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#3531 生徒の質問:学力テスト数学問題 Apr. 13, 2017 [数学]

  中学校の学力テストが今日(4/13)実施された。中3の生徒が問題用紙をもってきて、「最後の問題がさっぱりわからなかったので解説してほしい」と要求がありました。面白い問題なので紹介します。

 大問6: 右の図で、Oは原点、2点ABの座標はそれぞれ(3, 9)、(9,3)です。また、点PQはそれぞれ線分OA、AB上にあり、AP:OP=1:2とします。下の問いに答えなさい。
 問1:四角形POBQが台形となるとき、直線PQの式を求めなさい。
 問2:四角形POBQの面積が△APQの面積の5倍になるとき、点Qの座標を求めなさい。

 このテキストエディタでは図が描けないので、各自描いてみてください。
 質問した生徒は問1は簡単に解いています、問2がどうやったらいいのかさっぱりわからなかったそうです。

 問題を黒板に写しながら、条件を整理します。△AOBの面積は計算可能ですが、計算はせずに攻略の道筋をつけることを優先します。
 条件から△AOBの面積の1/6が△APQです。ではAB上のどこにQ点を取ればいいのかということになります。そこで別の条件との組み合わせをやってみます。AP:PO=1:2ですから、APを底辺とするとAOの1/3、ここまで整理してピンときました。高さが半分になれば△APQの面積は△AOBの1/6になります。
 問題を言い換えると、線分ABの中点座標Qを求めよという問題なのです。そのことに気が付くのは数学のセンスの良い生徒です。この種の問題をやったことがあれば解くのは簡単ですが、初めてのタイプだったら案外解けません。同種問題なら次回以降はこの生徒には楽勝です。初見のタイプの問題にもなんとか工夫して時間内に解き切ってほしいと思います。
 問題を解くカギは問題文に示された条件すべてを利用すること

<3項問題>
 高2の生徒が二項定理の章の予習をやっていました。

   (a+b)^n=nCoa^n + nC1a^(n-1) b + nC2a^(n-2) b^2 + ・・・+ nCra^(n-r)b^r + ・・・+ nCnb^n

 二項定理の問題をやり終わった後に三項問題に進んで質問がありました。公式の利用の仕方がわからないというので、具体的に計算して見せるだけです。

 問: (1+2a-3b)^7  の a^2b^3の項の係数を求めよ

 利用する公式は、
      分子:  n!       a^p b^qc^r
      分母:  p!q!r!
        ・・・p+q+r=n
 この式に代入すればいいだけで、あとは計算力の問題。かっこの中の文字にはそれぞれ係数がついているのでそこだけ注意すればいい。答えはー22680です。

 さて、ここからがお遊び。この公式を四項に拡張できるかと生徒に投げかけました。手間暇はかかりますがやってやれないことはないでしょう。宿題にしました。(a+b+c+d)^5 で試してみたらいいのです。a+b=s、s+d=tとして(s+t)^5を計算し、元に戻してさらに計算すればできます。
 三項の公式を二項に縮小してみたらわかりますが、OKです。

 こういうふうに、上下に「拡張」できるかどうかを「遊び」で確認するのは楽しい。三項の公式は二項でも使えることがすぐにわかります。

 こういう遊びは様々な章で見つかるでしょう。遊んでセンスを磨いてください。
 「これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」です。


#3530 ヒポクラテスの月形(中3教科書より) Apr. 13, 2017 [数学]


  中3の生徒が配られた教科書を見ていたら面白い問題を見つけたという。「数学の窓」と題して「ヒポクラテスの月形」が194ページに載っていた。数学の歴史への興味を引き立てるにはよい題材だ。
 
 教科書がない人は図を描いて確かめてもらいたい。
 円を描いて、直径を結びその両端をBCとする。半円の円周上の任意の点をAとしてBA、CAを結ぶ。AB、ACを直径とする半円を上のほうに描く。そのときに、ふたつの月形の面積の和が直角三角形ABCの面積に等しくなるが、これを証明せよと書いてあった。

  この生徒は中3の数学はすでに学び終わっており、同じ問題を中1のときにやっている。首都圏の有名私立中高一貫校の中学入試ではヒポクラテスの月形は標準問題である。40年ほど前に東京渋谷駅前の個人指導の進学塾の専任講師をしていた時には、有名私立中学受験生は全員この問題をやっていた。それくらいポピュラーなのである。中高一貫校の先生が作問するから、三平方の定理を使えば簡単に証明できるような問題を中学入試で出題する。だから、鶴亀算、相当算、植木算などの和算の知識のほかに中学数学で出てくる問題で、小学生にも解ける問題は要注意である。

 考えたけど証明がわからないというので、黒板に書いたが、ほんとうは1時間でも考え抜いて理解してもらいたい。こういう良問を独力で考え抜くことが頭脳の発達の滋養になる。

<相手を見て教える>
  学習塾の門たたく生徒は、成績中位で学力を上げたいという生徒たち、学校の授業が理解できないので成績が落ち込んでいる生徒たち、学校の授業は難易度が低すぎて物足りないという生徒たちに大雑把に分類できる。議論の都合上、成績順に第一グループ、第二グループ、第三グループと命名しておく。
 第一グループと第三グループに学校と同じ方式の集団授業は必要がないことは自明だろう。第二グループと第三グループはときに分数や少数の計算の基本に戻って教える必要があるが、学校の授業では小学校で既習済みだからほとんどの先生が授業では教えていない。
(学力テストデータを分析すれば何を教えなければならないかは一目瞭然。点数の分布については実データを弊ブログで何度もとりあげている。)
 どこの個別指導塾でも同じだろうが、ニムオロ塾では生徒一人ひとりを見て、どこが理解できていないのか判断し、必要な解説をしている。あとはひたすら問題演習である。5-10分考えても理解できなければ第一段階ではヒントをあげるだけ。それでも理解できない場合は解説をする。最初から完全解説をしてしまったら結果がよくない。自分で考えることをすぐに投げ出し、先生に質問を繰り返すことになる。そういう癖がついてしまう。毎日やることは癖になるから、悪い癖がつかないような配慮が大切だ。
 第一グループの中学生には高校数学を射程に入れた説明をガンガンやって構わない。難関私立中学受験の生徒たちには、三平方の定理を使った証明を教えてもいいのである。高校生にはヒルベルトの「幾何学基礎論」の概要と現代数学の基本を解説したほうがさまざまな数学的概念や操作の意味の理解が深まる。


幾何学基礎論 (ちくま学芸文庫)

幾何学基礎論 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: D. ヒルベルト
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 文庫


学問の体系構成や概念の展開に興味があって四〇年前に読んだのはこちらの方。内容は高校数学程度の知識で十分読めます。現代数学の枠組みを知るには不可欠の本です。この本を読んだらゲーデル「不完全性定理」も読みたくなるでしょう。ゲーデルは数理論理学の教科書レベルの知識が必要です。ニムオロ塾の塾生は中二の時に、数学syである藤原正彦「国家の品格」を音読トレーニングで読んでいるので、ゲーデルの不完全性定理の名前だけは知っています。
幾何学基礎論 (1969年)

幾何学基礎論 (1969年)

  • 作者: ヒルベルト
  • 出版社/メーカー: 清水弘文堂書房
  • 発売日: 1969
  • メディア: -



ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫)

ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫)

  • 作者: ゲーデル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/09/15
  • メディア: 文庫



#3529 東芝不正会計と原子力政策 Apr. 13, 2017 [東日本大震災&福島原発事故]


4月12日NHK朝のラジオ番組「社会の見方わたしの意見」で東芝不正会計の背景解説があったので、#3528の根室半島への原発移転対話に続いてこの話題をとりあげたい。解説者は慶応大学経済学部教授金子勝氏。

 東芝の3月末決算見込みは1兆円の純損失見込み。東芝不正会計調査委員会の調査に問題がなかったかどうかについて検証作業が必要である。
 東芝は半導体事業を分社化して売却し、資金確保をするつもりだが、日本企業が参加していない。経済産業省が企業連合方式での受け皿つくりを模索しているが、見通しがはっきりしない。半導体メモリー技術の流出が懸念されている。こういう産業基盤を支える重要技術が流出すると日本の電機メーカはますます競争力を失う。

<経営判断の失敗>
 もっと早く決断できていれば、センサー事業や白物家電を切り売りせずに済んだはず。原発ルネッサンスとそれに追随してきた旧経営陣の経営の失敗である。

<不正会計への道>
 不正会計に至るには四つのポイントがあった。一つ目は第一次安倍政権の時に起きた福島第一原発事故トラブルを隠して止まっていたのを再稼働させたこと。
 二つ目は2006年の米国ウェスチングハウス社買収である。2000億円の純資産に4000億円もの暖簾代をつけて高額買収してしまったこと。
 三つ目は、2001年の世界同時テロのあとに、安全基準が上がったこと。それに3基の同時メルトダウンという福島第一原発事故が追い打ちをかけ、さらに安全基準のハードルが上がったこと。WH社が受注した原発が次々に建設中止となったことにより、債務が増大し、それを隠ぺいするために不正会計がなされた。
 四つ目は、2015年にCB&I社の子会社ストーン&ウェブスター社を256億円で買収したが、7000億円の巨額債務が隠されていたこと。
 
<東芝が抱えている損失>
 現在、WH社は7125億円の評価損、米国原発の債務保証7935億円を抱えている。東芝はWH社を清算、半導体事業を分社化して売却することで1.5兆円の資金調達を行い、損失に対処しようとしている。
 
<三菱重工と日立>
 東芝だけでなく三菱重工も原発関連で巨額損失を出している。三菱重工が制作した蒸気発生器のトラブルにより、サンオレフレ原発が廃炉、7000億円の損害賠償請求訴訟を抱えている。そして日本原燃と組んで、実質倒産したフランスのアレバ社に投資を計画している。さらに、Mr ジェット機の納入延期で開発費が膨らみつつある。東芝ほどではないが原発事業からの撤退を選択肢に入れていない三菱重工も経営危機の状態にある。
 日立はGEとやったウラン濃縮事業で650億円の損失発生。英国で受注した原発建設コストが膨らんでいる。

<海外メーカは原発事業から撤退>
 このように日本の重電メーカは原発事業に執着しているが、シーメンスやGEは原発事業から撤退している。情報通信技術を使った列車運行システム、再生エネルギー、医療機器、工場設備建設に方針転換。日本の重電機メーカのみが、原発事業にのめりこんでいる。

<このままでは存続が危うい日本の重電機メーカ>
 小泉規制改革で日本の電機メーカの競争力が落ちた。このまま原発重視でいくと、日本の重電機メーカは存続が危うくなる。

<金子教授の対策案>
  原発は不良債権であるから、これを切り離して国有化し、電力会社の経営を健全化する。1990年代半ばに銀行の不良債権処理で、経営責任を曖昧にし、監督官庁が監督責任を逃れるために問題を隠し小さく見せようとする間に、問題が大きくなってしまった。あの時と全く同じ構図がいま東芝不正会計処理や原発事故処理、原発政策で起きている。
 未償却分と不足している廃炉積立金に充当する資金を国が出して、原発を電力事業から切り離すべき。そして危ない原発から廃炉していく。

<ebisuのコメント>
 東芝の米国企業買収実務は恐ろしく間が抜けており、決算書類の精査と実態調査ができてない。本社管理部門にこういう案件を扱える人材がいなかったのだろう。日本企業には米国企業買収実務をこなせる人材がほとんどいないようで、好いようにカモにされっぱなしだ。
 ebisuは一度だけナスダック上場企業を1億ドルで買収する案件を扱ったことがある。買収後の経営を担える人材が社内にいなかったので、持ち込まれた資料を抄訳し、評価を加えて買収断念の方向で稟議書を書いた。

 廃炉だけではすまぬ、もっと大きな問題は使用済み核燃料の処理と保管だ。再処理して濃縮するのに莫大なお金がかかる。高濃度のプルトニウムは半減期が2.3万年もある。毎年どれほどの管理費がかかるのかどこからも試算が出てない。はっきりした試算が出たら、企業会計上、それらの見積もり費用額に見合う引当金を積まなければならない。廃炉と使用済核燃料の再処理費用や保管費用を稼働期間に案分したら、とてつもない高コストであることがばれてしまう。




 


 


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