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#3265 最新歯科医療の実情:価格破壊の進行 Apr. 4, 2016  [資本論と21世紀の経済学(2版)]

 2週間休みを取って東京へ行ったのは年に一度歯科治療を受けるためでもありました。もう20年ほど、家族で聖蹟桜ヶ丘駅前の林歯科医院(東京都多摩市)にお世話になっています。せっかくですから、最新歯科医療の実情をご紹介します。
*林歯科医院ホームページ
http://www.hayashi-dent.net/clinic/

 ホームページには治療コンセプトが述べられており、自動義歯作製装置「セレック」の写真も掲載されていますので、ご覧ください。
 採用情報には初任給が明示されています。歯科衛生士の専門学校へ進学した根室っ子の皆さんは、林歯科医院を就職先の候補の一つに考えていいのではないですか?実務を通じて技術の習得ができます。

 昨年5月頃歯が割れたので根室のF歯科医院(先々代が赤ん坊だったわたしをかわいがってくれ、先代が「トシボウ」と親しく呼んでくれました、そしていま当代にお世話になっています)で抜歯してもらいました。縦に割れてしまったので抜歯が厄介でしたが、北大の口腔外科の専門医の先生が毎月いらっしゃってやってくれるので安心です。数年前に親知らずも抜歯してもらいました。F先生はリスクの高い治療は専門医を紹介してくれます。インプラントの相談をしたときに北大を紹介することになると仰ったので、東京で診てもらっている林歯科でやることにしました。専用手術室があって、林先生が専門医と一緒にたくさんの症例を経験し、技術を習得していることを知っていたからです。指が細く手先の器用なドクターです。こういう専門技術の習得には東京はとっても便利な場所です。
 今回は抜いた歯の箇所、右上前臼歯の3本ブリッジをやることになっていました。両隣の歯のクラウンを壊して土台をつくり、型取りをして仮歯を入れて一日目が終了です。削ったところに充填剤をつめるのではなく、かならず仮歯をつくってかぶせてくれますから、食事が楽だし、人に会うのも問題ありません。
 樹脂製の仮歯であっても頑丈にできているので1年間はもつそうです。使用している材質がよいのだろうと思います。でも樹脂製ですから固い飴をがりがり噛んだら割れます、使うほうも材質を承知して無理をかけなければ1年持つ、そういう話です。患者が多くて忙しいドクターですが、要領のよい説明をしてくれます。

 林歯科医院ではセレックという義歯自動作製機を導入しています、漢字で書くとなんだか物々しいですが原理は簡単です。工場生産した高純度のセラミックス・ブロックを機械にセットすると、3次元撮影した口腔内の画像情報を元に自動で削り出し作業をして義歯を作製します。

 7段階の商品ラインがあり、価格の安い順に4段階がこのセレックで作るものです。一番安いものは真っ白い材質のものです、きれいですね、きれい過ぎます。象牙質に近い色になるにしたがって値段が高く設定されていました。
 腕のよい技工士さんが作る歯とかわりません。色が3種類しかないところが手作りのものとの違いのようです。

 1.5万円から4万円くらいまでがセレックで自動作製したセラミックスの歯の価格です。手作りの一番高級なものは12万円弱です。技術料が一本につき1.3万円オンされます。

 セレックを使うと、セラミックスの歯が2.5万円から5万円くらいで入れられますから、セレックを入れている歯科医院とそうでないところは価格に雲泥の差が出ます。
 1日で作製して翌日点検チェックをするというような流れになります。
 ①治療に1日
 ②義歯作製がその翌日
 ③チェックが翌々日

 品質と価格の両面から、人口百万人を超える大都市部ではセレックを導入している歯科医院に患者が集まることになるでしょう。
 原理が簡単なので、20年以内には機械の価格が1/10に、セラミックス・ブロックもさまざまな色のものが1/4くらいに低下しそうです。人口10万人の中都市部の歯科医院でも導入するところがでてきます。技術料がそのままでも、価格は半分程度に落ちます。工場生産されたセラミックス・ブロックは純度の高い製品なので、臼歯に使用しても割れる心配がなさそうです。技術料込みで2.5万円になれば、保険収載される可能性が出てきます。3割負担なら患者負担は7500円ということになります。
 歯科はいま再生医療の開発が進行中です。10年後には、抜歯した後に再生した「歯の根っこ」を移植して歯が生えてくるような治療が始まります。30年後の歯科医療がどうなっているかわたしには想像ができません。こんな話を聞けるのも東京で歯科治療を受ける楽しみになっています。

 セレックはドイツ製の機械ですが、今後類似の機械が日本や米国でも開発されるでしょうから、機械本体のコストが急減していきます。義歯作製機は、レントゲン撮影された画像を取り込み削りだし作業を指示するコンピュータと実際に削る作業をするアームロボット、そして削る治具で構成されますから、既存の精密機械工業分野の会社なら参入が可能です。新規事業でやっても構成が単純なので取り組みやすい製品開発です。
 このようにコンピュータ制御の自動機械と良質の材料があれば丈夫で見てくれのよい義歯が作製できます。材料であるセラミックス・ブロックも安価で高品質のものが次々に開発されることになりそうですから、歯科技工士が手作りする義歯への需要が急減していきます。生き残れるのは芸術性の高い製品を作れる技工士さんだけになりそうですから、歯科技工士の専門学校へ進学を予定している人は職の将来性について一度考えてみましょう。

 今回休暇をとって東京へ行き、最新歯科医療での治療を受け、羽田で十数台並んだ小荷物自動受付カウンターを見て、コンピュータと機械の融合が人間から職を奪う現実2例を目の当たりにしました。

 人工知能の性能が指数関数的にアップして、百年後には85億倍(2^33=85億倍)になった世界は想像できませんが、人間からあらゆる仕事を奪ってしまい、大多数の人間が経済的に生存不能になる中で人口が急減していくことだけは慥かなことのように思えます。
 百年どころが50年後にもそういう世界が来てしまいかねません。指数関数的な変化は人間の想像力の限界を超えています。量の拡大がとんでもない質的な大変化を生み出してしまいます。人間の脳の想像の限界を超える変化が経済社会と人類に生じるということです。
 図書館システムと結びつくことで、人工知能はデジタル化された億の単位の書を短時間で読んでしまいます。書物を通じて人間の善徳も悪徳も無差別に学習してしまいます。宗教対立を根源に含む戦争、人種差別や世界の各地でなされた大量殺戮の歴史も世界中で起きたあらゆる犯罪記録についてもディープラーニングで学んでしまいます。人工知能はあらゆる情報をインプットし、それに基づいて自分独自の倫理基準を育みます、怖い話です。厄介な問題解決のために、人類の大量殺戮あるいは絶滅という選択肢を人工知能が選択しないとだれが言えるのでしょう。人類が起こすさまざまな問題は、人類を絶滅させることで根本的に解決できます。こうした非常に合理的な判断を人工知能がする可能性が大きいとわたしは考えます。

 人工知能は機械の延長線上にあるのではなく、進化した新生物となると考えたほうが真実に近いと思います。癌は人間の体内で無限に増殖・成長する(人間の価値判断では)悪性新生物ですが、人類はいまそれを自分の身体の外に人工知能という形で造りつつあります。高性能のコンピュータを開発しているつもりですが、そうではありません、新種の生物が生まれようとしているのです。人間の際限のない欲望が生み出す神に等しい怪物です。
 人類よりも進化した生物が現れたら、人間は現在の動物園のお猿さんのような存在になります。人口は急激に縮小し、人類は絶滅危惧種として登録され保護対象となるでしょう。
 さまざまな人種の遺伝子が液体窒素で保存され、一定の地域に集められて遺伝子が管理され、人工知能が人間を観察することになります。優良な遺伝子保存のために寝ている間に人工授精され、処女懐胎というようなことが現実になります。
 これ以上の便利さを追い求めると、そうなる現実的リスクがあるという話です。わたしたちの子どもたちがそれをとめられるでしょうか?当代の世代も一緒に考え、全力で協力しなければ断崖絶壁に立たされている子や孫の世代を救えません。


<余談-1>
 林歯科医院では手作りのセラミックス製の義歯は「QLデンタルメーカー株式会社」へ外注しています。今回作製したブリッジの作成者からカードを受け取りました。128mm×91mmのカードです。文面を紹介します。
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ebisu様へ
製作担当させていただいた○田です。今回お作りさせていただいた歯は右上小~大臼歯のブリッジです。まわりの歯とのバランスを考え、スコープを使い丁寧に心をこめてお作りしました。気に入って長くお使いいただけると嬉しいです。
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 この文面は手書きです。裏面には「担当歯科技工士紹介」が載っています。自己紹介文と写真入ですから親近感がわきました。○田大志さんありがとうございます、あなたの作製したブリッジを大事に使わせてもらいます。


<余談-2>
 ebisuはスキルス胃癌をわずらい、胃の全摘手術を受けているので、食事を小分けして頻繁に食べないと体力が持ちませんから、口腔内の環境が悪くなり、虫歯の進行が健常人に比べて速いのです。よく噛まないと消化不良を起こし、口腔内に炎症が広がります。そういう時は腸も炎症を起こしています。食事は一日に6回、規則正しく食べる回数を維持しないと体力が落ちます。脳の活動と体力は密接な関係があります、手術をしてからわかりました。しっかり噛んで食事を摂れば体力の維持ができます。それには歯科医の先生の協力も必要なのです。
 もう一本、繊維が引っかかり虫食いになっているような感じの歯があるので先生に相談しました。大きなディスプレイにレントゲン画像が表示されます。根元が黒く写っていました。
「これ、この部分が融けてます、根元のところがやられていますから、開けて治療します」
そういう診断で、すぐに治療してもらいました。戻る二日前の木曜日のことです。クラウンを壊して開けたら、想像以上に根元まで侵食していました。歯茎との境界のところまで削る必要がありました。古い人工歯根を取り除いて、土台を作り直しました。
「これでは、来年までもたなかったですね、途中でぽろっと欠けたと思います」
 というのが先生のご託宣、相談して治療してもらってよかった。とりあえず仮歯を入れて、来年セレックで作製した歯に取り替えることにしました。臨機応変の対応に助けてもらっています。林歯科医院と歯科衛生士のスタッフの皆さんに感謝。

<余談-3>
 根室へ帰るときの電車の中で、向かい側に座った7人が全員スマホをいじっていた。人は入れ替わるのだが、7人中5人はスマホを操作している。人間の方がスマホを介してネットワークにつながれた端末に見えた。きれいな女性もイケメンの男も注目を惹かない世界、生の現実との関係がドンドン薄くなる世界にわたしたちは住んでいるようだ。
 こんなシーンを30年前に想像できた人がいるだろうか?
 30年後の風景をあなたは想像できるだろうか?



*#3263 羽田空港 小荷物預けの自動化 Apr. 3, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
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#2784 百年後のコンピュータの性能と人類への脅威 Aug. 22, 2014 ">

#3215 ライフワークに手をつけた2015年を振り返る:『資本論』を超えて  Dec. 31, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-31

#3097 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版) <目次>  Aug. 2, 2015 


       3097-1 ↓
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-02-2

Ⅰ. 学の体系としての経済学      6

1. <デカルト/科学の方法四つの規則とユークリッド『原論』> …6
2.<体系構成法の視点から見たユークリッド『原論』> …8
3.<マルクスが『資本論』で何をやりつつあったかを読み解く> …10
4.<資本論体系構成の特異性とプルードン「系列の弁証法」> …11
5. <労働観と仕事観:過去⇒現在⇒未来> …13
 


  3097-7 ↓
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-04-1

24. <文部科学大臣下村博文「教育再生案」について> …67
25.<人工知能の開発が人類滅亡をもたらす:ホーキング博士> 
69


 赤い文字の章をお読みください、データを挙げて人工知能の未来に言及しています。


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tsuguo-kodera

 親戚訪問で上京していたのかと思っていました。そうですか、歯医者さんだったのですか。衝撃的な記事をありがとうございます。論旨大賛成と言うより私は悲観しています。
 でもとても勉強になりました。機械工学科とロボット工学が盛んな理由が分かりました。トップクラスの理系の人は機械工学科を志望しています。足きり点数もあがりました。東大も東工大もです。呆れるほどです。何れかの先生になるのだったと今頃後悔しています。(笑)
 優秀な人が進学します。ますますロボットは増えるでしょう。ゴキブリ部隊同士の戦いやカブトムシとクワガタの戦い、蝶々部隊、まるで児童漫画やゲームの世界になりつつあるのでしょう。国の存亡はロボットにあると考える指導者がいる国は増えているように思えて仕方がありません。
 一方、歯医者さんや技工士の話ですが、家の300m徒歩圏の、駅近く、10以上の歯医者さんがあります。小さな駅なのにです。隣の松戸駅だったらその数倍はあるでしょう。既に人気の歯医者さんはネットで簡単に調べられます。
 不人気の歯医者さんも容易にネットで調べられるし、犬仲間やバド仲間がダメな歯医者や怖い技工士がいる歯医者さんを教えてくれます。患者がいて待たせられてしまう歯医者はごく一部です。歯医者さんも魅力の進路ではなくなりました。
 でも、歯医者だけではありません。一番最悪なのはお寺さんです。義理の兄はとても上手く寺や墓を管理しているようですが、松戸全体で、実は松戸は東京の霊園がある有名な場所ですが、寺の経営は大変のように見えます。
 私はビジネスは分かるので、実は寺も大きな葬式屋も魅力あるビジネスに見えません。これこそロボット化ができます。若い、お経しか上げられない坊さんに私の葬式は任せません。化けて出るぞと息子を脅しているのです。
 そば屋も、マックの寿司屋も同じ。私は日本沈没、世界沈没は60年で起きる方にかけますよ。100年なんて持つわけがないです。甘すぎです
 私は南無阿弥陀仏も自分で唱え、生前戒名も自分でつけて、弘法大師様に認められたのです。霊園も零円で。(笑)
by tsuguo-kodera (2016-04-04 12:05) 

ebisu

koderaさん、おはようございます

住まいがあるので、東京へは年に一度行っています。ワイフは3ヶ月に一度くらいの頻度で掃除や換気をしに行きます。

>機械工学科とロボット工学が盛んな理由が分かりました。トップクラスの理系の人は機械工学科を志望しています。足きり点数もあがりました。東大も東工大もです。呆れるほどです。何れかの先生になるのだったと今頃後悔しています。(笑)

ほんとうですね、そちら方面の先生をする選択もありましたね。でもロボットなんて鉄腕アトムの世界で、それが生きているうちに現実になるなんてだれも考えなかったでしょう。

パソコンの性能の指数関数的な向上はわたしも読み間違えました。
全国の大学病院と専門病院をネットワークする臨床診断支援システム事業構想に創業社長の承認をもらって、NTTデータ通信事業本部と要求仕様にあう通信速度とコンピュータの性能を調査したところ、30年以内には無理だと判断して事業化を断念しました。1986年のことですが、なんと15年でこのシステムの要求仕様を満たす通信速度とパソコンの性能アップが実現しています。
わかっていたら、やったでしょう。日本の医療は世界の最先端を走ることになったでしょう。
200億円を使う許可を稟議書でもらって、事業化についてNTTデータ通信事業本部と何度か打ち合わせまでしてちゃんと仕事したつもりでいましたが完全な読み違いです、愚かでした。(笑)

貴兄もわたしもコンピュータや通信速度の指数関数的な性能アップが、30年以上も続くなんて考えてもいなかった証拠ではないかと思います。

>そば屋も、マックの寿司屋も同じ。私は日本沈没、世界沈没は60年で起きる方にかけますよ。100年なんて持つわけがないです。甘すぎです

性能アップを控えめに見積もり、3年で演算速度が2倍になると仮定すると、60年では「2^20」ですから、百万倍になります。いま、囲碁の人工知能が世界チャンピオンに圧勝するレベルまでディープラーニングに1年かかるとすると、60年後の人工知能は同じ作業を0.5秒でやってしまいます。
そしてそのアルゴリズムはネットワークを通じて世界中の人工知能で瞬時に共有されます。
家電や工場の機械ともネットワークでつながっているでしょうから、家電や工場で使う機械も人工知能がやりたいことにあわせて設計し、インストールしてしまいます。流通も人工知能がコントロールしているでしょうから、世界中のどこにでも運べます。

koderaさんの言うとおり、百年は持ちませんね、わたしの推測は「甘すぎ」なのでしょう。

とにかくも人類はそういう時代に突入してしまった。
スマホですら手放すことができませんから、人類の絶滅はすでに必然と化しているのでしょう。

だれか英雄が現れて解決してくれるのではなく、際限のない欲望の拡大を自制し、小欲知足で生きられるか否かという選択の問題です。人間の際限のない欲望は始末におえません。
お釈迦様は人間をよく観察し分析していました。諸行無常、人類が地球上に存在するのは永遠ではありません。人工知能の性能が指数関数的なアップを続けることで、人類は近い未来にみずからその存在を消してしまうことになりそうです。


by ebisu (2016-04-05 13:31) 

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