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#3573 未知の定理の予想と数学の感覚 Aug. 3, 2017 [数学のセンス]

  午前7時の気温は12.5度、寒い、床暖房をいれた。今朝は根室が日本で一番寒かったのではないか。

  前回#3572の記事で、高校2年生から質問のあった夏休み宿題問題を紹介した。目を通していただけたら、話の全体が見渡しやすい。問題のみ採録しておきます。

  三角形の各辺の中点座標がそれぞれ (-1, -1)  (0, 1) (2, -2) であるとき、元の三角形の頂点の座標を求めよ。

  この問題が作図によって1分で解けることはすでに解説した。作図によって解くときに、ある予想を立てていることに気がついた人がいるのではないか。
  それは、「三角形の中点座標が格子点(xy座標がともに整数)であれば、元の三角形の頂点も格子点となる」という定理が存在するのではないかという予想である。この予想が真なら、平行定規を使ってメモリ1cmで作図をすれば各頂点が格子点となって求められるはず、実際に作図するとたしかにそうなっていた。
  証明は簡単である。三角形ABCの辺の中点をそれぞれLMNとすると、△ALNを辺AB上にスライドさせ、頂点Aを点Lに重ねると△ALNと△LBMは合同になる。LとMは格子点だからBも格子点となる。Cについても同じことが言える。以上から△ALNの頂点も格子点であることは明らか。図形の移動だけでこの定理の成り立つことが確認できる。

  こういう操作を頭の中でやるトレーニングは数学の学力を伸ばすうえで重要に思える。いつでもどこでも、暇なときに頭の中から数学の問題を取り出して図形イメージを操作できる。図形を頭の中で操作するのは、普段のトレーニングでしだいに可能になる。
  個人的な事情を説明しておきたい。家業がビリヤード店だったので幼稚園のころから夢中になってやっていた。夢中になるから、興奮して寝るときに頭の中にビリヤード台と赤と白のボールが出てきて、脳の創り出したイメージでゲームができるようになる。大人だって熱中しやすい人はそうなるから、わたしが特別だったわけではない。ご飯を食べながら無意識にレストを作り箸を指の間に通して茶碗を突っついてひっくり返してしまったという大人は何人かいた。人は似たようなことをやるものだ。頭の中でビリヤードをすることでそういう脳内のイメージ操作を小学生の時には身に着けてしまっていた。新しい技も頭の中でシミュレーションして、それを実際にビリヤード台で試してみる、そういう作業を無限に繰り返していた。脳内のイメージ通りに動かすには、あくなき工夫と試行が必要で、なかなかむずかしい。
  遊びへの熱中は、集中力を上げることで脳の発達を強力に促す効果があるようで、「よく遊びよく学べ」という俚諺(りげん:民間で言い習わされていることわざ)は真理を説いている。ここでも順序が大切で、よく遊ばない人はよく学べない。小寺さんがバドの指導の学力への効果を説いておられるが、その通りだと思う。

*小寺さんのブログのURL
(探せばバドについての記事が何本か見つかります。弊ブログのコメント欄でも何度かバドクラブいついて投稿してくれていますから、そちらを検索してもでてきます。
)
http://blog.goo.ne.jp/tsuguo-kodera?fm=rss

  個別指導では、生徒がどのような問題集や参考書のどこ、あるいは学校でもらったプリントのどの問題をやっているかわからない。何をもってきてもよいし、わからない問題があれば随時質問してよい、予習してきてわからないところの質問もよい、そういうルールになっている。生徒たちは自分の学力に応じた難易度の問題集を使っている。できる生徒もいるし、数学や英語がとっても苦手の生徒もいるから、同じ教材を使えない。
(部活の遠征や病気で欠席した場合には、個別に学校の授業の補講もやる。時間は学校の1/5以下で済む。予習中心で学習している生徒は既習だから、学校を休んだ場合でも問題が生じない。昨年は剥離骨折で札幌の病院で手術して3週間ほど休んだ生徒が、「予習方式で数学の勉強していてよかった」と言っていた。塾で既習だったから不安がなかったとうれしそうな顔。)

  数学の問題を解くには、どういうアプローチの仕方をするのか、質問をとりあげて実演できるところが個別指導の利点である。複数のアプローチのしかた、二つか三つに絞って考え比較してみる。こういうことは生徒が座礁してしまった問題をとりあげてやってみせるのが一番よい。なぜ座礁してしまったのか、乗り上げてしまった岩礁から船を切り離すにはどうしたらいいのか、その方法の実際をライブ授業で確認していく。
  中点連結定理から格子点に関する派生定理の成立を予想したが、質問をするたびにそういう予想派生一般化が数学的思考の土台をなしていることに生徒たちは徐々に気が付き始める。個別指導での数学の授業はそうした数学的思考や試行トレーニングを兼ねている。生徒たちの知的好奇心をくすぐり、数学的思考を体験として刷り込むためだ。

 「これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」(『論語』)

  そういう境地へ生徒をいざなう授業が10回に一度でもできたら幸いである。こういう個別指導授業は1クラス10人ぐらいがわたしの体力の限界だ。実際には余裕をもたせて1クラス7人以下にしている。

*#3572 幾何:この問題を 1分で解くにはどうすればいい? Aug. 2, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02-1

 
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