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#3685 事業継承への公的助成是か非か?:ジャズ喫茶サテンドール Feb. 1, 2018 [根室の過去・現在・未来]

<更新情報>
2/2朝 <余談-2:地域おこし協力隊の現状>追記

 駅前のジャズ喫茶サテンドールが3月末で閉店の予定だという。今日の北海道新聞によれば、市長は国の助成金「地域おこし協力隊」を利用して事業継承させたいと考えたようだ。3年間、年間200万円程度の助成が受けられるらしい。「ジャズを街の貴重な文化遺産ととらえ」と新聞には書いてあった。そう考える人が少なからずいるということだろう。年齢層は50-70歳代が中心だろうか。
 根室の住民がやらないものを、国の助成金を3年使ってやったところで、その後も継続できるのだろうか?東洋経済電子版が起業促進政策と「地域おこし協力隊」制度を批判している。少し長いが、お読みいただきたい。この記事は大手新聞社の釧路在住の記者がFBで紹介していたので知った。

地方は若者の「起業家」を使い捨てにしている
http://toyokeizai.net/articles/-/206712

 ジャズは一時のブームである。わたしも1960年代後半に新宿のジャズ喫茶「ピットイン」で何度か演奏を聴いた。3mと離れていないところで熱演している日野皓正の姿に酔いしれた。滑稽なくらいにほっぺたが膨らむから、ほっぺも楽器の一部にみえた。あのジャズ喫茶には著名な演奏家が多数登場した。演奏が終わって真夜中近くになって外へ出るとシーンと静寂の音が聞こえてくるような気がしたものである。あの全国一有名だったジャズ喫茶もとっくになくなった。往時を懐かしく思い出す、それでいいのである。

 あのころのジャズブームをもう一度というのは、年寄りたちの懐古趣味だろう。若者たちにジャズは人気がない。20年もしないうちに、根室のジャズファンのほとんどが西浜町の市営墓地の土塊(つちくれ)となる。
 根室の人口は往時の半分の2.6万人、そして昨年と今年2年連続で人口減少は600人を超えた。このままだと、20年後には人口が1.5万人を切り、根室のジャズファンは消滅しているだろう。喫茶店の数も顧客数の減少で経営維持ができなくなり、半減する。すでにスナックなどの飲食店が最盛期の1/3になっている。
 
 少数のジャズファンにとっては悲しいことだが、地元で継承する人がいないという冷厳な事実を受け止めるべきだ。ピットインとは比較すべくもないが、根室のジャズ喫茶もまた役割を終えたのである。

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文化遺産:現在にまで残され、将来に継承されるべき、過去の時代の文化財 『大辞林』より
文化財:①文化価値を有するもの。文化活動の客観的所産としての諸事象または諸事物。②文化財保護法で保護の対象として取り上げた、有形文化財・無形文化財・民俗資料・史跡名勝天然記念物の4種 『広辞苑第2版』
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 有形文化財や無形文化財は文化財保護法で文部科学大臣が指定したものに限定されている。
 大辞林には「文化財」の項目がなかったので、広辞苑を転載した。素直に読めば、サテンドールや根室のジャズは「文化遺産」や「文化財」の定義にはあてはまらない。ジャズファン自体が50-70歳代がほとんどだから、20年程度で自然消滅してしまう。
 1978年12月創業というから40年である、そんなに息の短いものを「文化遺産」というのだろうか?数百年のスパンで「風雪に耐えて」継承されてきたものを「文化遺産」というのではないか。根室で百年を超えて生き残ってきた企業は「北の勝」碓氷商店である。創業130年、立派なものだ。

 そういうわけで、サテンドールや根室のジャズが「文化遺産」だとの主張にも無理があるように思います。


<余談:ところで肝腎の採算は?>
 根室に引っ越してきてアパートを借りると8万円、車もいる、店舗の家賃もかかる。二人いないと店のオペレーションが回らないでしょう。夫婦で切り盛りするとして、

  アパート  8万円
  生活費   20万円
  店舗家賃  8万円
  水道光熱費 5万円

 子どもがいたら、進学の費用も上乗せしなければいけません。大学へ進学なら授業料と生活費で年間200万円はかかるでしょう。4年間で800万円です。その間は、売上がおおよそ年1500万円必要になるでしょう。

 根室はアパート代が高い。最低でも固定費だけで月に41万円、年間490万円はかかります、材料費は客の入り方次第ですから入れていません。売上の半分くらいの材料費を考慮すると仮定します。最低年間1000万円の売上が必要になります。
 週休1日として売上がいくら確保できるのでしょう?ジャズファンは激減していきますし、根室の人口も20年後には1.5万人くらいに縮小しそうです。
 週休2日なら、営業日数は月22日です、1日の平均売上が3.6万円ということ。アルバイトを雇えば30~40万円/月ほど売上を増やす必要があります。

 根室で家を持っている人はアパート代の8万円が不要ですから、根室でサテンドールの経営を引き継ぐ人がいないというのは、採算の厳しさを承知しているからでしょう。外部からきて、アパート代を支払い、事業継承をするには、よほどの情熱となにか特殊な技術をもっていなければなしえるものではありません。

 幸いにして応募者が現れたら、根室市は市の政策として後押しするのですから、現状の決算データをベースにして、事業採算シミュレーションくらいしてあげるべきです。
 常連客の年齢をリストすれば、これから10年間にどれくらい売上が減少するかわかります。売上を確保するにはジャズに興味のない若い人に客層をシフトするしかありません。つまりジャズ喫茶としては維持できないのですジャズファンがいなくなれば、ジャズ喫茶が維持できないのは当然のことです。20年後に何人のジャズファンがお金を払ってサテンドールで珈琲を飲むのでしょう

 計算してみたら簡単にわかります、年間200万円の助成が3年間で切れたとたんに廃業でしょう、経営が維持できるとは思えません。維持したければ維持したい人たちが身銭を切って維持するというのが本当ではないでしょうか。国の助成におんぶにだっこ、それが切れたら知らない、自己責任ですよでは、市長も根室のジャズファンもその本気度が疑われます。

 花咲線の維持も同じ問題をはらんでいます。根室市民が花咲線維持に毎年いくら身銭を切るのかが問われています。

<余談-2:地域おこし協力隊の現状>2/2朝追記
 地域おこし協力隊に首都圏から応募して移住してきた女性がお二人いらっしゃいます。駅前のバスターミナル内で喫茶店をしているようですが、営業は月に10日。これでは採算ベースに乗るわけがない。計画にも人選にも無理があったのではないでしょうか、今年が3年目かな?お気の毒です。市の政策、国の無責任な助成策の被害者に見えます。東洋経済電子版の記事「地方は若者の「起業家」を使い捨てにしている」にも類似の事例が載っています。以下、抜粋引用。
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http://toyokeizai.net/articles/-/206712

地元の人でさえ困難である、衰退する地域の課題を解決するための事業開発を、地元に縁のない若者に求めているにもかかわらず、この条件はあまりに不十分な金額です。しかも、何かあったとき、将来についての補償などはないばかりか、事業立ち上げのリスクなどは「起業家」と呼ばれる若者たちが、自ら負うわけです。…

地方は、起業家だけでは変われない

地方が、単に「起業家頼み」にしたり、既得権者たちが、起業家が巻き起こした「不都合な事業」を潰すことにエネルギーを使っているうちは、地方の衰退は続きます。

むしろ彼らに刺激を受けて、地元の大部分を占める既存組織である、議会、行政、民間それぞれの立場にいる人々が、自ら率先して変化を作り出すことができるかです

もしできないのなら、一部の変化だけで終わってしまいます。既存の組織を変えるのは外の起業家でも誰でもなく、それら組織でトップや管理職を務めて意思決定権をもった「内側の人」たちなのです

地域に新たな芽を作る起業家はとても大切です。しかし、地元の意思決定者たちが「本質的な変化」と向き合う覚悟をもたなければ、一過性の予算消化によって若者が使い捨てになるだけで、地域の衰退傾向も変わらないでしょう。なんでもやってくれる魔法使いのような起業家は、元からどこにも存在しないのです


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*「ブラック農家」や古い経営者が地方を滅ぼす

地方の働き手不足の原因は人口減少ではない
http://toyokeizai.net/articles/-/151881



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コメント 2

相川始

こんばんは。ebisuさん。

私もこの記事を道新電子版で読ませて頂きました。
笑いごとですね。あまりにも稚拙な判断にですよ。

ジャズは文化ではあるが遺産ではない。
あくまでも個人の趣味趣向なので、そこに公的機関が介入してしまったら、本来のジャズとは異なるものができてしまう恐れがある。そこに利権などが生まれ、趣味で楽しみたい人を排除してしまい、別物になることが多々ある。

また趣味は個人または仲間内で楽しむ物だから、それが個人または仲間内できなくなったのなら、悔しいだろうがそれが「終焉」ということで幕を閉じるしかない。

一例として、昨年末に
昭和の駄菓子 梅ジャムは、作り手が体力の限界で創業70年の節目に引退しました。創業当時から1人で製造し、作り方も誰にも教えておらず後継者もいないので製造終了という結末です。

本当に大切な文化は一度幕を閉じても、必ず次代の若者の手や別の場所で日の目を見ます。

ただ重要なことがある。
それは「忘れない」ことです。
どのような趣味や文化も忘れてしまっては、復活もできません。無くなっても「記憶」に残り続ければ、また蘇ります。それが文化です。

更に後継者問題なら農業や漁業の方が重要な問題で、民間の一喫茶店の後継者問題を国や市町村が補助金や助成金を出してたら、他の起業家から批判やうちもうちも助けてなどが増えることでしょう。

「ふるさと創生交付金」ってebisuさんは覚えていますか?そして各市町村でどのような結末になったを?

1億円を受け取った各自治体は、地域の活性化などを目的に観光整備などへ積極的に投資し、経済の活性化を促進した。また、無計画に箱物行政やモニュメントの建設・製作に費やしたりと、無駄遣いの典型として揶揄されることも多かった。一方で使い道に困った自治体の中には、「○○基金」として活用することを選択するところも多かったらしいです。

役場が今やろうとしてるのはこれと同じことです。
今の役場は困るとすぐに国に泣きつくことが多いような気がする。

駅前や商店街を復興できないのだから、根室では町おこしなどは無理でしょうね。
by 相川始 (2018-02-02 18:16) 

ebisu

相川さん

自分たちの手に余る問題が起きれば、すぐに外部や補助金に頼ろうとする。自分たちで何とかしようという自立心がないのはどうしてですかね。
北方領土を口実にして補助金をせしめることに70年間汲々としてきたからいつのころからか癖になったのかもしれませんね。

>更に後継者問題なら農業や漁業の方が重要な問題で、民間の一喫茶店の後継者問題を国や市町村が補助金や助成金を出してたら、他の起業家から批判やうちもうちも助けてなどが増えることでしょう。

ほかの喫茶店からクレームがでないと思っているのでしょうね。
一民間企業の継承に国の補助金を使うというのはどう考えても無茶苦茶です。

駅前商店街も緑町商店街も梅ヶ枝町の商店街も、どれ一つとして復興できないのですから、外部の人頼みで町おこしはさらに無理です。人口減少だって年間600人台に加速しています。

地域おこし協力隊第一号で結果が出ているではありませんか。
3年間、年収200万円という劣悪な条件を受け入れて移住してきた方がお気の毒です。
だれがどういう審査をしたのでしょう?
by ebisu (2018-02-02 22:08) 

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