙げている。 

 この沼田の定義に従えば、日銀貸借対照表にある「発行銀行券勘定」は相手方のある金銭債務ではないし、損益の期間計算上生ずる負債でもなく、負債性引当金に該当するものでもない。つまり、会計学上は、負債区分に計上する根拠はまったくないということになる

 消去法で考えれば「発行銀行券」は会計学上は資本区分に計上すべきものである。その増減は資本の増減だから厳格に扱うべきであるという結論になる。企業会計においては会社法で減資手続きについて厳格な定めがあり、取締役会の決議の他に株主総会の承認を必要とする。貨幣の強制通用力が国家や国民に由来するとすれば、手続きの中に国会決議のあるのが当たり前だろう。時の政府の恣意的な判断から守るために国民投票の制限があるべきだ。ハイパーインフレを招きかねないので、国家の存立にとっても国民生活にとってもそれほどの重大事であると認識すべきだ。

<金本位制の残滓:会計学者の怠慢>
  さて、発行銀行券がなぜ負債とされたかについては、歴史的な経緯があるように思われる。金本位制下の中央銀行では紙幣は兌換銀行券として発行され、金の裏づけを必要とし、要求があれば金と交換しなければならなかったので、紙幣を発行する際には次の仕訳処理がなされたはず。

   (借方)            (貸方)
 金地金 100    /     発行銀行券 100 

 金本位制下では兌換銀行券の発行は純然たる金銭債務であったが、金本位制を廃止したあとは、紙幣には国家の強制通用力が付与されたので、金地金の裏づけの必要がなくなった。金地金との交換の義務がないのだから、その時点から紙幣は負債ではなくなったのである。負債の定義に該当しなければ貸借対照表上の扱いは資本区分である。
 それにふさわしい勘定科目名を用いるべきで、「発券資本金」勘定という名称が妥当ではないだろうか。金本位制廃止に伴って、中央銀行が使う勘定科目名がどうあるべきかについて議論してこなかったのは日本の会計学者たちの怠慢である。中央銀行自身も金本位制廃止時に、使う勘定科目名を再検討すべきであった。
 資本区分に計上すれば、国債(資産)と発券資本金(資本)の相殺処理が妥当性を欠くことは直ちにに理解されただろう。それは減資処理になるので法律で厳格な手続きが定められなければならない。日銀総裁や日銀政策委員会が勝手にやってよい処理に含めてはいけない
 資本区分に計上し、名称を「発券資本金」勘定とすることに伴い、他の会計取引にも影響が出るだろうから、その辺りの研究は会計学者の手にゆだねたい
 
 発行銀行券資本金勘定をそれにふさわしい名称である「発券資本金」に変更して資本区分とすると、国債は政府が発行するもので政府に支払い義務があるから債権であり、他人への債権と資本を直接相殺処理することは、会計の常識からは考えられない。
 相殺処理は日銀から政府への利益移転取引になる。日銀側では消却する国債と同額の損失(国債除却損)計上がなされなければならない。

<日銀の独立性に関わる問題:策士策に溺れるの図>
 貸借対照表表示区分上の問題のほかにも中央銀行の独立性に関わる重大な問題がある。ヘリコプターマネー議論は、政府と日銀を一体の法人格として扱うもので、独立性の完全消滅を前提としている。そのようなことを認めたら、日銀が国債を直接引き受けて無限の通貨供給が可能となり、ハイパーインフレが生ずる。
 財政法第5条「国債の市中消化の原則」を謳い、日銀直接引受けを禁じているから、直接買入れによる相殺処理はそれにも違反することになる。
 「マイナス金利国債」を買って日銀へ売却して当座預金を増やしても2月16日以降の預託分は0.1%の金利を生まないから、マイナス金利国債は市場で買い手がつかず市中消化が不可能となりつつある。まもなく日銀が直接買入をするしかなくなる。

 (1)新規国債売出⇒国内銀行買入⇒日銀買入⇒日銀当座預金勘定増加
 (2)新規国債売出⇒日銀買入

 現在は(1)から(2)への移行期にあたる。マイナス金利導入が、日銀の直接買入を余儀なくするということを、国債の市中消化が不可能になる事態を、黒田総裁は読み誤ったのではないか?日銀が新規預託分の当座預金にプラスの金利をつけない限り、国内の銀行にとって日銀当座預金を増やすメリットがない。
 わたしの目には財政法を改正するしか手がないように見えるが、いくら単独過半数を取ったからといって財政規律を根底から覆す暴挙をやれるとは思わない。
 安倍総理や黒田日銀総裁の強気の発言とは裏腹に政府と日銀は自らの手で首を絞め、瀬戸際に追い詰められている。弱い犬ほどよく吼えるとは言い得て妙だ。

<アベノミクスはどこがまずかったのか?>
 アベノミクスの敗因は何だったのだろう。
 ゲーム理論や国際金融論の専門家である浜田宏一(東大名誉教授)を内閣参与として経済ブレーンに担いだことに敗因がある。50年も昔の米国のマクロ経済理論を、1.2万年の日本列島の歴史ではじめて長期的に人口縮小が進む日本に適用したのだから、現実無視、無理でしょ。
 簡単に言うと場違いなポンコツ理論なのである。ご本人もそれを自覚できないくらい耄碌していらっしゃる。総理周辺の誰かが気がついてもよさそうだが、片棒担ぐ御仁もいらっしゃったくらいだから、肩書きで目がくらみ実像が見えなかったのかもしれない。白川から黒田に日銀総裁を替えたら、3ヶ月でインフレターゲットを実現できると豪語した方である。予告された期間が過ぎたところで気がつくチャンスがあった。でも、ブレーンを替えたら、早々にアベノミクスの失敗を認めることになるから、替えられなかったし、代わりが見つからなかったというのが本音だろう。浜田内閣参与は夢を見ていたのだろう、まだ目が覚めていない。(笑)

<アベノミクスの歴史的役割>
 浜田宏一が論外だったとしても、他に選択肢がなかったのは事実。日本の経済学者はマルクス経済学者が圧倒的に多く、肝心の東大がマルクス経済学の宇野シューレで固まっており、全国の国立大や私大へその学派の人脈が数十年にわたって流れ続けた。当然のことながら、マルクス経済学者で健全な保守主義に基づく自民党経済政策のシナリオを書くことのできるものはいない。マルクス経済学者でない者では、宇沢弘文がいたがすでに冥界入りしている。
 慶応大教授の金子勝がよさげに見えるが、かれは原発反対派だから自民党の原発政策と対立するのでブレーンに採用できない。こうしてみると、日本の伝統的な価値観と健全な保守主義に基づく経済政策論を展開できる経済学者は一人もいない、結局、ババいやジジを引いた。
 何もしなけりゃ無能と言われ、無能が一生懸命に仕事をしたら惨事を招く、しかたなかったのだよ、「この道しかない」と安倍総理は7月の参議院選挙で初めて正直に叫んでいた。100%額面どおりに受け取ってよい言葉だった。安倍総理は自らに課せられた歴史的役割をまもなく見事に果たし終え、怒号と非難の嵐の中を退場する。つらいお役目、ご苦労さん。
 大丈夫だ、日本は大崩壊をきっかけにして30年をかけて再生する。そこを経ないことには生まれ変われなかった。



*#3381 28兆円の経済対策:日銀B/Sから何が見えてくるのか? July 30. 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-30

*#3369 日本銀行の貸借対照表を読む  July 20, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-20

 #3282 保守主義とは何か May 6, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

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#2784 百年後のコンピュータの性能と人類への脅威 Aug. 22, 2014 ">

#3097 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版) <目次>  Aug. 2, 2015 


       3097-1 ↓
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-02-2

Ⅰ. 学の体系としての経済学      6

1. <デカルト/科学の方法四つの規則とユークリッド『原論』> …6

2.<体系構成法の視点から見たユークリッド『原論』> …8
3.<マルクスが『資本論』で何をやりつつあったかを読み解く> …
10
4.<資本論体系構成の特異性とプルードン「系列の弁証法」> …
11
5. <労働観と仕事観:過去⇒現在⇒未来> …
13
 


  3097-7 ↓
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-04-1

24. <文部科学大臣下村博文「教育再生案」について> …67
25.<人工知能の開発が人類滅亡をもたらす:ホーキング博士> 
69



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#3381 28兆円の経済対策:日銀B/Sから何が見えてくるのか? July 30. 2016 [増え続ける国債残高]

 一般の会社と異なり、日本銀行の貸借対照表はわたしたちにはわかりにくい。平成27年3月31日のB/Sを眺めながら、安倍総理が打ち出した「事業規模で28兆円(財政措置で13兆円)の経済対策」の正体を探りたい。

  日銀貸借対照表
平成27年3月末日     金額単位:兆円
   (資産の部)   (負債・資本の部)
国債349.1発行銀行券95.5
その他資産56.5当座預金275.4
  その他負債31.2
    
  資本3.5
資産合計405.6負債・資本合計405.6


*第131回事業年度(平成27年度)決算等について(日本銀行)
http://www.boj.or.jp/about/account/zai1605a.htm/


 日銀保有の国債は平成27年3月末ですでに349兆円、支払い準備で金融機関に義務付けられている当座預金は8.7兆円、したがって340兆円も過剰に当座預金へ資金が「ブタ積み」されている。融資先のない国内銀行にとって、0.1%の金利を支払ってくれる日銀当座預金が最善の資金運用先になっている。
 日銀当座預金金利0.1%は、政府が国債を発行して銀行に買い取らせ、それを日銀が買い取るという迂回をすることで、日銀の財政ファイナンスを隠蔽するためのものだった。高い金利に誘導されて、国内銀行は日銀が買い取った資金を日銀当座勘定にブタ積みしている。この迂回がなければ、発行銀行券勘定が370兆円となり、4倍もの物価上昇を招いていた可能性がある。2月16日から新規分の当座預金金利がマイナスになったから、迂回が不可能になった。日銀当座預金はこれ以上増やせない。

 2012年12月に第二次安倍政権が誕生してから3年と7ヶ月が過ぎて、大規模な財政出動でも、異次元緩和とそれに続くマイナス金利導入をやるも、経済成長もトリクルダウンもなかったので、何を焦ったのかまた財源のない景気浮揚策を思いついたらしい。国債は返さなくてもよい借金だと安倍総理は考えているようだ。
 小泉元首相は在任時代に2011年のプライマリーバランス回復を約束していた。安倍総理も約束をしたが、その期限が来るたびに、暑い日差しの中で起きる「逃げ水」のように約束は先延ばしされている。そろそろ、プライマリーバランスの回復が不可能なことに気がつこう。政府の言とは裏腹に新規国債発行額は年々増えているから、プライマリーバランス回復などできるはずがない。

 28兆円の経済対策の財源の主力は財投債や建設国債であるが、日銀B/S上ではどちらも「国債勘定」で区別がない。つまり、28兆円の超大型経済対策=財政出動は国債であがなわれる。

 国債はすでにマイナス金利になっているので、国内の銀行の引き受けはない。残された選択肢は、日銀の直接買入のみ、政府は追い詰められている、いやその意図は別のところにあり、着々と目標へ向かって歩んでいる

 従来は、政府が国債を発行して、国内の金融機関が国債を引き受け、それを日銀が買い取り、代金を日銀当座預金に振り込むという定式が成り立っていた。国内の銀行は日銀当座預金に豚積みすることで、0.1%の金利を受け取れた。ところが2月16日から、新規預託分はマイナス金利がつくことになった。だから、国内の銀行は国債買入を中止しはじめた。そして国債のプレイヤーが金融市場から消え、日本銀行だけが買手となってしまっている。
 仕訳を書いて、従来のやり方と、それが行き詰ってなされる日銀直接買取との違いを示そう。

 <従来方式>
  (借方)国債 28  /  (貸方)当座預金  28

 <日銀直接買入>
  (借方)国債 28  /  (貸方)発行銀行券 28
 
 日銀直接買入方式では、国内銀行の日銀当座預金額は増えないから、負債勘定である「発行銀行券勘定」が増える。これは、市中に流通する銀行券が28兆円増えるということだ。
 問題は、その増えた銀行券がどこへ向かうかだ。政府が無償資金として財政投融資で使えば戻ってこない、ばら撒くだけになる。有償資金でも、採算が悪かったり、リスクの高いところへの貸付となるから巨額の回収不能が発生しかねない。リニア新幹線が好例だろう。東海道新幹線と、東海道リニア新幹線がともに大きな赤字路線になり、返済不能になりかねない。東海道新幹線が開通したときに、日本一の利益路線だった東海道線が日本最大の赤字路線へ転落した50年前を思い出す。

 市中に出回る通貨量が28兆円(あるいは13兆円)も増えれば、物価が急騰するかもしれない。発行銀行券勘定の残高は95.5兆円であるから28兆円の通貨供給量増大の物価への影響は無視し得ない規模になる。

 来年度の財源も80兆円の国債を発行しなければ調達できないが、市場でマイナス金利で日本国債を売り出しても買手がいないから、日銀直接買入=財政ファイナンスとなる。
 95.5+28+80=203.5兆円・・・発行銀行券勘定残高
 
 発行銀行券勘定が、2倍以上に膨れ上がる。これだけのお金が市中に出回ると仮定したら、それは物価が2倍になり、国民の預貯金の価値が半分になるということである。GDP500兆円は物価が上がることで、経済成長がマイナスでも2倍の1000兆円となる。そういうインチキな未来をたわしは望まない。物価が倍になれば、国民の預貯金の実質価値は半分になる。
 政府は国民の預貯金の価値を半分にすることで、放漫財政を続け返済不能な規模に膨らませた1050兆円の国債残高を半分にしようとしているのである。消費税増税によって国債の償還をする必要がなくなった

 政府が使ったお金が最終的にどこへ向かうかわからない。国内に融資先が見つからないのだから、回りまわって、米国債や外国株の購入に向かえば、巨額の円売り・ドル買いが恒常的になり、とんでもない円安がおきかねない。物価の急騰も、急激な円安を加速する、物価が2倍になれば円ドル為替レートは200円/$を超えるだろう。ガソリン価格も灯油も2倍になる。冬の燃料代が大きい北海道民の生活を直撃することになる。燃料代がまかなえなくて低体温死する老人がたくさんでるだろう。

 日銀保有国債はいずれ市場で売らなければならないが、マイナス金利で売れるわけがない。国債市場が機能麻痺を起こしており、そこへ大量の国債が売りに出れば金利は暴騰する。金利が高くなければ銀行は国債を買わないが、金利が上がれば政府財政は国債の金利支払いで財政破綻を起こす。夕張市でなされた市役所職員3割削減、残った職員は給与3割カット、市立病院閉鎖、それ以上のことが国のレベルや都道府県レベル、市町村レベルでなされることになる。

 国内の企業が、預金封鎖のリスク回避のために、外銀へ預金を移し始めてもアウトである。円からドルへの雪崩現象が起こり、邦銀から外銀へ数百兆円の預金が流出する。円売り・ドル買いが殺到し劇的な円安が現出するだろう。なにが引き金になるのかまだ誰にもわからない。

 誰もお金の行方を予言することはできない。経済学は経験科学なのだから、新しい事態は起きてみなければわからないのである。政府と日銀は国民の預貯金=国富を半減させかねないリスクの高い社会実験をいま試みている。28兆円の経済対策と来年度予算のための国債日銀直接引受けがどんな事態をもたらすのか、だれにもわからない。起きてからでは手遅れ、「後の祭り」であることだけは確実なのである。
 劇的な円安が起きると同時に日本株は下がるから、外資にとっては日本企業を格安で手に入れるチャンスが到来する。一部上場企業の外資持ち株比率が5割を超える日が来る。一部上場企業の従業員は外資のために働くことになる、韓国企業と韓国民の現在がそうであるように。
 日銀の黒田総裁と安倍総理はそうした勢力へ手を貸し、亡国への道をひた走っているように見える。

 自民党国会議員諸君、健全な保守主義に回帰すべきではないのかね。子どもたちや孫たちから、君たちへ怨嗟の声が沸きあがることになる。
 想像力をもとう、そして未来から聞こえてくる声に耳を傾けよう。

  「うちのお父さんなんてことしてくれたの」
  「爺ちゃんひどいよ」 


<余談:発行銀行券勘定への疑義>
 負債は債権債務の関係が明瞭である。誰に対する債務で、いつまでに返済すべきか明らかなものが負債区分に計上されるのだとしたら、発行銀行券勘定は負債ではなく、その性質上資本勘定である。この辺りの議論をルーズにしているから、国債勘定と発行銀行券の相殺処理をすればいくらでも国債を発行できるなんておかしな議論が出てくる。
 銀行発行券が資本区分なら、そういう相殺仕訳の余地がなくなる。100兆円の国債を除却処理したら次のような仕訳になるのではないか。

 (借方) 国債除却損    100 /  (貸方) 国債         100
 
 日銀損益計算書には100兆円の損失が計上される。未処理欠損金は欠損金処理案が承認されたら、次の仕訳がなされる。

 (借方) 未処理欠損金 100 / (貸方) 発行銀行券 100

 このように考えると、国債購入は制限が生じ、直接買入処理ができなくなる。国内銀行からの買入しかできない。
 日銀が国内銀行から100兆円の国債を買い入れたら、次の仕訳がなされる。

 (借方) 国債 100 / (貸方) 当座預金 100

 日本銀行は自分のところに当座預金口座を持つ銀行からしか、国債買入ができない。しかし、こうすると、当座預金勘定をもつ国内銀行が、当座預金を引き出すときには負債勘定減少と資本勘定増加という仕訳になる。通貨発行量の増加になるから、資本増加と捉えてよいということになる。
 この辺りの、各国の会計処理はどうなっているのだろう?
 中央銀行の会計基準なんてみたことがない。あるのかないのかわからないが、中央銀行に関する国際会計基準があるべきだろう。 

 いま検索してみたら、バーゼル委員会が策定した中央銀行向け国際会計基準があるようだ。仮訳のURLをクリックしたが、開くことができなかった。
https://www.google.co.jp/url?url=https://www.boj.or.jp/announcements/release_2000/bis0004a.htm&rct=j&frm=1&q=&esrc=s&sa=U&ved=0ahUKEwjp06-_tJvOAhVCI5QKHZ8BB2sQFgggMAI&usg=AFQjCNGgz-C7_04gsGoMBTmkVSbiEcTV_A

 会計学上の論点を整理したので、以下の稿をご覧いただきたい。
 
*#3382 日銀B/Sを読む : 発行銀行券勘定を負債区分に計上するのは間違い July 31, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31


*#3369 日本銀行の貸借対照表を読む  July 20, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-20

 #3282 保守主義とは何か May 6, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

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#2784 百年後のコンピュータの性能と人類への脅威 Aug. 22, 2014 ">

#3097 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版) <目次>  Aug. 2, 2015 


       3097-1 ↓
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-02-2

Ⅰ. 学の体系としての経済学      6

1. <デカルト/科学の方法四つの規則とユークリッド『原論』> …6

2.<体系構成法の視点から見たユークリッド『原論』> …8
3.<マルクスが『資本論』で何をやりつつあったかを読み解く> …
10
4.<資本論体系構成の特異性とプルードン「系列の弁証法」> …
11
5. <労働観と仕事観:過去⇒現在⇒未来> …
13
 


  3097-7 ↓
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-04-1

24. <文部科学大臣下村博文「教育再生案」について> …67
25.<人工知能の開発が人類滅亡をもたらす:ホーキング博士> 
69





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#3369 日本銀行の貸借対照表を読む  July 20, 2016 [増え続ける国債残高]

 平成27年度の日銀バランスシートをご覧いただきたい。

*第131回事業年度(平成27年度)決算等について(日本銀行)
http://www.boj.or.jp/about/account/zai1605a.htm/


 資産・負債・資本の部(純資産の部)にまとめるとこのようになります。

 資産合計  405.6兆円     負債合計  402.0兆円
                                  純資産合計   3.5兆円


 日銀の自己資本比率(純資産合計÷資産合計)はわずか0.9%です。トヨタ自動車のそれは35.3%、経営破綻寸前だったシャープは9.5%です。台湾資本への第三者割当増資を差し引いて計算するとシャープの破綻寸前の自己資本比率は3.4%です。日銀は破綻寸前だったシャープよりも貸借対照表の内容が悪化しています。
 日銀の貸借対照表の内容がアベノミクスによる国債買い入れですさまじく悪化したことがデータから読み取れます日銀は債務超過寸前の状況にあるといってよいでしょう。
 (トヨタとシャープは<余談>のところへデータを書いておきました)

 資産と負債の金額に比べて、純資産額のなんと薄いことよ、それがわたしの第一印象です。
 何か不測のことが起きたら、すぐに債務超過になります。こんなに少ない純資産額(自己資本)で、巨額のリスク資産(長期国債)を保有してしまっているというのが日銀の実態です。上場企業なら、株は暴落、取締役は株主代表訴訟で巨額のリスク資産を抱えた責任を問われます。
 債務超過になって大破綻が生じても、黒田総裁も日銀政策委員会のメンバーも誰一人として責任を負わないくてよいのです。無責任な体制になっていますから、彼らは安心して国債買入れという「無謀運転」を続けます。

 具体的に内容を見ましょう。資産勘定405.6兆円のうち国債勘定が349.1兆円長期国債301.8兆円)でありますが、前年に比べて79.4兆円増加しています。
 負債の部では「当座預金」が前年対比で73.8兆円膨らんでいますつまりマネタリーベースの増加分のほとんどが日銀当座預金勘定に「ブタ積み」されており、アベノミクスの量的緩和策はデータから見ると効果がありませんでした

 純資産はわずか3.5兆円です。国債金利が上昇すれば、国債の巨額評価損が発生し数十兆円規模の債務超過になりえます(弊ブログで試算したことがあります)。保有しているリスクの高い長期国債に対して、純資産額があまりにも小さいといえます。

 B/Sから新規国債発行のほとんどを日銀が買い入れている構図が明らかですが、このまま毎年80兆円規模の国債を日銀が買い入れたらどうなるのでしょう?
 日銀保有の国債残高が2年後にGDP(500兆円)の規模を超えてしまいます。しかもその内容が大きく変化しています。短期国債からリスクの大きい長期国債へとシフトして、金利上昇時の評価損失が巨額になります。

 もう一度計算してみます。2年後に日銀保有国債残高がGDP500兆円になったと仮定します。マイナス0.3%が、現在の10年債の利回りです。期待金利が5%に上がると、国債の流通価格は53.3%下がります(単利で計算)。
 (1-0.3%×10年)÷(1+5%×10年)=0.467
 500兆円の国債の平均償却期間が8年と仮定すると、
 500兆円×(1-0.467)×0.8=213.3兆円(評価損)

  2年後の2018年には日銀が500兆円、残りの600兆円を邦銀が保有しているとすると、日銀ばかりでなく、邦銀が債務超過になり、一斉に経営破綻することになります。出口戦略どころかとっくに逃げ場がなくなっているのです。

 日銀が国債買入をストップすれば国債金利が暴騰し、保有国債の巨額評価損失を計上し債務超過になりますが、買入をやめなければ円への国際的な信任が失われ、円がいつ投売りされるかわからない状況が生まれます。
 国内の企業が預金封鎖を恐れて、邦銀から外銀へ預金をシフトし出したらアウトです。雪崩のように預金移動が起きます。百兆円単位での実需の円投売り、ドル買いが生じます。ヘッジファンドにとっては儲け時ですから、チャンスを逃すはずがありません、ひとたまりもないでしょう。

 円が暴落し物価が急上昇、国民が保有している銀行預金が紙くずになるリスクが現実味を帯びてきていると言えます。これがアベノミクスの正体です。

 自民党国会議員のみなさん、安倍総理がなんと言おうと、足元を見たほうがよい。50年も前に米国で生まれたマクロ経済学は亡国への道、少子高齢化で急激な人口減少が進む日本の現状に合うはずがないのです。縄文時代以来1.2万年の歴史を持つ日本列島で初めての長期人口減少という時代に突入しています。現実を直視しして健全な保守主義に還らなければ、地獄の釜の蓋をあなたたちが開けることになります。

 たいへんな災厄が降りかかっても、日本が滅亡するわけではないから、ケセラセラと笑っていられますか?
 戦費調達のために赤字国債を発行し続けた結果、戦後まもなく預金封鎖という事態を招いています。その水準に政府発行の国債残高が近づいています。現在のペースを前提にすると、東京オリンピックの年にその水準を超えますが、大破綻への備えがまったくありません。オリンピックの準備に現(うつつ)を抜かしている場合でしょうか?時間がもう余り残っていないことだけは慥(たし)かです。

 大破綻を通過することでしか日本は変われないのでしょう。30年の苦難の期間を経て、日本が生まれ変わることをわたしは信じています。日本は明治維新の百倍の大転換期を迎え、根底から生まれ変わります。日本の伝統的な価値観に基づく新しい経済学が必要ですが、その準備はわたしがカテゴリー「資本論と21世紀の経済学」でやりつつあります。
 破綻を潜り抜けて得られるものについてもも#3327で言及してあります、暗いことだけではありません、希望もあります。

 日銀が国債を全部買い入れて、無利子永久債としてB/S計上すれば問題ないなんてことを言う人がいますが、大嘘で、そんなことをやれば日銀のバランスシートがただちに債務超過になります。
 世の中に返さなくてよい借金なんてありません、返せなければ国民を道連れにして政府財政が破綻するだけです。総理大臣の安倍晋三と日銀総裁の黒田いう人は、大破綻の引き金を引くために天が使わしたのでしょう。日本が大きく変わるために必要な天の采配だったようです。大破綻は天の御意思ですから、避けようがありません。
 具体的にどういうことが起きるのか、13項目を#3327にリストアップしています。3割はストライクゾーンを外していることを願っています。経済学は経験科学ですので、これから起こることについては、いつ、何が起きるのか誰にもわかりません。


*#3327 日銀による財政ファイナンスは財政法違反 June 13, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-12-1

*#3311 有効求人倍率1超はアベノミクスの成果?:ご冗談を(笑) June 1, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01-1


< 余談 >
 トヨタ自動車の総資産額と純資産額を調べてみました。
*http://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2016/year_end/yousi.pdf

  総資産額 47.4兆円
  純資産額 18.0兆円
 
 自己資本比率(純資産/総資産比率)は35.3%です。日銀は1%にすぎません。

 赤字企業のシャープを見てみます。
*http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2014/1/1403_4q_tanshin.pdf

  総資産額 2.18兆円
  純資産額 2071億円

 自己資本額2.07億円には1437億円の増資が含まれています。第三者割り当て増資後の自己資本比率は9.5%です。増資分を差し引いて自己資本比率を算出すると3.4%ですから、日銀は破綻寸前だったシャープよりも貸借対照表の内容が悪いということになります。。
 このように代表的な優良企業と破綻寸企業を比較してみることで日銀の貸借対照表の内容がどれほど悪いのか実感できます。



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#3327 日銀による財政ファイナンスは財政法違反 June 13, 2016 [増え続ける国債残高]

 アベノミクスは次の三本の矢で構成されていた。
 ①異次元の金融緩和 ⇒ マイナス金利導入へ
 ②財政出動
 ③成長戦略

 仕事ができない民主党に国民があきれ、その間隙を衝いて2012年12月にめでたく船出した安倍政権だが、3年半が経ってもついに成長戦略は具体的な姿を現さなかった。「アベノミクスは道半ば」だと7月の参議院選挙を前にして安倍総理が叫んでいる。
 ①と②は③の経済成長を実現するための手段だったはず。安倍総理は経済成長がまだ実現できるとまだ信じ込んでいるようだ。リフレ派とかいう経済ブレーンがそのように吹き込んだのだろう。3-4月の消費者物価は-0.3%(前年同月比)、2%インフレターゲットは3年経っても達成できないどころか、相変わらずのデフレ状態でアベノミクスは効果なしが実証された。これ以上の継続は無意味。
 事実を見よう。経済成長率は2016年米国が2.40%、ドイツ1.46%、フランス1.14%、イタリア0.95%、日本は0.49%先進国中最低である。これがアベノミクスの真実である。「道半ば」ではなく、「突き当たり」、そして「崖っぷち」なのだ、理由は最後までお読みいただければわかる。
*世界経済成長率の推移
米国:http://ecodb.net/exec/trans_country.php?d=NGDP_RPCH&c1=US&c2=JP
ドイツ:http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDP_RPCH&c1=DE&c2=JP
フランス:http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDP_RPCH&c1=FR&c2=JP
イタリア:http://ecodb.net/country/IT/imf_growth.html


 アベノミクスを表看板にして選挙を戦い、裏看板で特定秘密保護法案や安保法制を実現してきた
 異次元の金融緩和はついにマイナス金利導入となり、10年もの国債の金利がマイナスに転じている。声高に金融緩和を叫んでいるのは選挙の際のアベノミクス連呼と同じことで、その裏に別の意図が隠されていた。それは何か、日銀による財政ファイナンスである。

 日銀の独立性は中学「政治経済」(あるいは「公民」)で習ったはずだが、どうしたわけか、白川総裁から黒田総裁へ替わってから、日銀は政府と一体となって、自ら独立性をかなぐり捨てた

 1000兆円に積みあがった国債発行残高のうち350兆円がすでに日銀保有であり、年間80兆円もの買い入れを日銀が行い金融市場は金利の調整機能を失ってしまった
 日銀の独立性がなぜ必要なのかと云うと、政府が財政赤字を恒常化させ、日銀が政府発行の国債を無制限に買い入れると、政府財政が破綻するからである。

 財政法第五条は次のようになっている。
-------------------------------------------------
第五条  すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
-------------------------------------------------

 財政法は国債の日銀直接引き受けを禁じているのである。
  しかし、抜け道があり、国会の議決を経ればいいのだから、2/3の議席を占める自公政権はいくらでも日銀直接引き受けを議決できる。かくして、日銀自身がその独立性を棄て去り、ブレーキである金利の調節作用が麻痺し、年間80兆円もの国債買い入れがはじまってしまった。
 新規国債の発行額は40-50兆円、予算規模は100兆円にも膨らんでいる。GDPは年500兆円であり、少子高齢化と生産年齢人口の急激な縮小でGDP規模もまた縮小に転じている。一人当たり所得は非正規雇用の拡大とともに低下し続けている。国内消費は長期的に縮小するのである。団塊世代のリタイアで、生産年齢人口がこの4年間で448万人*も減少した。だから、人手不足が深刻になっている。失業率が減少したのは生産年齢人口の急激な縮小で、新卒分では補いきれないからで、アベノミクスとは何の関係もない。

*#3311 有効求人倍率1超はアベノミクスの成果?:ご冗談を(笑) June 1, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01-1


 日銀が年間80兆円も国債を買い入れているのは新規国債発行額40兆円に借換債分の買い入れが加わっているからで、銀行保有国債に満期が来て償還されたら、銀行はそれ以上国債を購入しない。その分が日銀当座預金として275兆円(2016年3月末現在、2013年3月末には47.3兆円)積みあがっている。マネタリーベースは3年前の3倍強になっているが、お金は金融市場に回らない、資金需要がないのだから当たり前のことだ。したがって、2%インフレターゲットは絵に描いた餅だ。
 マイナス金利の国債を買い入れ続けたら、銀行経営が成り立たない。三菱銀行は国債引き受けの特権を返上するようだ。有利な条件で引き受けができるが、その代わり一定量の購入義務が生ずるからだ。邦銀は国債買い入れはビジネスとして成り立たぬと判断したということ。国内債券市場が壊れてしまっている

 つまり、新規発行分も、借換債分も、とっくに国内債券市場ではもう捌けない状態にある。このペースが続けば、あと2年で日銀保有国債残高がGDPを超える。国内市場で捌けなければ国債金融市場で売却しなければならないが、そのときに金利は5~7%に暴騰するだろう。
 
日銀は国債相場の暴落によって一時的に保有国債で百兆円を超える評価損を抱えることになる。日銀の純資産は7兆円強に過ぎないから、債務超過、つまり破綻をきたす。出口戦略では買い入れた国債と国内株式を売らなければならない。そのときに株式相場がどうなるのか、想像したくない。日銀は上場株も保有している。日銀とGPIFは巨額の評価損を計上するだけでなく、実損をこうむることになる。日銀は出口戦略をとったときの損失に備えてすでに2.7兆円の引当金を積んだ。実損の出る保有株式の暴落に備えを固めているのだろう。
 日銀の破綻は財政ファイナンスができなくなるということだから、政府財政破綻が同時に起きる。歳出を税収の範囲内に強制的に減らさなければならない、財政規模を半分にするということ。

 7月参議院選挙を前にして、安倍総理は「道半ば」であるアベノミクスの「エンジンをフル回転させる」とのたまっている、共産党の志位書記長は「欠陥車のエンジンをふかしたら・・・」と言っていたが、これは共産党の主張が正しい。ブレーキのない車のエンジンをフル回転させたら、クラッシュすることになる。

 アベノミクスと日銀による財政ファイナンスはそうした危ない橋を渡るものだ。50年も前の米国マクロ経済学が少子高齢化社会を迎えている日本に有効であるわけがないのだが、そんなこともわからぬくらい度を越した「経済音痴」が首相の座について、国会議員のだれも猫の首に鈴がつけられない。
 日本は健全な保守主義を目指すべきで、50年も前の米国マクロ経済学を振り回すような首相は国会議員が政権内部からクーデターを起こして取り除くべきだ。江戸時代なら家臣たちが殿様を「座敷牢へ押し込め」、代替わりを謀る。

 
看板を架け替えた民進党が政権を奪取しても、財政規模は縮小できないことは証明済みだから、なにをどうしても赤字国債の乱発をもうとめることはできないというのが現実である。

 そういうわけでソフトランディングはもうできないから、大破綻が生じた後で、日本の伝統的な価値観に基づく経済学をベースにして、30年をかけてゆっくりと仕組みを根底から変えたらいい。そのための処方箋とベースとすべき経済学については、昨年1月に弊ブログ「資本論と21世紀の経済学」のカテゴリーに書き溜めてある。


 
日銀がどれほどの損失を出し、日本経済や為替相場がどうなるか、公務員がどうなるか、年金がどうなるかについてはすでに書いたので、過去ログをググってご覧いただきたい。
 結論だけ箇条書きにして並べておく。

■ 公務員半数削減
■ 公務員給与50%カット
■ 年金支給額半減
■ ほとんどの地方自治体が破綻 
■ 補助金打ち切りによる国公立病院の一斉破綻
■ 公共事業はメンテナンスのみ、土木建設関連企業の経営破綻
■ 預金封鎖と預金没収、新円切り替え
■ 株の暴落
■ 債券相場の暴落
■ 失業者の爆発的な増大
■ 万人単位で餓死者がでる
■ 為替相場の乱高下
■ 企業倒産増大
■ ...

 こういう時代は、そんなに長くは続かない、長期にわたって人口減少が続くので土地は余るし住宅も余る。だから、自給自足が可能になる。日本の伝統的な価値観に回帰して、経済の仕組みを根本から変えるチャンスが訪れる。少子高齢化社会へ突入してしまった日本が世界に先駆けてお手本を示せばよい。
 海外から生産拠点を取り戻し、強い管理貿易で、小欲知足、職人仕事を基本とする経済社会を建設すればいい。TPPやグローバリズムに背を向けよう。未来は明るい、30年ほどかかるよ。な~に、やれるよ、心配要らない。そのために昨年1月にライフワークに手をつけた。「資本論と21世紀の経済学」というカテゴリーに、基本的なことが描いてあるから、カタストロフィーが起きてから読んでくれたらいい、きっと役に立ちます。


*#3319 安倍晋三とはどういう人か:日銀破綻リスクが浮上  June 7, 2016  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-07 


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#3279 政府債務残高は1262兆円: 国債にまつわる怪しい議論  May 3, 2016 [増え続ける国債残高]

 確定数値では2014年に政府債務残高は1212兆円、IMFの推計値では2016年末には1262兆円となる。GDP比では249%に達する。終戦直前のGDPに対する国債残高比率は260%だった。
(政府債務残高には地方自治体の債務も含まれている。国債や地方債の他に短期証券や借入金がある)
*日本政府債務残高の推移
http://ecodb.net/country/JP/imf_ggxwd.html

 巷には、国債残高は国民にとっては資産の増加だから、政府の借金の増大は国民の資産の増加で、マクロ経済学的にはまったく問題がないとのたまう者がうようよいる。

 こんな幼稚な議論にだまされぬように、自分の頭でよく考えてみてもらいたい。
 年収500万円のあなたが豪邸を建てたくて1.25億円の借金をしたと仮定しよう。
(実際には年収500万円の借り手に銀行が1.25億円の融資はしない、住宅ローンの融資審査がある。)
 建った家は実に住み心地がいいが、借金返済はどうするのだろう?返済不可能で、自己破産必定である。
 そこへ、誰かが「あなたの借金は銀行の貸付債権であるから、借金をいくら増やしても何も問題はない」とささやいたら、あなたはどう反応するだろうか?
 借金は連帯保証の判をついた息子と娘、そして孫が支払うことになる。

 「政府国債残高の増大は政府債務の増大であると同時に、それを購入した国民や金融機関の債権の増大だから、何の問題もない」、そういうことをいう、会計学者はこの国にも世界中のどこを探しても一人もいない。
 そういうことを言う者は、簿記や会計学に無知なマクロ経済学者や会計学や経済学に無知なほんの一握りの評論家に限定されている。まともな、経済学者や評論家はそういう議論はしない。

 政府というものは元々無責任である。首が回らなくなるときには自分が政権の座についているわけではないから、無責任にいくらでも借金を増やす。借金をして使った人たちは、借金返済に責任を持たぬ。借金返済するのは、ずっと後になって政権を担う人たちだが、その前に破綻すれば借金をゼロ(国民が保有する国債は紙切れと化す)にリセットできる、それが財務省の描いているシナリオだろう。無責任の極みだ。

 ほんとうは富士山の大噴火や、首都圏で直下型の大地震が起きたとき、原子力発電所がメルトスルーを起こして放射能がばら撒かれたとき、それらの大災害の後の復興資金としてお金を貯めておかなければならないのに、膨大な借金を平気で積み上げ続けるのは狂気の沙汰としか言いようがない。

 北海道東部では四百年に一度の大地震と20-30mの大津波(5500年間で15回の大津波が来襲した、これが地層調査から判明した事実である)の危険期間にすでに突入しているし、首都圏直下型の地震も1923年の関東大震災から93年が過ぎて、60年周期を30年も過ぎて大きなエネルギーが蓄積されてしまっている。東南海大地震は明日起きても不思議ではない。
 日本列島は地震と火山噴火による災害を繰り返している。むしろ自然災害が起きるのが常態である。日本列島に住んでいる限り、いつでも、どこでも大災害に見舞われる危険と隣り合わせに生活しているということだ。

 そういう自然大災害に備えて、お金を蓄積すべきなのに、1200兆円を超える借金を政府が積み上げてしまっている。政府が借金を返済できなくなれば、国民や金融機関や日銀が保有している膨大な国債は紙切れと貸す。そういう経験を日本人は終戦後にしているが、次の世代に伝え損なったようだ。
 巷に流布している「国債の増加は国民の資産の増加であるから問題ない」という、たわごとを信じたら、いつか終戦直後に起きたことが再び起きる。

 何がきっかけで、いつそうなるかは、経済学が経験科学である限り、誰にもわからない。経済学者も財政学者も評論家も、ことが起きてから以前から知っていたかのごとく「理路整然」としたり顔で解説するだろう。

 ここからが結論である。7月には参議院選挙がある。わたしたちはどういう国を創りたいのか、それを選挙の争点にしなければならない。災害に備えて資金を蓄積する国にするのか、借金を増やし続けて財務省のシナリオどおりに、一気にリセット(国債が紙切れと化す)してしまう未来へ進み続けるのかという選択である。
 少子高齢化が加速し、人口はすでに長期減少時代に入っているから、国民所得は逓減していく。いま国の未来に関わるビジョンが問われている、子どもたちや孫たちのために、わたしたちはどういう国を創るのか?
 わたしは健全な保守主義がよいと思っている。グローバリズムのTPPには反対である。どういう経済社会がいいかというと、強い管理貿易で生産拠点を国内に取り戻し、職人仕事を大事にする経済社会である。「労働からの解放を」希求するマルクスの『資本論』とは公理公準が異なる。すでに、「資本論と21世紀の経済学」カテゴリーで書いた。


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#2657 十年物国債買い手つかず(2):幸田真音さんの論  Apr. 24, 2014 [増え続ける国債残高]

 クリスマスの頃にバケツで作った氷のオブジェ(80kgくらい)は日陰に置いたせいかずいぶん長持ちしたが、あと20cmくらいで消えてしまいそうだ。最低気温もこの数日はプラスに転じた。極東の町にも春が来ている。
(一昨日、全国学力テストが行われたが、公民をやっている中3年生や高校生は経済の勉強をするのもいいだろう。材料を挙げるから、自分の頭で考えてごらん。地頭で考えるトレーニングのつもりでいい。)

 4/23のNHKラジオ「ビジネス展望」から。
 幸田真音は言わずと知れた女性作家(1951年生まれ)であるが、米国系銀行や証券会社で債権ディラーの経験の持主だ。作品には金融関係を題材とする小説が多い。その彼女が4月14日の国債に買い手がつかなかったことをとりあげて論じている。ディラー業務経験を活かしたユニークな意見に耳を傾けたい。

 まずは4/14の20時に配信された日経新聞のwebニュースを見てみたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC14013_U4A410C1EE8000/
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新発10年物国債の取引成立せず 13年ぶり、日銀買い入れが影響


 14日の債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の取引が成立しなかった。1日を通して取引が成立しなかったのは、2000年12月26日以来約13年ぶりという異例な事態だ。日銀が量的・質的金融緩和の一環として市場から大量に国債を買い入れる結果、市場参加者同士の売買が細る流動性の低下を反映している。

 長期金利は前週に0.605%に低下。14日は節目の0.6%を下回るかが焦点だったが、ある大手証券のディーラーは「取引しようにも上司の決裁がもらえない状態」と打ち明けた。商いが細っているうえ、来週は消費者物価指数など重要統計の発表を控えており相場が動く可能性があったためだ。

 日銀の異次元緩和の影響も大きい。日銀が国債の発行額の約7割を買い入れており、市場における国債の取引量の低下につながっている。ソシエテジェネラル証券の島本幸治東京支店長は「表面的には金利は低位安定して見えるが、市場機能は弱っていて、ショックがあれば金利は急騰しかねない」との懸念を示す。
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  ニュースを見て事実関係を把握したら、次は幸田さんの意見を聞いてみよう。以下は「ビジネス展望」での彼女の論。

 国債市場は国の信頼を表す市場であり、10年物国債金利はそのまま日本の長期金利となっている。景気や物価動向を現す重要な指標であるが、その10年物国債に買い手がつかなかった。日本で市場で長期金利が決まらないという異常な事態が起きている。国債市場は機能不全に陥っている。

 国債相場は金利を日銀が0.6%に抑えたまま異次元の金融緩和を継続して「日銀の管理相場」になっている。すでに新規発行額の7割を日銀が購入している。メガバンクは国債入札に参加してもすぐに日銀へ転売するだけ。
 国債を誰がどれくらい保有しているか見てみると、

  銀行と郵貯      40%
  保険会社と簡保   20%
  日銀          20%
  年金基金       10%
  個人                2%
  海外             8%
  
  日銀保有国債残高 2013年度末 183兆円
                       2012年度末 115兆円

 幸田さんは元ディラーらしいことを言っている。日銀が7割を購入している姿を「三人マージャン」と評しているのだ。マージャンは元々4人でやるものだが、一人抜けて3人マージャンとなっている。その抜けた一人とは証券会社である。発行元の財務省と入札業務や決済を行う日銀、そして入札に参加するメガバンク、流通市場で売買する証券会社の4人がそろってこそ本来のマージャンである。
 感度のよい老練なプレーヤーが市場から消えることで、市場で異常事態が起きても市場が反応できなくなりつつある。債権相場が3秒間で国債が1円も下がったことがあるが、市場は反応できなかったという。
 財務省のファイナンス目的で市場の国有化が起きている。しかし、日銀が永遠に買い続けられるはずがない。
 理由は日銀のバランスシートを見ればわかる。日銀の貸借対照表の資産はすでにGDPの50%になっており、異常に保有資産が肥大化している。
 米国FRBと欧州銀行(ECB)そして英国中央銀行(Bank of England)のバランスシートはGDPの23~26%であるから、それらと比較しても日銀はすでに2倍の対GDP比率だ

 2013年度末には政府の借金は1018兆円(国債850兆円、借入金55兆円、政府短期証券114兆円)であるが、これが2014年度末には125兆円増えて1143兆円になる
 (2012年度のGDPは476兆円)

 10年物国債に買い手がつかなかったということは日本の長期金利が機能不全になっているということ。
 幸田さんはディラーをしていたときに銀行間over night取引で金利が10%に跳ね上がったことがあるし、国債金利相場も8%を超えたことがあるという。
 熟練の技術者が市場から消えてしまえば、こうした緊急事態に市場が対応できず、大損害が発生するリスクが大きくなりかねない。老練なディラーがいれば、金利が暴騰したら、即買い入れを行うとか、売り浴びせるという市場の反応があればリスクは小さくなるが、反応がなければそのままずるずると行きかねない。相場の振幅が大きくなってしまう。異常気象のような事態が国債相場や長期金利市場で起きるということ。

 アベノミクスの異次元の量的緩和策には出口戦略がなく、いずれこうしたクラッシュに遭遇せざるをえなくなるだろう、ここまでが幸田真音さんの論である。

 国債発行残高に対する日銀のシェアは2013年度末に20%、2014年度末には25%、2015年度末には30%になりそうだ。このままでは2020年には50%近くになってしまう。発行残高を1200兆円と假定すると600兆円である。その頃にはGDPは30兆円ほど減少しているから、国債以外の資産も含めると日銀のバランスシートはGDPの150%前後になっている。
 FRB、EUB、BOEが23~26%なのに、日銀のバランスシートが対GDP比150%にも膨らむ前に日銀に対する国際的な信任が崩れるから、日銀は国債購入を止めなければならなくなる。そうなれば長期金利が上がり、発行済みの国債は暴落する。スペインでは国債金利が7%にまでハネ上がった。日銀には出口戦略がない。
 3年くらいしか時間的な余裕がないだろう。

 アベノミクスの異次元の量的緩和策の出口には長期金利の暴騰と円の暴落そして財政破綻が待ち受けているようにみえる。

―余談―
 生産年齢人口(15~64歳)の推移をご覧戴きたい。
http://www.bowlgraphics.net/tsutagra/03/

 2000年 8622万人(100.0%)
 2010年 8128       (94.3%)
 2020年 7367       (85.4%)
 2030年 6740       (78.2%)
 2040年 5734       (66.5%)
 2050年 4930       (57.2%)

 2000年を基準としていまから26年後(1世代)を測ると、
  5734÷8622=66.5%

 名目GDPも同じくらいの割合で減少するとしたら、
 510兆円×66.5%=339兆円
*GDPの推移(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%86%85%E7%B7%8F%E7%94%9F%E7%94%A3

 経済成長路線は長期的な生産年齢人口減少を無視したイリュージョンである。安倍首相と黒田日銀総裁そして財務省はイリュージョンを追いかけているように見える。そして彼らには出口戦略がないからクラッシュするしかないのだろう。もう出口戦略の選択肢が見出せないほど追い込まれてしまっている。


*#2654 十年物国債買い手つかず(1):なんだかおかしいマスコミ報道 Apr. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22-1


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―余談-2―
 右往左往する必要はない、日本がとるべき道はある。それはグローバリズムとも経済成長路線とも違う、違うどころかベクトルが真逆だ。先進国の住民の中で欲望をコントロールできる可能性のある日本人だけがなしうることがある。日本人の伝統的な仕事観に基く経済社会を創造することで、マルクス『資本論』の無限に欲望の増殖する経済社会とは反対の小欲知足の経済社会を実現することである。大きな舵を切るチャンスだと思えばいい。

*#2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-30-1

 #2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-06

 #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13



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#2654 十年物国債買い手つかず(1):なんだかおかしいマスコミ報道 Apr. 22, 2014 [増え続ける国債残高]

 先週4月14日月曜日に売り出された10年もの国債に一件も買い手がつかなかったという。15日付けの北海道新聞をあらためてみたが、記事はない。テレビでもとりあげられていない。関心が薄いということだろう。
 でもこんなに重大なニュースを新聞もテレビもほとんど取り上げないというのはおかしな感じがする。
 日銀黒田総裁の異次元緩和と国債買い入れ継続発言はいろんな媒体で報じられるのに、10年もの国債に市場で買い手がつかなかったニュースは流れない。

 国債市場は壊れてしまっている。否、壊れてしまったのではなく、安倍政権と黒田日銀総裁が壊したのである。金利上昇による国債発行抑制機能はとっくに失われている。
 長期金利市場が崩壊し、実態は日銀の管理相場になっており、0.6%の金利では市場にもう引き受け手がないことが明らかになった。四月だけで済めばいいが、五月以降も買い手のつかぬ月が出てきたら・・・、楽観論が消えてなくなるだろう。
 メガバンクも証券会社も国債購入をストップしてしまった。もちろん国債相場の暴落リスクを避けるためである。メガバンクは外債購入へシフトし、日本国債暴落や円安進行によるリスクをヘッジしている。

 この30年間を眺めると、10年もの長期金利はオーバナイト取引では年利換算8%をつけたこともあるから、金利が上がれば国債発行は縮小せざるをえなかった。それが金利の国債発行量の調節作用である。日銀が「異次元の金融緩和」を継続して調節機能を決定的に壊してしまった。出口戦略が語られることはなく、八方塞(ふさがり)。異次元の金融緩和といいつつ、その実態は金利を低く抑え国債を買い入れることによる政府へのファイナンスである。日銀の独立性なんてとっくにない。

 日本国債の買い手を国内で探すのはむずかしいし、こんなに金利が低く暴落リスクの高い国債は国際金融市場でも見向きもされない。だから日銀が買い入れている。すでにGDPの半分にまで日銀資産が膨れ上がっている。欧米の2倍で、こんな国は日本だけ。異次元金融緩和は、ネズミの集団が岸壁へ向かって暴走しているようなもの。

 22日のNHKラジオ番組「ビジネス展望」(10分間)で幸田真音(こうだまいん)が解説しているので、この記事の続編で紹介したい。具体的な数字をあげて論じているので、賢明な読者はそれらをみてから自分の頭で考えてもらいたい。「利害関係人」の主張にはご用心。

<海外への大盤振る舞い>
 安倍政権は財政破綻寸前のウクライナ暫定政府へ1500億円の援助を決定した。海外へ行くたびに1000~2000億円の援助を約束している。自分国の懐と相談したらこんな大判振る舞いは慎むべきだ。このままでは安倍政権が終わったときには膨大な借金が残ることになるだろう。
 今年度末には国債残高と借入金や政府短期証券の合計額が125兆円増えて1134兆円になる。
消費税を上げてもこんなに借金の額が増えるのでは話が違うではないか。政府財政の破綻、日銀への不信任の日が近づいている。

<2013年度貿易収支赤字学は過去最大:構造変化を直視せよ>
 昨日北海道新聞夕刊に2013年度の貿易赤字額が過去最高の13.7兆円(これまでは2012年度の8.1兆円が最大)を記録したと報じている。初の3年連続赤字で、日本は人口減少に伴う経済縮小の時代に突入しGDPも下がり続けることになるのだろう。貿易収支の赤字は一時的な現象ではなく構造的な変化を反映している。そうした構造変化を素直に認め、それに見合った経済政策を立案・実行すべきなのだが、安倍政権はいまだに成長路線の幻影を追い続けて政策選択を誤っている。ろくでもない経済学者が周辺にいるのだろう。

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*#2657 十年物国債買い手つかず(2):幸田真音さんの論  Apr. 24, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-24

 #2654 十年物国債買い手つかず(1):なんだかおかしいマスコミ報道 Apr. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22-1


 #2645 生産年齢人口の長期的な減少は何をもたらすか Apr. 16, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-16

 #2636 日銀手詰まり⇒国債暴落⇒円相場大暴落の可能性アリ:浜矩子 Apr. 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-07-1

 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21-2

 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
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 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
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 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
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 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
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  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2237 過剰富裕化論提唱者の福島原発事故処理構想:遺稿 Mar. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-04

 
#2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 [増え続ける国債残高]

<山田久氏の論点は5つ>
 (株)日本総研調査部長の山田久が今朝のNHKラジオ「ビジネス展望」でアベノミクスについて次のようなことを言っていた。

①三本の矢のうち、量的金融緩和と公共投資は予定通り
②成長戦略は結果が出ていない
③株価は上がり、高級品が売れるようにはなった
④政労使の協議は画期的だが、持続的な賃上げこそが課題で効果は疑問
⑤円安・物価上昇はいずれ金利上昇を招く
⑥長期金利が上がれば政府財政は金利負担で破綻する

<「三本の矢」の目的>
 三本の矢の目的は、日本経済の持続的成長である。それはGDP成長率、所得の持続的増大、消費の拡大などさまざまな経済指標に現れるが、どうだろう。

<量的緩和とゼロ金利で約30%の円安が現出しインフレ加速中>
 昨年10月末は80.0円/$だったが、先週末(12月6日)は103.11円/$で、28.9%も円安になっているから、輸入物価が上昇しインフレ2%のターゲットを軽く超えそうである。ユーロは141.33円/€だからドルよりも円安になっている。
 円安は国力の衰えを現すもので、一般国民には物価を押し上げるだけ。デメリットだらけなのである。日本経済が病人になればいくらでも円安になるが、現政権がどうしてこんなことを喜ぶのかわからぬ。

<財政問題は改善したのか?>
 他方、財政問題は改善の兆しが見えたのだろうか?
 日銀の政府国債保有残高は11月末で137.5兆円*である。数日前に日銀黒田総裁が今年度末の国債保有残高は140兆円、来年度末には190兆円と公表しているから、新規国債増発分のほとんどを日銀が買い入れるつもりのようだ。
*日銀が保有する国債の銘柄別残高⇒11月29日現在の残高を集計した
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/

 裏を返すと、市中銀行には売れない状況があると日銀が判断している。大手都市銀行は期間の長い長期国債を買わない、国債暴落による巨額損失リスクを避けるために数年物の短期国債にシフトしてしまっている。それゆえ、日銀だけがそのリスクを一身に負う形になっている。このままでは毎年50兆円ずつ日銀の国債保有高が増えていく計算になる。国際通貨としての円の信頼性が揺れ動き始めた。
 政府が1000兆円もの国債を抱えているのだから、日銀が200兆円の国債を抱えて長期金利高騰で10~50兆円の損失を出しても微々たるものだし、そういう事態になったときは政府財政が破綻して混乱のさなかだから、日銀の損失が大きな問題にはならないというのが黒田氏の本音だろう。

 長期金利は0.6%が下限で、インフレによって反転が予想される。しかし、政府の財政破綻を防ぐためには、ゼロ金利政策と政府国債の日銀直接買い入れを続けざるをえない。日銀がゼロ金利政策をやめるとか、国債直接買い入れをやめたら、政府財政はすぐに破綻する。だれだって自分が破綻の引き金を引くのはいやなのだ、もちろん黒田総裁も例外ではない。そうして責任者たちが医療・年金・社会保障・財政問題を先延ばししているうちに単なる破綻が大破綻に化けてしまった。

<内容を見たら一時しのぎのイージーな政策>
 アベノミクスの二本の矢によってデフレからインフレへと基調を変えたことは事実だろう。それは古い自民党の政策の踏襲でもあった。「異次元の量的緩和」と「財政出動」は一時しのぎの策であり、いつまでも続けられるものではない
 いわば崖に向かって走っているようなもので、際限のない円安とインフレによる長期金利上昇で日本の財政は確実に破綻することになる。
 手の打てるうちにまっとうな手を打たずに、ゼロ金利と予算膨張を続けたら、選択肢をなくして財政破綻するのはあたりまえだ。すでに時期がすぎ、問題の先送しかできないところにいる。

<経済指標はどうなっている?>
 成長路線の重要な指標の一つは貿易収支だろう。貿易収支の推移を四半期ベースで見ると、2011年第一四半期からずっと赤字が続いており、期を追うごとにその幅が拡大しているようにみえる。2013年上半期の貿易赤字は4.9兆円と最大を記録した。輸入が輸出を大きく上回っているのである。経常収支の黒字も風前の灯である。
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<時事ドットコムより>
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_bop-balance

財務省が8日発表した2013年上期(1~6月)の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額は、前年同期比0.6%増の3兆2114億円だった。上期の経常黒字額としては、現行統計で比較可能な192じ85年度以降で過去最少となった12年上期を193億円上回り、過去2番目の低さとなった。
---------------------------------------

 これを書いている最中にテレビの正午のニュースで10月の国際収支が報じられた。要点は次の5つ。
(1)経常収支が1279億円の赤字(9ヶ月ぶり)
(2)貿易収支は1兆919億円の赤字(10月としては過去最大)
(3)サービス収支は1兆4055億円の赤字
(4)資本収支は1兆3615億円の黒字、前年比9.1%増
(5)年率換算の経済成長率も1.9%から0.8%下方修正され1.1%となった

<日本は時代の大転換点にある>
 縄文時代以来1.2万年の歴史をもつ日本だが、歴史上初めて人口縮小時代入ってしまって、日本経済は構造的な転換期に突入してしまった。
 全国の空き家はすでに14%に達し、十年後には2倍になりそうだ。こういう時代に高度成長期の成長路線を求めるのはあまりにオツムが硬くて滑稽ですらある

 自由貿易と称するブロック経済(TPP)も感心しない、それは圏外の国々を排除することになるからだ。先の世界大戦の原因はブロック経済であるから、日本はそのような動きに加担してはならぬというのは歴史の教訓の一つだろう。マレーシアのマハティール元首相もその弊害を声高に叫んで、「TPPは再び植民地化を招く」と日本へ忠告している。#2385をお読みいただきたい。

<時代の転換点にふさわしい経済社会を創ろう>
 強い管理貿易(鎖国)で日本に雇用を生み出せばいい。ビジョンをつくり、国民の総意を形成すればいい、やろうと思えば日本ならできるし世界中でこんなことをやって見せることができるのは日本だけだ。2000年前から日本は神々の総意で国造りをしてきた文化と伝統の国である。日本人が世界に貢献できる大きな仕事が目の前にある。
  比較生産費説に基く国際分業を提唱したのはリカード『経済学及び課税の原理』であり、グローバリズムはそういう方向に向かって驀進している。生産拠点は日本から韓国や中国、そしてベトナムやミャンマー、次にはインドへ、最終的にはアフリカへと移動するのだろう。生産力が強大になった現代では、工業製品は特定の地域で全世界の消費量を生産することが可能である。それは他の国から雇用が奪われることを意味する。
 比較生産費説にもとづく経済は根本的に大きな問題=失業を抱えている。この欠陥を取り除くためには、貿易を制限するしかない。自国で生産できるものはコストが高くても自国で作る、自国で生産できないものを輸入することを基本にすればいい。

<職人主義経済>
 日本は事務仕事まで含めてあらゆる職が職人仕事である。職人仕事を大事にして「足るを知る」穏やかな経済社会を創り上げることができる。わたしは日本の伝統的な仕事観にもとづく経済社会を「職人仕事主義経済」と呼ぶ。もちろん、マルクスの「単純労働」にもとづく「共産主義経済」や「資本主義経済」とは原理を異にする経済社会である。
 「労働」は苦役というイメージがまとわりつく。日本人の感覚では仕事は神聖なものだから、「働く」とか「仕事する」とは言っても「労働する」とは言わない。労働と仕事することは違うからである。職人主義経済社会、日本がそういう経済社会を具現して見せればいい。


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*#2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 



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#2190 若い人の雇用機会を奪う高齢者雇用安定化法改正: Jan. 30, 2013 [増え続ける国債残高]

 60歳定年の会社が多いと思うが、65歳まで雇用を義務付けたのが今回の改正である。
 おおよそ500万人くらいの高齢者の雇用が保証される。その分、若い人たちの雇用機会が奪われることになるのだろう。

 どうしてこんなことになったのだろう?
 そもそも雇用延長のニーズは年金受給開始年齢の引き上げによって生まれた。60歳から年金を支払うと年金資金の枯渇がハッキリしたからだ。足りない分を歳出を増やして補填できないから、年金受給開始年齢の引き上げが決まった。
 5年間の無収入期間ができるので、穴埋めのために雇用期間延長が図られた。それでなくても若者の就職氷河期はもう10年以上続いているのに、これ以上若者の雇用機会を奪ってどうする?
 若者に職を譲ろう。

 新卒後5年間も正社員の職につけなければ、キャリアを積むことができないから、学校を卒業後、正規社員の職に就けなかったほとんどの人が一生涯、非正規社員の低賃金に甘んじなければならなくなる。22歳の若者なら65歳まで43年間ある。
 高齢者がガマンしてもたった5年間である。若者の43年間と引き換えにはできないと思うのが人の情だろう。

 非正規雇用を増やしたお陰で、一部上場企業は利益を増やした。「人件費カット=利益増大」というイージな等式に目がくらんでいるのが現在の多くの経営者だ。役員報酬はこの10年間で2倍になったが、一人当たり人件費は10%以上少なくなった。
 いまや、全世帯の3割が預貯金ゼロだから、生活保護世帯の激増が予測される。
 人口減に伴いGDPは低下し始めている。貿易収支も一昨年は2.4兆円の赤字、昨年は7兆円の史上最大の赤字を記録した。2015年には経常収支の赤字予測がではじめている。年間10兆円規模で貿易赤字が出ると海外から資金調達をしなければならなくなり、金利は暴騰し、日本の国家財政は破綻を迎える。

 自民党は野放図な公共事業で歳出を増やして借金の山を築いた。その後民主党政権になっても借金の山が小さくなるどころか借金の増え方が加速した。そしてまた自民党政権だが、まるでブレーキを失ったかのように新規国債発行額が増えていく。

 真正面から問題に取り組まず、借金を増やしていたずらに予算規模を拡大してきた。こんなことをやっているから、泥縄式に若者達にしわ寄せがいくようなとんでもない事態を引き起こしてしまった。
 問題を先送りし、使うにいいだけ予算を使い、借金の山を子供たちや孫達の世代に残す。好い加減にしよう。

 歳入に見合う歳出に切り詰めよう。借金の山を1円たりとも増やさないという覚悟をもたなければならない。どんな理屈もいらぬ、歳入の範囲しか歳出をしないと決めることだ。10年間それでやってみたらいい。どんなに苦しくとも歳入の範囲内でやり、ガマンしぬく。みんながそう固く決意すれば世の中は変えられる。


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