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#3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017 [数学のセンス]

 「数学のセンス」について4回にわたって帰納的分析を試みてきた。前回は空間図形とイメージ操作を採りあげたので、今回は角度を変えて空間図形と論理的思考について解説してみようと思う。

 具体的な問題に即して説明した方がわかりいいから、中2の授業で先週やった空間図形問題を例にしようと思う。「三平方の定理のまとめ B問題」から正四角錐の問題をとりあげる。

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問題5:図のように、すべての長さが6cmの正四角錐OーABCDがある。辺OB、OCの中点をそれぞれPQとするとき、次の問に答えなさい。
(1)△ODPの面積を求めなさい。
(2)四角形APQDの面積を求めなさい。
(3)Oから面APQDにひいた垂線の長さを求めなさい。
   『シリウス21 数学 Vol.3』p.207
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< 視点変換:虫の目から鳥の目へ>
 生徒は(1)の問題を10分ほど考えていたが、手がかりを見つけられなかった。この手の問題は初見だから目が△ODPに集中してしまったらアウトである。大局の目、換言すると虫の目でなく鳥の目で見なくてはいけない。
 △ODPはどういう三角形だろう。図を指定どおりに描いて眺めてもらいたい。OとDがそれぞれ正四角錐の頂点だが、Pが辺OBの中点となっている。OD=6、OP=3は見ただけでわかるが、DPの長さがわからない。
 三角形の面積は(底辺×高さ)/2だが、どこを底辺にとっても高さは厄介そうだ。角度がわかればいいが、不明だ。虫の目で見ていても埒(らち)が明かない。モードチェンジが必要だ。

< 意識モードの切り換え:集中から分散へ>
 決め手がないので、フォーカスを△ODPから外してみる。集中から分散へ意識モードを変えてみる。人間の目はあるところにフォーカスを当てると、その周辺がぼやけてしまう。周辺を見るためにフォーカスを外す。この意識の分散の方がフォーカスよりもむずかしい。要は脳の使い方の問題で、意識的に集中と分散を繰り返しやっていると自然にできるようになる。
(たとえば、結跏趺坐して半眼で呼吸に意識をおいてゆっくり出息し、吐ききったら入息する、ゆっくりゆっくりやることで頭の中の雑念が消え、空っぽになると物自体が見えてくる。意識の集中が外せるのである。歩いていても椅子に座っていてもできるようになる。)

< 思考手順:どのように考えていくか >
 △ODPは△ODBに含まれている、つまり同一平面上にある。辺DBは正方形の対角線だから6√2であることは暗算できる。すると、△ODBの辺は(6,6,6√2)だから、辺の比からこれも直角二等辺三角形であることがわかる。したがって、∠DOP=90度。
 △ODPは底辺が3cm高さが6cmの直角三角形、したがって、面積は9cm^2。

 わたしは、暗算でざっとやってみてから、図を描いて数字を書き込み計算チエックしている。全部暗算だと、たまに考え違い、思い込み、計算ミスが発生するから、ケアレスミスを少なくするために中学生のころからこういうやり方をしている。50分の半分25分で全問題をやって10分ほど見直しに費やす。見直しやすいように計算のメモを残しておく。それを利用するから見直しは早くて正確だ。前にも書いたが、プログラミングはあとで自分が読みやすく、自分以外の人が読んでもすらすら論理の筋が読めるように書くのがベスト。仕事で作成する文書も試験問題を解くときのメモも同じことで、読みやすさの考慮は案外普遍的な広がりをもつ。

< 論理的推論:理詰めで形状を推理する >
 (2)は四角形の面積であるが、計算するためにはどういう形の四角形かがわからないといけない。ここで必要なのは論理的推論である。
 四角形APRQは図をみるとAP=DQ=3√3、DPは中点連結定理から3cm、これらから上底3cm、下底6cm、脚の長さが3√3cmの等脚台形であることがわかる。等脚台形だと形がわかれば、左右対称に直角三角形があるから、脚の長さと底辺の長さから三平方の定理で高さが求められる。
 h^2=(3√3)^2-(3/2)^2=99/4だから、h=3√11/2cm

 ∴面積は (27√11)/4 cm^2

< 論理的推論による攻略:正攻法で攻めてダメなら迂回せよ >
 次は(3)の問題だ。Oから面APQDに垂線を引くとどこに落ちるのか?PQがBCに重なっているときは底面の正方形の対角線の交点だろう、上がってくるにしたがってOとの距離が小さくなり、極限はOと重なる。どうやら辺PQの垂直二等分線上にありそうだが、辺OB、OCそれぞれの中点にPQがあるときに垂線がどこに落ちるかよくわからない。一方向からの攻めにこだわると隘路になることはある。そういうときは攻める角度を変えてみたらよい。
 この手の問題は高校の空間図形問題でも出てくる。垂線の足がどこに落ちるかわからなければ長さは計算できない。こういうときは体積から逆算するのが定石だ。底面積と高さを別の場所に換えて体積が別の計算式で算出できれば、四角形APQDを底面積としたときの高さが逆算できる。
 問が三つ並んでいる場合は、前の二つを利用して解くという問題パターンが多いから、ひとまずそっちから考えるのも手である。(1)で△ODPの面積を求めたからこれを利用し、(2)で四角形APRQの面積を求めたから、両方使うとするとどうなるか?△ODPを底面とする三角錐2個に分割すると体積計算が可能になる。デカルトの「科学の方法その2」にある「必要なだけの小部分に分割する」ということ。この線が正解への経路だとすると、それぞれの三角錐の高さが求められなければならない。△ODPは△ODPと同一平面上にあるから、辺ACの中点が高さになる。暗算で3√2。三角錐O-DPQの高さは中点連結定理からさらにその半分であることがわかる。どうやら三角錐2つに分割すれば変形四角錐O-APQDの体積が計算できるらしい。あとは計算だけ。
 体積が計算できたら、面APQDの面積は(2)で求めてあるから、次の式で垂線の長さが計算できる。

 1/3×四角形APQD×h=変形四角錐O-APQDの体積

 この問題は、体積から高さを逆算するというパターンの問題をやったことがなければ難問になる。この問題をやっていたのは中2の生徒で、もちろんこの手の問題は初見だから解説が必要だった

 2月27日に『シリウス 数Ⅰ』と『シリウス 数A』を渡した。3月2日が期末テストだが、中3の問題集をやり終わって、テスト範囲も復習したので退屈していた。

< まとめ >
 意識を図の一部に集中すると全体が見えなくなるのは「虫の目」で見るからで、「鳥の目」に切り替えて図の全体を見よう。先入見を排除し、どこにも焦点を絞らず虚心に問題文を読み図をみる。余計な線を抜いて単純化してみるのもよし、切断面を含む面だけをとりだして描いてみるもよし。
 問題の条件から論理的推論で正解への経路をつけてみる。学校でやる問題は正解のある問題だから、既習事項の何を使えばいいのかという方向から正解への経路を探索できる。問が3個あれば、問3は問1と問2を利用して解くパターンが多いのでその線からも考える。
 だが、これに慣れすぎると受験はいいが、社会人になってからは危うい。現実の困難な問題には利用するツールが受験問題のように限定されていないから、こういう思考パターンが鋳型にまでなってしまうと頭が固くて使い物にならぬ。
 受験勉強の徹底は得点アップのメリットと同時に、壊せないほどの強固な思考の鋳型を作って頭を固くしてしまうというリスクもある。大事なのは柔軟な頭の使い方。

 さて、数学の問題を解くのに必要な論理的思考を2題の空間図形問題を通して2度にわたって説明したが、そのことと数学的センスがどう関係しているのかと問われると、わたしにも定かではない。だが、こういう柔軟な思考が数学的なセンスにどこかでつながっているような気がするのである。

 先入見、思い込みを消すことで問題が解ける具体例を次回は高校入試英語問題をとりあげて説明して帰納的分析に一段落をつけ、7回目は帰納的分析によって得られたものから総合を試みます。しばらくの間考えが熟成してくるのを待ちます。数学的センスがどのようなものであるのかどこまで迫れるか楽しみです。

 
<答>
(1)9cm^2
(2)(27√11)/4 cm^2
(3)(6√22)/11 cm


*#3507 数学のセンス(1):数字に表れる美への感動がセンスを育てる Feb. 16, 2017 
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 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
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 #3511 数学のセンス(3):授業時間数減少、数量、平面図形 Feb. 24, 2017 
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 #3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017
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  #3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-02



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*#2734 イメージの力(4):言葉のイメージ化トレーニング July 16, 2014より抜粋
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