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#2947 『資本論』と経済学(11) :「労働観を時間座標系においてみる」 Jan. 29, 2015 [資本論と21世紀の経済学(初版)]


10. <労働観を時間軸座標系においてみる:経済成長の極限> 

 奴隷制社会と農奴制社会を経験しているヨーロッパおよび中国、借金を返済できずに隷属民となる例はあるが奴隷制社会を経験していない日本は労働観に決定的な違いがあることを指摘しておきたい。労働は苦役であるというのは特殊ヨーロッパ的あるいは中国的な労働観であり、普遍性をもちえない。それぞれの地域において歴史的にさまざまな労働観が育まれたのだろうと思う。
 
古代ギリシア都市国家においては労働をするのは奴隷だった。特権市民は労働しない。その伝統は帝政ローマへも引き継がれた。こうしたヨーロッパの歴史が労働への蔑視を生んだのではないか。
 
わが国では国が成り立つ以前の縄文時代から続いている村落共同体のあり方や天孫降臨神話が、働くことや仕事に対する考え方の違いを生み出したように思えるので、横道にそれて#20で取り上げる。
 
古代エジプトやメソポタミア、インド、中国ではどうだっただろう。こういう風に並べてみると「特殊ヨーロッパ的な労働観」の意味がいっそう鮮明になる。この小論のテーマに関連する限りでは、ヨーロッパの労働観を取り上げるだけで十分だろう。 

【過去系列】
(1) 古代都市国家およびローマ帝国での特権市民と奴隷や農奴 
(2) 初期:東ヨーロッパ人の奴隷化:貿易支払いのための奴隷狩り
 
(3) アフリカ人の奴隷化
 
(4) 第一次産業革命
 
(5) 米国南部での奴隷需要増大
(6) 米国北部工業地帯で労働力商品の不足状況の現出
 
奴隷解放(1862年)=安価な労働力商品として黒人奴隷を解放して、北部工業地帯の労働力需要を満たす⇒ 米国の生産力の飛躍的拡大と世界支配開始
(7) 資本主義の第2段階開始:米国の勃興と白人帝国の世界支配の時代⇒帝国主義と植民地化政策資源収奪や低価格での一次産品収奪のための植民地政策。
(8) 白人帝国主義国家対アジアの戦い:日露戦争で有色人種の国が白人帝国に世界初勝利 
(9)
大東亜戦争での日本の敗北と、日本の戦いに意を強くしたアジア各国が白人大国から次々に独立。 

【現在進行系列】 
(10) グローバリゼーションの時代:米国製ルールの押し付け(規制緩和、TPP、国際会計基準など)
 
(11) 第二次産業革命:機械とコンピュータとインターネットが融合する時代。それ以前に比べて工場の生産性が数十倍になる。企業間競争の主戦場はソフトウェアとサイバー空間へ移る。
 

【未来系列】 
(12) 第三次産業革命の時代(百年後):
 量子コンピュータネットワークの世界。
現在の性能向上速度を延長すると、コンピュータの性能は百年後に現在の2億倍になる。物の生産に人間の手は要らない時代となる。現在のコンピュータの2億倍の性能を持つ人工知能がわずか5cmのキューブサイズになる。ネットワークにつながれた人工知能とロボットが工場生産のすべてを支えるから、生産に人間が邪魔になる時代、人間の存在理由がなくなりかねない危ない世界でもある。どれほど優れた人間よりも、人工知能搭載人型ロボットのほうがはるかに性能がよい製品をつくり、サービスを提供する世界が現出してしまったら、人間は労働者でも職人でもいられなくなる
 コンピュータの処理速度や記憶容量が2億倍にもなってしまったら、人工知能搭載人型ロボットと競争しても、性能の面でもコストの面でも人間が勝てるわけのない時代の幕が開けてしまう、百年後の人類はどうやって職を探すのだろう?
 
量子コンピュータがパンドラの箱を開ける鍵でないことを願うが、便利さを追い求め、欲望の拡大再生産を続ける人間が自らの手で経済成長(=拡大再生産)や利便性追求、そしてあくなき利潤追求を止めることができるのだろうか?強い懸念を表明せざるをえない。
 こうして過去・現在・未来の系列を俯瞰してみると、無限に自己増殖する資本はまるで癌細胞のようで、未来がこういうものだとしても、わたしたちは資本の自己増殖をとめることができるのだろうか?
 
資本の増殖の背後には人間の欲望の無限の自己増殖があるのだが、人間の欲望を超えて資本が自己増殖する時代がコンピュータとネットワークの進化によって百年後に来る
 
過去30年間のコンピュータの計算速度とメモリーの拡大速度を前提にすると、おおよそ百年後に処理速度も記憶容量も2億倍になり、コンピュータもネットワークも人間のコントロールを離れてしまう。コンピュータとネットワークとそれに接続されたさまざまな機械が人間のコントロールを離れて自立的に動く世界、そしてそれをとめるすべはおそらく人間にはない。
 これから一世代、どんなに遅くとも二世代の間に、小欲知足の価値観に基づき、肉体を使う仕事へ回帰して、過剰な便利さを排除する、職人中心の経済社会を創るべきなのだろう。無限の成長は癌細胞そのものである、無限の経済成長や道具の進化を追うのはそろそろやめにすべきだとわたしは思う。
 その一方で、生物進化はとめられないものだと仮定するなら、人間は経済成長や利便性追及の果に、絶滅せざるを得ないのだとも考えるのである。人類は自らの欲望を抑える叡智があるだろうか?
 


*#2935 『資本論』と経済学(1):「目次」 Jan. 25, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-25

 #2936 『資本論』と経済学(2):「1.経済現象と日本の国益」 Jan. 26, 2015 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-26

 #2937 『資本論』と経済学(3):「円安はいいことか?80⇒120円/$の威力」 Jan. 27, 2015 
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 #2938 『資本論』と経済学(4) : 「経済学とは?」 Jan. 27, 2015 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-27-1

 #2939 『資本論』と経済学(5) : 「『資本論』の章別編成」 Jan. 27, 2015  
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 #2941 『資本論』と経済学(6) : 「マルクス著作の出版年表」 Jan. 29, 2015   
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 #2942 『資本論』と経済学(7) : 「デカルト/科学の方法四つの規則」 Jan. 29, 2015
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 #2943 『資本論』と経済学(8) : 「ユークリッド『原論」 Jan. 29, 2015   
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 #2944 『資本論』と経済学(9) : 「何をやりつつあったかは残された文献に聞け」 Jan. 29, 2015    
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 #2945 『資本論』と経済学(10) : 「プルードン「系列の弁証法」 Jan. 29, 2015    
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29-2

 #2947 『資本論』と経済学(11) : 「労働観を時間座標系においてみる」 Jan. 29, 2015     
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29-4


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