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#3097-7 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版)-7  Aug. 2, 2015  [資本論と21世紀の経済学(2版)]

#3097 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版)<目次>  Aug. 2, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-15


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24.
<文部科学大臣下村博文「教育再生案」について>

 
 「2020年 教育再生を通じた日本再生の実現に向けて」(以下、「教育再生案」と略記)1ページ目に次の等式が載っている。二つの算式を並べるので、眺めて考えてもらいたい。 

  成長(生産)= 一人一人の生産性 × 労働力人口
 (勤労世帯の所得合計=生産年齢人口×就業率×一人当たり所得)

*カッコ内は比較のために「17. <人口統計から見える未来>」で挙げた算式を再掲した。
*2020年 教育再生を通じた日本再生の実現に向けて」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/dai21/siryou2.pdf 

 
下村案では教育の目標を経済成長においているが、それは妥当なことだろうか?社会福祉・人口問題研究所の推計によれば、労働力人口が2040年には2010年比で約3割減って5786万人になるから、経済成長はありえないとみるべきではないだろうか。
 
下村案では、一人一人の生産性を上げるために「教育の質を向上し一人一人がもつ可能性(能力)を最大限伸長」するとなっている。労働力人口を増やすための対策として、「教育費負担を軽減し、子育てに対する不安要因を低減⇒出生率向上」。たしかに昭和30年代の日本は新幹線を始めとしてインフラが整備され、企業部門は強化され、国民も豊かになった。だが平成27年のいまは経済成長が国民を豊かにするだろうか?
 下村案には次の三つの問題を教育で解決すると書いてある。
      少子化の克服
      格差の改善(公正・公平な社会の実現)
      経済成長・雇用の確保 

○[世界人口予測との関係]
 
経済成長を実現し、人口減少を止めたいようだが、国家戦略として妥当だろうか?世界人口が2060年には96億人となり現在よりも19億人増え、食料の争奪が起きる。日本の人口は減少したほうがいいのである、人口が減少すれば食料自給率が上がることぐらいは小学生でもわかる理屈だ。 

○[政府財政破綻がそう遠くない日に起きる]
 そう遠くない日に1000億円を超える借金を抱えて政府財政が破綻する。破綻すれば大幅な円安と物価騰貴が起きるから、人口を減らしておかないと、食糧や食糧生産するための飼料輸入に莫大なお金を費やさなければならなくなる。原油やLNGの他に食料調達圧力が増せば貿易赤字のさらなる大幅な拡大が起きて円安を加速する。国内の食品価格も燃料価格も暴騰することになる。そのショックを緩和する手をいまから準備しておくべきだ。時間はそれほど多く残されていない。

○[無視できない性意識の変化はなぜ起こっているのか]
 
気になる調査がある。日本家族協会の「男女の生活と意識に関する調査」2002年から毎年実施)では、性交経験率が50%を超える年齢は、男性29歳(過去調査2326歳)、女性28歳(同2427歳)で、特に男性の性交開始年齢が顕著に遅くなっていることが判明した。セックスレス夫婦も増えている。配偶者がいる人に限定しても44.6%と04年以降増えている。これでは少子化がますます強まることになる。地震による福島第一原発事故での広範囲な放射能汚染拡大も、安全な子育てへの大きな不安要因となっている。世界人口が増えていることも、食料自給率が低い日本で子育てすることへの漠然とした不安になっている。特に関係が見出せないが、韓国も日本と同様の傾向があるようだ。 

○[少子化の原因は経済格差だけにあらず、経済政策とライフスタイル選択にも関係あり]
 
少子化は社会保障や経済格差のせいばかりではない。貧困家庭のほうがなぜか子沢山が多い。自分たちの生活レヴェルルが下がるので、子供をもちたくない場合や、セックスに興味がないケースは経済格差是正が少子化対策にはならない層の存在を示している。子育てよりも自分たちが楽しむというライフスタイルを選んでいる若者が増えている。もちろん将来への不安や夫婦だけでの子育てへの不安があるのも事実だ。若い人たちは進学で都会へ出て、そのまま就職して戻らない。子育てに親の手助けが期待できない。団塊世代のころと違って自立心が薄いいまの子供たちは夫婦だけで子育てするのは大変な負担だ。田舎で近くに親がいて子育てするのとはわけが違う。だから都会の出生率が低い。進学と就職のために親元から離れて都会で結婚するというライフスタイルそのものが少子化の主たる原因のように思える。結婚して専業主婦となり子供を育てることをよしとする価値観が失われてしまったことも少子化に歯止めがかからない原因のひとつに数えていいだろう。

 ○[経済成長は雇用を減らす]
 
経済成長すれば雇用確保ができるのかということも疑問がある。生産拠点が海外へ移転してしまったから、単純労働の職が失われて、職にありつけない者が増えた。経済成長が第二次産業の雇用を大きく減らしたことは否めない。サービス産業を中心に複数の専門分野についての知識と経験があるような能力の高いものへのニーズは増えているが、学力レヴェルルが平均以下の者たちの雇用ニーズは小さく、非正規雇用割合が高い、それゆえ給与も低い。だから生産拠点を国内に取り戻さないと、安定した正規雇用の職の確保はできない。経済成長で国内雇用を増やせないのは証明済みだ。逆だ、事業拡大を続けるために企業は生産拠点が海外へ移転し続けたから、国内に単純労働雇用(工場労働者に対する需要)が激減した。生産拠点を国内に取り戻す有効な対策は、強い管理貿易(鎖国)である。日本で生産可能な商品については高率の関税をかけたらいい。TPPなんてとんでもない話だ。 

[脅威の産業革命は始まっている]
 1980年代後半に精工舎の工場を見学した*。時計の組み立てライン、そこに人はいなかった。一つのラインに15台ほどのアーム型ロボットとパーツフィーダが並んでいた。パーツフィーダの調整や機械の管理に人間が携わっているが、コンピュータとネットワーク、そしてそれにつながる機械はどんどん進化する。過去30年間の速度でコンピュータの処理速度とメモリーの集積度が増大すれば百年後には2億倍になる。一辺が5cmのキューブほどの人工知能が可能になる。工場生産に人間の手がまったくいらなくなるという世界が出現する。知的労働は人工知能のほうがはるかに優秀になってしまう。人的生産性は飛躍的に高まるどころではなく、分母の人がゼロになってしまう。生産力はこれから飛躍的に高くなる。人間の働き場所がなくなる。人類全体が失業する時代が来るのである。工場生産にもサービス産業にも人間は非効率で性能の悪い、不要な存在と化す。職を失った人類はどうやって食べていくのだろう?
 経済成長や生産性指数関数的な向上、生産力の飛躍的増大は人類に幸福をもたらさない。人間が便利さや豊かさを追求し続けると、コンピュータとネットワークと機械の性能を人間が不要になるところまで押し上げてしまう。生産性が指数関数的に増大すると同時にある日、生産活動に人間が不要になってしまう。そういう世界が訪れるまで百年かからない、人類に選択の時間はあまり残されていない。

○[強欲な資本主義の価値観からの脱却こそが必要]
 上場企業の内部留保は14年間で2.3倍、役員報酬は20年間で2倍、しかし、サラリーマンの平均実質所得は減り続けている。原因の一つは非正規雇用増大である。これらのことから、日本の経営者たちは米国流の価値観にどっぷり浸かって、正社員をリストラし、非正規雇用を増やすことで利益を上げてきた構図が浮かび上がる。日本の経営者たちはすっかりアメリカナイズされて、経営の基本的な考え方が、会社が利益を上げ続けて自分さえよければいい、社員や非正規社員の給与など低ければ低いほどよいと考えている、そこを改めることが先だ。 

○[下村案の総括]
 
対立する意見を並べて、考えるということは大事なことである。わたしは本稿の論旨どおりに、教育再生の材料を違った角度から提供するのみ。いま所得格差是正に必要なことは、経営に関する価値観の転換と労働市場の規制強化である。裏を返せば、日本的な商道徳(「売り手よし・買い手よし・世間よしの三方よし」「浮利を追わない」)や伝統的な価値観(小欲知足、職人の仕事観)への回帰である。そのためには経済成長至上主義から離脱しなければならない。国家戦略としては世界人口100億人突破を前提に、国家戦略として日本の人口減少と食料自給率をアップの仕組みをいまから用意すべきである。学力が平均以下の者たちにもまじめに修行すれば安定した収入が得られるように生産拠点を海外から取り戻すことが国家戦略とならなければいけない。政権やアベノミクスの成長戦略に都合の悪いことは下村「教育再生案」では一切触れられておらず、教育政策がありもしない成長戦略の僕(しもべ)に成り下がっているというのがわたしの率直な印象。いま必要なのは、人口縮小を前提にした経済縮小戦略である。 (下村案は時代の大きな流れを理解していないように見える。下村文部科学大臣はおそらくわかって書いているのだろう。安倍内閣の一員である限りはアベノミクスに沿った教育再生案を書かざるをえないから、この程度の案が精一杯というのが真実かもしれぬ。) (大学定員考:偏差値40以下の大学はレヴェルが低くて卒業生への雇用ニーズが低い。下位20%の大学は大卒としての雇用ニーズがほとんどないのだから取り潰していいのではないか?大学進学率をこれ以上あげると質がますます低下することになる。高校卒業生の半数が進学可能な大学ではレヴェル低下はとめられない。三人に一人なら、かなり高いレヴェルの授業が可能になるだろう。そのためには、高卒や専門学校卒の若者たちの正規雇用の場を増やさなければならない。その有力な手段が鎖国(強い管理貿易)である。)  


25
.<人工知能の開発が人類滅亡をもたらす:ホーキング博士> 
 ホーキング博士は222日に人工知能の開発は人類の滅亡を招くと警鐘を鳴らしている。
*
「人類の終わりの可能性」 ホーキング博士が「人工知能の開発」に警告!」
http://matome.naver.jp/odai/2141811666748273401?&page=1
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「人工知能の開発は人類の終わりを意味するかもしれない、と英理論物理学者のスティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士が警告した。」

ホーキング博士は、2日に放送された英国放送協会(BBC)のインタビューで、人工知能技術は急速に発展して人類を追い越す可能性があると語った。

「われわれがすでに手にしている原始的な人工知能は、極めて有用であることが明らかになっている。だが、完全な人工知能の開発は人類の終わりをもたらす可能性がある」と、ホーキング博士は語った。
「ひとたび人類が人工知能を開発してしまえば、それは自立し、加速度的に自らを再設計していくだろう」

「ゆっくりとした生物学的な進化により制限されている人類は、(人工知能と)競争することはできず、(人工知能に)取って代わられるだろう」
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 英文記事
*Stephen Hawking warns artificial intelligence could end mankind
http://www.bbc.com/news/technology-30290540


 過去30年間のコンピュータの性能データを使うと百年後には2億倍の性能のコンピュータが出現する、象徴的な言い方をすると15cmの立方体の人工知能が出現し、人間の知能をはるかに上回る、超高性能人型ロボットが商品として生産される。 人型ロボットのコストダウンが進めば、工場生産に人間が不要になる。すでに20年前に先進企業では単純労働がアームロボットに置き換えられている。具体例として1990年ころのアーム型ロボット十数台によるセイコー社の時計組み立てラインを紹介した。
 工場生産の現場では性能が著しく低く高コストな人間が邪魔になる時代が百年以内に確実に来るのである。そのとき、人間はどのような仕事をして食べていくのだろう。経済的に見ると生産者としての人間の存在理由がなくなる。そして稼がないことには消費も生存もできないのである。
 ホーキング博士が心配しているのは、AIが人間の管理から独立してしまうことである。自己修復や自己の再設計を人間の意思から独立してやりうるレヴェルルに達してしまうことにある。ネットワークを通じてAIが世界中のあらゆる物を支配してしまうが、人間はそれに手出しができない。人間が古くて性能の劣る機械を廃棄しているように、人間のコントロールを離れたAIが古くて性能の劣る人間をいつの日か廃棄処分の対象としない保障はない。合理的な判断に従えば、AIは人間を排除することになる。
 今後、百年のコンピュータとネットワークの発達・進化は確実にそうした未来を実現してしまう。人類はあくなき便利さの追求をとめなければならない。あくなき生産力増大や経済成長をとめなければならない

 百年後には現在の2億倍の演算速度と記憶容量をもった5cm×5cm×5cmのキューブ型の人工知能(AI)が可能になり、AIが知的労働においても人間をはるかに凌駕してしまうから、単純労働ばかりでなく知的労働もロボットに替わられ、人間が生産現場から排除される。人間が失業するのではなく人類が失業することになるのである。AIからみると、人間は極端に性能の劣った旧型ロボットにすぎない。AIは人間の助けを借りずに自己を修復・再設計して無限にその性能を進化させることができる。いまですら、この経済社会を維持するためにはコンピュータとネットワークのどちらも外すことができない。すでに人類は無限の便利さの追求と生産力増大、無限の経済成長という自ら仕掛けた滅亡の罠に嵌ってしまっているといえる。
 AIによる支配と人類滅亡という未来を防ぐ手立ては、経済成長をやめ現在の生産システムや教育システム、そして価値観を変換する以外にはありえないように思える。
 人類には現在の生産システムや価値観とは別の選択肢があり、コンピュータの開発をとめるべきだ
とまで書いた。

 著名な理論物理学者であるホーキンス博士が同じ懸念を抱いて、3週間後の222日にBBCの取材にこたえている。

 ホーキンスか博士は理論物理学が専門、わたしは理論経済学が専門、それぞれ別の角度から現象を眺めて、似たような結論に達していることになる。
 マルクス『資本論』の公理・公準を書き換えることで、人類に幸福をもたらす新しい経済学が創造できる。
 ピケティの『21世紀の資本』は分配論(所得分配システムの見直し)であるが、わたしのは資本主義的工場労働を職人仕事に置き換えることで、生産システムやサービス・システムそのものを変えるというものである。人類の滅亡を防ぐために、あくなき経済成長の追求をやめるという強い痛みを伴う選択肢を日本が国家戦略として採択し、世界に範を示すべき。それが世界に先んじて日本が21世紀に担うべき役割というものであろう。
 自国内で生産できるものは生産する、自国内で生産できないもののみ輸入するから、貿易の縮小を伴う。グローバリズムとは真っ向から対立する新しい経済学が人類を救うことになることを願っている。
   

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 #1454 異質な経済学の展望 :パラダイムシフト Mar. 31, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-03-31



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