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#1891 北大学力増進会 著作権侵害事件:「覚えるよりも考える」  Apr. 5, 2012 [教育問題]

 4月4日の北海道新聞三面記事に標記の「事件」が載っていた。四つの側面から問題を論じてみたい。

 塾もある程度の規模を超えれば、私塾ではなく会社であるから、会社経営として法律違反にならぬように、管理体制や規程類を整備しなければならない。個人経営の規模が拡大すると会社経営に切り替えができず大きなトラブルを起こす事例はしばしば見受けられる。会社経営への転換が伴わずに売上拡大に成功すると命取りになるケースは案外多い。札幌学進会は会社経営の体をなしていなかったということだろう。これが第一の論点。
 労基法は守っているのだろうか?今回の不祥事を契機に、組織体制や諸規程の整備をしっかりして会社経営に切り換えるといい。上場審査基準が参考になるだろう。災い転じて福と為す、そうあってほしい。

 二番目は公的性格の強いものに私的著作権を無制限に認めてよいのかという問題である(新聞記事のブログでの利用もそのうちに入る)。問題になっている教科書は公教育の場で採用されているものである。こういうものに私的著作権を他の著作物と同様に認めることはよろしくないとわたしは考える。
 慣行上入試問題は著作権の例外になっているし、教科書の著作権の管理については2002年以降教学図書協会が管理するようになったとあるので、それ以前は慣行上認められていたのだろう。私的著作権がこのようにどんどん拡大されているのがこの十年の変化だが、こういう変化を従来の慣行と照らし合わせてどこかおかしいと思うのは当然だろう。

 三番目の問題は教科書を使った定期テスト対策に関するものである。講師が百人を超えるようなところは、いろいろな教材をそろえて授業の品質を管理せざるをえない。講師のレベルはさまざまであり、塾の規模を拡大すると品質管理上そうせざるをえなくなる。マニュアル・テスト対策教材作りに走らざるを得ない事情がある。

 四番目の問題。定期テスト対策はその地域で採用されている教科書の例文をそのまま使って問題をつくったり、過去問をやるから、テストの前にそうした問題をやった生徒が有利になるのはあたりまえで、点数アップにつながる。ここが怖いところなのだ。考えるよりも覚えることで点数が簡単にアップしてしまう。そうすると勉強のスタイルが「考えるよりも覚える」ようになってしまう。一回限りならいいがそうはならぬ、定期テストのたびに繰り返すとそれが習慣となって考える機会が少なくなってしまう。そんな状態を中学3年間と高校3年間続けたら勉強スタイルや思考パターンが「考えるよりも覚える」に固定してしまう。繰り返すことは習慣となり、習慣は本人の知らぬ間にいつか性格の一部となってしまう。
 こうした勉強スタイルを身につけてしまったら社会人になってから副作用が出る。責任が重くなった40代や50代でさらに副作用は取り返しのつかぬほどに大きくなる。仕事を任されたときにその責任の重さが大きくなればなるほど確実にアウトになる。ヒラ社員なら何の問題もないが部長や役員となったときにつぶれることになる。
 赤字の会社を任されて、あるいは赤字の部門に配属されたときに、黒字にするには正解はない。「覚える」勉強スタイルが身にしみこんだ人は十年・二十年そうしたことを繰り返したために思考パターンが固定化してしまって自分を変えられない。赤字会社という現実を前にして黒字化を考え抜くことができない。

 だから、中学生と高校生の季節は、塾で定期テスト対策などやらずに実力がつくような勉強スタイルを坦々と身につけるべきなのだ。目先の問題にとらわれて長期的な目標を見失ってはいけない。
 「近道反応」はいけない。「覚えるよりも考える」という勉強スタイルを中学生の三年間で身につけよう。手間はかかるが正直にやるのが一番いい。勉強スタイルの問題は中学三年間だけの問題ではない、一生の問題で、「覚えるよりも考える」勉強スタイルを中学時代に培った者は社会人となって大きな仕事をまかされてもたじろがない。

 中学生ならテストの2週間前からテスト勉強だ。それよりも大事なことは普段の勉強である。復習中心の勉強から予習中心の勉強に切り換えよう。それだけで効果は劇的に現れる。
 根室で十年前に塾を開いたときの最初の生徒(12月、1年生)を思い出す。数学は50点前後、英語は十点台だった。4月から予習中心の授業に切り替えたら、数学がクラストップ、半年遅れて英語もなんどもクラストップになった。その生徒はうれしそうにこう言った、「先生、塾で先にやっているか学校の授業が全部理解できるんだ」。学年トップにはなれなかったが、予習中心の勉強は絶大な効果があった。定期テスト対策などやらないほうが点数を飛躍的に上げられる、点数を上げたかったらまっとうな勉強の仕方を教える学習塾を選ぶことだ
(予習方式が効果を上げるのは生徒の三分の一だろう、当面放課後補習を繰り返し復習方式で対応しなければならない生徒は多い)
 この企業の経営者はどこかで教育を金儲けの手段に考えてしまうようになったのではないか?そのための効率追求がこういう結果を生むことになったように見える。日本には「浮利」を追ってはいけないという伝統的な商道徳がある。自制しろということだ。進学だけでなく生徒の将来を考えていまどういう勉強スタイルを培うべきなのかということに配慮すべきなのだろう。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という日本の伝統的な商道徳は奥が深く、学習塾業界にも通用する。

 根室では高校生になってから予習中心の勉強に切り替える生徒が多いが、東京では中学受験で勉強スタイルを予習中心に切り換える。そうしないと有名私立中学には合格できないからだ。
 首都圏では小学生の時期に予習中心の勉強スタイルを確立し、根室では高校生になってから一部の生徒がようやく予習中心の勉強に切り替える、学力レベルに大きな差がつくのはあたりまえだ。

 北海道のローカルな「大手進学塾」が定期テスト対策に熱心になるのは北海道の学力レベルが低いからだろう。生徒の実力はアップできないから、首都圏では通用しない戦略である。おろかでローカルな戦略にみえる。
(ネットで検索して驚いた。北大学力増進会、東北大進学会、東大進学会、・・・、この学習塾は全国組織で、地域ごとの子会社になっているようだ。そうしてみると今回の不祥事は北海道子会社のみの暴走だろうか?)
 
 こういうわけで定期テスト対策に熱心な塾はお薦めできない。定期テスト対策を繰り返すことで、「考えるよりも覚える」勉強スタイルが習慣となり、社会人となったときに大きな副作用をもたらすからである。

(ニムオロ塾では定期テスト対策は英語のみ。教科書の文例を板書して、これをさまざまに変形させたり、付加したり類似文を作成させたりするだけ。「先生、出るって言ったの出なかったよ」と生徒が不満顔をすることがあるが、それでいい。数学の定期テスト対策に教科書はまったく必要としない。理解が深くなればだれでも90点とれるのが数学のいいところだ。たまにスピードが遅くてどうしても時間が足りずに点数アップの幅が小さい生徒がいる。そういう生徒は「放課後個別補習授業」で時間を測って計算トレーニングをするしかない。「覚えるよりは考える」が塾の基本方針。)

*「某学習塾の著作権違反から垣間見える事情」ブログ情熱空間より
 
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/5359859.html

**塾教材 教科書を無断引用 札幌学進会 著作権侵害の疑い
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/362283.html

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