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#3554 定期試験範囲でみる授業の進捗状況 June 12, 2017 [データに基づく教育論議]

 根室市内の市街化地域の3中学校では今週定期試験が実施される。B中とC中3年生の数学試験範囲は教科書p.48までである。「2章平方根 第1節平方根」までということ。「第2節根号をふくむ式の計算」(p.49-57)は試験範囲に入っていない。
  試験範囲は「第1章多項式」と第2章第1節だけだから、多項式の展開と因数分解、素因数分解が試験範囲。

  中3の数学教科書は巻末問題や巻末課題編を除くと8-209ページである。1月末で教科書を終了するとしたら、正味202ページを8か月で消化しなければならない
  4月から1月末まで10か月あるがその間には夏休みと冬休み、そして修学旅行や学校際準備、体育祭準備で授業が2か月つぶれるから、8か月で消化しきる必要がある。

  202ページ÷8か月=25.25ページ/月...月平均実消化ページ

  月平均25ページというのが最低速度である。教科書は後半部分が「第4章 2次関数」「第5章 相似な図形」「第6章 円」「第7章 三平方の定理」「第8章 標本調査」と関数や図形の章が並んでいて、第1章や第2章に比べて難易度が格段に上がるから、後半は速度を落とさなければならないという事情がある。だが、根室の中学校では難易度の上がる後半部分に入るや時間数が足りなくなり速度を上げざるを得ない難しい章で速度が上がるのだから、成績下位層の生徒たちは這い上がることができない

 ではどれくらい成績下位層がいるのだろうか、成績下位層を60点満点の学力テストで20点以下と考えると、

  B中学校 34人/55人  61.8% (平均点18.3点)  
  C中学校 40人/59人  67.8% (平均点16点)

  10点以下は、
  B中学校 12人/55人  21.8%
  C中学校 23人/59人  39.0%

  成績上位層が枯渇化現象を起こし、成績下位層の肥大化がこの5年ほどでずいぶん進んだように感じている。51点以上は2校でたった一人である。41-50点の層は2校114人中わずか2人である。

  百点満点換算で33点以下が6割を超えている百点満点換算で17点以下は両校合計で3割存在しているこれらの生徒たちは後半部分をスピードアップされたらたまったものではない。ちんぷんかんぷんとなり、這い上がることができない
  成績上位層の一部が道内の他校へ進学し、大部分は統合された根室高校へ入学となる。「数学の戦場」で「落武者」となった生徒たちが大挙して統合後の根室高校へ実質無試験で入学する。根室市長選挙や根室市議会選挙と妙な相似形をなしているところが気になる。数日前の北海道新聞の報道によれば、9月の市議選挙で出馬を表明したのはまだ4名しかいないそうだ。競争のない状態が長く続くとあきらめと腐食がはじまるから、危機感を抱く市民が少なくない。なぜ、立候補者が少ないのだろう?

(根室高校生の学力低下は目を覆うばかり。根室高校普通科1年生は学力別にアルファ、ベータ、ガンマーの3段階に分けられ、今年からそれぞれ試験問題が違う。昨年までは試験問題がどのクラスも同じだった。7月の進研模試の数学(百点満点)の平均点が10点台に落ちるだろう。)

  では、計算上の単純平均ではどこまでが試験範囲であればいいのだろう比例計算すればいいだけ。

  25.25ページ/月 × 2.5か月 = 63ページ
  8ページ + 63ページ = 71ページ

  「第3章 2次方程式 第1章 2次方程式とその解き方」を授業でやっていなければならない。
  6月半ばで授業の遅れは

    72-48=24ページ

  こういうペースで1月末までやったらどういうことになるのか。これも簡単に推計できる。

    (48-8)ページ ÷ 2.5か月 = 16ページ/月 … 実際の速度
     16ページ/月 × 8.5か月 = 136ページ
      202ページ - 136ページ = 66ページ...積み残し

  現在の「巡航速度」を前提にすると、単純計算では、なんと66ページのやり残しが生ずることになる。そして巻末問題編も巻末課題編もスルーしてしまうことになりそうだ。

  こんな簡単な計算ができない数学の先生はいないだろう、比例計算だから小学6年生だってできる。では、なぜかくも授業の進捗が毎年毎年遅いのだろう?

< 権限があって仕事の責任がない不思議 >
  授業の進捗管理は現場の先生に任せっぱなしになっているのか?
  そんなことはないはずだ、学校管理職の教頭先生と校長先生がいる。現にB中学校は教頭先生が授業進捗管理に気配りしているようだ。それでもこういう状況だから、この速度とスケジュールが根室のスタンダードなのだろうか。わたしには理解できない。
  26年間民間企業で働いてきた経験から言うと、部下の仕事の進捗にこのような遅れが生じたら、早い段階で上司のチェックが入るのが当たり前。仕事の遅れは大きな問題に発展しかねない。それが適切にマネジメントできない管理職がいたとしたら、部下の仕事の失敗の責任を問われる。だから、部下に任せた仕事の責任は他人事ではないのである。ラインの管理職から外されることになるが、学校管理職が教科担当の先生の授業進捗管理の責任を問われて処分されたという話を聞いたことがない。権限があって責任がないというのが学校経営の実情に見える。改めるべきはこのあたりかもしれぬ。



< 余談: 教え方の問題もある >
  試験範囲が48ページまでの学校は1月末までに教科書を終わるためには、難易度の高い問題をやらずに後半部分を「スピード違反」の授業をしてつじつまを合わせることになる。そんなことをしているから、C中の昨年の3年生は最後の模試を除いて数学学力テストの平均点が16点で動かなかったこの点数は根室の市街化地域の2校と釧路市の14校中で最低であった今年も四月の学力テストで平均点が16点、同じ轍を踏んでいると思わざるを得ない
  もちろん進捗管理の稚拙さだけが生徒の平均的な学力を押し下げたのではないだろう。教え方の問題がある。一例を挙げる。多項式の展開公式のところで「2乗2倍2乗」という教え方はやめてもらいたい。(2x-3y)^2という問題の時に、多くの生徒がミスをすることになっているが、気が付いていないようだ。教科書18ページの例題に載っている。「2乗2倍2乗」と教えたらXとYに係数がついたとたんに生徒たちの半数以上が「拡張」ができない。
  二ケタの掛け算はできるが3ケタ同士の掛け算のできない中学生が少なくないが、計算方式の拡張ができないからだろう。生徒たちは真ん中の項を4xyとしたり6xyとする者が多く出てくる。「2乗2倍2乗」では生徒は何を2倍するのかがわからない。誤解が生じないように、わたしは「中身を掛けて2倍する」と教えている。学校でヘンな教え方をされると、それを直すのはとっても手間がかかる。1学期の範囲でいうと、素因数分解でも類似の問題がある。「サクランボ方式」というやつだ。基礎基本をスルーして特異な方式で教えると生徒たちが高校生になってから副作用を生む。高校数学まで考えて指導法を点検してもらいたい。

  こういうことは書きたくないのが本音、いくら故郷の未来のためでも気分がよくない。書かなければいいだろうという方がいるだろう、その通りだ。
  このごろサイクリングの話が増えている。

< 拡張性と計算の仕組みの共通性を意識した教え方 >
  ①(a+b)^2=(a+b)(a+b)=a^2+ab+ab+b^2=a^2+2ab+b^2
  ②(2x-3y)^2=(2x+3y)(2x+3y)=(2x)^2-2x3y+2x3y+(3y)^2=4x^2-2(2x3y)+9y^2
  ③(x+a)(x+b)=X^2+ax+bx+b^2=x^2+(a+b)x+ab

  ①②③は2番目の展開式を内項同士を小さな弧でそして外項同士を大きな弧で結んで見せてやれば、視覚的に同じルールであることが生徒に伝わる。
 だから①と②は「真ん中の項が中身を掛けて2倍」であると教えたらいい。公式を暗記することも大切だが計算の仕組みをちゃんと伝えることはもっと大切なのだ。男子の脳には「大小二つの弧」という視覚的な情報がスーッと頭に入りやすい。
  同じ原理で、③も真ん中の項が (a+b)x であることが容易に理解されよう。同じ仕組みだから、個別に暗記の必要がなくなる。①で符号が変わる場合 (a-b)^2 の場合には、真ん中の項の符号をマイナスに変えればいいだけだということもすぐに了解できる。
  高校数学を視野に入れ、社会人となった時に「どのような能力が要求されるのかまで考慮して、計算の仕組みを拡張性を意識して教えることが肝要なのだ。
 


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コメント 8

ZAPPER

ブログは終了しましたが、オフィシャル・ルートを通じて即時是正を求めます。
道教委にどれだけ言われても改まらないのであれば、次は文科省直々にご登場願いましょう!
by ZAPPER (2017-06-13 09:25) 

ZAPPER

早速、仕掛けておきました!^^
by ZAPPER (2017-06-13 10:13) 

amanda

こちらも3年生の試験範囲は根室と同じです。根室管内は揃えているのでしょうか?
毎年秋からの関数・図形分野はわからない生徒が続出、わからないからやりたくない⇒やらないからわからないの悪循環に陥っています。。。
by amanda (2017-06-13 15:55) 

ZAPPER

amandaさん
こちらでは、何人もの教員と管理職が血祭りにあげられ、そうしてやっとこさ収まりました。しかしまぁ、根室管内の超絶にだらしないこと…。久々に頭にきました。今度は「そちら」に爆弾を投下しますね。
by ZAPPER (2017-06-13 19:07) 

ebisu

amandaさん、情報提供ありがとうございます。
そちらも試験範囲が同じなのですね。根室管内だけ日本国の外にあるようで驚きです。


ZAPPERさん
中学校の教員はほとんどが根室管内の異動ですから、どうやらこの進捗速度が「根室管内スタンダード」なのかもしれません。自浄作用を期待しているのですが...
by ebisu (2017-06-13 22:03) 

ZAPPER

ebisuさん
すみません、場所をお貸しください…。

毎日毎日このブログをチェックしている、道教委・根室教育局に根室市教育よ。あんたら、本当に本当に本当に…いいかげんにしろよ。俺、もう「本気で」怒ったからね。完全に堪忍袋の尾が切れた…。どれだけ他山の石(屍累々)を見せ続け、寛大なる《猶予》を与えるも…。

待ってろ。今いくからな。
by ZAPPER (2017-06-13 22:46) 

ebisu

ZAPPERさん

おはようございます。
根室市内の市街化地域の2校だけでなく、根室管内のほかの地域にも同じ試験範囲のところがあるということは、なんらかの「根室管内スタンダード」の存在を示唆しているようにも見えます。
何か具体的な理由があるのでしょう。こいううところも、地域社会と学校や教育行政がコミュニケーションの場を持たなければならない理由の一つです。

だから、わたしは具体的なデータと理由を示して「ダメなことはダメ」と弊ブログで書き続けてきました。
このままでは根室市内のみならず、根室管内の子どもたちが低学力化という負のスパイラルから抜け出すことができません。
抜け出せるのはごく一部、枯渇現象を起こしている数%の高学力層だけ。

市議会文教厚生常任委員会、市教委、市長、学校管理職、担当教員のいずれかが己の仕事を全うしてくれたら、問題は解決の方向へ向かうのですが、権限をお持ちの方々は揃って沈黙。大人たちがそれぞれ仕事に付随して持っている権限、それに見合った責任を果たしていません。
(少人数ですが、現場の先生たちの中には、自分の仕事の責任を全うしようと努力している方がいらっしゃいます。)

根室に戻って塾を始めてから14年間の状況を俯瞰すると、賽の河原で石積みをしているというのが率直な感想。小さな私塾の塾長のわたしは、自分の仕事を坦々とやるのみです。
塾家業をまだ続けるつもりですが、にっこり笑って引退する日が迎えられたら幸せ。
by ebisu (2017-06-14 08:41) 

ZAPPER

無限ループのイタチごっこ。
もう終了にさせます。
by ZAPPER (2017-06-16 09:24) 

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