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#3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017 [数学のセンス]

 湾中(根室湾中部漁業協同組合を略してワンチュウ)の牡蠣は癖がなくておいしいから高級レストラン用の材料にふさわしい。ところが生産量が少ないから根室の外へ出せるだけの量がない、かくして根室市民は湾中産のおいしい牡蠣を食べられる。産地でしか味わえない逸品である。フライ用のものは滅多に売っていないので生食用をフライにしてくれた。数回食べたがフライ用のもののほうがずっとおいしい。今日は湾中の牡蠣フライを肴に北の勝「搾りたて」を飲んだ。
 地元産の肴よし酒よし、ふるさと根室最高!

 数学のセンスはこれこれだと定義して、そこから演繹的に展開するのはとても難しそうなので、具体例を取り上げてさまざまな角度から「数学のセンス」に迫ってみたいと思い、3回にわたって帰納的分析を試みています。
 今回は中2の生徒に先週やらせた中3の空間図形の問題を例に採りあげて、空間図形に関する数学のセンスの一端を解説します。イメージ操作がテーマです。イメージ操作が自在にできれば空間図形の問題が容易に解けるようになることは同意いただけるのではないでしょうか。空間図形問題を解くときにイメージ操作が出来れば問題を単純化して正確にとくことができますから、何らかの数学的センスがイメージ操作に含まれていると考えていいのでしょう。
 では問題文を紹介します。数学が嫌いな生徒さんや、学生時代嫌いだった人も辛抱してお読みください、だんだん楽しくなれば幸いです。

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問題5:1辺が6cmの立方体ABCD-EFGHの辺BF、DHをそれぞれ1:2に分ける点をP,Qとし、辺CGを2:1に分ける点をRとする。次の問に答えなさい。
(1)点A、P、R、Qを結んでできる四角形APQRの名称を答えなさい。
(2)四角形APQRの面積を求めなさい。
(3)立体ABP-DCRQの体積を求めなさい。
  『シリウス21 数学 Vol.3』p.207
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 問題には立方体の図が描いてあります。ここでは図を提示できないので、各自描いてみてください。問題文を丁寧に読み精確に図を描くことができれば問題を精確に理解し単純化することができます。は簡単になります。複雑な問題を簡単な問題に還元していくという操作自体が数学的センスであるとわたしは考えています。
 生徒は(1)を四辺が同じだから正方形であると判断して次の問題にかかりました。(2)の計算が終わったところで、質問をします。どのように考えたらよいのか、ポイントごとに道筋を明らかにしていきます。

「三平方の定理から判断して四辺が等しいと考えたところまではよかった、四辺の等しい四角形には何があるかね?」

 そこで気がつきました。菱形です、正方形は菱形で対角線が等しいグループです。思い込んでしまったのでしょう。先入見が生じるとそれを脳から消すのはなかなか困難です。座禅やヨガの瞑想でトレーニングすることはできます。集中と弛緩(意識の分散)を交互にトレーニングしてみたらいい。少し楽になる程度ではありますが・・・、鉛筆を左手でもってみるのもいい。大人は少しアルコールをいただくのもいい。

「四角形の片方の頂点を、点Aに固定して、辺CG上にもう片方の頂点Rを下へ向かって移動していったら、菱形はどのように変形していく?」

 ピンと来ないようです。

「RがGの位置に来たときに対角線ARがいくつになるか計算してみたら?」

 PとQはそれぞれBP=DQの関係を維持しながら下に降りていくので距離が変わりません。立方体の底面の対角線と同じです。ところが対角線ARは伸びていきます。スタート地点のR=Cのときは、正方形の1辺が6cmですから、「√6^2+6^2=6√2」ですが、R=Gのときは立方体の対角線となるので、「√6^2+6^2+6^2=6√3」です。こういうことが頭の中で動画イメージで切断面を動かしていけるということと、始点と終点の距離が暗算で瞬時に計算できることは強力な武器になりますわたしはイメージ処理と計算での確認を同時にやっています、よく考えたら並列処理です。無意識にやっていますから勝手に連動するようです。イメージ操作は問題攻略の強力なアイテムではありますが、センスとはすこし違う気がします。数学的センスの全体像が間で見えてきませんが、強力なアイテム(武器)優れたセンスがあれば鬼に金棒と言えそうです。
 三平方の定理を習い立てで、口頭で説明しただけでこれが呑み込める生徒は根室の市街化地域の中学校では、学年トップクラスの学力があると判断してよいでしょう。
 この生徒は理解できたようです。始点と終点がわかれば途中はその間を動いていると考えたらよいのですから、変化する量を扱うときは抑えるべきポイントは始点と終点です。ここまでわかったら、(2)の面積計算はすっとできました。
 (3)はノーヒントでやりきりました。Rを含む平面で立方体を水平にカットしたら、(左右の側面を底面とすると)底面が上と下で対称になることに気がついたのです。これにはちょっと驚きでした。上面と下面の形が対称になっているなら、体積はRを含む水平面でカットした体積の半分です。中2の生徒ですから、この手の問題は初見でしたから、アッパレです。9回裏の逆転ホームラン、センスのよさを褒めてやりました。

 空間図形の切断面は立方体が基本で、そこから直方体、円柱、直方体以外の角柱、正四面体、角錐、円錐と拡張していけばよいのですが、中学校で出てくる切断面は立方体とそれ以外の角柱、正四面体、角錐の四種類のみ。
(切断の問題ではありませんが、複雑な形状の空間図形が過去15年間で一度だけ道立高校で出題されたことがあります。)

 立方体を基本に角度を変えて切断面の変化をイメージできるようにしておけばよい。イメージできなければ、大根を立方体に切って、スライスしていけば変化がよくわかります。それを脳に刻み込めば、図を見ただけで切断面がどのような形状になるのかイメージできるようになるでしょう。動画イメージで形状の変化を追えるようになります。女生徒はこれがなかなかできません。脳の性差に関係があるのでしょう。
 道立高校入試問題は最後の問題が空間図形ですから、95%の得点を狙うには、空間図形の攻略が必須です。高校生になってから、空間ベクトル(数B)で空間図形問題がまたでてきます中3の空間図形問題が苦手だと、空間ベクトルはさらに苦手の度が進みますだから中学生の皆さんは空間図形の章をしっかり学んでおきましょう。入試の過去問をやって、最後の問題は難問だし配点も大きくないからとパスしている生徒は高校2年生になってからツケが回ってきます。勉強はやるべきときにしっかりやらなければいけないのです。

 まとめです。空間図形の切断というイメージ操作を自在にできれば、切断面の形状や面積計算が簡便にそして正確にできます。空間図形のイメージ操作が数学的センスに関係があることがおわかりいただけたのではないでしょうか問題文を図や表に展開することや複雑な問題を簡単な問題に還元していくという操作自体も数学的センスであるとわたしは考えています。


 次回は空間図形の切断面の問題を採りあげて、数学的なセンスを論理的思考の面から分析してみるつもりです。1辺が6cmの正四角錐の切断問題です。


〈答〉
(1)菱形
(2)12√11 cm^2
(3)72cm^3



*#3507 数学のセンス(1):数字に表れる美への感動がセンスを育てる Feb. 16, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1

 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-19

 #3511 数学のセンス(3):授業時間数減少、数量、平面図形 Feb. 24, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23

 #3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26

  #3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-02



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*#2734 イメージの力(4):言葉のイメージ化トレーニング July 16, 2014より抜粋
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-16

 #2597 イメージの力(3):Aとnon-A型について  Feb. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-16-2

*#2595 イメージの力(2): 6タイプに分類 Feb.16, 2014 
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*#2593 イメージの力(1):ピアニスト&作曲家加古隆の原風景 Feb.14, 2014 
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 #2749 記数法とn進数についての質問あり July 27, 2014
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#3296 統一模試の数学過去問にトライ:のんびりしている根室の高校生  May 20, 2016 
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コメント 7

麒麟

難関大学に合格するためには、空間図形をイメージする力が重要です。センター試験でⅠAの幾何、ⅡBの空間ベクトルを短時間のうちに難なく完答出来るようにするためであるのは言うまでもなく、二次試験において頻出する一見幾何に見える問題であってもベクトルや座標系を自ら設定してアプローチする必要のある問題で得点出来るようにするためでもあります。また、難関大学理系を狙うためにほぼ必須科目となる物理でも物体の動きや力のはたらく方向を考える力は非常に重要です。こうした力は一朝一夕に養われるものではなく、個人のセンスによるものも大きいため、高い進学実績を誇る難関中学、難関高校がこぞって空間図形を入試問題として出題するのは将来難関大学や医学部に合格する素質を持った生徒を選びたいという表れであるとも思います。
by 麒麟 (2017-02-27 19:30) 

ebisu

麒麟さん

4回目となった「数学のセンス」シリーズは、①数学のセンスとは何か、そして②それはどのようなトレーニングで育むことができるのかという二つの目標をもつものです。

理系難関大学入試の数Bベクトルの空間図形や数ⅠAの平面図形問題に対処できるイメージ操作能力を育むために中学時代から、ちゃんとトレーニングできたらいいですね。
数年かけてじっくりイメージ操作能力に磨きをかけたら、どの方向へ進学しても、そしてどのような企業で働いても、大学に残りで研究者となっても大いに役に立つはずです。

理論経済学も体系が経済学的諸概念の構造物ですから、構造全体のイメージができるか否かが、研究成果を大きく左右しています。

>高い進学実績を誇る難関中学、難関高校がこぞって空間図形を入試問題として出題するのは将来難関大学や医学部に合格する素質を持った生徒を選びたいという表れであるとも思います。

同感です。
by ebisu (2017-02-27 22:01) 

後志のおじさん

空間図形は、得意中の得意ですよ!

空間図形の集合体のログハウス、設計施工自力でやってしまったくらいですから。

初めにイメージありき。自分の加工技能、材料コスト、メンテナンスを考えに入れた設計。

実際に作っていくと部材毎に1~2mm くらいのズレが生じる。(丸のこの歯の厚みは約3mm。一分の隙もない、の一分です。 )
25段2,250mm 重ねたら最大50mm のズレが生じる。ちなみに一分の隙(約3mm )までなら叩き込むことができます。が、5mm (2分の隙)となると不可能です。材の切り直し。

躯体が仕上がっても一分を超える隙間ができます。特に屋根かけの桁周り。一つ一つ実寸を計り不定形の立体を切り出して埋めていきました。

ログハウスが出来上がった時の感想。
「数学得意で良かった!」

(他にも、けがき線の入れかたを始めとして大工仕事は数学「センス」の塊です。低学力の後志の大工は、私より下手くそな人が山ほどいます。)

by 後志のおじさん (2017-02-27 23:43) 

ebisu

1行目を見たときに、元気な人が投稿してくれていると思いました。誰かな?

ははは、後志のおじさんだ。ログハウスの材料の加工はそんなにシビアなんですか、考えてみ見ませんでした。
計算できても、加工技術が伴わなければ仕事になりません。
やはり空間図形が得意でしたか。(笑)

大工の棟梁は頭の中に図面が出来上がっているようです、そしてそれを考えたとおりの形に作り上げることができる。
宮大工の西岡常一さんは、大工の棟梁になるには頭がよくなくっちゃなれない、頭の悪いやつは大学で勉強した方がいい、大工は無理だと書いてます。

ビリヤードも理論と手の技術の両方がそろってはじめて技に結晶します。

ログハウスがそんなに奥の深いものだとは知りませんでした。
楽しい話をありがとう。
by ebisu (2017-02-28 00:56) 

後志のおじさん

空間図形の算数の問題ですが、(あえて数学とは言いません!)

私の頭の中では、いつも「三通り」の解法が浮かぶのです。

一つ。
差し金だけで、どうやってこの立体を作るか?
そしてそれの付帯物のような設問の答。

二つ。
ベクターによる解法。

三つ。
上記一二を翻訳した小中生向けの解説。(これが一番面倒くさい。)

一番めはともかく二番目がわかっている人には、三番めは


「単なる、説明技法」のレベルの話に過ぎません。

(私は、数学ではベクターが一番好きです。笑)



by 後志のおじさん (2017-03-02 22:46) 

ebisu

ログハウスを造った後志のおじさんは、曲尺も使うのですか。
和洋折衷で大工仕事ができる。
曲尺を使って角度を出して空間図形を再現できたら、計測するだけで正解がだせるということですか。
ものづくりを大事にする日本ではそういう教育があっていい、いやあったら面白い。

今調べてみたら表と裏で単位が違うんですね。角目(裏の目盛)は表の目盛の√2倍になっているんですね。角目で測れば丸太から取れる最大幅の角材の寸法がわかる。もう一つの裏の目盛は円周率に関係している。
うまく使うと三角関数も計算できると、使い手しだいで性能が上がるすごい道具なんですね。
小学生のころいじって遊んでいましたが、そんなにすごい道具だとは知りませんでした。

曲尺とベクトルによる空間図形問題の解法を小・中学生に理解できるレベルで説明できたらどういうことになるのでしょう?
和洋折衷、異文化交流、きっととんでもない創造性をもつ才能が開花します。永六輔さんが曲尺を守ってくれたんでしたね。岩波新書で『職人』というかれの著作がありました。
日本の教育には大きな可能性がありそうです。
どなたかやって見せてくれる人が現れたらいいですね。
by ebisu (2017-03-02 23:52) 

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